第1回 栄養表示に関する調査会 議事録

日時

2013年12月4日(水)9:57~12:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
澁谷座長、迫座長代理、池原委員、板倉委員、河野委員、宮地委員
【オブザーバー】
阿久澤委員、夏目委員、石川委員、宇理須委員、鬼武委員、栗山委員、立石委員
【説明者】
消費者庁 竹田食品表示企画課長、平山企画官、谷口課長補佐、塩澤食品表示調査官
【事務局】
小田事務局長、大貫参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 栄養表示の対象成分について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大貫参事官 定刻より少し早いですが、予定されている皆様が全て来られておりますので、始めさせていただきます。
本日は、皆様お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから「栄養表示に関する調査会」第1回会合を開催します。
お手元の参考資料1に本調査会の委員名簿をお付けしております。本日は全委員に御出席いただいており、定足数を満たしております。
なお、オブザーバーとして消費者委員会委員の阿久澤委員、夏目委員、食品表示部会の宇理須委員、石川委員、鬼武委員、栗山委員、立石委員が参加されています。部会でも確認されましたように、オブザーバーもメンバー同様御発言いただけますので、よろしくお願いいたします。
11月26日の第137回消費者委員会本会議において、本調査会の座長は澁谷いづみ委員が河上委員長から指名されております。
議事に入る前に、配布資料の確認をさせていただきます。
お配りしました資料は、配布資料一覧のとおりです。
オブザーバーの鬼武委員御提出のコメントペーパーを、資料番号なしで別途お配りしております。
なお、メーンテーブルにいつもどおり青いファイルとグレーのファイルがございますが、これは会議が終わりました後、置いておいていただければと思います。
お配りした資料に不足のものがございましたら事務局に御連絡ください。
多くの傍聴の方にお越しいただいておりますので、御発言の際はマイクに近づいて発言いただくようお願いします。
それでは、澁谷座長に議事進行をお願いいたします。

○澁谷座長 皆さん、おはようございます。消費者委員会臨時委員の澁谷でございます。
消費者委員会の河上委員長より御指名を受け、栄養表示に関する調査会の座長を務めることになりましたので、どうぞよろしくお願いをいたします。
座長代理につきましては、食品表示部会設置・運営規程第4条第5項により座長が指名することになっておりますので、私からお願いを申し上げますが、迫和子委員にお願いをしたいと思います。
迫委員は、第2次食品表示部会の臨時委員を務められ、また、消費者庁の食品表示一元化検討会の委員も務められました。食品表示の分野で深い造詣を持つことのみならず、さらに消費者庁の栄養成分表示検討会の委員もされていたことから、食品表示に加えて、ほかの食品表示とは異なる特徴のある栄養表示についてもさまざまな知識、御経験をお持ちでいらっしゃいます。ぜひ座長代理をお願いしたいと考えております。よろしくお願いいたします。
本日は、消費者庁から竹田食品表示企画課長に御出席をいただいておりますので、御挨拶をお願いいたします。

○竹田食品表示企画課長 改めまして、食品表示企画課長の竹田でございます。
今回の表示の基準の統合・統一ということで、2回の部会で御議論いただきまして、きょうから3つの専門調査会での御議論をいただくことになりました。
こちらの栄養の関係でございますけれども、一元化検討会での御議論をへて、食品表示法では栄養表示が義務化可能な枠組みをおつくりいただいたところでございます。それを受けまして、栄養表示の義務化に際して、表示基準がまさにどうあるべきかということを、これから我々案を提示しながら御意見をいただきたいと思っております。
もとより表示に関しましては、表示をされたものを製造される方、それを流通させる方、それを購入される方といろいろな関係者がいらっしゃいますので、さまざまな視点から大所高所の御議論をいただきまして、食品表示法の施行に向けてきちんとしたものを我々はつくり上げていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

○澁谷座長 ありがとうございました。
なお、本日の会議は公開で行います。議事録についても後日公開することといたしますので、御協力をよろしくお願いいたします
それでは、早速ですが本日の議題に入ります。
本日は、栄養表示の対象成分について議題として取り上げます。
それでは、議事次第の「2.栄養表示の対象成分について」議論に入りたいと思います。論点が分かれておりますので、議論を整理して御審議をいただきたいと思います。
まず、食品表示基準に規定する「栄養成分」について。次に、義務化の対象成分について及びナトリウムの表示方法について。この3点を御議論いただくことになります。
それでは、食品表示基準に規定する「栄養成分」について、消費者庁から資料の御説明をお願いいたします。

≪2.栄養表示の対象成分について≫

○塩澤食品表示調査官 食品表示企画課の塩澤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料1に基づき御説明させていただきます。
本日の検討課題は「栄養表示の対象成分について」でございますが、具体的な御検討に入る前に、まずは現行の栄養表示制度の概要と、今後の検討課題(案)について簡単に御説明申し上げます。
それでは、資料1の2ページ目をごらんください。ここに「現行の栄養表示制度について」というスライドがございます。販売に供する食品について、栄養成分の含有量の表示や「○○ゼロ」、「○○%カット」などの栄養強調表示、栄養成分の機能を表示する場合には、健康増進法に基づく栄養表示基準に従い、必要な表示をしなければならない、というのが現行制度でございます。
下の図の左側をごらんいただきますと、栄養表示の例が載ってございます。現行制度では、適用対象は容器包装及び添付文書となっておりまして、適用の範囲は「販売に供する食品(専ら営業者が購入し、又は使用するもの及び生鮮食品(鶏卵を除く。)を除く。」となっております。なお、生鮮食品のうち、鶏卵については栄養表示基準が適用されるというものでございます。
実際どのような規定があるかというところを真ん中あたりにお示ししておりますが、栄養表示基準では大きく3つの項目がございまして、まず第1に、栄養成分表示に関する規定がございます。
具体的には、栄養成分表示をする際の必要表示事項というものがございまして、例えば100グラム、100ミリリットル、1食分、1包装その他1単位当たりの熱量及び主要な栄養成分の量を表示するなどが規定されてございます。
また〈任意表示事項〉といたしまして、ビタミン類やミネラル類、飽和脂肪酸、コレステロール、糖類などの基準が定められております。
また、栄養表示基準で定められていない成分につきましても、科学的根拠に基づく限り、任意に表示して差し支えないというのが現行制度でございます。
2つ目として、栄養強調表示の規定がございます。これは、栄養強調表示をする場合は、栄養表示基準に定める事項を遵守するとともに、少なくとも一般表示事項である熱量からナトリウムまでの5成分の量を表示しなくてはいけないというものでございます。
3つ目は栄養成分の機能表示でございますが、これについては17種類のビタミンやミネラルについて規定がございまして、所定の機能表示をすることができます。この場合には、1日当たりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、所定の上下限値の範囲内になければいけないといった規定がございます。
続きまして、次の3ページでございますが「今後の検討課題(案)」をお示ししております。
第1回、すなわち本日につきましては「栄養成分の対象成分について」というもとに、具体的には大きくは2つです。1つは「食品表示基準に規定する『栄養成分』について」です。これは義務化する、しないに関係なく、これから食品表示基準に規定していくものについて関係してくる内容でございます。
それから、マル2として挙げておりますのは、文字どおり義務化の対象成分についてということですので、義務化の成分を何にするかという議題でございます。
それから、これは次回以降になりますけれども、栄養表示の対象食品や対象事業者について、また、各栄養成分の分析法、そして「誤差の許容範囲」の考え方についても、今後、検討議題としていきたいと思っております。
また、栄養強調表示について、表示の方法について。これらについては、消費者にとってわかりやすく活用しやすい制度となるよう、当庁では、今、平成25年度事業といたしまして、栄養表示に関する消費者読み取り等調査事業というものを行っておるところです。ここで得られた知見をもとにたたき台案みたいなものをお示しして、御議論いただく方向で考えております。
それでは、本日の議題の1つ目でございます「食品表示基準に規定する『栄養成分』について」の御説明を差し上げます。
まず「背景」でございますが、現行の栄養表示基準に規定する栄養成分は、たんぱく質、脂質、炭水化物、12種類のミネラル及び13種類のビタミンでございまして、これらについて表示しようとする場合には一定のルール、例えば表示順序ですとか強調表示の基準などを定めております。
なお、脂質に包含される飽和脂肪酸及びコレステロール、炭水化物に包含される糖類及び食物繊維につきましては、当該成分の量に関して強調表示をする際の基準がございます。
また、消費者庁では、平成23年2月に「トランス脂肪酸の情報開示に関する指針」を公表しておりまして、トランス脂肪酸に関して、食品事業者が情報開示を行う際のルールとなる指針をお示ししております。
他方、栄養表示基準で定める栄養成分以外の成分の表示につきましては、科学的根拠に基づいたものである限り、販売者の責任において任意に行われるべきものとして取り扱うこととしております。
具体的に、現行の栄養表示基準に規定されている「栄養成分」の一覧を右側にお示ししております。マル1、マル2、マル3、マル4、マル5の規定がございます。また、その他の規定として、下に破線で囲った部分について、こういった規定もあるといったことをお示ししております。
次のページに移っていただけますでしょうか。
【背景(つづき)】といたしまして、ミネラルのうちモリブデンにつきましては、食事摂取基準におきまして基準値が策定されておりますが、栄養表示基準における「栄養成分」としてこれまで規定されておりませんでした。そこで現在、消費者庁の調査事業におきまして分析法を検討中であり、標準化された分析法が平成25年度中に確立される見込みでございます。
以上のことを踏まえまして、当庁といたしましては今後食品表示基準に規定する栄養成分の【考え方(案)】といたしまして、3点お示ししております。
まず1点目でございますが、食品表示法第4条第1項の規定に基づき定める食品表示基準における「栄養成分」は、現行の栄養表示基準に規定する栄養成分と同じとし、表示しようとする際のルール(表示基準)を定めることとするということが1点目です。
次に、モリブデンにつきましては、先ほど述べました調査事業の結果を踏まえまして「栄養成分」に追加することを検討したいと考えております。
そして3点目でございますが、食品表示基準で定める栄養成分以外の成分の表示につきましては、現行の運用どおり、科学的根拠に基づいたものである限り、販売者の責任において任意に行われるべきものとして取り扱うこととしたいと考えております。
下に〈新基準(案)のポイント〉としてまとめておりますが、繰り返しになりますけれども、食品表示基準に規定する「栄養成分」につきましては、現行の栄養表示基準に規定する栄養成分と同じとし、モリブデンについては調査事業の結果を踏まえ、追って検討したいというところでございます。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
まず、ここまでの御説明をいただきましたが、最初の3ページのところの「今後の検討課題(案)」ということで今回お示しをしていただいておりますので、これにつきましては皆さん御了解をいただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
順次何か出てきましたら、そのところでまた検討するということにしたいと思います。
きょう、鬼武委員からもペーパーをいただいておりますが、後のほうでまた検討する部分の内容も含まれておりますので特にきょうは時間を設けませんが、御了解をいただけたらと思っておりますのでお願いをいたします。
それでは、早速本題に入りますが、今、お示しをいただきました食品表示基準に関する「栄養成分」をどう考えるかということと、モリブデンの問題とございますが、どちらかでも、あるいはあわせてでも御意見をいただけたらと思います。いかがでしょうか。
挙手をしていただくとわかりやすいかなと思います。
では、板倉委員からどうぞ。

○板倉委員 モリブデンのことでございますけれども「栄養成分」ということで、ほかの国でどのようになっているのかについてもう少し教えていただければと思うのです。

○澁谷座長 では、先ほどの5ページのところが今、参考になるかと思いますが、事務局のほうで少し「栄養成分」のことについて、それから、モリブデンというものについてももしわかれば、なぜそれが栄養成分かということを少し言っていただければと思います。

○塩澤食品表示調査官 それでは、お答え申し上げます。
5ページに基づき御説明させていただきますが、ここにお示ししておりますとおり、現行の栄養表示基準においては「栄養成分」というものをこのように規定しておりまして、先ほども述べさせていただきましたけれども、基本的に上位概念に来るものを置いております。例えば脂質というものは、飽和脂肪酸であったりコレステロールであったり、こういったものを含むものでございますけれども脂質として規定されていて、それに包含されるような成分について、例えば強調表示基準なども設けられておりますが、それらは脂質に包含されるものとして、あくまでもこの第1条の2に規定しているのは脂質となっております。
今、モリブデンの話が上がっておりましたけれども、ミネラルで申しますと、例えばここに亜鉛とかカリウムとかカルシウムとかが載っておりますが、これは文字どおり亜鉛とかカリウムとかカルシウムでございまして、ほかに代替となる、例えばカルシウムと同じような何かミネラルがあるとかそういった概念ではなく、ほかと交換がきかないものということでここに「栄養成分」として挙げさせていただいております。
しかしながら、先ほど申し上げたとおりモリブデンについては、厚労省が策定している食品摂取基準でも、人体というか生命が生きていく上で必要な栄養成分であるのですけれども、現行、栄養表示基準の中の「栄養成分」としては、いろいろな理由から規定されてございませんでした。ただ、先ほど申し上げたとおり、例えば一つの限界点としては分析法ということがあったのですけれども、今年度事業として適切な分析法が確立できる見通しといったことなどもございますので、モリブデンについて、今後のその調査事業の結果を踏まえてここに追加すべきではないかと考えている次第でございます。

○澁谷座長 おわかりいただけましたか。いいですか。

○板倉委員 モリブデンにつきまして、鬼武委員のコメントペーパーのところに少し触れているところがあるのですが、私も今、参りまして机上でその資料まで読めませんので、もし可能であればその部分だけで構いませんので御説明をいただけないかと思うのですが、いかがでございましょうか。

○澁谷座長 鬼武委員、モリブデンのことだけでちょっと申しわけないのですが、何か御意見がございますか。

○鬼武委員 私はモリブデンの海外の状況はわかりません。私がコメントペーパーを書いたのは、今後、消費者庁の事務局のほうに準備していただけたらいいと思うのですけれども、委員の皆さんみんなが共通の認識になるためには、例えば鉄とか亜鉛とかそういうものだったら体にどういう機能があるかというのは一般の人もわかるわけですけれども、モリブデンというと、多分どういう栄養上の役割になっているか、演じているかは多分わからないと思いますので、まずそういうものの基礎的説明と、現状の摂取量との関係で、どの程度重要性があるのかというようなことを少し追加で教えていただければということが一つあります。
それから、調査事業でバリデーションされた分析法ができたということもありますので、そういう分析方法についても示していただければということ。
それから、直接今回の追加のことではないのですけれども、今回のモリブデンが食事摂取基準に基準値が設定されているという理由があれば、ほかにn-6系の脂肪酸とかn-3系の脂肪酸とかいうことも検討されることも必要かなと思いまして、そういった点をコメントしたということでございます。

○澁谷座長 ありがとうございます。
モリブデンというのは、先ほどの説明の中にもありましたけれども、体には必須の栄養素なのです。ただ、日本人の普通の食事の中では不足したりすることがないものですから、それは重要なのかと思われるかもしれませんけれども、体の中で、例えば銅を排出するとかいろいろな代謝をするときにかかわる酵素なのです。ですから、非常に特殊な栄養状況、例えばベッドの上でずっと点滴をつないでいるような状況だと、もともとこれは鉱物なので食物からとれないと、そうすると様々症状が出てくる。脈が速くなったりというような症状が出るということです。体には必要なものですが、多分、突然唐突にモリブデンだけ出てきたので、皆さん何でこれは検討するのだろうと思われていると思いますので、事務局のほうでもう少し何か補足をしてもらえることがありますか。

○迫座長代理 1点だけいいですか。

○澁谷座長 はい。

○迫座長代理 今、澁谷座長のほうからお話があったとおりで、モリブデンの栄養成分的な役割は非常に大きなものがある。生体、生き物の構成要素の一つであるということは間違いない話であります。そういう中で、従前は、例えば生体の中で非常に重量の大きいカルシウム。これは骨の構成成分です。そういうものとか先ほどおっしゃった鉄とかについてはかなり初期から栄養成分としての認識がございました。だんだんといろいろな研究が進みデータが集まってくるに従って、微量の栄養素、本当にごくごく微量のものまで生体の構成成分としては非常に重要だということがだんだんわかってきまして、それに伴ってこういう表示に関しましても情報提供するべき成分としてつけ加わってきている。
それだけではなく、先ほどの食事摂取基準もそうですけれども、そういう微量なものがだんだんとつけ加わってきて、より人体に近い、構成成分に近いものを全て網羅していこうという方向性で栄養学が動いてきているというふうなことをつけ加えさせていただいて、そういう意味で、これから先ももしそういうものが出てくれば、またこういうような形で追加していくということもあり得るのかもしれないということでございます。

○澁谷座長 ありがとうございます。
考え方のルールとしてどういうものを取り上げていくかといったときに、新たに取り上げるものが余りなじみのない栄養素だったりすると、どういうものかというのも事務局のほうで少し御説明いただけるといいかなと思います。
いかがですか。
どうぞ。

○板倉委員 私も栄養の専門ではございませんので、一応日本人の摂取量等につきまして、厚生労働省のほうでお出しになっていらっしゃいます2010年の「日本人の食事摂取基準」を拝見させていただきました。そうしましたところでは、日本人は今、25マイクログラムというのが一応基準値として定められておりますけれども、実際には日本人の平均的な摂取量は、それの約10倍近い225マイクログラムだというふうなことが書いてございました。それで、一応今のところは過剰症について問題になることはほとんどありませんと書かれておりましたけれども、モリブデンについて詳しく書かれているページを拝見しましたところでは、このもとになったデータ自体が非常にわずかな、しかもアメリカ人の方を被験者とするようなものであって、なおかつ余り分析法もはっきりしておらず、混沌としているというような感じがいたします。
それで、実は日本、我が国でモリブデンについてサプリメントとしてどのようなものがどのように販売されているのかということでサイトを拝見しましたところ、モリブデンは必須の元素でというようなことで説明があるだけではなくて、モリブデンの生理作用ということで、肝臓と腎臓に多く、キサンチンオキシダーゼ構成成分となるとかいろいろ書いてあるのですけれども、銅による中毒の予防効果とか、尿酸の代謝に関与とか、鉄の利用促進とか、体内の亜硫酸を解毒とか、銅の排泄を増大というようなことがありまして、貧血の予防とか抗がん作用、ウイルソン病というようなことについて書かれています。
こういうようなものを見ますと、今後、強調表示を認めたときに事業者が、不足していないかもしれないけれども過剰症になる心配について、「摂り過ぎても心配はないですから」ということで、そういう商品が消費者の目に届くような広告とともに出されたときに、今のような状況でいかがなものかと私は感じましたので、栄養成分の中として加えることについて異議があるわけではございませんが、強調表示まで含めてお認めになるということについては疑問を感じております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
そのほか、調査会の委員の皆様はいかがですか。
はい、どうぞ。

○立石委員 極めて素朴な質問なのですけれども、表示義務があるのは今の5つでしたか。基本的に、これだけを現行どおりやるのですよということなのですか。要は新しい、少し私も記憶で申しわけないのですけれども、消費者基本計画の中にも言及されていると思うのですが、トランス脂肪酸については、食品表示部会で今までほとんど議論されたことなどないのです。私は25回全部、一次、二次ほとんど出席しましたけれども、まともな議論もない中で、要は日本人の摂取に問題ないということで、お隣の韓国は義務化になっていて、なぜトランス脂肪酸がここの議論で一回も上がってこないのかわからないし、その辺の経過をもう少し詳しく教えてください。
まずは消費者基本計画の中で言及されているかどうかという点と、なぜトランス脂肪酸が一度もこの中で議論されてこなかったのかというところを教えていただけませんか。

○澁谷座長 トランス脂肪酸については、後のほうの議題のところでその状況等の説明がございますので、ちょっとそれは後の説明ということで、そのほかの部分で何か事務局のほうで追加をしていただけることがあれば。いかがですか。
どうぞ。

○夏目委員 先ほどの御質問にありましたモリブデンの国際的な情報について、事務局がお持ちでしたら教えていただきたいというところについて御回答がなかったので、鬼武委員のほうからもそういったお話があればということでしたので、日本の状況というのはそれぞれの委員の御発言で大分わかっているかと思いますけれども、もしお持ちであればここで一度お願いします。

○澁谷座長 日本の場合は、例えば国民健康栄養調査などというものをやっておりますが、その中でいろいろな要素を調べることがあるのですけれども、これは多分調べられていないのですね。

○夏目委員 調査の中には入っていませんね。

○澁谷座長 入っていませんね。私もその委員を何年か前にやっておりましたが、これは多分入っていなかったと思いますので、そういう定常的にとる形にはなっていないと思います。
先ほどの質問で、事務局のほうはいかがでしょうか。

○塩澤食品表示調査官 済みません。海外におけるモリブデンの表示状況について今、詳細な資料をあいにく持ちあわせておりませんので、今、この場では発言を差し控えさせていただきます。

○澁谷座長 ありがとうございます。
そのほか。
どうぞ。

○立石委員 先ほどの私の質問に全く答えていただけていないのですが、まず一つは、表示項目として、エネルギー、ナトリウム、脂質、炭水化物、たんぱく質、これとモリブデンをどうするかという問題が出ているけれども、これでやりますよということなのでしょう。これが原案なのですね、最初、まずそこの確認なのです。

○塩澤食品表示調査官 今、おっしゃっているのは、義務化対象とするしないのお話なのでしょうか。

○立石委員 はい。

○塩澤食品表示調査官 義務化するかどうかというのは、本日の議題の2つ目でお話しさしあげますので、いろいろな整理のもと、これを義務化してはどうかというのはお示しいたしますので、後ほどとさせていただければと思います。

○澁谷座長 それでちょっと後ほどということを申し上げたのです。

○立石委員 そうですか、わかりました。了解しました。

○澁谷座長 どうぞ。

○石川委員 今回、今のテーマの「栄養成分」の範囲というのは、現行の任意表示ということで、栄養成分を表示する場合にはこの表示事項、表示方法に従って表示してくださいという、そういう範囲内。現行法を維持する前提で、その範囲を画する意味での話をされているということでよろしいですか。まずは任意表示の範囲。義務化の前に、この任意表示の現行法の栄養表示基準ルールはそのまま維持した上で、その一部を完全義務化するというふうに捉えているのですけれども、そういう理解でよろしいですか。

○塩澤食品表示調査官 済みません。お尋ねの趣旨が正確に把握できているかどうか定かではありませんが、今でいうと栄養表示基準、今後は食品表示基準において、その栄養成分というのはこういう成分がありますというふうに規定しないと、例えば狭い意味での表示の基準もそうですし、強調表示ですとか機能表示とかいろいろ規定するときに、そもそも栄養成分というのは何なのかという話になってしまいますので、義務化するしないは関係なく、まず表示基準の中でいうところの栄養成分はこの成分ですよと示す必要があります。その範囲を今、お示ししているものとしたいというものがございまして、具体的に何を義務化するとか何を任意とするかというのは、また、本日の2番目の議題の話でございます。

○石川委員 現行法の栄養表示基準も、法律的にいうと一部義務化というふうな認識なのです。表示するかどうかは自由だけれども、表示する場合はこの表示の方法に従ってくださいということを言っていますし、強調表示に関してもそれは義務化と言っていいわけです。ただ、罰則がないというか、そういう緩やかなルールではあります。
そういう意味でいうと、表示するしないのレベルは今度の義務化の話で、表示する以上はこういうルールに従ってくださいという意味を、従来厚生労働省は「任意表示」という表現を使っていて「自由な表示」と「任意表示」というふうに言葉を使い分ければわかりやすいのかもしれませんけれども、いわゆる任意表示のルールは現行法上維持する。その任意表示の範囲をこのミネラル等の成分の範囲で画するという、そういう趣旨ですかという質問です。

○澁谷座長 事務局はいいですか。
どうぞ。

○谷口課長補佐 大体おっしゃっていることで大丈夫だと思いますけれども、まさにおっしゃられたとおり、任意表示と言いましても、表示する際に何らかの一定のルールを定めているというのが現在の栄養表示基準でございますが、そういった一定のルールにはまる栄養成分というのがどういったものかということを今回の食品表示基準の中でも定めたいということでございますので、おそらくおっしゃっている意味はそういうことだと思います。

○石川委員 それで、ちょっと先走った話になっていますけれども、義務化のところの国際比較のところで、きょうの資料では9ページですかね。

○澁谷座長 済みません、石川委員。9ページはまた後ほど順番にしますので、ちょっと今のところで。

○石川委員 いや、議論が違うのです。まず理解してください。

○澁谷座長 済みません、石川委員。事務局の今、説明を聞いていただけたと思いますけれども、そこまではよろしいでしょうか。

○石川委員 さらに質問がありまして、栄養成分の範囲を画する、まずは大枠を画するというのであれば、9ページのトランス脂肪酸とか飽和脂肪酸とかここも含めて「栄養成分」という表示をしないと、枠に入ってこないのではないでしょうかという疑問なのです。9ページの「日本(任意)」の「任意」と書いていますけれどもね。

○澁谷座長 それは先ほど説明があったように、脂肪ということの考え方の中で説明されているということでありましたので、入っていないということではございません。

○塩澤食品表示調査官 済みません。私、もう一回申し上げますけれども、先ほどの私の説明の中で、例えば飽和脂肪酸というものも今、例えば強調表示のルールなどがございますが、それは栄養成分の脂質というところに包含される成分としてこちらとしては現行制度では整理しているものでございますので、見た目上、今の栄養表示基準第1条に列記してある成分のところに「飽和脂肪酸」という名前は出てまいりません。しかしながら脂質というものが規定されておりますので、それをもとに強調表示のルールを規定している。そのような整理でございます。

○石川委員 済みません。そうしたら、5ページの右側の告示の中に食物繊維とかは入っているのですか。

○澁谷座長 炭水化物というところで入っております。

○石川委員 というと、私の理解がちょっと不十分でしたが、大項目の中には入っているのだけれども、その中の中項目が、下のトランス脂肪酸やコレステロール、食物繊維と、そういう区分けになっているということですか。大小の概念があるのですね。わかりました。

○澁谷座長 それでは、まだ調査会の委員の方の御意見ございますでしょうか。
どうぞ。

○河野委員 まず、最初に御提示いただいたこの部分に関して言うと、私はモリブデンに関してはもう少し情報をというところがありますので、そこをいただいた上で、この形でいいのかなと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございます。
宮地委員、いかがですか。

○宮地委員 私も同様で、先ほどの話ではモリブデンにつきましてもう少し詳しく説明いただけるという話でしたので、それはつけ加えてお願いをしたいと思います。

○宇理須委員 一ついいですか。

○澁谷座長 どうぞ。

○宇理須委員 今、大項目、中項目というような分け方をするというふうにお伺いしたのですけれども、そういう考え方からしますと〈栄養成分(第1条の2)〉に並んでいるもの、たんぱく質はかなり大きなものを含んで一つ名前が出てきています。ところがマル4とかマル5になってくると、例えばマル5というのはビタミンだと思うのですけれども、そういうのは大くくりになっていないですね。その辺のバランスの悪さを感じるのですけれども、それはやむを得ないことなのですか。

○塩澤食品表示調査官 おっしゃっていることは、例えば今マル5で示しているビタミン類は個々の名前が載っていますけれども、ここを「ビタミン」という名称にすべきがどうかというお話ですね。ただ、たんぱく質とかに比べますと、ビタミンというのは種類によって働き方がさまざまでございますので、これを一くくりにするのは果たしてどうか。海外でも「ビタミン」というくくり方というよりは、むしろこういったそれぞれの項目分けというふうになっておりますので、これについては現行どおり、食事摂取基準にも載っているナイアシンとかパントテン酸とか、個々の名前で規定したいと思っております。

○澁谷座長 いかがでしょうか。
どうぞ。

○板倉委員 私自身は、やはり強調表示の部分が引っかかります。不必要な方が多いにもかかわらず、それからまた、実際に栄養成分の過剰症については消費者の方が情報としては十分認識していらっしゃらないという状況で、強調表示まで含めて成分ということで認めるということについては、私は異議がございます。
やはり誰のためにその表示をしていくべきかということについては、日本人の健康政策や栄養政策に合致していなければ意味がないと思うのです。今、非常に曖昧な部分を、先に認めてから後で体裁を整えるというやり方が消費者の方々の不必要な商品の購入等にも影響することになると、私は非常に問題があるのではないかと思っております。
これが規制緩和の一環としての手ということであれば心配しておりまして、実際にアメリカのサイトを見てみますと、モリブデン欠乏の幾らかの症状ということで、ニキビ、エイズ、アレルギー、貧血、炭疽、ぜんそく、水虫というようなことでかなりいろいろなものについて表示をしていて、なおかつそれについてはFDAが言っているものではありませんということだけあればそれで済んでしまっているという状況です。そういったことが日本でもどの程度までに許されるかというのが今、わからない状況でございますので、非常に不安を感じております。

○澁谷座長 今、板倉委員からいろいろ御発言がございましたが、また強調表示については別途検討する回が設けられておりますし、今回はここにお示しをさせていただいておりますけれども、まず「栄養成分」ですね。「栄養成分」というのはこれと同じにするという、その部分のことの御検討をお願いしたいということでございます。
モリブデンについては、先ほどの強調表示のこともございますが、本年度調査をしている結果を見て追って検討するというのが今回、ここに挙げられた基準(案)でございます。そのことについて御議論、御検討をいただきたいと思いますが。
池原委員、いかがですか。

○池原委員 〈新基準(案)のポイント〉で問題ないと思います。

○澁谷座長 はい。

○迫座長代理 モリブデンの関係で、先ほどの板倉委員の御意見は非常にもっともなお話で、モリブデンを、例えば1項目新たに栄養表示基準の中に追加したというふうなことから、そこの部分がかなり強調的に扱われる可能性は否定できないと思っています。
その一方で、基準がないことによってそこはもう自由に書けると、それに制約をかけたほうがいいのではないかと、そういう考え方もあろうかと思っています。
そういう意味で、分析方法も明確になり、その成分の働き、役割も明確になってきている。食事摂取基準等で基準も見えてきている。栄養政策上もそういう意味では展開され始めてきている。栄養調査等ではまだ結論は出ておりませんけれども、そういう方向の中で、自由に表示できる全く無関係の成分として放置するより、この基準の中に入れて、その表示をするに当たっての基準、例えば、強調表示にもし入れるとすれば、そこの部分で高いと表示するとき、または低いと表示するときにどういう数値でなければいけないのかという、何%でなければいけないのかという、そういう枠組みをきちっと決めていくことによって消費者にとっての利益を守ることができるのではないかと思います。
成分値については、先ほどの結論どおりで結構でございます。

○澁谷座長 ありがとうございました。
それでは、そろそろちょっと。
では、短くどうぞ。

○鬼武委員 済みません。先ほどのモリブデンは情報を提供していただくということで、これまで厚生労働省がそこの設定に至っていない経過も含めて少し出していただきたいということと、別件で、食事摂取基準で基準値が設定されているという理由であれば、先ほど申し上げた脂肪酸系のものとかもそういうふうな中には入っていると思いますので、そういうものは入れなかった理由とかもです。一部ずつ小出しにしてくると議論しにくいので、全体枠の栄養素の考え方があってモリブデンを選んだという理由のほうがわかりやすいと思います。

○澁谷座長 本当はそうですね。わかりました。
また次の基準のところで、少し全体を眺めた話をしていただければと思います。
それでは、調査会の皆様、6ページのところの食品表示基準に規定する「栄養成分」は、現行の栄養表示基準第1条の2に規定する栄養成分と同じとする。また、モリブデンのことについては25年度の調査結果、それから、事務局に資料を用意していただいて追って検討すると、この事務局案でよろしいでしょうか。
はい、ありがとうございます。

○石川委員 済みません。今、これまでの議論で。

○澁谷座長 石川先生、ちょっと待っていただいていいですか。今、取りまとめ中ですので。

○石川委員 いや、質問がまた抜けていたので。

○澁谷座長 それはちょっとまた後でよろしいでしょうか。では、とりあえず。

○石川委員 いや、取りまとめの前に聞かないといけないのです、済みません。

○澁谷座長 でも、もう今、取りまとめましたので。

○石川委員 私は取りまとめに同意していないですよ。

○澁谷座長 質問は後ほどしていただけばいいので、確認だけいたします。
では、調査会の一応結論としてはこのとおりということでお願いをしたいと思います。
では、石川先生、御質問をどうぞ。

○石川委員 そんな逆転をしていいのですか。
6ページの【考え方(案)】の3つ目の「食品表示基準で定める栄養成分以外の成分の表示については、現行の運用どおり、科学的根拠に基づいたものである限り、販売者の責任において任意に行われるべきものとして取扱うこととする」というルールがこのままでいいのか。要するに「栄養成分」として今ある、示された栄養成分に関しては何らかのルール化をするということで規制が及んでいるわけですが、それ以外の栄養成分に関しては全くノールールでいいという話になると、先ほど迫座長代理がおっしゃたような形で、栄養成分について全く何でもいい、科学的根拠がちょっとでもあればいろいろな表示ができるという、そういう全くのフリーな表示ルールでいいのかという疑問があると思いますので、それはそれで全部を義務化するわけにはいかないのですけれども、ある一定の限度を超えた場合についてはその表示を禁止するとか、そういうルールは別途検討したほうがいいのでないか。
そういう意味でいうと【考え方(案)】の3つ目については要検討だと思うのですが、そういう質問をする前に取りまとめでこれでいいですねという話になって、ここでもう議論をしないということであればやむを得ないのですけれども。

○澁谷座長 おそらく先生の疑問に思っていらっしゃることは、次の義務化のところの御説明の中にも少しその回答があるのか、どういう考え方であるかだと思いますので。

○迫座長代理 済みません。本来事務局のほうでお返事することかと思うのですけれども、私もこの栄養表示基準についてかなり地方行政の立場でやってまいりましたので、そういう視点の中で今のお話について少し現状を触れさせていただこうと思っております。
「現行の運用どおり、科学的根拠に基づいたものである限り」と、これが非常に重要なところでございまして、科学的根拠が示されないような表示というものについては、健康増進法第32条2の中で虚偽・誇大表示の禁止という規定がございます。それについては、具体にその表示について違法性があれば、または不適切なものであれば、行政がそれについて中止の指導であったり、それ以上の勧告とか命令とかという指示をすることができますので、科学的根拠があるかないかというところがここでの非常に重要な記載のポイントになっております。
先ほど申しましたように、モリブデンに関しましては、いろいろな内容が明確になってきているので基準をつくったらいいのではないか。ただ、そういう状況が見えない中で全てのものについて規定していくことは逆に難しいので、事業者さんのほうに科学的根拠を明確に示していただいて、それにのっとっているのであればいいのではないか。ただこの場合、例えば100人の消費者の方がテストをしてみてこういう効果がありましたというものを科学的根拠としては認められないということになっておりますので、その辺の根拠の考え方というものは別に示されているということでございます。

○石川委員 その点に関してですけれども、32条の2は広告規制になっていまして、今回の食品表示法の表示規制とは微妙にずれるというか。あわせて議論しないといけない話ではあるのですけれども、広告規制なゆえに非常に緩やかで、著しくとかいう形で非常に広範な自由が認められているので、規制としては本当にぬるいということで改正が必要であるということは日弁連で意見を言っているのですけれども、それはそれとして、表示ルールと広告を含む大きな表示ルール、2つのルールでそれぞれに議論する必要があるということで、健康増進法は広告を含む広い表示ルールとしての規制としてそれなりに検討しないといけない。それ以外に狭い意味での表示ルール、まさに食品表示のルールの中で、栄養成分表示について何かルールづくりをしたほうがいいのではないか。こういう2本立ての考え方がいいのではないかと私は思っていますので提案した次第です。

○澁谷座長 貴重な御提案をありがとうございました。
事務局のほうでそのことはノートしておいてください。
それでは、続きまして「義務化の対象成分について」の説明をお願いいたします。

○塩澤食品表示調査官 それでは「義務化の対象成分について」とあわせて「ナトリウムの表示方法について」を御説明さしあげます。お手元の資料、8ページをごらんいただけますでしょうか。
義務化の対象成分を何にするかという考え方につきましては、これまでも検討してございます。したがって、今までの検討の経緯につきまして、簡単に触れさせていただきたいと思います。
まず、8ページにお示ししているのは、表示すべき栄養成分の優先度ということでございますが、これにつきましては栄養成分表示検討会で議論がなされまして、平成23年8月に取りまとめられましたこちらの報告書におきまして「表示すべき栄養成分の優先度は、エネルギー、ナトリウム、脂質、炭水化物、たんぱく質の順」というふうにされております。そしてこれらは「健康・栄養に関する基本的な知識として、全ての国民が知っておくべきであると考えられるもの」として位置づけられております。
具体的には下の図になりますけれども、青い網かけにしてある部分がこれら「全ての国民が知っておくべきもの」というふうに整理された成分でございます。
他方、その他の成分。下の図でいきますと白いところでございますが、これらにつきましては「国内外の科学的根拠等をもとに、引き続き検討すべき」とされておりまして、このうち、下の図でいきますと下線の引いてあります食物繊維及び飽和脂肪酸につきましては「栄養摂取状況から欠乏や過剰等問題がある」というふうにされております。
続きまして、9ページに移ります。
こちらにつきましては、栄養表示の国際比較となっておりますが、平成24年8月に取りまとめられた食品表示一元化検討会報告書におきましても、栄養表示の国際動向に関する記載がございます。
関連する記載としては、そこにもお示ししておりますけれども、例えばコーデックス委員会の栄養表示ガイドラインにおいて、栄養表示を行う際に必ず表示すべき栄養成分として定められているものには、現行の一般表示事項、すなわちエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物及びナトリウムのほかにも、飽和脂肪酸や糖類があること。また、対象成分の検討に当たっては「これらを含め、各国の義務表示の実態を踏まえつつ、幅広く検討する必要がある」という具合に整理されております。
具体的に下の表に成分、それからコーデックスでどうなっているか、栄養表示を既に義務化導入している国々でどの成分が義務化されているか、あるいは任意なのかといったこととあわせまして、一番右側に、現行日本は任意制度でございますが、何が必須で何が任意とされているかといった早見表をおつけしております。
これらを踏まえまして、次、10ページでございますけれども、今後食品表示基準でどう考えていくかといったことについて、「各栄養成分の表示の在り方について」というところでございますが、当庁としては【考え方(案)】といたしまして、新基準における栄養成分表示のあり方については、以下の3点を勘案して決定したいと考えております。
その3点とは、すなわち1つ目、消費者における表示の必要性。例えば国民の摂取状況ですとか、生活習慣病との関連などがございますけれども、こういった消費者における表示の必要性。これがまず第一であろうと考えております。続いては、事業者における表示の実行可能性。また、国際整合性。以上、3点が重要でないかと思っております。
これら3点について、具体的にはマル1~マル3全ての観点を満たすと思える場合には「義務」としてはどうか。また、マル1 すなわち消費者の表示の必要性を満たす場合は「推奨」としてはどうか。マル1の観点を満たさない場合は「任意」の表示項目としてはどうかという具合に考えております。
それで、多少小さい字で申しわけないのですけれども「推奨」という言葉でございますが「推奨とは、全事業者における表示の実行可能性は低いものの、表示の必要性が高いものとして積極的に表示すべきと考えられるもの」としております。具体的には、任意でございますけれども、その他の任意表示成分よりは優先度が高いというふうに位置づけたいと思っております。
具体的にどの成分が適用になるのかというところでございますが、この考えに基づきますと、義務としては、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムが該当するのではないか。
また、任意でございますが、任意のうち推奨項目としては飽和脂肪酸と食物繊維が該当するであろうと考えております。
その他の任意成分といたしましては、糖類、トランス脂肪酸、コレステロール、ビタミン・ミネラル類などが該当するのではないかと考えております。
個々の成分の考え方の詳細につきましては、次のページ以降でお示ししいたします。
それでは、11ページをごらんいただけますでしょうか。各成分の詳細でございます。
こちらは義務対象としてはどうかと思った成分でございますけれども、まず消費者の必要性というところでありますが、例えばエネルギーについては、食事の内容を評価する最も基本的な指標である。そして、適正体重を維持するためにも必要不可欠な情報であるということが、栄養成分表示検討会の報告書にも示されております。
また、たんぱく質、脂質、炭水化物についても、エネルギーの質を評価する上で欠かせない三大栄養素でもあるということで、ここに示させていただいております。
また、ナトリウムについては、ナトリウム制限は高血圧の予防にとって非常に意義が大きいという点であったり、国民の7割以上が目標量以上の摂取となっているということ。それから、先ほども触れましたけれども、エネルギーからナトリウムまでの成分については、基本的な知識としてすべての国民が知っておくべきと整理されておりますので、消費者の必要性という観点からも、この5成分については全て支持されるものではないかと考えております。
次に、実行可能性でございますが、ここに2つ挙げさせていただいております。
1つ目は、去る9月に栄養表示基準の一部改正を行った内容に関連してくることでございますが、当庁といたしましては、今年の9月に幅広い食品に栄養表示が行えるよう、従来の表示値の許容範囲の規定というものにとらわれないようなルールを別途設けたということがございます。これに関連して、これはここに挙げている5成分以外も該当してはくるのですけれども、この許容範囲に縛られない合理的な推定による計算値方式等での表示値の設定が可能になっているという点を第1に挙げさせていただいております。
第2ですが、この5成分に関しては、合理的な推定を行うための書籍や文献などが充実していると考えておりますので、これら5成分については、以上の点から実行可能性もあるのではないかと考えております。
また、国際整合性でございます。まず、先ほどお示ししたとおり、コーデックスの栄養表示ガイドラインにもこれらの5成分については必須表示事項とされているという点が挙げられるかと思います。
次に、栄養表示を既に義務化している国においても、ほとんどこれらについては義務対象になっているという点があるかと思います。
また、3点目といたしましては、WHOの世界戦略。これは2004年に世界保健機関(WHO)から示された「食事、身体活動、健康に関する世界戦略」というものでございますけれども、こちらにおいても、この5成分に関連するような推奨というものが示されているというところからも国際整合性があるのではないかと考えた次第です。
なお、この成分につきまして、一番右側列に(参考)として挙げておりますが、日本食品標準成分表2010というところにどのぐらいこの成分が掲載されているかというものの掲載率をお示しておりますので、適宜御参照いただければと思います。
5成分については以上です。
続きまして、12ページに移ります。
こちら、推奨項目とさせていただきたいと思っている成分でございますが、まず飽和脂肪酸。こちらについては、消費者の必要性という点からは、例えば、この摂取量が少なくても多くても生活習慣病のリスクを高くするということが示唆されているということですとか、国民のうち目標量の範囲を外れている人が半数近くいるということなどから、消費者にとっての表示の必要性はあるのではないかと考えております。
次に、事業者の実行可能性でございますが、1つ目は先ほど申し上げましたので割愛いたします。2つ目が●とさせていただいているのは、下に凡例を示しておりますけれども、我々として不支持要因ではないかと考えているものでございますが、飽和脂肪酸については、先ほど挙げた5成分に比べまして、合理的な推定を行うための書籍や文献等がそれほどは充実していないのではないかと考えておりますので●扱いとさせていただいております。
それから、国際整合性。こちらは、上の2つは先ほど述べさせていただきました。3つ目でございますけれども、WHOの世界戦略でも、飽和脂肪酸の摂取低減や不飽和脂肪酸への切りかえというのが具体的に示されておりますので、国際整合性はあると考えております。
次に、食物繊維の消費者の必要性でございますけれども、食物繊維の摂取不足は生活習慣病、特に心筋梗塞の発症に関連するという報告がございます。また、国民の半数以上が目標量を摂取できていないという事実もございます。
それから、事業者の実行可能性は、先ほどと重複いたしますので割愛いたします。
国際整合性につきましては、コーデックスの栄養表示ガイドラインに必須表示事項として示されていないという点がまず1点です。
それから、諸外国におきましても義務表示とされている国は少ないという点。
また、先に挙げましたWHOの世界戦略においても特段言及がないという点がございますので、3点●扱いとして示させていただいております。
次に、13ページをごらんいただけますでしょうか。
まず、糖類でございますけれども、糖類の消費者の必要性を考えてみますと、糖類の摂取量については、日本人において十分な把握ができておりません。つまり、日本人における科学的根拠が乏しいという点。また、食事摂取基準にもその数値が特段示されていないということが事実としてございます。
それから、事業者の実行可能性でございますが、先ほどお示ししたとおりでございますので、これも割愛させていただきます。
ただ、国際整合性というところを見てみますと、コーデックスの栄養表示ガイドラインにも必須項目として挙げられております。また、栄養表示を義務化している国でもほとんど義務化されております。それから、WHOの世界戦略におきましても、遊離糖類の摂取低減ということが具体的に記載されているといった点で、国際整合性はあるのではないかと考えた次第です。
次にトランス脂肪酸でございますが、消費者の必要性については、2つ見方があると考えます。
まず1点目でございますが、日本人の大多数のトランス脂肪酸摂取量は、WHOの目標、具体的には総エネルギーの摂取量の1%未満とするという目標が掲げられておりますけれども、これを下回っている状況でありまして、平成24年に食品安全委員会から示された食品に含まれるトランス脂肪酸評価書といったところに、通常の食生活では健康への影響は小さいと考えられるといった記載がございます。
ただ、その一方で、トランス脂肪酸については、脂肪の多い菓子類や食品の食べ過ぎなど、偏った食事をしている場合は摂取量が高くなる可能性があるとされ、食事摂取基準では工業的に生産されるトランス脂肪酸については、全ての年齢層で少なく摂取することが望まれるものとされております。
以上、トランス脂肪酸については、2つの見方ができると考えております。
事業者の実行可能性は、先ほど述べたとおりでございます。
国際整合性については、まず1つ目でございますけれども、コーデックスの栄養表示ガイドラインにおいても注釈扱いとして「摂取量の水準が公衆衛生上の懸念となっている国では表示を検討すべき」となっておりまして、必須表示事項という規定はございません。ですので●としてここに書かせていただいております。
次に、14ページにまいります。
コレステロールでございますが、これについては、消費者における必要性というところで考えてみますと、国民のうち摂取量が目標量を外れている人は少ないという事実がございます。
事業者における実行可能性は、先ほど述べたとおりでございます。
国際整合性につきましても、コーデックスの栄養表示ガイドラインでは必須とされていない。それから、諸外国でも義務対象になっている国は少ない。WHOの世界戦略でも特段言及されていないという点がございます。
また、その他、例えばビタミンとかナトリウムを除くミネラル類について消費者における必要性を考えてみますと、例えばこれらについては生体の機能維持に欠かせない成分ではございますが、バランスのよい食生活をしていれば欠乏症等のリスクは少ないと考えられるという点がまず1点です。
次に、栄養成分を強化、添加したことをうたう食品等については、現行どおり含有量表示を必須とすべきと考えますけれども、全ての食品にとって義務的に表示が必要な情報とは言いがたいという点があろうかと思います。
事業者における実行可能性は、先ほど述べたとおりでございます。
また、国際整合性についても、先ほど述べたとおりでございます。
以上が、それぞれの成分の整理でございます。
続きまして、15ページに移らせていただきます。こちらに「ナトリウムの表示方法について」というものを記させていただいております。
【背景】でございますが、栄養成分表示検討会の報告書におきましても、ナトリウムについては「『ナトリウム』と表示することは科学的に正確であるが、消費者にとってみると、ナトリウム含有量のみの表示から食塩相当量を理解することは難しい」というような記載がございまして、一般的に栄養指導などで行われているのは食塩相当量を用いたものでありますので、消費者の理解のしやすさという点からはナトリウムの表示方法をさらに検討すべきといったことが示されております。
具体的にナトリウムから食塩相当量を計算するための式を(参考)というところに挙げさせていただいておりますが、実際ナトリウムしか表示されていないものから食塩相当量を割り出すには、このような計算を何らかしなくてはいけないというのが事実としてございます。
そこで、下に【考え方(案)】というものを示させていただきましたが、大きく2つございます。
まず1つ目「消費者の自主的かつ合理的な選択の機会の確保」という食品表示法の目的を踏まえますと、ナトリウムの表示は、消費者になじみの深い「食塩相当量」とするのが適当ではないかと考えております。
2点目でございますが、コーデックス委員会の栄養表示ガイドラインでは「各国において総ナトリウム量を食塩相当量で『食塩』として表示することを決定することも可能」といったことが脚注に記載されてございますが、食品中のナトリウムは、食塩以外の形態で存在していることがございますので「食塩」ではなく「食塩相当量」というふうに表示するのが適当ではないかと考えております。
まとめますと、下の〈新基準(案)のポイント〉のところでございますが、ナトリウムの表示につきましては、消費者のなじみが深い「食塩相当量」に変えてはどうかというのが、消費者庁としての提案でございます。
最後のページ、16ページになりますけれども、以上の点を踏まえると、食品表示基準の新基準(案)に従うとこのような表示の整理になってくるかといったものを早見表としてつけさせていただいておりますので、適宜御参照いただければと思います。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
それでは、論点が複数ございますので、まず皆さん8ページのほうから見ていただきまして、ナトリウムはまた後で御意見をいただくことにしたいと思います。
今回、10ページのところに【新基準(案)】ということで「義務」それから「任意」、「任意」の中を「推奨」と「その他」というふうに分ける。その考え方として、3つの点を考慮するということでお示しをいただいております。
それでは、このことについて皆さんからの御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
はい、どうぞ。

○池原委員 まず、今回幾つかの大手の企業に問い合わせてみたところ、今回推奨とされております飽和脂肪酸と食物繊維について、これまで消費者からの問い合わせは1件もないとのことで、要はこの2つの成分について消費者のニーズが本当にあるのか疑問に思っています。
今回「推奨」を新しく設けられたいとのことですけれども、推奨はずばり言いますとやめていただきたいと思います。その理由は、要するに事業者にとっては、推奨というのは実質義務と同じになってしまいます。要は流通から、推奨なのになぜやらないの、やってよねと要請をいただけば、これはやらざるを得ません。要するに、推奨は義務と本質的に同意義になってしまいます。
ということですので、あくまで「義務」と「任意」の2段の構成としていただいて、任意の中をさらに2つに分類することはなく、各成分を単に羅列というか併記していただく、その形にしていただきたいと思います。
以上です。

○澁谷座長 「義務」と「任意」ということですね。
そのほか。
どうぞ。

○河野委員 私も今回御提案いただいた義務のところはこれでいいのかなと思いますが、やはり「任意」のところの「推奨」と「その他」のところが、今後に向けてちょっとわかりにくいのかなというふうに感じております。
飽和脂肪酸が推奨に入っていて、例えばトランス脂肪酸がない理由。どちらにしてもこれは両方リスクのトレードオフの関係にありまして、トランス脂肪酸は今、減らしていく方向に行っていますけれども、減らしていくと逆に飽和脂肪酸がふえていくという関係で、どちらが重要なのかなというのはなかなか判断がしにくい。
糖類に関しましても、基準(案)でいえばなかなか、ここにお示しいただいているような形で、日本人の摂取量が十分に把握されていないと書いてありますのでそうかなとも思いつつ、結構今、糖類ゼロですとか、いろいろなところで、国民というかいわゆる消費者の関心が高い項目ではあるということなのです。ですから、このあたりが「推奨」と「任意」というふうにもし分けるとするならば、やはり皆様方の御意見をしっかり聞いて、それなりのコンセンサスをとった上でこういうふうに分けていかなければいけないと思っていますので、そのあたりをもう少し、消費者とするとそういうふうに思っていると、ここのあたりの分け方に関してちょっと不安があるというところを申し上げておきたいと思います。

○澁谷座長 宮地委員、いかがですか。

○宮地委員 「任意」と「推奨」の区分けなのですが、例えば「推奨」の中で●がある部分が解消されれば、それは義務表示に切りかえると、そういうことをまた提案されるという考え方で承ったらいいのですか。

○澁谷座長 多分、今の御質問は、考え方に3つの項目を出していますね。消費者のニーズといいますか必要性と、事業者ができるかどうかということ。そして、国際整合性はどうかというこの3つのことの、意味の重い軽いとか何を重視しているかとか、それから、本当にここに書かれていることがオーソライズされている、皆さんが納得できる記述になっているかどうかということではないかなと思うのですが、事務局のその辺の、国際整合性がなくても日本の国では必要だと考えればするのかとか、事業者ができなければやはりそれは無理でしょうとか考え方がいろいろあると思うのですが、そのあたりを●と○のところ、もう少し何かお考えがあれば御説明いただけますでしょうか。

○塩澤食品表示調査官 今、我々として挙げさせていただいております3点を、具体的な重みづけということで述べさせていただくのはちょっと難しいかなと。やはりこの3点を考えずして義務とか任意とか考えるのは不可能でございまして、基本的にはこの3点はセットになるものですので、この3点に従ってどれを義務にする、任意にするとかそういったことを考えていくのが適当ではないかと思っております。

○澁谷座長 ということですと、今、御質問のあった●が○になれば1つ上の考え方に上がるのかというのは、それほど簡単な話ではないと考えたほうがよいということでしょうか。そこのところは、だから皆さんの御意見で、●○ももうちょっとグレーに近いのではないかとかというふうに考えていらっしゃる方もいるかもしれませんし、この辺のお考えをちょっと皆さんにそれぞれお伺いをして方向性を決めていくのかなと思いますので、そういう考え方でよろしいですか。

○迫座長代理 今、お示しをいただきました消費者の、消費者のというよりも国民にとって必要な表示。そして、それはある意味、消費者にとって関心が非常に高い項目と言いかえることもできるかと思っています。そういう中で「義務」と「推奨」「任意」という3つの区分けの部分ですけれども、本来であればこういう基準を設定するものについては、義務表示のものと推奨のものがあって、なおかつそういう基準がないものについてが「任意」という表現の仕方でもいいのかなとは思っております。そういう意味で「推奨」というところをもっとふやしていくという方法は一つあるのではないか。
一方で、12ページと13ページをちょっと比較してみたいと思っているのですけれども、実際問題は、義務化するものについては、公的データベースであります日本食品標準成分表の中に100%の記載がございます。飽和脂肪酸も食物繊維についても、食物繊維は95%。それで、食物繊維については従前から、炭水化物の表示については糖質と食物繊維に分けて表示をすることが可能であるというふうな方法論がとられておりましたので、その辺もあって充実したデータが集まってきているのであろうと。
飽和脂肪酸につきましては、やはり必要性というのが非常に、要望はトランス脂肪酸ほど高くはないかもしれないけれども、身体に対する障害等々に関すると、やはり飽和脂肪酸については何としても今後、できるものなら任意から義務に近い形に持っていくべきものかなとは思っておりまして、ただ、そういう中で67%。まだまだ公的データベースが少し不足しているのではないか。いわゆる事業者さんのほうでどんどん分析等をしていただいて、推奨表示という形で分析等を進めていただいて、このデータベースを独自に消費者庁としてまとめ上げていく作業の中で、ここが100%に近づいてくれば、より中小の分析までなかなか手が届かない事業者さんであってもそこまで可能になってくるのではないか。そういう意味で「推奨」というところになっているのだろうなと思っているわけであります。
その一方で、糖類とかトランス脂肪酸のところは、公的データベースはゼロという形に現状なっておりますので、ゼロからこれを何パーセントまで持っていけるかというところを、これを義務に近い形のものに置いてしまうとかなり経費的に、その分析をするがために一体幾らかかるのかなというのが非常に気になるところですし、全ての食品にこれを推奨していくとなると、大幅な物価の上昇等にかかわっていくのではないか。もちろん、義務化されてしまってそれしか選択できないという形になれば、高くなっても否が応でも使わざるを得なくはなるわけですけれども、それが本当に消費者にとってのメリットになっていくのかどうか。もう一段階待って、データベースが充実する方向に持っていくというあたりでのこの任意というのをあえてつくっていくという形なのかなというふうに、この食品成分表の掲載率を見たときに、公的データベースという言い方はしていても実はその実行性を担保するための仕組みとして、やはりここがまだ不十分なためにこうせざるを得ないのかな。全てのものを義務化できれば一番望ましいのだけれども、それ以外のものも推奨になれば一番望ましいのだけれども、今回初めての義務化の方向性でございますので、あえて難しいというふうな判断ではないかなと、私はこの資料を見て思ったわけであります。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
消費者の立場ということで、板倉委員、いかがですか。

○板倉委員 私は、迫委員のお話も河野委員のお話ももっともだと感じております。
やはり一つ、食物繊維につきましては、実際にかなり大手では既に実施されているということもございます。また、不足しているというのも知られておりまして、一方ではサプリメントで不足を補うというような形で、非常に多量の商品が出回っております。ですから、自分が食べているものの食物繊維はどの程度なのかを判断するためには、やはりこれからできれば義務化の方向も進めていただくということで、せめて「推奨」ということでお願いできればと思っております。
それと、河野委員の御発言の中の、トランス脂肪と飽和脂肪のほうなのですけれども、私も今、日本として、片方が減ったら片方がふえるという状況を聞いておりまして、逆に片方だけ「推奨」で表示されて片方が表示されなかったときに、ミスリードにならないかという懸念を持っております。
一方で実際に加工食品の原材料表示を見ましたときに、植物油脂という表示がありますけれども、その中には飽和脂肪が非常に多いものが入っておりまして、本当の意味で消費者が期待している飽和脂肪の少ないものを選びとれるかどうか疑問という状況から考えますと、そういうような商品があると思いますので、できればこちらはぜひ「推奨」ということで進めていただければありがたいと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
オブザーバーの立石委員、先ほどのところで何かございますでしょうか。

○立石委員 事業者の実行性のことをよく言われるのですけれども、そうではないと思うのです。私はルールが決まれば事業者はもちろんやっていくし、16ページを見ても、なぜアメリカとか韓国はできている。要は日本はおくれているということが明らかになっているのではないですか。いろいろなことがそろっていない、できませんということを言っているわけだから、これまでサボってきたことのあかしがここで出ているのではないかと思うのです。アメリカだとかカナダだとかも様々な食品企業がいっぱいありますね。この中の食品メーカーでできているところが、日本はできないということは、日本の企業はおくれているということをここで暗に示しているのではないかと、私はそういうふうに思ってしまうのです。
もしくは、いろいろなことが条件整備ができていないということを、やはり消費者が必要とする情報を提供していくという中でどういう情報が必要なのかという観点で見ていかないと、事業者の実行性ばかり言っていたらこれは何も決まりませんよ。そのことばかりを今まで言ってきているからこそ何も決めないという、そういうことをもう一回ここでやり直さないと。
それから、例えば長い経過措置だとかをとればいいわけであって、そういう方向性をきちっと決めていくことが大事ではないかなと思います。

○澁谷座長 ありがとうございました。
石川委員、どうぞ。

○石川委員 ちょっと似たような話になるのですが、16ページを見ますと、結局米国、カナダ、韓国等はかなり義務化が進んでいるわけで、これは日本で義務化できない、でも韓国ではできるとか、その差異がどこにあるのかというのは疑問。なぜ向こうは実現できるのか。
もう一つは、ちょっとここで言うべきなのかという話ですが、この諸外国との比較で義務のライン、義務の範囲が一番小さいと、要するに最低ルールだということで、我が国が世界の経済の中で第3位のGDPを持っている中で、世界で最低ルールを今からつくろうとしているというのはちょっといかがなものか。しかもTPPで米国等といろいろな流通が促進される中で、これも消費者の問題で言うべき話ではないかもしれませんが、国内の中で栄養表示がきっちりできている外国製品と国内製品が競争して負けるということも想定しての話としてこれをつくるのか。そういう消費者の視点と競争政策との視点等々含めた上でこの16ページを見ると、ちょっと残念なルールづくりだろうと思います。何とか頑張って世界に発信できるルールづくりという大きな視点を持って、世界に見習って、世界の義務化におくれまいとしておくれるのではなくて、率先して先に行くようなルールという視点でつくっていただきたい。非常に大変難しい問題かもしれませんが、ちょっと感想じみた話になりますけれども、これでは本当に日本は何をやっているのみたいな話に世界から見られるのではないでしょうかという点で非常に不安を持ちますが、その点について、だから推奨、任意の話ではなくて、義務化のほうで議論すべきだろう。
それで、義務化に関しては零細事業者に対する配慮というのは当然必要だということであれば、義務化を免除するというルールもあり得るだろう。例えば消費税などは、1,000万以下だと課税免税点という形で消費税をとらなくていいとか、ルールが簡易化されている簡易課税方式もあったりするという形で全事業者ができるように、一番足の遅い人に合わせるというのではなくて、それなりに世界水準に合わせてもうちょっとルールをつくった上で、それにできない方は表示義務を免除するとか、そういう柔軟な対応もあっていいのではないかなと思います。再度検討していただきたいなと思っています。

○澁谷座長 ありがとうございます。
栗山委員、どうぞ。

○栗山委員 おおむね石川委員のおっしゃったことに賛成で、あとちょっと関係ないかもしれないのですが、オリンピックもあって大勢外国の方もいらっしゃる中で、本来自分の国で見られたものが見られないような食品表示とは日本はどうなっているのと改めて思われてしまうことにならないようにするといいなと思いました。
あと(参考)の日本食品標準成分表というものの、率で言うのであればコレステロールは97%をカバーしていますし、0%というところは、言ってみれば義務がないから充実されないという側面もあるのではないかなと、私たちのような素人が見ると見えます。ですから、ここは鶏と卵ではないですが、充実していないからできないのではなくて、義務化すれば充実していくものではないかなと思います。そこにやはり猶予期間を設けることを考えながら、せめてコーデックスぐらいにはしていっていただければなと思いました。

○澁谷座長 ありがとうございます。
では、鬼武委員どうぞ。

○鬼武委員 ありがとうございます。
まず、今回、事務局は「義務」と「推奨」と「任意」といった枠組みを考えたと思うのです。ただ、先ほども意見が出ましたけれども、推奨というのはやはり英語で言えばrecommendationですから、一定期間それは栄養表示項目として地ならしとかして、将来的にはそれは「義務」になるだろうと普通の人は捉えますから、そういうコンセンサスが得られるのだったら「推奨」3段はあってもいいのでしょうけれども、普通はやはり義務(mandatory)と任意(voluntary)という2つの表示方法が、海外でもそうなっているもので、日本が、もし英語にしたらrecommendedと、その他、otherとかしたときに、日本向けの栄養表示はどうするのかなと、海外の人もやはりグレーの部分があるというふうなのを一つ感じていますから、要するにこの定義というか推奨ということについて、長い将来というけれども、栄養表示が変更になるのは7年後です。結構私は先だと思うのだけれども、どこのことを言っているのかということもあるから、まずその定義をするのだったら、委員の中でもやはりもう少しその辺のコンセンサスが得られるように。そこが一つ重要なポイントであること。
2つ目は、栄養表示の義務化に向けてとかなりの意見が出て、栄養成分表示検討会にも私はかなり義務化に向けて積極的にコメントしてきましたが、最終的にはやはり何が難しいかというと、事業者であれ消費者であれ何であれ最終的に栄養表示を義務化する目的が何かということを十分にすり合わせないといけない。やはり栄養表示は製品に、パッケージにしてあって、例えばそれを健康のためにツールとして使うという、そこのコンセンサスができるか否か。ここでもいろいろ意見が出るのがそういうところではないかなというのが2つ目にあって、そういう点で、今回私は何回も読んで、推奨の下2つの、飽和脂肪酸と食物繊維を決定した消費者庁の事務局の説明のところが、もっと理論構築されたというか、やはり国民として今、これが緊急の課題であるというようなことがあるのだったらそういうふうには捉えられるのだけれども、ほかの任意のものと余り変わりのないものであったらそうともとられないし、そこまでちょっと読み取れなかったことです。もう一回そこのほうをもし説明ができるのだったら、その説明を2栄養成分についてしてほしいです。そうしないと推奨とする意味がわからない。

○澁谷座長 そうしましたら、先に池原委員の御意見を聞いてから、消費者庁のほうで今のお答えもあわせてお願いしたいと思います。

○池原委員 今、鬼武委員からもお話ありましたけれども、このたび「義務」「推奨」「任意」という3段階でということなのですが、これは国際的に見たときに、まずそういった3段階にしている例は非常にもう少ない、ないのではないかと思います。それで、日本だけこういった形で進めていくというのはどうかというところがまずあります。
先に申しましたとおり、実際この3段階にされて「推奨」というカテゴリーができても、実際事業者にとっては、これは「義務」と同じになります。先ほど、大手だけやって中小は後からついてくればいいよというようなお話ありましたけれども、実態はそういうことにはなりません。意味合いとしては、いかに小さいところであっても、大手の流通さんから当然やるのだよねと言われればやらざるを得ません。要するに、実態の意味としては、先ほどの実行可能性、具体的な活用できるデータが薄い中で義務は負わされてしまうのと全く同じになってしまう。そこはしっかり理解をしていただきたいと思います。
あと、立石委員から先ほどありましたけれども、実行可能性については、やはりこういった新しいルール、特に義務化に対しては必須要件というのはいろいろなところで、例えば先ほどの消費者基本計画においても附帯決議においても明記されているものですので、そこだけはきっちりと踏まえた上で御議論は進めていただきたいなと思います。

○迫座長代理 もう一点ちょっと追加をさせていただきたいのが、表示義務の免除という考え方でございます。
これは今、池原委員がおっしゃった部分と重なってくるかなと思うのですけれども、規模の小さい事業者だから表示義務を免除するという形になると、いわゆる消費税等々の扱いとはまた変わってきまして、表示がされていないイコール規模が小さい事業者であるということを認知させることにつながりますので、事業者としては確実に表示をする方向に、無理をしてでも表示をする方向に行くだろう。そうすると、逆に免除する規定ではなくて、やりやすい方法論を示していくということが重要ではないかということがありまして、いわゆる分析値だけではなく、合理的な積算に基づく計算値等々による合理的な推計値で表示ができるようにしたらどうかというところでの議論を積み重ねてきたということでございます。
追加させていただきました。

○澁谷座長 ありがとうございました。
事務局。はい、どうぞ。

○塩澤食品表示調査官 まず、御指摘のあった飽和脂肪酸、それから食物繊維の消費者の必要性について補足説明させていただければと思います。
12ページに載せておりますけれども、消費者の必要性というのは、現行、消費者が表示してほしいという意識、もう既に意識しているという必要性もあるとは思うのですけれども、意識していなかったり、今はあまり表示されていないけれども生活習慣病予防をする上で情報提供として必要とか、そういったいろいろなものをあわせ持つのがこの必要性と考えております。
まさにこの飽和脂肪酸、それから食物繊維でございますが、飽和脂肪酸については適切量とることが重要であるとなっておりますし、また、国民のうち目標量の範囲を外れる人が半分ぐらい存在します。目標量というのはまさに生活習慣病の一次予防というのを意図している値でございまして、その値から外れてしまっている人が半分ぐらいいる。したがって、その飽和脂肪酸を表示してほしいという直接の声があるとかないとかそういったことも重要かもしれませんが、それよりも今、何も情報が示されていないということを少しずつ改善していくことがまさに消費者にとっての必要性という観点ではないかと考えております。
また、食物繊維についても、食物繊維の摂取不足と生活習慣病の関連は十分指摘されておりますし、これについても国民の半数以上が生活習慣病の一次予防を意図した目標量に到達していないという実態もございます。我々としては、消費者の必要性というものが本当にあるのであれば、できれば義務としたいところでございますが、ただ、消費者の必要性だけをもって義務にするとか任意にするというのは考えられないと思っており、事業者の実行可能性ですとか国際整合性、もろもろの観点から義務にするかどうかとかを考えていきたいということからいたしますと、飽和脂肪酸、食物繊維というのは、現時点では義務にはできないけれども、本来積極的に情報提供はなされるべき項目ということで、ほかの任意とは違う扱いという整理をしているところでございます。

○澁谷座長 ありがとうございました。
そうしますと、皆さんのお考えでは、まず義務をつくるというこの義務の範囲。これは特にこの範囲ということで進めていくということでよろしいのでしょうか。
どうぞ。

○立石委員 義務といっても、直ちにというのと、将来的にとかそういう、条件整備のある程度附帯的な要件みたいなものを、こういったことでやるのですよということを示すのでは、準備だとか含めて事業者側としても随分違うのです。だから、できないのとやりたくないというのが混同になっているのですよ。やりたくないというのは当然、事業者の立場だったら私などもまさにそうです。だけれども、消費者の立場になればやはり知りたい。私も事業者の立場としてはやりたくないですよ。でも、消費者の立場であれば知りたい。ここの混同なのです。ここのところでみると、やはり事業者側としても実行性のあるということはもちろん必要なのです。だから、何年かの方向性を示してくれれば当然のごとく準備を始めるし、そのことの議論が、今すぐに、今は白か黒かばかりを聞いているから、なかなか決まらないわけですよ。そういうのもあっていいのではないかと思います。

○澁谷座長 考え方として、今回ここに消費者庁のほうから示された10ページのマル1、マル2、マル3の考え方をもとにして、何か一つが重要ということではなくて、それぞれのお立場によって違うと思いますので総合的に考えて、将来的には「義務」ということをふやしていきたいという方向は皆さん、御納得いただいているかなと考えます。
そうしますと、あとは運用の仕方といいますかやり方の問題で、例えば猶予期間をつくるだとか何かそういうものをまた別途考えるという方法論の部分に少しかかってくるかなと考えます。
まず「義務」をつくる。ここのところは皆さん大体御納得いただけたかなと思いましたが、あとは「任意」のところを2つに分けるのかどうするかということだろうと思いますが、この辺についてもう少し御意見をいただきたいのと、それから、事務局には先ほど鬼武委員からも質問がございましたけれども、国際整合性ということだとどんな英語を当てるのですかという質問がありましたが、それが「推奨」とか「その他」の意味をあらわすニュアンスになると思いますので、それをまた後でお答えいただければと思います。
それでは、今の任意のところ、河野委員はいかがですか。
では、先にどうぞ。

○宮地委員 今の国際整合性の話なのですけれども、義務表示という一覧表についての整合性というのはわかりましたが、内容についての整合性についてはどうなのかというのが、多分鬼武委員の御質問だったと思います。
それで、内容についても国際整合性が合っているというふうに解釈をするという話であれば、例えば海外の商品を輸入した場合、その表示はそのまま適用できるのかという話が出てくるのだと思うのですが、それは項目で見たら次回議論するような話になっていますのでまた次回のときに教えていただきたいのです。今回の国際整合性というのは「義務表示」という言葉があるかないかだけでいいのですか。

○澁谷座長 それは事務局でしょうか鬼武委員でしょうか、どちらに。事務局でいいですか。

○宮地委員 はい。

○澁谷座長 では、事務局お願いします。

○塩澤食品表示調査官 基本的にはおっしゃるとおりです。義務化にするかどうかの話のみでございます。

○澁谷座長 よろしいでしょうか。それで今、どういうふうにお考えでしょうか。

○宮地委員 次回、その対象事業者、対象食品という項目がありますので、そのときに当然きちっとそこの部分については議論をさせていただきたいと思います。

○澁谷座長 「任意」についての考え方はどうでしょうか。

○宮地委員 「任意」と先ほどの「推奨」という話でいいのですね。この部分につきましては、先ほど迫委員がおっしゃったように、きちっと成分表示の中の数字が100%に近くなるようなタイミングをもってするというのが一つの流れなのだろうと思っています。ですから当面の間は「推奨」なら「推奨」という範囲でとどめておくべきだろうと思います。

○澁谷座長 ということは「任意」の中の「推奨」でも構わないということでしょうか。

○宮地委員 はい。

○澁谷座長 では、河野委員、御意見をどうぞ。

○河野委員 私はぜひここのところはもう少し皆さんの意見を聞いて、しっかりコンセンサスを得てから先に行きたいと思って先ほどもああいう発言をさせていただいたのですが、消費者が知りたいということと、やはり今後長い間の国民の健康という視点から考えて、その維持・向上ですね。大局的な見方から考えて、この表示がやはり必要かどうかということの2つの観点があるのかなと思って、書かれていても正しくなければ意味はないし、読み解けなければ意味はないし、また逆に非常にそれが社会的な負荷といいましょうか、いろいろなところに負荷が出るというのはやはり消費者としても望まないところであると思っています。
それで今回飽和脂肪酸と食物繊維が「推奨」とされていますが「糖類」を同様に推奨とすることは難しいのでしょうか。先ほどの迫委員のお話では「糖類」は数値データがないため確実性に欠けるということなので残念です。国民の健康維持・向上に関して、飽和脂肪酸と食物繊維は今、やはり国としては推奨の方向で持っていかなければならないという、ある意味国民との間のコンセンサスというか、消費者との間のコンセンサスを今ここで提案したいと、そういうふうな見地でこれを提案するのであれば、表示するしないとかいうことではなくて、今後やはり消費者も学ぶと思うのです。この後サプリメント等の機能性表示の問題にもかかわってくると思いますけれども、私たちが学ぶいい機会だと思えば、このあたりをもう少し、なぜこの2つが今回推奨になるのかということに関してきちんと情報提供をして、それで当然のことながら事業者の皆さんも、それがひいては国民全体の利益にかなうという方向で前向きに考えていただければいいなと思っています。

○澁谷座長 では、板倉委員どうぞ。

○板倉委員 今、河野委員のほうから糖類のお話が出ましたので、私もそのことについて意見を申し上げたいと思います。
糖類については、やはり今、糖尿病予備軍がふえているというところで、糖を摂ると急激に高血糖になってその後すぐ低血糖になるというようなことも含めて、国民の健康という意味からは非常に問題になるものだと思っております。
また、最近サプリメントの関係では、機能性おやつというようなものが薦められようとしておりますけれども、それの主成分である糖類について表示がなくて、添加されている栄養成分だけについて長所をうたわれて宣伝されるということになりますと、消費者の方はミスリードされて、おやつで栄養をとって、食育という意味で問題が起きるということも可能性としてあると思いますので、今すぐにやるのが難しいということであれば仕方がないかもしれませんけれども、私としてはできれば「推奨」に入れていただけるとありがたいと思っておりました。
また、試験方法として、私も余り詳しくはございませんけれども、糖は比較的分析法が簡単なはずなのです。しかも生鮮食品にはそんなに多くはなくて、加工食品だからこそ糖類というのがさまざまな形で加えられているということを考えますと、加工食品についてどの程度の糖分があるかというのはやはり消費者にとっては有益な情報だと思いますので、ぜひそういった意味で今後どうするかということも考えていただけるとありがたいと思っております。

○澁谷座長 ということは「任意」に残しておいて、将来は検討していってほしいということでよろしいでしょうか。

○板倉委員 できれば本当は「推奨」としていただけるとありがたいなと思っております。

○澁谷座長 どうぞ。

○立石委員 よく考えてもらいたいのですけれども、アメリカの消費者と日本の消費者のどこが違うのかなと思うのです。アメリカの消費者が必要だとされる情報を、日本の消費者が必要でないということなのか、アメリカの食生活と日本の食生活が違うからどうなのかとか。もっと言えば、私が不思議に思うのは、我が国の食品メーカーの方が、アメリカとか各国に行ってもちゃんと向こうのルールでやっているのですよ。ここのところがなぜできて、我が国の消費者にはその情報を開示しないのか。韓国の消費者には、韓国のルールに基づいてきちんと情報開示しているわけです。そこがよくわからない。
同じ人間で同じ消費者が必要とされる情報が、日本とほかの国で違うのですかと、この議論の最も考えなければいけないところはそこなのです。同じ人間が同じように毎日食べているわけです。そのときに必要とされる情報が、なぜアメリカと日本が違うのですかと。なぜ日本はできないのですかと。そこに立ち返ったときに、本当にもう一回そこから始めないと、この議論というのは、ついついできるできないの話でやりたくないというのと混同されてしまって、本質的なところが抜け落ちてしまうのです。これはもう一回そこを考えたほうがいいのではないですか。

○澁谷座長 ありがとうございました。
迫委員、どうぞ。

○迫座長代理 今のお話で、欧米型の食生活と日本型の食生活の違いというふうなもの。これは非常に大きな差があって、世界で一番健康的な食生活を営んでいるのは日本だといっても過言ではない。そういう意味で、健康な食事の研究・検討会等も既に設置をされて、日本の食生活の情報を海外に発信していこうという動きが既に出てきているわけです。そういう食生活のベースとなる日常的に使用する食品であったり、これは生鮮物も加工食品も含むわけですけれども、そういうふうなものの使用の仕方、それから種類の多さ。日本の食生活というのは非常に重要なプラスの面を持っているというふうなところ。であるからして、今の日本の長寿社会が形成されている。
そういう中で、その国の消費者にとって情報提供するべきものというのは、その食生活の特徴に合わせた情報提供をするべきではないか。ですから、全てが海外と同じでなければいけないというものではなくて、日本の食生活の中で何が問題なのかというところをきちんと見きわめた上で、表示するべき項目を決めていく。これは国内政策としては非常に重要なものだと思っています。
整合性がとれなくていいかという部分は、その次の段階で国際的に整合性をとっていくというのは重要だと思います。日本の食生活の有効性というか、すぐれているところ。そこの部分を生かす形で、この表示基準についてはそれを補足するような形のものとしてきちっと位置づけをしていく必要があるだろうと思っています。

○澁谷座長 ありがとうございます。
では、短くお願いします。

○立石委員 反論するわけではないのですけれども、年寄りの方はそうかもわかりませんが、若い方はどんどん欧米型になってきているわけです。私の子供を見てもそうです。そうすると、やはり将来の健康とかを考えたときに、先に手を打っていくということの視点がないのか。確かに私の年はそうですよ。でも、そうではないと思います。

○澁谷座長 ありがとうございました。
事務局のほうで、先ほどのニュアンスを伝える、「任意」の中を2つに分けるということでどんなふうに説明を。もう少し説明をしていただけたらと思います。recommendationということでいいのでしょうか。

○塩澤食品表示調査官 具体的な文言を英語でどうというのはちょっと今、申し上げにくいのですけれども、それはテクニカルな話で、我々の方針として、2つに分けるとすれば確かに「義務」か「任意」となります。ただ、本当は「義務」にしたい、だけれどもいろいろな諸事情を考えてそこまでに至らないのではないかというところについては「任意」として並列に並べるよりは、ちょっと重みを変えて、これは本当に「推奨」なのだと。文字どおりその言葉が「推奨」というのが固定的という意味ではなくて、普通の「任意」とは違った位置づけなのですというのを何らか示す方法ということでルールをつくっていきたいと考えております。
ですので、具体的な言葉がどうというのはちょっと今は申し上げられません。

○澁谷座長 迫委員、どうぞ。

○迫座長代理 今の点、確認なのですけれども、そういたしますと「推奨」という区分については、義務化に向けた一段階というふうに共通認識をしていいかどうか。将来的にというところもあります。7年後というのもあるし、それ以降ということもありますけれども、義務化に向けての将来的な構想という認識にさせていただいていいかどうかお願いします。

○塩澤食品表示調査官 その認識で結構です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
それぞれの理由をお示しいただきまして、例えば消費者の必要性ということですと、それは消費者が知りたいということと、もう一つは国民の健康の観点から将来にどうだということの、その2つの視点で消費者のニーズということで考えているということ。
それから、国際整合性ということは確かに大切だけれども、それが大前提ではない。しかしながら、海外でできるということであれば、やはり日本も目指していくべきではないかというような御意見。
それから、実行の可能性ということについては、少し猶予期間とか方法論の部分に入るかと思いますが、しかしながらこういうことを目指していってはどうかという、この調査会の方向性といいますか、それが皆さんの御意見として出たかと思いますので、先ほど10ページをちょっとごらんいただいて「義務」そして「任意」。「任意」の中でも、特に今後、何年ということではありませんけれども「義務」に持っていきたいという意思を示すものとして考えてはどうだということだろうと思っております。
どうぞ。

○池原委員 もうこれはやり方の話になりますけれども、先ほど申しましたとおり、やはり「推奨」というカテゴリーを1個つくってしまうと、それはもう受け止め方が全く違うものになってしまいますので、やり方としてあくまで「任意」は1つの箱にしていただいて、その中に今、言われたようなことを何か補足というような形で書いていただく。要は行政として義務の予備的な位置づけなのだよという、そういった取り扱いにすることが望ましいというようなことを別書きにしていただくというようなところで何とかしていただけないかなと思います。本当に「推奨」という言葉がついた瞬間に、それはもう違うものになるというところはしっかりと理解していただきたいなと思います。

○澁谷座長 それは事務局はいかがですか。これは違いを示すのが「推奨」という、そういう考え方で、すぐ「義務」ということを考えているわけではないということですね。

○塩澤食品表示調査官 はい。

○澁谷座長 あとは何かいいですか。
どうぞ。

○迫座長代理 もう一点確認させていただきたいのですが、先ほど「推奨」は義務化に向けての考え方を示しつつ、そういう道筋の中にあるものというふうなお話をいただきました。それで「その他」のところから「推奨」へというここの流れというものは環境整備が進んでくれば、そういうふうなところも今後検討していくという方向性で考えていっていいかどうかというところでございます。これは消費者の要望等を考えると、やはりそこのルートもなければいけないのかなとは思います。

○塩澤食品表示調査官 御認識のとおりでございます。
我々の今の整理としては、先ほど挙げました消費者の必要性、事業者の実行可能性、国際整合性というのはあるのですけれども、少なくともマル1の消費者の必要性を満たすものについては「推奨」となるものということでございますので、今●がついている、あるいは○●みたいになっているものは○になっていくのであれば、当然「推奨」になろうかと考えております。

○澁谷座長 池原委員、いかがでしょうか。やはりこの「推奨」という言葉が重いということなのでしょうか。断り書きを書いても「推奨」という言葉が非常に重いので、ほかの言葉ならよいということなのでしょうか。

○池原委員 そうですね。言葉の問題もあります。要するに、きっちりカテゴライズされてしまう、そういう見え方になってしまうということであれば別なものだと。同じ「任意」という大きな箱の中にあっても「推奨」と「その他」は明快に違うものだということで、各事業者の具体的な行動も当然変わってこざるを得ないと思います。そういったことが実態としては起こるということです。
またちょっと話をもとに戻すところがございますけれども、これは本来、やはり実行可能なものをきっちりと、本当に中小であっても義務化していこうねというところ。そういう大きな考え方の中で、実行可能性のところがちょっと弱いので義務化にし切れないから、ちょっと違うカテゴリーを特別にそのために設けるというのが、特にこの飽和脂肪酸においてはそういう位置づけに現実的になっていると思うのです。それは要するにどういうことなのかなと。本来ならば、やるべきは実行可能性を高める。具体的に言えば、67%を100%に上げる。ここの活動に全力を尽くすべきであって。
先ほど栗山委員とか迫座長代理もおっしゃられましたけれども、そういった義務化をすることによって、大手がやって、データがたくさん集まってきて、そういう期間を設けてから中小もやっていくということではなくて、しっかりとこの67%を意思を込めてふやしていく。言ってしまえば、もっともっと本当に中小でもやっていけるような環境整備をまずは真剣にやっていく。そういう活動こそが今までの議論した結果ではないかと思っています。そういうことをやった上で、きっちり早いタイミングでこの義務の箱のほうに引き上げる。そういう活動をするのがここの本来ではないかと思います。

○澁谷座長 ありがとうございました。
それでは、それぞれ御意見が出たかと思いますけれども、10ページをちょっとごらんいただいて、義務化というのは先ほど皆さん御了解をいただいていたかと思いますが「任意」を設定し、その中で特に今後義務化に向けて目指していくのだという意思を示すというか、そういうものとしての「推奨」と、「その他」という形であらわしてはどうかというこの案について、御賛成をいただけますでしょうか。
済みません。オブザーバーは取りまとめには参加ができないので、ごめんなさい。

○立石委員 その前に意見。「その他」と「推奨」のところは、今は飽和脂肪酸、食物繊維だけれども。

○澁谷座長 これは現在のこの(案)についての話です。

○立石委員 (案)だけですね。だから、要は「任意」は上げる上げないの話はまた別ですよということでいいですね。

○澁谷座長 そうです。

○立石委員 わかりました。

○澁谷座長 ですから、皆さん10ページの【新基準(案)】というところを見ていただいて、この事務局のお示ししていただいた案で御賛成いただけますでしょうか。
では、お一人反対ということですが、ありがとうございます。
それでは、一応これで御了解をいただいたということで進めさせていただきたいと思います。
ただ、今、やはりいろいろなお立場で御意見が出ておりますので、またそれはテークノートしておいていただけたらと思います。
どうぞ。

○迫座長代理 一点、この決議の中身に附帯的につけたらどうかと思われるところでございますけれども、義務化に向けた環境整備というところでは、飽和脂肪酸の問題、それから糖類、トランス脂肪酸等々も含めてなのですけれども、義務化に向けた環境整備の施策はきちっと積み重ねていくというふうなところを附帯にしていただいて、義務化に向けた環境整備というところは食品成分表だけを示すものではないと。食品成分表に搭載する、これは実は文部科学省のつくっているものでございまして、少しまた目標等も違うものがあります。そういう意味で、消費者庁でもともと公的データベースという形で前の提案の中にもあったかとも思いますけれども、そういうものも含めて環境整備を少しずつ進めていくというふうなところを。そういうことで「推奨」から義務化へ、それから「その他」から「推奨」へ、そしてその後義務化へというふうな、そういう道筋を考えていくのだということを明記していただければ大変ありがたいと思っております。

○澁谷座長 そのようにテークノートしておいていただければと思います。
それでは、もう一点のナトリウムの表示方法について15ページをごらんください。これについて少し御意見をいただきたいと思います。
板倉委員、いかがですか。

○板倉委員 実は、日本公衆衛生雑誌の第60巻に、京都文教短期大学の田中惠子教授等がおまとめになられました報文がございまして、そのアンケート調査を見ますと、40代、50代の女性の塩分表示に対する知識・態度等なのですけれども、ナトリウム量と食塩相当量との関係について、ナトリウム量と食塩相当量との関係が同じだと思われている方が半数以上、50.8%あるというようなデータもございます。
ですから、例えばナトリウム表示で2グラムというふうにされていても、消費者の方がそのまま食塩ととられてしまうと非常に問題があるかと思いますので、そういうような間違いがないような形で書かれるということは非常によいことではないかと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございます。
池原委員、いかがでしょうか。

○池原委員 やはり義務化する以上は、表示は正確で誤解のないものでなければならないと思います。ということで、基本的には「ナトリウム」での表示を基本とするべきだと思っています。要は、食塩ではなくナトリウムこそがこの高血圧の予防などの健康の維持増進に影響を与える栄養成分だからです。
あと、食塩相当量だけの表示にすると、例えばミネラルウォーターや飲料など、実際は食塩は入っていないのに食塩が入っていると消費者に誤認されて消費者の混乱を招く。そういった心配もございます。
ただ、今のお話、あと消費者庁の御提案にあるように、消費者にナトリウムというのがなかなか理解してもらえないという、そういった事情があるのであれば、例えばといいますか「ナトリウム」または「食塩相当量」のいずれかを表示をすると、そういったルールにするのがよいのではないかと考えています。

○澁谷座長 併記でなくて、いずれかという意味ですか。

○池原委員 いずれかです。今、併記ありましたけれども、表示のスペースの問題であったり、食品ごとの特性の違いがありますので「ナトリウム」と「食塩相当量」を併記するという、この併記を義務づけするということは好ましくないと考えています。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
そうしましたら、河野委員、いかがでしょうか。

○河野委員 今回御提案がありました「食塩相当量」というのが、いわゆる消費者の現状からいったら非常にわかりやすい表示なのかなと思っております。ですから、こういう形で表示していただくことに関しては賛成させていただきます。やはり消費者の実質的な選択といいますと「ナトリウム」というのは正式な物質名であるかもしれませんけれども、日常生活にはなじまないと思っておりますので「食塩相当量」でお願いしたい。
ただ、今、池原委員がおっしゃったように、商品特性というのがあるかと思います。例えば「ナトリウム」いう形で表記したほうがいいものというのは、私たちにとってメリットがあるものというのは例えばどんなものがあるのでしょうか。それによってその表記の仕方。原則「食塩相当量」で、特性によって「ナトリウム」のほうが消費者にとってメリットがあるというものであれば、それも表記可能という形も選べるのかなと思いました。

○澁谷座長 池原委員、ちょっと助言いただけますか。

○池原委員 例えばミネラルウォーターのように、いろいろなミネラル分が並列して並ぶ場合にはやはり同じように「ナトリウム」という形が好ましいと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
どうぞ。

○宮地委員 私も「食塩相当量」については、例えば欄外に書くというような形も考えられるのかな思います。ですから、今、池原委員のおっしゃったいずれかの記載というのが多分わかりやすいのだろうと思います。

○澁谷座長 ありがとうございます。
迫委員、どうぞ。

○迫座長代理 「食塩相当量」につきましては、かねてから私どもも念願としていた部分でございます。つまり、「ナトリウム」として表記されている従前の栄養表示基準の中では、それを手にとった消費者が、1,000分の2.54というこの計算を電卓なしでできる状態になるかどうかというところでございます。商品選択をするときに、いちいち電卓をたたいて食塩量など見るはずはない。それと同時に、前からもお話ししましたけれども、高血圧の患者さんが推定で4千万、糖尿病の患者さんは2千万。そういう数字を考えますと、国民に対して食塩の摂取というところを、より現実的に自分がどれだけ摂取しているのかということを認識していただくのは非常に重要な作業だろうと思っているわけであります。
そういう2点を考えますと「ナトリウム」は基準で、義務的に表示しなければならないとすることは余り望ましいことではない。選択の余地がなくなってしまう。先ほども誤認するような例示も板倉委員のほうからおっしゃってらっしゃいました。そういうことを考えると「食塩相当量」という、それで「食塩」という言葉にしてしまいますと、まさに食塩を添加していないものについては不適正な表示ということになりますので、ナトリウムから食塩相当量に換算した換算数値ということであるということで「食塩相当量」という表示を使うのが一番望ましいのではないかと思います。
「ナトリウム」と「食塩相当量」を選択できる形にするという場合「ナトリウム」を選択するべきものというのはあえて言えばミネラルウォーターぐらいであって、例えば清涼飲料水であれば、逆にスポーツ飲料等々を考えるとやはり「ナトリウム」で出すよりは「食塩相当量」のほうが望ましいと思いますし、通常食べる食品については「食塩相当量」だろうと。そうすると「食塩相当量」を義務化の表示として「ナトリウム」については任意の中でつけ加えることは可能というレベルにしていっていいのではないかと思っております。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございます。
板倉委員、どうぞ。

○板倉委員 私も迫委員の御意見で賛成でございます。
先ほど御紹介した報文の中に、基準となる摂取量がわからないので参考にならないという方が4割いた、41.2%あったというようなことも書いておりまして、ですから、逆にただ書いておくだけでは、消費者の方は判断がつかないのではないかということはやはり考えていかなければいけない問題ではないかと思っております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
池原委員、今、任意で「ナトリウム」という意見が出ましたけれども、その辺についてはどうお考えでしょう。

○池原委員 先ほどミネラルウォーターのお話をしましたけれども、あとは幾つかの食品の中で、やはり実際に食塩を使っていないのにもかかわらず「食塩相当量」という表示があることによって、食塩が使われていると誤認される食品というのは幾つか現実的にございます。やはりそういったところの商品については「ナトリウム」で記述するのが本来正しい姿ではないかなと思います。

○澁谷座長 それは、例えば任意ということになればそちらのほうで表示をしてほしいということでしょうか。つまり、ここだと全てを変えるということなのですが、それがいずれか選択できるというのがいいということですね。

○池原委員 そうです。要するに「食塩相当量」という表記をやはり避けたいといった食品があるということで、その食品については「ナトリウム」だけの表示を認めていただきたいと思います。

○澁谷座長 そういう御意見です。
はい、どうぞ。

○河野委員 今の御意見は理解はできるのですけれども、任意で事業者の方が選択してしまうことになると、やはり、例えば従前どおり「ナトリウム」を選択する可能性もあるわけです。ですから、基本的に消費者から見るとやはり「食塩相当量」をベースにしていただいて、商品特性によって「ナトリウム」を選べるという関係にしていただくほうがわかりやすいかなと思っています。

○澁谷座長 いずれかということですかね。

○河野委員 ベースを「食塩相当量」にしていただいて。

○澁谷座長 ベースをですか。少しずつ皆さんニュアンスが違うような気がいたしますけれどもね。
そのほか何か御意見は。事務局のほうはいかがでしょうか。
今の全てを変えるという意見と、それから今、出ているのはいずれか。「ナトリウム」で表示をしたほうがいい食品もあるのではないかということで、いずれか選べるようにする。もう一つは、ベースはこの「食塩相当量」ということに変えるのだけれども、任意で「ナトリウム」にもできるようにするというような御意見だったかと思います。

○塩澤食品表示調査官 我々としては「食塩相当量」が適当と考えております。それと申しますのも、消費者のわかりやすさという点もあるのですが、食塩を添加しているかしていないかにかかわらず、身体に生理作用を及ぼすのは、その食品に含まれるナトリウムでございますので、食塩を添加しているとか添加していないとか、あるいはその他の属性で分けるというやり方よりは、一般の消費者であれば普通に足し算ができるような一つの軸で表示されるのが適当と考えます。では、その軸は何にすべきかとなったときに、やはり栄養施策とかもろもろのことを考えますと「食塩相当量」が妥当と思っておりますので、我々としてはあくまでも義務の項目とするのは「食塩相当量」にしたいと考えております。
ただ、先ほど池原委員も御指摘ありましたけれども、食品の特性とかいろいろあると思いますので、任意に「ナトリウム」を併記していただくのは何ら差し支えない。また「食塩を添加していません」みたいなことを追記していただくのも何ら差し支えないと思っております。
あくまでも、ベースとして表示するのは「食塩相当量」が適当ではないかと考えている次第です。

○澁谷座長 ありがとうございます。
では、まず板倉委員からどうぞ。

○板倉委員 私も事務局の意見に賛成です。
実際に表記される絵を思い浮かべますと、例えば「ナトリウム」が食塩相当量としてはグラムで表示されると思うのです。それで事業者さんの今の表示を見てみますと、例えば、強調表示の場合に脂肪の量を無脂肪とかゼロとか書いた場合は、0.1という部分については省略されております。ですから、もし今後もそういう形で表記がされるとすれば、問題にならないような「食塩相当量」であればそういう表示の工夫をされるので、消費者の方は混乱しにくいのではないか。
その表示が妥当かどうかは私は疑問に思っておりますし、0.1グラムぐらいまでは少なくとも書いていただきたいと思っておりますが。
「ナトリウム」と「食塩相当量」とか両方混在していますと、ただでさえわかりにくいことが誤解を招くような方向にもなると思いますので、表示はシンプルにお願いできればと思っております。

○澁谷座長 では、どうぞ。

○池原委員 国際基準との整合の視点でちょっと意見を述べさせていただきたいと思うのですが、先ほど消費者庁のほうからもコーデックスの栄養表示ガイドラインの脚注の話がございましたが、これはコーデックスを含め世界の今の義務の内容を見ますと、最後のページ、16ページにあるとおりで、基本的には「ナトリウム」が主体になっています。
コーデックスの話をちょっと補足というかお話ししますと、これは2年ぐらい前に決着をしたみたいなのですが、数年にわたってまさに同じような議論がかなりされまして、テーマは要するに「ナトリウム」で表記するか「食塩」で表記するか、あとこれは日本からの提案だと理解しているのですけれども、ナトリウムを食塩に換算した値で表記するのかというのを、さんざん議論を重ねた結果、やはり結論は「ナトリウム」でいくということで、コーデックスのガイドラインには「ナトリウム」と明記されております。それで、先ほど資料にありましたとおり脚注に、各国においてこういった決定をすることも可能ですよというぐらいの扱いにするというのが世界の考え方に、結論になっております。
ついでに言いますと、全く同じような議論がコーデックスの中でもされまして、要するに消費者のわかりやすさをとるのか、表示としての正確さをとるのかというところで、やはり表示としての正確さ、「ナトリウム」を表示すべきであるというのが国際的な決定だと理解しております。
そういった意味も含めて、最初に申しましたけれども、基本はやはり「ナトリウム」だと思います。ただ、そういった事情があるので、または「食塩相当量」にすることも、要は選択をできるというのは非常に世界的に見ても合理的ではないのかなと考えております。

○澁谷座長 ありがとうございました。
はい、どうぞ。

○迫座長代理 今の件でございますけれども「ナトリウム」が科学的には確かに正しいだろうと。そして世界的な潮流としてはそうであろうと。そこはまさにそのとおりだと思っています。
その一方で、日本人の食生活の中で、問題なのは食塩摂取量。言い方をかえれば、食塩相当量の摂取量が多いということが大きな問題になっていて、それがためのたくさん疾病が発生してきている。ですから、政策的に、栄養政策としては食塩相当量で全てのものを今、指導をしておりますし、直接的な患者さんに対しても、それから一般国民に対しての普及啓発活動、こういうふうなものについても「食塩相当量」で行っているという国内事情がございます。
そういうふうな状況の中で、あえて「ナトリウム」を選択しなければいけないのか。つまり、単位でもグラムとミリグラムが両方併記されるような形にもなってしまいます。そして、そこでは先ほど申し上げましたように、手にとったときに計算しなければ食塩相当量がわからない状態。これは、日本人に対する表示としては望ましいものではない。高血圧学会等、日本栄養士会もそうですけれども、各種学会から要望という形でございますが「食塩相当量」にしてほしいという要望も既に出ているところでございます。
そういう意味で「食塩相当量」を基準とし「ナトリウム」についてどうしても表記が必要であれば、それは任意でしていただくのが望ましいということを再度言わせていただきます。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
御意見がいろいろ出ましたけれども、皆さん15ページをちょっとごらんいただいて、15ページの下のところの〈新基準(案)のポイント〉で「ナトリウムの表示は、消費者になじみが深い『食塩相当量』に代える」と、このことについて一応御賛成いただけますでしょうか。
よろしいでしょうか。
任意のことはまた別のこととして、これを一応ここの結論としたいと思います。ありがとうございました。
これで、事務局から説明をしていただいたことにつきましては3点御議論いただき、方向性を決めていただくことができました。
そのほか、何かございますでしょうか。
どうぞ。

○鬼武委員 先ほど聞き忘れたのですけれども、推奨に挙げた飽和脂肪酸と食物繊維がありますね。飽和脂肪酸は加工食品にいろいろ多岐多様に含まれているのでわかるのですけれども、海外でも食物繊維が表示の義務化となっていないのは、これは推測ですが、加工食品からそんなに食物繊維を、やはり果物や野菜といった生鮮食品からのほうが期待をされていて、摂取としてはそちらであるのだったら、加工食品には、あえて加えているものは微量のものを敢えて食物繊維と表示しても意味があるのか見当が必要ではないでしょうか。
私の意見が間違っていたらごめんなさい。訂正してもらえばいいのだけれども、要するに加工食品に書く意義が食物繊維はまずあるのかなという気はちょっと気になります。韓国が世界一食物繊維を摂っているのは、やはり漬物とかそういうものを日常、朝から晩まで食べているから摂取食物繊維の量が多いのであって、それは余り表示とは関係ないのでしょう。それで日本が、生鮮のほうは今後議論になるかもしれませんけれども、現状だと私の理解では加工食品、パッケージに入ったものへの栄養表示が義務化されると認識していますから、加工食品として食物繊維を摂取する量が少ないものなのに表示されるのはどうかと思います。その辺を少し整理・検討していただければと思います。

○澁谷座長 情報提供をありがとうございました。
そういう御意見があったということでテークノートしておいてください。
それでは、議事は以上ですが、最後に次の日程等について何か事務局から説明をいただけることがございますでしょうか。

○大貫参事官 本調査会の次回の日程につきましては、改めて連絡させていただきます。
また、12月25日の9時から加工食品の表示に関する調査会の開催を予定しております。
あと、委員またはオブザーバーから資料を配付いただく場合、あらかじめ事務局のほうにメールでいただいておればスムーズにまいりますので、できるだけそのようにお願いいたします。
以上です。

○澁谷座長 ありがとうございました。
それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。皆様にはお忙しいところありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)