第17回 消費者契約法専門調査会

日時

平成27年8月7日(金)13:00~16:30

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
山本敬三座長、後藤巻則座長代理、阿部委員、井田委員、大澤委員、沖野委員、古閑委員、後藤準委員、丸山委員、山本健司委員
【オブザーバー】
消費者委員会委員 河上委員長、石戸谷委員長代理、橋本委員
法務省 中辻参事官
国民生活センター 松本理事長
【消費者庁】
井内審議官、加納消費者制度課長、消費者制度課担当者
【事務局】
黒木事務局長、小野審議官、丸山参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 中間とりまとめに向けた検討(2)
  3. 閉会

配布資料(資料は全てPDF形式となります。)

議事録

≪1.開会≫

○丸山参事官 それでは、時間となりましたので、始めさせていただきたいと思います。

本日は皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第17回「消費者契約法専門調査会」を開催いたします。

若干おくれていらっしゃる方もいるようですけれども、本日は所用により、河野委員、増田委員、柳川委員、山本和彦委員が御欠席との御連絡をいただいております。

次に、配付資料の御確認をさせていただきます。

議事次第の下部に配付資料一覧をお示ししております。

資料1-1が前回の御議論を踏まえ、修正いたしました中間取りまとめ(案)となっております。

また、資料1-2といたしまして、前回からの修正点をお示しした見え消し版をお配りさせていただいております。

さらに、資料2から資料4といたしまして、本日御欠席の増田委員、河野委員、柳川委員からの提出資料をそれぞれお配りしております。

もしお手元の資料で不足がございましたら、事務局のほうへお声がけをお願いいたします。

それでは、山本座長、議事進行のほうをお願いいたします。


≪2.中間取りまとめに向けた検討(2)≫

(1)「はじめに」・「第1 見直しの検討を行う際の視点」・「おわりに」について

○山本(敬)座長 本日もよろしくお願いいたします。

それでは、本日の議事に入りたいと思います。本日は、まず前回の御議論を踏まえて修正した中間取りまとめ(案)について事務局から説明を行い、前回からの修正箇所を中心に委員の皆様の御意見を伺った上で、必要に応じてですが、一度休憩を挟んで、その後に本専門調査会の中間取りまとめを行いたいと思います。

それでは、事務局から中間取りまとめ(案)の修正点についての説明をお願いいたします。

○事務局 では、事務局のほうから御説明させていただきます。御説明につきましては、便宜上、資料1-2の見え消し版のほうを使って御説明させていただきたいと思います。修正点については、見え消しでお示ししておりますので、内容に伴うところを中心にし、形式的な字句修正については、細かな説明はせずに、内容のみについて御説明させていただきたいと思います。

まず、2ページでございますけれども、「見直しの検討を行う際の視点」の2段落目で、インターネットの普及、消費者が関わる取引が多様化・複雑化するというところに、一方で、「消費者による情報の収集等は容易になっている側面もある」という御意見。また、高齢化との関係で、「高齢者の利便に資するような生活支援サービスが提供」されている状況があるという側面、こういったところについて御意見をいただきましたので追記してございます。

それから、3段落目でございますけれども、こちらも前回御意見いただいたところで、事業者の経済活動について留意するという点について、法1条によりながら記載を追記してございます。

それから、3段落目の一番下のところですけれども、裁判外における事業者と消費者との関係についても前回、御意見いただきましたので、追記してございます。

それから、下の注釈1で、本専門調査会に先立って、当委員会で行いました「消費者契約法に関する調査作業チーム」の報告についての記載を追記してございます。

それから、3ページの上の真ん中あたりですけれども、「個別の業法における民事ルール」という形で、業法について、行政規定と民事ルールとの区別についての御指摘がありましたので、この点を明記してございます。

それから、「なお」以下の最後の段落ですけれども、ここは行政、消費者、事業者の連携というところを、消費者基本計画等も参考しながら追記させていただいております。

それから、4ページの一番下、「第7回の議論」以降のところですけれども、ここは消費者概念の在り方について、マル1~マル5の区分にして検討を行ったことについて、そのマル1~マル5がまとめて記載されているところがわかりにくいのではないかという御意見をいただいたところでございまして、表現を修正してございます。

それから、5ページのウの少し前のところで、「事業者間取引を規律する法律」というところを「事業者間取引に適用される法律」に修正しているところでございますが、ここは事業者間取引に対する法律というところで、事業者間取引法というものがあるような印象を受けると御意見をいただいたことを反映して修正してございます。

それから、ウの真ん中で、「形式的に適用すると」、これは前回御意見いただいたところを反映してございます。

それから、「『消費者』概念を拡張する」という前に、これは立法的措置も含まれるということで、「法を改正して」ということをつけ加えて、それが考えられるとしました。また、この点についての「明確な基準が設定できるかどうか」ということも検討対象であるということも御指摘いただきましたので、追記してございます。

それから、8ページでございます。ここは「消費者の努力義務」に関する記載でございますけれども、ウに記載しておりました部分について、消費者が情報を収集することの容易性については、さまざまな意見が出ているところであるということで、ウではなく、イに記載する形で修正してございます。

それから、9ページに参りまして「『勧誘』要件の在り方」のところでございますけれども、まずアの真ん中の「しかしながら」の段落ですけれども、ここで「あるいは契約締結の方法も」というところを「あるいは契約締結の方法が多様化したことなどにより」ということで、その前の社会状況の変化と、後ろの部分のつながりがわかりやすくということで、前回の御意見を踏まえて修正したものです。

それから、「広告等の記載や説明をもって、取消しの規定の適用を認めたと考えられる裁判例」、この点について、注釈で例を示してございます。

それから、イですけれども、冒頭部分は意見の追記ということで、前回指摘いただいたところを追記してございます。

それから、10ページの真ん中、「また、取消しの規律を適用する対象」で始まる段落ですけれども、ここに「不特定の者に向けた広告等一般に拡大するのではなく、その範囲を具体的に画する観点から」と記載しておりまして、この点は、この提案自体がもともと広告等一般に拡大するという趣旨ではなく、その範囲を画するという趣旨であることを明記してございます。

それから、その下の「なお」以下の段落ですけれども、ここは前回指摘いただいた意見を記載してございまして、主体の問題と責任の問題の関係について記載してございます。

それから、ウの1行目は前回指摘いただいたところで、「当該事業者と消費者との間でのある特定の取引」ということで、表現を修正しております。

それから、その真ん中で「客観的に判断される場合」と記載しておりますのは、「特定の取引を誘引する目的をもってする行為」というところが、主観的な判断で決まるものではないということを明確化しているところでございます。

そして、下のところで「意思表示の取消しの規律を適用することが考えられるが、適用対象となる行為の範囲については、事業者に与える影響も踏まえ」という形で文章の表現を修正しておりますが、ここの点も先ほどの適用範囲を画するというところが検討対象になっているということを、明確になるような形で表現しようとしたものでございます。

一番下の注釈12にも、先ほどと同じような趣旨で、この取消しの規律を対象とするというところで、先ほどの「特定の取引を誘引する目的をもってした行為」という言葉が広告等一般を指すものではなくて、その範囲をどのように画すかという視点で記載されているものであるということを明記してございます。

それから、11ページ、「断定的判断の提供」でございますが、イのところで、これは前回もございました「将来における変動」という要件についても、問題になっている。その点についての意見を追記してございます。

それから、12ページのウにも、今、申し上げました「将来における変動」について、問題点として記載し、またここは前回、意見が出ていたところで、検討することが考えられる場合についてですが、その際に立法的な措置も対象として考えられるということを書いてございます。

ただ、その下には逐条解説による対応と書いておりますが、この点でどのように記載するかというところで「適切に」ということを追加してございます。

それから、12ページのイですけれども、ここは前回も少し御議論いただいたところで、不実告知型の事案と不告知型を分ける基準についてでございますけれども、この点について、不実告知型については、「当該消費者にとって特定の利益となる旨を告げ、かつ、当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を告げなかった場合である」という考え方で基準が示されているということで、意見があったということを書いてございます。

それから、13ページのイですけれども、ここは取引の安定性に関する意見があったところで、追記しております。

それから、ウですけれども、ここは不実告知型について、不実告知型と不実告知との関係性について追記しております。

それから、15ページのウは、不利益事実の不告知型についてですが、先行行為を削除するということと、不告知が許されない事実の範囲を画するというということの関係性を明らかにするために、「不告知が許されない事実の範囲を適切に画した上で、先行行為要件を削除することが考えられる」という形で記載を修正してございます。

それから、17ページ、一番上のところについては、これもこれまで議論の出ていた意見の追記ということで、指摘のあった御意見を追記してございます。

それから、ウですが、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」について、内心において必要となった事項ということについての疑問点が示されたところでございまして、少し御議論いただいたところでございます。そこで、ここについては、この場合に事業者が消費者に対して不実告知等を行う場合についての問題であるということを記載した上で、注記24で、このような考え方からすると、「消費者が内心において契約の締結が必要と思った事項」というのが直ちに「重要事項」に該当するのではないこと、この点を明らかにしてございます。

それから、ページを少しめくっていただきまして20ページでございます。「合理的な判断を行うことができない事情を利用して契約を締結させる類型」を記載してございますけれども、ここのアで、前回いただいた意見で、問題背景のところで「事業者には、その知識、経験、財産条件等に適合した形での勧誘を行うことが求められる」。高齢者被害の場合における適合性原則というものを記載してございます。

それから、「第三者による不当勧誘」について23ページから24ページにかけて、それから24ページの真ん中の「なお」以下は、前回、議論の場で出ていた意見を追記してございます。

それから、24ページのウで、逐条解説については適切に、これは先ほどと同趣旨で記載してございます。

それから、26ページ、「法定追認の特則」に関するところですが、ここについては、困惑類型に限って法定追認の規定の特則を設けることも考えられると、出ておりました意見として追記してございます。

それから、28ページ、「不当勧誘行為に基づく意思表示の取消しの効果」についても、この取消しの効果について、取消事由との関係についての御意見があったところを追記してございます。

それから、31ページのウですけれども、ここは表現ぶりとして要素を考慮した上で無効とする規律というところで、身体に生じた損害と生命に生じた損害を区分けしているところを、ここについては人身損害として、いずれも含む場合として記載しております。

それから、33ページは、消費者契約法現行法9条の解除に伴う要件の在り方で、ここも前回の会議で少し御議論いただいたところですけれども、一定の場合には規律の対象となるような規定を見直すということで、この一定の場合について御意見をいただいたところでございます。これについて、これまでの議論を確認し、ここで念頭に置いている「一定の」というのは、実質的に契約が終了する場合であるということを明示する形に修正してございます。

それから、33ページの(2)「平均的な損害の額」の立証責任については、前回、訴訟法の観点から適切な表現かどうかという御指摘をいただきまして、そこを再検討した上で、立証の対象として平均的な損害の額だけではなくて、超える部分ということが問題になるわけでして、そこを数カ所追記してございまして、整理した上で、35ページのウの記載も修正してございます。ここの整理としては、内容を変えているわけではありませんで、訴訟法の立証という観点から、適切な表現を維持しながら、なるべくわかりやすい形で記載したということでございます。

それから、37ページの「不当条項の類型の追加」ですけれども、ここは冒頭部分で、なぜ今回、37ページ以降に記載している条項を取り上げたのかというところで、裁判例や差止請求事例あるいは相談事例、そして実際に用いられている契約条項ということで、実例を踏まえて検討対象が選ばれているというところを書いております。

それから、37ページの下の(ア)から、何カ所か、解約権という文言を追記してございます。これは、法ではもともと解除権・解約権というものがセットで議論されておりまして、特段、この2つを区別するという趣旨で書いているものではございませんので、書いているところと書いていないところがあることで誤解を招かないように、いずれも追記しているところでございます。

それから、39ページのウ、マル1では、解除権・解約権を放棄させる条項についてですけれども、ここについては実務への影響を勘案する必要があるということで、実務への影響を勘案しつつと書いた上で、引き続き検討する必要があると書いてございます。不当条項については、こういった実務への影響などを勘案しつつという表現を追記しております。

マル2の真ん中以下ですが、「第15回で提示された」というのを削除して、その後に「当該条項が法第10条後段の要件に当たる場合に無効とするという考え方、及び当該条項を原則として無効としつつ、当該条項を定める合理的な理由があり、それに照らして内容が相当である場合には例外的に有効とする」ということで、第15回で示された考え方ですが、中身を具体的に書いています。

40ページのウ、それから41ページのウも同様の趣旨で修正してございます。

それから、41ページのイ、解釈権限の付与条項と決定権限の付与条項に関してですけれども、この両者の区別を明確にする必要があるという意見があったという点で、それ以外についての特段の異論がなかったということで、その点を明らかになるように表現を修正してございます。

それから、42ページのウのマル2では、「一定の場合には当該条項を無効とする規定を設けることも含め、引き続き検討すべきである」ということで、ここは前回に意見をいただいて、この場合にどういうことを考えるかということは、ほかのところで議論したことと同じでして、第15回に示された内容と考え方ということで、その点を追記しております。

それから、44ページのイ、これも出されていた意見ということですから、「裁判外で当事者が合理的解釈をすることによって解決している場合が多い」ということで、条項使用者不利の原則について、その定めの必要について議論する必要があるといった御意見があったことを追記しています。

それから、49ページの「おわりに」で、ここも前回、意見をいただきまして、私のほうからも発言させていただいたところでございますけれども、ヒアリングを行う上で、中間取りまとめに対する意見を幅広く聴取すること。その上で、事業者の適切な経済活動を阻害しないか等の観点を踏まえて検討するということを明記する形で修正してございます。

中身にかかわるものとしては、以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ただいまの説明の内容を受けまして、前回からの修正箇所を中心に御意見等をお伺いしたいと思います。ただ、全体が大部にわたっておりますので、大項目ごとに御意見をお伺いするという形にさせていただければと思います。

最初に、まず「はじめに」の部分と「第1 見直しの検討を行う際の視点」、必要に応じて「おわりに」も含めて御意見等をお伺いできればと思います。御意見、御質問のある方は御発言をお願いいたします。

山本健司委員。

○山本(健)委員 中間取りまとめ(案)の修正稿をおまとめいただきまして、ありがとうございました。今の部分について、若干意見を述べさせていただきたいと思います。

最初に、「第1 見直しの検討を行う際の視点」という部分でございます。この部分で重要なのは、消費者保護の必要性という観点と、正当な事業活動に悪影響をもたらさないという観点の、双方への配慮が必要であるということかと思います。しかしながら、後者の観点に立った多くの加筆の結果、いささかバランスを欠く記載となっている部分があるように思われます。そこで、この部分について、2カ所、御修正をお願いしたいと思います。

1点目は、2ページの「まずは」から始まる第2段落の第1文でございます。原案では、「まずは、平成13年の法施行後、インターネットの普及を通じ、消費者が関わる取引が多様化・複雑化するとともに、消費者による情報の収集等が容易になっている側面もある。」となっておりますけれども、この部分について、「インターネットの普及を通じ、消費者が関わる取引が多様化・複雑化しており、これに対する消費者保護を検討する必要がある。その一方で、インターネットの普及によって、消費者による情報の収集等が容易になっているという側面もある」と修正をお願いしたいと思います。

2点目は、「また」から始まる第3段落の最後の1文、8行目から9行目でございます。原案では、「問題となる事例の解決を図るだけでなく、通常の取引に与える影響についても留意する必要がある」となっておりますけれども、この部分について、「問題となる事例の解決による消費者被害の救済を図るとともに、通常の取引に与える影響についても留意する必要がある」と修正をお願いしたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに。では、阿部委員。

○阿部委員 反対しません。

○山本(敬)座長 ありがとうございます。

では、大澤委員。

○大澤委員 いろいろ修正があったと思います。大変だったと思いますが、どうもありがとうございました。

今の山本健司委員の意見に全面的に賛成します。と言いますのは、この修正版を拝見したときに、正直申しまして、非常にバランスを欠いているという印象を持ちました。と言いますのは、事業者、とりわけ正当な事業者の経済活動を阻害しないかという観点からの検証とか、あるいはその観点から法規定をつくるというのは、ある程度自明のことでして、それとともに消費者保護のためというか、現に生じている消費者被害に、今の消費者契約法で対応できていないところを、規定を見直すことによって対処していくということが、本来、この専門調査会の目的であったのではないかと私自身は理解しております。

しかし、この報告書を見たときに特に私が気になりましたのは、「おわりに」の部分の2段落目の以降の赤字が入っているところですけれども、「中間取りまとめに対する意見を幅広く聴取した上で」とあった上で、そこまではヒアリングを行うということが書いてありますので、それはそうだと思うのです。

特に気になったのは後ろの点です。「事業者の適切な経済活動を阻害しないかという観点等からの検証」をする。もちろん、この検証は必要だと思いますし、その意味でこの記載を消す必要は全くないと思っています。むしろ残すべきだと思いますが、そうであるならば、それと同じように、この専門調査会が目的としていたであろう消費者保護のためだとか、あるいは現に生じている消費者被害への対応ができるかどうかといった点も書き加えないと、記載としてフェアではないのではないかと考えています。

私自身は研究者という立場に立っておりますので、消費者側、事業者側、どちらでもない立場におりますが、そのような者から見て、この報告書の全体的なニュアンスを見たときに、事業者の活動を阻害しないかという点の記載の多くの箇所、ここ以外にも見つけましたら、また指摘いたしますが、ちょっと多いように感じましたので、この専門調査会の目的である消費者保護をより一層高めるという側面。もう一方で、事業者の活動を邪魔しないという両面をぜひ意識していただきたいと思います。そうでないと、この専門調査会の中間取りまとめとして、このまま出してしまうと、この専門調査会は一体何のためにやってきたのかということを多くの方から疑われることにならないかという、ちょっと大げさかもしれませんが、そういう心配も持ちました。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

沖野委員。

○沖野委員 ありがとうございます。

「おわりに」について、今、大澤委員がおっしゃったとおり、私も気になったところです。今後、事業者の適切な経済活動を阻害しないかという観点「等」からとされていますから、それだけではないことが含意されているのですけれども、具体的に打ち出されているものがこれだけですと、やや偏頗な感じがいたします。むしろ、法の実効性の確保や、その趣旨を貫徹するという観点が重要であるということを繰り返したほうがよろしいのではないかと考えました。

それから、戻りまして2ページについて2点ございます。なお、山本健司委員の御指摘はそのとおりだと思っております。

ただ、「まずは」という2つ目の段落なのですけれども、インターネットの普及を通じて、特に情報の収集等について消費者に容易になっている面があるというのはそのとおりです。しかもこれは一側面ということですので、それだけではないということもあります。従前から情報の氾濫が、かえって消費者の適切な情報収集を困難にし、また判断を困難にしているという面がありますので、インターネットの普及によって情報にアクセスしやすくなっているという、この点だけを出すというのはやや一面的であると思われます。

そうだといたしますと、インターネットの普及を通じて、消費者による情報の収集等が容易となっている側面がある一方で、他方では、情報が氾濫する中、適切な情報収集や判断がかえって困難になっている面もあるということを加えてはどうかと考えます。なお、増田委員からもそのような御指摘が出ていることを確認しております。

2つ目ですけれども、次の「また」の段落で、今回加えていただいた3文目、裁判で争われる場合のみならず、必要がある。この加え方ですけれども、この部分を読みますと、加えられた3文目は裁判外における点に留意する必要があるということ、それから法の影響が及ぶという点を踏まえ、通常の取引に与える影響についても留意する必要があるということなのですが、これが第1文、第2文とどういう関係に立っているのかというのが、私にはよくわかりませんでした。

と申しますのは、裁判で争われる場合のみならず、裁判外におけるという点は、例えば最初の1文でも、消費生活相談事例の傾向等を踏まえ、消費生活相談の現場においても法が十分にという話が書かれており、これは、裁判だけではなくて、裁判外での紛争解決の問題だと考えられます。他方、3文目に、法の影響が裁判外にも及んでいくというのは、1文目で既に盛り込まれているわけですけれども、問題となる事例の解決を図るだけでなく、通常の取引に与える影響ということで、紛争解決というだけではなくて、それが通常の取引に与えていく影響も考える必要があるというのは、2文目の事業者の予測可能性も担保し、経済活動が円滑に進むように、ここに組み込まれるということではないかと思いまして、1文目、2文目と3文目がどういう関係に立っているのかというのがよくわかりません。

それでこのような理解が正しいのだとすると、むしろこの部分は、裁判外のことも考えているということですから、例えば2文目の「同時に」というところを修正して、「包括的な民事ルールである法については、広範な業種・業態に関わるものであることを踏まえ、さらに事業者と消費者の関係に対して法の影響が及ぶことを踏まえて、通常の取引に与える影響に留意しつつ」という部分に入れ込んでくればいいのではないかと考えました。もし誤解があればただしていただければと思いますし、正確な文章を用意してまいりませんでしたので、それでよろしければ趣旨に即した修文をお願いします。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。

では、事務局のほうからお願いいたします。

○事務局 今、沖野委員に指摘いただいた点についてですけれども、3文目、「裁判で争われる場合のみならず、裁判外における」というのは、裁判かどうかというよりは、「通常の取引に与える影響」というところで委員から御意見いただいたことを配慮したものでございまして、予測可能性というところで読み切ることができない部分について追記しているところでございます。今の修文の形で、予測可能性の前に持ってくるというよりは、通常の取引への影響ということを整理して、別に書いたほうがいいのではないかという前回の意見を踏まえて記載したものであります。その点について、ほかの委員の意見もお聞きした上で、修文するかどうか御検討いただきたいと思います。

○山本(敬)座長 いかがでしょうか。あるいは、沖野委員からさらに御補足いただくことがあるでしょうか。

○沖野委員 最終的には、もちろんお任せいたしますし、他の委員のお考えが、今回提示していただいたもののほうがよいということであれば、もちろんそれは異論はございません。ただ、私自身は第3文の意味内容はややわかりにくいだろうという感触を持っております。

○山本(敬)座長 さらに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

まず、第1点目として、2ページの第1の「まずは」という部分について、幾つか修正の御提案があったところですけれども、これはどのようにいたしましょうか。事務局からもし補足いただけることがあればと思いますが、いかがでしょうか。

○事務局 確認を含め、御提案させていただきたいと思います。この「まずは」の段落で、山本健司委員が先ほど御発言した内容、私がお聞きしたのが正確でなければ御修正いただきたいと思います。「インターネットの普及を通じ」以降で、「多様化・複雑化しており、これに対する消費者保護を検討する必要がある。その一方で、インターネットの普及によって、消費者による情報の収集等が容易になっているという側面もある」、このような修正でしょうか。

○山本(健)委員 そのとおりです。

○事務局 これについて御異論がなければ、このような形で修正したいと思いますが。

○山本(敬)座長 大澤委員。

○大澤委員 強く反対するつもりはないのですが、「多様化・複雑化するとともに」というところが、「高齢化の進展により」の後ろで、例えばつけ込み型がふえているという、ちょっと具体的な事案が出ていると思うのですが、それと対比するとちょっと抽象的な感じがしました。これは、インターネットの普及によって生じている消費者問題というものとして、どういうものを念頭に置いているかにもよるのですが、インターネットの取引トラブルとか、あるいは例えば未成年者がトラブルに巻き込まれる可能性が高くなっているとか、どういうことを考えるのかわからないのですが、それと多様化・複雑化というのがどうつながっているのかがよくわからないというか、多様化・複雑化というものは何をイメージされているのかというのがちょっと気になりました。

○山本(敬)座長 これは、山本健司委員のほうから補足いただけるでしょうか。

○山本(健)委員 これは原案の記載です。

○山本(敬)座長 申しわけありません。では、事務局のほうから。

○事務局 済みません、沖野委員の指摘を踏まえた上での修正を提案させていただいたほうがよかったのかと思います。

今の多様化・複雑化のところで、インターネット取引との関係では、氾濫した情報からどうやって収集するかという視点があるという御指摘があり、この点については増田委員の意見書にもその趣旨が書かれていると御指摘いただきまして、増田委員の資料2の意見書を見ますと、「情報を選択する力が必要とされている」という側面についての記載がございました。それを踏まえますと、一案でございますけれども、今の「多様化・複雑化」の内容を、情報を選択するということを明らかにするという趣旨から、ちょっと考えてみたいと思いますけれども、「多様化・複雑化」をむしろ側面の後ろに持ってきて、このような形はいかがかと思います。

1行目からです。「インターネットの普及を通じ、消費者による情報の収集等が容易になっている側面もある」、ここまでは原文どおりでして、この後に「側面もあるが、消費者が関わる取引が多様化・複雑化し、消費者が正確な情報を選択した上で取引を行うことが求められている」。このような提案であれば、この多様化・複雑化と情報の選択という関係がわかるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。今の御提案の趣旨が不明確だということであれば、さらにお聞きいただければと思いますが。

では、丸山委員。

○丸山委員 今の提案のように情報の収集とか選択というのが求められるとなると、消費者が何とかしろというイメージにもなってしまいます。そういった情報が氾濫していることから、選択自体が困難となっているという状況の指摘が必要なのではないかと思いましたので、ニュアンスを少々お考えいただけたらと思いました。

○山本(敬)座長 大澤委員、よろしいですか。

○大澤委員 今の丸山委員の意見とおおむね同じことを考えていたのですが、もう一つは、インターネット取引によって生じている消費者トラブルというのは、情報が氾濫し過ぎていることによって、例えば消費者がその中から何が正しいものかというのを見分けるのが難しくなっているというだけではなくて、インターネットがあることによって、昔よりも取引に消費者が入りやすくなっていて、インターネットがない時代ですと、お店に行ったり、あるいは電話勧誘とかを受けて取引をしていたのが、インターネットが普及したことによって、若い人も高齢者もみんな簡単に取引に入ることが容易になった。しかし、一方で情報がたくさんある。その中から選んでいかなきゃいけないということなのではないかと思います。

これ以上、強く反対はしませんが、私がインターネット取引によるトラブルで考えていたのは、別に情報があふれているという側面だけではなくて、私たち市民が取引にかかわるチャンスが昔よりふえている。それによって、当然トラブルも多くなっている。さっき未成年者の例を出したのはそういう趣旨でございました。ただ、これ以上は強く反対しません。

○山本(敬)座長 わかりました。

山本健司委員。

○山本(健)委員 先ほどの丸山委員の意見と似通っているのですけれども、インターネットの普及によって消費者保護を新たに検討する必要があるという点はわかるように書いていただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 わかりました。

よろしいでしょうか。後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 この部分は、事務局から説明がありましたけれども、増田委員の意見書の、「大量の情報の中から正確な情報を選択する力が必要とされている」という内容を生かす形で書いていただくのが、この場面に適しているのではないかと考えます。今日御欠席の河野委員の意見書でも、「解決困難な消費者被害が発生している」ということをお書きになっていますので、先ほどお聞きした範囲で言いますと、事務局から出てきた修正提案が割とわかりやすくていいのではないかと思いました。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

事務局のほうからお願いいたします。

○事務局 先ほど私が申し上げた案で、最後に「取引を行うことが求められている」というところを少し工夫する形で提案させていただくと、それにより困る場面があるということがニュアンスとして出るような形で提案していただくということで、後ほどまた議論いただくということでいかがでしょうか。

○山本(敬)座長 河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 今、議論を拝聴していて、恐らく2番目に提案された「インターネットの普及を通じ、消費者による情報の収集等が容易になっている側面があるが」という点で、まず問題を切った上で、「消費者が関わる取引が多様化・複雑化し」の次に、先ほどの「氾濫する情報によって適切な判断が困難となり、トラブルに巻き込まれる機会が増加している」という形で一遍とめて、そこで「消費者が正確な情報を選択した上で取引を行うことができるように配慮することが求められている」というぐらいの形でまとめていけばいいのではないかと思います。細かい文章はお任せいたします。

○山本(敬)座長 わかりました。それでは、休憩を一度挟む予定にしているということを先ほど申し上げましたが、整理した上で、休憩後に改めて御議論いただくことにさせていただいてよろしいでしょうか。

では、2点目ですけれども、「また」以下の部分について幾つか御提案がありました。この点については、事務局のほうからお願いします。

○事務局 「また」以下のところについては、1つは、先ほど山本健司委員から出た、下から2行目の「問題となる事例の解決を図るだけでなく」を「問題となる事例の解決による消費者被害の救済を図ると」ということについては、御異論はなかったのではないかと思いまして、そのように修正したいと思いますが、一方で、沖野委員から、ここの記載の順番を少し変えて、むしろこの裁判外における記載については、「事業者の予測可能性」の前にしてはどうかということで御提案いただいたところかと思います。

今の御議論を見ていまして、事務局としては、山本健司委員の御指摘の部分を修正し、沖野委員の御指摘のところは、先ほど申し上げましたように、趣旨としては予測可能性にも含まれる部分ではありますが、裁判外における通常の取引ということを明確にすべきとの意見を踏まえて記載しているものですので、この順番で維持したいとも考えるところでございますが、この点について御検討いただければと思います。

○山本(敬)座長 御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。第1文、第2文との重複があるように思われる。したがって、その関係が少し不明確ではないかというのが沖野委員の指摘でした。そのような観点から、第3文目を第2文目の中に入れることによって、関係を明確にするという御提案があったところですが、事務局のほうからは、1文目、2文目を受けての3文目なので、御指摘の趣旨はこれで踏まえられているのではないかという御返答だったということでしょうか。もし、それで特に御異論がなければ、そのようにまとめるということでよろしいでしょうか。

○沖野委員 結構です。

○山本(敬)座長 わかりました。どうもありがとうございました。

山本健司委員からの御提案については、下から2行目の「図るだけでなく」というのを「図るとともに」という形でバランスをとるということでよろしいでしょうか。

それでは、「おわりに」の部分について御指摘があったところですが、これは前の部分ですか。それとも。

○山本(健)委員 「おわりに」の部分について意見があります。

○山本(敬)座長 わかりました。山本健司委員、どうぞ。

○山本(健)委員 先ほど「おわりに」の部分は後で別に議論になるのかと思って、具体的な意見を言わなかったので、補足させて頂きます。

大澤委員のご意見と全く同じで、ここについてもバランスをとる記載が必要であると思っております。具体的には、「事業者の適切な経済活動を阻害しないかという観点等」という原案の表現は残したうえで、その前に「事業者の不適切な事業活動から消費者の権利・利益を保護する必要があるという観点や」という表現を入れることによってバランスをとる、という提案をさせていただきたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに、もし補足いただけるようなことがあればと思いますが、いかがでしょうか。何らかのバランスをとる表現をここに入れるという御意見が幾つか出ておりました。事務局のほうから、もしお答えがあればと思いますが、いかがでしょう。

○事務局 今のバランスをとる観点から追記するという点に御異論はないかどうかについて、確認させていただきたいと思います。

それから、具体的な修文案としては、今、山本健司委員から出た内容について、いかがかというところで、今、私がお聞きしたのは「事業者の適切な経済活動を阻害しないかという観点」の前に、「事業者の不適切な事業活動から消費者の権利・利益を保護する必要があるという観点」ですか。

○山本(健)委員 「観点や」です。

○事務局 「観点や」ということを追記される。そこについての御意見を。

○山本(敬)座長 御意見を伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

まず、このような何らかのバランスをとる表現を入れることについて、特に御異論がなければそのように考えることにしたいと思いますが、それはよろしいでしょうか。

それでよいとして、今の山本健司委員の御提案のような内容をここに入れるということについては、いかがでしょうか。大澤委員。

○大澤委員 本日御欠席の河野委員の意見の最後のほうに修正案が出されていますので、趣旨としては山本委員と同じだと思うのですが、私が書いたわけではないので申し上げにくいですが、参考にしていただければと思います。よりシンプルな書き方をされているのではないかと拝見しましたので。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

河野委員からの御意見としては、資料3の最後にありますように、「消費者の被害を救済するという観点にくわえ」という、先ほどの山本健司委員よりはシンプルな内容にはなっていますが、いかがでしょうか。御意見があればと思いますが。阿部委員。

○阿部委員 ここは今後の検討の具体的な方向性を示すものでありますので、山本健司委員の案に賛成します。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。それでは、細部の表現についてはもう少し詰める必要があるかもしれませんが、山本健司委員御提案の内容でここに入れることにしたいと思います。念のため、もう一度、案を少しゆっくり言っていただけますか。

○山本(健)委員 「事業者の不適切な事業活動から消費者の権利・利益を保護する必要があるという観点や」を、「事業者の適切な経済活動を阻害しないかという観点等から」の前に入れるという提案でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

沖野委員。

○沖野委員 修文には全く反対しないのですけれども、そして、事業者の不適切な事業活動から消費者保護を図るというのは、まさに重要な点だと思うのですけれども、不適切な経済活動というのがどこまでを指すのかという点が若干気になるところがありまして、情報の量や質、それから交渉力の格差を踏まえた一定の支援という観点もあるかと思いますので、もちろんそういうことは「等」に入っているか、不適切な経済活動というのは、支援が求められるところにそれがされないということを含んでいると、両方読めるかと思います。ただ、いわゆる悪質なものを排除するとか、そういう姿勢ではないのだということは確認しておきたいと思います。

○山本(敬)座長 「事業者の適切な経済活動を阻害しない」ということとバランスをとる形で、後半に「不適切な事業活動から消費者の権利利益を保護する必要がある」とされたのだろうと思います。その意味では、本当に悪質なものに必ずしも限定されていないのではないかという気がしますので、表現としてはこのような方向でよろしいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

それでは、お出しいただいた意見を踏まえて修文したいと思います。1点、少し残っていますけれども、先ほど申し上げましたように、休憩後にもう一度お諮りさせていただくことにいたします。

大澤委員。

○大澤委員 済みません、第1のところでもう一点だけお願いというか、指摘したいのですが、よろしいでしょうか。

○山本(敬)座長 どうぞ。

○大澤委員 本日御欠席の増田委員から出ている御意見の中で、2、「事業者の経済活動」の「事業者の」を削除していただきたいという趣旨が書いてあります。「事業者の」という文言を削除すべきかどうかというのは、私自身は別に強い意見はないわけですが、この御指摘の御趣旨というのは何となくわかるところがございます。

と言いますのは、原文を見ると「事業者の予測可能性を担保するとともに、事業者の経済活動が」ということで「事業者」という言葉が2回繰り返されているということが、まず1つ違和感があったのかなと思われますと。

もう一つは、恐らくこちらのほうが本質的な御趣旨かなと思ったのですが、経済活動というか、取引社会というのは、事業者だけでつくるわけではなくて、消費者と事業者との間でつくっていくということが意見の中に書かれています。それは私、非常にもっともな指摘だと思っていますので、仮にここで「事業者の」という言葉を残すとしましても、例えば「事業者の経済活動が円滑に進み、消費者と事業者の間の取引が適正なものとなることによって、ひいては国民経済への健全な発展に寄与する」。要は、消費者と事業者との間で行われる取引が健全なものになるのだという趣旨をここに入れていただきたいと思います。

と言いますのは、それが入っていないと、この文章だけを見ると、事業者の予測可能性とは、事業者の経済活動をとにかく邪魔しないということだけが前面に出ているような気もします。考え過ぎかもしれませんが、先ほど申し上げましたバランスとの観点からいくと、経済社会というのを消費者と事業者、両者からつくり上げていくという増田委員の御指摘は、私はごもっともだと思っていますので、「消費者と事業者との間の取引が適正なものとなることによって、ひいては国民経済の健全な発展に寄与する」。この一言を入れていただくだけで、ニュアンスはちょっと変わってくるのではないかと思いますし、「事業者の経済活動」という「事業者の」という文言は削除しなくても、その趣旨は入るのではないかと思っていますので、御検討のほどよろしくお願いします。

○山本(敬)座長 阿部委員。

○阿部委員 この文章は、秋以降のこれからの検討の方向性ということだと思います。そういう意味で、山本健司委員の御提案には賛成できるのですけれども、国民経済一般みたいな話になると、どこまで対象が広がるかわからない。そういう意味では、今の書きぶりは山本健司委員の修正を加えた文言で維持していただきたいと思います。

○山本(敬)座長 大澤委員。

○大澤委員 消費者契約法というのは、消費者契約というものに基本的には対象を限定しているというところがあります。確かに業種問わず、一般的なものに適用されますけれども、今のお話を伺っていて、消費者と事業者の間の取引を適正なものにするというのは、現行の消費者契約法で趣旨としてもともとされていたことだと思いますので、それを加えることによって、今後、消費者契約法の適用範囲が物すごく広くなることにならないのではないかと思います。ただ、これ以上紛糾させる趣旨はありませんので、一言だけ意見を申し上げます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございます。

言うまでもないことですけれども、「国民経済の健全な発展に寄与する」という表現は現在の法第1条の文言そのものでして、これが基本にあるということは、まさにこの表現に既に含まれているのだろうと思います。それが、その前の文章によって、少し違うニュアンスが出ているのではないかというのが増田委員の御指摘で、その観点からは、「事業者の経済活動が円滑に進み」という表現の前に「事業者の予測可能性を担保するとともに」という表現が入っていますので、さらに重ねる形になっていることが少し強調し過ぎる要素を含んでいるというので、削除してはどうかという御提案がありました。

大澤委員の御懸念は、わかるところももちろんあるのですけれども、かなり複雑な文章になっていきますので、可能ならば趣旨が明確にわかるような形でおさまればいいなと思いますが、もしさらに御意見があればと思いますけれども、いかがでしょうか。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 余り大きな対立点ではないような気がしますので、できれば文章の流れとしては、2番目の「事業者の」はなくてもいいのではないかという気がいたしますので、これをとるという形でまとめてみてはどうかと思います。

○山本(敬)座長 この点については、いかがでしょうか。阿部委員。

○阿部委員 ここで「事業者の」を消すのであれば、ただ、それだけにしていただきたいということです。

○山本(敬)座長 それでは、「事業者の予測可能性を担保するとともに、経済活動が円滑に進み、『国民経済の健全な発展に寄与する』(法第1条)ように留意する必要がある」という形で修正するということでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

事務局のほうは、それでよろしいですか。

○事務局 今の阿部委員は、ただそれだけにというのは、先ほどの大澤委員の指摘のようなものを追記せずにという趣旨ですか。

○山本(敬)座長 阿部委員。

○阿部委員 国民経済という視点を入れますと、まさにこれから検討していくときに、どこまでの議論をしなければいけないのかわからなくなります。私ども経済界の立場から言いますと、直接消費者取引に関係するような事業者の意見も聞いてほしいということになりますので、そこはあくまでも、まさに消費者取引にかかわる部分で議論を詰めていけばいいと思います。検討が途方もなく広がるようなことにはしていただきたくない。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

この部分は、括弧書きで現行消費者契約法第1条の文言を引くという形になっていますので、御指摘のような広い、一から考え直すという観点ではなく、現行法の第1条を踏まえて検討していくのであるというので、限定されているのではないかと思います。この専門調査会の場でも、第1条そのものの是非という形で、これまで議論したということはなかったと思いますので、あくまでも現行法の目的規定を前提にして、さらに改正の方向性を詰めていくということで表現されているのではないかと思います。

それでは、先ほどの「事業者の」の部分を削除するということで、この部分を確定させていただくということでよろしいでしょうか。

(2)「第2 総則」について

○山本(敬)座長 続きまして、「第2 総則」の部分について御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。丸山委員。

○丸山委員 「第2 総則」の「1.『消費者』概念の在り方」の4ページから5ページにかけて、第7回の議論状況を多少修正していただいていると思うのですけれども、「第7回の議論」という流れで、次のページで「例えば」とあってマル1、マル2、マル3、マル4、マル5とあるのですが、トップのところに書かれている4から5ページの文章というのが、法改正ではなくて、法の解釈適用で対応すれば足りるという意見だけになっております。

ただ、あのときの意見状況としては、少なくとも問題の一部については、法改正を視野に入れて検討すべきだということがあったと思いますので、逐条解説等で明記しておくべきという意見と、少なくとも問題の一部については、法改正によって対応したほうがいいという意見があったということで、具体的にマル1、マル2、マル3、マル4、マル5と。特にマル4では、法改正においては、その明確な基準が設定できるのかという議論の流れでウに続くのではないかと思いましたので、この点を少々御確認いただければと思いました。

○山本(敬)座長 今の点について、御補足いただく意見があればと思いますが、いかがでしょうか。大澤委員。

○大澤委員 今の点と関係するところですけれども、ウの最初の3行を見ると、「法の適切な解釈・適用により相応に対処できるものと考えられる」と書いてあります。そういう結論が確かに多数であったように記憶しているのですが、一方で、それだけでは対処できない場面もあるという指摘がなかったわけではないと思いますので、これに関しては、その上のイと対応して読むと、少なくとも現行法の解釈で対応できそうなもの、あるいは多くの場合に対応できそうなものというので、多数の意見があったのはマル1とマル2ではないかと思います。

ですので、ウのところで、せっかくマル1からマル5と番号を振っていますので、例えばマル1やマル2のようなものについては相応に対処できる場合もあると考えられる。「対応できるものと考えられる」と書いていますと、全部対応できるかのように聞こえてきますので、例えばマル1、マル2については、対応できる場合も多いと考えられるという形に変えてはいかがかと思います。

「他方で」以下は、恐らくマル4のこと、今、丸山委員がおっしゃっていた団体の話ではないかと思いますので、例えば「実質的には消費者の集合体にすぎない」と書いているところを、どこかでマル4を引用するとか。せっかく番号でマル1からマル5を振っていますので、対応がもう少しわかるようにウのところにも番号を入れていただけるとありがたいと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。ウについては、このままでよいということでしょうか。

○大澤委員 少なくとも3行目の「法の適切な解釈・適用により相応の対処できるもの」というよりは、個人的には「対処できる場合も多いと考えられる」といった言い方のほうがいいかと思いました。対応できる場合が多いというのが意見として多数だったと思いますが、対応できるものと考えられると書いてしまうと、全て対応できるかのように読めますので、それは変えたほうがいいのではないかと思います。

さらに、ウの中でマル1からマル5、どの場合については対応できるかということを、番号を引用する形でもう少し明確にしたほうが読みやすいのではないかと思いました。

以上です。

○山本(敬)座長 阿部委員。

○阿部委員 ここは、マル4の団体の問題以外については、特に法改正の必要がないという議論であったと思います。マル4については、まさにウに書いたような形で議論しなければいけないと思いますが、マル1、マル2、マル3、マル5について、さらに法改正が必要であるかのような書きぶりには反対いたします。

○山本(敬)座長 ほかに御意見があれば。いかがでしょうか。山本健司委員。

○山本(健)委員 ありがとうございます。

原案の骨子については反対するものではないのですけれども、議論の経過、「イ」のところに記載を付記していただきたいという意見でございます。具体的には、5頁のイの一番最後の文章ですが、原案の「慎重に検討すべきという意見があった」という表現では、そのような意見しかなかったかのように一読すると読めるので、「マル5については」の後に、「実質的に消費者と大差のない小規模事業者への消費者保護規定の類似適用を法文化すべきであるという意見もあったが、慎重に検討すべきであるという意見もあった」という表現を付記していただけないかという意見でございます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

イの部分に関しては、議論の過程で実際に意見が出されていたものが反映されていないとするならば、それを反映してほしいという御指摘だったかと思います。この点について、事務局のほうから御指摘いただくことはありますでしょうか。

○事務局 今の山本健司委員のご意見に関してでしょうか。

○山本(敬)座長 まず、イの部分ですね。つまり、大澤委員から御指摘がありましたように、少なくともマル1、マル2については、ここに書いてあるとおりかもしれないけれども、その他の点については、法改正を含めた対応が必要ではないかという意見も出されていたのではないか。そうだとするならば、そのような意見があったということがわかるように修正することはできないかという御提案だったと思います。

○事務局 まず、丸山委員の指摘のところで、ウには先ほどから御指摘があるように、マル4については法改正するということも考えられるとして、このイですけれども、修文していまして、4ページで、「基本的には事案に応じた柔軟な法の解釈・適用で対応することができ」と書いていまして、その後にこの各項目を書いております。書き分け始めますと複雑化するという観点もあるところでございますが、今の点で「基本的には」では読みにくいということであれば、修文も検討したいと思いますが、そこはちょっと御議論いただきたいところかと思います。

○山本(敬)座長 「基本的には」という表現がつけ加えられたことによって、そうでない御意見もあり得ると出されていた可能性があるということは示唆されているという指摘だったですけれども、いかがでしょうか。大澤委員。

○大澤委員 私の言い方が余りよくなかったのかもしれませんが、私は別にこのマル4以外のものについても法改正を検討すべきだということを今、ここで申し上げているわけではなくて、事実として、イにもかかわりますけれども、マル4については、確かに今後、定義を拡張する必要があるのではないかという方向性が、この調査会で強かったのではないかと思いますが、それ以外のマル1、マル2、マル3についても、これは法改正をしなくても、今の各解釈・適用で足りますねということが果たして全員の意見だったのかというのは疑問が残ります。このイを見ると、確かに「基本的には」と書いていますので、もちろんそれだけではないということが伝わるといえば伝わるわけですが。

ただ、読みようによっては、このマル1からマル3に関しては、そういう解釈で何とかなるというのが強く読めるのではないかということも踏まえて、先ほど申し上げました。丸山委員の御指摘もそういう趣旨ではないかと思ったのですが、私の勘違いだったら申しわけないです。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。事務局のほうからお願いします。

○事務局 問題点は、御指摘の点は2つあると思っていまして、1つは、マル4がほかと、ウにつながる部分で分かれている部分があって、そこを明確にするような形でというところで、丸山委員から御指摘いただいたところだと思います。そこは、事務局としては、この4ページの「基本的には」というところで対応しているかと思っていたのですけれども、それに修文が必要かということで御検討いただきたい点が1つあると思います。

もう一点は、今の大澤委員の御指摘いただいている、マル4以外が解釈による対応がどうかというところは、ウも御指摘の点で、法の適切な解釈・適用により相応に対処できるということで御議論を書いていまして、ここの記載ぶりについては、阿部委員が別の御意見をお持ちでしたので、ここを修正するということであれば、御議論いただいてでないと難しいかなと思います。

○山本(敬)座長 大澤委員の御意見は、ウの部分の修正を求めておられるわけではない。むしろ、イについて意見が多様にあったということがより読み取れるように修正できないかという御提案だったように思います。

沖野委員。

○沖野委員 ウにおいて「法を改正して『消費者』概念を拡張することも考えられる」と書いていただいているにもかかわらず、イで法を改正すべきだという意見がないのは、なぜウになるのだろうかという疑問を呼ぶように思います。そうだとしますと、大澤委員のおっしゃるように、少なくともイでは法改正が必要であるという意見があったということを、より明確に書いたほうがいいのではないかと思います。

この場での考えで、例えばですけれども、原案を生かした上で、5ページの9行目に「なお、マル4については」という記載があるのですけれども、ここを「これに対し、マル4については、権利能力なき社団を消費者とみなした裁判例もあることを踏まえ、実質的には消費者の集合体にすぎないと見ることができる団体であれば法の適用があると考えるべきであるという意見や、またそれを明文化すべきであるという意見がある一方で、消費者の集合体・・・が課題であるという意見もあった。」以上としまして、「以上に対し」を削除し「マル5については」と続け、ここに山本健司委員から修文の御提案があったと思いますので、それはそれとしておきまして、以下、そのままという形ではいかがでしょうか。

○山本(敬)座長 具体的な提案をしていただきまして、どうもありがとうございました。

まず、マル4の部分について、法改正によって対応する、それを明文化すべきであるという意見もあったという形で入れることにより、ウにもつながるという御意見が出されました。このような修正をするということでよろしいでしょうか。

マル5の部分については、山本健司委員からの御提案がありました。これは、そこまで明確に御意見の形で、これまで主張されていたものだったでしょうか。類推適用まで言っておられましたか。

○山本(健)委員 ペーパーも出させていただいて、意見を言わせていただきました。

○山本(敬)座長 それでは、そのような御意見があることを追記するという方向でという御意見いただきましたが、いかがでしょうか。よろしいですか。事務局のほうからいかがでしょうか。

○事務局 念のためにもう一回、確認だけお願いできれば。

○山本(敬)座長 はい。では、追記すべき意見の内容をもう一度少しゆっくり御指摘いただけるでしょうか。

○山本(健)委員 恐縮です。「マル5については、実質的に消費者と大差のない小規模事業者への消費者保護規定の類推適用を法文化すべきであるという意見もあったが」です。よろしくお願いします。

○山本(敬)座長 類推適用の内容を明文の形で示すという御提案だったということですね。よろしいでしょうか。阿部委員。

○阿部委員 その後の文章が残るということであれば、反対しません。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

それでは、ほかの点について御意見があればと思います。沖野委員。

○沖野委員 申しわけありません。今のウの部分はそれほど強い修文要請ではなかったということですけれども、大澤委員が御指摘になった「多くは」とか、あるいは「基本的には」というのをウの1文目に入れてはどうかというのは、これも阿部委員は反対でしょうか。考えておりますのは、次のようなものです。「以上を踏まえ、『消費者』概念の在り方については、法の適用の前提となるものであり、その範囲を明確に定める必要がある中で、問題となる場合においても、基本的には」とか「多くは」としまいして、「法の適切な解釈・適用により相応に対処できるものと考えられる。他方で」とつなげる形です。

○阿部委員 反対はしません。

○沖野委員 では、もしよろしければ「基本的には」とか「多くは」を入れていただければと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございます。前の部分で「基本的には」を入れていますので、同じ表現を用いるのが適切ではないかと思いますが、いかがでしょうか。それでは、そのように修文することにさせていただきます。

ほかの点につきまして御意見等がありましたら、お出しいただければと思います。よろしいでしょうか。沖野委員。

○沖野委員 申しわけありません。本来、前回申し上げるべきで、しかも修文を用意してこなかったので、念のためという趣旨で申し上げるのですけれども、7ページの「3.契約条項の平易明確化義務」のイの記述ですが、このア、イ、ウというのは、アで問題点の指摘を書き、イで議論状況を示し、ウで一定の今後についての記述をある程度方向性を固めつつ設けるということですが、この項目の区切りは、特にイの記述はそれに対応しているのだろうかということでして、書き方だけですけれども、「法的義務として定めるという意見もあったが、その意味をどこに求めるかについては、様々な考え方が出された。」といった記載の仕方が考えられます。議論の状況が何かを書かずに、「議論の状況を踏まえると」というのは、ちょっと不親切な気がします。例えばそういう書き方にするとかがありうるかと思います。

またそのあとの、議論の状況を踏まえると、こういうことが考えられるというのは、実はウのほうの話ではないかと思います。済みません、修文を用意していなくて申しわけないのですが、ほかのところとア、イ、ウの区切りが対応していないように思いますので、中身として異論があるわけではないのですけれども、考えていただいたらいかがでしょうか。

○山本(敬)座長 これは事務局のほうにお願いいたします。

○事務局 今の記載ぶりについて検討させてください。

○山本(敬)座長 議事録をもう一度精査した上で、整合性がとれるように、他のイの書き方と平仄を合わせるように必要な限度で修文を加えるということでよろしいでしょうか。

(3)「第3 契約締結過程」について

○山本(敬)座長 それでは、ほかの点につきまして、もしあればと思いますが、なければ、続きまして、「第3 契約締結過程」に移りたいと思います。御意見等がありましたら、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。

井田委員。

○井田委員 ありがとうございます。

9ページ、10ページの「『勧誘』要件の在り方」につきましては、前回よりも調査会での議論状況をより明確にしていただいたという点で、賛成いたします。この点、今日御欠席の柳川委員のほうからは、9ページのイの部分について、「特段の異論はなかった」というのが少し強いのではないかという話もありますが、私の記憶では、意思形成に直接影響を与えるものがあって、その場合に取消しの適用を認めるべきということには、特段に異論はなかったと思うので、ここはこのままでもよろしいのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。この「勧誘」の在り方の部分で、今、柳川委員の意見書を踏まえた御意見をいただきましたが、もしこの点について、さらに御補足いただくことがあればお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。結論としては、このままでよいのではないかということでしょうか。そうではなく、修文が必要ではないかという御意見があれば、お出しいただければと思いますが、いかがでしょう。特にないということでよろしいでしょうか。古閑委員。

○古閑委員 済みません、今、その点だけですか。

○山本(敬)座長 はい。とりあえず御意見が出ましたので、さらに補足いただいたほうが進みやすいのではないかと思った次第です。

○古閑委員 わかりました。この部分につきましては、「異論はなかった」というところまでは強過ぎるというのは、そのとおりだと思っていまして、書きぶりですけれども、先ほどイの趣旨というものが議論の流れを正確に書くものだという確認もあったものですから、それであれば柳川委員の御意見も再度御検討いただければと思います。

○山本(敬)座長 この部分の読み方ですけれども、「取消しの規律の適用を認めるべき場合がある」ということであって、全ての場合に取消しを認めるべきであるという主張ではなく、そのような場合があるということについては、特段の異論がなかったという書きぶりになっています。もし異論があるとしますと、およそ取消しの規律の適用を認める場合がないという御意見になりかねないところがあるのですけれども、柳川委員の御指摘がそこまでのものを含んでいるのかどうかが、意見書からは少しはかりかねるところがありました。それを踏まえて修文の必要があるかどうかということなのですけれども、さらに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。山本健司委員。

○山本(健)委員 ありがとうございます。

およそ取消しの規律の適用を認めるべき場合がないというのは、ちょっと合理的でない意見内容になってしまうのではないかと思います。原案のままでいいのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 古閑委員、よろしいでしょうか。読み方の問題ではないかと思います。少なくとも、取消しを認めるべきであるということが全ての場合に当てはまるような意見について、特段異論がなかったというものではなく、このような取消しを認めるべき場合もあるということについての意見をまとめているという趣旨だと理解して、このままという形にさせていただくということでよろしいでしょうか。

それでは、ほかの点について意見があれば、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 20ページ、「合理的な判断を行うことができない事情を利用して契約を締結させる類型」というところですが、ここは前回、適合性原則の問題を入れるべきではないかということで入れていただいて、そのこと自体はそれで適切だと思うのですけれども、表現が少し気になるところがあります。適合性原則の説明をするために「高齢者」という言葉が複数、2カ所出てきます。高齢者のことを20ページの(3)のアの前半部分で語っているのですが、その後はむしろ消費者一般の問題になってきまして、「そこで、事業者が、消費者の判断能力や知識・経験の不足、心理的な圧迫状態、従属状態など」という記述があるのです。

特に心理的な圧迫状態とか従属状態ということは、高齢者だけに当てはまるようなものではありませんので、(3)のアの入り口で「高齢者」という表現が多発していて、途中からむしろ消費者被害一般の話になっています。そういう導入の仕方もあるかもしれませんけれども、少しわかりやすくするためには、1つの可能性として、(3)のアのパラグラフの上から5行目の「また、高齢者の消費者被害の中には」というところの「高齢者の」をとってしまって、「消費者被害の中には」という形で、そこで消費者のこと一般を語るような形に切りかえるような記述の仕方があるのではないかと思います。

そういう修正ではなくて、むしろこの高齢者の問題については、消費者被害一般にもあてはまる問題であるということを2行ぐらいにわたって書くということも考えてみたのですけれども、そこまでしなくても、先ほどの5行目の「高齢者の」という表現をとるだけで、全体として高齢者の問題から入っていって、消費者被害一般の問題を考えていくという話になってくるのではないかと思います。そういうふうにしないと、心理的な圧迫状態とか従属状態などは、高齢者だけの問題ではありませんので、そこのところがやや前半部分と統一がとれなくなってくるという感じがします。そこの部分について御検討いただけたらと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今の部分は、「高齢者の消費者被害の中には」の次の部分で、さらに「事業者が、認知症等を患った高齢者等の判断能力が不十分であることを利用して」と続くわけですが、これは残しておいてもよいという御趣旨でしょうか。

○後藤(巻)座長代理 「認知症等を患った高齢者等の」と書いてあり、ここは「等」が入っていますので、残していいのではないかと考えました。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

もし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。古閑委員。

○古閑委員 今の後藤委員のところにというよりは、(3)のアで、修文いただいた上から3、4行のところは、趣旨としてはこれでいいと思うのですけれども、4行目の最後から「いわゆる(広義の)適合性原則が問題となることもある」と入っている、この「いわゆる(広義の)適合性原則」という言葉ですが、「(広義の)適合性」という言葉がいわゆるというほどに一般的に確定した概念としてあるとはちょっと思えないので、この「いわゆる(広義の)適合性原則」という言葉を削除することでどうかと思っています。

適合性原則は、「知恵蔵」などを読むと、投資家保護の概念という説明になっていますけれども、特殊なものだと思っています。高度にリスクが高いもの、金融商品などでそういうことがあり得るので、そういったものについては、それなりにきちんと説明しようというものなのだと思うのですけれども、それを消費者契約法みたいに一般法、全ての取引に係るようなものについて、この概念を持ち込もうとするのが、幾ら「(広義の)」と書かれていましても、違和感です。そもそもその「(広義の)」ということの意味がよくわからないですが、趣旨としては、上に書かれているとおりだと思うので、あえてこの言葉を使う必要性もないかと思われ、ちょっとミスリーディングなので、ここは削除をお願いできないかと思います。

○山本(敬)座長 今の点について、もし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 適合性原則は、1999年の金融審議会の中間報告の中で初めて語られた言葉でして、そこでは、広狭二義の適合性原則があるという書き方から始まっておりまして、その中で広義の適合性原則というのは、相手の判断力とか契約目的、経験、財産状況などに配慮して金融商品を提供しなければならないという一般的な命題として語られたものでして、これは概念として、その後に余りぶれはないものであると思います。

ただ、その後、消費者基本法の第5条3号で、「消費者の知識、経験及び財産状況に配慮して」ということで、事業者の責務の中にこの表現の一部が入りました。恐らく適合性原則と言われるものは、かつてはリスク商品に対する顧客の判断力やリスク対応能力というところに特化した概念として語られ始めたということは事実ですけれども、現在では、消費者法の中ではもう少し一般的な概念、つまり広義の適合性原則の中で語られた思想が消費者基本法の中に登場して定着していると理解して間違いないと思われます。さらに、そのコロラリーとしては、例えば過量販売とか過剰与信という部分でもルールが具体化しつつあるということであります。

確かに、考え方として、当事者の固有の属性に配慮して、ゆがみのない取引というものができるように配慮すべきことを事業者の行動規範として要求するという意味では、比較的新しい考え方であることは間違いありません。個人的には、消費者契約法の中で、こういう問題を論じるということ自体が非常にシンボリックな意味合いもあるという気がいたしますので、「適合性原則」という言葉をここで使うということの意味は大きいのではないかと考えております。

しかし、その前の文章の中に適合性原則についての具体的なここでの意味合いというものが、ある程度パラフレーズされて書かれているということがございまして、それについては古閑委員も、これはこれでわかると言ってくださっているので、「適合性原則」という言葉をあえて維持しなければならないとは敢えて申しませんけれども、置いておいたほうがシンボリックな意味合いはあるだろうと思います。ミスリーディングであると言うほど不確かな概念ではないということだけ申し上げておきたいと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

上から4行目の「求められる」というところまでで、その考え方ないし趣旨は既に明らかにされているということであり、そうするならば、その後の「いわゆる(広義の)適合性原則」という表現をあえてここで書く必要はないのではないかという御指摘に対して、シンボリックな意味はあるという御意見はありますけれども、重要なのは考え方ないしは趣旨があらわれることであるということであるならば、この「いわゆる」の部分を削除して、この考え方に当たるものはここにしっかり書くことでどうかと伺いましたけれども、そのような方向でよろしいでしょうか。松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 アのところでそういう言葉を使うのが不適切という御意見があって、消せということであれば、イの部分が議論を整理したということになっていますね。そうすると、委員の中には、アで論じたことは、いわば広義の適合性原則の問題であるという観点から、消費者法において、より普遍化すべきであるという立場の御意見があるのは事実なので、アという客観的記述として反対の人がいるのであればアには書かずに、イの中の個別意見として、そういうものがあったという形で生かせば、そういう意見があるのは事実だから、これはどなたも反対がないだろうと思います。

○山本(敬)座長 イの中にうまくおさまるかという問題は少しありますが、事務局のほうからお願いいたします。

○事務局 ここで追記した趣旨をちょっと御説明したいと思いますけれども、ここは前回に河上委員長からも出ていた件で、問題は、「合理的な判断を行うことができない事情を利用して契約を締結する類型」についての御議論を書いている場であり、その問題背景として、こういったことがあるということの御指摘があったので、アの冒頭で書いております。それがさらに広がっていくという、先ほど後藤座長代理がおっしゃっていたところで、5行目の「高齢者」を削除するというお話が出てきているのかと思っています。

そうだとしますと、イのこの類型に対しての議論を記載するところに、背景事情についての御意見を書くというのは、余り適切ではないのではないかと思っておりまして、あくまでアのところでどのように書くのかという問題ではないかと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。石戸谷委員長代理。

○消費者委員会石戸谷委員長代理 ここで、「いわゆる(広義の)」とつけて適合性原則と言うと、広義と狭義という分け方、金融分野でも盛んに議論されているわけですが、金融商品としての適合性原則を持ってくるようなイメージが出てくるので、先ほどのような意見が出るのではないかと思うので、適合性原則、それ自体は特商法の中にも入っておりますし、金融に限らないのですが、「いわゆる(広義の)」とやってしまうと、確かに金融分野で議論されている概念のニュアンスがかなり出てくるので、「いわゆる(広義の)」というところを削除して、「適合性原則が問題となることもある」ということは残しておくということでいかがでしょうか。

○山本(敬)座長 もし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。削除案にもいろいろあるという御意見だったですが。方向性としては、疑義がある言葉ですので、先ほど私も申し上げましたように、「いわゆる(広義の)適合性原則」という表現を削除して、考え方をここに背景事情として残すということでした。しかし、シンボリックな意味があるので残したいというときにも、「(広義の)」は削除したほうがよいのではないかという御意見もありました。他方で、いずれにしても適合性原則という言葉がここにあらわれると、御懸念されているような疑義も生じてくるという御意見もあったところです。

松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 だからこそ、私はイで書けという意見です。ここでは、シンボリックな意味で残したいという立場の意見と、一切削除すべきだという意見が対立しているわけです。したがって、イの具体的な意見の対立の分布のところで、適合性原則というものを、金融取引からより普遍的なものとして認める立場から導入すべきだという意見があったという、積極論の背景として、そういう立場があったという形で書けば、全く問題ないのではないかという意見です。

○山本(敬)座長 この話が出てきたのは前回でして、河上委員長から、現在における重要問題として、とりわけ高齢者を中心とした判断力低下の問題があるという御指摘があり、それを背景事情としてつなげる形で書くべきではないかという御意見があって、それを踏まえて、ここに入れたものだということです。

先ほどの事務局のお答えも、イで具体的な改正提案をめぐって、そのような意見が出ていたわけでは必ずしもないとするならば、イに書くのは議論を反映していないだろう。書くとすれば、むしろアである。しかし、アにおいては、適合性原則の考え方自体は既に表現されている。とするならば、あとは言葉を書くかどうかという問題だけである。言葉を書くこと自体については異論も出ているとするならば、アには考え方を書くにとどめるというのが方向性ではないかと理解したのですけれども、いかがでしょうか。後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 適合性原則につきましては、前回、河上委員長から、この問題の背景事情として御発言があったと記憶していますが、それ以前の議論の中では、「合理的な判断を行うことができない事情を利用する類型」に関して、たしか柳川委員から、こういう類型で合理的ということの意味が不明確だということも踏まえて、むしろ適合性原則で考えるということがあるのではないかという御発言があったと、私はそういうふうに記憶しています。

従来の委員意見の中で適合性原則がそういう形で出てきているとすると、それはむしろここの項目についての関連する意見ではあるのですけれども、ここの項目の内容というよりは、ここの項目の扱い方についての意見だったのではないかと思います。

そういう意味から言うと、河上委員長がおっしゃったような、この問題の背景事情として適合性原則ということを入れるというのは、意見が出ていたということでありますけれども、柳川委員の御意見というのは、むしろこの問題を「合理的な判断を行うことができない事情を利用する」という問題ではなく、適合性原則の問題として扱うべきだという意見をお出しになって、しかもその内容については特に議論がなされなかったものですから、そこの部分を委員意見として、イの部分で取り上げるというのはちょっと難しいのではないかと思います。

そういう意味から言うと、アで扱うのは適切だけれども、イで扱うのは、従来の議論の流れから言うと合わないのではないかという印象を持っています。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 どうも申しわけございません。別に議事をおくらせるつもりは全くなかったのですけれども、一番最初に適合性原則という言葉がこの専門調査会に出てきたのは、消費者庁提出の資料の1回目か2回目のところでして、ただ、これは内容が漠としているし、そのまま出していくのは難しい。むしろ、これは、まず、つけ込み型のところで議論したほうが望ましいという話になって、そのままになっているというものであります。

恐らく適合性原則の話をコロラリーとしていろいろ出してくると、例えば説明の仕方、開示の仕方とか、いろいろなところで適合した形でというのがかかってくるはずなので、いろいろなところにきいてくる考え方であります。それが今のところは消えておりますので、せめてつけ込み型のところの背景事情の中に、これは適合性原則というものの考え方を反映したものだということをシンボリックに書いておくことに意味があろうかなと思った次第であります。

ただ、金融関係の議論における適合性原則の議論と混乱しそうだということで、ミスリーディングではないかという古閑委員の御意見もよくわかりますので、それであれば実質的な内容だけをきちんと書いていただいて、これが適合性原則と言われている「考え方」の一つのあらわれですということがわかれば、それでいいのかなということで、実をとるという方向で発言した次第です。

イのほうに書いてしまいますと、この局面をめぐっていろいろな意見が対立しているというときの議論の整理になってしまうので、松本理事長の御提案はありがたいのですけれども、それはイよりもアのほうが適切かなという気がいたしました。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 河上委員長が撤回されるなら、意見の対立はなくなったわけなので、イで書く必要はありません。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 「適合性原則」という言葉を使うかどうかということは考え方があると思うのですが、こういう内容を背景事情として残すことが私は大事だと思いまして、そういう意味で、金融商品の取引というところについての誤解を受けないということで言いますと、消費者基本法5条3号の記述に依拠するような形で、アに残すというのも一つの方法だろうと思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、先ほど申し上げましたように、「いわゆる適合性原則」に当たる部分を削除する形で、必要な修文をするということでよろしいでしょうか。

それでは、ほかの点につきまして御意見があればと思います。大澤委員。

○大澤委員 済みません、今の20ページの(3)のアですけれども、背景として高齢者の消費者被害が多発しているという文章を書いていること自体には、非常に意味があると思っていますが、ここだけを見ると、さっきの後藤委員の意見ともちょっと重なるところがあるのですが、その次の「そこで」以下の段落で出てくる、「事業者が、消費者の判断能力や知識・経験の不足、心理的な圧迫状態、従属状態」といういろいろな事情を列挙して、こういう立法について今後検討すべきである、そういう考え方があるということを書いていることとのつながりが若干わかりにくいところがあります。

と言いますのは、アの高齢者被害が多発しているというところの記述が非常に具体的であることによって、ここで主に問題となっているのが、とりわけ判断能力が不十分であることによって生じるトラブルですが、「そこで」以下では、その判断能力だけではなくて、例えば心理的な圧迫状態とか従属状態という言葉が出てきますので、なぜこれらの言葉がここで出てくるのかという違和感を与えないかという不安があります。

恐らく私の記憶では、単なる判断能力だけではなく、例えば「知識・経験の不足、心理的な圧迫状態、従属状態」といった包括的な事情を取り込めるような立法提案を今後考えようという話として出てきたのは、もちろん主には高齢者の消費者被害だったと思います。これは間違っていないと思うのですが、あと想定されていたのは、例えばいわゆる恋人商法と呼ばれるような出会い関係とか出会い心理につけ込むような取引とか、あるいはいわゆる霊感商法のような消費者の不安感とか、例えば病気で気持ちが弱ってしまっているといったところにつけ込む、そういうものも被害があるのだという話があったのではないかと記憶しています。

それを書き加えると字数がふえてしまいますし、書き加えるのが適切かどうか、私自身、まだ悩んでおりますが、高齢者被害の話が、アのところですごく記述が長くなっているということもありますので、イのところの特に「心理的な圧迫状態、従属状態」とのつながりが若干わかりにくいと思いました。ただ、修正案は今、浮かびません。申しわけありません。

○山本(敬)座長 事務局のほうからお願いいたします。

○事務局 今までの御議論の流れで、修文の案も含めてお話ししたいと思います。

まず、「適合性原則」という言葉は削除するとした上で、残る文章の修文の仕方は検討ですけれども、先ほど「適合性原則が問題となることもある」で終わっていることからすると、そこを削除した場合には、その前は「勧誘を行うことが求められる場合もあると考えられる」ぐらいかなと思います。そこの点は、ちょっと確認いただきたいと思います。もう一度申し上げます。「事業者には、その知識、経験、財産状況等に適合した形での勧誘を行うことが求められる場合もあると考えられる」。後ろの「問題となることもある」を、前につながる形で言いかえればこういう形かなということです。

今の大澤委員の御指摘のところは、先ほどの後藤座長代理の御指摘につながるところかと思いまして、その背景事情として高齢者のことを最初に適合性の関係で書いていることから、そういった御指摘があるのかなと思いまして、5行目の「高齢者」を削除することで、ここから消費者被害の中の議論として、高齢者が中心的な事例、典型的な事例としてあり得るということですけれども、その後ろの議論につながるという形で、先ほどの後藤巻則座長代理の指摘を反映するという形で対応させていただけないかという考えですが、いかがでしょうか。

○山本(敬)座長 河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 「求められる場合もあると考えられる」というのですけれども、これは「求められる」のではないでしょうか。基本的に消費者基本法の要請そのものでありますから、「そういう場合もあると考えられる」というような弱い書き方であることは、余り望ましくないと思います。

○山本(敬)座長 現在の文章の「適合性原則が問題となることもある」という趣旨を残そうとすると、このようになるという御指摘でしたけれども、そうすると、現在示されている書き方自体に問題があるということなのでしょうか。松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 現在の赤線の提案は、「適合性原則が問題となることもある」というところに力点があるわけで、その結果として、契約の効力に影響が及ぶことがあるということが言いたいわけだと思います。これは、この部分を外してしまえば、まさに消費者基本法の言っているとおりのことなので、事業者の行為規範として、このような勧誘を行うことが求められるのは当たり前の話であって、それによって民事効果が直接出てくるのかどうかは別の問題だというだけのことです。「適合した形での勧誘を行うことが求められることもある」だったら、適合しない形ででたらめな勧誘をすることも許されることがある。そんなことは事業者の倫理として許されるはずはないわけです。そういう書き方をするぐらいなら、これを全部削除したほうがいいです。

○山本(敬)座長 恐らく問題としているのはそのようなことではなく、求められることがあるというのは、河上委員長がおっしゃるように、プリンシプルとして妥当しているのだと思いますが、もともとの文章は、そのようなプリンシプルが実際に適用されるかどうかが問題になるケースが生じるという趣旨だと思います。

○国民生活センター松本理事長 もともとの文章は、「適合性原則が問題となることもある」とまでなっているから、おっしゃるとおりなのです。そこを切ってしまえば、もはや行為規範を書いているだけのことになります。

○山本(敬)座長 もちろん修文はするわけですけれども、もとの「適合性原則が問題となることもある」という意味をうまく表現できるように書き直すということがなすべきことではないかと思います。そういうことであれば、河上委員長、よろしいのではないでしょうか。プリンシプル自体が揺らぐということではなく、そのプリンシプルの適用が問題になるケースがあるということが適切に表現できるような文章にしたいということが、事務局の先ほどの提案の趣旨だったと思います。

○消費者委員会河上委員長 一般的にはそれで結構です。ただ、このまま黒字のところで、最後に「求められることがある」としたのでは、それは書き方としてはおかしいような気がするのです。

○山本(敬)座長 わかりました。

では、事務局からお願いします。

○事務局 後ほど、趣旨を踏まえて修正案をお示ししたいと思います。

○山本(敬)座長 わかりました。

もう一点の点ですが、先ほど後藤委員及び大澤委員からの御指摘の部分です。「また」以下で「高齢者の」と続くと、高齢者問題がずっと続いていると受けとめられるとするならば、その部分は繰り返しを避けて、「消費者被害の中には、消費者が、認知症等を患った高齢者等の判断力が不十分であることを利用して不必要な契約を締結させたなどの事例も多く見られる」という形で修正してはどうかというのが、後藤委員の御指摘でした。大澤委員の御意見は、それではなお不十分ではないかということだったのかもしれません。

しかし、かなり大規模な修文をしようとしますと、一から全てやり直すということになってしまいます。可能ならば、この趣旨が生かせればと思います。そうしますと、この部分は「また、消費者被害の中には、事業者が、高齢者を初め、判断能力が不十分であることを利用して不必要な契約を締結させたなどの事例も多く見られる」という形で、ほかの場合もあり得るということをより強調するような形で修文するという形で対応することでいかがでしょうか。大澤委員。

○大澤委員 大規模な修正を求めるつもりではなかったのですが、私が申し上げましたのは、「高齢者」というものをとったとしても、「判断能力が不十分である」ということだけが出てきているので、その下の段落にある「心理的な圧迫状態、従属状態」というのが直ちに浮かばないということでしたので、例えば修文として考えられるのは「また、消費者被害の中には、事業者が、高齢者を初めとする認知症等、判断能力が不十分であることを利用して、不必要な契約を締結させた事例や、あるいは消費者の不安感や恋愛心理とか圧迫感につけ込んだ事例もある」。それを1文つけ加えるだけで足りないでしょうか。そういう趣旨で申し上げました。

○山本(敬)座長 つけ加えるという形でしょうか。置きかえるという形でしょうか。どちらですか。

○大澤委員 済みません、はっきり言えなくて申しわけないのですが、「認知症等を患った高齢者等の判断能力が不十分であることを利用して」云々などの事例もというところまでは変えず、「などの事例や、消費者の不安感や心理的圧迫につけ込んだ事例も多く見られる」ということを20文字ぐらいつけ加えるということです。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

後ろとつなげるのであれば、「そこで」以下では、「知識・経験の不足、心理的な圧迫状態、従属状態」という表現が出ていますので、それを利用した形で修文するということでどうでしょうか。事務局のほうはいかがでしょうか。

○事務局 その点は、ほかの委員の御意見もお聞きしたいと思いますが。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 うまいぐあいに大澤委員の御発言を踏まえて修文していただければ、それでいいと思うのですが、最低限、「不必要な契約を締結させたなどの事例も」と「などの」というのが入っているので、このままでも何とかなるかなという印象もあるのですが、ここは感じ方もありますので、より明確にしていただくという方向もあると思います。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

事務局のほうからお願いします。

○事務局 今、後藤座長代理のおっしゃっていただいた、この「などの」にそういったものも含まれてくると思いますので、明確化することに特段の御反対がなければ修文させていただきたいと思います。

○山本(敬)座長 それでは、その方向でよろしいでしょうか。

それでは、ほかの点につきまして御意見等があればと思います。丸山委員。

○丸山委員 戻ってしまって恐縮ですが、10ページについて確認させていただきたいと思いました。この審議の回、一度欠席しておりまして、理解が及んでいない点があるのかもしれませんので、確認ということでございます。

大分書き足していただいてわかりやすくなった面があるのですが、特にウで最終的に提案されている、「当該事業者と消費者との間でのある特定の取引を誘引する目的をもってした行為」。そして、注12をつけていただきました。

1つ確認したいのが、イの議論状況のところで主体が異なる場面についての議論もしていると思うので、例えばメーカーがパンフレットを作成して、小売業者がある特定の商品を売る目的で消費者に交付した。そこに虚偽の記載があったというような事例が、この注12に該当するのか、それとも該当するかしないかも含めて、引き続き検討事項ということでしょうか。メーカーが作成したパンフレットを、販売目的で、小売業者が交付する行為は、これに該当するという理解でいいのかどうか。確認させていただければと思いました。

○山本(敬)座長 内容の確認ということですが、事務局からよろしいでしょうか。

○事務局 これまでの議論のというところでございますけれども、これまでの議論では、契約主体が小売であり、その場合のメーカーの広告というのは対象にならないという議論であったのではないかと思います。

○山本(敬)座長 では、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 丸山先生の御指摘は、恐らく現行法でも勧誘に入るようなケースではないかと思いました。

○丸山委員 小売業者のほうが、メーカーがつくったパンフレットを交付している。それで誘引しているわけですけれども、パンフレット自体を作成しているのはメーカーだとしても、そこは外れる理由にならないという理解でよいのですか。

○山本(敬)座長 消費者庁から。

○消費者庁加納消費者制度課長 それは、現行法でも既に勧誘に入るという整理をしていたのではないかと思います。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。

では、ほかの点について。沖野委員。

○沖野委員 関連するかと思うのですけれども、10ページのウの上のなお書きでつけ足していただいた部分です。今、丸山委員の御指摘に対するやりとりの中で、チラシとかパンフレットをメーカーが作成したとか、いろいろありますが、それを具体的に小売の現場で事業者が示して契約を締結したという場合には、そのチラシを使って情報提供しているのは当該契約主体なので、現行法のもとでも既に情報提供しており、そこに誤ったことがあれば不実告知そのものになるという理解をしております。

それを前提にしたときに、その1つ上のなお書きで、「取消しの規律の適用対象に不特定の者に向けた広告等のうち一定のものを含めるとしても、当事者となる事業者が不適切な情報提供の主体でない場合」というのは、何を指しているのかということでして、小売業が今、全くそういうチラシを提示することをせずに、消費者が広告を観てそれにより買いに来たという場合は、契約当事者は情報提供していないと思うのです。

ですので、ここでの記載がどのような場面を念頭に置いているのか。なお書きにあるのは、むしろ5条の問題として、第三者による情報提供の場合に責任を負う場合の話なのだけれども、広告に関連するので「なお」という形でここに書いている。その意味では、「ちみなに」ぐらいの話であるのか、それとも違う場合なのでしょうか。これも中身を確認させていただきたいという趣旨です。

○山本(敬)座長 それでは、消費者庁からお願いいたします。

○消費者庁加納消費者制度課長 丸山先生の設例は小売業者が示しておりますので、小売業者に誘引行為があるケースになりますから、使ったパンフレットがたまたまメーカー作成であったとしても、そのパンフレットに不実の内容があり、それをもって小売が消費者に提示し説明している。これは、現行法の勧誘の解釈でも入るという指摘がされており、それはそういうことだと思います。

沖野先生の御指摘につきましては、ここで想定していますのは、メーカーが一般的にテレビコマーシャルだけをしているという場合は入るか入らないかということでありまして、それはメーカーが広告などをしているわけでありますけれども、それは契約当事者となる事業者がやっているわけではない、販売店がやっているわけではないということでありまして、先ほど丸山先生の設例では販売店が提示していますけれども、こっちの場合は販売店の提示がないという点で違いがあるのではないかということであります。

○山本(敬)座長 沖野委員。

○沖野委員 御説明ありがとうございました。

私も結論としてはそのように理解しております。しかし、それは現行の4条からそうなるのではないか。つまり、勧誘に際しというところに広告等の媒体による情報提供などを含めるという場合も、事業者が勧誘をするに際し、次の各号の行為をしたということで、主体は全部事業者がしたということになりますので、4条からは、これはむしろ当然そうなるということではないかと思われるのですけれども、「なお」の段落の最初の部分が「すべきではない」というのは、言いかえると、広告を対象にするということは、むしろずれる場合も含めるという趣旨の意見を出しているように読まれかねないように思ったのですけれども、いかがでしょうか。

○山本(敬)座長 なお書きの部分の趣旨をどう理解するかなのですが、読み方についてはほかの御意見はあるかもしれませんが、なお書きの最初の部分について、このような意見が出ていたということはたしかだったと思います。そして、何条の問題かは別として、当該事業者が責任を負うこととすべきではないという御意見が出されたのに対して、他方、可否が左右されるべきではない等の指摘も見られたという、これも事実として指摘されていたわけですけれども、これの読み方としては、4条自体の読み方から既に出てくるのではないかという説明を、今、沖野委員が補足的にされたとも受けとめられるように思います。

いずれにしましても、この点をめぐって、かなり議論がされたことはたしかですので、どこに書くべきかとなりますと、なかなか書くべき場所がなくて、ここに落ち着いたのではないかと推測いたします。書き方として、さらに手を入れたほうがよいのかという御指摘があったのかもしれませんが、そのようなものとして受けとめるのであれば、これでも少なくとも議論は反映しているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。沖野委員。

○沖野委員 今の座長の御説明であれば、その理解のとおりであり、私自身は、条文としてはここの問題ではないのではないかというところが一番気になっていたものですから、それはさておき、「なお」という趣旨であり、議論を正確に反映したものであるということであれば、それで理解いたしましたし、もとより修文は求めておりません。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。そのような問題の位置づけであるということは、議事録にも明記されると思いますし、我々の頭の中にも明記しておきたいと思います。

では、ほかの点につきまして御意見等があれば、お出しいただければと思います。松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 今の点で、私は、広告という不特定多数に対する働きかけを入れるのかという論点と、広告を打った主体は誰で、販売主と違う場合にどうするかという論点と、2つの論点があると思うのです。

それを、1つの文章で書いているからわかりにくくなっているわけです。広告を打った人が販売主になっているのだけれども、広告は不特定多数のものであり、そして、実際にお店に来て取引をするときには、その広告を特に見せないでやっているという場合、すなわち、広告主と販売主は一緒だけれども、勧誘の場では当該広告を直接には使っていないというタイプのものが一体どうなるのかが、ちょっとわからなくなってきたのですが、そのような場合も含めて、この「なお」以下をみんなで議論しているという想定なのでしょうか。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。なお書き以前の問題については、まさしく広告に相当するもの、つまり不特定多数の者に対するものにおいても、ここでどのように考えるかということを議論していました。そして、松本理事長が御指摘されているように、主体の問題ではなく、不特定多数に対する問題として議論していたと思います。しかし、それと同時に、このなお書き部分が特にそうですけれども、この主体が販売の主体と異なる場合があり得る。それをどのように考えるかということも、あわせて御指摘を受けていたところでした。

それをどう整理するかという点について、議論もかなりしましたけれども、書き方としては、あるいは書くべき位置としては、ここしか仕方がないのかということで、このような書き方になっている。先ほど申し上げましたように、問題の位置づけは今のやりとりでより一層はっきりしてきたと思われますので、9月以降の議論に際しては、それを踏まえて検討するということでよろしいでしょうか。

それでは、ほかの点につきまして御意見等があればと思いますが、いかがでしょうか。後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 内容にわたる問題でなくて、形式的なところで恐縮ですけれども、22ページのウの「前述のとおり」というところですが、「前述のとおり」というのはどこを指しているのですか。仮に20ページのイの下から2行目のところと表現の仕方としては似ているので、もしそこを仮に指しているとするならば、両方の扱っている内容を統一したほうがいいのではないかと思います。

○山本(敬)座長 では、事務局のほうからお願いします。

○事務局 今、おっしゃった20ページのイで、その価値判断に特段の異論は見られなかったという箇所ですけれども、今の御意見は、記載ぶりを統一したほうがということでしょうか。

○後藤(巻)座長代理 20ページの下から2行目は、専ら高齢者についての問題が書いてあります。22ページのウの「前述のとおり」以下は、より一般的な消費者の判断力の不足という記述になっているので、両者は関連しているのですけれども、別のことを書いていることになってしまわないか。もし、「前述のとおり」という22ページの表現が20ページの下から2行目あたりを指しているとするならば、例えば22ページの表現に統一するという形にしたほうが体裁は整うのではないかと思います。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。私の誤解かもしれませんが、むしろ21ページのイの最初の3行から4行を受けているのではないでしょうか。21ページの上の「まず、前提として」で、「この価値判断自体については、委員の間でも、特段の異論は見られなかった」ということを受けているのではないでしょうか。

○後藤(巻)座長代理 そういうことでしょうか。

○事務局 そのとおりです。

○山本(敬)座長 イの冒頭の4行を受けているということではないかと思います。

○後藤(巻)座長代理 それなら結構です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ほかの点につきまして御意見等がありましたら。古閑委員。

○古閑委員 「3 不利益事実の不告知」の柱書き、ページで言うと12からですけれども、このアとか次のページのウを拝見すると、不実告知型と不告知型とに分けてと書かれていると思います。これはちょっと難しい内容だと思って、改めて読みましたところ、言いたいことは、分けるというよりは、類型化するということなのかなと理解しまして、その理解が正しいのであれば、「分ける」という言葉よりは「類型化する」という言葉のほうがいいのかなと思いました。

仮にそういう前提だとしても、その2つに分けるうちの「不実告知型」というのは、関連性が強いかどうかという書き方になっていたり、あるいは別のところで「表裏一体」というのが13ページの下のほうにも出てくると思うのですけれども、この辺は本当にうまく明確化できるのかどうかということで、こういう要件の削除というものが本当に適当なのかどうかによってくると思いますので、修文までは求めないですけれども、明確化できるかどうか次第だということは改めて申し上げておきたいところがあります。

それから、別にもう一つございまして、4の「重要事項」のところです。ここは、ウを見ると追加列挙ということが書かれていると思うのですけれども、適当と考えられるという方向性が出てしまっています。しかし、予見可能性という観点からは結構難しいところだなと思っておりますので、修文は難しいのかもしれませんけれども、方向性として完全に一致したわけではないというところは、ちょっと申し述べておきたいなと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

まず、不利益事実の不告知について修文の御提案があったのは、13ページのアとウの両方について、それぞれ「分けて検討する」とあるところを、「類型化して検討する」とおっしゃったのでしょうか。

○古閑委員 はい。恐らく完全に2つに分けるというよりは、重なり合う部分が出てくるのかと思ったので、そうだとすると、類型化というイメージなのかと思ったので、そのほうがわかりやすいかなという趣旨でございます。

○山本(敬)座長 もちろん、これからの検討課題として今後議論されるところではありますけれども、その前提として、「分けて」ではなく、「類型化」というほうが理解しやすいのではないかという御意見が出たところですが、この点について、もし御意見があれば伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。沖野委員。

○沖野委員 確認をさせていただきたいという趣旨です。類型化してということに全く異論はありません。12ページの下のイで、「類型を分ける考え方自体については特に異論はなかった」と書かれていまして、「分ける」というのはここでは「類型を分ける」という含意で使われていると思います。「類型化して」としたほうがいいという御趣旨は、「分ける」という言葉をおよそ使わないほうがいいという御提案なのか、それとも「類型」ということを盛り込むことが重要なのか、それはどちらでしょうか。場合によっては、12ページのイの修文を含んでいるのかということです。

○山本(敬)座長 古閑委員。

○古閑委員 言葉のニュアンスの問題なのかもしれないですけれども、「分ける」と言うと、この事例はこっちかこっちのどっちかだねという感じなのかなと思いまして、場合によっては、両方の概念があり得るものも想定し得るということなのであれば、ニュアンスとして「分ける」という言葉ではないほうがいいのかなと思った次第です。

○山本(敬)座長 そうしますと、「類型」という言葉が使われているのであれば、「分ける」という言葉はあくまでも「類型を分ける」ということなので、それであれば理解できるという御趣旨だったのでしょうか。

○古閑委員 はい。

○山本(敬)座長 よろしいでしょうか。今の点につきまして御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。もし御異論がなければ、そのような形で修文するということでよろしいでしょうか。はい。

そうしますと、もう一点が「重要事項」の点ですが、修文までは求められないということだったのでしょうか。必ずしも完全に一致していたわけではないということを指摘しておきたいという御趣旨だったかと思いますが、今の点についてはよろしいでしょうか。山本健司委員。

○山本(健)委員 その点については、ウの冒頭で「『重要事項』の適用範囲を明確にしつつ」という前提があるので、原案のままでいいのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

そうしましたら、そのような御意見があったということを踏まえて、さらに9月以降、検討を進めるということでよろしいでしょうか。

では、ほかの点につきまして、後藤委員。

○後藤(巻)座長代理 先ほどの私の発言部分なのですけれども、申しわけありません。私、自分の家でプリントアウトしてきた資料を見ていまして、ページの何行目というところに少し誤解がありました。

今日いただいた資料を見ると、先ほど私が疑問に思ったところがそのまま疑問になっていますので、座長から御指摘いただいて、そこを改めて確認しましたら、今日いただいた資料の22ページのウの「前述のとおり」というところが、21ページのイの「まず」以下を指しているということであるならば、21ページのイの記述は、専ら高齢者の判断力不足ということが書いてあるのに対して、22ページのウは、より一般的に消費者の判断力の不足の問題が書いてあって、ここが「前述のとおり」という表現で受けていいのかというのが先ほどの私の疑問というか、そういうことを指摘したのですけれども、ここについてはこれでよろしいのか、あるいは両方とも高齢者という問題ではなく、消費者一般の問題として扱うという形にするのか、そこはいかがでしょうか。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

先ほどの「適合性原則」についてのやりとりとつながっている部分があるかと思います。事務局のほうからお願いいたします。

○事務局 ここは、先ほどの「など」とか「等」というところで、高齢者以外の者が入れられているかということだと思いますけれども、基本的にはイはその前から続いている形で高齢者を典型例として挙げているわけですけれども、ウは今後の方向性としてそういうことがないところで、御指摘の趣旨としては、そこを大きく変えるという趣旨ではありませんので、どこまでの修文を求められるかということかと。

○山本(敬)座長 恐らく先ほどの議論の続きのようなところがあるように思います。そうしますと、イはアの部分を受けてということになりますので、必ずしも高齢者に限らない問題になるはずであるという御指摘なのだろうと思います。その意味では、イの冒頭も、仮にこのまま書くとしましても、「まず、前提として、事業者が認知症等を患った高齢者等の判断力の不足等」、「等」ばかりになりますが、そういうことであれば、ここには高齢者が掲げられているけれども、それは代表的な例を挙げているだけである。問題にしているのは、より一般的な問題であるという趣旨があらわれるかと思います。そのような方向で修文を図れば、後ろのほうの部分とも最低限の整合性はとれることになるだろうと思いますが、よろしいでしょうか。

○後藤(巻)座長代理 はい。

○山本(敬)座長 それでは、文章の美しさの問題がありますので、多少考え直す必要はあるかもしれませんが、高齢者が一つの代表例であるということがわかるような形で修文させていただくということでよろしいでしょうか。

それでは、ほかの点につきまして御意見等がありましたら、お出しいただければと思います。いかがでしょうか。第3の部分について、全般ですけれども、ほかに御指摘いただくような箇所、とりわけ修文を要すると思われる部分について御指摘があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

事務局のほうから御補足いただくことはあるでしょうか。第3の部分は、かなり多岐にわたっておりますけれども、特にありませんか。

○事務局 修文を検討する部分だけ検討させていただきます。

(4)「第4 契約条項」について

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

続きまして、「第4 契約条項」に移りたいと思います。御意見等がありましたらお出しください。山本健司委員。

○山本(健)委員 ありがとうございます。

見え消し版の39ページ部分について、本日、冒頭でお話させていただきました消費者保護の必要性と、正当な事業活動への配慮の必要性のバランスという観点からの意見です。ウのマル1の2行目に「実務への影響などを勘案しつつ」という記載のみがあるものですから、バランスをとるという観点から、その前に「当該条項が消費者にもたらす不利益や」という表現を入れていただくという修文を提案させていただきたいと思います。

同様の記載の付加はあと5カ所ございます。2カ所目は、39ページの上から9行目、ウのマル2の2行目に、同じく「実務への影響などを勘案しつつ」という表現がございます。3カ所目は、40ページの5行目にございます。4カ所目は、41ページの上から3行目です。5カ所目は、42ページの上から5行目です。6カ所目は、42ページの上から7行目、ウのマル2の1行目です。ここでは「実務上の必要性や実務への影響など」とされており、表現がここだけ若干違うのですけれども、ほぼ同趣旨かなと思います。これらの部分について、同じく、前に「当該条項が消費者にもたらす不利益や」という表現を入れていただければ、バランスがとれるのではないかと考えます。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

一括した御提案です。不当条項を問題にしていますので、当該条項が消費者にもたらす不利益を考慮するのはある意味では当然なのですが、それを当然と言い出しますと、「実務への影響などを勘案しつつ」というのも当然ではないかということになってきます。どこまでのことをバランスをとって書くべきかということかもしれませんが、もし御意見があれば伺いたいと思います。大澤委員。

○大澤委員 ありがとうございます。

私も、この実務への影響というのは非常に違和感を覚えました。当然のことだと考えていましたので、これがわざわざ5カ所付加されているのがどういう御趣旨なのかなと思いましたが、私が違和感を持ったのはもう一つ理由がありまして、「実務への影響などを勘案しつつ」というのは一体何を検討するのかということだと思うのですが、恐らくは先ほど山本委員から出た御意見ですと、1カ所だけ表現が違っていた42ページのウのマル2のところです。「実務上の必要性」というのが、なぜかここだけついているのです。

恐らく検討すべきことというのは、その実務上、なぜそういう条項が使われているのかとか、あるいは実際、どれぐらい使われているのかという、要するにどういう必要性があって使われているのかとか、実態としてどうなのかということをもうちょっと精査した上で、これを不当条項リストに追加するかどうかを今後検討しましょうというのが、この専門調査会の議論のまとめだったのではないかと私は記憶していますので、「実務への影響」という言葉をここで使ってしまうと、これは私の気にし過ぎかもしれないですが、あたかもこれをリストに入れると実務に物すごく大きな影響を与えるかのような不安感を呼ぶような気もしました。

「影響」というよりは、要は「実務上の必要性」とか、そういった言葉に変えたほうがいいのではないかなと思います。「影響」という言葉ですと、実務の方から、これを設けられると何か影響を受けるのかということを、影響は多少あるのでしょうが、それを物すごく大きいものに感じはしないかということで違和感を感じましたので、私は「実務への影響」というよりは、これは具体的には「実務上の必要性」などを勘案するとか、そういう言葉のほうが、今後検討する内容としては適切なのではないかと思いました。

その上で、さっき山本健司委員がおっしゃっていた消費者の利益の観点ということを入れるというのは、これも当たり前と言えば当たり前なのですが、この「実務上の必要性などを勘案しつつ」という文言を入れるのであれば、これも入れたほうがバランスとしてはよろしいのではないかと思います。

以上です。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

今のような御提案ありました。もし御意見があれば伺いたいと思います。阿部委員。

○阿部委員 現実に今までの契約条項や業法等により、これまで認められている場合がありますので、「実務への影響」という言葉は維持していただきたい。そうであれば、山本健司委員の修正提案には反対しません。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。「実務への影響」という言葉については、大澤委員から御指摘がありました。「実務の必要性」になりますと、より一層、何を言っているか、解釈がさらに必要になってくるかもしれません。もちろん適切な言葉があればと思いますが、これまで議論してきたことが「実務への影響」と表現できるかどうかについては、御意見がさらにあるかもしれませんけれども、そのような方向性だったのではないかと思います。

松本理事長。

○国民生活センター松本理事長 よく考えると、不当条項を消費者契約法で無効にしようとか、一部無効にしようということ自体が、そこの面では実務に影響を与えようとする強い意思でもってやるわけであす。実務に影響を与えないような法改正だったら、やっても意味がないじゃないかということになってしまいかねないので、ここで言う実務への影響というのは、過度のとか、不当なという趣旨だと思うのです。そうでないと、影響を与えないような立法なんて何のためにやるのですか。やる必要ないじゃないですかということですね。だから、もうちょっと何か形容詞をつけたほうが適切ではないかというのを、今までの議論から感じた次第です。

○山本(敬)座長 御指摘ありがとうございました。

これも読み方の問題なのですが、恐らく言わんとするところは、実務にどのような影響が生じるかということを考えるということではないかと思います。他方で、もしつけ加えるとしても、当該条項が消費者にどのような不利益をもたらすかを勘案しつつということになるのではないかと思います。そのような意味合いだとするならば、このままでよいのかもしれませんが、なお、より明確に趣旨をはっきりさせるほうがよいというのであれば、今、私が申し上げたような形で修文するということも考えられます。御意見が出たところでもありますので、より明確に書くという方向でよろしいでしょうか。日本語としましても、そのほうが読みやすいかもしれません。

事務局のほうから、よろしいでしょうか。

○事務局 修文を検討します。

○山本(敬)座長 河上委員長。

○消費者委員会河上委員長 これで結構なのですけれども、先ほどから話が出ておりますように、不当条項の中身を考えるときには、消費者に課せられる不利益と実務に及ぼす影響、不適切な影響があるかどうかということも含めて考えましょうということで、これは全部にかかわります。そうだとすると、最初の39ページあたりから書くのであれば、それぞれのウの最後の文章には全て書いていくのがよろしいかと思います。でないと、抜けているところではそれが要らないかのように読まれかねない。そうでなければ、例えば不当条項規制の頭に一般的に一文を入れておいて、あとは全部消してしまうとか、そういう方法もありかなという気がするのですが、どうなのでしょう。

○山本(敬)座長 この点については、当然のことであるという先ほどの指摘ともかかわりますが、書くまでもなく、全体について、これらのものを考慮して改正を考えるということだと思います。その意味では、全てにかかわることですので、個別に書くというよりは、冒頭ないしは最後にまとめて書くというのは一つの考え方だと思います。

ただ、これまでの議論の経緯では、特に不当条項については、このようなことを考慮していただきたいという御意見が強く出されていたところだと思います。それを反映して、ここでは書くことになっているのだろうと思います。それにしても書き方の問題はありますので、先ほどのような工夫をしてバランスをとって書くということが御提案の内容ではないかと思います。全体にかかわり得ることだという御指摘は、私もそのとおりだと思いますけれども、特に御意見があったところですので、それはまた別に尊重しないといけないのではないかとも思います。よろしいでしょうか。

沖野委員。

○沖野委員 重複を恐れずそれぞれに書くことでよろしいのではないかと思うのですけれども。対象箇所ですが、山本健司委員が一通り言ってくださった中に含まれていたのかどうか。39ページの6行目は含まれていたのでしょうか。もともと黒字の部分です。

○山本(敬)座長 そうですね。39ページの6行目。

○沖野委員 恐らく考え方の趣旨からすると、修文が入っているところだけではなくて、ほかのところもある可能性がありますので、それは事務局におかれまして、念のためチェックしていただければと思います。

○山本(敬)座長 御指摘ありがとうございました。趣旨は全てに当てはまっていると思います。

それでは、第4について、ほかに御意見等がありましたら、お出しください。いかがでしょうか。大澤委員。

○大澤委員 先ほどから混乱を招いて申しわけないのですが、1点疑問があるのですけれども、39ページのウで、解除権・解約権を放棄させる条項と制限する条項について、ウで検討して、マル1は放棄させる条項のほうだと思いますが、議論の流れとして、これはイにも書いていますけれども、恐らく放棄させる条項は、これは基本的には無効とすべきだという方向で異論はなかったのではないかと思っています。それは、37ページのアにも実際にそう書いてあります。その上で、放棄させる条項と制限する条項の区別をどうやって行うかのほうが、どちらかといえば議論になったのではないかと理解しています。

その上で、このウの頭から4行ぐらいを読みますと、「区別を明確にした上で、実務への影響などを勘案しつつ、これを例外なく無効とする規定を設けることが考えられる」。もともとは「考えられる」だったと思うのですが、これが、「について引き続き検討すべきである」。「引き続き検討すべきである」という言葉も何度も今後出てきますけれども、そういうふうに変えたのはどういう趣旨なのかということです。これは、区別する理由については、今後、十分に検討しなければいけないと思いますけれども、放棄させる条項自体は、基本的にはこれは無効とすべきだということで、意見はある程度まとまっていたのではないかと記憶しているのですが、これについてお聞かせください。

○山本(敬)座長 では、事務局のほうからお願いします。

○事務局 この点については、明確化の問題とも少し重なる面はあるかと思いますけれども、阿部委員のほうから、この解約権放棄の場合についても同様に考える場面があるという御指摘があったというところで記載しているものでございます。

○山本(敬)座長 区別そのものが明確にできるのかということと同時に、マル2の制限する条項について、このような考え方をとるというのであれば、マル1についてもなお検討の余地があるのではないかという考えがある。それを踏まえて、このような書き方にしたということだと思いますが、よろしいでしょうか。そのような趣旨だと理解していただければと思います。

では、ほかの点について御意見等がありましたら、お出しください。丸山委員。

○丸山委員 42ページでございますけれども、解釈権限付与条項と決定権限付与条項に関して、イの議論の特に後半では、マル1とマル2の2つの区別ができるのかという問題と、区別すること自体に理由があるのかといった意見があったところであります。そうすると、今後の検討の仕方として、そもそもこのマル1とマル2について区別ができ、かつ区別することが合理的なのかということを引き続き検討した上で、マル1、マル2の内容を詰めるという展開になるのではないでしょうか。つまり、マル1、マル2を明確化するのだということが、ウでまず方向性として提示されているのですけれども、そういう方向性を決めてしまってよろしいのでしょうか。私からの疑問提起でございます。

○山本(敬)座長 今の御指摘は、修文としてはどの部分を。

○丸山委員 修文としましては、採用にならないかもしれませんけれども、例えばウの冒頭でマル1とマル2の区別について、区別ができるか、区別する合理的な理由があるかを引き続き検討した上で、マル1について、マル2について、こうするといった形での検討をしていったほうが、検討の順番としてはよいのではないかと思った次第です。

○山本(敬)座長 そうしますと、マル1で、マル2との区別を明確にした上でという部分が、もちろん明確にすることを検討した上での意味なのだろうと思いますけれども、そのことがわかるように2文に分けて書いてはどうかという御提案だったと理解すればよろしいでしょうか。

○丸山委員 はい。

○山本(敬)座長 それは、事務局のほうではいかがでしょうか。そのような趣旨で書かれていたのかということの確認でもありますが。

○事務局 今、座長に御指摘いただきましたように、ウの解釈権限付与条項について明確にできるかということで、御議論がもともとあり、それについては、さらに議論する必要があるというところで、この42ページのウの1行目の「区別を明確にした上で」というところで、明確にできるかどうかというのを検討する趣旨で書いているものではございます。その上で御検討いただければ。

○山本(敬)座長 最低限の修正をするのであれば、「マル1解釈権限付与条項については、マル2決定権限付与条項との区別を明確化することができるかどうかという検討を踏まえた上で」と後ろに続けるということであれば、丸山委員の御指摘も含まれ、趣旨は示すことができるだろうということではないでしょうか。事務局のほうは、それでよろしいでしょうか。

○事務局 もともとそういう趣旨で記載してございますので、反対がなければそれで。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

それでは、ほかの点について御意見等がありましたら、お出しいただければと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(5)「第5 その他の論点」について

○山本(敬)座長 では、時間が大分迫っていますけれども、「第5 その他の論点」につきまして御意見等いただければと思います。とりわけ修文にかかわる部分につきまして御意見等をお出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。特にないということでよろしいでしょうか。

それでは、休憩に入りたいと思うのですが、その前に全体を通じて、もし御発言漏れがあれば、今、お出しいただけるほうが後で進めやすいと思います。もし御補足いただく御意見があれば、今、お出しいただければと思いますが、いかがでしょうか。山本健司委員。

○山本(健)委員 新しい意見ではなくて確認です。戻って恐縮ですけれども、2ページ目の第1の第2段落、「まずは」からの部分です。先ほど、インターネットの普及で、たくさんある情報から情報を選ばないといけなくなったということが、消費者にもたらされる悪影響の一つである、というご指摘がありました。それはそのとおりだろうと思うのですけれども、原案の2行目にある「多様化・複雑化」ということには、それにとどまらない問題点が含まれていると思います。具体的には、 取引の申込みの形式ですとか、情報の提供の仕方といったことへの影響もあると思います。この点、情報の氾濫というのはあくまでインターネットの普及が消費者にもたらす一部の影響の例示であって、多様化・複雑化の内容や消費者保護を検討する必要性の根拠を情報の氾濫に限定するのは適当ではないと思います。したがって、この部分については、そのような限定をしているといった誤解を招かないような表現で、例えば、「インターネットの普及を通じ、消費者が関わる取引が多様化・複雑化しており、それに対する消費者保護を検討する必要がある」といった表現で、修文していただきたいと思います。念のため、その点を補足させていただきたいと思います。

○山本(敬)座長 沖野委員。

○沖野委員 今のところは、休憩後に改めて修文をいただけるのでしょうか。河上委員長から提案があったところです。

○山本(敬)座長 では、河上委員長からお願いします。

○消費者委員会河上委員長 それでいいのかどうかは、また御判断いただかないといけないのですが、先ほど申し上げたのは、「消費者に関わる取引が多様化・複雑化し、氾濫する情報によって適切な判断が困難となり、またトラブルに巻き込まれる機会が増大している」ということを書いた上で、「消費者が正確な情報を選択した上で取引を行うことができるように配慮することが求められている」という形で修文してはどうかということを申し上げました。恐らく山本委員がさっきおっしゃったことは含まれているのではないかと思います。

○山本(健)委員 含まれているということでしたら、結構でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

ほかに御補足いただく点がもしあれば、お出しいただければと思います。よろしいでしょうか。

それでは、長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。

それでは、15分休憩をとりまして4時に再開し、その後、修文等について改めて御議論いただきたいと思います。

それでは、休憩いたします。

(休憩)

(6)修正案について

○山本(敬)座長 少しおくれてしまいまして、申しわけありませんでした。ただいまより議事を再開いたします。

先ほどまでにお伺いした御意見を踏まえまして、何点か修正案をお示ししたいと思います。事務局から修正案について説明をお願いいたします。

○事務局 では、幾つか提案を申し上げたいと思います。口頭で申し上げますが、なるべくゆっくりと、はっきりと申し上げたいと思います。

まず、2ページの第1でございます。

「まずは」以下、2段落目ですが、先ほどの御議論を踏まえまして、「インターネットの普及」以降ですけれども、「消費者が関わる取引が多様化・複雑化するとともに」をここでは削除します。通して申し上げますと、その後「消費者による情報の収集等が容易になっている側面もあるが、消費者が関わる取引が多様化・複雑化し、情報の量も増加する中で、消費者がトラブルに巻き込まれる機会が多くなっている。そこで、消費者が正確な情報を選択した上で取引を行うことができるように配慮する必要がある」。これがまず1点でございます。

それから、下の「また」で始まる第3段落ですが、上から5行目の「事業者の経済活動が円滑に進み」の「事業者の」を削除いたします。

それから、3段落目の下から2行目の「問題となる事例解決」の一文ですけれども、「問題となる事例の解決による消費者被害の救済を図るとともに」。

これが2ページの修文案でございます。

それから、5ページで、先ほど沖野委員に御指摘いただいたところですけれども、真ん中の「マル4については」の前を、「これに対し、マル4については」という形にいたします。

それから、「マル4については」の下の行ですけれども、「団体であれば法の適用があると考えるべきという意見がある一方で」というところについて、「団体であれば法の適用があると考えるべきという意見や、それを明文化すべきという意見がある一方で」という形で修正してはどうかと提案いたします。

それから、その下の「マル5については」の前の「以上に対し」を、上との関係で削除いたします。

それから、「マル5については」ですけれども、先ほどの提案を受けまして、「マル5については、実質的に消費者と大差のない小規模事業者に消費者保護規定が準用される旨を法文化すべきであるという意見もあったが」。

それから、その下のウの上から3行目の「法の適切な解釈・適用により相応に対処できる」という前に「基本的には、」を入れ、「基本的には、法の適切な解釈・適用により」という形に修文いたします。

それから、7ページ、ここも先ほど沖野委員から御指摘いただいたところですが、イの「法的義務として定めるとしても」というところですが、「法的義務として定めるという意見もあったが、その意味をどこに求めるかについてはさまざまな考え方が示されたところである」。イについては、この後の記述を全て削除します。

そして、ウに「以上を踏まえ、契約条項の内容が不明確であり、その意味を確定することができない場合について、契約条項の解釈に関する条項使用者不利の原則を検討することが考えられる」。すなわち、イで削除したところを全て持ってくる。

それから、12ページ、3のアの一番下ですが、「(不告知型)とに分けて検討する考え方がある」の「分けて」を削除し、「類型化して」と修正いたします。

13ページのウも同様ですが、「不実告知型と不告知型とに分けて」というところを「類型化して」と修正いたします。

それから、20ページ、(3)のアの先ほどの「適合性原則」のところ、4行目の「適合した形での勧誘を行うことが求められる」以下ですけれども、「適合した形での勧誘を行うことが求められるという考え方が問題となることがある」。後ろにつなげるわけです。「という、いわゆる(広義の)適合性原則」というところを「考え方」に変えて記載します。

それから、そのすぐ下の「高齢者の消費者被害の中には」の「高齢者の」を削除いたします。

それから、その2行下の「利用して不必要な契約を締結させたなどの」を修正いたしまして、「不必要な契約を締結させた事例や、心理的な圧迫状態、従属状態等を利用して不必要な契約を締結させたなどの事例も多く見られる」。

それから、21ページの一番上の行、「まず、前提として、事業者が認知症等を患った高齢者」という後に「等」を入れます。「認知症等を患った高齢者等の判断力の不足等」と続きますけれども、「等」を入れさせていただきます。

それから、39ページのウ、不当条項のところで「実務への影響などを勘案しつつ」の点でございますけれども、この「実務への影響などを勘案しつつ」の前に「当該条項が消費者に与える不利益のほか、実務へどのような影響が生じるかなどを勘案しつつ」。

このウのマル1の一番下から2行目のところですけれども、ここにも「実務への影響」が出ていまして、ここも今と同じ記載をしたいと思います。そうすると、「のほか」が2回続きますので、その前の「これらを区別する理由のほか」の「のほか」を「これらを区別する理由とともに、当該条項が消費者に与える不利益のほか、実務へどのような影響が生じるかなどを勘案しつつ」。

それから、その後でこの「実務への影響などを勘案しつつ」が出てくるところには、全て同じ修文をさせていただく。

それから、42ページですけれども、ウの1行目、「マル2決定権限付与条項との区別を明確にした上で」というところを「決定権限付与条項との区別を明確にすることができるか否かを踏まえた上で」という形に修文させていただいてはどうか。

最後、49ページの「おわりに」の上から5行目ですけれども、「中間取りまとめに対する意見を幅広く聴取した上で」の後ですが、以下の部分を追記いたします。「事業者の不適切な経済活動から消費者の利益を保護する必要があるという観点や」、その後の「事業者の適切な経済活動」に続きます。

以上でございます。

○山本(敬)座長 ありがとうございました。

時間をかなり過ぎてしまっていますが、続けさせていただければと思います。

御意見を踏まえた修正案として、ただいま事務局より説明した内容で御賛同いただければと思いますが、この点につきまして、もし御意見があればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。古閑委員。

○古閑委員 2ページのところ、休憩後に議論がという話があったので、改めて申し上げたいと思いますけれども、今の修文の中で「消費者がトラブルに巻き込まれる機会が多くなっている」という文言が入っていたと思うのですけれども、この点について、その検証をこの場で余りした気がしません。第12回の参考資料3で出されているデータは、世の中的に余りデータがない中、数少ないデータとして出てきた資料だと思っておりますけれども、それによると、最終ページは、詐欺を含むとおかしな話になってしまうので、それを除いたものとしてのデータとしては、横ばいの数字になっていまして、多くなっているというのは、そのような検証が本当にされているのかどうか。これについては、再三、事実に基づいた議論をしたいと申し上げてきたところです。 その検証がちゃんとされないのであれば、多くなっていると書き切ることについては反対いたします。済みません、私、この後時間がないので、これで退席させていただきますけれども、ぜひ御検討いただきたいと思います。

○山本(敬)座長 それでは、事務局のほうからお答えをお願いいたします。

○事務局 古閑委員に少しだけ確認させていただきたい。ここで事実の検証は難しいと思いますので、記載ぶりとしては、趣旨を踏まえるという意味で、「トラブルに巻き込まれる場合もある」という形であればよろしいでしょうか。

○古閑委員 はい。

○山本(敬)座長 それでは、そのように修正をさせていただくということでよろしいでしょうか。

ほかにもし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。山本健司委員。

○山本(健)委員 メモをとりきれなかったので、2ページの第2段落の最後の一文だけ、もう一度お願いできますでしょうか。

○事務局 3段落目のところ。

○山本(健)委員 「まずは」から始まる段落の一番最後の文章だけで結構です。

○事務局 「場合もある」の後ということで、「そこで、消費者が正確な情報を選択した上で取引を行うことができるように配慮する必要がある」。よろしいでしょうか。

○山本(敬)座長 山本健司委員。

○山本(健)委員 ありがとうございました。

今の部分について、当然のことかもわかりませんけれども、「取引」の前に「意図した内容の」という7文字を入れていただけませんでしょうか。

○山本(敬)座長 今の点について、もし御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。「消費者が正確な情報を選択した上で、意図した内容の取引を行うことができるように」という表現にしてはどうかという御提案でしたが。特に御異論がないと見てよろしいでしょうか。事務局のほうからは。

○事務局 御異論がなければ、そういう形で修正したいと思います。

○山本(敬)座長 それでは、この場で改めさせていただきます。

ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。沖野委員。

○沖野委員 7ページのウは、「よって」の前に加えるということであって、「よって」以下はそのまま生きると理解してよろしいでしょうか。確認だけです。

○事務局 そのとおりでございます。

○沖野委員 ありがとうございます。

あと1点ですけれども、「実務への影響」という文言についてです。39ページから出てくるかと思いますけれども、修文の提案ですと、「当該条項が消費者に与える不利益のほか、実務へどのような影響が生じるか」ということですが、これですと、後のほうの影響は無効とすることによって、どのような影響が生じるかということであり、前者のほうは、そのまま維持されたときの不利益かどうかということで、その部分が違っているのではないかと思われます。

そこで、当該条項というのは、今、解除権を放棄させるとか、そういう条項だと思いますので、「当該条項が消費者に与える不利益のほか、当該条項を無効としたときに実務へどのような影響が生じるかなどを勘案しつつ」という形のほうが、よりわかりやすいのではないでしょうか。文言はふえますけれども、例えば40ページのウの前の意見のところで書かれているのも、無効になったときにどういう影響が及ぶかということですので、そのほうがよろしいのではないかと考えますが、いかがでしょうか。

私も申しわけないのですが、中座させていただきます。

○山本(敬)座長 今の御意見について、もしさらに御意見があれば伺いたいと思いますが、特に御異論はないということでよろしいでしょうか。

そうしましたら、御提案のとおり、「当該条項を無効にしたときに実務にどのような影響が生じるかを」という形に改めるということでよろしいでしょうか。

ほかに御意見があればと思いますが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、ありがとうございました。御意見等をいただきましたが、修正としては、先ほど申し上げたとおりで御異論なかったということですけれども、さらに字句の修正等があるかもしれません。そうした字句の修正等につきましては、座長である私に御一任いただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございました。

それでは、このような方向で本専門調査会の中間取りまとめとさせていただきます。8月11日に開催予定の消費者委員会本会議にも、私から報告をさせていただきたいと思います。

本日の審議は以上のとおりとなります。長時間にわたりまして、今日も本当に不手際で4時半になってしまいました。どうもありがとうございました。

最後に、事務局から事務連絡をお願いしたいと思います。


≪3.閉会≫

○丸山参事官 まず、本日の中間取りまとめまでの間に座長及び委員の皆様方には多大な御尽力をいただきましたことを、事務局から改めて感謝申し上げます。

今後についてですけれども、中間取りまとめにも記載しておりますように、本専門調査会につきましては、今秋以降にも検討を行っていくことを予定しておりますが、具体的な日程につきましては、今後調整した上で確定次第、御案内させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山本(敬)座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。昨年秋以降、合計17回にわたりまして御審議をいただきまして、ここまで何とかこぎ着けることができました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

以上