第12回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2015年6月11日(木)9:57~11:17

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、陶山委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
岩田委員
【説明者】
総務省 片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官
総務省 本橋総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課課長補佐
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官
消費者庁 河津審議官、岡田消費者調査課長、石井企画官

議事次第

  1. 開会
  2. NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて総務省ヒアリング
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大貫参事官 多少早いですけれども、皆様お集まりになっておりますので始めさせていただきます。

本日は皆様お忙しいところをお集まりいただきありがとうございます。ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会」の第12回会合を開催いたします。

本日は所用により、蟹瀬委員、白山委員、松村委員、山内委員、消費者委員会担当委員の橋本委員、山本委員が御欠席ということで御連絡をいただいております。

議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきます。

お配りしております資料でございますが、議事次第の下にあります配付資料一覧のとおりでございます。不足の資料がございましたらば、事務局のほうにお願いいたします。

なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日、公開することといたします。

それでは、古城座長に議事進行をよろしくお願いいたします。

≪2.NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数見直しについて総務省ヒアリング≫

○古城座長 本日の議題は「NTT東西プライスキャップ制度の基準料金指数の見直しについて」です。東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する加入電話等にかかる料金について、平成12年10月1日以降、プライスキャップ制度が導入されています。

プライスキャップ制度の料金水準の上限を示す基準料金指数を総務省が設定するに当たって必要となる生産性向上見込率、X値については3年ごとに見直しが行われることになっています。

NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金にかかわる基準料金指数の算出方法の設定または変更は、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金等となっております。付議するに当たり、消費者庁より消費者委員会の意見を求められております。

本日は基準料金指数の見直しについて総務省から御報告をいただいた上で、公共料金等専門調査会としての意見を取りまとめたいと思います。

よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入らせていただきます。

本日はプライスキャップ制度における料金水準の上限を示す基準料金指数をどのように見直したのかを中心に御説明いただきたいと思います。

総務省におかれてはお忙しいところを御出席いただきまことにありがとうございます。説明時間につきましては、大体20分程度でお願いいたします。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 ありがとうございます。総務省料金サービス課の片桐でございます。それでは、説明をさせていただきます。

資料1-1をごらんください。

こちらが今回の基準料金指数の設定について1枚でまとめたものでございます。

「1.背景」につきましては、今、古城座長がおっしゃったとおりでございまして、生産性向上見込率(X値)は3年ごとに算定しておりまして、今回、主に御審議いただくものでございます。

「1.背景」の一番最後の行でございますけれども、X値の検討につきましては、総務省におきまして、今年の2月から「プライスキャップの運用に関する研究会」を開催しました。こちらの座長は辻正次兵庫県立大学教授でございます。こちらの研究会の中で御審議いただきまして、X値の考え方を整理させていただきました。

具体的には「2.設定事項」のところでございますけれども、こちらのバスケットは2つございまして「音声伝送バスケット」全体のものと、特にその中から基本料の部分に係るところを切り出した「加入者回線サブバスケット」というものです。この2つについて、それぞれこのような基準料金指数を設定させていただきたいというものでございます。

詳しい内容につきましては、資料1-2の参考資料に基づいて御説明させていただきたいと思います。

1ページおめくりください。まず、制度の概要について簡単に申し上げたいと思います。

基本的な枠組みですが、電気通信役務の料金その他の提供条件というのは、基本的には自由な交渉に委ねて、競争の中で適切な料金を設定していただくという形になっています。そのときの市場の失敗を是正するための措置としまして、何か問題が生じた場合には、業務改善命令等で事後的な救済を図るというのが基本的な枠組みでございます。

下の表をごらんいただきたいと思うのですけれども、電気通信サービスを大きく「固定通信」「移動通信」「音声通信」「データ通信」に分けまして、表にしてみますとこのような形になります。

現在、移動通信については基本的には事後規制のみという形になっております。

固定通信につきましては、右側の四角囲みの一番上に「基礎的電気通信役務」がございますが、これはいわゆるユニバーサルサービスでございまして、契約約款について事前届出を行う必要がございます。

その下に「指定電気通信役務」とございますけれども、これは、競争の中では他の電気通信事業者による代替的なサービスが十分に提供されていないものでありまして、最低限保障する約款について事前届出を行う必要がございます。

さらに「指定電気通信役務」の中で、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務を切り出したものを「特定電気通信役務」としまして、その料金をプライスキャップ規制にかからしめております。

今回、こちらの役務についての規制ということになるのですが、左側の表の一番左上に例と書いてございますが、具体的には、NTT東西の加入電話、ISDN、公衆電話がプライスキャップ規制の対象になっております。

3ページは御参考でございますけれども、電気通信サービスの契約数の推移でございまして、携帯電話等が大きく伸びている一方で、加入電話とISDNというのは青い線ですが、契約者数自体がどんどん少なくなってきている状況でございます。

4ページ目「プライスキャップ制度の概要」でございます。

こちらは、先ほど座長がおっしゃったとおりですが、改めて簡単に御説明させていただきます。もともと、地域通信市場は、なかなか競争事業者が参入できない市場であったために、実質的にNTT東西により独占的なサービス提供が行われておりまして、その料金が横ばいとなっておりました。そういう状況を踏まえまして、特に、利用者の利益に及ぼす影響が大きく、国民生活、経済に必要不可欠なサービスを「特定電気通信役務」と規定いたしまして、NTT東西に経営効率化インセンティブを付与しつつも、市場メカニズムによる場合と同等の実質的な料金の低廉化が図られるようにということで、平成12年10月からプライスキャップ規制が適用されているというものでございます。具体的な適用サービスについては先ほど申しました加入電話、ISDN、公衆電話になります。

基準料金指数でございますけれども、こちらは中ほどにある四角囲みの数式によって定められております。具体的には、消費者物価指数(CPI)の変動率ですとか、X値、外生的要因によって決定されるということになっております。

この指数自体は、毎年10月から1年間の適用期間ではございますけれども、基本的にX値が決まればほぼ機械的に決まってしまうものでございます。このX値が3年に1度見直されるということで、この機会に御審議いただいているというものでございます。

この指数については、先ほどの繰り返しではございますけれども「音声伝送バスケット」のほかに、基本料部分を切り出した「加入者回線サブバスケット」があるという形になっております。

このプライスキャップ規制でございますけれども、上限値を超えてはいけないというものではなく、この上限以下であれば届出だけで料金を設定できる一方、上限値を超える場合は、その料金設定を総務大臣に認可申請していただきまして、認可を受けることによって設定できるといった仕組みになっています。

5ページ、6ページ目がこれまでの料金指数の推移でございます。

平成12年4月の時点を100といたしまして、現在、このような形で推移しているというものでございます。

一番下に、X値の値が書いてあります。「音声伝送バスケット」全体で申しますと、当初は1.9というX値がつけられておりました。その後はX値がCPI変動率に連動する形で設定されておりまして、今回は、0.4という値がつけられたというものでございます。

6ページ目の「加入者回線サブバスケット」については、こちらは当初よりX値がCPI変動率と連動している形だったのですけれども、今回、初めて0.4という値がついたという状況でございます。

7ページ以降で、今回、X値を0.4と設定させていただいた考え方について御説明したいと思います。

8ページ、X値の算定方法でございますけれども、こちらは事業者の収入、費用のデータの予測値を踏まえまして、3年間の最終年度にその収支が相償する水準にX値を算定するという形になっております。したがいまして、X値はCPI変動率から費用と適正報酬額、利益対応税を収入で除したものの三乗根を引いたもので求められるという形になります。

まず「特定電気通信役務の収支予測」につきましては、固定電話の回線数を元に予測をしております。先ほどグラフでも御説明しましたように、携帯電話とかIP電話などにどんどん移行が進んでおりますので、そういった影響を踏まえつつ、平成23年から26年までの4年間の四半期データを使いまして予測しております。

「特定電気通信役務の費用予測」につきましては、まずNTT東西に独自の効率化施策を織り込んで費用を予測してもらいました。ただ、これだけだとNTT東西の恣意性等を排除できない可能性がございますので、これをベースにしまして、総務省において回線数減少に見合う費用削減をしたらどうなるかとか、経営効率化分析を行った場合はどのようになるか等幾つかのパターンで、更なる削減可能性を検証して、費用予測に盛り込んでおります。

「適正報酬額」「CPI変動率」「利益対応税」はこれまでの考え方を踏襲しております。

このほか、この方法以外に全要素生産性向上率を使ってX値を算定するという考え方がございます。こちらは、データの取り方によって変動が大きい等の制約がございまして、この方法を使うのは時期尚早という整理が研究会内ではされたのですが、参考値としては使えるのではないかということで、このやり方で得られるX値についてもあわせて算出しております。

こちらが具体的な算出方法なのですけれども、その結果が9ページでございます。

今、申しましたとおり、幾つかのパターンでX値の試算をした結果が真ん中のグラフのとおりでございます。

右側に行くとX値がプラスになりますので、値下げを促進する方向になります。

左側に行けば行くほどX値がマイナスになりますので、値上げが容認される方向になります。

「NTT東西の収支予測に基づいた場合」というのは赤色のところでございまして、X値はマイナス2.1から0.9ということで、かなり値上げ容認の方向に振れるという形になっています。

これをベースにしまして、回線数の減少に見合う削減可能額を反映すると黄色のグラフになります。

ここまでが基本的にはマイナスでございます。さらに経営効率化分析を反映させたものですが、これは2つパターンがございまして、一つは「包絡分析法」という方法で分析した緑色のものでございます。もう一つが「確率論的フロンティア分析法」という方法で分析した青色のものでございます。こちらで、それぞれプラス0.4、0.7というX値が試算されました。

最後に参考としまして、全要素生産性向上率を使って算定した場合でございますけれども、こちらは紫色ですが、マイナス0.9から0.3という値が出たというものでございます。

前回、X値の見直しを行った際は、同じようにパターンごとにぶれはあったのですけれども、CPI変動率がちょうどゼロ近辺だったこともありまして、CPI変動率を中心に、プラスマイナス両側に振れておりました。このため、なかなかX値を一意に定めることは難しいということで、X値をCPI変動率と連動させてきたということだったのですが、今回は、同じようにパターンによって数値は変わっているものの、いずれもCPI変動率よりも下回っております。したがいまして、今回は、X値をCPI変動率に連動させるという考え方はとりませんでした。

そのかわりに、幾つかの分析手法の中で最も安定性があると判断されました緑色の「包絡分析法」による経営効率分析の結果を用いてX値を出すという整理をしまして、X値が0.4と定まったものでございます。

10ページ目、今、申しましたのが「音声伝送バスケット」についてでございますが、こちらは「加入者回線サブバスケット」についてでございます。加入者回線サブバスケットについては、当初よりCPI変動率と連動させてまいりました。つまり、値上げはしないでくださいといった形にしておりました。加入者回線サブバスケットの収支については、施設設置負担金が大きく絡んでおります。NTT東西の加入電話のサービスを受けるためには、今は3万6,000円ですが、最初に7万2,000円、施設設置負担金というのを払う必要がございました。この施設設置負担金は、会計上圧縮記帳をできることになっているので、施設設置負担金の分が除かれた形の収支データしかなく、実際の収支がデータからはわからないということになり、うまく収支予測が行えなかったという事情がございました。したがいまして、X値についてはCPI変動率に連動させるという運用を行って参りました。今回、同じような考え方をとることもできたのですが、実は、音声伝送バスケットの中身を見てみますと、音声伝送バスケット全体に占める加入者回線サブバスケットの割合が収入・費用のどちらにおいてもどんどん高まってきている状況でございました。

具体的には下の表をごらんいただければと思うのですが、平成16年度時点には音声伝送バスケット全体に占める加入者回線サブバスケットの収入・費用の割合は70%ちょっとくらいしかありませんでしたが、平成25年度時点では90%近くになっております。したがいまして、加入者回線サブバスケットのX値をCPI変動率に連動させ、基準料金指数を横ばいにしてしまいますと、NTT東西が料金設定を行おうとした場合に、全体の10%程度しかない通信料のところで調整しなくてはいけないということになってしまうため、メインとサブのバスケットで別々のX値をとるのは難しいのではないかという結論に至ったところでございます。今のような事情がございましたので、実際の収支予測はできないという事情は変わらないものの、X値については音声伝送全体のバスケットと同じ0.4をとるということで、整合性を保つという整理をさせていただいたものでございます。

以上のような形でX値というのを整理させていただいた結果、最初の資料1-1の一番下にある「2.設定事項」の表でございますけれども、平成27年10月から平成28年9月までの基準料金指数は音声伝送バスケット全体では94.8、加入者回線サブバスケットでは102.3となりました。

私からの説明は以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

御説明いただいた内容について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

○井手座長代理 説明ありがとうございました。

1点だけですけれども、NTT東西の経営状況、経営効率化も違うわけですが、NTT東西で統一のプライスキャップ、X値を使うということについてどういうふうに説明されるのでしょうか。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 こちらは9ページ目をごらんいただければと思うのですけれども、X値の試算結果でございます。

赤色と黄色と紫色については、例えば、赤色ですとマイナス2.1からマイナス0.9ということで幅があります。これは、実はNTT東西で別々に出しているものでございます。具体的にはマイナス2.1というのはNTT西日本の値、マイナス0.9というのはNTT東日本の値でございます。

ただ、この緑色と青色の経営効率分析については、分析を行うためには一定のサンプル数が必要になりますので、東西を分けて分析するのはなかなか難しいという事情がございまして、東西まとめて分析し、その結果を用いているというものです。

最終的には、今回、経営効率分析のうち「包絡分析法」という手法を用いたため、結果的には同じX値になっているものでございます。

確かに、東西それぞれ状況は異なるというところは十分承知はしているのですけれども、その点も加味した上でこの分析手法をとることが適切ではないかということを整理いただいたので、今回はこれで良いのではないかと我々は思っている次第でございます。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 御説明ありがとうございました。

2点御質問があります。

先ほど触れられました「プライスキャップの運用に関する研究会」の報告書も踏まえて御質問を差し上げてよろしいでしょうか。

X値の算出に関連してきます適正報酬額のベースになるレートベースなのですが、その算定の方法として、細かいことを申し上げて申し訳ないのですが、平成26年度から29年度の特定電気通信役務の正味固定資産に、平成25年度の正味固定資産に対する貯蔵品投資等の比率を乗じて得たものを新しい年度のレートベースとして算定したと書かれているのですが、同じ資料の中に、貯蔵品投資等に加えまして、運転資本が入ってございますが、その運転資本は回線等の減少によって営業費の削減が、少額でも32%の削減が可能であるということが書かれてあるのです。

そういう状況であるにもかかわらず、25年度の正味固定資産に対するこれら貯蔵品投資から運転資本等の比率を乗じることでレートベースが算定されているのですが、これはレートベースとしては大きくなるほうに動いて、X値としては下げる方向に働いているのではないかという質問です。

もう一点は、消費者物価指数変動率についてです。消費者物価指数変動率については、電気通信事業法施行規則19条の5において、消費者物価指数変動率は、基本料金指数の運用期間が始まる日の直近に終わる国の会計年度または暦年における消費者物価指数の変動率とすると書いてあるのですが、今回、1.8というCPI変動率の値は予測値も含めて平均化したものとして定められているとこの中に書いてあるのですが、それは許容されるのでしょうか。また、その予測値の確かさというのはどの程度なのかを教えていただきたいということです。

以上です。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 まず、レートベースのところについてなのですけれども、こちらのレートベースはプライスキャップだけではなくて、接続料の算定をするときにも同様に使われている一般的な手法でございますので、今回、研究会の中で特段そこは議論になってございません。

もう少し言いますと、適正報酬額は、自己資本部分の報酬と他人資本部分の報酬を合わせたものですが、自己資本部分の報酬は半分しか乗せていないという形になっています。プライスキャップではこれまでずっとそのようにされていたのですけれども、例えば、接続料では自己資本部分については全て乗せるという形になっていますので、プライスキャップでとられている報酬額の設定の考え方は厳しいものだと思っております。

繰り返しではございますけれども、研究会としては余りそこは議論にはなっておらず、我々として、過大に利益を乗せているとは考えていないところでございます。もし、仮に今おっしゃった点を見直そうということで検討するとすれば、そもそも自己資本部分については報酬額として積み増せるのではないかという議論も出てくることが想定されます。今回はこういった形で整理はされたのですけれども、もし、関係各所からそういった意見が出れば、次回はそこも踏まえた形で検討することになろうかと思います。

ちなみに、本件はパブリックコメントを募集しておりまして、意見は2件あったのですけれども、2件とも本件とは直接関係のない意見でございまして、その検証結果については関係事業者等を含めて、特段異論がなかったという状況ではございます。

次に、CPI変動率でございますけれども、予測値については予測なので、なかなかどれが正しいというのも言いづらいところがございます。一定の公的機関あるいはそれに準ずるところが出しているものを複数用意しまして、単純平均をして出すという形をしているので、一定の確からしさというのは保障されていると思っております。

○総務省本橋総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課課長補佐 実際に基準料金指数を計算する時は統計局の実績値を使ってやっております。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 今、おっしゃった省令については、基準料金指数の算定に用いるCPI変動率でございまして、それは統計局のデータを使っております。X値で使っているのはあくまでX値を算定するために使います予測値の話なので、省令に書いているものとは若干違うものでございます。

○陶山委員 ちょっと追加して。

その確かさを確認させていただけるのであれば、もし、平成26年度あるいは25年度については実数が出ておりますので、それに対しての政府、日銀、日本経済研究センター等の予測値とのギャップはあったのかなかったのか。あればどの程度か、わかったら教えてください。

○総務省本橋総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課課長補佐 平成27年度の予測値についてですが、政府の数字としては、今年の1月に公表されております「平成27年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」から、1.4%という数字をとっております。次に、日銀の数字としては、今年1月に公表されております「当面の金融政策運営について」から、1.0%という数字を取っております。日銀の予測は0.4%から1.3%と幅をもって出されているのですけれども、その中央値ということで1.0%を採用しています。あと、日本経済研究センターの数字としては、今年の3月に公表されております「第41回中期経済予測」から、0.3%という数字をとっております。この3つを平均しまして、0.9%を平成27年度の予測値としております。

平成28年度の予測値については、同じ資料におきまして、日銀では2.2%、日本経済研究センターでは1.1%と予測しておりまして、その2つの平均をとりまして1.65%という数字を使っております。

この、平成27年度・28年度の予測値と平成26年の実績値、3つの平均をとりまして1.8%という数字を使ってございます。

○陶山委員 それは資料に書いてあるのですが、私がお尋ねしているのは、26年の予測値が25年なり24年に出されているとして、それと実態との差がどの程度あるだろうかと。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 過去の分ですか。

○陶山委員 はい。過去のものです。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 済みません。今、手元にないようなので、調べまして後日送付させていただきます。

○陶山委員 ありがとうございました。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

本日ご提出いただいた資料の御説明をいただいたのですが、本年2月にこの問題についての研究会の報告書が出ていると思うので、先に一つ要望なのですが、総務省さんのほうでは研究会で議論をされていらっしゃると思うのですけれども、私たちには、この資料だけでX値が妥当かどうかということを判断することは非常に難しいです。私もホームページなどは拝見させていただいて報告書などを拝見したのですけれども、議事録なども出ていないし、議事概要についても簡潔に標題が出ているだけで、どういう議論が研究会でなされたかということがよくわかりません。できましたら、議事録なども総務省さんのホームページにこの問題について上げていただきたいというのが要望でございます。

それから、9ページのX値の算定結果ですけれども、この説明を普通の消費者が見て理解できるかという観点で見ていたのですが、総務省さんの報告書の中には、市場のマーケットは移動電話に圧倒的に移行するというデータがあると思うのですけれども、このままで行くと、ずっと収入に対して費用が過大になっていくので、どうしてもこの固定電話の部門においては値上げせざるを得ないというか、現状、決して値下げすることができないということはもう既定の事実だと思います。その中で「包絡分析法」ということを採用しているという理由。このプライスキャップという制度のあり方自体を含めて、今回、この方法を採用された理由を教えてください。X値の0.4%という数字が明確な根拠のない、丼勘定のように見えてしまうので、そこのところをもう少し細かく説明してください。また、最初に井手委員が質問されたように、十数年以上もNTT東西の別料金の問題は議論されていると思うのですけれども、どうしてNTT東西の料金や算定に係る議論を別々とすることができないのかということも、今回の議題の枠を超えますが、X値算定に関する範囲で教えていただけたらと思います。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 まず、御要望の点なのですけれども、今回の研究会自体はNTT東西の非公表データを扱っているという性質がございますので、会議自体は非公表としまして、議事については細かな議事録という形ではなくて、議事概要という形で出すという形になっています。

ただ、先生がおっしゃったとおり、内容についてよくわからないということであれば、もう少しわかるようにしなくてはいけないかと思いますので、今後、NTT東西の非公表データを使うという縛りを踏まえながらも、その上でなるべくわかりやすい形で出していけたらと思います。それがまず1点目でございます。

2点目についてなのですけれども、確かに固定マーケットはどんどん小さくなってきておりまして、収入はどんどん減っております。ただ、一方で何とか頑張れば費用を削減することも可能ということでございます。

ただ、どこまで費用を削減できるかどうかというところがまさにこの効率化をどこまで求められるかということになるのですけれども、気持ちとしてはできるだけ効率化してもらいたいのですが、一方で、X値の算定に当たってNTT東西に求める効率化の度合いというのは、一定の合理性をもっていなければならないと思っております。そうすると、どうしても経営効率化分析といった客観的な手法に基づいてやる必要があるのかなと思っています。

先ほどの井手委員からの御質問に御回答したときに申し上げたのですけれども、このグラフをごらんいただければと思うのですが、手法によっては東西別に出すことも可能でございますが、最終的に採用したのが「包絡分析法」だったということで、東西が一緒になってしまったということでございます。「包絡分析法」を採用しましたのは、もう一つの分析手法の「確率論的フロンティア分析法」に比べて手法としてより安定していること、少ないサンプルでも分析を行えるということで合理性がより高いと判断したものでございます。

一方、例えば黄色のNTT東西の費用予測を検証して、回線数の減に合わせてもう少し費用も削減できるのではないかという観点で検証した結果を使いますと、これは東西別に出すことは可能なのですが、どうしても回線連動コスト以外に効率化できるところを入れることができないので、経営効率化分析をするよりは費用削減が甘くなり、X値が低い値になりがちになってしまいます。ということで、この手法は採用しませんでした。

一番下の全要素生産性向上率を使っても東西別に出すことが可能です。全要素生産性向上率とは、収入などの産出量の伸びのうち、資本や労働などの投入量の増加による寄与では説明できない部分とされておりまして、投入量と産出量の伸びを比べて全要素生産性向上率を算定した後に、それを元にX値を定めるという手法です。しかしながら、全要素生産性向上率の算出にあたりましては、基準をどこに設けるかとか、期間をどれくらいにするかということで大きく数値が変わってしまうことから、研究会の検討の中でも、この手法をメインにするのではなくて、あくまでも参考値として扱うのが今回は適当ではないかといった御判断をいただきまして、我々としてはそれに従っております。

本来、こういった分析等はサンプルが多ければ多いほどより適正な結果を導き出すことができると思うのですけれども、NTT東西自体、非常に効率化を進めていて、支店もどんどん集約しつつあります。そうすると、経営自体は非常に効率化が高まって良いのですが、分析をしようとしますと、サンプル数が少なくなってしまい、適切な分析を行いにくくなるということが、非常に苦しいところでございます。そういった中で、今回得られたデータの中で行うことができ、一番客観的かつ適正だと思われる手法を使った結果、東西一緒の結果になってしまったというところでございます。

3年間はこの結論でやるのですけれども、今後、将来的に必ずしもこれに縛られるものではないので、より分析手法が洗練されて良いものができたとかあるいはもう少しこういうふうにしたほうがいいという知見が得られればそれを積極的に取り入れて、改善していきたいと思っています。

以上でございます。

○古城座長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 3つあります。

一つなのですが、この検討の過程で、消費者団体の意見がどういう形で反映されているかということについてお聞きしたいのですが、先ほどパブリックコメントは2件だけで、多分、消費者団体からの御意見はなかったということかと思うのですけれども、例えば、研究会の委員に消費者団体の関係者が入っているのかどうかとか、研究会は関係する審議会に上がって、そこで審議されたのでしょうか。その場合に、その審議会に消費者団体の関係者がいたかどうか。消費者の意見を、キャップを決めるプロセスの中でどういうふうに取り入れていくか。そこについての現状とお考えをまず聞きたいというのが1点目です。

ほかは別のことなので、どうぞ。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 わかりました。

この点については、研究会自体はあくまでもX値の算定にあたり、どういった分析をしていくかという手法の研究会ですので、そこには消費者団体の方は委員としては入ってございません。

しかしながら、本件については、情報通信行政・郵政行政審議会の電気通信事業部会で御審議いただいており、本部会には消費者団体の関係者が含まれてございます。総務省の決定は、電気通信事業部会の答申に基づいて行われるものですので、その中には適切に消費者団体の意見が反映されていると考えてございます。

○岩田委員 引き続きよろしいでしょうか。

消費者団体からは、本件についてはどんな意見が審議会では出されたのでしょうか。議事録で公表されているのかもしれませんが、私は見ていないので、よろしければ御紹介いただきたい。まだ第1点目にいるのですけれども、お聞きしたいと思います。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 今回は特段の御意見はいただいておりません。

○岩田委員 そうですか。わかりました。

2点目なのですけれども、大変専門的で消費者の皆さんが理解するのは難しい。私自身もなかなか理解が難しいというところがあるのですが、御説明いただいた資料の4ページなのですが、4ページのマルサンのところに算定式がございますけれども、消費者物価指数変動率は先ほどの議論にありましたように1.8を使うということと、その次の生産性向上見込率は0.4を使うという御説明でした。外生的要因というのは、今回は何かあるのでしょうか。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 まず、こちらのCPI変動率は、先ほどの陶山委員の御質問とも関連するのですが、平成26年のCPI変動率ですので、2.7でございます。

X値は先ほど議論したものを使っております。

外生的要因というのは、何か特別の事情が生じたときのために入っているのですが、これまで使ったことはございません。

○岩田委員 そうすると、こういうふうに理解していいのでしょうか。

X値や外生的要因の要素がなければ、このキャップというのは消費者物価指数変動率に連動して今回は上がるだろうということ。また、生産性効率の要素としては0.4という効果を期待できる。こういうふうに判断されたと理解してよろしいのでしょうか。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 さようでございます。

○岩田委員 わかりました。ありがとうございます。

3つ目の意見なのですけれども、先ほど経年的なキャップの水準と実際の価格の表を見せていただきましたが、そこに相当のギャップがあって、それも長い期間そのギャップが続いているということで、このキャップ制度が価格を抑制するという機能がしばらくなかったのではないかという感じがします。物価上昇局面ではきいてくると思うのですけれども、そういう過去の経緯を踏まえますと、今、結構まだギャップがあるので、ここ3年の消費者物価上昇率は十分それで吸収できるのではないかという議論やキャップは据え置いたままであっても吸収できるのではないかという議論というのは、審議会あるいは研究会等でなかったのでしょうか。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 この点についてなのですけれども、確かにギャップがございまして、これまではデフレということもありましたので、なかなか電気通信事業者も料金を上げるということはしづらかったということが考えられます。

今後、物価上昇局面の中で、確かに事業者も値上げをする可能性がないとは言えないと思うのですが、一方で、今の水準というのは3年後にようやく収支が合うレベルでございます。したがいまして、それよりも低い値にするということは、NTT東西に制度的に赤字を強いるということになってしまいます。本来は、競争の中でうまく料金が設定されるというのが一番望ましい形だと思っていますが、競争がうまく機能しないものについて、補完的措置としてこのプライスキャップ制度を入れているという観点に立ちますと、NTT東西に制度的に赤字を強いてまでプライスキャップを抑制させるというのは行き過ぎなのではないかと思っております。

したがいまして、今回、そういった意味で費用について、なるべくこちらとしてもぎりぎりの細かいところまで詰めまして、さまざまな経営分析手法を用いて、ここまでだったら何とかできるのではないかというところで、X値を算定しましたが、それでもCPI変動率には届かなかったということでございます。

結果的には、今回、X値がCPI変動率を下回って、基準料金水準が上がるということにはなるのですけれども、それ以上をやるとすると、今度はNTT東西の事業体としての存続を脅かすということになります。それをあえて許容して上限価格を据え置くという判断は我々しなかったものでございますし、研究会とか審議会の中でもそのような御意見はなかったものでございます。

○古城座長 次は矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明どうもありがとうございました。

今、岩田委員からの御質問と御説明で私のほうの疑問も少しは解消されてはきつつあるのですが、主に3点になりますが、1点目が先ほどの4ページのマルサンにあります四角で囲ってある指数の出し方につきまして、消費者にどこまでわかりやすくというのは、さまざまな研究会やこういった委員会等で意見を出し合いながら、最終的に消費者に事業者が示すという形にはなると思うのですけれども、事業者が説明をするにしても、4ページのところの中身をもう少しわかりやすく。特に9ページの表、グラフとの関係で、9ページのグラフを見ますと、単純に値下げ促進になっていくという意味ではCPI変動率のみを使ったほうが値下げ促進に行くのではないかと単純な見方をしてしまうので、そのことを4ページのところで、今回はそうではなく0.4を使うというあり方をわかりやすく説明する部分を事業者のほうにもぜひお伝えしていただきたいと思うのが1点目です。

2点目は、実際の数値との乖離のことなのですけれども、岩田委員のほうからも、今、意見が出されましたが、5ページ、6ページのところで、そもそものプライスキャップ制度が機能していたのは導入された平成12年から17年までの5年間。ここは十分機能しているかなというのがこの表から見てとれます。

ただ、平成17年以降は非常に乖離をしていまして、このプライスキャップ制度に求められているいわゆるNTT東西に経営効率化インセンティブを付与しつつというような、そういったインセンティブを働かせるものになっているのかどうか。実はこのことの論議が基本料等委員会のところで少し委員から意見が出されていますが、事務局の回答は、本制度にはこの乖離を縮める仕組みはないという回答になっています。

となると、10年近く乖離状態が続いている中で、本来であればインセンティブが十分働いて、利用者にとっては実質見合った数字に近づくことがプライスキャップとしても望ましいかなと思われますので、そのことは改めて、今後に果たす役割をどういうふうに捉えていくかについて、現時点で総務省のほうではこの制度の機能についてどう捉えられているのかお聞きしたいと思います。それが2点目です。

3点目は要望なのですが、今回、私のほうもこれが総務省のほうでどのように論議されたのかということで、審議会を探っていって基本料等委員会の15回の議事概要は少し見ることができましたが、先ほど、岩田委員のほうから消費者団体のメンバーが委員に入っているかどうかの話がありましたが、審議会メンバーは公表されていますが、政策部会や基本料等の委員会メンバーはホームページから見つけることができませんでした。

ということは、その中に消費者委員がいるのかどうかさえ私たちにはわからないということなので、それとあわせて議事概要も最新のところしかなくて、過去、この間10年近く乖離があった中で、過去はどのようにそのことが議題に上がっていたのか、審議内容になっていたのかというところも見ることが残念ながらできない状態です。その辺は改善していただいて、ぜひ、情報を出していただきながら、より消費者目線に立った運営を総務省にもしていただきたいと思うのが3点目です。

以上です。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 まず、1点目と3点目のわかりやすさの点の御指摘については、大変申しわけございません。我々としてもなるべくわかりやすく、消費者を含む国民に伝えるのが義務だと思っていますので、そこは御指摘を踏まえて改善していきたいと思います。HPへの掲載は、総務省のルールで、数年すると総務省のホームページから消されて、あとは国立国会図書館のアーカイブに誘導されるという形になっていたと思います。その仕組み自体は私だけの一存で変えることはなかなかできませんので、関係するところに御要望としてお伝えはしたいと思っております。

○総務省本橋総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課課長補佐 先ほど基本料等委員会のお話がありましたけれども、委員は、一応、ホームページ上は出ていたかと思います。なお、基本料等委員会についても、消費者団体の方にも御参画いただいて、御議論いただいているところでございます。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 2点目が今回の一番肝になるところではないかと思うのですけれども、5ページ目のグラフをごらんいただきたいのですが、最初に大きく乖離した平成17年に、なぜ基本料が値下げされたかというところでございます。こちらの背景としましては、それまで加入者回線サービスというのは基本的にNTT東西だけが行っていたところなのですが、この少し前に、今でいうソフトバンク、KDDIがそれぞれお得ライン、メタルプラスという名称で同じようなアナログ電話サービスを開始いたしました。この競争圧力によって、NTT東西もそれまでの基本料を50円下げたということをしたと考えております。

このように、実はプライスキャップ制度のもとで、一定の競争の結果、このキャップ以下に実際の料金が設定されてきたという歴史がございまして、そこは現時点でもそんなに大きくは変わっていないのではないかなと思っております。

といいますのも、現在、音声伝送サービスを提供するに当たっては、代替手段が多々ございます。一つはIP電話であり、あとは携帯電話。そうした中で、ユーザーとしてはなるべく全体の通信料が安くなるように最適なサービスを選んでいくということですので、NTT東西が加入電話サービスのみでそういった競争関係を無視して値上げするというのはなかなか考えづらいものでございます。そういった中で、現時点においてもこれだけギャップがあるにもかかわらず、NTT東西としては値上げという選択肢を行使していないのではないかなと思っています。

ここは、ある意味非常に喜ばしいことだとは思っております。確かにプライスキャップ制度自体でNTT東西にインセンティブが生まれているわけではないのですけれども、逆に言うと、プライスキャップに頼らずとも、競争の中で一定のインセンティブが生まれていて、プライスキャップで想定する水準よりも安い料金が設定されているということになっております。そういった観点から見ると、状況としては非常によろしい環境なのではないかなと思っています。

ただ、プライスキャップ自体が、NTT東西に対してうまく効いているかといえば、ノーであると思います。それは何が原因なのかということなのですが、一つあるのは、かつては固定電話の電気通信事業市場に占める割合が非常に大きかったので、NTT東西の独占的な事業者としての位置付けが非常に高かったものが、現時点では状況が大きく変わってきて、先ほど申しましたIP電話とか、もう少しいうとブロードバンドサービス全体とか、携帯電話といったものの普及によって、固定電話が電気通信事業の市場の中でごく一部になってきているからなのではないかなと思います。

そうすると、プライスキャップ制度自体をこの固定電話だけに適用することが果たしていいのかどうかという問いになってまいります。実は、昨年1年間、2020年代に向けた電気通信事業における競争政策について、情報通信審議会で議論をいたしました。その際にも、この利用者料金規制の話が少し取り上げられまして、そこでは市場が大きく変わる中で、この利用者料金規制のあり方についても必要な見直しを検討することが適当であるという答申をいただいたところでございますので、今年の秋以降、適切なタイミングで、そういった全体のあり方についても見直していくべきではないかなと思っております。

以上です。

○古城委員 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 重ねて消費者物価指数変動率についての御質問をさせていただきたいのです。先ほど、電気通信事業施行規則の第19条の5の3項について御紹介し、予測値を使うことが当たっているかどうかという質問をしたところ、この規定は、基準料金指数の設定について言っているので、X値を算定するために使う分については問題ないという御回答をされたと理解していますが、ただ、ここは全体的に第19条の5は、基準料金指数の算定方法等という項目でして、基準料金指数を算定するために公式があり、その公式の中の消費者物価指数変動率について説明されているものなので、関係ないという先ほどの御説明はちょっと合っているかどうか、私のところでは納得できないなと思っております。そこの御説明も含めて、過去の予測値と実数との比較を含めて御提供をいただけるとお答えをいただきましたので、そのときに御説明をあわせていただければと思います。

○総務省本橋総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課課長補佐 まず予測と実績の比較なのですが、平成23年の研究会のときに使った予測値というのは0.0%で、そのときの実績値というのが0.1%です。平成20年の研究会のときについては、使った予測値というのが0.2%になりますが、実績値としてはマイナス0.2%という実績でございました。

また、X値を算定するときに使っているCPI変動率と、基準料金指数を計算するときに使うCPI変動率が違っているということなのですが、まさに省令に書いてある基準料金指数の算定に使うCPI変動率については、基準料金指数の適用期間の始まる日の直近に終わる国の会計年度又は暦年におけるCPI変動率を使うこととなっており、今回設定する平成27年度10月から適用する基準料金指数については、統計局が出している平成26年の実績値を使って計算しております。

一方、X値の算定でもCPI変動率を使うということになっているのですが、そこでは、3年後のCPI変動率を予測するということになりますが、これは「プライスキャップの運用に関する研究会」の中で、適用期間の3年間のCPI変動率の予測値の平均を使うということで研究会の結論を得て計算しております。

従いまして、基準料金指数で使っている数字と、実際にX値を算定するときに使っている数字というのは違うものを使っているということでございます。

○陶山委員 そうすると、ここの基準料金指数を計算するときは1.8ではなくて別の数字だということですか。1.1ですか。

○総務省本橋総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課課長補佐 そこは2.7です。今回の基準料金指数を計算するときの数字としては。

○陶山委員 単年度の2.7というのを使っているということですか。

○総務省本橋総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課課長補佐 はい、そうです。2.7の数字を使ってございます。

X値の0.4を算定するときには、1.8というCPI変動率の3年間の平均値を使っていると先ほど申し上げました。それはお手元に資料があるということですが、政府機関とか、日銀とか、日本経済研究センターの予測値というのを持ってきまして、その平均値の1.8という数字を得まして、それを使ってX値の0.4という数字を出しております。

○陶山委員 わかりました。

○古城座長 一つだけ伺いたいのですけれども、平成17年にNTT東西が大幅な値下げをしてから、プライスキャップの値と実勢価格というのが大きく乖離するようになったと思います。

プライスキャップのフォーミュラなのですが、基準料金指数をつくる時のベースとしては、前期の基準料金指数を用いるわけですね。それは前期のプライスキャップの決めた数字なのですけれども、実勢値を使うという考え方もありますよね。それはなぜとらないのかということを教えてください。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 基準料金指数の設定にあたり、前期の基準料金指数をベースとしているところを前期の実際料金指数をベースとしてしまうと、NTT東西が頑張って費用を削減して、キャップ以下に料金を設定できたときに、経営効率化インセンティブによって得られた部分を、すぐに吐き出さなければいけないということになってしまうからだと思います。あくまでも、基本的には制度的にNTT東西に求める努力値がありまして、その努力値というのは、X値を3年に一度変えることによってどんどん厳しくしていきますと。ただ、その努力値を下回っている限りにおいては、NTT東西としては一定の利益を確保できるような仕組みにするということで、制度全体としてうまく回るという思想で、前年度の基準料金指数を使ってやるということになったのだと思います。

今回、特段そこについて議論がなかったので、今回のX値の検討の中ではそこまで立ち返った議論は行われていなくて、確かにそういった考え方はありうるものでございまして、今後、制度的にもし問題があれば、そこの点も踏まえて検討するということはあり得ますが、少なくとも現時点では今のような考え方で行われていると認識しております。

○古城座長 わかりました。おっしゃるように、NTT東西が3年間でものすごく頑張って落としたら、すぐにそれを織り込んでもっと下げろと言うのではやる気がなくなってしまうというのはわかるのですけれども、この乖離はほとんど10年間続いているわけでしょう。そうすると、NTT東西が基準料金指数以上に料金を下げたというのは、総務省が設定した効率化努力以上のことを頑張ってやってくれたのは貯金としてずうっと認めていくという考え方があり得ますが、もともと総務省の評価が甘くて、効率化余地がまだまだあったのだから、それを織り込むべきという考え方もありますね。基準値を10年もずうっと放っておくのは長いということなのです。

○総務省片桐総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課企画官 X値を出すときには、3年後に収支が合うレベルで出しておりますので、多分、NTT東西が非常に頑張ると次のX値の算定の際には、X値が高く出てしまうと思います。X値が設定されれば、基準料金指数と実際料金指数の乖離というのは徐々に解消される仕組みだと思いますが、次回の見直しのときにはご指摘頂いた点も踏まえまして、検討してまいりたいと思います。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 今のやりとりを聞きながら意見を言わせていただきます。

NTT東西の経営努力といいますか、そのことの数値はここのところは届出制なのですが、仮に基準値以上であれば認可ということで、そこではより厳しく数値が洗い出されるわけですね。

しかし、現実には届け出の中で基準値以下になっているので、届出で一定のルールの中で出された数値で対応していると思うのですけれども、ここのところのさまざまな事業者に対する料金のあり方というのは、電気料金に象徴されますが、事業者側の出している数字と実際の乖離というのはいろいろな場面で出ています。

だから、そのことを既存の届け出の中の限られたルールの中で運用するというのはあるのですけれども、利用者側の厳しい生活実態の中とか、そういった状況の中ではできるだけ実態に近づいた数字で行政側はそこを運用していくということが公共料金に求められている部分ではないのかなと思いますので、ぜひ、秋以降の検討のあり方の見直しにおいてはそういったことも含めて検討していただきたいと思っております。

○古城座長 井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 先ほど、古城座長が言われたように、本来の価格というのが妥当なものかどうか。そこからプライスキャップというのはスタートしないといけないので、10年間ずうっとこういうやり方というのはおかしい。

もう一点、冒頭に言ったように、本来、NTTの地域会社を東西に分けたというのは、NTT東西でヤードスティック競争をして、経営効率化をより促進するというのが一つの狙いだったわけで、プライスキャップのキャップもNTT東西で差を設けて、そこでお互いに経営効率化の努力をさせる。これが本来の規制のあり方だと思いますので、NTT東西を一緒のキャップにして、データがないと言ってもこれまでの過去の実績というのがありますので、ぜひ、NTT東西でキャップの差を設けるという努力もしていただきたいと思います。

○古賀委員 やはり10年間の乖離を放置しているということが、逆に上限価格ではなくて、経営効率化を阻む下限価格のような役割になってしまうのではないか。消費者側から見るとそういう感じもしますので、この基準料金指数は低ければ低いほどエンドの料金に反映される価格は低くなるわけですね。つまり、今回この基準値指数が上がることによって、基本料金の値上げができることは経営判断の中でできるわけですね。

そういう意味からも、市場の変動に対応できず、固定電話に縛りつけられてそこから離れられない人にどんどん負担が行くわけですから、そのあたりも含めて、プライスキャップ制度自体を見直していただく時期ではないかと思いますのでよろしくお願いします。

○古城座長 ほかによろしいでしょうか。

長時間どうもありがとうございました。総務省にはここで退席していただきます。

(総務省関係者退室)

○古城座長 それでは、ただいまの議論を踏まえて、本件に関する当専門調査会の意見を取りまとめたいと思います。

意見(案)をお配りいたしますので、その内容について事務局から説明をお願いいたします。

○大貫参事官 お手元に、追加資料として公共料金等専門調査会意見(案)をお配りしております。

最初の部分につきましては、申請のございました設定案の内容について説明しておりまして、半ばより下のところから、平成27年6月11日に総務省に対してヒアリングを行い調査審議した結果、上記設定案に関する公共料金等専門調査会の意見は以下のとおりであるとしております。

最初に「1.結論」でございます。

  • 設定案の内容は、妥当であると認められる。なお、周知期間においては、基準料金指数の設定に当たっての算定の考え方等について、消費者への分かりやすく丁寧な説明に努められたい。

裏をごらんいただきます。

「2.理由」でございます。

  • 電気通信事業法施行規則において、基準料金指数を算定する際の生産性向上見込率(以下、「X値」という。)は、3年ごとに現在の生産性に基づく将来原価及び今後の生産性向上を見込んだ将来原価から算定されるとしている。このため、基準料金指数の設定に関する審査に当たっては、X値について透明性・客観性の高い算定方法が採られているか審査することが必要である。
  • 総務省からの報告等により、平成27年度から29年度までのX値を算定するにあたり、マルイチNTT東西の収入予測、マル二NTT東西の費用予測、マルサン適正報酬額の予測、マルヨン消費者物価指数の予測が適切に行われていること等、透明性・客観性の高い算定方法が採られていることを確認することができた。
  • 以上の審議結果により、1.の結論をするものである。

「3.留意事項」でございます。

  • 基準料金指数と実際料金指数については、平成17年10月以降、乖離が生じている事態が続いており、プライスキャップ制度が経営効率化のインセンティブとして十分に機能していないことが懸念される。この問題にしてどのように対応していくのか、平成29年度の設定に向けて、プライスキャップ制度の意義も含め、総務省としての考え方を整理されたい。

という意見(案)になっております。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

では、この意見(案)について御意見のある方は御発言をお願いいたします。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 まず、2ページ目の「2.理由」のところなのですが、その中の適正報酬額の予測が、透明性が高く、客観性の高い算定方法なのかと言われますと疑問が残る点です。質問の中でも申し上げたように、レートベースが過剰に膨らむ計算式なのではないかなと思っていますので、意見(案)に少しその反映ができればなと。透明性と客観性が高いというところの表現を少し考慮していただけないかなと思っています。

もう一点ですが、基準料金指数とX値の算定式の中に使われている同じ言葉で、消費者物価指数変動率という言葉が両方に使われているのですが、両方の意味合いが違うということが今わかりましたので、そのようなわかりにくい言葉の使い方をしないように改善を求めたいなと思います。

以上です。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 2つあります。

一つは、裏の2ページの「2.理由」のところの1番目の○と2番目の○で、今、陶山さんがおっしゃったことと同じなのですが、先ほどの会議の中でも、議事録の問題とか委員の氏名とか所属団体の問題とか、非公開の経営データを使うという制約はもちろん理解できますけれども、もっと公開度というか、透明性を高めていただきたいという御発言もたくさんありましたので、透明性、客観性が高いという積極的な評価というのはしづらいのかなと。反対するだけの根拠のある理屈もこちらが持ち合わせませんので、妥当という結論でいいと思うのですが、透明性や客観性が高いというのはクエスチョンマークかなと思います。

それから、3番目の「3.留意事項」のところなのですけれども、先ほどの総務省の御説明では、この秋から制度の見直しについての議論が始まるという御説明がありましたので、ここの書き方はそれに合わせて直したほうがいいかなと思いますのと、その際、ぜひ消費者団体の意見をしかるべきプロセスで聞くという設計にするように意見をつけたらいかがかなと思います。

以上です。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 1ページ目の「1.結論」なのですが「消費者への分かりやすく丁寧な説明」というところでは、これは総務省の側が消費者へということになるかと思いますが、先ほど、要望もいたしましたが、総務省が事業者に対しても消費者にわかりやすい説明をするようにきちんと働きかけるように補足をしたほうがいいのではないかと思います。

「2.理由」のところの透明性・客観性についてはお二人の意見に私も賛成いたします。

3番目の「3.留意事項」ですが、この提案文ではプライスキャップ制度の意義も含めということも書いてありますけれども、プライスキャップ制度のあり方というか、見直しも含めてということで、秋に検討が始まるということですけれども、具体的にそこは明記したほうがいいのではないかと思っております。

以上です。

○古城座長 いかがでしょうか。

それでは、本意見(案)につきましては、本日、皆様から出された御意見を踏まえ、修正することといたします。

修正の仕方については私に御一任いただきたいと思います。

よろしいでしょうか。

(「はい」と声あり)

○古城座長 それでは、私のほうで原案を修正した上で、消費者委員会の本会議に報告することといたします。

今後の進め方について、消費者委員会事務局から御説明をお願いいたします。

○大貫参事官 当専門調査会の意見につきましては、修正が確定した後、ホームページにて公開いたします。

また、本意見につきましては6月16日火曜日13時に消費者委員会本会議を開催し、古城座長に御出席いただきまして、その内容を御報告いただきます。本意見が了承されれば消費者委員会の意見として消費者庁に提出することになります。

以上でございます。

≪3.閉会≫

○古城座長 それでは、議論は以上といたします。

事務局から連絡事項などはございますか。

○大貫参事官 本日は熱心な御議論をどうもありがとうございました。

今後の専門調査会等の日程については、確定次第、御連絡させていただきます。

なお、この後、委員間の打ち合わせを行わせていただきますので、委員室のほうに御移動をお願いいたします。

○古城座長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)