第21回 家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会 議事録

日時

2015年5月1日(金)9:59~12:11

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、蟹瀬委員、古賀委員、白山委員、陶山委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
岩田委員、橋本委員、山本委員
【説明者】
経済産業省資源エネルギー庁 多田 電力・ガス事業部長
経済産業省資源エネルギー庁 山崎 電力市場整備課長
経済産業省資源エネルギー庁 東 電力市場整備課課長補佐
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官
消費者庁 河津審議官、岡田消費者調査課長、石井企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 査定方針案の経済産業省ヒアリングについて
  3. 電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(大阪)の報告について
  4. 関西電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見(案)について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大貫参事官 それでは、定刻となりましたので、開始させていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会」の第21回会合を開催します。

橋本委員からはちょっとおくれるという御連絡をいただいております。

まず、配付資料の確認をさせていただきます。

議事次第の下にございます配付資料ですけれども、資料1が経済産業省の査定方針案関係。

資料2がチェックポイントへの回答。

資料3が大阪で行いました意見交換会の結果の概要。

資料4が調査会の意見(案)。

参考資料として関西電力の認可申請に関する、この調査会の追加質問事項に対する回答をお配りしております。

不足の資料がございましたらば、事務局にお願いいたします。

なお、この議事においては録画をいたしまして、5月7日から議事録ができるまでの間、消費者委員会のホームページで動画の配信を予定いたしております。

それでは、古城座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

≪2.査定方針案の経済産業省ヒアリングについて≫

○古城座長 本日は、経済産業省資源エネルギー庁から、関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案について御説明をいただき、続いて事務局から4月27日に大阪で開催された電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会の報告を受けた上で議論を行いたいと思います。

それでは、議事に入らせていただきます。

消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会では、関西電力の家庭用電気料金値上申請に関して、これまで1月31日、2月20日と2回にわたって議論を行ってまいりました。また、去る4月21日の経済産業省における電気料金審査専門小委員会で示されました、関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案について、同日付で消費者庁に協議が行われ、さらに翌日の22日に消費者庁長官から消費者委員会に対して、これに対する意見を求める付議が行われました。

本日は、この付議を受け、査定方針案の概要や消費者庁によるチェックポイントを踏まえて、どのように査定したのかを中心に御説明いただきたいと思います。

資源エネルギー庁におかれては、お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございます。

なお、多田部長におかれましては、途中で所用により退席される予定と聞いております。

説明時間につきましては20分程度でお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○資源エネルギー庁多田電力・ガス事業部長 ありがとうございます。

それでは、私のほうから概要を御説明させていただきます。

昨年の12月に関西電力株式会社から電気料金の値上げ申請があったわけでありますが、私ども経済産業大臣の諮問機関でございます電気料金審査専門小委員会のほうで審査を続けてまいりました。簡単に御紹介申し上げたいと思います。

通例に従いまして、小委員会では大阪市での公聴会での陳述内容、「国民の声」に寄せられました御意見、さらには毎回小委員会のほうに御出席いただきました消費者庁の岡田課長からお示しをいただきましたチェックポイントなど、一般の消費者の御意見と御関心につきまして審議の過程で精査、吟味の上、その結果が先ほど座長のほうから御紹介がありました査定方針案に反映されているものと認識をしております。

ただ、今回の議論も簡単ではなかったと思っております。電源構成変分認可制度、いわゆる電変制度、こちらにつきましては制度の制約というものがございまして、前回の北海道電力のときの場合と同様に、どこまでの査定というものが制度的に許されるものなのか、毎回のように委員会の中で、委員の方々の間でも議論となったというのが実態でございます。

そうした議論の結果、取りまとめられたのが今回の査定方針案でございます。主なポイントといたしましては、前回の北海道電力の際に私から申し上げた3点は当然のことながら踏襲いたしております。

その3点というのは、まずは経営効率化の徹底によりまして、それをもとに消費者に還元措置を講ずるという点。

電変という制度の中ではございますけれども、火力燃料費の単価にまで査定に踏み込むというのが2点目。

今回の料金改定の原因となりました再稼働ができていないという状況でございますけれども、再稼働後の値下げというものを条件づけるという、この3点につきましては、北海道電力の際と同様に踏襲をしているという点であります。

今回は、この3点に加えまして2点申し上げておきたいと思います。

1つは、皆様御案内のとおり、昨年後半から原油価格の下落が続いているわけでありますが、この原油価格の下落を適切に消費者に還元すべきという考え方がございます。他方、こういう価格の下落といったものにつきましては、現在の電気料金の仕組みの中では燃料費調整制度、いわゆるスライドというもので還元されるものではないか。こういった御意見があったわけでありますが、この2つの御意見がある中で、私どもの審議会の中では結論といたしまして、燃料費調整制度で自動的に反映される部分に加え、例えば、卸電力取引所からの調達価格に関しまして、原油価格の下落傾向を反映するという新しい手法を盛り込んだというのが1つの特徴でございます。

もう1点、値下げの条件でございますけれども、関西電力は今回の料金改定に当たりまして、原価算定期間中に高浜原発の稼働を盛り込みました。他方で、大飯原発につきましては原価算定期間中には稼働を盛り込んでおりませんでした。しかし、今回の値下げ条件づけの中では原価算定期間の中に入っているか、入っていないかを問わず、いずれの原発につきましても再稼働があれば値下げをするという点を条件づけたというのが2点の特徴でございます。

このように、今回、電変という制度の制約があるわけでございますけれども、これは公聴会の場でも「国民の声」の場でも、あるいは小委員会の中で御参加されていたオブザーバーの方々からも、関西の一般の消費者の方々の御意見、また、消費者に限りませんが、産業界の方々からも、今回の電力料金の値上げについての御意見、御関心は非常に厳しいものがあったわけでございますが、そういった点を最大限踏まえまして、かなり踏み込んだ査定方針案となっていると承知をしております。我々としては、これをしっかりと受けとめて対応していく考えでございます。

査定方針案の詳細、具体的な内容につきましては、電力市場整備課長の山崎から説明をさせていただきます。よろしくお願いしたいと思います。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 それでは、引き続きまして、査定方針案の概要、ポイントについて御説明をさせていただきます。電力市場整備課長の山崎でございます。よろしくお願いいたします。

それでは、お手元の査定方針案本体は資料の1-2でございますが、その概要を記しました資料1-1に基づきまして、私のほうから御説明をさせていただきたいと思います。お手元に資料1-1を御用意いただければと思います。

こちらは今、部長の多田からも説明をさせていただきましたように、電気料金審査専門小委員会におきまして、4月21日に取りまとめていただきました査定方針案の概要でございます。

それでは、早速ですが、1ページ目、今回の査定方針案の進め方、概要、枠組みでございます。昨年12月24日に関西電力から提出された電源構成変分認可制度に基づきます値上げ認可申請が、電気事業法等の関係法令に照らしまして、最大限の経営効率化を踏まえたものとなっているかどうかについて、専門小委員会において審議をいただいてきたということでございます。

委員会は、北海道電力の際には5回の開催でございましたが、今回は6回開催をさせていただきました。6回の開催に当たりまして、全国消費者団体連絡会の河野事務局長、さらには全大阪消費者団体連絡会の飯田事務局長、さらには日本商工会議所の代表、消費者庁から岡田課長にオブザーバーとして御参加いただきました。

公聴会を3月3日に開催させていただき、左下のところにありますけれども、陳述人として31名の方に御陳述をいただいでございます。さらに「国民の声」を募集いたしまして、161通の声をいただいてございます。さらに、2月25日に開催されました委員会で岡田課長からチェックポイントを提示いただき、そうしたものも踏まえまして、委員が資料等を直接確認しながら検討を進めてきたという経緯でございます。ヒアリングは延べ62回、約65時間実施されたという実績となってございます。

申請概要でございますが、左の真ん中の枠でございますけれども、電源構成変分認可制度に基づいた申請でございます。

関西電力は、2年前に値上げを実施し、平成25年から27年度を原価計算期間として前回の値上げが行われました。今回は残りの1年間、平成27年度を残存原価計算期間としまして、ここに対して関西電力からの申請は3,240億円の原価の増と、これに伴いまして規制部門で10.23%の値上げを申請されたというところが申請の概要になってございます。

原価につきましては、下の表にございますように、右下が3,240億円となってございます。そのうち燃料費の増分が1,420億円、真ん中あたりの購入電力料の増分が2,154億円ということで、金額的に申し上げますと、北海道電力のときは燃料費が一番多かったのですが、関西電力の申請に関しては購入電力量が占める割合が増分原価について多かったという申請概要でございます。

こちらについて6回、さらには個別ヒアリング等々をして委員会の査定方針案をまとめていただいたという経緯になってございます。

それでは、内容に入らせていただきます。

2ページ目、まず「基本的な考え方(概要)」でございます。北海道電力の際の基本的な考え方を踏襲させていただいております。

需要家にさらなる負担を求めるに当たりまして、まず「前提計画」として位置づけられている経営効率化計画が、前回改定の査定方針及び認可時に求めた経営効率化を反映したものであるかどうか。それをしっかり確認する必要がある。

(2)いわゆる電変の直接の対象費目は8項目でございますが、この8項目については高浜原発、大飯原発が前回認可時の想定織り込みよりもおくれているといった社会的経済的事情の変動による電源構成の変動に基づく部分のみの反映になっているのかどうかを確認する。

こういうところが基本的な考え方になってございまして、以下、5つの柱に分けてポイントを御紹介させていただきたいと思います。

まず1つ目「経営効率化について」でございます。経営効率化につきましては、まさに基本的な考え方の(1)に書かせていただきましたように、電変の直接の対象費目とはならないものの、まさに「前提計画」として再値上げを申請するに当たって、しっかりと前回改定の査定方針認可時に求めた経営効率化を反映したものであるかどうかをチェックする必要があるというのが大原則として、北海道電力の際に整理をした内容を踏襲してございます。

北海道電力のときもそうでございましたが、関西電力の今回のプロセスにおきましても、他の論点にも増してこちらの経営効率化を求める声が多数寄せられたということを委員会としても認識してございます。

3つ目のポツでございます。前回の料金改定時の査定方針で求めた原価算定期間を通じた経営効率化、これについてはおおむね進捗していると評価できるものの、やはり一部コスト削減等において未達となっている項目があって、原価を超える支出が見られたということをまず確認してございます。ポツの一番最後のほう、効率化の深掘りによって生み出される原資は需要家への還元、財務基盤強化に充てられるべきと考えられるという総論のもとで、一番最後の4つ目のポツが今回の査定方針案のポイントでございます。

関西電力からは、1月21日、関西電力の審査の過程では第1回目になりますが、この小委員会におきまして「効率化の深掘りの成果は、大きく毀損した財務体質の回復のみならず、お客さまの電気料金のご負担の軽減をはかるべく、活用してまいりたい」との表明がまず冒頭にございました。続いて、3月24日の第23回の小委員会におきまして、まさに原価計算期間に当たります平成27年度におきます経営効率化の具体的な取り組みについて説明がございました。この内容については査定方針案の本体のほうに入れてございます。

これは北海道電力のときとは違いまして、この枠組みが踏襲されるということを認識の上、あらかじめこういった表明があったという整理でございます。こういった表明があったものの、コスト削減において依然として一部未達となっている。さらには、多くの議論が行われましたが、役員報酬の削減、さらには保有資産の売却、こういったものを求める意見が多いことを踏まえて、需要家の料金負担を軽減する具体的な方策を明らかにして、それを確実に実施せよといった査定方針案となってございます。

以上が経営効率化でございます。

続きまして、次の3ページ「燃料費について」でございます。

燃料費の項目は、まず2-1といたしまして、費用項目としては燃料費に反映されてくるという趣旨で燃料費に整理をしてございますが、消費者庁チェックポイントでも御提示をいただいたメリットオーダーをちゃんと徹底せよ、安い電源がちゃんと使われているのですかといったところについて、揚水、石炭、水力、新エネということで、4つの項目について査定方針案を取りまとめてございます。

まず1つ目「揚水発電」でございます。揚水発電というのは、比較的コストの高い電源でございます。比較的コストの高い電源が、1つ目のポツにありますように、大幅に増加している認可申請内容となってございました。

これに対しまして、2つ目のポツ、自社の揚水発電よりも安価な他者からの調達をまず最大限追求すべきだという原則を確認した上で、査定の内容としましては、3つ目のポツ、揚水発電による発電電力量の増分、前回認可の発電量、25年から27年の3カ年からの増分については、他社から購入するものと考えて、すなわちその差額を査定すべきであるといった方針となってございます。

(2)「石炭火力発電」でございます。この石炭火力発電は比較的コストの安い電源でございます。このコストの安い電源の織り込みが減っていたというのが申請の内容でございました。減っていた理由として定期検査を実施しなければならないということが論点とはなりました。したがって、この定期検査のことを中心に書いてございます。

1つ目のポツにありますように、定期検査の繰り延べ、すなわち25年度、26年度に行われる予定であった定期検査が27年度に繰り延べられてくること自体については一定のやむを得ないところも認められる。しかしながら、どのタイミングで補修を行うかというのは事業者による経営判断の余地があるものではないか。その全てを原価に乗せて申請していいというものではない。事業者には帰責できないものであるとは認められない。

こういう原則を確認した上で、2つ目のポツの最後の行、方針としましては、この石炭火力の織り込みについて少なくとも前回認可時、3カ年平均と同じ水準の石炭火力発電量を織り込むというところを査定方針案としてまとめていただいてございます。

続きまして3つ目「水力発電」でございます。水力発電につきましても、基本的には比較的、特に自流式の水力につきましては安い電源でございます。この安い電源につきまして織り込みが減っていたという部分があったということでございます。

2つ目のポツ、前回認可時の想定に比べて、発電機のトラブル、至近年のゲリラ豪雨の増加等による計画外の停止といったもので、計画外停止が増えるので発電量が減るという申請内容でございました。

これにつきましては3つ目のポツ、電変の対象になるかという大原則の「社会的経済的事情の変動」とは認められない。すなわち、計画外の停止の増加は認めない。元に戻すという査定方針案となってございます。

4つ目「新エネルギー」でございます。新エネルギーについても、回避可能原価で織り込む関係で、料金原価上は安い電源となります。この新エネルギーについて、1つ目のポツにありますように、特に風力発電は申し込み事業者の事由による計画中止、さらに廃棄物発電は売電主体の入札の結果に伴う契約の切りかえによって、電力量が減少しているという申請になってございました。これに対しましては、水力のところと同じでございますが、これは「社会的経済的事情の変動」によるものと位置づけられないということで、減少を認めないという査定方針案として整理をしていただいてございます。

以上が燃料費の中のメリットオーダー、安い電源からしっかりと動かすというところの確認、査定の内容でございます。

続きまして4ページ、こちらはまさに燃料費の単価そのものをどのように考えるのかということでございます。燃料費の単価につきましては、昨年の北海道電力の査定の際に、そもそも単価の査定ができるのかといったところが議論され、単価の査定も当然するべきものである制度となっているというところを改めて整理をした上で、北海道電力の際も単価査定をし、さらには審査要領にそれを明記したという経緯がございます。そういった入り口については今回確認をされていたものですから、まずは単価の査定をしっかりとやりましょうということでございます。

申請については、一番上のポツにあるように、関西電力は前回認可単価を基本とした織り込みで出てきたということでございます。

今回、むしろ議論になりましたのは2つ目のポツでございます。これはチェックポイント等でも御指摘をいただいているところ、または多田から言及させていただいた点でもありますけれども、昨今の原油価格が大幅に下落しているといったところが、この燃料費の査定と、または今回の査定全体と燃料費調整制度を通じて還元される部分とどういう関係にあるのだと、こういうことをしっかりとわかりやすく説明をするということでありましたが、ここについても多くの議論が行われました。ここに書いてございますように、こういった下落局面であることに留意をして、まず燃料費調整制度を通じて、事業者の効率化努力の及ばない市況及び為替レートの変動については、月々の電気料金に適切に反映されることになるということをまず確認しました。

しかし、これだけでは足りないということで、3つ目のポツ、その上で、需要家の負担を抑制する観点から、こういった市況・為替レートの変動幅に見合った自動補正を超えた、もう一段のコスト削減努力を求めるべきだということでございました。一言で申し上げれば、事業者サイドからすれば燃料費調整制度で還元されるからよいではないかといったところで、燃料費調整制度によって還元されるだけでは足りないということでございます。

具体的には4つ目のポツでございます。これは北海道電力の際の方法と一緒でございますが、各種燃料の追加調達単価について、調達単価が最も低価格なもの、いわゆるトップランナー価格を原価織り込み価格として申請額とその部分を減額するという査定の方針となってございます。

このトップランナー価格をとるに当たりましては、電気事業法に基づく報告徴収を行うべきだという案になってございまして、現在、我々資源エネルギー庁のほうで報告徴収を行っているというところでございます。

続きまして5ページ、先ほど申し上げたように、今回の申請3,240億の原価のうち最も多くの割合を占めた原価でございます「購入・販売電力料について」につきまして、3つの内容で確認をし、査定方針案をまとめていただいております。

まず1つが購入・販売電力量におけるメリットオーダーの確認でございます。ポイントは2つ目のポツ、購入電力料、すなわち関西電力以外から買ってくる電気の購入量なのですが、この一部におきまして、他の銘柄よりも相対的に安価であるにもかかわらず、近年の実績量が恒常的に計画電力量を上回っているもの、要は計画に織り込んでいるものよりも実績が多いというところを確認しました。したがいまして、これは、次の行にありますように、至近の実績を踏まえて計画電力量を再算定して、織り込みをもっと多くしろ、安い電源をもっと使いなさいということで、料金原価から減額すべきだという査定方針案になってございます。

2つ目、3-2「卸電力取引所取引」でございます。こちらは今回、先ほど多田からも言及がありましたように、大きく新たなポイントを手法として導入されたところでございます。

ポイントとしましては、1つ目のポツの「しかしながら」のところにありますように、卸電力取引所取引は、従来の内容は卸電力所取引におけるシミュレーションに基づいてちゃんと算定されているかということを確認するプロセスだったのですが、今回はそれを超えまして、まず、卸電力取引所取引というのは燃料費調整制度の対象になっていない。

なっていないけれども、次のポツにあるように、昨年後半以降の原油価格の大幅な下落という構造的な変化を的確に料金原価に反映する。すなわち、卸電力取引所取引から買ってくる電気が安くなっているのではないかということを方針として確認させていただいております。

では、どの程度安くなっているのか。「具体的には」とあります3つ目のポツ、ここの卸電力取引所の取引における約定価格の直近の実績に基づいて、直近の実績が、織り込んでいるものと比べてどれだけ乖離しているのだというところをチェックした上で、その部分の差額を減額する査定をするという方針が確認されております。

直近の実績をどれだけでとるのかということで、最後のポツでございますが、直近6カ月、すなわち原油価格の下落という構造的な変化が明確にあらわれ始めた時期が昨年の秋ごろであるという、あらわれ始めたところからしっかりととりましょうということで、6カ月の実績をとって、その分を査定しましょうという方針案となってございます。これが今回、多くの時間をかけ、さらに新たなポイントとして追加されたところでございます。

最後、購入電力料の3-3「他者短期調達(供給力対策)」、卸電力取引所取引で買ってくるところとは別に他者から調達をしてくるところ、相対契約で調達してくるところがございます。

ここについては、燃料費調整制度の対象になっているということが確認されました。したがって、燃料費の下落については燃料費調整制度を通じて消費者に還元されるということを確認されたものの、これは燃料費の本体と同じでございますが、再値上げを申請するに当たっては、市況・為替レートの変動幅に見合った自動補正を超えたもう一段のコスト削減努力を購入電力料においても行うべきであるということで、具体的には3つ目のポツでありますが「更なる効率化努力(連系線制約を考慮した上で、他の電力会社の調達実績を踏まえた価格での調達努力)」すなわち自社の管内のみならず、連系線制約のないところからであれば買えるだろうといったことを前提とした上で、他社の努力を参考にして査定をするという方針案でございます。他社の努力でございますので、他社の調達実績の確認が必要でありまして、これにつきましても電事法に基づく報告徴収を行うべきだという方針になってございまして、これも燃料費のところと同様、現在、我々のほうで報告徴収をさせていただいておりまして、他社の実績を確認させていただいているところでございます。

続きまして、4つ目のポイント「値下げの条件について」でございます。値下げの条件につきましては、これまた先ほど多田から御説明させていただきましたように、北海道電力の際に整理をしたフレームワーク、枠組みを基本的にはそのまま踏襲させていただいております。

(2)どのようなフレームワークだったかということでありますが、まず、再稼働時期と値下げ実施時期との関係でマル1、マル2、マル3を整理しております。

マル1、まず「原価算定期間内に想定よりも早く再稼働する場合の扱い」でございます。

今回は、高浜原子力発電所につきまして、2基ございますが、いずれもことし平成27年11月に再稼働するという前提での料金値上げ申請になってございます。大飯原発については原価計算期間内の再稼働を織り込まないという内容になってございますが、まず、高浜につきまして再稼働が11月よりも早かった場合には、原価計算期間内に値下げを行うべきである。

2つ目のポツにありますように、原則として再稼働の翌々月までを値下げの実施時期とすべきだということでございます。

さらに、原価計算期間内に値下げを実施した上で、原価計算期間終了後は1年間効いてくるということになりますので、さらに値下げをする。この2段階の値下げが必要だという整理でございます。

マル2「原価算定期間内に想定よりも遅れて再稼働する場合の扱い」、すなわち11月から3月の間に再稼働するということでございますが、原価算定期間内に想定よりもおくれて再稼働する場合については、原価算定期間終了後に直ちに値下げを行うべきであるという整理でございます。

マル3「原価算定期間終了後に再稼働する場合の扱い」、来年の4月以降に再稼働する場合の扱いでございます。こちらについては1基再稼働するごとに値下げを行うべきだと。時期については再稼働の翌々月までを実施時期とすべきだという整理でございます。

さらにマル4にありますように、先ほど多田から触れさせていただきましたように、今回、原価計算期間内の再稼働には織り込まれていない大飯原発についても、再稼働した場合には上のマル1、マル2、マル3と同じ整理に基づいて値下げを行うべきだということでございます。

(3)「値下げ率」でありますが、値下げ率については異なることが想定される、事前に一意的に決めることは困難であると、北海道電力のときにも御説明させていただいたとおりでございます。

したがいまして、具体的な値下げ率そのものについては条件とせず、今回、査定方針案を取りまとめていただいた小委員会でのフォローアップを通じて適正な値下げが実施されるということを確認すべきだ。

さらに、中長期的に考えると、少なくとも一昨年改定、前回の改定以前の水準まで着実に電気料金を下げていくことも目指すべきであるといったことを書かせていただいてございます。

(4)フォローアップでございます。値下げ率のところともかかわりますが、こういった適正性といったものをしっかりと確認し、さらに情報を公開する観点から、値下げの実施時期を問わず電気料金審査専門小委員会におけるフォローアップが必要であるといったフォローアップの項目を今回も入れさせていただいているということでございます。

最後、5項目め、最後のページ、今回1つ新たなというか、この審査の途中に美浜原発、さらに日本原電の敦賀原発の廃炉の意思決定がなされました。この部分についてどう扱うかといったことで議論が行われました。ここにつきましては、まず、美浜の1・2号機、さらには日本原電の1号機の廃炉、これに伴って、美浜については修繕費諸経費等の減少、さらには敦賀については、関西電力側からすれば購入電力料の減少が見込まれるということをまず確認してございます。

ここについては、いわゆる電源構成変分認可制度の直接の査定対象になる項目ではありませんけれども、審査の過程、審査の途中にこうした事例が発生したことを重く見まして、まず、関西電力からはこれらについては電気料金負担の軽減に活用するという説明がなされました。関西電力に対しては、この委員会としてはまずその額及び算定の根拠を明らかにした上で、費用の減少分については、その全額を電気料金の負担の軽減に利用することを求めるということで、関西電力からは内容とともに96億円というものが全額電気料金の負担の軽減に活用されるということの表明がなされたということが経緯としてございます。

以上、電気料金審査専門小委員会で21日に取りまとめられました査定方針案の概要を御説明させていただきました。ありがとうございました。

≪3.電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(大阪)の報告について≫

○古城座長 ありがとうございました。

続きまして、消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会では、電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会を4月27日に大阪で開催しましたので、その模様について消費者委員会事務局から御報告をいただいた後、意見交換会に出席された委員から御発言をお願いします。

○大貫参事官 資料3をごらんいただきたいと思います。

査定方針案が21日に出されまして、これは27日に行っております。2時間という大変短い時間でございますが、関電の給電地域である6府県からそれぞれ各府県1団体ずつ御出席いただいて意見を述べていただいたということでございます。

4ポツのところに消費者団体からの意見ということでまとめてございます。

まず「全般」でございますが、査定方針案が極めて難しくて理解しづらいという御意見がございました。

また、料金の再値上げには反対である。

どのぐらいの影響があるのかまだ実感できていない。実際に引き上げられてからこんなに上がるのかということになるのだろう。

あるいは、家計の負担が非常にふえている中で今回の値上げというのは非常に厳しい。

生活を守るために節電をしてきた。今回の値上げは納得がいくものではない。

これが全般でございます。

次に「経営効率化」でございますけれども、和歌山県の原発予定地というのがマスコミで報道されたそうで、今回の資産売却の対象には入っていないということで、疑問に思わざるを得ないということでございました。

2ページ目、資産や有価証券の関係です。例えばグループ会社の利益剰余金、持ち分を勘案しても3,479億円もある。値上げはもっと圧縮できないのかと。

スマートメーターの関連費用について、前回の値上げ時、これ以上削減できませんと言っていたものが、今回の値上げ申請の中では大幅に削減されている。このことから考えると、ほかの経費についてもまだまだ深掘りできるのではないかという御意見がございました。

下のほうの「関西電力の姿勢、情報公開等」についてでございます。

関電には納得がいく説明を求めたい。

また、役員報酬の引き下げについて姿勢が問われるということです。

原発依存を高めたのは関電の経営判断のミスではないか。

3ページ目、公聴会や説明など関電さんもかなり開催されているのですが、その都度の説明が非常にわかりづらくて不信感と疑問が増えるばかりであったという御意見でございました。

また、原油の下落についても言及がございました。

「原発」についてでございますけれども、原発による電力供給がないのに、維持費に二千数百億がかかるのではないか。あるいはその安全対策に1,000億規模の投資が行われるのではないか。動かない原発にそんなにお金をかけてどうすると言いたいという御意見がございました。

電変についてでございますが、非常にわかりづらいという御意見がございました。

4ページ、この電変によって査定の費目が限られるわけですけれども、結局総括原価と同じ全部の項目の検討に近いことになっているのではないか。

経営効率化が必ず値上げ幅の圧縮につながることについて明記してほしい。

消費者委員会でも電変という制度に対する検証をすべきという御意見がございました。

「その他」でございますが、高浜原発の差し止め仮処分の決定によって、11月の再稼働がかなり難しい状況になったのではないか。スタートの時点で既に前提条件が崩れたのではないですかという御意見でございます。

そのほか、中小企業の話、あるいは生産拠点を移転しなければという議論、新電力への顧客離れの話などがございました。

事務局からは以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

それでは、出席された委員から御発言をお願いいたします。

まず、井手委員、お願いします。

○井手座長代理 特段追加してコメントすることはないのですけれども、やはり再値上げということで、出席された地元の消費者団体からかなり不満というか。

もう一つは、先ほど事務局から説明がありましたが、電変という制度が非常に限られた中でどこまで踏み込めるのかということ。私個人的にはそういうことを考えると、経産省としても電変のあり方を考えてもいいのではないかという印象を、消費者団体の意見を聞きながら持ちました。

本来であれば、こういった不信感とかの中で電気に対して不買運動だって起こり得るわけですけれども、電気はそういう性格のものではないので、関西電力としても消費者離れが起こらないようにきちんと顧客のつなぎとめというか、そういう努力をしてほしいという声もございましたので、御紹介しておきます。

私のほうからは以上です。

○古城座長 次に、古賀委員からお願いいたします。

○古賀委員 おおむね事務局の方に御説明いただいたとおりなのですけれども、井手委員がおっしゃられたように、「電変制度についての疑問」が非常に強かったことが印象的でした。

地元の方の御意見がお聞きできて本当によかったと思いました。これまで意見交換会ですとか、公聴会とか「国民の声」で、文面では拝見していたのですが、やはり非常に関心の高い方々の最終的な意見ということで、非常に重たいものだと感じました。

査定案はもちろんなのですけれども、チェックポイントとその回答まで調べて、またそれに対する意見など、非常に熱心に意見を述べてくださった方もいまして、この調査会への期待を感じまして、消費者庁への建議についても身が引き締まる思いがいたしました。

それから、2度目の値上げに対する憤りということで、なぜこんなに簡単に値上げされるのかということから、電変制度についての疑問の声が大きかったのだと思います。

電変で本当に簡単に値上げができるわけではないということは、今回、エネ庁の専門小委員会を傍聴させていただいて、私も感じておりまして、この制度の限られたスタンダードの中ではしっかりした議論をしていただいたと思っております。けれども、査定案そのものはかなり限界まで詰めたものであると感じますが、地元の方は当事者であるだけに、一層感じるであろう、役員報酬とか顧問の問題などに象徴されるように、関電への根強い不信感があって、永年の経緯も含めて、経営責任を自分たちの電気料金に不当に押しつけられているという強い思いが伝わってまいりました。

この電力自由化という過渡期にあって、本当に関電の経営責任を問う意見という中には、「もっとよい関電になってほしい」というニュアンスもありましたけれども、「関電から離脱する明確な意思」というものもありまして、これから電力自由化に向けて、自然エネルギーの立ち上げ事例ですとか、原発推進への強い反対の意見ですとか、新電力へ切りかえたマンションの事例では非常に経費が節減できたという事例なども紹介されました。スマートメーターの単価軽減の問題についても深掘りがもっと必要ではないかというような、資料に基づいた意見も出されまして、参考になりました。

電変への疑問は総括原価方式そのものへの疑問でもありますし、やはり電源コストに対する徹底的な見直し、原発の問題も含めて考えていくことが必要だと思いました。

これからも経過措置の中でこの査定制度がまだ続いていくわけですので、この電変制度自体が本当にスタンダードとして適切であるかということも、ぜひ資源エネルギー庁さんのほうでも検討していただきたいと思いました。

○古城座長 ありがとうございます。

続いて橋本委員、お願いいたします。

○橋本委員 既にお二方、それから事務局からの説明にあるとおりなのですけれども、実際に行ってみた全体的な雰囲気としましては、電変制度に対しおかしいのではないかという皆さんの御意見と、それに対して今回の関電の説明がそれに輪をかけてわかりにくかったということで、不信感につながっているのではないかと感じました。

それと、皆さんがおっしゃっていたのは、経営の効率化、先ほど古賀委員がおっしゃっていたように、スマートメーター等、本当に皆さん、よく勉強なさっていて、前回ではこれ以上はできないと言っていたのに、よく見るともっと安く購入できていたなどという事例を、数字を挙げて示していただいて、本当に皆さん、今回に限らず非常に勉強なさって、いろいろな場面に臨んでいると思っております。その深掘りの部分を一体どのように還元するのか。先ほどもお話がありましたけれども、廃炉の部分を還元するとなっておりますが、今回、小委員会のほうでもフォローアップをするということなのですが、そういった深掘りの部分をどのように消費者に還元しているのか、廃炉の部分をどのようにきちんと出しているのかというところをぜひフォローアップしていただきたいという、今後の検証についても非常に皆さん、気になさっていたと思います。

また、もう既に電力自由化をにらみまして、皆さん、関西電力には思い入れも若干まだ残っているようですので、自由化になったときに関電は大丈夫なのだろうかというような、逆に応援するような、頑張ってほしいというような御意見も一部聞かれたということで、それに対して経営をどのように考えていくかというところをきちんと考えてほしいという思いを深く感じたヒアリングでございました。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

査定方針案、チェックポイントへの回答及び意見交換会について、御質問、御意見のある方、御自由に御発言をお願いいたします。いつものとおり、御発言を希望なさる方は目の前の札を立てるようにお願いいたします。

どうぞ。

○陶山委員 わかりやすい御説明ありがとうございました。そして、6回にもわたる小委員会開催から、膨大なヒアリングもされた上での結論ということでお聞きしました。

わからないところがございますので、これはどのように解釈して、また、当局としてはどのように対応されるのかをお伺いしたいと思います。今も御説明の中にあったのですが、人件費未達の部分です。効率化の深掘りの成果は毀損した財務体質の回復のみならず、お客様の電気料金の御負担の軽減に図るべく活用したいとのことではあるのですが、資料2のチェックポイントへの関西電力への回答の中では、人件費の役員報酬1,800万円との差額分、あるいは顧問報酬が年間で1億4,000万円から4,000万円程度に減少はしており、今後も削減に努めるとしながら、この差額については経営全般で吸収したいと考えていると。

ここの読み方なのですが、経営効率化した部分で差額を吸収するとも読めるのですが、査定方針案のほうでは効率化した部分は電力料金の負担軽減に向けるのだと。もし、読み違えであればそのように御指摘いただきたいのですが、関西電力のほうでおっしゃっているのは、役員報酬の差額分については27年度の効率化に織り込み、経営全般で吸収したい。これはどのように理解したらよろしいのでしょうか。

もし、今後も1,800万を超える役員報酬を払い続けるということであれば、査定方針案にあるように効率化したものについてはお客様の電気料金の負担軽減に向ける、それを確実に実施することを求めるという経産省の立場としては、もしそういう意向が関西電力にあるとすれば、どのように進めていかれることになりますでしょうか。教えていただければと思います。

○古城座長 よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 どうもありがとうございます。

まず、恐らく陶山委員が御指摘の部分は、チェックポイントへの回答の12ページに書かれております、チェックポイントで御指摘いただいた役員報酬についての「関西電力は」というところの説明の部分かと考えております。

関西電力の表明内容を私が何か言うのも変な話なのですが、委員会で議論されたことはこういうことでございます。まず、前回の2年前の値上げの認可の際に、査定額としては役員報酬を平均1,800万円に減額すべきだと査定をされました。

関西電力の説明は、平成27年1月、すなわちこの1月から1,800万に下げますと。その前は60%の減額とありますので、目の子で申し上げると平均2,100万円ぐらいのものを昨年の12月までは払っていた。それをことしの1月から1,800万円に下げますということでございます。

委員会で議論になりましたのは、それはある意味前回の査定の水準に下げたということではあるけれども、1月から下げているのであって、今までの12月までの1年数カ月分はどこに行ってしまったのだと。これについてはちゃんと平成27年度にさらに深掘りをするといった取り組みが必要なのではないか、そういう議論でございました。

それに対して関西電力の回答は、12月まで2,100万円だった部分については、経営効率化全般でほかのものを深掘りして、幾らになるとは明確には申し上げられませんが、その部分については、言葉はいいかは別として、吸収するということでありました。

これについては、委員会としてはそれで本当にいいのかということをずっと最後まで指摘をし続け、査定方針の中にそういった意見が多いこともちゃんと踏まえて、今後の消費者への還元という方策を具体化してくれということを、引き続きその部分は問題だと思っているというところを指摘した査定方針案になっているということでございます。

○陶山委員 一般的に伺えば、査定額の1,800万を超えて支払った部分については返納しますということで、それを全般的な経営の改善に向け、さらに効率化の深掘りをした部分について消費者に還元するというのであればわかるのですが、既に払った分については、深掘りした部分で埋めていきますというのは全く理解できないし、納得できないところだと思います。

さらに、今後の査定、実際に今から関西電力とのやりとりの中でその部分については厳しく求めていただきたいと思いますし、公聴会、いろんな意見も含めて、そこに対して最初に出てくるのは役員報酬のことは一体どうなっているのだということであり、そこをきちっと正さなければ今後の議論についても非常に不信感をそのまま抱えたままになると思いますので、どうぞ強力に進めていただきたいと思います。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 私の説明がちょっと誤解を招いてしまったところがあると思います。しっかり受けとめてやらせていただきたいと思いますが、経営効率化全般で吸収するということは、経営効率化の深掘りを今後平成27年度に行って、そのうちの一部を消費者に還元をするという仕組みになっているものですから、そういう表明、さらにはそれを認めたことになっているものですから、そういう意味ではそれを穴埋めするということではなくて、その部分を深掘りの一部として深掘った上で消費者に還元するということになっているということだけ追加をさせていただきたいと思います。

○古城座長 陶山さん、どうぞ。

○陶山委員 多分理解できていると思うのですが、この3年間で電気料金を決めていき、その前半の2年あたりは査定額1,800万を超えて支払っていて、それも含めて経営が悪化しているという状況の中でどう対処すべきかということだと思います。よろしくお願いいたします。

○古城座長 次、井手委員、お願いします。

○井手座長代理 最初にいただいた資料1-1の6ページですけれども、ここの「値下げの条件について」の(2)の「再稼働時期」というところで、わざわざ※で「原則として営業運転開始時」と書いておりますけれども、一般の人が考える再稼働というのは動いた時点のことを言っているわけで、通常ならし運転と言われているものがあるのですが、ならし運転を通常はどのぐらいの期間やるのでしょうか。

その間に当然電気は送られるわけですから利益は上がるわけですね。ましてや3年も4年もとまっている原発が動くわけですから、かなり慎重にやるというと、ならし運転の時期は長くなるという気がするのですけれども、その辺わざわざ営業運転開始時と書かれたのはどういう意図を持って書かれたのかというのが1点。

(4)にフォローアップと書かれていますけれども、これは要望として、消費者庁とか消費者委員会がこういった料金の値下げに関してフォローアップというかチェックをするような仕組みというのは考えているのかどうかというところをお聞きしたい。これが2点目です。

3点目、燃料費調整条項のところですけれども、家庭用のところで燃料費調整条項が適用されていますが、今回とは関係ないのですが、大口の需要家に対しては燃料費調整条項というものは適用しているのかどうか。そうでなければ燃料の変動を全部家庭のところで負わせているのかどうかというところをお聞きしたい。

もう一点、いただいた資料1-1の5ページの3-3、燃料費調整条項のところで「事業者の効率化努力の及ばない」と書かれていますが、市況はもちろんそうですが、企業はいかに安い燃料を調達するかという企業努力をするわけで、それと燃料費調整条項とのギャップというのをどのように役所としてはチェックしているのか。通常であれば、そこで利益は出てくるはずでありますし、3カ月から5カ月程度のタイムラグが出てくるということですけれども、例えば電気とかガスで、ガスの場合だと大量に使う冬の間には値下げが行われなくて、暖かくなって燃料費調整条項で料金が下がるということがあれば、本来消費者としては利益をきちんと享受できていないということなので、この燃料費調整条項とか原料費調整条項について、きちんとこういった際に検討するということも要望として申し上げたい。

以上です。

○古城座長 よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 ありがとうございます。

まず1点目に御指摘いただきました営業運転開始時の部分でございます。原子力規制委員会のほうで使用前検査というものが行われ、その内枠として先生が御指摘のならし運転、試運転というものがある状況でございます。したがいまして、我々として考えるのは、それが終わって再稼働するというところは、使用前検査が終わった後の段階でございますので、まずスタートポイントはそこであるということ。

どれぐらいの時期がかかるのかということについても、使用前検査がどのぐらいかかるのかという、規制委員会のチェック、検査のプロセスそのものでございまして、我々経済産業省から何ともお答えのしようがないというところが実態でございます。

2つ目のフォローアップにつきまして、消費者委員会及び消費者庁さんのほうでどのような枠組みかというところは私のほうからお答えしづらいところでありますが、少なくとも電気料金審査専門小委員会のほうでフォローアップするということになってございまして、そちらのほうで先ほど来御説明させていただいているように、消費者代表の方、さらには消費者庁の岡田課長にもオブザーバーとして御参加いただいて、同じ枠組みでチェック、フォローアップをしていくということになるとお考えいただけたらと思います。

3つ目の大口に燃調が適用されているのかという点でございますが、先生の御指摘が大口需要家部門で燃調が適用されているのかということだとすれば、その答えはイエスでございまして、相対の契約の中で同じような燃料費調整条項がほぼすべての電力会社において入ってございまして、同様の燃料費調整がなされるということで、現状の制度においてどちらにしわ寄せが行くという形にはなっていないと認識をしてございます。

4点目、5点目、同じ燃料費調整制度で、安い到達努力をした分はどうなるのだということでございますが、燃料費調整制度は、ちょっと専門的な言葉で申しわけないですけれども、全日本CIF価格という、全日本の平均価格をもとに、それが例えば1%上がったら1%上げる、1%下がったら1%下げるといった制度でございまして、全日本CIF価格というのは平均価格になっていますので、例えばある会社が努力をすれば、それが下がるという結果になり、それが全体として下がっていくというようにして消費者に還元されるという制度だとお考えいただければと思います。

タイムラグについては、3~5カ月と言っているのは、まず、海外から燃料をほぼ全て調達するという現状の中で、船が現地から来るまでに1カ月かかって、そこから荷揚げするまでにどれだけかかって、特にLNGの価格については、その後の貿易統計の価格を使って契約額が決まるというのが慣例になっているといったことから発生してしまっているタイムラグでございまして、その中で最も早くこれを反映させる方法として燃料費調整制度を運用しているというところでございます。

1つだけ付言させていただきたいのは、上がり局面でも下がり局面でもニュートラルでなければならないというのは我々が原則として踏み越えてはいけない部分だと思っていまして、下がり局面であったら早く反映しろとか、上がり局面であったらゆっくり反映しろとか、先生の御指摘はそういうことではないと思うのですが、そういった効果も出てしまうというところもございます。

いずれにしても、一番早く運ばれてきて、荷揚げされて、そこのところの価格をとっていくというところで、最大限早くとってこの時期になるとお考えいただけたらと思います。

○古城座長 よろしいですか。

次は矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 御説明ありがとうございました。

質問が1つと要望が2点ほどありますが、まず質問です。今回、値下げの条件についていろいろ提示されましたけれども、既に高浜原発の差し止めの仮処分が地裁で行われて、今回のそもそもの値上げ申請自体が再稼働時期の遅れということだったのですが、今後さらに遅れが予測される可能性がある中で、再々値上げが算定期間内に物理的に可能なのかどうかをお聞きしたいと思います。そういった情勢的なことも含めて、審査専門小委員会ではそのことについての論議はなかったのか。それが1点です。

要望ですけれども、1つは制度設計についての課題です。北電のときにもちょっと述べましたけれども、やはり電変制度の制度設計そのものについては非常に課題を持っているし、この間の審査においては制度の弱点とか課題をさまざまカバーしながら審査が行われていると思っています。ということは、今後の制度設計に当たって、電変制度の改めての検討なり、ほかの制度を設計するにおいても可能な限り現時点で出ている課題等を克服できる制度設計が必要かなと思いますので、その辺の検討を強く要望したいと思います。

もう一つの要望ですが、今回の審査において、直接の審査対象ではなくて、前提となる経営効率化についてはかなりさまざまな面から厳しい審査が行われたと思いますが、これはもちろん消費者側の声もたくさん出ていますが、審査が行われてくる中で明らかになった経営効率のいい加減さというか、見れば見るほど憤りは増していくわけですけれども、そういう数字の積み上げ方自体が査定においても崩されていくわけですね。そういった状況の中において、基本的には通常年に1回、経営状況について報告してチェックが行われるわけですが、今後においてはチェックの中身をさらに厳しくしないと、やはり事業者側が積み上げた数字の単純なチェックだけでは今回みたいな審査がなければそのまま素通りという可能性もあるわけですから、その辺はさらに厳しいチェック条項を盛るなり、何らかの形で事業者側の数字の出し方についても厳しいチェックをお願いしたい。それが2点目の要望です。

以上です。

○古城座長 どうぞ。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 どうもありがとうございます。

まず、御質問いただきました原価計算期間内の再々値上げが可能かという点でございます。

こちらにつきましては、資料2のチェックポイントへの回答の18ページ目、一番上の23番でございまして、こちらについては関西電力から、仮に前提よりも再稼働がおくれた場合、平成27年度については厳しい収支状況になることが予想されるが、何とか料金を維持したいと考えていると、このような表明がございました。ここに基づきますと、関西電力としては平成27年度、すなわち原価計算期間中の再々値上げというものを行う考えはないと言っておられるということでございます。

委員会でその点についてどのような議論があったのかということでございますが、これがまさにこの審査の第1回、1月21日の委員会の冒頭で表明をされたものですから、この表明を受けて、この点についての具体的な議論は行われてございません。

いただいた要望については重く受けとめて進めていきたいと思っていますが、いずれにしても今日、さまざまないわゆる電変制度の課題について御指摘をいただいております。電変制度は去年の北電のときから御説明させていただいているように、原価計算期間をなるべく長くとって、今まで1年だったところを3年でとった上で、より需要家に優しい、急激に上がり局面だったりするところをならしてちゃんと上げ幅を抑制しようという趣旨のもとで原価計算期間を延ばした中で、原価計算期間内で事業者のいわゆる帰責事由の及ばないような社会的経済的事情の変動が起こった場合についてはその部分の増分の値上げを認めるという制度を、電気料金審査専門小委員会の有識者会合での議論を経まして創設したという経緯がございます。

これについては、我々も、さらには委員会の議論の中でもこの制度の難しさを感じながら、しかし、需要家視点に立って、そういったよさも生かしながら、いかにその課題を克服するのかという取り組みをしているところでございまして、その点については何とぞ御理解をいただけたらと思ってございます。

事後のチェックにつきましてはしっかりやっていきたいと思ってございます。

以上でございます。

○古城座長 矢野さん、どうぞ。

○矢野委員 最初の質問のところの関電からの回答については承知していますけれども、物理的に可能かどうかを御説明ください。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 制度的にということであれば、可能でございます。

○古城座長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 査定方針案についての本日のエネルギー庁の御説明は、私はわかりやすいと理解しましたし、大枠についても妥当であると思いました。

その上で、非常に強くお願いしたいことがあります。今日、御説明いただいた項目は、値上げ認可の条件そのものになっているものと、そうではなく関西電力に努力を促すものとに大きく分けて2つあると思うのです。前者のほうは法的な拘束力があるでしょうから、そのとおり実行されるということは確実ですけれども、後者のほうがどう担保されるのかというのがわからないということがございます。

もし違っていたら訂正していただきたいのですが、私の理解では、後者のほう、値上げ認可の直接の条件になっていないものが3項目あると思います。

1つは、効率化の深掘りのところです。これについては関電にそれを求めるという表現だけになっておりまして、どういう項目について幾ら深掘りするのかということ。あるいは、深掘りして出てきた財源を、この報告書だと需要家への還元と財務基盤の強化と2つの目的で使うと書いてあるのですが、多分消費者の皆さんから見ると、全てそれは需要家にまずは還元してほしいと思われるのだと思いますけれども、需要家に還元される割合がどうなるかとか、そのあたりを関電に要請されるということをどのように担保できるのかという御説明を1点お願いしたいと思います。

直接的な認可条件ではない2つ目のことは、原発の再稼働が遅れた場合の値下げの問題です。これはいつ、幾ら値下げになるかということを、小委員会でフォローアップするという表現になっておりますが、小委員会でフォローアップするというのはどういう効果があるのかということです。そのことについて御説明いただきたいと思います。

3点目は廃炉が決まった原発の効果なのですが、これは次回の料金改定、通常の料金改定があった場合にそこで反映させる、そこで審議するという理解でよろしいのかどうか。

この3つについて御説明お願いしたいと思いますし、この3項目以外に認可条件そのものではない項目があれば、それも御指摘いただければと思います。

○古城座長 どうぞ。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 どうもありがとうございます。

まず、認可の条件そのものになっているかということについて言えば、値下げについては認可の条件そのものでございます。ただ、値下げの率がどの程度かとか、今、御指摘いただいたフォローアップについてはまた別の論点でありまして、今からお答えをします。

そういう意味では、御指摘の3つというところがまさに電変制度の直接の対象費目、対象項目以外の部分で何らか値上げ幅の圧縮に充てられる部分だと、さらには値下げの条件づけになる部分だという御指摘はそのとおりでございます。

1つ目の効率化の深掘りについては、これまた若干ややこしいのですが、御指摘のとおり、どの項目をどの程度減らし、どの割合で需要家に還元するのかということについて、結果こうなったということは認可の一環となります。すなわち、認可のそもそもの値上げ幅の圧縮がこんなものになりました、さらに、需要家への還元はこうなりますというのは、今後行われる値上げ認可申請の認可の1つのパッケージの一環になるとお考えいただけたらと思います。したがって、これだけ上げ幅を圧縮するといったことについてはしっかりと法的拘束力がかかるということでございます。

ただ、委員の御指摘のむしろどれだけのものをどれだけ削るのかとか、どれだけ還元するのかということについて言えば、ストレートに申し上げると、今日、るる御指摘いただいたように、電変制度の直接の対象項目の外になっているものですから、その前提としてしっかりとやってくださいというところになっていまして、したがって、この課題がある中で、この委員会のプロセスを通じてしっかりとそこを実質上査定するというところを通じて、その適正性を可能な限り確保しているというプロセスだとお考えいただけたらと思います。

2つ目の値下げのフォローアップについては、まず、値下げについては、電気事業法上値上げは認可が必要です。値下げは届け出で可能という制度になってございます。したがいまして、法律の筋からしますと、基本的には届け出られたものに、著しい問題がなければ変更命令も出ず、届け出がそのまま実行されるという制度になってございます。しかしながら、今回の特に再値上げを行った関西電力、さらには前回の北海道電力においては格別の事情があるということで、値下げの届け出の際にこの電気料金審査専門小委員会の、それが本当に適正な値下げなのかといったところのチェックを行うというプロセスが入るとお考えいただけたらと思います。

最後の廃炉については、先ほど申し上げたように、これまた電変制度の直接の対象費目ではございませんが、今回、そういう事象が発生したものですから、どの程度値上げ幅の圧縮効果に使えるのか、その分費用がどれだけ減っているのかということをしっかり関西電力に表明してもらっています。その表明をしたものが、詳細精査中ではありますが、先ほども申し上げましたように96億円ということになっておりまして、そういう意味でいうと、表明されたものは今回、値上げ幅の圧縮に使うというところについてはまず適正であると。そこの部分については全額財務基盤の強化に充てるのではなくて、全額返してくださいということを委員会から求め、その方針で進んでいきたいと考えておりまして、今回、しっかりとそれをチェックした上で、さらに次回料金改定でも見ましょうということが書いてあるとお考えいただけたらと思います。

○古城座長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 御説明いただいてよく制度的なことがわかりましたので、2点目のほうは届け出ではあるけれども、実質的に認可に近いような形で小委員会が関与すると私は理解させていただきましたし、1点目と3点目は形式的には査定の条件の外でありますけれども、これまた消費者の皆さんの声、あるいは当委員会の声などを踏まえていただいて、実質的にそれをしっかり織り込む。エネルギー庁さんは最大の努力をすると今、おっしゃったと私は理解いたしましたので、それを期待したいと思います。ありがとうございました。

○古城座長 ちょっと私から質問します。

廃炉の話なのですけれども、原発廃炉前は、まず1つは減価償却費がかかるのと、もう一つはレートベースに入って報酬率が資本コストとしてかかってきますね。廃炉になって減るのは資本コストのほうで、レートベースがなくなる。減価償却費は新しい会計ですと残るのでしたね。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 おっしゃるとおりでございまして、この廃炉によって費用が減額される部分の主なものは修繕費の減額部分になってございまして、座長が御指摘のように、廃炉会計ができたことによりまして、今、減価償却費として織り込まれているものについては、廃炉後も同額を廃炉の費用としてそのまま継続されることになるのですから、そこについての増減、前と後の違いがあるわけではない。修繕費等のところで減っている。こういうことでございます。

○古城座長 レートベースに入って、今、原発は報酬を稼いでいるのですが、今度は報酬を稼げなくなるのですか。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 レートベースの部分の根っこの部分が変わってくるものですから、それによる事業報酬額の減額部分もございます。

○古城座長 それで廃炉になってコストが減るというので、電気料金が減ると言っているのですが、電気料金が減るというので、電力会社が行う部分ですと、電力会社は相変わらず減価償却費を積むことになっていますが、ほかの日本原燃から買ってくる電力料は、内訳を見ますと修繕費とかそういうものをカバーするものと、減価償却費をカバーする部分もありますね。それはどういう扱いになるのでしょうか。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 我々が理解をするところ、さらには小委員会で説明をされたところによりますと、座長がおっしゃるとおり、敦賀の部分についてはこちらの査定方針案に書かれているように、購入電力料のところの変化の部分になります。廃炉を決定されたわけでございまして、今まで購入電力料として支払っていた部分が、購入しなくなるわけで、その部分の差額が出てくる。

ただ、ゼロになるかというと、そこはまさに御指摘のように、今でも入ってございますが、廃炉に必要な費用も含めて受電会社として支払う部分がありまして、ただ、その部分に差額が出てきまして、その差額が今回、減額、96億円の一部として原資となっているという理解でございます。

○古城座長 あと、電変制度とかというときに、当初想定したよりもコストが変わってくる。そういうことを一々見ないというのはそのとおりでよろしいと思うのですけれども、こういう廃炉みたいなことは、ちゃんと動くことを予定してコストを反映したのですが、これはもう動きません、コストががくっと下がりますということになりますと、それは事情の変更ではなくて、廃炉ということを最初から織り込んでくれたら織り込んでコストを安くできたのに、途中で廃炉したから変更できませんよというのは納得ができないというか、説得力がないと思うのです。

○井手座長代理 それは私も同感で、今さら言ってもあれですけれども、これだけの大きなコストの変動があるわけだから、本来は料金申請のし直しをやるのが筋ではないでしょうか。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 ありがとうございます。

まず、今回、関西電力さんからなされた料金認可申請は何度も申し上げているように電源構成変分認可制度という認められた制度に基づく申請でございます。この電源構成変分認可制度においては、まず敦賀に関していえば、購入電力量は対象費目にはなっているのですが、今回、廃炉をしたとしてもいわゆる数量の変更、受電量というのはもともと織り込み時点からゼロなのです。ゼロのものがゼロなので、その部分が変動していないので、電変の制度上は、変動部分の原価として扱われない部分になるということでございます。

加えて美浜については、みずからの原子力発電所の廃炉でありまして、先ほど座長から御指摘いただいた修繕費であったり、料金原価的にいうとそういった費目が減少するということになります。これまた電源構成変分認可制度の明確に対象外の費目でございます。

したがいまして、この制度の制約の中で、これをいかに需要家、消費者視点に立ったときに還元できるのかということを考えて、実質上、まさにそれが行われたのと同じ効果の部分について、しっかりと全額返してくださいということで出たものがこの96億円という費用でございます。

井手先生御指摘の、申請し直すべきではないかということでございますが、電源構成変分認可制度に基づいて申請されてきたという事実と、恐らく先生が御指摘なのは、総洗い替えで、まさに対象になっていないわけなので、総洗い替えでそれを申請し直すべきではないかということにつながってくるのかと思っています。

総洗い替えで申請し直したときに、もしかしたらほかのものも含めて値上げ幅がもっとふえてしまうかもしれないし、電源構成変分認可制度というのはほかのところを見ていないわけですね。ここについては事業者の判断にゆだねざるを得ない部分があります。ほかにも廃炉をした会社は今の井手先生の御指摘からすると、ちゃんと認可申請し直すべきではないかということになるわけですが、認可申請、または届出し直すと逆に料金が上がることになってしまうのを抑えているのだということにつながるわけです。

今回の関西電力の申請について言えば、電源構成変分認可制度という制度で申請をされていたという中での需要家、消費者視点で、それをちゃんと全額返すのだという視点と、もともと全部やり直すべきではないかということについていうと、基本的には申請主義でそれをやり直すかどうかというのは事業者の判断にはなるわけですが、やり直した場合にもしかしたら思わぬ方向に行ってしまうリスクというのがあるという中で、一番需要家、消費者視点に立ったときに適切だと委員会の中で判断されたのがこのやり方であるとお考えいただけたらと思います。

○古城座長 御苦労なさっている点はわかるのですけれども、私の質問は非常に簡単でして、今、原発は非常に大きな争点になって、原発事故が起きたのでいろいろ安全を見直して、そのうち再開しますから、その間何も働いていませんけれども、皆さん、そのコストを負担してくださいと。原発は何も働いていないのですが、報酬率も稼がせているし、減価償却費も稼がせているし、修繕等もやっているわけです。それで原発が動いてくれたら安くなるということで、その間高い燃料費も処理しているわけです。

ところが、原発の中で、みんながよくわかっているとおり、かなり廃炉候補というのはたくさんあって、その廃炉候補もそういう事情でちゃんとコストを積んでいるのですが、電力会社が廃炉をしますと、電力会社にとってはとりあえず原発につきましてコストを実際には削減できるのです。だけれども、もともとの料金はちゃんとこういう報酬率も入れた料金になっているわけですから、廃炉にしたとき、報酬率はもう稼がなくていいということになったから、その分は自動的に下げてもらいたいということだけなのです。

今、言ったように、値下げについては特に認可が要らないというのはおっしゃるとおりなのですが、今回みたいに電変というものが出ますと大きなコスト要因として値下げできる要因が将来出てくるのでしたら、それは、もうちょっと前に、今度の査定の前に廃炉が決まっていたといたします。その場合には特別に織り込んだらどうかというのが私の意見なのです。原発については廃炉になりましたから、前に廃炉ではない格好で積んでいたコストを変えますということもやっていただきたい。細かく変えるのは非効率ですけれども、もともと原発は動くという形で原価を決めていたのですから、動きませんということは織り込んでいただきたいということなのです。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 ありがとうございます。

今回、まさに審査のプロセスの途中の3月17日という時点で発生した事象だったので、このようなケースになり、そこで結果としては座長がおっしゃるように、減っている部分が原価から減るという効果を求めているのが今回の査定方針案でございます。

では、仮に次の機会があった場合には、当然、今回のフレームワークは踏襲されるわけで、廃炉決定を既にしているような会社が出てくるときには、仮に電変に基づく申請であったとしても、それを同じように織り込むというか、還元することを前提に審査のフレームワークが進んでいくということになると考えております。

○古城座長 私が長々しゃべって済みません。

次に蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 2点あります。一つは先ほどの岩田委員からの質問に関連していますが、値下げ率の問題です。今回、10.23%上げるという値上げ率をみると、2年前に値上げしたものを100として、10.23%になっていますが、ベーシックにしているものがどんどん高い値段がベーシックになっていますから、2年前の値上げ前の電気代をもとに値上げ率を計算すると120%ぐらい上がることになるかと思うのです。

なのに、値下げ率に関しては、関係ありませんと言っているだけです。企業は事業計画を必ず立てます。同じように電力会社も、どこを廃炉にするか、など具体的に計画を決めていると思うのです。なのに、今、にっちもさっちもいかないから値上げさせてくださいという申請だけを受理して、値下げ率に関しては2年前に近づければいいのだという曖昧な表現を通そうとなさっている。むしろ、こういう条件のときは値下げしなさいというのを算定して、何%ぐらい値下げしなさいと具体的に提示することができるのではないかと私は思っています。

企業のトップの人は、例えば「ここは何%下げて、ここは何%下げると、実際的にこの条件の中で、お客様への料金は今の10.23%から3%以上下げることができるかもしれない」と具体的に言えるような気がします。ところが、今回はそこのところがとても曖昧です。廃炉になったときは値下げする数値的な目標を、電力会社の方につくっていただいて、自分たちの事業計画の中で反映してもらい、自助努力、経営努力をもっとしっかりみせていただくほうが消費者にとってはわかりやすいですね。

下げについても厳しくアドバイスをしていくということが大事なのではないかと思います。それについてどう思われているかというのを詳しくお聞きしたい。

もう一点なのですが、総括原価なのです。私は総括原価方式には非常に反対をずっとしているのですが、総括原価方式である限り、やはり人件費というわかりやすいところにみんなの目が行きます。総括原価というのがなくなればいいと私は思っていまして、電力の自由化が起これば、これはどんどん消えていくとだろうと思います。

その辺のところは、資源エネルギー庁としてはどう考えているかお答えください。常に総括原価をやっている限りは、人件費のところで物を言いやすいので、そこばかりを詰めるのです。消費者もそれがわかりやすいのでそこばかりを詰めていく。問題をすり替えることにもなりますので、総括原価方式は、大きな課題を残すと私は思っています。その辺のところはどう思っていらっしゃるのかというのをちょっとお聞かせいただければと思います。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 ありがとうございます。

まず、値下げの率を数字としてちゃんと明確化すべきではないかというお話でございますが、繰り返しになってしまいまして大変申しわけありませんが、値下げというのは届け出制のもとで、まさに事業者がどれだけ値下げをするかというのを自主的に判断することこそが需要家、消費者の利益に資するという目的のもとで2000年からつくられている制度でございます。

自分たちの値下げを、語弊を恐れずにいうと、財務体質の強化を同時にできるというインセンティブがあると値下げも進みやすいというもとで設けられた、インセンティブ規制という分類に基づく料金規制の方式でございます。その効果がありまして、2000年以降、料金の値下げが行われてきたという実態があると考えてございます。

震災以降、状況が一変しまして、今のこのような状況になっているという中で、この制度の枠組みの中で、電変に基づく再値上げを行おうとしている会社については、まさに査定方針案でまとめていただいているように、一義的に幾ら下げるというのは決められないけれども、しっかり電気料金審査専門小委員会でフォローアップをしましょう。中長期的に見たら、前回の値上げの水準には戻っていくのでしょうと、値上げ前の水準に戻っていくところを目指すべきだと、ここまで踏み込むことこそが、数字が示せない中でも最大限事業者に求めていき、適切な範囲であるという判断のもとでやられている、こういう枠組みだと考えてございます。

2つ目の総括原価方式については、まさに今、電力システム改革の動きを我々資源エネルギー庁としても進めてございまして、来年小売全面自由化されます。現在、国会で審議中ですが、送配電部門の中立性の確保ということで、電力会社においては法的分離を2020年に行うといった枠組みのパッケージで進めているところでございます。

そこに流れる思想としては、今、委員が御指摘のように、総括原価方式というものの限界を明確に意識しながら、しっかりと企業の努力、関西での意見交換会の模様の中でも御紹介いただきましたけれども、関電離れがすすむという中での経営のプレッシャーとか、そういう中で料金をどれだけ下げていけるのかとか、費用をどれだけ削減できていけるのかといったところに向いていくということは、効果として大いに期待し、見込めるところだと思っております。したがいまして、来年から小売全面自由化を行うということにしてございます。

一方で、規制なき独占といいますけれども、強い力が残ってしまっていると、逆に自由化すると値上げが起こってしまうのではないかという御懸念もあるものですから、しっかりと需要家サイドから見て、事業者を選択できる状況が整うまでは、先ほど御指摘もありましたが、経過措置料金という形で、小売の料金規制を一部残して不当な値上げが行われないようなセーフティーネットを張る。そのあたりで御指摘のような総括原価方式の限界というか課題を克服していきたいと考えてございます。

○古城座長 ありがとうございます。

ここで質問を締め切らせていただきます。私の不手際がございまして、時間が相当経過しておりますので、これから御質問なさる方はなるべく御協力をお願いします。

次、白山委員、お願いします。

○白山委員 それでは、短目に。

私の勉強不足のところもあるのですが、今、査定方針ということで話をしているわけですが、最終的に何%下がるかということに関して、査定方針の話がその大前提としてありまして、その方針に基づいて査定が実施されて、その結果として査定結果が出てくる。この一連の流れがあると思うわけです。

そこで査定方針については非常によくやっていただいていると思っているわけでございまして、かなり突っ込んだところまでやっていると思うのですが、査定の実施プロセスのところにつきまして、前々から疑問に思っていたのですが、どのぐらいの導入人員で、どのぐらいの投入時間をかけて、具体的にどういう手法で、書面検査だけなのか、立ち入り検査までやるのか、どういう手法で査定方針に基づいて、例えば先ほどの経営努力の深掘りという問題もございましたが、査定の実施プロセスに関する、そこら辺りの実施方法などのところが、何となくあとはよろしくお願いしますみたいな形になっているような気がするのです。

実際、そこのところはどのようにやられているのかという点について、私も勉強不足でよくわかっていないところがあるので、概略でよろしいのですが、教えていただければと思います。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 ありがとうございます。

委員会に取りまとめていただいた査定方針案に基づいて、我々は今、作業をしてございます。端的に申し上げると、非常に機械的な作業になっています。要は、この査定方針案において、ほぼ全てについて方向性を出していただいていますので、それに忠実に従って計算をしているという状況です。例えば卸電力取引所の部分については、卸電力取引所の直近の6カ月の実績をとって、その差額分を減額しなさいとなっているわけで、6カ月の実績をとると大体何%で、もともとの原価がこんなものだから幾らと、非常に機械的に計算できるところまで詰めていただいている査定方針案になっています。

一部、2点ありますけれども、報告徴収というものを行って、実際の他の電力会社の数字を報告徴収して、それに基づいて出てきたもの、これまた方針は決まっていますので、機械的にこれがこうでした、トップランナーがこれでした、連系制約のないところの他社の調達実績はこれでしたといって、それを計算に当てはめるとこれが出てくるというところなので、繰り返しになりますが、一言で機械的な当てはめが行われているということだと考えていただけたらと思います。

○古城座長 よろしいでしょうか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 査定方針案の概要の最終ページの最後のラインなのですが、次回の料金改定に際しては、厳格に確認すべきであると書かれているのですが、今も御説明のように、次回、来年度からは自由化という制度の中で、情報提供、厳格に確認するという方法、具体的には情報公開なり消費者が意見を言う場、あるいは反映される制度、こういったものはどうなってくるのかと思いまして、その点をちょっと、現在確認できている部分で結構なのですが、教えていただきたいと思います。

規制料金については、託送の料金については規制ということで、あとは経過措置でとお聞きしていますが、どのレベルまで情報公開をされていくのか、意見が反映されるのかということについてお伺いしたいと思います。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 まず、資料1-1、最後の7ページの5ポツの最後の部分についての御指摘をいただいたと認識していますが、次回の料金改定に際してはと書いていますが、次回、ここのケースでいうと、関西電力が認可申請を行うか、または引き下げであれば届け出を行うか、そういう料金改定が行われた場合ということでございます。

では、それはどういうプロセスになるかということですけれども、基本的には今と同じだと考えていまして、小売料金について規制が引き続き経過措置として残っていて、規制料金が、認可申請なりが行われた場合、届け出の場合はちょっと違いますが、同様のプロセスで審査を行うということになりますので、その場合において、今回もオブザーバーとして御参加いただいているようなプロセスもございますし、公聴会等も行っていくということになるということでございます。

○古城座長 よろしいでしょうか。

○陶山委員 それは経過措置料金である間についてはということになってきますか。最終的に着地をさせる制度としては将来的に家庭用電力も自由化という方向の中で、最終的に制度を成熟させる方向としてはどのようにお考えでしょうか。公聴会等もなくなっていくというお話も聞いていますが。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 基本的には先ほど蟹瀬委員への御回答で申し上げたように、自由化を行っていくという中で、総括原価方式といったものの課題を解決しながら消費者、需要家がしっかり電力会社を選択して、自分のメニューを選択して、その中で電力会社側の経営効率化なりというものが必然的に起きているといったプロセスを前提として自由化というものを行うということでありまして、自由化された後は当然規制料金ではなくなるというところで、規制料金において行われていたこういった我々の審査専門小委員会といったプロセスを含めて、その部分は基本的にはなくなるのだという整理でございます。

○古城座長 次、古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 本当は渇水準備引当金のことをお尋ねしようと思ったのですけれども、先ほどの購入電力料と廃炉の関係でどうしてもお尋ねしたいので、蒸し返しのようになって恐縮なのですが、私も井手委員と同じ意見で、非常に重大な「後出し」だと感じております。

いただいている査定資料のスライド41を見ますと、購入電力料が今回申請443億で、これは前回申請よりも79億も上がっているわけなのです。実際に廃炉をした場合に、先ほど座長も御質問されていましたが、修繕費が軽減されていくというのはわかるのですが、減価償却費は簿価上の残存価値として残っているわけですね。先ほどの御説明だと、減価償却費は廃炉後も残って電気料金に参入していくという御説明だったように思うのですが、そこのところはどうなのか確認をさせてください。

むしろこの減価償却費は損失処理などをするのが妥当ではないかと思うのですが、私も廃炉会計を勉強していないのでよくわからないので、お考えを教えてください。

それと、もともと廃炉引当金というものがあると思うのですが、廃炉引当金というのはもともと私たちの電気料金からつくられているものなのですが、5の美浜発電所の最後に「廃炉に伴う費用の減少分が原価に織り込まれていないことを厳格に確認するべきである」とあるのですが、ここのところの廃炉の引当金というのは、今回、この件についてはどのように使われているかということも教えてください。

また、先ほど96億円が軽減されるという御説明でしたけれども、443億円の購入電力料、基本契約の分だけではないと思うので、この辺の明確な会計を示していただかないと、ここは非常に大きな電気料金の査定の額の一部ですので、今は無理としても、追って資料を出していただきたいと思います。

質問についてお答えいただきたいと思います。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 ありがとうございます。

関西電力から提出された資料でしたので、本日はお配りをしていないのですが、口頭で恐縮ですが、4月21日の電気料金審査専門小委員会におきまして、関西電力から提出をされた、廃炉の部分についての内訳を口頭で申し上げますが、資本費・公租公課について6億円の減少、修繕費について22億円の減少、購入電力料について84億円の減少。これが座長から御指摘いただいた敦賀の部分でございます。

その他経費としまして6億円の減少、原子力発電施設解体費として22億円の増加、これを総額すると96億円の減少ということになってございます。

済みません。委員御指摘の443億円という数字がどれかというところが発見できないのでございますが。

○古賀委員 スライド41の「購入・販売電力量の概要」の表になっているところの、今回申請、前回申請の部分です。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 4,422億ですか。「44,229」のことをおっしゃっているのですか。

○古賀委員 購入電力料の「44,318」です。100万単位なので。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 「原子力」というところですか。

○古賀委員 「購入電力料」の「原子力」のところです。多分ここのところは小委員会でも問題にされていない箇所だと思うのですが。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 繰り返しになってしまって恐縮ですが、まず、購入電力料のこの部分について、今回の電源構成変分認可制度上の増分には当たらないものの、敦賀の購入電力料の減少分、先ほど申し上げた84億円、廃炉に伴って減る部分について、需要家にそのまま還元をするということになってございます。

これが重大な後出しということでありますけれども、3月17日に決定をされたものでございまして、申請が昨年の12月24日に行われたことを考えると、後出しというよりは後発事象である。後発事象をどのように適切に消費者、需要家の方々に還元すべく処理するかということで、委員会で議論をした結果、全額をしっかり返すべきだということになり、こういった結論になっているということでございます。

ちなみに廃炉に伴う会計の話でございますけれども、廃炉会計が一昨年、さらにことしの3月に見直されまして、廃炉を促進するために廃炉後の一括費用認識が起こって、その廃炉をためらうことがないように、廃炉後も平準化して会計計上、費用計上ができる。総論で申し上げるとそのような制度が入っているところでございます。

それに基づいた料金原価への組み込みができる制度になっておりますが、今回の関西電力さんのものについて言えば、一昨年の廃炉会計の見直しの部分で、解体引当金について生産高比例法から定額法に変更するという改正がなされていまして、それに基づいた部分が織り込まれてございまして、その分が先ほど申し上げた22億円の増加というところで発現しているとお考えいただけたらと思います。

○古賀委員 その22億円というのは引当金とかでなく、新たにまた発生する費用で、それは電気料金に当然反映されていくということでしょうか。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 引当金そのものでございます。

○白山委員 引当金の計上方法を変えたことに伴うその差額という意味ですか。

○資源エネルギー庁山崎電力市場整備課長 おっしゃるとおりです。

○古城座長 まだ皆さん本当は御質問したいかと思いますけれども、時間の制約がありますので、このあたりで終わらせていただきたいと思います。

経済産業省資源エネルギー庁にはここで退席いただきます。どうも長時間ありがとうございました。

(経済産業省資源エネルギー庁退室)

≪4.関西電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見(案)について≫

○古城座長 続いて、関西電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案に対する調査会としての意見の取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。

事前に皆様からいただいた御意見を踏まえ、調査会の意見(案)を用意しましたので、その内容について消費者委員会事務局から御説明をお願いいたします。

○大貫参事官 資料4をごらんいただきたいと思います。この意見(案)についてはこれまで北海道電力を初め、出してきたものと同じような形式を踏襲してございます。前文の部分はこれまでの経緯についてまとめた部分でございます。

1「全体的な評価」から主なところを説明させていただきます。

まず「査定方針案全般」についてでございますけれども、最初はチェックポイントの意見をおおむね踏まえたものになっているということで、チェックポイントの定着を評価している。

2番目の○は、電変に基づいて提出された申請であって、料金改定の「前提計画」としての経営効率化計画について査定方針を反映したものであるかどうか、進捗状況・内容等を十分に確認することについて評価できる。

3つ目につきましては、値下げについての条件を明らかにしている点、値下げの実施時期や値下げ幅等についてフォローアップをする点について評価できる。フォローアップは適時適切に行われるべきであり、需要家からの公開の場で意見を聞く機会を設けるべきである。フォローアップの結果に基づいて値下げを実施する仕組みを検討すべきであるとしています。

2ページ目、美浜原発の廃炉あるいは日本原電の敦賀1号機の廃炉に伴う購入電力料の減少について、全額を需要家の負担軽減に活用されていることを確認すべきとしたことについて、評価をしております。速やかに電気料金に反映するよう関電に促すとともにフォローアップを行うべきであるとしております。

次に「審査プロセス」でございます。エネ庁における審査プロセスで、公聴会あるいは国民の声など需要家の意見を広く聴取し、事業者に詳細な情報提供を求め、精力的な審査を行った点は評価しております。査定方針案についても十分周知するということでございます。

2つ目ですが、関西電力について、経営効率化をさらに進めることの表明があったこと、需要家に対する説明会を実施したこと、情報提供に努めたことを評価しております。自社の経営が管内の経済や消費生活に多大な影響を与えることを十分自覚して、丁寧な情報提供・説明を行うべきとしております。

「個別項目及び今後の課題」ということで、個別項目について、2で申し上げますけれども、さらなる対応をいただき、結果について説明を求めたいとしております。

3の今後の課題について、経済産業省において検討し、しかるべき時期に消費者委員会としてヒアリングを行いたいとしております。

3ページ目、2「個別項目」の内容でございます。

最初が「燃料費、購入電力料等」。燃料費については費用を上回る部分を減額すべきとしたことは評価できるとしております。

2つ目が、石炭火力の定期点検の繰り延べについて評価できるとしております。

3つ目が、揚水の他社からの購入分との差額を料金原価から減額すべきとしたことを評価できるとしております。

4つ目、水力と新エネルギーの減少分について「社会的経済的事情の変動」と認めなかった。料金原価から減額すべきとしたことを評価しております。

次は、トップランナーについても評価をしております。

卸電力取引所取引の約定価格についてでございますけれども、原油価格の大幅な下落を反映するために評価ができるとしておりますが、直近の実績の期間を「6ヶ月」としたことについて、4月10日のエネ庁の小委員会で「6ヶ月」よりももっと短くすべきという議論もあったということで、今後、査定をする際にどのように反映させるのか、取り扱いを明確にすべきとしております。

4ページ目、今般の値上げ申請と燃料費調整制度の関係が消費者にとってわかりやすいものとなるように、具体例を挙げて丁寧な説明を行うよう関電に促すべきとして、具体的にはホームページ上で御説明などの例が挙げられるということでございます。

続きまして「経営効率化」について。意見交換会で役員及び顧問の報酬等について、あるいはグループ全体の経営効率化が不十分という御意見が多く出ていた。「能率的な経営」の考え方について、消費者と関電の間に考え方に隔たりがあるのではないか。

健康保険料の事業主負担の引き下げ、普及開発関係費等の削減、寄附金・団体費等の削減、資産の売却、グループの利益剰余金の取り崩し等によるグループ全体の経営効率化に徹底して取り組むように関電に促すべきであるとしております。

「販売電力料」について。需要家の離脱を解消するための努力を行うべきとしております。

「料金体系等」について。電気料金を節約できるメニューについて、広報・普及に取り組むよう関電に促すべきとしております。

5ページ目、効率化の深掘りによって生み出される原資を激変緩和措置に活用するための具体策を検討し、実施すべきとしております。

三段階料金についても、少額の利用者にとって値上げの負担が緩和されるようにすべきとしております。

「財務状況」についてですが、渇水準備引当金について、北海道電力は申請をして認められたということなのですが、関電のほうは「目的外の取り崩しを行うことは考えていない」とされているということで、許可申請を行う余地がないか検討すべきとしております。

「今後の料金値下げ等」について。原発の再稼働時期に応じて原価低減分や値下げ幅について情報開示を行うべきとしております。

関電から再稼働時期がおくれる場合も値上げが行われないことを確保するために、エネ庁のほうでどのような措置を講じるのか明確にすべきとしております。

6ページ目、3「今後の課題」でございます。

「料金審査のあり方」については、情報公開あるいは電変、「社会的経済的事情の変動」の解釈、審査のあり方、認可後のモニタリングのあり方、料金値下げ幅の審査のあり方、卸電力取引所取引の燃料価格の変動の反映等について、引き続き需要家の利益が損なわれることがないように、経産省において検討すべきとしております。

2つ目、修繕費等の緊急避難的な繰り延べが今回、多額に行われているということで、既に料金原価に含めて回収された修繕費等が次回の料金原価として再度申請される可能性があるということで、繰り延べられた修繕費等の内容と発生時期を明示させ、査定上の取り扱いを明確化すべきであるということを書いてございます。

次、値上げによって経営状況が改善した場合、必要以上に内部留保を積み増したり、株主の配当を行うということがないように、フォローアップを行うべきであるとしております。特に電変の場合には徹底したフォローアップが必要としております。

「中長期的な電源確保の在り方」について。意見交換会で、関電は原子力発電への依存を改めるべきだというお考えもあったということで、中長期的な電源確保の考え方について、丁寧に情報提供・説明を行うよう促すべきとしております。

最後、7ページ「電力システム改革」についてですが、消費者基本計画工程表において、ここのかぎ括弧で書いたとおり「小売料金自由化に向けて、決定過程の透明性確保及び消費者参画の機会の確保について検討するとともに」という文言が入ってございます。これに従って、経済産業省として消費者利益の確保のあり方を検討するとともに、電力システム改革の進捗状況についてわかりやすく説明し、複雑なメニューや情報不足による混乱、詐欺的な勧誘の発生等の消費者トラブルの発生が見込まれるので、その苦情処理や紛争処理のための体制強化について検討すべきとしております。

最後の○ですが、経産省は電力システム改革における具体的な制度設計、制度の運営を行う際に、消費者の意見が政策に反映されるような仕組みを検討すべきとしております。

特に電力・ガス取引監視等委員会の設立について、この仕組みを検討すべきとしております。

以上の今後の課題については消費者庁においても経産省と情報、認識を共有し、消費者庁の使命を実現すべく、適切に対応することを強く期待するとしております。

事務局からの説明は以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。

意見(案)について御意見のある方は御発言をお願いいたします。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 先ほどの査定案の5番のところで、廃炉に伴う費用の減少分を電気料金負担額の軽減に活用するということが関電から説明され、エネ庁はそれを活用することを求めると査定案で記載されていますけれども、このことを確保する何らかの手だてというか、確認できる手だてをエネ庁のほうでさらに意見書の中に盛り込んだほうがいいのではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○古城座長 それは私も賛成です。

あといかがでしょうか。

岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 消費者団体からの公聴会の御意見の御紹介がありましたけれども、査定案自体がわかりにくいというお話がありましたので、私たちが出す意見もそれにつられてわかりにくくなっているのではないかと思いますので、もっとできるだけわかりやすくというのが1点目です。

それから、私自身は余り専門的な知識はないのですけれども、先ほどのやりとりの中で、座長や座長代理の先生もおっしゃっていましたが、もし電変制度の制度的な制約で、本当はもっと消費者のためにやれることができないということがあるとすると、将来の課題として制度の問題点の整理とか見直しとかについて触れてもいいのかなと思いました。

この文書自体は消費者庁に出す文書なのですね。ですが、書いてあることは消費者委員会としての査定方針案についての評価を書いてある部分、これは中立的でいいと思うのですが、あとは関電に直接要請しているような文面になっていたり、誰にお願いするのかが、アクションをとっていただかないといけない主語が書いていなかったり、多くの場合はエネ庁だと思うのですが、そこがないというのもわかりにくさの1つではないかと思いますので、それを整理したらどうかと思いました。

個別の項目で、私自身の勉強不足、理解不足が今日のやりとりでよくわかったのですけれども、今回の査定のプロセスですから余りもう時間がないですね。実際の査定のプロセスで相当なことを反映させようとしていますので、それがこの意見書だと、経営効率化の話でも、関電にその努力を促すべきであるみたいな書きぶりになっていますが、これは査定の過程で数字を出してもらってそれで査定とするという今のことなのですね。そのあたりのニュアンスがずれているかなと思うところも何カ所かあります。

個別意見の並べ方も、どういう考え方に基づいて並べているのかがちょっとよくわからない。査定方針の項目に沿っているわけでもないし、どういう順番にこれが並んでいるのかというのも気になってまいりました。

以上です。

○古城座長 全般的な御意見ありがとうございます。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 直接的にこの査定方針に対しての意見ではないのですけれども、先般出しましたチェックポイントの最終部分に、フォローアップに関連して、消費者庁としてもというくだりを一文入れていたと思うのですが、それについて再度何らか触れるということも、消費者庁に対して意見を伝えられたらということ、チェックポイントの中でやっていますので、それも検討いただけたらと思います。

○古城座長 よろしいですか。

あといかがでしょうか。

蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 先ほどのエネ庁の説明はとてもわかりやすかったです。最初に3つの説明で、「1経営効率化と2火力燃料費の話と、3再稼働のときの値下げ条件」というのがありました。さらにもう2つあり、「4原油が下がった場合に消費者にどのように還元していくか。5値下げの条件として原発が動いた場合にどうする」を加えましたという説明をなさいました。複雑なところをすごくわかりやすくお話ししていただいたので、今後も順番をちょっと変えていただいて、すでに審議会で1、2、3をやっていますが、今の原油の下落に伴って4と5を行っていますというまとめ方を少し変えていただくと、わかりやすくなるかもしれません。タイルのようにばらばらになっているので、整理をお願いできたらといいかなと思います。

○古城座長 あとよろしいですか。

陶山さん、それはよろしいですね。

それでは、時間が押していますので、よろしいでしょうか。

調査会の意見につきましては、今、いただいた意見を踏まえて取りまとめたいと思います。最終的な結論については座長に御一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

ありがとうございます。

修正後の確定版については速やかに各委員に送付するとともに公表いたしたいと考えます。

今後の進め方について、消費者委員会事務局から御説明をお願いいたします。

○大貫参事官 調査会の意見につきましては、修正が確定しました後、ホームページにて公開いたします。

また、8日金曜日に開催される消費者委員会に井手座長代理に御出席いただき、調査会の意見について御報告いただき、委員会での議論を行います。委員会での議論を踏まえ、消費者委員会河上委員長から消費者庁長官に意見を提出し、これに基づき消費者庁は資源エネルギー庁との間で協議を行うこととなっております。

≪5.閉会≫

○古城座長 それでは、議論は以上といたします。

事務局から連絡事項などはございますか。

○大貫参事官 本日は熱心な御議論をどうもありがとうございました。

今後の日程等につきましては、決まり次第ホームページ等でお知らせさせていただきます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

この場にはおられませんが、審議に御協力いただきたいた資源エネルギー庁、関西電力の方々、また、大阪で御意見をいただいた消費者団体の皆様方にも、この場をかりて御礼申し上げます。

委員の皆様は、この後打ち合わせを行いますので、委員会事務局に御参集ください。

お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)