第18回 家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会 議事録

日時

2014年10月6日(月)10:00~11:58

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、古賀委員、白山委員、陶山委員、矢野委員
【説明者】
資源エネルギー庁 多田電力・ガス事業部長
資源エネルギー庁 伊藤電力市場整備課長
資源エネルギー庁 日高電力市場整備課課長補佐
【事務局】
消費者委員会 黒木事務局長、井内審議官、大貫参事官
消費者庁 河津審議官、岡田消費者調査課長、石井企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 査定方針案の経済産業省ヒアリングについて
  3. 電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(札幌)の報告について
  4. 北海道電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見(案)について
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1. 開会≫

○大貫参事官 定刻になりましたので開始させていただきます。

本日は、皆様、厳しい天候の中をお集まりいただきありがとうございます。

ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会」の第18回会合を開催します。

本日は、所用により蟹瀬委員と消費者担当委員会担当委員の岩田委員、橋本委員、山本委員が御欠席ということで御連絡をいただいております。古賀委員は御出席の予定ですが、少しおくれておられるようです。

それでは、配付資料の確認をさせていただきます。

お配りしている資料は、配付資料一覧のとおり、資料1から資料4です。

なお、参考資料としまして「北海道電力の電気料金再値上げ認可申請に関する追加質問事項に対する回答」を配付していますが、こちらは前回の調査会からの北海道電力に対する追加質問事項についての回答をまとめたものになっております。

不足の資料がありましたら、事務局へお願いします。

なお、この議事につきましては録画をして、翌日から議事録ができるまでの間、消費者委員会のホームページで動画を配信いたします。

それでは、古城座長に議事進行をよろしくお願いいたします。


≪2. 査定方針案の経済産業省ヒアリングについて≫

○古城座長 本日は、経済産業省資源エネルギー庁から北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案について御説明をいただき、続いて事務局から10月2日に札幌で開催されました電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会の報告を受けた上で議論を行いたいと思います。

それでは、議事に入らせていただきます。

消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会では、北海道電力の家庭用電気料金値上げ申請に関して、これまで8月20日、9月10日と2回にわたって議論を行ってまいりました。また、去る9月29日の経済産業省における電気料金審査専門小委員会で示されました北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案について、同日付で消費者庁に協議が行われ、さらに、消費者庁長官から消費者委員会に対してこれに対する意見を求める付議が行われました。

本日は、この付議を受け、査定方針案の概要や消費者庁によるチェックポイントを踏まえて、どのように査定したのかを中心に御説明いただきたいと思います。

資源エネルギー庁におかれては、お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございます。

なお、多田部長におかれましては、途中、所用により退席される予定と聞いております。

説明時間につきましては20分程度でお願いいたします。

では、よろしくお願いします。

○資源エネルギー庁多田部長 資源エネルギー庁の多田でございます。よろしくお願いいたします。

御案内のとおり、去る7月31日に北海道電力から経済産業省に対し、電気事業法に基づく規制部門の電気料金を引き上げる料金認可の申請が行われたところでございます。今回の申請は、電源構成変分認可制度、いわゆる電変と私どもは称しておりますが、この新しい電変制度に基づく申請の初の事例でございます。

この申請に対しまして、先ほども御紹介ありましたけれども、私ども経済産業大臣の諮問機関でございます電気料金審査専門小委員会におきまして度重なる審査を行ったところでございます。委員の先生方には、先ほど申し上げました電変の初めての申請ということで、制度の制約との兼ね合いというものの中でかなりお悩みをいただきました。そうした中でも、申請者である北海道電力に対しまして最大限の経営効率化を求める、そして、電気の利用者でございます北海道民や産業界の方々への説明責任を果たす努力を強く促していただいたところでございます。

また、あわせまして、国民の声の募集を行いましたことに加えて、9月11日には札幌で公聴会を実施させていただきました。さらに、電気料金審査専門小委員会のほうには消費者庁の岡田課長のほうに毎回出席をいただきまして、一般の消費者の方々、あるいは、消費者庁及び消費者委員会の御関心もあらかじめ共有をいただいたところでございまして、さきに取りまとめられました査定方針案は、そうした観点もきちんと踏まえたものになっているかと思っております。

制度の制約がございますが、今回は大きく3点特徴があろうかと思っております。

1つは、火力燃料費の単価の査定にまで切り込んだという点が1つ。

2番目に、経営効率化をさらに徹底してもらう。その成果を消費者に還元していくよう求めたこと。これが2点目であります。

そして3つ目には、原子力発電所の再稼働のあかつきには値下げを行うということを条件づける。これが3つ目の特徴でございます。

これらのように制度の制約がありますものの、私どもとしては相当踏み込んだ内容となった査定方針案と理解をしております。

詳細、具体的な内容につきましては、電力市場整備課長の伊藤のほうから説明させていただきますけれども、私どもはこれらを受けまして、しっかりと経済産業大臣の認可に向けた手続を進めさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思っております。

○資源エネルギー庁伊藤課長 資源エネルギー庁電力市場整備課長の伊藤でございます。

資料1-1と右肩に付されている資料をご覧いただけますでしょうか。こちらに沿って、9月29日、総合資源エネルギー調査会電気料金審査専門小委員会として取りまとめられました査定方針案の概要につきまして御説明申し上げます。

ページをおめくりいただきまして1ページでございますが、まず、本年7月31日付で、先ほど電力・ガス部長からお話ししましたとおり、北海道電力株式会社から電気事業法第19条1項に基づきまして料金改定の認可申請が提出されております。これにつきまして、電気事業法の関係法令、あるいは審査要領に照らしまして、果たしてその申請内容が適切かどうかということを経産大臣の諮問機関でございます電気料金審査専門小委員会において専門的な観点から検討することとなってございます。

電気料金審査専門小委員会でございますけれども、右側にありますとおり、委員の先生方は安念潤司教授を委員長としまして、以下、ご覧いただいている方々に委員として御就任いただいております。また、オブザーバーとして、消費者庁の岡田課長に毎回御出席いただくとともに、全国消費者団体連絡会の河野事務局長、北海道生活協同組合連合会の山口専務理事、また、中小企業団体を代表しまして日本商工会議所の青山部長、これらの方々に毎回御出席をいただき、御発言をいただいております。

また、法令に基づく手続の一環としまして、電気事業法に基づく公聴会を開催してございます。1ページの左下でございますけれども、合計26名の方から意見陳述のお申し出を頂戴いたしまして、全員を意見陳述人として御指定し、内22名の方に当日御出席、また、残りの方からも文書で御意見を頂戴してございます。また、パブリックコメントの手続であります国民の声のプロセスを通じまして285件の御意見を頂戴してございます。

北海道電力の申請の概要でございますけれども、左側の表に図示されておりますように、先ほど電力・ガス部長からも御紹介申し上げた電源構成変分認可制度に基づき、原価算定期間、こちらはもともと25年度、26年度、27年度の3年間ということで、昨年、いわゆる総原価洗い替えによる料金改定を行っているわけでございますけれども、この原価算定期間内に限り電源構成の変動があった場合に、所定の条件を満たした上で料金改定を認めるという制度でございまして、これに基づきまして、年平均合計で1,184億円の原価が増えるということで、こういう申請がございました。

これを踏まえまして、関連の法令に基づいて実際の原価の増につきまして査定を行うということで、電気料金審査専門小委員会、あるいは関連のヒアリング等を通じまして査定を行ってきたところでございます。

2ページでございますけれども、全体の査定審査の基本的な考え方でございます。2点ございまして、まず、第1点としまして、とにもかくにも審査の大前提として、電気事業法第19条1項に基づく、いわゆる経産大臣の認可でございますので、需要家に更なる御負担を求めるに当たり、今般の料金改定の前提計画として位置付けられている経営効率化計画が前回改定の査定方針、あるいは認可時に求めた経営効率化を反映したものであるかどうか、この進捗状況の内容等を十分に確認することとしてございます。

第2点としまして、電源構成変分認可制度の直接の査定対象となる費目は、算定規則で具体的に定められておりまして、合計で8費目ございます。燃料費以下、こちらに記載されている8費目でございますけれども、これらにつきましては、今般、事業者から申請の直接の事由として挙げられております泊原子力発電所の再稼働の遅延という社会的・経済的事情の変動による電源構成の変動に基づく当該部分の将来の原価の変動のみが料金に反映されているかどうか、こういったことをしっかりと確認し、実際に制度の対象として本来認められないものについては原価から外す、あるいは減額をする、こういう観点から必要な査定を行うということとしてございます。

8月以降、計5回にわたりまして電気料金審査専門小委員会の御審議、あるいは関連のヒアリング等を通じて現時点までに取りまとめられた電気料金審査専門小委員会としての査定方針案のポイントを申し上げます。

まず1ポツ、経営効率化についてでございます。電気料金は、そもそも電気料金算定に当たって大前提となります供給計画、あるいは経営効率化計画、資金計画等々、各種のいわゆる前提計画というものに基づいて算定をされることとなっておりまして、とりわけ効率化計画の進捗状況等の確認を子細に行ったところでございます。

経営効率化の取り組みにつきましては、前回の料金改定を通じてかなり詳細に査定方針が示されているわけでございますけれども、今般、北海道電力よりヒアリング、あるいは資料の提出等を通じて確認を行ったところ、前回の料金改定時の査定方針で求めました経営効率化についてはおおむね進捗をしている、総額についてはクリアをしているという評価が電気料金審査専門小委員会で確認をされたところでございます。ただ、一部の費目につきまして、コスト削減等において未達となっているという事例がございまして、これらにつきましては、いわゆる原価を超える支出ということで、もともとの料金原価上は織り込まれておりませんので、それらのコスト削減の未達が現行あるいは申請の料金に反映されている、こういうことはないわけでございますけれども、ただ、翻ってみれば、コスト削減等において未達となっている費目があり、かつ、全体としてはクリアできているということは、今回浮き彫りになった事象としまして、それに見合うべく他の費目で効率化の深掘りを行っているということでございまして、本来、制度の趣旨としまして、他の費目での効率化の深掘りというものは通常であれば望ましく、むしろ効率化インセンティブを維持する観点からは尊重されるべきであるということでございますけれども、今般、原価算定期間内の非常に限られた期間内に二度にわたる値上げということで、財務基盤の毀損等を背景として再値上げを行う局面に当たりましては、いわゆる原価に織り込まれていない支出をしている限りは、その分純資産が削られ、要資金調達額が増えていく等の観点もございますので、本来、効率化の深掘りによって生み出される原資は、需要家への還元あるいは財務基盤強化に充てられるべき、こういう整理でございました。

これらを受けまして、事業者の北海道電力からは電気料金審査専門小委員会の場で、全体の効率化の更なる上積みを図っていく、あるいは、個別の査定項目の対応に関しましては、先行投資に係る査定対応など一部達成できないものもあるわけでございますけれども、経営全般にわたる効率化により吸収していく、あるいは、厳しい収支状況ではあるけれども、現在取り組んでいる経営全般にわたる効率化の成果も見込まれることから、値上げ実施後の一定期間は値上げ幅を圧縮する等の措置を講じたいといった旨の表明があったところでございます。

改めて電気料金審査専門小委員会としまして、北海道電力において一段の経営効率化の取り組みを行うことを具体的に表明することを求めるとともに、その上で、コスト削減において一部未達となっていること等も踏まえまして、更なる効率化の徹底により需要家に還元する方策を検討し、実施することが期待されると整理しております。

ちなみに9月29日の小委員会の後半におきまして、役員報酬あるいは人件費等につきまして、北海道電力のほうから個別に改めて深掘りして昨年の査定方針どおりのコスト削減等を講じるという御表明がございましたので、その観点からその部分において未達状態は基本的に解消されるということとなってございます。

3ページをおめくりいただきましょうか。今般の査定の大宗を占める火力燃料費でございます。

まず、実は、今般の電気料金審査専門小委員会で一番大きな議論となりましたのは、いわゆる火力燃料費の査定について、数量の査定、あるいは単価の査定、あるいは両方をやるのか。どういうことかと申しますと、もともと火力燃料費というのは、いわゆる数量掛ける単価ということで燃料費というものが算出されることとなっているわけでございますが、この数量のチェック、今から申し上げる、例えば水力発電、あるいは再生可能エネルギーをどれぐらいの量を見込むか。当然、反射効としまして水力発電や再生可能エネルギーの量を一定程度多く見込むことができれば、それに相当する火力燃料費の数量が抑制される、こういう関係にあるわけでございまして、それ以外にも火力燃料を火力発電所の中でより効率のよいものから発電をするといったメリット、こういったことを確認する。これが数量の確認でございます。

ただ一方で、先ほどの算出期で申し上げる単価についても実際に査定の対象とするかどうかということがかなり御議論になりまして、結論的には数量も見るし単価も見るということで、いずれの観点からも火力燃料費の査定を行うということで整理をしてございます。

まず、数量の確認でございますけれども、細かいことは省略しまして、一番重要な論点としましてメリットオーダーの確認ということで、水力発電と再生可能エネルギーの扱い、この2つが非常に大きな論点として審議をいただきました。

まず、水力発電につきましては、2つ目のポツでございますけれども、今般の申請におきまして、前回認可時の想定に比べて、前回計画以降に発生した機器の故障による作業停止計画の追加、いわゆるとめている期間をかなり長くとっているという申請内容になってございまして、その結果、水力発電の発電電力量の減少というものが申請では想定をされているという状況でございました。

この点につきましては、るる審議の結果、原価算定期間より前に実際には修繕が可能だったのではないかといった指摘もございましたし、そもそも制度の趣旨ということを踏まえまして、前回認可からの作業停止計画の追加による発電電力量の減少につきましては、いわゆる電源構成変分認可制度に基づく社会的・経済的事情の変動によるものとは位置付けないということで、今回の申請としては認めないということでございまして、したがって、もとの想定に戻すという査定方針となっております。

また、その下のポツでございますけれども、可能発電電力量についても一定のデータを踏まえて申請をされていたわけでございますけれども、さらに直近のアクセスすることが可能なデータでアップデートしたところ、これを織り込むことにより可能発電電力量が増加するということでございまして、こちらについても原価への織り込みについて資金の実績に置き換える、こういった算出をしてございます。

これらを踏まえますと、水力発電の発電電力量が実際の申請よりは増えるということになりまして、それに伴いまして、火力燃料費が抑制されるということでございます。

また、再生可能エネルギーにつきましても同様でございまして、2つ目のポツにございますように、太陽光あるいは風力について、前回認可時の想定よりも発電電力量が減少しているという申請内容でございましたけれども、これらにつきまして種々御審議をいただき、子細にそれぞれの申請内容、申請事由ということを確認いたしましたけれども、今般の申請で再生可能エネルギーを最大限織り込むことにより燃料費を削減し、値上げ幅を極力圧することが求められている、こういった点に鑑みまして、少なくとも前回認可時の計画に基づく発電電力量は維持をするということでございますので、前回認可時の想定から減少した分につきましては、いわゆる制度の対象、電源構成変分認可制度に基づく変動によるものとは位置付けないということでございまして、その分、火力燃料費を少なく見込むという査定方針案となってございます。

また、4ページ、一方の単価の確認でございますけれども、こちらにつきましても数量とともにそれぞれの火力燃料費の単価もチェックをするということでございます。

3つ目のポツに書かれてある内容でございますけれども、そもそもこの電源構成変分認可制度を創設した平成24年3月の有識者会議報告書におきまして、原価の適正性をしっかりとチェックする必要があるということが記載されておりまして、電気事業法第19条第1項の「能率的な経営の下での適正な原価」ということでございますので、その構成要素たる数量及び単価の双方につきまして査定対象とするということでございまして、ちなみに、仮に量の確認だけを行うということになると、実際には先ほどの水力や再生可能エネルギーとの見合いにおける火力燃料費の数量のチェックということは、基本的には数字の機械的な計算で済んでしまうということでございまして、そもそもの制度の趣旨から、実際には自動転嫁を認めるものではなく、電気事業法第19条第1項の認可に係らしめたということの観点からは制度の趣旨を没却する可能性があるということで、これは両方についてもしっかりとチェックをする必要があるという御審議をいただいております。

ただ、そういった議論の背景となりましたのは、若干算定規則の解釈上、他の解釈、すなわち数量のチェックのみ行うこととし単価をチェックしない、こういった解釈の余地を残す可能性があるという御指摘を頂戴いたしましたので、(2)の下から3つ目のパラグラフにございますように、他の解釈の余地を残すことがないようにということで、数量及び単価の双方を見直しの対象とするという旨を改めて明確にする観点から、一般電気事業供給約款料金審査要領に明記するということとしてございます。

また、具体的にどういった形で単価の査定を行うかということでございますけれども、これは、これまでこの調査会でも御審議いただきまして御確認いただきましたように、かつてLNG(天然ガス)の発電所につきましてはトップランナー価格、他の電気事業者においてより安価に、より効率よく調達を行っている等の場合におきましては、そちらに合わせて査定を行うといった査定手法を御確認いただいたことがございますけれども、今まで石炭あるいは石油につきましてはトップランナー査定を行ったことがなかったわけでございますけれども、今般、北海道電力はLNGの発電所が一基もございませんので、石炭と石油のみということになるわけですけれども、それら石油、石炭の追加調達単価につきましてトップランナー査定を行うということでございます。

また、実際にトップランナー査定を行うに当たりましては正確性を確保する観点がございますので、非公表を前提に他の一般電気事業者各社に対しまして電気事業法第106条に基づく正式の報告徴収を発出しておりまして、現在、数字を整理しているところでございます。

また、(3)はあわせて、これも御紹介でございますけれども、直接の今回の査定には寄与いたしませんけれども、電気料金審査専門小委員会として非常に強い意見として御審議いただいた論点でございますけれども、中長期的な取り組みとしまして、先ほど言及申し上げたLNGの火力発電所、こういった新しい燃料費の多様化、電源の分散化を図っていくことが重要である。ただ、その際、そもそもLNGの新設の発電所が高コストになってしまっては元も子もございませんので、発電所の建設費、あるいは燃料費につきまして、さまざまな他事業者との連携も含めて最大限のコスト削減を行うことが求められるということを記載してございます。

5ページでございますが、火力燃料費は、北海道電力の自社の火力燃料費のことでございますけれども、同様に他事業者から電気を買ってくるということもございまして、これは基本的には自社の火力燃料費と同じ考え方に立つということでございまして、(2)でございますけれども、他社火力、あるいは自家発火力、こういったものを購入する場合に、先ほどの自社の火力燃料費と同様、単価について切り込んで査定を行うという査定方針案となっております。

また、3.の(1)につきましては、卸電力取引所取引を活用するということでございますけれども、これまで先行他社の査定方針と一部申請内容が相違しているところがございましたので、これまでの査定に合わせるということで、それに合わせますと若干申請内容の料金原価から減額をすることが可能であるということでございまして、こういった査定方針案をいただいております。

最後、6ページでございます。値下げの条件付けという論点でございますけれども、これまで24年3月の有識者会議の報告書で電源構成変分認可制度を創設するに当たりまして、その際から料金改定を実施した後、その改定の原因となった事象が解消された場合には再度料金改定を行う必要があるという旨規定をされてございます。今般の申請は、具体的には泊原子力発電所の再稼働時期の遅れを直接の理由としての申請内容となってございますので、あるいは、それに基づいて火力燃料費がふえたことが理由となってございますので、その事象が解消されることになった場合、具体的には泊原子力発電所が再稼働され、それに見合う火力燃料費の増が解消されることとなった場合におきましては、当然、料金改定を行う必要がございます。今般の値上げ認可時におきまして、電気事業法第100条に基づいて原因となった事象が解消された場合には、速やかに料金値下げを実施するよう条件を付すということになってございます。

幾つか再稼働の時期、いわゆる原因となった事象が解消される時期と値下げ時期との関係につきまして場合分けをしてございます。実は、非常に緻密にシミュレーションを行っておりまして、全部で64通りぐらいの場合分けというものがあるわけでございますけれども、ざっくり申し上げると3通りに分かれると思っております。

マル1にございますように、原価算定期間内に想定よりも早く再稼働する場合、これが本来の制度がもともと予定していて、あるいはその想定をしているというケースでございまして、25年度、26年度、27年度の3年度の原価算定期間内に今回の申請の想定よりも早く再稼働する場合ということでございまして、これにつきまして非常に大きな議論になりましたのは、3基とも全て想定よりも早く動いた場合に値下げができる、これは当然のことでございますけれども、1基ずつ動く場合にはどうかということでございまして、結論的には、(1)、(2)、(3)ということで記載されておりますように、各号機が1基でも想定よりも早く再稼働する場合におきまして、それにより削減される燃料費等のコスト分を需要家に還元するという観点から原価算定期間内に速やかに値下げを行うべきであるということ。仮に1基のみ想定より早く再稼働するが、残りの2基は想定よりも遅れて再稼働することが確定的な場合につきましても、燃料費等の追加費用が今回認可時の想定を下回ることが明らかとなる場合には原価算定期間内に値下げを行うべきである。

上記(1)、(2)において原価算定期間内に値下げを行った場合であっても、原価算定期間終了後、27年度末が終わった後に新たな原価算定期間のもとで原価を再算定することにより、再稼働による燃料費等の費用削減効果を最大限織り込むことが可能となることから、原価算定期間の終了後直ちに改めて値下げを行うべきであるということ。こういったことが今回の査定方針案として取りまとめられてございます。

また、具体的なタイミングとしましても、できるだけ速やかに消費者に還元することが適切であるという観点から、原価算定期間内に値下げを行う場合につきましては、原則として再稼働の翌々月、通常、事業者におきましては月初から値下げをするということが多いわけですけれども、例えば月の後半に実際に再稼働されて、翌月の1日からというのはなかなか手続上、あるいは実務上非常に困難であるということも踏まえまして、遅くとも翌々月までを値下げの実施時期とすべきであるということで確認をされております。

また、2つ目のケースとしまして、原価算定期間内に想定よりも遅れて再稼働する場合ということで、これは当然のことながら、申請内容である種織り込んだ時期よりも遅れるということは、申請よりも火力燃料費がより多くかかるということでございますので、今般の値上げは原価算定期間において各号機が全て想定どおりに再稼働することを前提としているため、1~3号機が全て想定よりも遅れて再稼働する場合には、当然、原価算定期間内の値下げということは費用上はできないというのが原則でございます。

他方で、原価算定期間内に想定よりおくれても1基でも再稼働していれば、原価算定期間後は、それを前提として改めて料金を算定することが可能となるということでございますので、原則として原価算定期間終了後直ちに値下げを行うべきであるということで整理をされております。

また、3つ目のケースとしまして、そもそも今般の料金改定の対象である27年度末までの原価算定期間を超えて再稼働する場合につきましても審議の対象となりまして、原価算定期間後に再稼働する場合は、原則として1基再稼働するごとに値下げを行うべきである。この場合も、先ほど申し上げたのと同様に、原則として再稼働の翌々月までを値下げの実施時期とすべきである。こういったことで包括的に、いずれのケースにおきましても実際に今回の電源構成変分認可制度の値上げの事由が解消されたあかつきにおいては値下げを行うということでございます。

ただ、今、申し上げた3通りの場合におきまして、それぞれ全体原価算定期間内の費用との関係が非常に大きくまちまちになるということでございますので、今回、いわゆる値下げの条件付けというのは法令上の義務にいたしますので、これを具体的に数字等で事前に一時的に決める、これは実務的には不可能でございます。したがって、具体的な値下げ率そのものについては法令上の条件とはいたしませんが、電気料金審査専門小委員会の査定方針案をしっかりと踏まえまして、かつ、実際の値下げの進捗についても電気料金審査専門小委員会でのフォローアップを通じ、適正な値下げが実施されることを確認するということでございます。

また、中長期的に考えれば、北海道電力におきまして、少なくとも昨年改定以前の水準まで着実に電気料金を下げることを目指すべきであるということでございます。

以上でございまして、長くなりましたけれども、9月29日に取りまとめられました電気料金審査専門小委員会の査定方針案を御説明申し上げました。よろしくお願いいたします。

○古城座長 ありがとうございました。

≪3. 電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(札幌)の報告について≫

○古城座長 続きまして、消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会では、電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会を10月2日に札幌で開催しましたので、その模様について消費者委員会事務局から御報告をいただいた後、意見交換会に出席された委員から御発言をお願いいたします。

○大貫参事官 資料3に基づいて御説明いたします。

3名の委員と担当委員に御出席いただきまして、5団体6名の方から意見陳述いただきました。その前に消費者庁のほうから査定方針のポイントについて御説明をしまして、主なテーマは査定方針案についての御意見を伺うということでございますが、そのほかの広範な意見が1ページの「大幅な負担増」以下のところにいただいたところでございます。

まず、査定方針案についての御意見ですけれども、数字については、まだ査定方針案に基づいてこれからエネ庁のほうで数字を作業されるということなのですけれども、報道では、国がわずか1%ポイント程度の圧縮で丸飲みの結果である。驚きと怒りを禁じ得ない。利用者の悲痛な思いが考慮されていない。申請どおり認める内容になっている。これは、電源構成変分認可制度の趣旨からこうならざるを得ないのだ。北電に長期的な視点からの抜本的な経営改革の計画を提示させるべきである。このような中長期的な観点からというのがこれからも何度も繰り返して出てまいります。

消費者庁の意見交換会や経産省の公聴会での道民の意見が反映されたものとは言いがたく、非常に残念である。電変制度の中で踏み込んでいただいたのはわかるけれども、これだけの値上げである。北海道はどうなってしまうのか。政府はどう受けとめているのか、そこが一番知りたい。

残りの部分は、査定方針案以外についての広範な意見ですので簡単な御紹介にとどめたいと思います。

「大幅な負担増」についてですが、2年連続の大幅な値上げで道民の暮らしを大きく圧迫し、地域経済を疲弊させるものである。

2ページ目に参りまして、北海道電力の姿勢について、経営努力が足りない、危機感が薄い、抜本的な経営のあり方を根本から考え直すべきである。中長期的な取り組みを明確に示して情報提供を丁寧にしてほしい。

3ページ目の「経営効率化について」ですが、本気で経費削減の経営努力が行われているか疑問である。役員報酬、あるいは社員の年収、株式の保有について、LNG火力の前倒しについてといった話題が出ました。

「原発について」は、原発に関する多様な御意見がございましたが、いずれも中長期的な視点で抜本的な改革をすべきという点は共通しておりました。原子力規制法によって運転期間は40年となっているけれども、1号機はあと14年で40年を迎える。延長になると再稼働以上に高いハードルの審査となり、巨額の投資を避けられないのではないか。再生エネルギーだけではベース電源にならない。こういう御意見もある一方で、原発の再稼働には反対であるという御意見もございます。

再稼働のめども立っていない原発の維持費用を払わされることは納得がいかない。原発維持にかかる費用を自然エネルギーへの転換に回していただきたい。6割が泊原発の再稼働に反対している。稼働の過程について、前提が崩れた場合のシミュレーションはあるのか。使用済み核燃料についても推計で10兆円ということで、現在先送りにしているのではないか。

5ページ目、中長期のエネルギー政策についてです。北海道条例108号が何度も出てまいりまして、原子力というのは過渡的なエネルギーである。この条例が施行されて既に10年以上がたつ。この推進に向けて道が中心となって再生可能エネルギーに関する懇談会を設けてほしい。

9月11日の北電の参考資料の中で、電源の多様化と再生可能エネルギーの導入拡大に向けて細かく書かれている。ぜひこれが書面だけで終わらないようにお願いをしたい。

5ページの下のほう、「オール電化について」です。短期間で6割も上がることになるけれども、丁寧な説明をしろというだけでは納得がいかない。値上げの影響が大きいオール電化については、北電が進めてきた責任を考えてほしい。

最後の6ページ、「その他」ということですが、道内35に上る市町村議会が値上げ反対、あるいは撤回の意見書を可決し、多くの業界団体が値上げに反対の意見表明をしているのは地域経済の強い危機感のあらわれである。

さらなる効率化についてですが、前回の値上げ時の審査に甘さがあったのではないか。また、これまでの北電の取り組みが不十分だったということを示すものではないか。

中長期のビジョンを示すことが議論のスタートとなる。

避けることができない適正な負担については受け入れるけれども、子孫にも及ぶ大きな負担というのは受け入れられない。

世論調査では、値上げは75%が反対、再稼働は66%が反対している。

激変緩和ということについても、後で負担があるのではないか。

また、意見交換会の日程について査定方針案が公表されてわずか2日しかたっていない。また、意見交換会を単なるアリバイづくりにならないようにお願いしたい。こういった意見が出ておりました。

○古城座長 それでは、出席なさった委員の方、井手委員、お願いします。

○井手座長代理 特段つけ加えることというのはございませんけれども、原発の再稼働反対というのは別にして、今回の電変の制度を使って、これはやむを得ないという考え方はできるのですけれども、やはり抜本的に経営改革をしてほしい、それから、コスト削減というのをより踏み込んでやるべきだ。それが今回、こういう電変という制度があるがゆえに十分な道民の声というのが反映できないという、そういった意見というのが印象的でした。

もう一つは、前回、値上げを7.数%上げましたけれども、そのときの査定が甘かったのではないか。北海道電力が今回さらに経営効率化をするということですけれども、前回の経営効率化というのが経産省を含め、我々もそうですけれども、もう少し絞り込めたのではないかという、そういう意味では我々も反省すべき点があったのではないかという印象を受けました。

以上でございます。

○古城座長 ありがとうございます。

白山委員、お願いします。

○白山委員 現地で消費者団体の方の御意見をお聞きしまして、一言で言いますと、非常に厳しい御意見をいただいたという感じでございます。

この査定方針案につきましても、値上げ幅が大きかったということもありますが、納得できないというのが基本的なスタンスで、私どももそれに対していろいろ説明もしましたけれども、なかなか御理解が得られなかったといいますか、消費者の方々は納得できないというのがベースにございます。

特に中長期的な電源構成のあり方とか、それを踏まえた経営効率化のあり方がどうなのか、それが明確に示されて実行されるということが担保されない限り、値上げは受け入れられないといったようなスタンスがポイントかと思います。

原子力発電に対して反対をするということではなくて、消費者である私たちが料金負担をするのだから、そういうことをきちんと示して実行してくれ、そうでないと納得できない、こんなようなスタンスだったという気がいたします。消費者団体の御意見を踏まえて、私どものこちらの検討会のほうでも、きちんと意見を出していかなければならないというのを強く感じたところでございます。

○古城座長 ありがとうございました。

ただいま御説明がありました審査方針案、チェックポイントへの回答及び意見交換会について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いします。いつものとおり、発言を希望なさる方は目の前の札を立ててください。お願いいたします。

矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 先に経産省のほうで丁寧な説明をいただきありがとうございました。特に冒頭、多田部長のほうから今回の審査に当たって3つの特徴点、これがまさに非常に重要な対応だったというふうに受けとめております。感謝しております。

私のほうからは2点ほど要望を含めた意見を言わせてもらいます。

1つ目は、制度運用に関してです。今回、初めての電変制度に対して、まさに今回が最初の検証の場にもなったのではないかというふうに受けとめております。結果として、火力燃料費の単価を改めて要領に明記するというところまで踏み込んでいただいたことは非常に評価すべきことだとは思っていますが、一方で、今もありました意見交換会での意見を含めて、都合4回ほど意見を聞く場がありました。いわゆる消費者庁の意見交換会、それから、公聴会、国民の声、そして、先週の消費者委員会の意見交換会、いずれもずっと厳しい意見が続いております。そういった中で、今回の単価が要領の中に明記された背景の一つにもなっておりますが、いわゆる社会的要請に配慮していく、短期間内の再値上げであることも踏まえて需要家の負担抑制の観点からということも考慮されたわけですが、しかし、そういった厳しい声がある中で、なかなか消費者、需要者が納得できない状況の中にあって、制度運用を配慮という形だけで対応していっていいのかという点がちょっと疑問であります。

制度を実際に運用するのはその人次第ですから、やはり制度の中にできる限り消費者、需要者の権利保護が行われる視点が必要ではないかと思いますので、今後において制度の中にさらに明記できることがあれば、その辺を御検討願いたいと思っています。それが1点目です。

2点目は、今回の電変制度と通常の値上げ審査との関係です。

さきの意見交換会の井手委員からの報告にもありましたが、今回の値上げは、そもそもは当初計画の原発の再稼働がおくれていることでの燃料費増が大きく起因しています。となると、前回の値上げ申請において北電が出した計画の中の原発再稼働時期が本当に妥当なものであったか、その指摘は過去の調査会でも北電のヒアリングのところで甘かったのではないかというふうにはお伝えしましたが、甘かったにとどめることなく、むしろ北電という本当の専門の事業者が経営が厳しい中で事業を立てるときに、原発の再稼働時期に当たって本当に実現可能な時期をきちんと計画の中に織り込むのが本来の事業者としての計画の立て方ではないかと思います。となれば、むしろ電変制度までにらんだ上でのさきの審査のときの再稼働の計画の提案となったとなると、今後の審査においては、通常の値上げの審査と電変制度はセットで対応しなくてはいけないのではないかと思っています。

いわゆる再稼働時期に関しては、この間もほかの事業者もそうですけれども、実現の可能性が非常に乏しい時期を提案しています。結果としては、そこが査定のところで余り論議はされずに来ていますが、むしろ電変制度があるから、そこのところでさらに値上げができるというふうにとらえられることもできます。

そういった意味では、事業者側がなかなか誠実な対応を示していない中において、むしろセットで電変制度もにらんだ上で通常の値上げ申請のときにしっかり再稼働時期については厳しく査定をしていく必要があるのではないかというふうにとらえていますので、今後、まだ自由化のところにおいても総括原価はしばらく続きますので、その辺のにらんだ対応をぜひお願いしたいと思いますし、私どもも今後のチェックにおいてそこは視点に入れておきたいと思っています。

以上2点です。

○古城座長 あとはいかがでしょうか。

井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 2つ質問をさせていただきたいと思います。

チェックポイントの回答でもありますし、査定方針案の概要でもありますけれども、値下げのところで、資料1-1の場合に6ページですけれども、適正な値下げが行われているかどうかというのを専門小委員会でフォローアップをするという、今後こういう値下げがあった場合に、消費者庁あるいは消費者委員会もこういった値下げに関してきちんとチェックできる体制が考えられるのかどうかというのが1点です。

それから、もう1点は、激変緩和措置といってチェックポイントの回答、資料2のほうにもございますけれども、資料2の13ページですけれども、今回、17%を超える値上げということで大幅な値上げである。激変緩和措置ということが、これに対して北海道電力が経営全般に効率化の成果を見込まれることから、値上げ実施後、一定期間は値上げ幅を圧縮するという、これはまだ経営効率化できるということを表明しているのでしょうか。今回の査定以上にまだ経営効率化をできる余地があるということを北海道電力さんは言っているのかどうか。

もう一つ、オール電化についても、これは供給約款ですから、供給約款のところで激変緩和措置というのをとるとすれば、供給約款のところでもまだ経営効率化はできるという、激変緩和ですからいずれは上がりますけれども、一定期間効率化が成果を反映できるというふうに考えていらっしゃるのかどうか。この2点についてお聞きしたい。

○資源エネルギー庁伊藤課長 今、お答えしますか。

○古城座長 お願いします。

○資源エネルギー庁伊藤課長 まず、座長代理から御質問いただいた2点でございますけれども、1点目の値下げにつきまして、通常であれば電気事業法上は届出ということで、かなり事業者の裁量に委ねられる部分が多いわけでございますけれども、今回の電源構成変分認可制度の値上げにつきましては、非常に限定的な事由に絞りまして、かつ、非常に短い原価算定期間内に二度にわたり値上げを行うという特殊性から、とりわけしっかりと値下げを行う、具体的にはもともとの料金値上げの根拠となりました、いわゆる火力燃料費の増分、こちらの事由が解消した場合には、それを需要家の皆様方に還元していくことが非常に重要であるということでフォローアップを行うことになったわけでございますけれども、これはまさに消費者への還元がしっかり行われることが必要であるということでございますので、行政組織上どういう形になっていくのかというのは、若干、今後のことを今、確定的に申し上げることはできないわけですけれども、当然のことながら、総合資源エネルギー調査会の電気料金審査専門小委員会には消費者庁からオブザーバーとして御参加をいただき、岡田課長が御在任中に実際に値下げができるかどうかはわからないわけですけれども、いずれにしても、消費者庁からオブザーバーで御参加をいただき、適切な形でインプットいただくということを想定してございます。

また、2点目の値上げ幅の圧縮につきまして、ある種、激変緩和ということで、これは事業者から御表明いただきました。ただ、これも含めて全体を、経済産業大臣認可を行うことを想定しておりますので、その部分について、全く事業者の裁量、フリーでということにはならないというふうに考えております。

実際に激変緩和をできるということが、ある種、更なる効率化の余地があるか、なかなか難しい御質問でございますけれども、考え方としましては、むしろ今後というよりは、まさにこの査定方針案にも記載されているとおり、電気料金審査専門小委員会で非常に子細にこれまでの、具体的には25年度、26年度の今までの経営効率化の進捗状況を子細にチェックをし、あと、27年度の計画について確認をしたということでございますので、これまでの未達を踏まえて、それに相当する深掘り部分というものを原資にしまして、それを需要家に還元していく、こういう論理構成になっておりますので、必ずしもそういった激変緩和を行うことができるということが、とりもなおさず、今後も含めてずっとその分効率化ができるという幅があるということではないと思います。あと、9月29日の料金小委員会で事業者から具体的に表明がありましたように、例えば人件費、役員報酬について、さらにもう一段取り組みを行うということの御表明がありまして、そういう意味では、その点についての未達というのはなくなるということでございますので、いずれにしましても、今後さらに広がるということではないと思いますけれども、いずれにしても事業者において現時点で需要家に還元できる可能な限りでのユーザー還元を行っていただくということで、したがって、これはそういう意味では消費者の声、あるいは意見交換会にもございましたように、今回、激変緩和をするから後からその部分が消費者の負担になってくるのではないか、という御懸念があるというふうに聞いておりますけれども、そうではなくて、あくまでも激変緩和は、いわゆる査定とは別枠で事業者としてしっかりと激変緩和を行った上で、それを最終的に全て包括する形で経産大臣が認可をして供給約款の中に位置付けていく、こういう整理にしてございます。

以上でございます。

○古城座長 よろしいですか。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 御説明、本当にありがとうございました。

私も、意見交換会ではございませんが、公聴会のほうに参加させていただきまして、きょうの御報告があったのとほぼ同じ内容で、非常に厳しい御意見も含めて経産省の委員会が受けとめられたというふうに思っています。

この公聴会の意味合いは、小委員会の委員がそこに同じ視点を共有されるという意味では非常に重要な場だと思いますので、今後とも継続されることを望んでいます。

それから、電変制度初めての運用ということで細かく議論をされたということでお聞きしました。制度を定めることと運用とはまた別の切り口が必要であり、今回、北海道電力に当たって、その運用をどうするかということが詳しく検討されたということなのですが、もしもほかの電力会社から再度の値上げ申請があり、電変の制度の中での検討をされるという場合は、それはまたそれで別の切り口が発生してくる可能性があると思いますので、今回決められたことは決められたこととしながら十分に活用された中で、新しい課題については、またぜひ向き合っていただきたいなというふうに思っております。

それから、矢野委員が発言された2番目の課題に関連いたしますが、値上げ認可申請の折に、当初は、北海道電力だけでなく、ほかの電力会社においても、値上げ認可をされるときにも再稼働の時期は幾ら素人が考えてもその時期は無理でしょうという形で織り込まれている会社が多くあります。実際に予定された再稼働時期は過ぎている電力会社も多くあるわけですが、認可申請の際に、その部分について電力料金の審査小委員会の中では、そこを深掘りすると電力料金を上げる方向に動かさざるを得ないというようなことで意見交換されて、そこはそのまま置いておかれた、実際にはそこは再稼働しないだろうという予測がありながらも、そこは余り追及されなかったのがあるのではないかと思っています。

私、九州電力の電気料金申請の際にオブザーバーとして参加させていただきましたが、その中でもそのような御意見が出されました。しかし、それが本当に今回、北海道電力で再値上げをするということにならざるを得なかった、そこは非常に甘さというか、電変も見越した中での値上げだったかもしれないというような、そんな思いが発生するような中身であったかと思いますし、消費者にとってはさらに大きな影響、事業者にとっては計画変更も含めてまた新たな事業の見直しをさせてしまうことになる。

こういう上げる方向での検証は余り細かく見ていかない、それが適正な予測であるのかどうかは横に置いていくというような審査というのは、決してプラスになっていかないのではないかというのが今回の経験だったと思うのです。そのことによって、事業者へも、それを認可した行政に対しても不信感となって今回返ってきているということを強く認識しなければならないかというふうに思いますので、今後、認可をしていくようなケースがある場合は、上げる方向であったとしても、そこは緻密に検討し、適正な、あるいは妥当な計画なのかどうかということを見ていく必要があるのではないかというふうに思います。

以上です。

○古城座長 あといかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 御説明ありがとうございました。

2点お伺いしたいのですが、1つは、この家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会で一番関心の高かった、原発が再稼働した場合の値下げのことなのですけれども、いま、ご説明で全体的に64通りの値下げのやり方があるということで、私がエネ庁さんの審議会を傍聴させていただいていましたときもそのようなご説明がありましたけれども、この64通りの値下げの方法というのは具体的にこの会や一般にも公開されてチェックできるような形にしていただけるのかということと、それから、最終的に、値下げについても料金審査専門小委員会のフォローアップがされるということなのですけれども、先ほど井手委員の質問に対するお答えでは、今後も岡田課長がオブザーバーとして参加していただくということだったのですが、具体的に要望として、消費者委員会として、値下げに関して、文書とか報告とか意見を出させていただくということを一つお願いしたいというふうに思っております。フォローアップの過程については、情報公開はしっかりしていただけるということはよろしいでしょうか。

○資源エネルギー庁伊藤課長 では、今の御質問にお答えします。

○古城座長 どうぞ。

○資源エネルギー庁伊藤課長 まず、値下げの場合分けでございますけれども、値下げの仕方というよりは、そもそも値下げのトリガーとなる事由、64通りと申し上げましたけれども、やや機械的な計算でございまして、原価算定期間の内と外でどうだ、あるいは、1基動いた場合、2基動いた場合、3基動いた場合はどうかということを子細に分類したということでございまして、これは総合資源エネルギー調査会の電気料金審査専門小委員会の9月17日の配付資料で掲載をさせていただいておりますし、ただ、今、あえて申し上げましたけれども、それを子細に分類分けをした上で、もう一度改めて整理をした結果が、先ほど御説明した査定方針案の3通りの場合分けでございまして、基本的には64通りのやり方は全て先ほど御説明した3通りの値下げの方法で尽きていると考えております。先ほど御説明した内容が、そういう意味では全てとお考えいただいて結構だと思います。

いずれにしましても、具体的にはしっかりと情報を公開されるような形でというのはおっしゃるとおりでございます。

2点目でございますけれども、やはり、古賀委員御指摘のとおり、一番大事なのは、いわゆる通常の電気事業法上の届出値下げということで、事業者の裁量がかなり大きい形でということではなく、しっかりと燃料費の増分が解消された分が需要家に還元されるということが公の場でさらされ、専門家によるチェックも受けるということが大事だと思っておりまして、そういう意味では、料金小委員会でのフォローアップということでございますし、消費者庁からは必ず御意見をいただくということになっておりますので、消費者庁と消費者委員会との関係でどういった形でこのフォローアップを御確認いただくかというのは、行政組織として、またこちらでも検討させていただければと思いますし、消費者庁を通じて御相談させていただければと思っております。

いずれにしても、情報公開、情報提供が大事であるという古賀委員の御指摘は、全くそのとおりだと思っております。

○古賀委員 次に、こちらが本当はお聞きしたかったことなのですけれども、今回の電変制度のあり方というのは、今回で一つの形ができたというふうに考えられるのですけれども、審査の項目がこの8項目に限られないというやり方ですね、今回はかなりほかの要素も入れて査定をしていただいたと思うのですが、これは今後も北電に限らず全体的に経営効率化とコストの削減、それから、前回査定時におけるものも含めてきちんと電力会社がこれまで取り組んでこられたかということの検証も含めてしっかりされるという理解でよろしいのでしょうか。

○資源エネルギー庁伊藤課長 今の御指摘の点は、恐らく今日の調査会で一番重要な論点だと思っておりまして、実は、電源構成変分認可制度の初めての運用というところもございまして、これは申請事業者にとっても、ある意味、わからないことだらけで手探りということもございましたけれども、認可する側の資源エネルギー庁にとっても大きなチャレンジでございました。

座長代理からも矢野委員からも御指摘いただきましたように、消費者の方々の納得感も含めて考えたときに、実は一部事業者においては、電源構成変分認可制度というのは、いわゆる直接の算定規則の対象である火力燃料費等しか、そもそも関係ないという御理解、あるいは誤解が一部にございましたけれども、今般、電気料金審査専門小委員会で縷々御審議いただき整理した結果としまして、まず、やはり料金改定申請の前提計画として経営効率化が位置付けられており、そして、電気事業法第19条第1項で「適正な原価」ということで概念をされている以上は、そもそも前回の改定で総原価洗い替え、これは当然行っていることが大前提となっているわけですけれども、その総原価洗い替えでチェックをした個別の原価費目というものを採用するに当たっては、そもそもしっかりと効率化が取り組みとして進捗しているかどうかということをチェックする必要があるということでございまして、これは先ほど基本的な考え方の2点ということで申し上げましたけれども、そういう意味では、現行認可制度の運用の2つの柱の一つがしっかりと経営効率化が進捗しているかどうかということをチェックするということでございますので、これは今般の北海道電力に限らず、今後、本制度を活用して申請をしてくる事業者においては等しく適用されるということで考えてございます。

○古賀委員 そうしますと、今回の電変の制度は、もともと平成24年3月の電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議報告書に基づく制度であって、もちろんパブリックコメントをとって納得の上で導入された制度ではあるとは思うのですけれども、今回の北電の値上げに関していえば、例えば数量と単価両方を入れるというような一歩踏み込んだことも入れられて、これが制度趣旨に合うということで今後の審査要領に明記されていくわけなのですね。基本的には審査そのものの今後のあり方も含めて、ちょっとずれてしまうのですがお聞きしたいのですけれども、基本的には有識者会議報告書というものがベースとなっていて、今後いろいろな事象が生じてくると思うのですけれども、一般電気事業供給約款料金審査要領にそれらのものを反映させながら、少なくとも電力システム改革が進んで、完全に小売などが自由化されるまでの料金の査定についてはこのやり方でいくという理解でよろしいのでしょうか。

○資源エネルギー庁伊藤課長 御指摘のとおりだと思っておりまして、実は24年3月の有識者会議の報告書でこの制度が創設を提案されているわけですけれども、それ以来、今回初めての運用ということになりましたけれども、もともと想定されていたルールに何か新しいルールをつけ加えたということは考えておりません。ただ、多義的というのでしょうか、やや解釈として他の解釈を許す余地があった可能性がございますので、そういう意味では、解釈についてしっかりと確認的にクラリファイをしたということでございますので、大きくルールが変更したという認識は持ってございません。

ただ、いずれにしても解釈の明確化といったことを通じて、ある意味で今後の、おっしゃるとおり、経過措置料金規制が残っている限りにおいてはこの制度が運用されていくということで想定をしてございますので、今後の制度の運用に耐え得るようなルールづくりをしっかりとしているということでございますし、そういう意味では、先ほど矢野委員からもお話しありましたとおり、今回、単価について見直しの対象とするということは確認的に一般電気事業供給約款料金審査要領に明記をすることとなったわけでございますけれども、これまでも先行他社、今まで7社、料金改定を行っておりまして、この調査会でも御確認をいただいておりますけれども、これまでも査定を行っていく段で、ある種、解釈の明確化といったことが次から次へとどんどん蓄積をされておりまして、それらを踏まえて一定程度の期間を経た上で一般電気事業供給約款料金審査要領の確認的な改定ということを行ってきておりますので、今回、単価の見直しということを明確化いたしますし、また、必要に応じてさらにこれはしっかりと解釈を明確化したほうがよいという論点であれば、そこは行政として積極的に正面から向き合い、一般電気事業供給約款料金審査要領の改定が必要であればしっかりと改定をしていくということで考えてございます。

○古賀委員 ありがとうございました。

そうしますと、今回、エネ庁さんの電気料金審査専門小委員会での査定に至る議論も拝見させていただきながら思った感想と要望ですが、このやり方で査定としては非常に厳密に議論を尽くしてなされたと思いますし、法律的な整合性も一つの確立された、最善かどうかはわかりませんけれども、やり方だと思うのですが、やはり今回、直近の意見交換会も公聴会も国民の声も含めて、料金の査定において一般の人たちの納得が得られていないというのは紛れもない事実です。どんなに査定を厳密にきちんとしても得られない納得感、これは本当に電変制度がどうか、査定の仕方がどうかというよりも、むしろ、幾ら厳密な査定をしても丁寧な説明をしても、これだけの大きな数字で電気が上がってしまうこと止められないということについての国民の不満というのは残ってしまうわけです。それについて今後の北電の経営のあり方も含めて、消費者委員会とかエネ庁も含めて、よりコストを削減して経営効率化してもらうような査定のやり方というものもまた新たに考えていっていただきたいというふうに思っております。

○古城座長 ちょっと確認したいのですけれども、原発が動いたときに値下げするというのは、条件のときに値下げをするという一般原則があるので、北電の原発がこれだけ早目に動いたので、思ったよりコストが削減できましたというふうに値下げ申請をするということですか。

○資源エネルギー庁伊藤課長 はい。

○古城座長 その幅というのが、2か月以内に原発が早目に動いたおかげで、これだけ思ったよりコストがかかりませんでしたということを説明して値下げすると。

○資源エネルギー庁伊藤課長 さようでございます。

○古城座長 仮にそれを嘘ついたら、経産省がそれをフォローアップでチェックして値下げ命令を出すという仕組みで担保されるという考え方ですか。

○資源エネルギー庁伊藤課長 嘘といいましょうか、基本的には届出という行為であっても、当然、原価というものを電気料金審査専門小委員会に対して、あるいは、電気料金審査専門小委員会を通じて国民の方々に対してしっかりと御説明をしていくということになりますので、もともと実際に今回の値上げの根拠である燃料費の増分というのはわかるわけでございまして、特に先ほど御説明した3つのケースのうちのマル1のケースは、そういう意味では一番クリアに出てくると思いますけれども、削減される燃料費等のコストがある種事由の解消によって、これは需要家に還元されていかなければいけないのだということがわかるようになりますので、仮に北電において何か虚偽、あるいは数字のごまかしみたいなものが、ないと思いますけれども万が一あった場合には、そこはしっかりと電気料金審査専門小委員会の場で審査あるいはチェックをされ、当然、行政としてはそれに対して必要なことを申し上げていくということになろうかと思います。

○古城座長 もう一つ。こちらの消費者委員会の場で議論になったのですけれども、北電の説明等々で、今回の原価算定期間について原発の再稼働がまたおくれた場合、再度電変制度に基づいての値上げはないというふうに説明があったと思うのですけれども、それはそういう理解でよろしいのでしょうか。

○資源エネルギー庁伊藤課長 当然、制度上は何回までということが決められているわけではございませんので、そういう意味では、事業者の電源構成変分認可制度の申請という行為が何か法令上の制約を受けているということではございませんが、今の座長から御指摘のあった点については電気料金審査専門小委員会でも相当議論になりましたし、消費者庁の岡田課長からも問題提起をいただきまして、北電から正式に電気料金審査専門小委員会の場で、仮に原価算定期間内においてさらに遅れることがあっても更なる値上げを行うことはないという御表明をいただいております。

○古城座長 井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 今、古城座長が2番目に質問されたことと同じなので、資料2のところに15ページのマル21番に、北海道電力として料金を維持するというふうにチェックポイントに書かれているので、そのことが北海道電力の表明だと思いますけれども、経済産業省としてどう考えているのかというところを、同じ質問なので今お答えになったと思うのですけれども、なぜ北海道電力はこうやって維持するというふうに判断しているのかというのは、その点はいかがでしょうか。

○資源エネルギー庁伊藤課長 これは非常に難しい御質問ですが、まず、当然のことながら、原価算定期間内に火力燃料費も含めた費用を全部積み上げて料金原価を算定しておりますので、通常であれば遅れた場合というのは、さらに費用がかかるということになりますので、当然、再々値上げというものは事業者において検討の対象となると思います。現実問題として北海道電力においても検討したという節はございますし、実際にそうだと思います。

その結果、恐らく、もともと27年度の、具体的には27年11月、28年1月、3月とそれぞれ3つの号機について再稼働の時期を織り込んでいるわけですけれども、それが仮に想定よりもずれ込んだ場合の経営財務へのインパクトというものを事業者において算出をした結果、それについて仮に遅れることがあっても基本的には効率化・合理化、あるいは、更なる財務的な努力で何とか捻出をできる、あるいは、現時点で捻出できるということは言い切れないにしても、やはり経営の姿勢として再々値上げということは具体的には企図しない、ということを御表明されたのだというふうに認識をしております。

○井手座長代理 経済産業省としても、もし申請があったとしても認めるつもりはないということですか。これはチェックポイントの回答で、措置はとられているのかということに対して経済産業省は何も答えていないので、その点については。

○資源エネルギー庁伊藤課長 これは非常にシンプルでございまして、法令上は申請を受理した、これは電気事業法第19条1項に基づく料金改定申請でございまして、いわゆる普通の本格改定の申請と法律上は全く同じ根拠条文でございます。ここにおいて申請の不受理ということが認められておりませんので、必要な審査を行い、査定を行うということになりますので、何か再々値上げと、今回、事業者において具体的にはやらないということを御表明いただいたので、そういう意味では仮定の御質問ということになりますけれども、そういったものが仮に申請された場合に申請を不受理するということは全く想定しておりません。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 値下げ届け出時のエネ庁のチェックを特に厳格にしてほしいという要望をお伝えしたいのですが、なぜそんなことを言うかと申しますと、最後の委員会での査定案の確認の折に松村委員から発言をされた部分があるのですが、いわゆる今回、北電の場合は電力会社の主張するコストと、実際に委員会で審査をしたときのコストに20倍の差があったというような発言もありました。それから、実際の査定案で水力発電にしろ、再生可能エネルギーにしろ、そもそも北電から申請された事項は認められなかったり、また、その織り込み方についても、それは結果厳しく査定されたわけですけれども、そういったことが間々あるという状況をかんがみれば、やはり届け出のチェックに公開的なものはかかわりませんけれども、エネ庁のほうでしっかりチェックをお願いしたいということを要望したいと思います。

○資源エネルギー庁伊藤課長 全く御指摘のとおりだと思います。松村委員とも大分議論をしましたけれども、今般、電源構成変分認可制度の初めての運用ということもあって、やや申請事業者において、本来、事前調整といったものは基本的には行いませんので、実際に申請が出てきた段でこの原価の費目についてチェックをしていくということを運用としては行うということになっておりまして、そういう意味では、やや事業者において想定していた解釈といいましょうか運用のやり方と、我々査定官庁側で、あるいは電気料金審査専門小委員会側で想定していた運用とで少しそこに齟齬があったのかなということで、そういう意味では必ずしも、先ほどのお話ではありませんけれども、何か申請事業者において虚偽をしていたとかそういうことではないと思いますけれども、今般、今回の運用・査定については全て公開ということで、今まで査定方針案も含めてやってきておりますので、後続の事業者がもし実際に申請するようなことがあれば、恐らく今回の北海道電力の査定方針を踏まえて申請してくるとなると思いますので、そういう意味では、今後はある程度乖離というものはなくなっていくのかなというふうに考えておりますし、いずれにしましても、ただ、事業者において想定している原価と実際に制度として認められるものというものに一定程度のずれがあるということも踏まえて、値下げについてもしっかりとチェックをしていくという御指摘は全くそのとおりだと思いますので、しっかりと対応させていただければと思っております。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 激変緩和措置についてお尋ねをします。チェックポイントへの回答の13ページのマル17に対して、北電の御回答としては「値上げ幅を圧縮する等の措置を講じてまいりたい」というふうに回答されていまして、きょう、意見交換会の中にあった「後で負担があるのではないか」という御意見に対して、エネ庁のほうで、いや、そうではないのだという御回答をされている。ということは、エネ庁のほうとしては、その余力があるというふうに見届けられているというふうに理解してよろしいのですか。

それであれば、今回の上げ幅について、今回の値上げの趣旨というのが財務基盤の改善ということにありますので、その余力があるというふうに見られているとすれば、その上げ幅の圧縮についてどんなふうに見られているのか教えていただきたいと思います。

○資源エネルギー庁伊藤課長 その点は料金小委員会においても非常に大きな議論になった論点だと考えております。もともと料金改定に当たりまして、電気事業法第19条第1項の申請ということでございますけれども、今、お話しあったように、余力がある、あるいは財務的に債務超過すれすれとなる等々いろいろなメルクマールがあるわけですけれども、そういった財務上のメルクマールというものを直接基準としているわけではございません。あくまでも電気事業法あるいは関連の法令等に基づいて必要な原価を積み上げまして、料金収入と費用が一致をするという原則のもとで、今回は特に電源構成変分認可制度でございますので、算定規則上明確に定められた特定の費目について査定を行うということになってございます。

その観点から、そもそも8費目以外の費目、例えば人件費等でございますけれども、これらについてチェックをしなくていいのかというところが電気料金審査専門小委員会として議論になり、そして審議の結果、前提計画として経営効率化が位置付けられている以上、前回の認可のときに示された査定方針がしっかりと進捗しているかどうか、経営効率化が進捗しているかどうかということをチェックするということになりましたので、それと全くかかわりなく、そもそも事業者においてある種、それ以上負担をする余力があるかないかといったことについて直接の審査の対象となっているわけではございません。

そういう意味において、激変緩和というのは査定の上乗せといいましょうか、査定とはまた別の形でのユーザーへの還元という観点から、実際に査定で本来減額される分が後から増額されてくるという関係にはないということを先ほども御説明申し上げました。

その上で、激変緩和について考え方としましては、未達分に相当する深掘り部分というのがあり、深掘り部分については、先ほど御説明した査定方針案にありますように、本来はユーザーに還元されるか、あるいは、財務基盤の強化を通じて値上げをできるだけ抑制していくということに充てられるべきという観点で、それらを踏まえまして事業者において最大限可能な限りユーザーに還元されるためにはどれぐらいのことができるかということを検討してもらっているということだと思っております。

○陶山委員 関連して。それであれば、今、経産省として、一定期間だとか圧縮する幅とか、これについてどんなふうにとらえていらっしゃるか、もしわかれば教えていただきたいです。

○資源エネルギー庁伊藤課長 最終的に経産大臣の認可にかからしめておりますので、それも含めて最後は経産大臣と御相談ということになりますけれども、特に期間について現時点で考えておりますのは、実は、北海道はほかの地域と違いまして冬が需要のピークでございます。今、需給の検証をやっておりまして、最終的に数値目標つきの節電のお願いをするかどうかというのを検討しているところでございますが、いずれにしても数値目標が仮につかない場合においても、11月以降、特に12月から2月、3月の冬場につきましては、需給の面でも需要家の方に御負担をお願いするということ、そして何よりも、その期間は北海道においては需要量そのものが非常に大きくなるということ、それが結果的には値上げの影響というものも非常に大きくなるといったこと、こういったことを踏まえまして、冬場を念頭に激変緩和という措置が必要ではないかというふうに考えてございます。

○古城座長 そろそろ時間が押してきましたので、これで、とりあえずこの点では終わりたいと思います。

経済産業省資源エネルギー庁には、お忙しいところを丁寧な御説明をいただきましてありがとうございました。ここで退席いただきます。

(資源エネルギー庁退室)

≪4. 北海道電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見(案)について≫

○古城座長 続いて、北海道電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案に対する調査会としての意見の取りまとめに向けた議論を行いたいと思います。

事前に皆様からいただいた御意見を踏まえ、調査会の意見案を用意しましたので、その内容について消費者委員会事務局から御説明をお願いいたします。

○大貫参事官 それでは、資料4について御説明させていただきます。

意見案ですが、最初の部分は経緯について書いています。

その後、「I.全体的な評価」からが意見案というところになります。

今回の査定方針案についてチェックポイントで指摘した意見をおおむね踏まえたものとなっている。これはチェックポイントが料金査定方針案策定のための指針とすることが定着したものと評価できるとしております。

2つ目ですが、値下げの条件について考え方を明らかにしている点、値下げの実施時期や値下げ幅等についてフォローアップを行うということについては評価をできる。ただ、このフォローアップについて適切なタイミングで行われるべきであり、値下げ幅等について需要家から公開にて意見を聞く機会等を設けるべきである。フォローアップの結果に基づき、値下げを実施する仕組みを検討すべきであるとしております。

3つ目です。電変制度に基づく初めての査定であるということで、前提計画として経営効率化計画についてその進捗状況・内容等を十分確認するとされたことは評価できるとしております。

2ページ目の2つ目です。電変において査定対象とされた項目以外についてもチェックポイントで示した点が経営効率化の指標として取り入れたことについては評価する。今後の料金認可申請においても今回と同水準またはそれ以上の徹底した審査を実施すべきである。

次です。エネ庁の審査プロセスにおいて、公聴会や国民の声など需要者の意見を広く聴取するとともに、事業者に綿密な情報提供を求めて精力的な審査を行った点については評価できる。ただし、査定方針案についても需要者が十分理解できるように、値上げの実施までに十分周知する等配慮すべきである。

次のIIで掲げる事項についてはさらなる対応をいただき、説明を求めたい。特に経営効率化について、コスト削減において一部未達となっていること等も踏まえ、さらなる効率化の徹底を求める内容となっているけれども、項目ごとに未達部分を中心としたさらなる効率化と資産売却等を含めた経営努力の徹底を求めるべきであるとしています。

次です。札幌の意見交換会で、今回の大幅値上げによる負担増について懸念する声が多く出された。こういう声を踏まえて、消費者のための激変緩和措置に関する具体的な方策を速やかに明らかにし、適切に実施すべきである。特に電力需要量の大きいオール電化世帯の負担増について、北海道電力がオール電化を推進してきた経緯にもかんがみ、料金メニュー間での不公平が生じないことにも十分留意した対策を実施すべきである。

IIIで掲げる中長期的なエネルギー政策のあり方等の今後の課題についてはエネ庁において検討いただき、近い将来、しかるべき時期に消費者委員会としてヒアリングを行いたい。

2ページの一番下です。北海道電力がエネ庁に対する審査プロセスに真摯に対応し、経営効率化をさらに進めることを表明。また、需要家に対する説明会を実施し、情報提供に努めた点は評価できる。消費者からの厳しい声に対して、電力供給事業者として、自社の経営が北海道の経済及び消費生活に重大な影響を与えることを十分自覚し、長期の電源構成や設備投資の意思決定を行うとともに、消費者の共感を得るための積極的な取り組みや丁寧な情報提供・説明を行うべきであるとしております。

3ページ目、「II.個別項目」に参ります。

最初が「経営効率化」です。

原価に織り込まれていないものの、一部原価を超える支出について経営効率化未達の指摘をし、原価に織り込まれない支出であっても純資産の毀損により要資金調達額がふえるとの観点から、効率化の深掘りで生み出される原資を需要家への還元や財務基盤強化に充てられるべきとしたことは評価できる。他方で、北海道電力において一段の経営効率化の取り組みを行うことを具体的に表明することを求めたいとされていることについて、あわせて費用項目ごとに未達部分の理由の検証を行うべきであるとしています。

「燃料費」について3つの項目があります。

値上げの大宗を占める燃料費について、メリットオーダーの徹底を行い、自社火力の発電電力量の分担及び燃料消費数量の再算定を行い、費用を上回る部分の原価から減額すべきとの査定は妥当である。

燃料費の「数量の変更に起因する変動額に限る」の条文解釈について、燃料費単価も見直し対象となることを約款要領に明記することとしたことは評価できる。

一般水力について、機器の故障による発電電力量の減少が電変制度に基づく社会的・経済的事情の変動によるものと認められないとしたことは妥当である。

続きまして、「料金体系等」です。

消費者が電気料金を節約できる新たなメニュー等について積極的に広報・普及に取り組むよう、北海道電力に促すべきである。

4ページ目に参ります。

供給約款料金の単価が割高に設定されているという事実は確認されなかったとしているが、逆に選択約款料金の単価が割高でないかどうかが不明確である。平等性が確認されているかどうかを明確に説明すべきである。

最後ですが、北海道電力の申請案では、1・2段階格差と2・3段階格差、これは率で見た場合でございますけれども、ともに縮小している。激変緩和措置の一つとして、使用量の少ない需要家の負担を緩和するための措置を検討すべきである。

「今後の料金値下げ」ですが、4つが料金値下げに関する項目で、1つが料金値上げをしないことに関する項目です。

1つ目、泊原発の再稼働時期と値下げ時期との関係について、再稼働後、原則として値下げすることとしているが、実際に値下げが行われるのか不明確であるため、必ず値下げするということを明示すべきである。値下げ率は事前に一時的に決められないとしているが、そうであっても事例による試算を示すなど消費者への積極的な情報提供を行うべきである。例えば、1~3号機が全て再稼働した場合、今般の経営効率化も考慮し、平成25年改定以前の水準以下まで電力料金を引き下げていくこと等を明示すべきである。

2つ目です。料金値下げ等が適正であるかを検証するプロセスについて、これまで制度上の措置が不十分であった。今回、フォローアップにより確認することが示されたことは評価できるが、フォローアップ実施のタイミングについて、料金値下げが可能となる事由が明らかになった後、直ちに行うべきであり、また、可能な限り短期間で行うべきである。

続きまして、燃料費等の追加費用が今回認定時の想定を下回ることが明らかになった場合は、原価算定期間内に値下げするとの査定方針案はもちろんであるが、さらに、フォローアップの結果、引き下げ幅が不十分であった場合はさらなる引き下げを求めることも検討すべきである。

料金値下げ幅の検証プロセスにおいても需要家の意見を聞く機会を広く設けるべきである。

最後ですが、泊原発の再稼働時期が予定よりもさらにおくれる場合であっても、原価算定期間内に3度目の値上げが行われないことを確保するために、経済産業省資源エネルギー庁がどのような措置を講じるのか明確にすべきである。

5ページ目が「今後の課題」です。

これまでの調査審議の過程で明らかになった諸課題、例えば情報公開・開示のあり方、総括原価方式のあり方、事業報酬算定のあり方、また、今回以降ですが、事後評価における事業者の値上げ申請後のモニタリングのあり方、電源構成変分認可制度による電気料金値上げ審査のあり方、また、料金値下げ幅の審査のあり方について、さらに資源エネルギー庁において需要家の利益が損なわれることがないような制度の検討を行うべきである。

LNGの調達に当たっては、他事業者との連携も含めて最大限のコスト削減を行うことが求められるとしておりますが、引き続き国の支援等の対策を含めた総合的な対応を検討すべきである。

続きまして、札幌の意見交換会において、電源の多様化の推進や新しいエネルギー分野の開発を求める声が多く出されていた。中長期的な電源構成の考え方について、再生可能エネルギーの使用拡大の見通しも含め、積極的に消費者への情報提供を行うよう北海道電力に促すべきである。

最後から2つ目ですが、資源エネルギー庁として、電力システム改革の進捗状況について消費者の関心も非常に高いため、消費者庁とのかかわり方も含めて検討の全体を俯瞰できるような情報提供を工夫すべきである。特に消費者にどのようなメリットがあるかについてわかりやすい情報提供を行うべきである。今後の家庭用までの電力小売の自由化、発送電分離、再生可能エネルギーの利用拡大及びスマートメーターの普及等が消費者に与える影響について消費者教育の機会を設けることを検討すべきである。

最後でございます。エネルギー庁は、電力システム改革における具体的な制度設計や制度の運営を行う際に、消費者の利益が損なわれることがないように消費者の意見が政策に反映されるような仕組みを検討すべきである。

以上の課題については、消費者庁においても認識を共有し、適切に対応することを期待する。

以上です。

事務局からの説明は以上です。

○古城座長 ありがとうございました。

意見案について御意見のある方は御発言をお願いします。

陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 事前に案をいただき、意見を反映していただいたことに感謝いたします。

1点、きょう思いを深くしたのですが、エネ庁としては新しい制度の運用についても踏み込んで御検討いただいた。そして、いろいろな説明責任も今後とも事業者としても果たしていく。だけれども、なかなかそれでは納得できないというか、対応できない状況があるということも、私たちはいろいろな意見交換会なり公聴会の中で受けとめている状況です。

その中で、今、この消費者委員会と経産省との関係の中だけでは解決できない問題が多々この中には含まれている可能性があるかというふうに今日も強く思いました。消費者基本法の中では、国民の消費生活における基本的な需要が満たされ、その健全な生活環境が確保される中でと、まず前提として置いております。この中で、公聴会の中でも出されていたのですが、オール電化に変えた方は高齢者の方が非常に多い、火を使わないためにオール電化に変えていった。その中で、年金で暮らしていく中で、今回、特に値上げの影響を利用者が受けるということの中で、本当に消費生活における基本的な需要が満たされるのだろうか、生活環境が確保できるのだろうかということまで私たちは配慮すべきではないかというふうにも思いました。

それで、消費者庁とエネ庁との関係だけでなく今後の課題について、一番最後のラインなのですが、「消費者庁においても認識を共有し、適切に対応する」という中に含まれるかもしれませんが、他の省庁への意見具申とか建議とかも含めて御検討いただかなければいけないような状況ではないかと思っています。それで、もしそこが合意をされるのであれば、少し最後のラインについては書き込んでいただいたら、その思いについて反映できるかというふうに思います。御検討いただきたいというふうに思います。

○古城座長 最後の要望は何ですか。ちょっと聞こえなかった。

○陶山委員 ここは経産省の査定に対して、この調査会としてを書いているのですが、その経産省との関係だけでなく、ほかの省庁に対しても課題認識として提供し、意見具申なり建議という形で消費者委員会からしていただくということもあるのではないかと思って、その点を書き込んでいってはどうでしょうかという意見です。

○古城座長 陶山さん、ただ、資料4は「北海道電力による家庭用電気料金値上げ認可申請に関する調査会意見(案)について」という表題がついていますから、他省庁とか一般的なのは適切ではないのではないでしょうか。それは、また別の文書で入れるほうがいいと思います。

あといかがでしょうか。白山委員、どうぞ。

○白山委員 これは事務局に確認です。卓上配付資料の説明はしてしまっていいのですか。

○大貫参事官 卓上配付だけでございますので、傍聴の方は持っておられません。

○白山委員 まず、3ページのほうの一番上でございますが、「全体的な評価」の最後のところでございますが、現地での消費者団体の方との意見交換の中で、北海道の省エネルギー・新エネルギー促進条例のことが何度も出ておりましたので、地方自治の条例の問題であるということを考えなければいけないのですが、そこを斟酌した中長期の電源構成やそれに応じた設備投資の意思決定を行うという点と関連させて触れたほうがいいのでないか。ただしこの点については、私企業の経営の意思決定の独立性の問題や、国のエネルギー政策との関連などいろいろと問題は出てくる。しかしながら、消費者団体の方々の御意見を踏まえると、この条例第108号のことも触れたほうがいいのではないかということでございます。

それから、5ページの「III.今後の課題」ということでいろいろ出ておりますけれども、「検討すべきである」という点の主語は誰なのかということが不明確な部分もあるので、「経済産業省資源エネルギー庁は」とか主語を明確に追加をしたほうがいいのではないかということ。それから、先ほどの陶山委員の御発言とはちょっとニュアンスが違いますが、最後のラインのところです。今後の課題につきましては、消費者庁においても経済産業省資源エネルギー庁とこれらの政策に係る情報や認識等を共有した上で、これは当たり前のことなのですが、消費者庁の使命を実現すべく適切に対応することを強く希望するという一文を追加することで、消費者団体の方々の御意向・御意見を踏まえた形で、消費者庁にはより一層認識・情報共有を強くして積極的に政策提言していくということを強目に出したほうがいいのではないかということで追加をさせていただければと思います。

その他、言葉の細かいところの表現ぶりで幾つか修正等はあろうかと思っております。例えば、「評価する」とか「評価できる」という表現の混合や、「妥当である」という表現などが混ざっているので、「評価できる」というところは全て「評価できる」で統一するとか、あるいは、「値下げ」とか「引き下げ」とか言葉が混ざっておりますので、「料金の値下げ」ということで統一するとか、その辺は言葉の平仄を合わせるというところでございます。その辺のところは修正をしたほうがいいのではないかと思っております。

○古城座長 ちょっと細かいことなのですけれども、これは意図的に書き分けているのですか、「評価できる」というのと「妥当である」。「妥当である」のほうがプラス面が大きい。

○大貫参事官 そこまで意図的なものではございません。

○古城座長 では、ここは整理しましょう。

あと、今の北海道の条例の話なのですけれども、どういう趣旨で入れますか。

○白山委員 まず、考え方としましては、消費者団体の方々から何度も出ておりましたので、それをどこに入れるかというところの前に、まず入れるか入れないかを悩みまして、入れるとすると3ページ目の省エネルギー・新エネルギー促進条例の中に事業者の責務ということが書かれておりますので、2ページの一番後ろから、「消費者からの厳しい声に対し、電力供給事業者として、自社の経営が北海道の経済及び消費生活に多大な影響を与えることを十分自覚し」の後に、「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例(条例第108号)を斟酌した中長期の電源構成やそれに応じた設備投資の意思決定を行うとともに」と、ここに入れればいいのではないか。中長期の電源構成やそれに応じた設備投資のあり方を、この条例の考え方を斟酌した上で事業者としての責務を果たしてくださいという趣旨でここに入れてはどうかというふうに考えました。

○古城座長 ちょっと細かい話なのですけれども、その条例は北海道民の意見表明という趣旨ですか。違いますか。

○白山委員 意見表明といいますか、北海道の条例です。

○古城座長 北海道の条例なのですけれども、条例の趣旨なのですけれども、例えばそれとは違った形で国で決めた場合はどうなのかというと、それは条例で縛ることはできないということになると思うのです。条例で決めることではなくて、国のエネルギー政策に従って北海道電力が決めていくということで、条例でそれに制約を加えることはできない。だから、むしろ北海道民の希望を表明した条例ということだと思うのです、文字上の性格は。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 実は、この北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例(北海道促進条例)はチェックポイントのときにも私は趣旨に配慮するように、チェック項目に入れてほしいという案を出しましたところ、それはこの調査会の中で議論されていないからということで入れらなかったのですが、私はエネ庁さん主催の公聴会も傍聴させていただいたのですが、北海道の方がたはの風力とか太陽光に対する再生エネルギーへの取り組みが活発に、ものすごく真剣にされていて、この促進条例もそういったものを非常に前進させるべきだという道民の意思が結集され、北海道の責務などにも言及されたすばらしい条例なのです。

今回、国の方針との関係で言うと、実は9月29日に査定案が出た後ですぐに9月30日にいろいろな九州電力などの電力会社、北電も含めてなのですけれども、こういったFITの電源の購入について非常に制限する、系統接続についての「回答留保」というようなことが、この電気料金との関係ではちょっと外れるのですが、出てきているのです。そういう意味から、道民の方の意見としては再生エネルギーをもっと発展させたい、そういう希望があるので、そういったことも北電が今後の経営方針としてもっと条例の考え方に添って、設備投資や今後の方針を決めていってほしいということを入れているという意味あいで、これは単なる希望的な再エネ促進への思いというのではなくて、政策の方針としてこういったものを考えるべきだという意味では入れておくことが妥当だというふうに考えますが、どうでしょうか。

○古城座長 どうぞ、白山委員。

○白山委員 私も、条例に触れることは非常に悩んだのでございます。まず、地方自治の問題であるということと、それから、ここに中長期の電源構成の問題は国のエネルギー政策との関連があるということと、設備投資の意思決定というのは私企業の経営意思決定の問題であるということと、この3点がひっかかりますので、条例との関連性をここで言うということには、ある意味、抵抗が多少はあるのです。ただ、やはり消費者団体の方々の御意見を聞くと、この条例に何らかの形で触れないといけないのではないかというのが札幌での意見交換会に出た率直な感覚でございまして、この部分に入れなくてもいいのですけれども、どこかで何らかの形で条例のことを触れたほうがいいのではないかという趣旨でございます。先ほど申し上げましたところに必ず入れなければいけないとかそういうことを言っているわけではないというふうに御理解いただければと思います。

○古城座長 これは電気料金値上げに対する意見だから、値上げを圧縮しろという意見としてはよろしいと思うのですけれども、エネルギー政策についての意見というのは消費者団体としてあると思うのですが、それを織り込んでいくというには議論不足ではないかと思うのです。原発のあり方とか自然エネルギーのあり方とか、それは1回消費者委員会で検討して意見を言うのはいいのですけれども、ここで議論が余り十分ではないときにちょこちょこと入れてしまうのでは、入ることは入るけれども余り効果はないと思うのですが。

○陶山委員 私が先ほど出させていただいた意見ともちょっと関連するかもしれませんけれども、消費者委員会なり、5ページの最後の表現のところを、この場は、座長がおっしゃるように、電気料金のことに関して経産省とのやりとりの中で発生したさまざまなことをここでまとめていくべきだと思うのですが、最後に締めくくっている以上の課題については、今後の課題の中にさまざま中長期的なエネルギーの件についても書かれ、また、消費者基本法、消費者庁としてはそこを実現するというミッションがある省庁として、さまざまに関連することについてそこに含むという認識は一致していると思いますので、その点について最後のところに何らか消費者団体の意向を受けとめるとか、消費者庁としてのミッションを果たしていくだとか、そういうような形でここを少し拡大して読めるような文章とするということだったら、この文章の範囲の中でも可能ではないかというふうに思います。

○古城座長 今の白山委員のは、「今後の課題」のところに何か入れて整理することにしたいと思います。

あといかがでしょうか。

古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今の整理でいいと私も賛成しますけれども、今回、燃料費の増大による電変制度の適用だったという関係から言うと、やはり再エネを最大限織り込むことによって燃料費を削減するという一つの方向性というか考え方もあるわけで、今回のやり方だと、FITの購入電力というのは、北海道に限らず、全体的に制限されていく方向に行きかねないと思います。特に北海道独自のエネルギーを地産地消し、地元で需給したいという再エネ促進への思いが条例に入っているという意味から言うと、やはり電変制度に対するある種不信感というものも根強くあるので、その点を考慮すると、この条例を尊重して道民の自主的な電力に対する取り組みを北電は受けとめるべきだというようなニュアンスを最終的に入れるというのは必要なことではないかと思います。

○古城座長 そこまで入れるかどうか、つまり、再生可能エネルギーを入れれば電気料金を抑制するということがわかっていたら、消費者委員会としてもそれを課題にして料金査定に対して異議を強く申し出ることはできたと思うのですけれども、そこのところがはっきりしないから、今後の課題として検討していくというのまでは言えると思うのですけれども、拡大しろとまではまだ言えない、この議論は熟していないと思いますので、それはちょっと避けたいと思います。

あとよろしいでしょうか。

では、大体意見が出たと思いますので、いただいた意見を踏まえて取りまとめたいと思います。最終的な結論については座長に御一任いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

ありがとうございます。

修正後の確定版については、速やかに各委員に送付するとともに公表したいと考えます。

今後の進め方について、消費者委員会事務局から御説明をお願いいたします。

○大貫参事官 調査会の意見につきましては、修正が確定した後、ホームページにて公開いたします。また、あす7日(火曜日)に開催される消費者委員会に古城座長に御出席いただき、調査会の意見について御報告をいただき、委員会での議論を行います。委員会での議論を踏まえ、消費者委員会河上委員長から消費者庁長官に意見を提出し、これに基づき消費者庁は資源エネルギー庁との間で協議を行うこととなります。

以上です。

○古城座長 それでは、議論は以上といたします。


≪5. 閉会≫

事務局から連絡事項などはございますか。

○大貫参事官 本日は、熱心な御議論をどうもありがとうございました。

今後の日程等につきましては、決まり次第、ホームページ等でお知らせさせていただきます。

○古城座長 本日はこれにて閉会とさせていただきます。この場にはおられませんが、審議に御協力いただいた資源エネルギー庁、北海道電力の方々、また、札幌で御意見をいただいた消費者団体の皆様方にもこの場をかりて御礼申し上げます。

委員の皆様は、この後打ち合わせを行いますので、委員会事務局に御参集ください。

お忙しいところお集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)