第13回 家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会 議事録

日時

2014年1月8日(水)9:28~12:42

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、蟹瀬委員、古賀委員、白山委員、陶山委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
岩田委員
【説明者】
中部電力株式会社経営戦略本部 大石部長
中部電力株式会社お客さま本部 前田営業部長
中部電力株式会社 土屋燃料部長
中部電力株式会社 岡本経理部長
【事務局】
消費者委員会 小田事務局長、大貫参事官
消費者庁 河津審議官、片山消費生活情報課長、谷本企画官

議事次第

  1. 開会
  2. 電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会について
  3. 中部電力へのヒアリング(委員からの質問事項への回答)
  4. 消費者庁作成「チェックポイント(案)」の検討
  5. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○大貫参事官 ただいまから、「消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会」の第13回会合を開催します。
本日は、消費者委員会担当委員の橋本委員と山本委員が、所用により欠席と御連絡をいただいています。
配付資料を確認させていただきます。
資料1~資料4を配付しております。不足の資料がありましたら、事務局までお願いします。
なお、議事については、録画をして、明日から議事録ができるまでの間、消費者委員会のホームページで動画を配信します。
それでは、古城座長に議事進行をお願いいたします。

≪2.電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会について≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。
消費者庁では、電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会を昨年12月11日に名古屋で開催されましたので、その内容について御報告をお願いいたします。

○消費者庁消費生活情報課谷本企画官 おはようございます。消費者庁消費生活情報課の企画官をしております谷本と申します。よろしくお願いいたします。
昨年の12月11日、名古屋に消費者庁阿南長官以下参りまして、中部電力の認可申請に関する意見交換会を行ってまいりました。お手元の資料1に概要がございますが、これに沿って簡単に御報告させていただきたいと思います。
当日、意見表明者は12名いらっしゃいました。傍聴も30人程度おりまして、2時間程度行ってまいりました。「4.主な意見」、ここを簡単に説明させていただきます。
まず、中部電力に限らず一般的な電気料金に関する意見ということで、調達に関しては随意契約の比率が高いので、なるべく100%競争入札にしてほしい。入札ができないものについては、その内容をきちんと精査してほしいという御意見がありました。
原価算定方法・値上げ全般というところは、電気を利用する側にとっては地域で独占供給ということもあって、中部電力から電気を買うしかない状況で、そういう中で事業者からの一方的な値上げは許されず、利用者の理解と納得を得ることが大前提ではないか。そのためには情報公開を徹底し、一般企業以上の経営効率化をやってほしいという御意見。それから、総括原価方式そのものに対して、何とかしてほしいという御意見がございました。
情報公開及び説明の実施という点で2つ挙げていますが、一つは、電気料金の妥当性を事後的に検証するシステムを、消費者庁、消費者委員会も関与する仕組みも含めて考えてほしいという御意見。土地、不動産、株式等の資産について、これは収益に関係するところなので、ここについても広く精査をしてほしいという御意見がございました。
原発全般としては、原子力の核リサイクルについて、これが本当に機能するのか。「もんじゅ」も廃炉が決定しているという話もある中で、そういうのがちゃんと機能するのか、絵空事ではないかという話があって、そういう中で原発を動かすのはどうかということ。他方で、原発については、近隣諸国がここ10年間で倍増計画という話があることも聞いており、日本が原発をそれで止めていいかというところについては、なかなか難しいのではないか。そういう複雑な点もある、そういう御意見がございました。
2ページ目にまいりまして、「中部電力に関する固有の意見」ということで整理をさせていただいています。
まず、1点目。経営効率化、人件費の部分。これは、役員報酬について、これまでの他の電力会社の例に沿って役員は1,800万としているが、もっと減額することも必要ではないかという御意見。特に管理職についてより一層の削減が必要ではないか、そういう御意見がございました。
燃料費については、他の電力会社や政府のバックアップのもと、もっと燃料価格を下げる交渉を輸入国とすべきではないかという御意見。もう少し燃料費の安い石炭発電あるいは水力発電、こういうものの稼働率を上げる努力をすべきではないか。燃料単価の上昇等の燃料費の増大を値上げの理由としているが、現に燃料費調整制度ということで、毎月、消費者が負担しているではないか。それ以上に、なぜまたここで燃料費を理由に値上げをするのか、という説明がないのではないか。
それから、燃料調達の安定性、経済性、柔軟性という点で、LNGや石炭の調達量の目標を明確に示して、消費者へのメリットを示してほしいという御意見。
次の2つは効率性という話ですけれども、設備については、例えば茨城の石炭火力発電所、あるいは、熱効率が高いコンバインドサイクル化を進めることによって、効率化ということで燃料費を削減することも可能ではないか、そういう御意見もございました。
選択約款のところですが、早遅収料金制度を延滞利息制度に変える、ここは評価するという御意見がありました。他方で、余り複雑な料金制度にはしないでほしい、消費者にわかりにくいという御意見もありました。
値上げ全般の話ですが、4月1日から引き上げということになると消費税率の引き上げと重なるので、そこは負担感が大きくなるというところを強く認識してほしいという御意見。
次のページにまいりまして、規制部門と自由化部門でそれぞれ43億円、584億円の赤字ということですが、一方で、電気料金の単価が自由化部門のほうが安い状況ではないかという点で、自由化部門のほうの交渉をきちっと進めてほしいという御意見がございました。
説明の実施、情報公開の点については、中部電力さんで消費者向けに配っていらっしゃるリーフレットについて、ここには火力燃料費への影響額3,000億円/年と単に書いてあるけれども、この詳細がこれでは全然わからないという話など、リーフレットに関する御意見がございました。説明会については、もっと各県ごとに開催するとか、あるいは、出前講座を開催してほしいという御意見がありました。
さらに、値上げが4月になるので、6月ぐらいから多分問い合わせが殺到する。4月の料金表が6月ぐらいに届く。それを見て消費者が恐らくいろいろ御意見を言ってくるということも鑑みると、そのあたりで消費者からの御意見を受ける体制もしっかり整えるべきではないか、そういう御意見がございました。
他の電力会社と比べて多かったのが次の原発というところですが、特に浜岡原発に関する御意見が多数ございました。
上からまいりますと、今回、浜岡原発を再稼働するという前提で原価計算をしているところには疑問がある。まだ原子力規制委員会に再稼働申請をしていない中で、なぜそういうことを前提にして料金を算定するのかという御意見。それから、原発のバックエンド費用。まだ機能する見通しがない中で、それを原価算入しているのは納得いかない。原発を稼働させるのであれば値上げをすべきではないのではないか、という御意見もありました。
一方で、浜岡原発を再稼働するにあたっての維持管理費用は年間約1,000億円と言われている。安全対策工事費も年間3,000億円と言われているが、これらも電気料金の中から支出される。そういうことを前提にした値上げは反対である。同じように津波対策として1,300億円かけているという話だが、津波対策以前に地盤が弱いという点で、地震でまずダウンするのではないかという御意見。それから、川勝知事が乾式貯蔵施設を設営すべきではないかという話がある中で、再稼働をするためのフィルターベントを先行しているところについては、再稼働を目指して急いでいるという印象があり、これは不信感を抱かざるを得ないという御意見。
それから、PR費用ということで、今回、中部電力のほうでは原価計算期間の中で見学会費用をしっかり計上するとしていますが、これが本当に認められていいのかという疑問が提示されました。さらには、原発を再稼働させるということであれば、今までの安全神話に頼るのではなく、本当に安全ですということをよく説明してほしいという御意見もございました。
購入電力料のうち、日本原電、北陸電力、今、原発による電力を供給されていない中で、なぜまだ払っているのかという話。それから、2000年に白紙撤回された芦浜原発の土地について、これをなぜ中部電力はまだ持ち続けているのか。これで経費削減と言えるのか。そういう御意見もございました。
最後に、環境への取組みという点につきましては、2つともほぼ共通ですが、化石燃料、自然エネルギーを中心としたエネルギー政策に重点を置くべきではないか、そういう御意見がありました。
簡単ですが、私からは以上です。

○古城座長 どうもありがとうございました。
意見交換会には、オブザーバーとして、古賀委員、矢野委員が出席なさっておられます。両委員から何かありましたら、一言、お願いいたします。

○古賀委員 何度目かの料金の申請認可ということで、発言者の方たちは料金の仕組みについて非常によく理解されていらっしゃって、むしろ今後のエネルギー政策について、今、持っている浜岡原発についての危惧感が鮮明に出されていました。そこのところを、今後、原発の再稼働や浜岡についての考え方を明確にした上で丁寧な説明をしていただくことが必要かと思いました。

○古城座長 矢野委員、いかがですか。

○矢野委員 私もオブザーバー参加させていただいて、特に浜岡原発への危機感が非常に強いということを実感いたしました。意見交換会でも出されましたけれども、世界一危険度が高いという認識の方もいらっしゃいますし、それに対して一方で、再稼働のためのさまざまな費用が電気料金の中に含まれていることの納得のいかないことへ、どう説明をしていくのかというところは、現地に住んでいらっしゃる方は痛感されていることだと思います。その辺の対応がさらに必要ですし、私どものところでもさらに踏み込んでいかなければいけないのではないかと思っております。
それから、事後評価のことについても御意見がありました。直接、今回の電気料金のチェックのところには当たりませんが、しかし、実際に値上げされた後、どういうふうにそれが検証できるのかというところでは、そこのところもこちらの調査会としてはしっかり受け止めて、今後、対応していかなければいけないのではないかと思いました。

○古城座長 どうもありがとうございました。
12月26日に名古屋で開催された、経済産業省主催の中部電力株式会社による電気料金値上げ認可申請等にかかわる公聴会、これを陶山委員が傍聴なさっております。陶山委員から、何かありましたら、どうぞ。

○陶山委員 私は、11日に参加できませんでしたので、26日のほうを傍聴させていただきました。今、両委員がおっしゃったように、私もその場で一番感じたのは、地元の方々の浜岡原発への危機感です。そして、今回の電気料金の値上げが、浜岡対策の資金捻出のために行われるのではないかというふうにとらえられているという発言もありました。また、印象に残りましたのは、経産省の審査会の委員の方々がコメントされた中でも、消費者の権利に言及されて、もう一度しっかり、値上げということだけでなく見ていく必要があるということを現場の公聴会で感じられたというコメントは、私にとっても印象的でありましたし、私はさらに強くそのことを重要に感じたところです。

○古城座長 どうもありがとうございました。
意見交換会の内容等についての御意見は、これ以降の質疑の中でお願いいたします。

≪3.中部電力へのヒアリング(委員からの質問事項への回答)≫

○古城座長 続きまして、電気料金値上げ認可申請の内容にかかわる質問事項についてです。前回の調査会の終了後、委員の皆様から寄せていただいた質問等を取りまとめ、次回の調査会で中部電力から回答をいただくこととしておりました。それを受け、取りまとめた質問事項が資料2です。本質問事項につきましては、事前に中部電力に示し、回答を資料3のとおり、準備していただきました。本日は質問事項への回答について御説明いただき、その後、質疑応答をしたいと思います。
中部電力におかれましては、お忙しいところを御出席いただき、誠にありがとうございます。
それでは、御説明のほうに入りたいと思いますが、項目を上から幾つかに分け、それぞれごとに中部電力からの御説明及び質疑応答を行いたいと思います。時間も限られておりますので、御発言は簡潔にお願いいたします。では、よろしくお願いいたします。

○中部電力大石部長 まず、自己紹介をさせていただきます。私は経営戦略本部の大石と申します。よろしくお願いいたします。

○中部電力土屋燃料部長 燃料部長の土屋でございます。よろしくお願いいたします。

○中部電力前田営業部長 営業部長の前田でございます。よろしくお願いいたします。

○中部電力岡本経理部長 経理部長の岡本でございます。よろしくお願いいたします。

○古城座長 まず、1、値上げの要因、2、財務状況及び3の需給について、御説明をお願いいたします。

○中部電力大石部長 わかりました。本日は、いただいた御質問に対しまして、できる限り「わかりやすく」を心がけて、丁寧にお答えさせていただきたいと考えております。なお、前回、調査会におきまして、特に内部留保があるのになぜこの時期に値上げをするのか、こういう点につきまして、冒頭で簡単に説明をさせていただいた後、それぞれ個別の質問にお答えさせていただく、こういう形で進めさせていただきます。
まず、3ページ、4ページでございますけれども、電気料金の値上げをお願いするに至るまでの背景と取組みについてでございます。4ページでございますが、当社は浜岡停止以降、燃料費が大幅に増加しており、大変厳しい収支状況にあることを示しております。5ページは、至近の経常収支の動きを表したものとなります。下側に大きく伸びている赤の矢印が、火力燃料費の増加による収支の悪化影響額となります。これに対しまして、上向きに伸びている矢印が燃料費調整による電灯電力料収入の増や、退職給与金の減少などの費用変動及び経営効率化によるコストダウンなどで、赤字幅は縮小してございますけれども、依然として厳しい収支状況が継続しているということでございます。ごらんのとおり、現在の燃料費調整では火力燃料費の増加を賄いきれておりません。この点は後ほど御説明をさせていただきます。
6、7ページにつきましては、当社のコスト構造とこれまでの効率化を表したものとなります。当社は他社と比べまして火力燃料費の割合が高く、化石燃料価格の高騰といった影響を非常に受けやすいコスト構造となってございます。このため以前から、設備関係費やその他費用の削減に努めてまいりました。このコストにつきましては棒グラフの太い囲みを入れた部分となりますが、平成12年の電力部分自由化以降、22.6%の削減を行ってまいりました。また、その下に表が書いてございますけれども、その間、5回にわたる料金の引き下げを行ってまいりました。なお、この値下げ率を累計すると他社と比べて最も大きい水準となってございます。
7ページ、8ページにつきましては、これまで、他社と比べてコスト削減と料金値下げに取り組んできたことをデータで示してございますので、後ほどごらんいただければと思います。
10ページにまいります。浜岡の停止によって増大した燃料費についての補足の説明となります。このグラフは、横軸が数量、縦軸が価格で、今回は数量、価格ともに増加してございます。ごらんいただいている図のマル1部分は、電気料金には燃料費調整制度というものがございまして、今回、火力燃料費のうち燃料価格が市況や為替レートによって変動した分につきましては、毎月の電気料金に反映させていただいてございます。
一方で、図の右側のマル2の部分でございますが、マル1の価格変動要因とは別に、今回、浜岡原子力発電所の停止によりまして、火力発電電力量を増加させたことによる火力燃料費の消費増加部分がございます。この部分が年間で3,000億でございます。マル2の部分が燃料費調整制度では電気料金に反映されないことから、今回、収支の悪化の大きな要因となっているわけでございます。
こういう状況に対しまして、11ページでは、より一層徹底した効率化により、収支の改善に取り組んできたということでございます。具体的には、役員報酬の削減、社員の賞与の削減といった人件費の抑制、競争発注の範囲あるいは調達先の拡大、こういった調達コストの削減などがございます。
以上のように、これまで、当社は震災前後で経営効率化に取り組んでおりますけれども、冒頭で説明させていただいたとおり、それを上回る燃料費の増加によって大変厳しい状況が継続しているということでございます。
続きまして、皆さまからのお声として頂戴する、なぜ内部留保があるのにこの時期に値上げをするのか、こういった質問へのご説明が13ページ以降にございます。こちらは貸借対照表上のイメージ図を示してございますが、中ほどから左側に矢印が伸びてございますが、剰余金とは、実際には既に資産を取得するための資金として活用しているものであることから、現金として手元に残っているものではないということでございます。また、右側に向けて赤の矢印が伸びてございますが、赤字の継続による資金不足に対しては、実際の現金ではない剰余金では賄うことができず、金融機関からの借入などを増やすことで調達することが必要となるわけでございます。
14ページでございますが、一方で剰余金を積むことの効果もございます。支払利息の低減効果に加えまして、特に申し上げたいのは、一番下の黒マルの部分でございます。剰余金残高があること、すなわち自己資本が充実しているということは健全な財務体質であるということでございまして、資金調達における信用力に大きく影響してございます。これまでは、この高い信用力によって浜岡停止後の資金不足に対しても借入などで調達することができたため、現行の料金水準を維持することができたわけでございます。
15ページにまいります。これまでは借入により何とか持ちこたえてございましたけれども、図の左側の囲みに記載してございますとおり、現状の赤字が今後も継続していくことは、資金不足を穴埋めするためにさらに借入を行うことが必要となります。また、この繰り返しによりまして支払利息が増加するということで、さらなる収支悪化につながるという悪循環を生むこととなり、経営の健全性が著しく損なわれることとなります。
16ページは、具体的な資金の実績をお示ししてございます。実際の金額で表したものがこちらのグラフになります。参考までに、震災直前の平成22年度以降の推移を示してございます。各年度のグラフの左側、黄色いグラフでございますが、これが電気の販売によって生み出された自己資金、真ん中の白いグラフが設備投資額、右側の黒いグラフが債務返済額を表してございます。
震災前の22年のところをごらんいただきますと、設備投資額を上回る自己資金がございましたので、差額の943億円を債務の返済に充ててございました。しかしながら、浜岡が停止した23年以降は、火力燃料費の支出が大幅に増加したことなどによりまして自己資金が大幅に減少いたしました。一方で、高経年化対応とか、設備投資額は継続して必要となります。このため、自己資本で賄えない部分は借入により対応しなければならない状態が続いているということでございます。加えて、過去に借りた資金の返済に必要となる資金、いわゆる借換資金も必要となるということで調達必要額は年々増加してございまして、今後も債務返済額だけで6,000~7,000億円という多額の資金調達が必要となる構造でございます。
17ページは、もう少し大ざっぱな感じの資料でございますけれども、参考までに、剰余金と有利子負債の推移をもう少し長いトレンドで示したものでございます。元々4兆円以上あった有利子負債の残高を、効率化により3兆を切るレベルまでぐっと圧縮してきたわけでございますが、震災以降は逆に有利子負債の残高は年々上昇する状況に転じているということでございます。
18ページは私どもが申し上げたいポイントでございます。このような状況下で今後も赤字が継続して、具体的な収支改善の見込みが得られない場合には、レ点で2つ記載してございますが、1つ目は、取引先の金融機関から新規の融資を受けられなくなるおそれが出てまいります。こうなりますと、信用力の低下から、最悪の場合、資金繰りが行き詰まって電気事業が立ち行かなくなる可能性がございます。
2つ目が、信用力が低下いたしますと、燃料の取引にあたっても、銀行の信用状の提出を求められるなど、燃料調達や資材調達にも支障が出る可能性が出てまいります。
こうした状況に陥ることは決して避けなければならず、収支改善を図り、信用力の低下や自己資本の減少に歯止めをかけることで電気事業を健全に運営し、お客さまに電気を安定してお届けすることが必要であると考えております。そういうことで、苦渋の選択ではございますけれども、料金値上げのお願いをするに至ったということでございます。
以上が、この度の値上げをお願いさせていただくことになった理由でございまして、この説明は以上でございます。次ページ以降、22ページまで資料がついてございますが、その辺は後ほどごらんいただければと思います。
以降は、御質問の項目に沿って回答させていただきたいと考えております。資料3-1が、皆さまからの質問項目とそれに対応するページを示した表でございますので、それを左の横ぐらいに置いた上で今のこの資料をごらんいただければと思います。
まず、1.(1)の値上げの主因が何か、それを抑える経営効率化は払われたか、という御質問でございます。25ページは原価算定の概要でございまして、今回の申請原価は、燃料費を除く全ての項目において、前回改定の原価を下回っております。26ページはこれを簡単に図式化をしたものでございます。
矢印の一番左側からでございますが、収入は燃料費調整等によりまして増加してございますけれども、浜岡全号機停止に伴う火力燃料費の増加の影響が著しく、経営効率化によるコスト削減(真ん中あたりの下に伸びた矢印)、その他の費用削減を反映しても収入が不足しており、現行の料金水準で必要な費用を賄うことが困難な状況にあるということで、黄色い矢印部分、この不足分を料金値上げをさせていただきたいということでございます。端的に申し上げれば、やはり燃料費の増が大きいということでございます。
27ページでございます。こういった状況の中、どういった努力をしたのかということでございますが、今回の原価算定にあたりましては、役員給与、社員年収の引き下げ、調達価格の削減など、26~28年の3か年平均で1,633億円のコスト削減を反映してございます。
28ページは、そのうち、特に値上げの主因となっている燃料費の抑制につきまして、まず上越火力発電所の営業運転を順次開始することによりまして、火力の総合熱効率を高め燃料費を削減してございます。また、燃料の調達にあたっては、安定性や需給変動にも迅速かつ適切に対応できる柔軟性にも配慮しつつ、経済的な調達に努めているということでございます。
次に、29ページでございます。1.(2)、1.(3)の質問は、燃料費を価格要素と数量要因に分解して定量的に説明してほしいということでございますが、29ページは飛ばしまして、30ページでございます。30ページは、前回改定との差異について、単価要因、数量要因に区分してございます。今回は価格、数量ともに増加してございまして、数量の増加を先取りして分析しますと、この表のとおりでございまして、火力燃料費の4,969億円の増加のうち、単価要因で3,954億円、数量要因で1,015億円となってございます。単価要因のうち、燃料費価格の上昇、すなわちCIF価格のアップで4,500億円程度。また、円高ということでございますので、これはベクトルが逆でございますが、1,000億円程度のマイナス。数量要因のうち、原子力利用率減で1,650億円。その他はごらんのとおりとなってございます。
31ページでは、参考として、燃料費増加と燃料費調整制度との関係を示すと、この図のようになるわけでございます。燃料費調整制度では前回の改定時の数量に基づいているということでございますので、CIF価格の上昇や円高などの影響はマル1の部分の3,100億円にとどまります。今回の原子力利用率の低下により、火力燃料の消費数量は大幅に増加してございます。マル2の部分とマル3の豆腐の角の部分と、非常に細かい話でございますが、燃料のCIF価格以外の変動部分でここにマル4と書いてございますが、油種の構成差、あるいは石石税が増加してございまして、こういった影響は燃料費調整制度の外側で料金に反映されない部分でございます。純粋に原子力利用率の低下による影響額は約2,400億円となっており、今回の値上げの主因となっているということでございます。
次に、33ページにまいりまして、2.(1)の、内部留保があっても値上げが必要な理由について、お客さま説明をどうしているのかということでございます。先ほど説明した内容をお客さまに説明してございますが、説明にあたってはお忙しいお客さまもいらっしゃいますので、先ほどのようなパワーポイントの資料だけではなく、もう少し簡潔にした別紙1、別紙2をケースバイケースで用いて説明させていただいております。
34ページにまいりまして、12月26日の公聴会、あるいは12月11日の御庁主催の説明会につきまして、私どもも傍聴させていただきました。そういう中で特に私どもが気になりました「御高齢のお客さまに対しても丁寧に説明するように」との指摘もいただいてございます。こういうことから、別紙3でおつけしておりますように、文字をもう少し大きくしたパンフレットを用意させていただいたり、今後、行政の協力を得ながらさらに丁寧な説明に努めてまいりたいということで、今、その辺についても検討させていただいているところでございます。
35ページにまいりまして、2.(2)、3期連続の赤字となると、資金の借入に支障が出てくる問題と、資金調達コストとして料金に含まれる点についてでございます。確かに資金調達コストは電気料金の原価に事業報酬として織り込まれているのは事実でございますが、当社の現在の状況は、燃料費の大幅な増加の影響によりまして、収支全体で大幅な赤字が継続しているということでございます。今後も借換も含めて多額の資金調達が必要な中、金融機関からは資金調達自体に支障が生じる可能性があるということでございます。また、信用力の低下が進みますと、先ほど説明のとおり、燃料や資材の調達にも悪影響が生じるということでございます。
以降の資料は飛ばしまして、37ページをごらんください。2.(3)の現状における資産と資金調達の関係についてでございます。発電設備等の取得にあたっては、原則として自己資金で取得し、不足する資金を社債や金融機関からの借入で調達することが原則ではございますが、24年度末時点の「資金の源泉」と「資金の使途」の関係を貸借対照表に基づきお示しすると、まず、資金の源泉は社債や借入金などの有利子負債が3兆3,000億円弱、事業活動から生じた利益である剰余金が6,500億円、株主さまからの出資である資本金を含むその他の純資産が6,200億円となってございます。これらの資金を、主には発電設備などの電気事業固定資産3兆4,000億円、あるいは、建設中の資産である固定資産仮勘定3,000億円、核燃料資産2,500億円、こういった取得に充てております。
電気事業は典型的な装置産業でございますので、資産の大半を有利子負債で賄わざるを得ない中、事業活動から生じた利益である剰余金を、発電設備等の資産を形成するための資金として活用しているということでございます。
次のページをごらんください。2.(4)につきましては、支払利息額と平均利率の推移、今後の借換額についてでございます。38、39ページで説明いたします。
38ページは、12年の自由化以降の財務体質の改善を進めてきた結果、この表でございますが、有利子負債額、支払利息額は順次低減してまいりましたが、残念ながら、24年度はともにプラスに転じているということでございます。また、資金調達利率のもととなる当社債スプレッド、これは国債の利率との差ですが、震災前に比べて大幅に上昇してございます。そのため、震災以降、国債などの市場金利が低下しているにもかかわらず、有利子負債の平均利率はほぼ横ばいとなってございます。今後の資金調達利率につきましても、市場金利の動向等によって、不透明なところはございますけれども、このまま収支改善が図られない状況が継続すれば、一層上昇するおそれがあると考えております。
39ページは、26年度以降の債務返済額の推移でございまして、6,000~7,000億円にのぼります。現状のように自己資金で設備投資が賄えない状況では、少なくとも返済額と同額の資金を新たに調達した上で返済を行うとともに、赤字分を追加で調達する必要がございます。この新規分につきましては、今の時点ではなかなか予測できないというのが正直なところでございます。
40ページでございます。2.(5)で、繰延税金資産について、回収可能性のスケジューリングについてでございます。申し訳ございません、なかなかペーパーでは落とせない状況でございますが、繰延税金資産の計上は将来の課税所得の発生が前提となります。現状、将来の収支を明確に見通すことは困難でございまして、こういう記載しかできませんけれども、当社は繰延税金資産の計上にあたりましては、監査法人に対して、今回の料金改定で法人税算定の前提となります50円配当をベースに算定した経常利益を計上できれば、5年程度で繰延欠損金の解消が可能であることなどを御説明し、現時点においては計上可能との御判断をいただいているところでございます。一方、仮に料金改定が実施できずに赤字が継続するなど、早期の課税所得の発生を見込めない場合には、繰延税金資産の取崩しを余儀なくされ、剰余金残高は減少することとなります。
2.(6)の配当政策の御質問でございますが、浜岡停止以降の状況を総合的に勘案し、26年3月期の中間・期末配当について見送らせていただいてございます。なお、以降の具体的な配当の実施につきましては、経営状況を総合的に勘案して決定するため、現時点では未定でございます。
財務状況に関する説明は以上でございます。
次に43ページ、3のマル1、電力需要想定・設備投資計画・予備率の考え方についてでございます。販売電力量・最大電力は、足元から長期にかけまして、節電の影響はあるものの、景気回復に伴う経済成長などから、ともに0.5%と緩やかに増加していくと見込んでございます。需要変動、電源トラブル等の需給変動に対して、安定供給の目安となる8~10%の供給予備率を確保してまいります。このため、高経年化が進む電源を計画的に更新していくとともに、既設電源についても、計画的な補修等により適切に維持・管理してまいります。なお、平成34年度の予備率は、自社原子力等の復旧時期が見通せないため、未定としてございますけれども、今後も適切な設備形成と運用に努めてまいりたいということで考えております。
次ページ以降は、こうした需要想定を前提に45ページに設備投資計画の考え方を示してございます。要点を申し上げますと、電力需要につきましては、今後は大きな伸びは期待できないということ。電力設備の高経年化を踏まえ、設備更新、機能強化を効率的に図っていくことに重点を置いた設備投資計画となってございます。具体的な内容は46~48ページに示してございますが、需給計画についての説明は以上とさせていただきたいと思います。
少し長くなりました。申し訳ございませんでした。

○古城座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。いつもどおり、発言を希望なさる方は前の札をお立てください。
陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 それでは、予備率、直前に御説明いただいたところについて、質問させていただきます。現在、直近で確定している分の実績で、24年で11.2%、今年度推定実績で7.9%で、ほぼ安定的な目安となる8~10%というのは満たしているということで、理解してよろしいですね。基本的にはそういう状況で、中電さんの御努力によって安定供給は確保できている状況にある。その中で今回、投資については、一義的には経営判断ということではございましょうが、その部分も原価に含まれていく内容ですのでお聞きしたわけですけれども、公聴会等でも疑問で上がっているのが、足りている電気状況の中で、さらに、非常に危機感を持たれている原発に対して、再稼働のためにいろいろな投資もしていくのか。津波対策、あるいは、対策の工事でもなかなか難しいのではないかと言われている地震について、これ以上注ぎ込んでいくのかということが、私は傍聴していて非常に印象に残ったわけです。
この中でも原子力の再稼働を目指してこういう投資が計画されているのですが、その点について、一般消費者も含めて納得できるような説明がなかなか難しいかなというふうに思っています。予備力を持ちながらなおかつ再稼働させていく。そこは、御社としては経営の改善を目指すということではあると思いますけれども、この投資の方向性が、例えば自然エネルギーに対しての投資というところに集中する、そういう形で見通せていたら、消費者のほうもかなり期待を持って、値上げの内容について納得していくということがあったのではないかと思います。その辺は、予備力を持ちながらさらに予備率を上げていくという、ここは非常にわかりにくいところであったということです。

○中部電力大石部長 どういうお答えをしていいのか、難しいところがございますけれども、まず、予備率につきまして、実は浜岡の稼働も一応は仮に置いているという状況ではございますが、これも込みにしたものでこういう数字になっているということでございます。

○古城座長 逆に言いますと、浜岡を除くと予備率はどれぐらいになるのですか。

○陶山委員 現在、7.9%というのは、除いてということでよろしいのですね。この状況は確保できていると。

○中部電力大石部長 そういうことです。あと、原子力に対するスタンスだと思いますけれども、資源のない我が国においては、安全性を大前提とした上で、当面、原子力を重要な電源として位置づけてやっていかなければいけないという考えのもと、浜岡に対しましても、すみません、世界一危険と言われましたけれども、私どもは世界一安全な発電所を目指してやっていきたい、そういうふうな思いでございます。
また、確かに(十分な)予備率はあるではないかということでございますが、火力発電所もどんどん老朽化してございます。老朽化していきますと、例えば燃料一つとっても、非常にたくさん燃料を使うような設備になってまいります。ある意味、耐用年数を迎えたような火力につきましては、より効率の高い火力発電所に変えることで、燃料費も削減できるし、あるいはCO2排出量も少なくて済むため、こういった開発がこれからは進んでいくのではないかと考えてございます。あとは経済性の問題がちょっとありますけれども、経済性等を勘案した上で、当然、新エネについても積極的にやっていきたいと考えているところでございます。

○古城座長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 個別のことについては、また後ほどそのパートでお尋ねしたいと思いますが、2つ、今の御説明でございます。
まず、資料の6ページで経営効率化の努力を御説明いただいたところですが、確かに平成12年と比べると、経常費用は相当削減されていらっしゃると思いますけれども、どういう事情か、平成18年くらいから後は、この部分が横ばい、あるいは若干微増の年もあったと思いますので、平成12年と比べる説明はちょっとトリッキーかなというふうに思っております。なかなか困難な御事情があると思いますが、平成18年以降、経常費用の削減ができていないというその難しさを御説明いただければというのが第1点目です。
2つ目は、今回の値上げの要因が燃料費用の増加であって、それも、単価と数量に分けると単価要因が大きかったという構造的な御説明は、今日の御説明で非常によくわかりました。それとの関連ですけれども、10ページを見ますと、浜岡原発が停止したことに伴って燃料消費量が増え、マル2の水色の部分が3,000億だという御説明をいただきました。聞きようによっては、原発が止まってしまったので3,000億増えていて、それを御社としてはどうしようもないというのか、そういう御説明にも聞こえるわけです。
ところが、31ページのマル3に当たるところは、単価引き下げのさまざまな努力、どうしようもないところはもちろんあると思いますが、調達の工夫ですとか、燃料の構成比の見直しですとか、そこは御社の努力で下げられるところだと思いますので、3,000億のところを説明されるときには、右上方の象限のところは御説明を丁寧にされなければいけないのではないかと思いました。
以上、2点です。

○古城座長 どうぞ。

○中部電力大石部長 ありがとうございます。2つ目のところは、非常に説明しづらいところでございまして、御意見いただきまして、ありがとうございます。
最初の6ページのグラフのところは、平成18年以降、何があったかといいますと、例えば20年、リーマン・ショックがあったりして、費用は変わらないのですけれども、私どもは産業用の比率が非常に高いところがございまして、需要が大きく落ちたりといった外部要素がございます。(販売電力量当たりの)単価に直しますと変動する要素、要するに、需要の変動が結構効いたりもするということがございます。そういった外部要因によるところで、最初から比べますと、削減がだんだん飽和してくるというところがあるのも確かに事実でございます。

○古城座長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 大変努力をなさっている様子がわかりますが、引き続き、一つ質問がありまして、一つは意見です。31ページの原子力利用軽減、2,400億円。これは、原子力を使わなかったからこれだけかかったというふうに考えていいのですか。

○中部電力大石部長 はい。

○蟹瀬委員 そうしますと、今の説明の中で言うと、火力発電が消費者にとっては非常に悪者に聞こえます。企業は危機管理をしなければいけないというのが常にありまして、ああいう事故が起こった後は、完全に世の中を変えていかなければいけないということに対応した場合、火力発電をこうやってお金がかかる、かかると悪者にして、それを消費者に負担しなさいというように私には聞こえていたというのが一つあります。
もう一つは、26ページに、値上げの要因として燃料費の増が4,889億あります。実はこの値上げの部分というのは、原子力が止まった部分の2,400億だけを、例えば消費者が負担すればいいのではないかというふうに考えてしまうと思います。企業努力、経営効率化によって1,633億、その他のことによって269億、努力をなさった結果、このままでいけば1,627億不足なのですが、例えば2,400億を負担すればいいというふうに考えれば、収入不足額というのは、698億を消費者は一緒に負担すればいいのではないかと考えるのではないかと思うのです。
火力発電になったからということではなくて、原子力が止まっているからという発想であれば、そういうことですし、火力発電に対する費用が非常にかかるということを、一緒に負担しなさいというふうになりますと、それに対して、火力発電は本当に今からずっとやっていくのはいけないのですかという質問が同じように来るのではないかというふうに、私は伺っていて聞こえたのですが、その考え方についてどういう御意見があるか、一つはお聞きしたい。
もう一つは、有利子負債についてのお話がたくさん出てきました。これは、企業側の努力によってというか、企業側の経営姿勢によって行われていることだと思うのですが、この辺は消費者に説明をしても、しても、しても、し足りないというか、わからない部分であります。私は元々総括原価方式というのは反対をしておりまして、時代的に遅れているのではないか。つまり、皆さんがこの総括原価方式の中で努力をしようとなさればなさるほど、有利子負債に関しても、剰余金に関しても、全てに関して、なかなか思い切った判断ができないのではないかと私は思っています。普通の経営者であれば、これだけの赤字を抱えて消費者に反映していくときに、商品に少しだけ反映させてください、あとは努力しますといって、かなり削減して大胆にいけるはずなのです。ですが、それがなされない。どこの電力会社もなされていかないというところを見ておりますと、やはり今の総括原価方式を早く内側から壊していただく。つまり、消費者が言うのではなくて、電力会社側から、そうではないほうが経営しやすいです、自由競争になりますというふうに、壊していただく努力をしていただけるとうれしいなと思っています。
以上、2点です。

○古城座長 よろしくお願いします。

○中部電力大石部長 2つ目は総括原価についての御意見ということで、今後は全面自由化になるという動きがございますので、基本的には競争をする中で努力をしていくということになると思っております。
最初の御質問で、決して私どもは火力を悪者にする気は全くございません。原子力が止まっている中で火力がいわば命綱のごとく、火力によって何とか停電を防げているということでございます。残念ながら、燃料費につきましては、原子力でいくと、kWh当たり1円弱の燃料費が、(火力発電だと)10円、20円という形で、燃料費だけで10円を超えるような金額になってしまいますので、それを単純に消費量で掛け合わせますと、悲しいかな、4,000億とか、3,000億とか、こういう費用のプラスになってしまうというのが実態でございます。

○蟹瀬委員 2,400億ではいけないのですか、ということの答えはどうですか。

○中部電力大石部長 この辺が非常に説明しづらいのですけれども、いずれにしましても、今回は1,600億円の値上げをお願いしているところでございます。単純に前回料金の原価と今回の料金織り込みの原価を比較した結果が、燃料費だけでいけば4,000億の差になってございますけれども、実は料金の値上げ額というのは、資料の25ページが原価算定の概要でございまして、表の下から3行目の小売対象原価マル3と書いてございます。今回、料金原価を算定すると、ここに書いてありますとおり、2兆4,935億円となるということで、前回、20年の時にはじいた原価は、右側の2兆1,948億円ということで、原価の差としては3,000億弱増えているという比較でございます。
実際にお客さまに料金をプラスで御負担いただくというのは、平成20年、前回の原価でつくりました料金表に基づいて、現在の需要、お客さまの販売電力量、これを掛け合わせた結果の現行の収入が、下から2段目にあります改定前料金収入2兆3,309億円となり、前の原価ではじいた料金をもとに直近の販売電力量で現行の収入をはじくと、既にそちらに変わっているわけでございます。それとの差額が、一番下に書いてございます1,627億円。これが今回、お客さまにお願いする値上げの総額になります。

○古城座長 31ページの図ですと、原発が止まったおかげで化石燃料をたくさん使わなければいけなくなったために生じた不足分が2,400億と出ています。そうしますと、5ページの一番右側で、火力燃料費の増で、その代わり燃料費調整制度でそれはカバーされる分がありますから、差額は2,400億になりそうに見えるのですけれども、ここですと、差引で3,000億ちょっとというふうになります。そうしますと、その差、600億というのは何ですか。右側の図ですと、火力燃料費の増が5,783億で、燃料費調整制度による電灯電力料の増は2,600億で、この差は3,000億ちょっとという数字になります。そうすると、31ページの2,400億よりもちょっと大きくなっていますけれども、600億というのは何が入っているのですか。

○中部電力大石部長 すみません。現在、手元にデータがありませんけれども、5ページのこの図は決算の数字でございまして、実際、燃料費調整というのは少し期がずれて計上するようなものなのです。1か月後に通関統計というデータをベースに新たに料金を立て直す、こういった期をまたぐような数字の動き等もございますので、すみませんが整理をする必要がございます。

○古城座長 蟹瀬委員の質問はそこのところに関連していますので、後でまた調べて。

○中部電力大石部長 わかりました。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 43ページの需給計画のところで、質問は予備率と投資計画等に関連してでしたが、そこから及んだ形で、改めて、需給計画のあり方というか、計画のつくり方自体について、少し意見が入りますが、いわゆる浜岡原発の再稼働について。先ほども「仮に」というお言葉でしたし、前の41ページを見ると、配当政策についての説明は「浜岡原発の運転再開時期も明確に見通すことができない状況」ということが文言で記されています。一方で、これからの3年間に原発の再稼働を予定した上で需給計画が立てられているわけです。それがそのまま電気料金の算出につながるわけですから、計画の立て方の正確なところまで求めるのは大変厳しいかと思いますが、より具体的でないといけないと考えます。
意見陳述のところでもありましたけれども、まだ安全審査の申請もされていないということや、先が見通せない中での計画性の立て方の妥当性というか、それに基づいて電気料金を算出されるわけですから、その妥当性については、どの程度きちんとした計画かということをおっしゃられるのか、その辺の説明がないと計画自体がかなり曖昧なものになるのではないかと、大前提として疑問を感じております。いかがでしょうか。

○中部電力大石部長 あくまでも浜岡の再稼働というのは、おっしゃったとおり、新規制基準をクリアーした上でということでございますので、現在、浜岡の再稼働がいつになるのかは全く未定でございます。
一方で、料金原価を織り込む場合には、どういう考え方かと申し上げますと、今、私どもは浜岡の4号、3号の順番で工事を行っておりまして、その工事の完了が27年の9月、28年の9月と計画だけはございますので、そうなりますと、物理的に稼働が可能であると。全く再稼働を前提としているわけではないのですけれども、物理的に稼働が可能であるものについては、料金の前提という点においては織り込みますと。そういう考え方で、今回、料金に織り込んでいるということでございまして、そういう意味でいくと再稼働を前提にしているというものではございません。再稼働のためには、地元の方々をはじめ皆さまに十分御理解をいただくことが前提だと考えております。

○古城座長 今の御説明は、本当の意味で再稼働というのは織り込めないけれども、料金は再稼働できると仮定して申請はしている、こういうことでよろしいですか。

○中部電力大石部長 そういうことです。

○古城座長 よろしいですか。

○矢野委員 ひとまず、説明は聞きました。

○古城座長 では、白山委員、どうぞ。

○白山委員 16ページの図のところでございます。多分、自己資金というのはフリーキャッシュフローのことを想定していると思いますが、確認したいのは、過去はこうだったということで、今回、自己資金から必要な設備投資額を差引した額はマイナス。だから借入が増えると。借入が増えていきますと財務体質が悪化するから、現行の料金水準を維持できない。ここは有利子負債が非常に大きく影響するところなので、今回、例えば消費者が料金負担をした場合、この図でいきますと、今後3年間ぐらい、必要な設備投資額がフリーキャッシュフローで賄えるという想定なのでしょうか。
すなわち、赤字分の追加の借入というのは、既存の借入の返済とか、借換とか、それは一定額あるとしましても、新規の不足分の借入は発生しないというふうに想定されているのかどうか。つまり、16ページの表の今後の3年間分ぐらいの想定はどういう形になるのか。消費者が負担すれば、リプレイスメントを含めた設備投資額は、フリーキャッシュフローの範囲内で賄えるという想定があるのか、ないのか。そこの確認です。それは45ページの設備投資計画の概要にも関連しますが、この投資計画はわかりましたが、そのファイナンスの予定はどういうふうなお考えになられているのかとも関連するのですが、この辺について確認させていただきたいと思います。

○古城座長 お答えいただけますか。

○中部電力大石部長 まず最初の16ページですが、端的に申し上げますと、設備投資額と内部留保、減価償却プラス利益相当を合わせたもののバランスがどうなるのか、そういうことだと思いますが、どれだけ料金審査で査定されるのか、要するに、料金水準がどうなるかわからない中で利益水準がどうなるのかと不確定なものですから、なかなか答えづらいのですが。

○古城座長 まず、全部認められたという仮定で。

○中部電力大石部長 全部認められたという仮定でいきますと、おおむねトントンだと思っております。バランスシート上の有利子負債はほぼ横ばいで推移すると見込んでございますので、新規の借入、増分は必要ないのではないかというふうに考えております。

○白山委員 45ページの設備投資計画のファイナンスはどういう御予定かというのは、まだ明確になっていないということですか。

○中部電力大石部長 ファイナンスというのは、具体的には、社債や借入がどういうふうな内訳かとか、そういうお話ですか。

○白山委員 今のお話ですと、自己資金で調達する予定だということですか。45ページの設備投資計画は、毎年3,000億ぐらい想定されていますね。26年、27年、28年についてはどういう形でファイナンスをするお考えですか。

○中部電力大石部長 私ども、減価償却費が2,500億強ございまして、それ以外のいろいろな内部留保等を含めますと、この投資額とほぼ均衡するのではないかと見ております。

○古城座長 自己資金で投資するという計画なのですね。

○中部電力大石部長 そうです。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 配当に関して、40ページの御説明のときに、50円の配当を織り込んでというお話をされたのですが、今期配当されるということなのですか。

○中部電力大石部長 配当につきましては、決まっておりません。50円配当についてお話ししましたが、料金織り込み上は、あくまでも事業報酬という概念は、配当する、しないとか、そういうことではなく、資金調達するのに、自己資金であろうが、他人資本であろうが、コストはかかっているので、そのコスト相当を事業報酬という額で認めているというものでございます。決して配当を料金に織り込む、織り込まない、こういうことではないと思っております。

○陶山委員 来年度、26年度は見送るというお話をされたのでお聞きしていますが、それでは、3期赤字の決算をされている御社として、今期、配当はどのように考えていらっしゃいますか。

○中部電力大石部長 今期の中間及び今年度3月末の配当につきましては、無配とすることを表明してございます。26年度以降につきましては、今の時点では全くの未定でございます。

○古城座長 井手座長代理、どうぞ。

○井手座長代理 1点だけです。設備投資計画のところで、いろいろな流通設備とか、高経年化が進んでいるので更新投資もやらなければいけないということですけれども、実際に減価償却とか更新投資をやる場合、法定の耐用年数でやられているのか。実際には法定の耐用年数よりも1.何倍とか、2倍とかのあれを見込んで設備投資をやるというのがあれでしょうけれども、今回のこういう料金算定のときの法定の耐用年数等々はどういうふうに考えてやられたのか、教えてください。

○中部電力大石部長 減価償却費を算定する場合には、経年もありますけれども、既存の設備に法定耐用年数を掛けて算定してございます。おっしゃるとおり、実際に設備によって、先ほどの図で見ますと、平成8年以降の電力の制度改革、自由化によって効率化をやり始めたときがございます。その一つの手立てとしまして、今までは故障する前に一律といいますか、ある経年が来たときには一律取り替えていたものを、寿命を診断する技術が発達したこともございまして、効率化ということで個々の設備ごとに替える、替えないを判断して実質的には古い設備もそのまま使っているということがございます。そういう意味ではそういったものも反映した上で、償却費ゼロのものについても、ゼロで料金を織り込んでいるということでございます。

○古城座長 古賀委員。

○古賀委員 質問を1つと意見を1つです。
1つは需給計画についてですが、質問が4点ほどあります。需給計画の供給予備率の考え方ですけれども、平成25年現在、7.9%ということですね。先ほど、毎年0.5%ぐらいずつ上げていく必要があるという御説明があったと思いますけれども、その予備率をそれだけ上げていく必要があるということを、もう少し詳しく説明してください。
それから、45ページですけれども、先ほど矢野委員が質問されたこととかぶるのですけれども、原発再稼働を見通せない中でも、先ほどのお答えでは、当面、原子力を重要な電源と考えていらっしゃる。基本的にはそういうお考えでいらっしゃるということだったのですけれども、45ページで原子力は、平成26、27、28年と、かなり大きな数字が出ています。他に説明していただいている箇所があるかもしれませんが、この中身をよく説明していただくということと、やはりここが一番消費者の反発の強いところですので、実際、需給計画についてどのように考えて見通しをたてているかということを教えてください。
現状ですと、30年以降でないと原発は正常に稼働しないのではないかと思われます。この26、27、28年度の3年間のこれからの料金についての査定は、審査要領を見ましても、「長期稼働しないものについては基本的には原価に入れないこと」が原則です。それはこの3年間を含めて、事業報酬の考え方にも適用されていくので、消費者としては、電気料金の査定が果たして原発との関係で正当になされているかという疑問は常につきまとうわけです。また、例えば39ページですが、そこで、短期借入金というのは通常回していくために必要なものなので、わかるのですが、長期借入金が26、27、28年と非常に増えています。ここのところで、事業計画との関係で、マル1長期借入金をこのように過大に計上されている理由と、マル2原発の浜岡を中心とした安全対策についての費用の詳細などについて、少し詳しく説明していただきたいと思います。
もう一つは、意見です。有利子負債について、18ページのあたりですけれども、財務状況から「値上げの必要性」ということを当初から強調されていらっしゃいます。「金融機関に不良債権と判断される蓋然性が高まる・・・」というのは、私どもからすると非常に違和感のある御説明です。たとえば、金融庁の銀行の貸出のマニュアルにおける基準などと比較して見ても、御社のように総括原価方式で守られている会社が仮に経営判断を大幅に誤ったとしても、このように有利子負債について、「不良債権と判断されるような状態に陥る」とは到底思えないので、ここのご説明のところは消費者の理解は得られないと考えます。
長くなりまして済みません。質問のほうをお答えいただきたいと思います。

○中部電力大石部長 まず、43ページ。すみません、私の説明が足りなくて、0.5%増え続けるのは、予備率ではなくて、表の販売電力量、最大電力量の年平均の伸びの話でございます。原子力の投資内訳については、たしか次の項目で出てまいりますので、そこで説明をさせていただきます。
39ページは、説明を省略させて頂きましたけれども、こちらは債務返済の推移であり、長期借入金のこのオレンジの部分が、26年以降、徐々に増えていく。これは、浜岡停止に伴って、資金調達を大幅に直近で増やした分の返済が始まるためでございまして、急遽借りたものの返済が始まってしまうということ。つまりは、金融機関も、今までは長期で貸してくれていたものが、短期の返済となっており、信用できないと判断されて不良債権のところには長期ではものを貸さないという、そういう銀行の反応の表れの一部でもございます。

○古城座長 どうぞ。

○古賀委員 今の予備率のところですけれども、最大電力で年平均0.5%増加というお話はわかったのですが、それに加えて、平成25年では、予備率が倍近くになるわけです。そこまでする必要があるのかということと、それに関連して、先ほど言い忘れたのですが、45ページのところの新エネルギー。これが平成26年に31億円と出ているのですが、それ以降、ゼロとなっています。今の電力システム改革や再エネルギーを増やそうという流れから言うと、非常に後退した方針をとっていらっしゃるのかなというふうに考えるのですが、今の電力システム改革の流れに応じて、電源構成を変えていこうという考え方についてと、御社における予備率の考え方について、ご説明していただけますでしょう。

○中部電力大石部長 予備率につきましては、8~10%の供給予備率を確保していくというのが基本的な考え方でございます。平成26~28年度については、予備率が高いのではないかということでございますが、これは原価算定上の前提としまして、浜岡の発電電力量を想定しているということで、実際の再稼働時期について申し上げる段階にないということ。また、かなり古い経年の廃止をしようとしている石油火力の発電所がございますが、この辺をどうするのか。それなりに維持費もかかりますので、廃止をするのか、しないのかといった判断も、これから状況を見極めながら判断していくということで、今、ちょっと高めの数字になっているということでございます。

○古賀委員 もう一度だけ、ちょっとしつこいのですけれども、予備率を25年の倍近くにしているという設定で、先ほどお聞きしたように、いわゆる新基準をクリアーして、その後、再稼働ができることについては、4号機、5号機については、それぞれ27年とか28年の9月を想定していらっしゃるという御説明があったと思います。そうしますと、実際計画通りきちんと回っていくのは30年度以降ぐらいになるのではないかと思うので、ここの予備率の考え方はやはり過大すぎると思いますが、この点はどうでしょうか。考え方として、9%ぐらいでもいいのではないかと思います。

○中部電力大石部長 平成26~28年度のこの数字自体は、そういう不確定要素を踏まえた上で、今は少し高めに置いていますけれども、おっしゃるとおり、もう少し精査していくことになると思っています。

○古城座長 原発稼働が不透明だから、予備率は保険分も積み上げられているということですね。

○中部電力大石部長 はい。それと、これは料金のあくまでも前提ということでお示ししてございますけれども、経産省に毎年出す供給計画につきましては、供給側は全て未定で出してございます。

○古城座長 高いというのは認められて、その理由は、今、御説明があったとおりだと思います。
それでは、次の項目に移りますが、時間管理表から言いますと、30分ぐらい余分に議論をしてしまいましたので、それを念頭に置いて皆さんも御協力していただきたいと思います。ですから、少しサクサクと進めていきたいと思います。
次は、人件費と燃料費につきまして、御説明をお願いいたします。

○中部電力大石部長 それでは、50ページは人件費の総括表でございますので、これは省略いたしまして、51ページでございます。4.(1)の退職給付制度の変更内容について、詳しくということでございますが、ここに書いてございますとおり、当社はこれまで、ポイント制退職金制度の導入、終身年金の廃止など、こういった見直しを行って抑制に取り組んでいるところでございます。支給割合はこの表のとおり、一時金42%、確定給付企業年金34%、60歳以降受けるもので確定拠出年金24%、こういう内訳となってございます。なお、今回料金は実績として発生している数理差異を反映していますが、前回と比べて大幅に減少しているということでございます。
52ページでございます。今回、料金の原価においては、さらなる削減を織り込んで算定しているということで、標準的な退職者の退職給付水準はメルクマールを下回る水準としてございます。
53ページ、4.(2)、議員を兼任の従業員についてでございますが、現在、11名の従業員が議員に就任してございます。この者の人件費は原価に算入してございません。なお、当社は、議員に就任する従業員が公務活動をした時間分の給与は支払わないこととしてございます。
次に、4.(3)の出向者の内訳でございますが、ここに書いてございますとおり、出向については、電力事業に関係が深い46団体、713人を原価に算入してございます。
55~57ページにつきましては、具体的な出向先でございますので、後ほどごらんいただき、58ページ、4.(4)、人員数の増加要因でございますけれども、当社の過去からの要員の推移をグラフのとおり示してございます。聖域を設けない業務効率化を継続的に推進するということで、採用数を大幅に抑制するなど、業界の中でもいち早く徹底的に要員スリム化に取り組んだ結果、平成19年度に1万6,000人まで減少してございます。その後、流通設備の高経年化対策、原子力の安全性向上対策、太陽光発電連系申込の増加等に対応するため、要員は増加してございますけれども、それでも24年度の従業員数は、ピーク時に比べ3,690人少なく、また、労働生産性については36%向上しているということでございます。
59ページは、要員の推移と設備投資・修繕費の推移を示したものでございます。ここでもやはり、平成10年以降の電力需要の伸びの鈍化による拡充工事の減少、あるいは、先ほども出ましたけれども、流通設備等の延命化、こういったものによる投資の圧縮によって要員数を圧縮しているということでございます。しかしながら、最近では、流通設備の高経年化とか、先ほど言ったような業務が増えているということで、要員を増やしている状況にございます。
60ページは、特にこのうちの定期採用の数を示したものでございます。このグラフで特に見ていただきたいのは、平成15~17年のところで、従来、800人から採っていたところを、自由化を契機に毎年100人程度に大幅に抑制しました。しかし、この結果、労務構成が歪んで技術継承の面で苦慮する事態となり、加えて、その後の業務の増加によりまして、こういった対応のために必要な要員を確保するということで、20年から、500人採用ということでちょっと戻しているという状況にあります。
61ページは、労働生産性の推移でございます。そういったことを反映した結果、平成16年は東電を抜いて労働生産性は業界1位となりました。500人規模の採用を行ってきた平成20年度以降においても、トップレベルを維持している状況にあるということでございます。
62ページについては、要員数と生産性の推移。63~65ページは、各部門の要員の増加を示してございますが、説明は割愛させていただきます。
66ページ、4.(5)の相談役の費用について、当社は、顧問・相談役に報酬を支払ってございますが、原価には算入してございません。また、顧問・相談役の執務スペース、社用車の費用等については、いずれも原価からカットしてございます。
人件費については以上でございます。
次に、燃料費でございます。
68ページは燃料費の総括表ということで、次のページをごらんください。69ページでございます。5.(1)のところで、LNGの調達内容、詳細な価格内容について、まずは調達概要を御説明いたします。
当社におけるLNGの調達量は、ガス事業も含めまして年間1,350万トンで、その9割を既に確保してございまして、未定分については、スポット契約で調達する前提で原価に織り込んでございます。確保済の数量のうち、873万トンが価格合意済み、370万トンが、今回、算定期間中に価格更改を迎えるものでございます。
70ページ、LNGの契約の内容についての御質問でございますが、これは契約相手先もあるため、詳細な説明は御容赦いただきたく存じますが、お示しできる範囲でできる限り記載してございます。70ページは主な契約内容でございます。後ほどごらんいただければと思います。
72ページは、過去3か年の燃料消費単価の推移を示してございます。石油系、ガス系、石炭とございますが、石油系は、特に東京、関西、中部エリアは、非常に厳しい環境規制によって割高な低硫黄原油を使用しておりますが、他社と比べてほぼ同水準となってございます。ガスは、スポット調達などで経済調達に努めておりまして、石炭は、さまざまな工夫で経済的な調達ができているというふうに評価をしているところでございます。
73ページは、料金織り込みの価格をできる限り詳細に示したものでございます。燃料種別ごとの織り込みの調達価格の内訳を示してございますが、真ん中のLNGは、98%がマーケットにリンクするCIF価格、残りの2%が石油石炭税、諸経費等は約0.4%となってございます。3か年平均で、1t当たり8万7,165円で織り込んでございます。
LNGの価格構成についての御質問でございますが、当社のほとんどの契約はCIF価格での取引となってございますので、内訳を示すことはできません。なお、ここには書いてございませんが、一般的に北米のLNG価格でよく言われてございますのが、ガスの本体価格が4.5ドル/MMBtu、液化費用が3ドル/MMBtu、輸送費用が3.5ドル/MMBtuでございまして、それらに諸経費を加えた12ドル/MMBtu程度が日本着価格レベルと想定されています。これをトン当たりに換算いたしますと、この12ドル/MMBtuが620ドル/トンになります。ここに書いてございますのは、LNGは、この表の一番上で859.5ドル/トンでございますが、北米のシェールガスを液化して日本に持ってくると、これに対して620ドル/トンと、それなりに競争力のある価格になるのではないかということでございます。
74ページ、5.(2)ですが、LNG価格について他社との比較を示したものでございます。当社は他社と比べて若干低いレベルとなってございます。
続いて、5.(3)の調達価格に関してのトップランナー価格などを、どのように申請額に織り込んだかということでございますが、これは75ページをごらんください。これも非常にわかりづらい表で恐縮ですが、先行他社の査定方針では、LNGの価格見直しについては、全電力で最も安い長期契約価格、トップランナー価格で査定することとなってございます。当社におきましては、他社の価格水準が不明なため、自社の長期契約で最も安い価格と、全日本通関CIF価格のいずれか安い価格を採用するとの考え方のもと、結果としまして、全日本通関CIF価格で織り込んだということでございます。
私どもは契約更改を26年度に迎えるものがございまして、この図の読み方でございますけれども、折れ線グラフが全日本のLNGの通関の価格だと思ってください。これは過去の価格の推移でございまして、星印がそれぞれ、アから始まってトまで、当社は20契約ございまして、このうち価格更改を26年度に迎えるのが、キ、テ、ト、この3契約でございます。この3契約については、先ほどの話のとおり、全日本通関統計のCIF価格で織り込みました。また、27年度に価格更改を迎えるのが、上のほうにございますけれども、イ、エ、オ、この3契約でございます。この3契約につきましては、北米フリーポート・プロジェクトからのLNG導入による効果を見込み、さらに、価格低減を織り込んでございます。
77ページは、LNG1トン当たりの調達単価を年度別にお示ししてございます。フリーポート・プロジェクトによる価格低減効果を先取りして織り込んだ結果、28年度の価格は、26年度に比べて1トン当たり4,200円低下を反映しているということでございます。
78ページ、5.(4)の石炭系におけるバイオマス発電の内訳についてでございます。石炭のところの下段括弧内に記載のとおり、発電電力量で1.3億kWh、消費数量で10万トンを計画してございます。
79ページ、5.(5)のメリットオーダーについての基本的な考え方でございますけれども、当社の供給力の構成の特徴としまして、原子力比率が低く、火力の比率が高くなっていること。また、高経年石油火力の更新に合わせて高効率LNG火力の導入を積極的に進めてきた結果、LNGの火力の比率が高まっているという特徴がございます。
80ページは、発電燃料単価の安い火力を最大限活用するメリットオーダーの考え方としまして、まずは発電燃料単価の安い石炭火力をベース供給力とし、次に熱効率の高いコンバインドサイクル型LNG火力を優先的に配分した上で、残りを従来型LNGと石油火力に分担させてございます。また、他社火力については、契約に基づいて、自社火力と同様のメリットオーダーを考慮して計画してございます。左側の円グラフはその結果でございますけれども、火力に占めるLNGが70%となっていることが見てわかります。
81ページは、メリットオーダーによる火力供給電力量の配分結果でございます。発電所ごとに、横軸を運転中利用率、縦軸を発電燃料単価としてそれぞれプロットしまして、LNG火力は同一発電所でも従来型とコンバインドサイクル型に分けて記載してございます。ごらんのとおり、単価の低い電源ほど利用率が高まる結果となっていることが見て取れると思います。
82~83ページはその詳細ですので、説明は割愛させていただきまして、84ページの水力発電が前回料金よりも減少した理由についてでございますが、この表に書いてございますとおり、揚水発電については、前回よりも需要想定が下回ったことから、ピーク時間帯に発電する発電電力量が減少したことによって、水力発電量が減少してございます。なお、自流についてもわずかに減少してございますが、これは、至近年の短時間豪雨(ゲリラ豪雨)等に伴う発電機停止、台風や集中豪雨等の場合には、濁流とか流木、こういったものが入って発電機を傷めるおそれもございますので、発電を停止することがございます。こういったものの増加によるものでございます。
85ページ、5.(6)は、シェールガス効果の織り込みに関する考え方についての説明でございます。当社は、北米LNG導入によりまして、LNG価格の引き下げを目指してございます。ただし、前回は私の方で西暦と平成の年数が合わなくて申し訳ございませんでしたが、実際の導入は平成30年以降となるため、価格引き下げが実現するのも平成30年以降となります。しかしながら、既存契約の価格改定協議において、当社が北米LNGの調達をすることを交渉材料に最大限努力するという前提のもとで、その成果をシェールガス効果として織り込んでございます。具体的な原価織り込み額については、今後の交渉に影響を与えるため、差し控えさせていただきたいと思いますが、今回、料金改定における燃料の効率化額としまして、年間50億円程度の削減を織り込ませていただいてございます。
86ページ、5.(7)は、今般の申請における基準燃料価格の変更要因と燃料費調整制度との関係ということでお示ししてございますが、今般申請においては、全日本通関CIF価格の上昇と燃料消費数量の増加を反映したことにより、大幅に基準燃料費価格が上昇してございます。
燃料費については、以上でございます。

○古城座長 ただいまの御説明について、御質問、御意見ございましたら、お札をお立てください。

○矢野委員 53ページ、人件費の議員兼任への給与の支払いについてですが、ここの解釈の仕方は、「参考」のところで、議員活動の給与は支払わないということは、原価に算入されていないのは議員活動の給与分なのか。それとも、まさに議員をしていらっしゃる方の人件費そのものなのか、その辺はいかがでしょうか。

○中部電力大石部長 わかりづらくて申し訳ございません。原価につきましては、一切カットしているということでございます。

○矢野委員 原価には算入していないけれども、別の項目から給与が支払われているとか、顧問も原価には算入されていないけれども、顧問料がどこかから出されているとか、電気料金の算定の項目のどこか他の項目から出されているのかどうか。いわゆる人件費の括りでは算入していないけれども、そのあたりのことはどうなっていますか。

○中部電力大石部長 原価上、顧問にかかる費用、あるいは議員にかかる費用については、他の項目で織り込んでいるということは一切ございません。

○古城座長 結局、支払っていると。支払っているけれども、それは自由化部門の稼ぎで賄っている、こういうことですね。

○中部電力大石部長 はい。自由化・効率化等で、今後、対応していくということでしかないと思います。

○古城座長 矢野委員、よろしいですか。

○矢野委員 はい。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。

○古賀委員 LNGの価格ですけれども、他社の価格がわからないので日本の全日本通関統計価格ということで算定されたということでしたが、東北電力が値上げ申請をされて、LNGの価格(単価)についていろいろ議論があったときに、例えば東京電力ですと、その時点では7万941円、一番高い九州電力でも7万7,907円、東北電力で7万564円、関西電力で7万2,492円という数字でした。それに比べると、御社の8万2,406円というのは非常に高いという感じがしますが、そこの理由を説明していただけますか。

○中部電力土屋燃料部長 先生の御質問にお答えします。具体的な数字は、今、手元にございませんが、東北電力さんの申請のタイミングの数字と当社の申請のタイミングの数字は、通関統計等もすべて異なりますので、違っております。したがって、絶対値をとりまして、1年前の数値と、当社は基準年を昨年の6-8月にしておりますが、そのタイミングとの価格で、高い低いというものではないというふうに御理解いただけたらと思っております。

○古城座長 それはよろしいのですけれども、割高ではないかという質問についてはどうですか。

○中部電力土屋燃料部長 資料の74ページをごらんいただきたいと思います。これは、四国電力、九州電力、東北電力、関西電力の申請時期は当社と違いますが、当社と同じタイミングの原油価格及び為替レートで置きかえた結果でございます。その結果、補正をかけてございますので、これがニュートラルで見ていただける水準でございまして、御説明させていただきましたように、ほぼ平均並みと考えております。

○古城座長 東電はどのくらいですか。

○中部電力土屋燃料部長 実はここの表は、上の青いところがいわゆる諸経費で、我々の価格コントロールが一番多く効くところで、東電さんの分はそのデータがなかったものですから、今、手元にございません。東電さんは、うちと関西さんの間ぐらいではないかと思っていますが、詳しくはまた後ほどお示ししたいと思います。

○古賀委員 よくわかりました。ありがとうございました。ただ、原価に算定するという問題で言うと、後出しして得をしているみたいな感じがしてしまうのです。既存の契約についてですが、LNGの調達計画はかなり長期契約でやっていらっしゃると思うのですが、原価算定については、いわゆるチャンピオン交渉によるトップランナー価格にするとか、現在のレートに合わせたものではなく、他の電力会社さんとの比較においての価格に変えるというようなお考えはないですか。

○中部電力土屋燃料部長 非常にわかりにくくて申し訳ございません。資料の75ページで実はお示ししたのですが、当社は7番目の電力会社ということで、燃料費の査定基準というのはある程度先行他社の内容を理解しておりまして、それを先取りした格好で、今回、織り込ませていただいていると考えております。
LNGに関しましては、重複する部分がございますが、他社を含めたトップランナー価格、契約期間内の長期契約もしくは価格交渉の中で、最優位価格で織り込みましょうというふうに査定されていると認識しております。それを織り込みたかったのですが、残念ながら、当社は、他の会社さんが長期契約でどのような価格水準になっているかわかりませんでしたので、当社の長期契約のうちの一番安い価格、もしくは全日本通関CIF、どちらか安いほうでということで基本的な考えとして織り込みました。結果として、若干ですが、当社の長期契約よりこのタイミングの全日本通関統計価格のほうが安かったので、そちらで織り込ませていただいた、これが1点目でございます。
もう1点は、27年度以降の価格改定におきましては、実際に米国のLNGが入ってきますのは平成30年以降でございます。その価格交渉にあたって、これも先行他社の査定の中でもあったことですが、将来、米国のLNGが入ってくるということを交渉ツールとして使って、なるべくこれを交渉結果として先取りしましょうということで織り込ませていただいた。そういう意味では、一生懸命努力を入れさせていただいているという結果でございます。すみません。説明がわかりにくかったと思います。

○古城座長 よろしいでしょうか。
岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 人員数の推移のところでお尋ねしたいと思います。先ほど、経常費用が平成18年から削減傾向が止まってしまったという表を見せていただいたのですが、それと密接に関連しているのが、人員数が平成18年から増えているということだと思います。ピーク時と比べれば大変努力をなさっているのはよくわかりますが、18年をボトムに、今、増加傾向にあって、これをどういうふうにコントロールされようとしているかということについて、お尋ねしたいと思います。
どの業界も目指すべきは、一人当たりの労働生産性を上げて、一人当たりにはしっかり給与を払っていい人材を確保する。ですが、人数は最低限のスリム化を図っていくというのが、目指すべき経営のあり方かなと思います。供給量が増えれば結果として生産性が上がるというのではなくて、それは経営努力とは関係なく、供給量が増えればそういうところはあるとは思いますが、供給量に依存しないで生産性をいかに高めていくか。そういう面の努力ですとか、それから、こちらにいろいろ増員しないといけない要素についてはお書きいただいているのですが、片方で、思い切って削減できる領域。具体的にどこというのを指摘するのは難しいですけれども、部門別の人員増減のところを見ましても、思い切った削減の様子も見当たらないので、本当にこれでどうなるのか。増員の傾向というのは、将来の3か年、どういうふうに見通していらっしゃるのか。もっとぎりぎり努力をすべきではないか。私は、単価の努力もさることながら、人員の増加というのが非常に気になります。

○中部電力大石部長 人員の増加につきましては、実は経産省側の料金審査の場でも大きな課題となってございます。自由化が始まって以降、とにかく競争に備えてということで、ある意味、他社と比べてかなり過激にといいますか、大きな削減を図ってきたということでございます。その結果、その削減がうまく効いた部門も実はあります。例えば管理間接部門の減らしたところとか、あるいは、電源部門のところなどはよかったのですが、一方で電力会社の特徴としまして、面でサービスエリアをカバーしてございます。工務系、配電、営業、こういう面でカバーしているところを一律に削減したことで、60ページにございますけれども、平成15年~17年に採用を100人に絞って、これ以降、やはり現場で、特に面で供給カバーをしているところが非常に厳しい状況になって、まさに技術伝承もできず、業務量もものすごく増える中で、大変苦労した経験がございます。
これではだめだということで、20年から500人採用をやっていこうということで、その緒についた矢先に震災が起こったということでございます。そういう意味では500人採用を継続していこうということであったわけですけれども、今回の料金申請等もございましたので、100人削減とか、こういったものも織り込みまして、これからやっていこうということでございます。

○古城座長 どうぞ。

○岩田委員 今後、3か年くらいの人員数の見込みというか、計画というのは、どういうふうになっていらっしゃいますか。

○中部電力大石部長 ちょっと手元にはございませんが、ほぼ横ばいだと考えております。増えるということはございません。

○古城座長 500人ずつ、今後も採用していくという感じですか。

○中部電力大石部長 採用は(26年度は)450人ということで、500人からはちょっと圧縮を図ります。(27、28年度は400人)

○岩田委員 トータルの人員数は、今後3か年は、この料金算定のベースになっているものとしては横ばいであるというふうに理解してよろしいですか。

○中部電力大石部長 28年まで少し増加しますけれども、28年以降は横ばいという認識です。

○岩田委員 もしよろしければ、人員のベースを教えてください。

○中部電力大石部長 わかりました。

○古城座長 500人採用していくと、総人数は大体横ばいということになるのですね。500人ずつ採用しても総人員は減っていくということもありますが、そうではないのですね。

○中部電力大石部長 はい。ほぼ。

○古城座長 わかりました。
蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 人員の推移の増加のところ、58ページは、労働生産性が、平成7年の2万1,068人よりも、1万7,378人に減ったときのほうが36.2%上がりましたという説明ですね。大変すごいことだと私は思います。これだけの生産性を上げていくというのはものすごいことだなと思いながらお聞きしているのですが、中部電力さんとしては、総数としてどのくらいの数を維持していくか。もちろん、企業が大きくなるにつれて人数を増やすという普通の考え方はありますが、いろいろな技術を入れていけば、伝承しなければいけない人々もいれば、バックヤードに戻っていただける人もいるわけです。
そういう意味で、1万7,000人ぐらいの人たちでこれから3年間いくと。採用だけ見ますと、500人だろうが、480人だろうが、総数の問題だと私は思います。仕事の場所の数に合わせて必要な人たちが決まってくるわけです。ですから、採用人数よりも、残留する方もいっぱいいらっしゃいますから、そういうのを含めて、中部電力さんとしては今後3年間、どのぐらいの規模の社員を確保していくと考えていらっしゃるか、お聞かせください。

○中部電力大石部長 58ページにその推移を書いてございますけれども、先ほども説明しましたとおり、平成19年に1万6,000人を目指して削減してきましたが、やはりいろいろな弊害が出ているということでございまして、現在は、1万8,000人ぐらいが適正な水準ではないかと考えてございます。ちなみに、1万8,000人であっても、61ページで示しました労働生産性の推移を見ても、業界の中ではトップレベルを労働生産性でも維持できるというふうに考えております。
あと、すみません。先ほどの御質問で、私の数字のとらえ方がちょっと間違えてございまして、今後の人員数でございますけれども、実は、平成26、27、28年度となりますと、27年度くらいまで少し増加いたします。1万8,000人弱をピークにそれ以降は横ばいという想定をしてございます。

○古城座長 それでは、次回にここまでのことについて御質問を受けることもできますので、次に進ませていただきたいと思います。
次は、事業報酬、原子力関連費用、普及開発関係費・研究費・諸費について、お願いいたします。

○中部電力大石部長 それでは、事業報酬についてでございますが、89ページは総括表でございます。
90ページ、6.(1)で、剰余金の取扱いに関する前回改定との差についてでございます。前回、平成20年度の改定時におきましては、平成12年の電力小売部分自由化開始以前に生じた石油価格低下・円高メリットを、電気料金の長期安定化のために積み立てた原価変動調整積立金(2,730億円)及び別途積立金(230億円)に相当する金額につきまして、レートベースから自主的に控除いたしました。
一方で、自由化以降に積み立てた別途積立金等につきましては、経営効率化による成果を財務体質の改善等を目的に積み立てたものでありまして、このメリットは、お客さまのみならず、株主、投資家の皆さまにも享受いただくとの考え方から、前回の改定においては控除の対象に含めませんでした。今回の値上げの申請にあたりましては、お客さまの御負担の増加を可能な限り軽減するということで、支払利息低減効果のある全ての剰余金残高相当額を対象にレートベースから自主的に控除してございます。これは、先行の各社にはない当社独自の取り組みでございます。
91ページにまいりまして、剰余金に関する経緯をもう少し申し上げますと、この表は剰余金の残高の推移で、黒いグラフが原価変動調整積立金、色のついているのが別途積立金、白が繰越利益剰余金、こういう区分けでございます。当社は平成12年の自由化以降、すみません、グラフの下に料金値下げということで規制部門の値下げ率が書いてございますが、経営効率化の成果をお客さまに還元しながら、効率化成果の一部を内部留保して、自己資本の充実、財務体質の改善を図ってまいりました。
グラフは、これまでの剰余金残高の推移と料金値下げの実績でございますけれども、剰余金については、大きく2つに性格が分けられると考えてございます。矢印が書いてございますけれども、昭和60年代につきましては、主に円高、石油価格低下メリットによるものでございます。それと、平成12年以降の自由化以降は主に効率化の成果によるものということで、実は、同じ剰余金でも性格が2つあると考えてございます。こうしたことから、前回料金では12年以降の剰余金分は既に継続的に料金値下げを実施していることもあって、レートベースからカットしていませんでしたが、今回、カットさせていただくというものでございます。
93ページにつきましては、繰延税金資産をなぜカットから除いているのかという理由でございますが、この図は、剰余金がある場合とない場合とで貸借対照表のイメージを示したものでございます。上の剰余金部分につきましては、設備投資の資金に充当することによって有利子負債削減をし、支払利息を低減する効果があることから、剰余金残高相当額をレートベースから自主的に控除することで事業報酬を圧縮しているものでございます。
一方で繰延税金資産相当の剰余金につきましては、繰延税金資産に相当するものとして仮に剰余金に計上しているものでございまして、支払利息の低減効果もないことから、今回、レートベースからの控除対象としていない、そういうものでございます。
6.(2)、休止設備・貸付設備・電気事業外資産等についてでございますが、それぞれの内容、期末金額などはごらんのとおりでございます。なお、当該資産についてどうやって特定しているのかという御質問でございますが、これは、電気事業会計規則による会計整理を行っておりまして、特定が可能でございます。
事業報酬につきましては、以上でございます。
次に、先ほど御質問のございました、原子力関係の費用でございます。
7.(1)の浜岡原子力発電所の安全性向上対策工事の概要は、表のとおりでございまして、新規制基準を踏まえ必要となる設備対策としまして、津波・地震対策、電源確保対策、冷却・注水対策など、総額2,800億円で、平成26~28年度は平均で504億円の工事を計画してございます。なお、当該設備対策を年間の経費に換算いたしますと、302億円となります。
次のページをごらんください。7.(2)で、稼働していない原子力発電所に関する費用でございますが、号機別の原価額は把握できていませんので、申請原価における原子力発電費は総額、3か年平均で1,114億円となってございます。
98ページ、7.(3)の原子力発電施設解体費の制度変更についての御質問でございますが、原子力発電施設解体費につきましては、原子力発電所の稼働状況によらず、毎期同額での計上を実施することとなりました。このため、長期スパンでの料金影響につきましては、今回の変更が費用配分のあり方についての見直しということでございまして、この解体費総額が増加することにはならないため、影響はございません。両方式での比較では、旧制度は生産高比例法でございますが、これによって算定した場合は10億円でございますので、制度変更により34億円の増加となります。
事故が発生した場合の影響についてでございます。これはなかなかわかりかねますので、回答は差し控えさせていただきたいと思います。
原子力関連費用については、以上でございます。
最後、101ページでございます。8.(1)の電力中央研究所の研究内容については、表のとおりでございます。個別の研究件名及び内容を明確にし、自社研究と同様に研究件名を厳選した上で、人件費、その他経費に効率化を反映した結果、51億円の支出となるところ、39億円に減額してございます。なお、現在研究中の具体的な件名の開示は知的財産権の侵害になるため、差し控えさせていただきますが、研究成果につきましては、電力中央研究所のホームページで全て無料で公開しております。
説明は以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御質問、御意見ございましたら、お札をお立てください。
白山委員、どうぞ。

○白山委員 事業報酬のところですけれども、御社の姿勢としては、料金算定規則を超えた形で自主的に適用するという考え方。それから、剰余金が存在するという前提からいろいろ御検討されているわけです。今、申し上げたことを前提としまして、90ページと92ページの関係でございますが、繰延税金資産の関する剰余金、90ページでいきますと2,508億円。これは、今の話ですとレートベースに入れているということですね。レートベースから控除しているのは支払利息低減効果のある剰余金3,163億円、こういう理解でよろしいですか。

○中部電力大石部長 レートベースというのは、貸借対照表上の資産の部と、反対側に負債と資本の部とございまして、資産の部の電気事業固定資産とか、建設仮勘定とか、電気に必要な資産、これをレートベースと称してございます。そのうちの貸借対照表上の資本の部に入ってございます部分の剰余金相当をカットするということですので、繰延税金資産部分は元々レートベースにも入ってございません。剰余金のうちの支払利息低減効果のある剰余金部分だけ、全く関係のないレートベースから、3,000億円相当ですが、カットをするということでございます。

○白山委員 カットする支払利息低減効果のある剰余金3,163億円はどうやって算出したのですか。剰余金から繰延税金資産を差し引きしたということですか。

○中部電力大石部長 そうです。

○白山委員 レートベースはレートベースで別途計算して、そこから控除をする。そういう計算をされているということですね。

○中部電力大石部長 はい。

○白山委員 済みません、ちょっともう一回考えます。

○古城座長 いかがでしょうか。
陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 休止設備等についてはありますが、意見交換会で、芦浜の土地についての売却はどうなのでしょうという話が質問事項として上がっていましたけれども、休止設備あるいは遊休資産の売却等については、どういうふうになっていくのでしょうか。
もう一つ、私が質問を差し上げた分で、98ページですが、電気事業会計規則等の一部改正で、「長期的には解体費総額に変更がないため影響はありません」とあります。ただ、前回の浜岡1・2号機の解体なり廃炉の決定のときには、一気に千数百億を特損で落とされたということです。それは電気料金の原価の中には入れようがないということになりますので、今後、そういったことも含めて、引当不足は起きないということもありましょうが、長期にわたって解体費用を電気料金にのせていくということで、考え方としては大きな変更があったのではないかというふうに消費者側からは見えると思います。なおかつ、停止後も安全な形で管理するための設備なり、場合によっては、事故が起きたときの再投資、必要な設備についての投資についても、原価算入されるようになるということですね。今回の会計制度改定は、そのようになるのではないかというふうに少し読んだ中では理解したのですけれども、それはどうなのでしょうか。
そこがちょっとわかりにくくて、電気料金に対して影響がないと言い切っていらっしゃるのですけれども、34億が増加していますということでは、何円かは上がる。それはそれで、明確にその程度上がるということで、逆に長期的には確実に引き当てられるということはきちんと説明される、それから、この制度の中では、停止後の管理についても原価に入れていきますということになりますので、そのことも明確にわかりやすく消費者に対して説明をしていただかないといけない。これは意見になりますが、そういうふうに思います。私が御質問したことについては、1、2円程度ということで、小さいといえば小さいかもしれませんけれども、そこは明確にしていただきたいと思います。
経産省のワーキングチームの中でも意見として上がっていましたが、停止後の事故対応、管理状況についても、その費用を原価算入していける会計制度になっていくということで、モラルハザードが起きるのではないかということがチームメンバーからも上がっていました。そういったことに対しての御見解も、今の段階で初めてこの会計制度を導入されたわけですし、この会計制度の導入については事業者の判断というふうにもなっています。一旦、この会計制度を採用されたわけですから、御社としての考え方、停止後、この3か年の中では計画されていないので、何ともまだ方針が定まっていらっしゃらないかもしれませんけれども、会計制度を採用したという時点で、その姿勢も今の段階で御表明できる部分があればお聞きしたいと思います。

○古城座長 趣旨はおわかりになりましたか。質問なさって結構ですよ。

○中部電力大石部長 昨年の10月にできたばかりの制度を反映するということでございましたが、当然、こういった制度を使ってモラルハザードに抵触することはないように努めていきたいと考えております。廃炉につきましては、実は私ども、ここに書いてございますとおり、1・2号が他社に先駆けるような形で廃炉の作業をやっている最中でございます。まさに今、そういったことに取り組んでいるところでございますので、そういった知見も他の電力に提供しながらやっていきたいと考えております。

○陶山委員 増加しませんということですから、そこはきちんと、少額であってもこのことによって増加するということの説明で、質問があったことについては返していただくほうが妥当かなというふうに思います。

○中部電力大石部長 わかりました。ちょっと質問の趣旨が私にはよくわからなくて、単にマクロで、長期で負担の時期が変わるだけだということで、ニュートラルではないですかと、そういうお答えをしたのですが、内容がそういうことであればちょっと考えさせてください。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 先ほどの続きですけれども、最初の貸借対照表の説明で、剰余金というものは、電気事業者等の特に固定資産を中心とした電気資産等の財源として充当されている。したがって、借入を減らすことができる。だから支払利息を低減する効果があるという御説明があったにもかかわらず、事業報酬の算定のときには、いきなり剰余金の一部が繰延税金資産相当額があるのだからということで、剰余金の中からまずそこを控除した残りの部分をレートベースから控除すると、その理屈がよくわからないのです。支払利息低減効果がある剰余金というのは、別に3,163億円だけではなく、2,508億円も支払利息の低減効果がある剰余金なのではないですか、というところをお聞きしたかったのです。
先ほどの最初のB/Sの説明で、御社の場合には剰余金が存在しますというところで、剰余金というのは、電気事業の固定資産を中心とする資産に充当されているものだという説明があったにもかかわらず、事業報酬の算定のところではいきなり繰延税金資産が出てきて、それを控除して、要は、レートベースから自主的に控除する分を減額しているという理由は何なのかということなのです。

○中部電力大石部長 最初に説明しました剰余金における支払利息低減メリットにつきまして、繰延税金資産相当については、私どもは支払利息の低減メリットはないというふうに考えております。これは先ほども説明させていただいたとおり、繰延税金資産当の剰余金というのは、繰延税金資産に対応するものとしまして、貸借対照表上、剰余金にバランスさせるために仮に計上しているものという認識でございまして、それについては支払利息の低減効果は実質ないということなので、レートベースから控除する分も引いてしまうと、引きすぎではないか、こういうふうな理解でございます。

○白山委員 つまり、会計上たまたま計上された剰余金だった、こういうことですね。

○中部電力大石部長 はい。

○古城座長 どうぞ。

○陶山委員 先ほどの芦浜の土地のことですが。

○古城座長 芦浜の土地を処分したらどうかということですか。

○陶山委員 それについては、どうお考えでしょうか。

○中部電力大石部長 すみません。そういう御意見をいただいたことは重々承知してございますけれども、どういうふうに活用していくのかというのは、もうしばらく時間をいただいて、検討させていただきたいと考えているところでございます。

○古城座長 どうぞ。

○古賀委員 剰余金について確認させていただきたいのですけれども、利益剰余金の中に別途積立金と原価変動調整積立金というのがあります。基本的なことで恐縮ですが、この原価変動調整積立金の性質を説明していただきたいのと、平成23年度から原価変動調整積立金というのがなくなっております。それに関して、94ページの電気事業分科会の二次報告を見ますと、認可申請と原価変動調整積立金の関係については、配当原資が不足する場合に取り崩す、原価変動調整積立金とはそういうものだというふうに言われています。26年度の3月期には配当は見送りされるということだったのですが、平成23、24年度には配当はされたのでしょうか。今後、配当と剰余金の取り崩しの関係について基本的にどういうふうな考え方をされていかれるかについて、教えてください。

○中部電力大石部長 まず最初に、配当の実績でございますけれども、一昨年までは配当は実施してございました。今期から無配とするというふうに決めたものでございます。
それから、剰余金の性格は、まず、原価変動調整積立金というのはどういう内容かということでございますが、平成11年度の電力小売部分自由化以前に石油価格の値下がりによって生じた利益については、電気料金の長期安定のため、原価変動調整積立金として区分経理をするということになっているものでございます。一方、別途積立金というのは、平成11年度の電力小売部分自由化以前と以後で少し違いますけれども、以前については、円高による為替差益、これを別途積立金として区分整理した上で積み立てたものでございます。また、平成11年度には、先ほどから出ている税効果会計の導入によって生じた利益を整理するとともに、それ以降は、経営効率化によって生じた利益を経営基盤の強化を目的に積み立てている、そういう性格のものでございます。

○古賀委員 配当とは直接関係ないということでしょうか。

○中部電力大石部長 配当とは直接関係ないです。

○古城座長 では、進めさせていただきます。
最後ですが、調達・効率化等、その他について、御説明をお願いいたします。

○中部電力大石部長 それでは、103ページでございます。9.(1)の競争発注比率の目標についてでございますが、当社調達に占める競争比率は、平成24年度実績で、この表にございますとおり、29%程度でございますが、非恒常的である電源の大型件名があった関係で少しよくなっているというところもございますので、そういったものを除きますと12%程度となります。今後、これまで特命発注とされてきた資機材・役務についても、新規取引先の発掘等によって競争発注拡大に取り組んで、平成28年度末までには競争比率35%程度を目指してまいりたいと考えてございます。
104ページは、資機材・役務調達の効率化の取組みについて、御説明でございます。当社は、資機材・役務の調達にあたっては、従来から経済性の観点を踏まえて、個別件名ごとに状況に応じた最適な発注方法を検討・採用してございます。なお、電力安定供給及び安定調達の観点にも留意する必要がございます。聖域を設けない経営効率化を推進するにあたっては、もう一段踏み込んだ競争拡大を実施するなど、一層の創意工夫を凝らして、さらなるコスト削減に取り組んでおります。
105ページでございますが、ここでは、競争発注拡大に向けた具体的な取組みの事例の一つとしまして、当社仕様の開示による新規取引先募集について紹介してございます。当社の特殊仕様により発注先が限定されている品目について、ホームページに詳細な仕様を開示して取引先を募集することなどによって、さらなる競争環境を整備していきたいということでございます。
106ページでございます。9.(2)の過去3か年の経営効率化の実績についてでございますが、浜岡全号機停止以降、こういう形で工事の実施時期、範囲、工法等の見直し等による投資や修繕の削減を実施してございます。ここに、このうちの25年度見通しの費用削減600億と書いてございますが、この600億と、震災以前からの効率化額600億、それに、26年度から新たに取り組む400億強の効率化をあわせまして、1,633億円という料金に織り込んだ効率化額ができ上がっているということでございます。
107ページ、9.(3)の設備投資額のその他の内訳でございますが、これは108ページをごらんください。棒グラフで書いているところでその他の項目の内訳ですが、27年度からは、電源改良投資におきまして、火力設備の耐震対策などによりまして増えていき、流通設備でも、高度成長期に建設した設備の経年劣化更新工事により投資額が増加してございます。調達・効率化に関しては以上でございます。
その他について、110ページは「中部電力グループ経営ビジョン2030」についてでございます。前回、厳しい御指摘をいただきましたけれども、御指摘のとおり、東日本大震災以降のエネルギーを取り巻く環境や、社会から求められる電力会社の姿は大きく変わっていると認識してございまして、経営ビジョン2030における具体的な将来像や、ゼロ・エミッション電源比率などの定量イメージについては、改めて検討することが必要と考えてございます。このため、詳細は、現在、政府で議論されております新たなエネルギー基本計画などの動向を踏まえた上で検討するということでございますけれども、まずは弊社ホームページ上の掲載におきまして、検討してまいる姿勢を表明させていただきました。前回御指摘を受けまして、翌日にはこの変更の指示を社内で回したところでございます。
111ページでございますが、次にステークホルダーごとの負担の分担についてでございます。規制のお客さまについて4.95%、自由のお客さまについて8.44%の値上げをお願いさせていただく前提としまして、役員、従業員については、役員給与や給料手当をメルクマール水準まで引き下げ、取引先等につきましては、発注価格の削減などの効率化を要請。株主の皆さまには26年3月期の中間・期末配当の無配、金融機関には格付けの低下など当社の財務リスクが高まる中での融資継続、これらをそれぞれお願いしているということでございます。
112ページでは、規制部門、自由化部門の費用の配賦について説明させていただきます。こちらには、電気をお届けするまでの流れを図でお示ししてございます。規制部門のお客さまに電気をお届けするためには、発電所などに係る費用等、燃料費の他、電気をお送りするための送電・変電・配電設備などの費用、また、メーターや検針の費用などが必要となります。発電所や送電設備などについては、全てのお客さまが共通して使用する設備であるということで、その費用につきましては、規制、自由のお客さまに分担して負担いただくことが適切と考えております。
一方で、柱上変圧器などの規制部門のお客さまのみ御利用になる設備については、規制部門のお客さまに負担をいただくことが適切と考えています。このように、規制部門のお客さまに御負担いただく料金原価を算定するためには、設備などの御利用形態の違いを勘案しまして、総原価を規制部門、自由化部門に配分することが必要となります。この配分プロセスの詳細については、113、114ページでお示ししておりますので、後ほどごらんください。
115ページにまいります。こちらでは、今回の申請原価の費目別配分結果についてお示ししてございます。
117ページに飛ばさせていただきます。117ページでは、規制部門と自由化部門の販売電力量、原価額、利益の関係についてお示ししてございます。今回の申請原価における事業報酬の規制部門の割合は約50%ということで、前回改定とほぼ同程度となってございます。また、前回改定から24年度までの部門別収支の結果については、表に記載のとおりでございまして、原子力利用率の低下などがあった年度は、規制部門、自由化部門の利益率に乖離が生じてございますが、それ以外、具体的には平成20年、21年、22年、この年度はほぼ同程度となってございます。
118ページでは、参考として、事業報酬の規制部門・自由化部門の配分についてお示ししてございます。
続きまして、119ページでございますが、早遅収料金制度の廃止及び延滞利息制度の導入の開始時期について、説明させていただきます。今回の変更につきましては、今回、申請しました料金の実施にあわせまして、26年4月の電気料金から延滞利息制度を適用させていただく予定でございます。
最後に120ページの政治献金についてでございます。当社は、昭和49年8月に政治献金を行わない旨を決定・公表し、それ以降、行ってございません。役員個人が政治献金を行うことについては、それぞれの判断によるものでございまして、当社として特段に申し上げることはございません。
質問をいただきました項目の回答は以上でございます。ありがとうございました。

○古城座長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただいた内容につきまして、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。
矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 政治献金について、質問と意見を述べさせていただきます。
個人献金であるということで、当社として特に申し上げることはないという御回答ですけれども、具体的にそれぞれどなたがどのくらいの金額を献金されているということを、会社として承知されているのかどうか。そのことをお聞きしたいのと、意見としては、既に質問いたしましたように、公営企業の役員から政治献金がなされることについては疑問があるということは、引き続き思っておりますので、その辺は御意見として受け止めていただきたいと思います。

○中部電力大石部長 幾ら払っているとか、そういったことについては、会社としては一切認識してございません。また、そういった御意見があるということは認識しております。

○古城座長 あと、いかがでしょうか。
陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 規制部門と自由化部門の費用の配賦について、この図式はすごくわかりやすくて、これだと私でもわかるなというふうに思いました。今後、スマートメーターとか、検針の部分も予算としては入っていますので、その部分も加えて説明の資料とすると、すごくわかりやすいのではないかというふうに思いました。ありがとうございました。

○古城座長 いかがでしょうか。
岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 調達についてです。御社の実情はよくわからない部分ももちろんありますけれども、通常の企業経営においては、調達は原則は競争入札であり、例外的にそれにそぐわないものは、特段の理由がある場合とか、本当に少額なものは例外として扱う。そういうものであっても、相見積を取るとかやっていると思うのです。御社の場合は現在、12%。努力はなさるのですけれども、目標の35%というのは驚くべき低い水準だというふうに思います。何でこんなことしかできないのかというのが私の疑問で、なぜこんな低い水準なのかというのを御説明いただきたいのと、最終的にはどういう姿を目指しておられるのか。仮に35%までしか仕方がないということになったとしても、それが適正な水準だと思っていらっしゃるのか。本来は原則競争入札ということを考えておられて時間がかかるのかとか、そのあたり、ちょっと教えていただきたいというのがあります。
2つ目は、先ほど別の委員がおっしゃったことと同じですが、政治献金です。役員個人の政治的な関心から政治献金するというのは、普通はないです。個人が政治献金するというのは普通はないと思いますので、過去、何らかの経緯があったのではないかというふうに推測をされても仕方がないと思います。私はやはり、やるべきではないと思います。本当に個人的な政治的な信条で、全く会社の肩書をつけずにやられるところまでは会社は把握されないかもしれませんけれども、でも、会社の影響力でやめさせていただいたほうがいいのではないか。公共性の高い事業ですから、そういうふうに私は思います。これは意見です。

○古城座長 ここの部分について、お答えください。

○中部電力大石部長 確かに電力会社は競争比率が足りないという御批判を受けているのは重々認識してございます。そういう中で電力会社も、汎用性のあるものにつきましては、とにかく競争に振り向けてございますけれども、一方で、例えば発電所の設備自体が非常に技術的な特殊性を持っているとか、あるいは、あるメーカーの製品であって、保守管理がそういったことで限定される、そういう事情があるということ。あと、仕様特許の関係で、これも批判の的になっていますが、今の設備自体が仕様が決められて、この仕様を製造できるところが限られているという事情もございます。あとは、電力会社はライフラインでございますので、経済性だけで競争入札により業者と取引するのではなく、いざ震災や台風が起こった時には、119番機能といいますか、緊急時対応をしていただく業者もやはり確保していかなければいけないといった制約もございます。いろいろな制約があるというのはちょっと言い訳がましくなって恐縮ですけれども、そういう制約がある中でも、競争比率を拡大する方向で検討していきたいということで、35%がファイナルの目標だとは私どもも考えておりません。

○岩田委員 どういう姿を描いていらっしゃるのですか。最終的には調達はどういう姿に持っていこうと。多分、機械の発注のときからだと思うのです。オーダーメイドというのか、どこにもないような機械という、本当にそうでないと発電できないのかというのがあるので、もう少し汎用性のある機械をつくるというところから根っこがあるというのはお話でわかったのですが、最終的に調達というのは、どういう姿に、いつごろまでに達成させたいと思っていらっしゃるかというのもお伺いしたいと思います。

○中部電力大石部長 そういう意味ではとにかくコスト削減が目的でございまして、そのツールとして、一つは、競争入札がございます。一方で、調達に関する取り組みは、例えば大きな電源の調達でいきますと、発電機を買う時に(あるメーカーが)一番安くても、それ以降のメンテナンスをそこに頼まなければいけないといったときに、そのメンテナンスを合わせると実は他のところが安かったり、そういうのもございまして、いろいろな調達の形態というのを、今、考えております。
そういう中で、効率化に向けて競争入札だけがいいのかというのは、必ずしもそうとは言い切れない部分もございます。いかに安くコストを下げるかということが目的でございますので、いろいろなことにトライしていきたいと考えております。ということなので、競争比率だけに着目して何年後に何%というのは、すみません、28年度までに35%以上の目標みたいなものは、正直言って、出せない状況でございます。

○古城座長 あと、よろしいでしょうか。
白山委員、どうぞ。

○白山委員 簡単に1点だけ。今の35%程度への拡大ということですが、原価算定期間で競争入札をすることによって、金額的に幾らぐらい削減を見込んでいらっしゃるのでしょうか。

○中部電力大石部長 震災前から、調達価格は1割の削減を織り込ませております。

○白山委員 金額ベースでは10%削減する。それを達成するために、件数ベースで競争比率で35%ということですね。

○中部電力大石部長 はい。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 一つ、公聴会で発言されていた内容でお聞きし忘れたのですが、PR関係の費用です。バスツアーが2014年度には1,000回以上計画されているという御発言で、これが6億超の予算のようにおっしゃっていました。これは原価算入されているのでしょうか。

○中部電力大石部長 これは原価算入しております。

○陶山委員 電気事業に必要な部分以外のPR関係の経費については、広報とPRが純然とパブリックリレーションということで、近隣の方たちとのコミュニケーション、理解を深めるということなのかもしれませんが、電気料金の審査会のところでは、PR関係の費用は、基本としては入れないということで対応されていたと私は理解していたのですが。

○中部電力大石部長 これは、オール電化とか、販売関係に関する費用、会社のイメージの広告、こういったものについては原価算入をしてはいけないということになってございますが、電気事業の理解獲得のための普及開発関係費については原価算入できるというふうに認識しております。

○古城座長 皆さん、まだ御質問したいような気配を感じるのですけれども、いかんせん、時間がもうありませんので、質問にお答えいただくという形での検討会は、本日はこれで終了させていただきます。皆さん、まだ質問があると思いますし、文書でまとめてまた質問いたしますので、文書で御回答いただければありがたいと思います。
本日の御意見、御質問については、調査会に報告の上、消費者委員会ホームページに掲載することといたします。
いろいろ貴重な御説明や御意見をいただきまして、中部電力におきましては、本当にありがたく思います。それでは、中部電力さんにはここで御退席いただきます。本日は審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
完全に1時間遅れてしまいまして、皆様、お帰りになりたいと思われていらっしゃると思いますけれども、あと一つ、議題がございます。

≪4.消費者庁作成「チェックポイント(案)」の検討≫

○古城座長 続いて、中部電力の料金値上げの「チェックポイント」につきまして、案を用意しておりますので、これについて御検討を願いたいと思います。これは資料4にございます。消費者庁消費生活情報課から、チェックポイント等について御説明を受けたいと思います。お願いいたします。

○消費者庁消費生活情報課谷本企画官 消費者庁では、過去の他の電力会社の料金値上げ申請の際の経験や、こちらでの調査会の関心事項をもとに、今後、経産省と査定方針案について協議を行う際に参照とするチェックポイントの案を作成しております。資料4にございます。こちらをごらんいただきたいと思います。
今回のチェックポイントは、これまでの6電力会社の際のチェックポイントの経験もかなり積み重ねておりますけれども、そこでありました項目に加えて、具体的に申しますと、1ページの前文のなお書きのところ、「財務状況」のマル1のところ、4ページの「燃料費、購入電力料等」のマル18、マル23、最後の7ページのマル42。これを、他の電力会社のチェックポイントに新たな項目として加えています。これは、先日の調査会の御議論ですとか、意見交換会の御議論、御意見を踏まえて入れているところです。他の項目もほとんど、今までの電力会社のチェックポイントを踏襲しております。
個々、簡単ですけれども、説明させていただきます。
1ページ目ですが、前文のところ、基本方針ということでございます。これまでと同様に電力の重要性、電気料金の値上げが国民生活に与える影響及び消費者への理解を得ることの重要性について、まずは記載しておりますけれども、それに加えて、なお書きのところで、先般、名古屋での意見交換会で原子力発電の安全性に関する意見が多くありましたので、その点を記載しているところでございます。
次に各論です。まず、財務状況マル1のところですが、本日も御議論あるいは御説明いただきましたが、剰余金の水準、それと今回の値上げについて、これまでにはなかった項目ですけれども、査定方針案のところで説明をしっかり求めたいと思っております。
2ページにまいりまして、人件費等につきましては、これまでのチェックポイントと同様、役員報酬、社員年収、厚生費等について取り上げているところでございます。厚生費等はこれまでと同様、法定厚生費、一般厚生費等について、説明を求めたいと思っております。
3ページにまいりまして、調達等についてでございます。マル5~マル7のところ、競争入札比率や調達費用の削減率、マル8の広告宣伝費等普及開発関係費。マル9の寄付金、マル10の電中研の分担金、さらに、マル11以下の子会社、関連会社の合理化などにつきましては、これまでのチェックポイントもおおむね踏襲する形としております。
4ページ目、事業報酬、減価償却費、レートベース、マル15、マル16についても、これは過去のチェックポイントを踏襲しているところです。
燃料費、購入電力料につきましては、幾つか加筆しております。具体的にはマル18番でございますが、燃料費を今回の値上げの主要因と中部電力から説明がありますが、燃料費調整制度で織り込み済みであるにもかかわらず、こうした説明をしている点について、これは一つ、項目立てをさせていただきます。
マル19の原価算定期間におけるコスト削減の燃料調達における見込みの話、マル20番の燃料費の低廉化に対する取組み方針と、今回の申請における削減期待額の織り込み。マル21の他の電力会社及び電気事業者に支払う購入電力料の内容について、説明あるいは査定をしているかという点については、これまでと同様としております。
原子力発電所の再稼働に関しまして、マル22番のバックエンド費用、これはこれまでのチェックポイントにも入っているところですが、それに加えまして、再稼働に向けての設備投資。これは本日も御議論ありましたし、意見交換会における意見もありましたので、これについて、原価計上をするにあたっての合理的な説明をしているかという点について問いたいと思っております。
その上で、5ページ目になりますけれども、原子力発電所が再稼働すると織り込んだ理由。それから、再稼働しない場合の電気料金への影響につきまして、明確に説明しているか。これは過去と同様、マル24番ですが、項目立てをしているところです。
次の「規制部門と自由化部門の関係」「需要の推計、見込みと実績の乖離」につきましては、過去のチェックポイントと同様の項目立てをしています。
マル29番以下の「新料金体系への移行に向けた情報提供等」について、これも意見交換会で多く意見をいただきましたが、これまでのチェックポイントをベースにして、料金メニュー、浜岡原発の再稼働と電気料金値上げの関係。6ページにまいりまして、値上げに関する説明会の実施、消費者からの問い合わせへの対応、こういった項目立てをしております。
マル34、マル35の「資産売却等」、マル36以下の「電灯需要の伸び予測、最大電力量想定及び節電予測」。7ページ目、「適切な審査等」のそれぞれの項目は、これまでのチェックポイントと同様に立てているところです。
最後の「今後、中長期的に取り組むべき事項」につきましては、マル41番のエネルギー政策の今後のあり方については、これまでと同様の立て方をしていますが、マル42番といたしまして、今回の原価算定期間終了後に浜岡原発の再稼働により値下げが考えられるということになりますが、それについてどういう検証を行っていくかという点につきまして、項目立てをしております。
ちょっと駆け足になりましたけれども、説明は以上です。

○古城座長 ありがとうございました。
御説明いただいた内容について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。

○陶山委員 まず、前文のところです。なお書きのところとも関連しますが、ここで「消費者の権利に即し」というところがありまして、具体的に消費者の権利について、もう少し書き込んでいってはどうかと思います。特に、基本法において最初に消費者の権利として挙げられている、安全が確保される権利について、これまでも各公聴会、意見交換会等でも、主流としては、電気を発電するところの安全性についての御意見が非常に上がっています。それと、選択肢がないということはよくお話に上がってくるのですが、消費者の権利、それぞれ意見が反映される権利等につきましても、どういう形でやっているか。特に具体的に書き込んだほうがいいのではないかと思っています。それを受けて「なお」というふうに続けるのか、「特に」というふうに続けるのか。今回の意見交換会なり公聴会の状況を、このように書き表していただくのがいいのではないか思います。消費者庁は、特に消費者の権利を具体化するところをもっぱら担っている省庁ですので、そのことについては強調してもいいのではないかと思います。

○古城座長 いかがでしょうか。
白山委員、どうぞ。

○白山委員 マル42番のところでございます。今後の中長期的課題ということで、値下げの時の「検証を行うこととしているか」というのは、主語は経産省、エネ庁だと思いますけれども、それに対して消費者庁側で、経産省がやるチェック自体をダブルチェックといいますか、その辺をもう少し書き込めないかというところでございます。「検証を行うこととしているか」というと、「している」で多分終わってしまうと思いますけれども、それに対して消費者の主権を守る消費者庁の立場から、その検証がどうなのかみたいなところを、今やっているような形でかかわれるようなことを書けないものかという気がします。ここで書くべきかどうか、他のところで言うべきなのかもしれませんが。

○古城座長 岩田委員、どうぞ。

○岩田委員 2ページの人件費のところです。先ほどの議論のときに私自身が発言したことですけれども、ここでもっぱら関心があるのは、社員と役員の報酬と、人数については役員しか言っていないので、むしろ人件費というのは単価×人数ですから、人数にもう少し関心を持つべきではないかと思いますので、書き込んでいただければと思います。
それから、3ページにわたって調達のところ。私は経緯がよくわからないので、教えていただきながらなのですが、調達のところのマル5とマル6です。マル5の2行目、「申請内容の35%は、東京電力の事例を踏まえた水準となっているか」というのは、何か東京電力の事例というのがあって、それを踏まえていれば、35%でいいですよということを言っているのかどうか。過去の経緯をよく知らない私から見ると、35%というのはとんでもない低い水準だと思いますので、もう少ししっかり見ていただければと思います。
マル6のところも、調達費用の削減率が10%。これも何かガイドラインがあるのでしょうか。いつと比べていつまでに10%というガイドラインがあって、それに沿っていればいいということなのか。このあたり、ちょっと教えていただきながら、質問です。

○古城座長 まず、35%と10%について。

○消費者庁消費生活情報課谷本企画官 35%となっていますけれども、実は東京電力の時はもっと高かったのです。それと比べて、35%だと低いということだと思いますけれども、それについてどういう説明があるのかというところが、一つ、大きいのではないかと思います。数字的には東京電力より低いです。

○岩田委員 東京電力並みにやったらいいということでもないと思いますので、ちょっと書き方をうまく工夫していただいて、35%だとまだまだ努力不足だ、という問題意識が出るようにしていただいたらと思います。

○消費者庁消費生活情報課谷本企画官 他の電力会社も、東北電力ですとか、四国についても、大体、東電より低い数字で出てきていますけれども、それでもこういう書き方で踏襲してきています。それも踏まえて、今回低いけれども、同様に今のところ、案ではしているところではあります。

○古城座長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 同じ競争入札の話ですけれども、先ほど説明をしていただいた部分というのは結構ハードな部分で、機械を入れるためには技術がうんたらかんたらで、それをまた維持するためにはという話に終始なっていたような気がします。大きくそういうものを入れかえる時期というのは、当然、どの機械を入れるか、どの企業にするかというのは、入札が行われるわけですから、35%の競争入札をしなさいという部分のどの部分を特に強調して私たちは言えばいいのかというのが、企業側の説明ではわからないわけです。
私も自分で事業をやりながら、例えば大きなシステムを全部入れかえるとなると、すごいお金がかかるわけですから、入札が当然行われてきて、その後の補助費が幾らぐらいかかるかということを比べながらやりますが、その他のところで言うと、それはめったになくて、毎年毎年のことで言えば、燃料費とか、それにかかわるもろもろのものということになってくるかと思います。ですから、35%と言われたときに、どの部分を即35%まで持っていきますみたいなことを言ってもらえないのかと思いながら、聞いていたのですが。

○岩田委員 東京電力がやっていることをやっていればいいということではないと思うのです。これは業界全体の体質みたいなところ。技術的にどうしようもないところもあるというのも、今日、少しはわかりましたけれども、だから、書き方はもう少し踏み込んでいただいたらいいかなというふうに思います。
それと、マル6、調達でどのくらいコストが下がるかという白山委員の御質問に対して、震災前と比べて10%とおっしゃっていましたけれども、そこに引きずられて35%が来ているのかどうかということも気になるし、そうすると、10%目標というのは何なのですかというのはちょっと教えていただきたいです。

○消費者庁消費生活情報課谷本企画官 まず、10%の話からしますと、1年半前ですか、東京電力のときに、消費者庁でチェックポイントというのを初めてつくった際に、東京電力のいろいろな状況を見て、10%というハードルを設けようと。そういうことで10%というのが設定されて、東電はそれを踏まえて、後で10%にしますというふうになったと聞いています。そのときから10%をメルクマールとしてきている、そういうことでございます。
戻りましてマル5番ですけれども、東電のときは60%ぐらいだったらしいです。ですから、かなり高い状況。それから見ると35%というのは、どう評価するかということにもよりますけれども、中身とか、どういう内容で35%になっているか。あるいは、どういう理由で60%までいかないとかいうようなことは、当然、ここでは説明をいただく必要があるのではないかと思っているところでございます。

○古城座長 陶山委員、どうぞ。

○陶山委員 どこの項目に当たるのか、ざっと見ていてよくわからないのですけれども、きょう、私も含め複数の委員から、予備率と投資についての関連した質問を挙げさせていただきました。要は、必要以上の過剰な投資になっていないか。適切という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、そういうことをチェックしていかないと、総体としてのコストの絞り込みができないと思っていますので、何らかの表現ができないかなというふうに思います。
もう一つ、マル22番かマル24番に入れていくのがいいのではないかと私は思っていますが、会計制度の変更によって、これまで原価算入されていなかったコストが原価算入されるようになったわけですので、そのことについて、わかりやすく説明できているか。影響も含め、説明できているかというチェックポイントは必要かと思っています。

○古城座長 予備率の話は、私はこう思っていますけれども、原発が動くというふうに算定すると、火力発電所をもっと減らして予備率を低くできると思うのです。ですが、原発が動かないかもしれないので、両にらみで設備を持っているから予備率は非常に高くなっているわけです。過剰投資かどうかというので、原発が動くか、動かないかわからないので火力も設備を維持するということになるので、もし原発が動かないと予備率は適切な数字になるわけですね。そういうことだと思うのです。

○陶山委員 そうですね。今は7.9%で、8%にはちょっと足らないわけですけれども、それだけ持っていると。九電は、今、3%でやっているわけです。将来を見越して需要予測が立てられているわけで、大きな伸びは見込めないと事業者のほうも見ている中で、必要な投資は当然しなければいけないけれども、過剰な設備投資になっていないか、というチェックは必要だと思うのですが、難しいのでしょうか。

○古城座長 過剰かどうかというのも、原発が動かないかもしれないので、そのための保険に火力も維持しておきたいので、もし原発も動いたら、火力を余分に持ってしまっている。こういうことになるけれども、動かない可能性があるのですからということだと思うのです。

○陶山委員 火力のリプレイス等を過剰だとは思わないですが。

○古城座長 多分、退いてもらう火力をまだ維持してキープしておく、こういうことをやっているのだと思います。原発が動いたら、多分それをどんどん退役させていって、予備率をぐっと落としていくのだと思います。リプレイスというよりも、古いのをメンテして維持している、こういうことだと思います。

○矢野委員 私は、予備率は1項目設けるべきではないかと考えています。予備率はやはり高いです。ですから、その妥当性自体を明確にしてもらわないと、今日の説明だけでは、まだ不十分です。それから、これまでの過去の電力会社ではあれほどの数値にはなっていなかったはずですから、そういった意味でも、それぞれ事情はあるにしても、やはり妥当性をもう少し追及しないといけないのではないかと思っています。そういう意味で1項目、どの辺に入るのか。需要の推計のあたりに入るのか、需給計画と関連すると思いますが、そこにどうでしょうか。
それと、3ページのマル8番の普及開発関係費で、原発への理解を進める費用というのは、確かに公聴会で消費者からかなり意見が出ているわけですし、経産省の審査のところでも出ていました。一つの意見、考え方として提示になるのかどうかわかりませんが、例えば3行目、「警護等で必要な場合を除く幹部送迎用」、この辺はかなり具体性をもって書いているのに比べれば、金額的にも全然違いますが、むしろ大きい普及開発関係費の辺は、そうやって問題になっているところは、現に必要なもののみと言及するとか、この辺はもう少し具体的に踏み込んで書いたほうがいいのではないかと思います。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今の矢野委員の発言ともかぶるのですが、マル8番の「広告宣伝費等の普及開発関係費の内容を詳細に説明し」というようなものにしていただきたいと思います。要するにバスツアーに象徴されるように、ここのところは公聴会や意見交換会でも非常に問題になっていましたので、普及開発のための費用はもっと明細にして、本当に必要なものかどうかということは精査すべきだと思います。それから、今、矢野委員がおっしゃられたように、「警護等で必要な場合を除く」という文言は、要らないのではないかと思います。
マル9番の寄付金、団体費、交際費等は、今回の新しい電気料金審査要領の改正通達で廃止されていますので、縮減というのは要らないのではないでしょうか。廃止の確認ということで、いいと思います。
マル12番に「子会社・関連会社の役員を兼務している者は、その報酬を辞退又は削減」とあります。辞退というと、権利自体を認めますというのが基本的な考え方だと思いますけれども、これは「削減」でいいのではないかなと思います。いかがでしょうか。
マル21の日本原電及び北陸電力志賀原発からの購入電力料。これは、何度も何度も言ってもまたスルーされてしまうと思いますが、あえて言いますが、発電していない購入電力料については、原価算定からの削除を検討すべきではないかというふうにあえて言わせていただきます。
マル23番、「浜岡原子力発電所の再稼働に向けて行う新規の設備投資」というところに、「新規の設備や安全対策のための投資が」というふうに入れていただくと、丁寧かなと思います。
以上です。

○古城座長 他、いかがでしょうか。
それでは、時間も大幅に超過しておりますので、これで会合を終了いたします。
消費者庁においては、委員の御意見等を踏まえて、チェックポイントを取りまとめる作業を進めていただきたいと思います。議論は以上といたします。

≪5.閉会≫

○古城座長 事務局から連絡事項はございますか。

○大貫参事官 熱心な御議論をありがとうございました。
今後の調査会では、資源エネルギー庁で作成される中部電力の査定方針案について、検討いただくこととなります。
次回の日程については、資源エネルギー庁における状況を踏まえながら調整させていただき、御連絡させていただきます。
また、公共料金等専門調査会の審議のほうですけれども、消費税率の引き上げに伴う公共料金の取扱いについて、消費者庁からの付議が行われ次第、順次、審議を行うこととしております。
以上でございます。

○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)