第24回 食品表示部会 議事録

日時

2013年6月25日(火)9:59~11:27

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、夏目部会長代理、阿久澤委員、鬼武委員、春日委員、
 川戸委員、栗山委員、迫委員、澁谷委員、立石委員、手島委員、
 中下委員、森( 修三) 委員、山浦委員、山根委員
【説明者】
 消費者庁  菅久審議官、増田食品表示課長、塩澤食品表示調査官
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長

議事次第

1.開会
2.栄養表示基準の見直しについて
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:53KB)
【資料1】 栄養表示基準の一部改正(案)に係るパブリックコメントの結果について(PDF形式:295KB)
【資料2】 栄養表示基準の一部改正(案)に係る第3条第3項第1号の表現例について(PDF形式:88KB)
【資料3】 栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)一部改正(案)新旧対照表(2013年6月27日差替え)(PDF形式:163KB)
【参考資料】 栄養表示基準の一部改正(案)についての意見募集(PDF形式:695KB)
【机上配布資料】 鬼武委員提出資料(PDF形式:339KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。それでは、時間が参りましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会」の第24回会合を開催いたします。
 本日は、青柳委員、海老澤委員、森康益委員から、所用により御欠席との連絡をいただいておりますが、過半数に達しており、本日の部会が成立いたしますことを御報告いたします。
 会議の開催に当たりまして、最初に配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 「議事次第」と書かれた紙の後ろに一覧を載せております。
 本日は、栄養表示基準の一部改正について審議をお願いしたいと思っております。
 資料1 栄養表示基準の一部改正(案)に係るパブリックコメントの結果について
 資料2 栄養表示基準の一部改正(案)に係る第3条第3項第1号の表現例について
 資料3 栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)一部改正(案)新旧対照表
 参考資料 栄養表示基準の一部改正(案)についての意見募集
 先週、金曜日に食品表示法案が参議院で可決をいたしまして、成立をいたしました参議院での附帯決議を席上に配付させていただきます。
 鬼武委員から、追加で委員の皆様の席上に配付していただきたいという資料をおつけしております。
 不足がございましたら、審議の途中でもお申し出をいただければと思います。
 本日は、傍聴の方がたくさん入っておられますので、発言の際はできるだけマイクに近づけて大きい声で御発言をお願いしたいと思います。
 それでは、田島部会長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は、消費者庁から菅久審議官、増田食品表示課長に御出席をいただいております。
 なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても、後日、公開することにいたします。
 それでは、本日の議題に入ります。
 本日は「栄養表示基準の見直しについて」を議題として取り上げます。
 それでは、議題の「栄養表示基準の見直しについて」の議論に入りたいと思います。
 まず初めに、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.栄養表示基準の見直しについて≫

○塩澤食品表示調査官 消費者庁食品表示課の塩澤でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、各資料につきまして、順に御説明をさせていただきます。
 まず、資料1についての御説明です。
 資料1は「栄養表示基準の一部改正(案)に係るパブリックコメントの結果について」というペーパーでございます。
 消費者庁といたしましては、栄養表示義務化に向けた環境整備として、幅広い食品に栄養表示をつけられるようにするため、主に2つ、すなわち現行の誤差の許容範囲に縛られない合理的な方法に基づく表示値の設定、そして低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大等、現行の栄養表示基準を一部改正する案を提案させていただき、平成25年4月26日に行われました第22回食品表示部会におきまして、改正案をパブリックコメントにかけることの御了承をいただきました。
 そして、栄養表示基準の一部改正案に係るパブリックコメントについて、平成25年5月13日から平成25年6月12日までの間、消費者庁ホームページ等を通じて御意見を募集したところ、延べ50通の御意見をいただきました。
 なお、いただいた御意見につきましては、後日、消費者庁ホームページにて概要及びその御意見に対応する回答について公開させていただく予定でございます。
 それでは、結果について御説明をさせていただきます。
 まず「I.意見公募期間及び提出方法」です。
 公募期間は、先ほど述べましたとおり5月13日から6月12日。
意見提出方法は、郵送、ファクスまたは電子メールでございます。
 次に「II.結果概要」です。
 今回のパブリックコメントの結果、いただいたコメントは計50通でございます。このうち、今回の改正案についてのコメントは、合計33通でございます。この33通のうち、今回の改正案につきまして、賛成という意見を示されたのが22通。これは33通中の7割に当たります。
また、慎重という御意見につきましては11通。これは33通中の3割に当たります。
 意見の詳細につきましては、3ページ以降にまとめております。
 いただきました御意見の概要と主な御意見、消費者庁の考え方について、項目ごとに紹介をさせていただきます。
 まず「1.改正案に賛成する意見」の主な御意見です。
 上から2つ目「改正の趣旨は十分に理解でき、加工度の低い天産物を主体とした製品の栄養表示等を行いやすくなると考える。実態に即した改正であり、今回の改正に賛成する」。
 さらに4つ下「栄養成分の含有量にバラツキがあることで、これまで栄養成分を表示しにくかった食品群まで表示できる範囲が拡大することは、消費者の栄養管理に貢献できる」。
 さらに5つ下「今後の栄養成分表示の義務化に向けて必要である」。
 このような意見がございました。
 消費者庁といたしましては、御意見のとおり、原材料や加工工程の影響により、栄養成分の含有量にバラツキがあることで、これまで栄養成分を表示しにくかった食品群まで表示できること、並びに消費者にとっても栄養表示を中長期的な期間で栄養を管理するための目安として活用できることを目的とした改正案であるという考えを持っております。
 4ページ「2.改正案に慎重な意見」に移ります。
 このうち「2.1合理的な推定により得られた値を記載することができる規定について」また「2.1.1消費者を配慮する意見」ということで、主な御意見です。
 一番上「但し書きさえすれば許容範囲を外れてよいというのは事業者側の事情に偏った緩和であり、消費者のためとなるのか疑問である。許容範囲を広げるなどして対応できないのか。許容範囲に収まらない場合、段階的なルール作りをして、表示値の信頼性を行政側でコントロールすべきではないか」。
 次の御意見ですが「消費者にとって分かりやすい栄養表示を目指すべきであり、今回の改正案では消費者をミスリードすると考える」、などの御意見がございました。
 消費者庁といたしましては、改正案では、新たな表示値が消費者にとって十分な目安となることが分かるように、合理的な推定により得られた値であること等、値の意味を明確に記載することとしています、という考え方を述べさせていただいております。
 次に「2.1.2正確な表示を求める意見」です。
 2番目をごらんいただきたいのですけれども、例えば「NCD(非感染性疾患)予防の観点から、正確な表示値を確保する努力をすべきであり、断り書きをつけることで済ますことは適当ではない」などの御意見がございました。
 これについて、幅広い食品に栄養成分の含有量を表示するためには、事業者が表示しやすいようにする必要があると考えられることから、食品表示一元化検討会報告書においては、幅広い食品に栄養表示を付することができるようにするため、今回の改正案に示すような方式等の導入を行うべきとされています、という考えを述べさせていただいております。
 なお、先ほどの御意見に「断り書きをつけることで済ますことは適当ではない」という御指摘がありましたが、これはごもっともでありまして、そのためにも今回の改正案では、新たに導入する表示値につきましては、値の設定の根拠資料を保管することとしております。
 5ページ「2.1.3可能性表示の容認に関する意見」です。
 この主な御意見といたしまして「アレルギー物質を含む食品について可能性表示が認められていないことと同じように、栄養成分についても可能性表示は認めるべきではない」という御意見がございました。
 消費者庁といたしましては、アレルギー物質の「可能性表示」については、仮に当該表示を容認した場合、製造者が十分な調査をせずに本来不要である食品にまで当該表示を行い、アレルギー患者の食品選択の幅を狭めることになることが懸念されることから、禁止になるものと認識しております。
アレルギー表示については、アレルギー患者にとっては即時的に命にかかわる情報であり、事業者にとっては使用原材料や製造工程等の定性的な情報により表示が可能である一方、栄養表示については、消費者にとっては即時的に命にかかわる情報ということでは必ずしもなくて、健康管理の目安として中長期的に利用するものであるという点、また、事業者にとっては、個々の商品の栄養成分等の数値を厳密に管理することが難しいという点で、アレルギー表示とは性格が異なるということを述べさせていただいています。
 このため、今回の改正案では、栄養表示を幅広い食品につけられるようにするため、合理的な推定により得られた値を記載することができることとしています、という考えを述べさせていただきました。
 6ページ「2.1.4現行基準継続の必要性等に関する意見」です。
 主な御意見として一番上「現行でも、許容範囲(±20%)に収まらない場合は下限値及び上限値による表示が認められており、可能な限り正確な値を記載する観点から、現行基準の継続を望む」という御意見がございました。
 これにつきましては消費者庁として、現行制度においても表示値が誤差の許容範囲におさまらない場合、下限値及び上限値による表示が可能ですが、その値の設定に当たっては、成分分析を行う必要がある等、表示をするためには、相応のコストがかかる上、幅広い食品に栄養成分の含有量を表示するためには、事業者が表示しやすいようにする必要があると考えられることから、食品表示一元化検討会報告書においては、幅広い食品に栄養表示を付することができるようにするため、今回の改正案に示すような方式等の導入を行うべきとされています、などの考え方を示させていただいております。
 「2.1.5上記以外」につきまして、表示値の設定根拠に関する御意見を頂戴しております。
 これについて消費者庁としては、修正の御意見は、通知等で示す内容と考えられますので、今後の参考とさせていただきます、という考えを示させていただいております。
 7ページ「2.2表示値が分析値とは一致しない可能性があることを示す記載に関する意見」です。
 これにつきましては、上から2番目「『実際とは乖離があり得ます』等の断り書きは消費者にとって認知されやすいとは思えず、わかりやすい表示の取組に逆行するものと考える」といった御意見や、下から3番目「『この表示値は、実際とは乖離があります。』等の表現例は、むしろ消費者を混乱させるだけなので、『日本食品標準成分表2010を使用した理論値』のように表示値の根拠を明記すべきである」といった御意見ですとか、8ページの下から4番目「表示面積の関係上、語句なら『推定値』『理論値』『計算値』など極力短いものにしてほしい」といった御意見や、下から2番目「但し書きの表現例は通知で示されるのか」などの御意見を頂戴いたしました。
 ページを戻っていただきまして、消費者庁の考えでございます。下のパラグラフですけれども、消費者庁として合理的な推定により得られた値に対する表現例は慎重に検討し、消費者にも分かりやすく、事業者も記載しやすいものを通知等でお示しすることを検討しています、などの考えを示させていただいております。
 9ページ「3.告示の解釈等に対する意見・質問等」の「3.1低含有量の誤差の許容範囲について」です。
 2つ目の意見をごらんください。「低含有量の場合の誤差の許容範囲は、表示値に関係なく100g当たりでよいか」という御意見がございました。
 これについての答えとして、100g又は100ml当たりの栄養成分の量で判断をすることになりますという考えを示させていただいております。
 「3.2『表示値が誤差の許容範囲に収まることが困難な場合』について」です。
 これについては「困難な場合とは、どのような場合が想定されるのか」また「困難な場合とは、誰がどのような条件を基に判断するのか」などの御意見がございました。
 これについては、事業者が原材料の栄養成分のバラツキや、製造過程における栄養成分の変化等により、表示値が誤差の許容範囲に収まらないと判断することを想定しているということや、原材料の切りかえ等により栄養成分量に変更があった場合、事業者が誤差の許容範囲におさまっているのか必要に応じて判断することも想定しています、という考えを示させていただきました。
 「3.3『合理的な推定により得られた値』について」です。
 例えば「どのような方法であれば合理的な方法なのか」といった御意見、また「日本食品標準成分表の値も含まれるのか」といった御意見がございました。
 これにつきましては、合理的な方法とは、例えば日本食品標準成分表を用いる場合や、サンプル品の分析を行った値等が考えられますが、必要に応じて説明ができる方法として、事業者が決定するものです、という考えを示させていただいております。
 「3.4強調表示等について」です。
 これについては、1番目の御意見の途中からですけれども「強調表示をする場合は、一定値で表示した場合、誤差の許容範囲内になければならない(現行法)が適用されるということでよいか。一定値で表示した場合、誤差の許容範囲内になければならない(現行法)栄養成分等は、表示する全てか。それとも強調しようとする栄養成分のみか」といった御意見、一番下「栄養機能食品についても、改正案第3条第3項の規定が適用されるのか」という御意見を頂戴しました。
 これにつきまして、いわゆる強調表示に関しては、現行制度のままであり、一定値で表示した場合、誤差の許容範囲になければならないと考えております。
 また、1つ以上の栄養成分または熱量について強調表示を行う場合は、当該成分のみならず、表示する栄養成分等全てが誤差の許容範囲内になければならないものと考えております。栄養機能食品についても、いわゆる強調表示と同様、今回の改正の除外とすることとしています、という消費者庁の考えを述べさせていただいております。
 10ページ「3.5『根拠資料』について」です。
 例えば一番上「根拠資料の保存形態や保管期間などに言及したQ&Aを作成するなど補足説明をお願いしたい」という御指摘や、一番最後「改正案第3条第3項第2号(根拠資料の保管)と食品表示法第8条(立ち入り検査等)との関係を明確にすべきである」といった御指摘がございました。
 表示値設定の根拠資料の詳細については、通知等でお示しする予定でございます。また、行政機関等の求めに応じて説明ができるようにするためのものであり、根拠資料は、複数あっても差し支えないことや、今回の改正案と食品表示法第8条との関係については、食品表示基準の策定の際に明確にお示しすることを検討しています、ということを示させていただいております。
 次に「3.6その他」を記載させていただいておりますけれども、その他については、今回の改正案とは直接的な関係がないと思われる事項でございます。こういった御意見、御指摘に関しては、今後の政策等の検討の参考とさせていただきたいと思っております。
 以上で資料1の説明を終わらせていただきます。
 次に、資料2を開けていただけますでしょうか。こちらは「栄養表示基準の一部改正(案)に係る第3条第3項第1号の表現例について」でございます。
 先ほど御紹介いたしました資料1の7ページの2.2として挙げさせていただきました「表示値が分析値とは一致しない可能性があることを示す記載に関する意見」というところでも簡単に触れさせていただきましたけれども、新たな表示値のただし書きについては、いろいろな御意見を皆様から頂戴しております。その代表的な御意見を資料2の「1.パブリックコメントでの主な御意見」に再掲させていただいております。
 次に「2.表現例(案)」に移ります。
 消費者庁としては、皆様方よりいただいた御意見をもとに、ただし書きの例といたしまして、合理的な方法により得られた値の表示を行う場合は、下記のいずれかの表現を記載すること、すなわち「この表示値は、目安値です」そして「推定値」、この2案を御提案させていただきたいと思っております。
 次に、資料3に移ります。こちらは「栄養表示基準(平成十五年厚生労働省告示第百七十六号)一部改正(案)新旧対照表」でございます。
 これについては、2点ほど修正箇所がございますので、御説明させていただきます。
 2ページを開けていただけますでしょうか。この2ページの第3条第3項に当たる部分でございます。こちらの1行目から3行目の「一定の値にあっては、」までは、単なる私どものミスでございまして、ここは「第一項第六号の規定にかかわらず、次に掲げる要件の全てに該当する場合であって、前条第一項第一号に掲げる事項及び表示栄養成分の量について当該栄養成分の量又は熱量である旨の文字を冠した一定の値を記載する場合には、」と御修正いただければと思います。これは一般表示事項を示しているところでございます。大変申しわけございませんでした。
 次に、追記させていただいたところがございます。これは6行目の「ただし」の後でございます。「前条第二項の規定に基づく栄養機能食品の表示又は」という部分を今回追記させていただいております。前回までは、普通の強調表示の記載はあったのですけれども、栄養機能食品の記載については抜け落ちておりましたので、今回これについて追記をさせていただいている次第でございます。
 もう一つは、参考資料として、今回のパブリックコメントの資料一式をおつけしておりますが、これについての説明は割愛させていただきます。
 以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○田島部会長 消費者庁からパブリックコメントを行った結果について御報告をいただきました。パブリックコメントでさまざまな御意見をいただきましたが、賛成意見というものがおおむね多かったという御報告でございます。
 それでは、御質問と討議に移りたいと思います。いかがでしょうか。
 鬼武委員からペーパーが出されておりますが、この御説明は今、行いますか。

○鬼武委員 ありがとうございます。
 それでは、机上配付資料について、少し意見と質問がありますので、それを含めてさせていただければと思います。
 ページが総数で8ページになっておりますが、最後のページは後で少し修正をしたいと思いますので、一応7ページまでを主体にして御説明させていただければと思います。
 前々回の第22回の食品表示部会でパブリックコメントにかけられることが決まりまして、その後、今回の提案資料をまた見させていただきました。この間、私のほうが意見を出しているところと重複することがありますけれども、その点は御了承いただければと思います。
 ちょっと風邪ぎみですので、大きい声が出ないかもしれませんが、よろしくお願いします。
 1点目は、この法律の条文を読んでおりまして、用語と「表示値が誤差の許容範囲に収められる場合」及び「表示値が誤差の許容範囲に収まることが困難な場合」、ここが何度読んでも引っかかる部分ということで感じております。
 先ほど、塩澤さんのほうからパブリックコメントのほうでも同じようなところが1カ所ございまして、そのことについて回答がありましたのですが、もう一度その部分については説明させていただければと思います。
 まず「表示値が誤差の許容範囲に収められる場合」は、表示値が「何の」誤差の許容範囲におさまるかが不明確な文章であり、「表示値に対する実測値の比率が、公差の許容範囲に収まる場合」という意味である場合には事業者が表示管理の実情や国際的な基準及びルールと合致するが資料はそのようになっていないと思っております。
 すなわち、コンプライアンス(遵法)の判定のために分析をした実測値は、表示値の公差の許容範囲であることを確認すべきであり、この見解が、実際に事業者が管理している実情及び国際的な基準やルールと合致しておらず、加えて栄養表示基準も実態に即したものとすべきであると思っております。
 「改正案について」です。
 「改正案」の説明において「マル1 表示値が誤差の許容範囲に収められる場合」及び「マル2 表示値が誤差の許容範囲に収まることが困難な場合」について説明をされておりますけれども、この説明は何を規定するものかが不明確である。実際に事業者として自社の製品に栄養成分を表示する場合には、複数のロットについての規定された分析方法によって得られた複数の分析値に基づいて表示を実際に行っております。この際、得られた複数の分析値の平均値及びその変動を考慮して、変動が±20%以内におさまるという判断がされた場合には、一定値が表示されることになります。しかしながら、成分によっては、変動が±20%以内におさまらない場合には、一定値ではなく、例えば幅の範囲で表示されることも考えられます。
 さらに、この説明では、あたかも商品に表示する表示値を定める方法を示しているようですが、実際にはそうではなく、商品に実際に表示された表示値が、1個の分析値に照らして適正であるか否かのコンプライアンスの判定の内容になっていると思います。
 2ページです。
 ここで栄養表示 1袋(100g)当たり、エネルギー100kcal、たんぱく質2.0g、脂質5.0g、炭水化物12.5g及びナトリウム85mgが表示されている商品の例が示されている。
 また、この表示値に対する誤差の許容範囲としては、88~132kcal、たんぱく質1.6~2.4gという形が示されています。
 そして、この商品の栄養成分の分析結果は、一方でエネルギー110kcal、たんぱく質2.0g、脂質5.5g、炭水化物13.1g及びナトリウム82mgで許容範囲内である。
 この状況において「規定された分析方法によって得られた値(分析結果)と比較して、表示値が誤差の許容範囲にあれば“問題なし”」の説明がされていますが、事業者における管理の状況等から照らし合わせると「規定された分析方法によって得られた値(分析結果)が、表示値の公差の許容範囲にあれば、この表示値は“問題なし”」とすべきだろうと思います。
 これらの説明について、消費者庁のほうで出されております参考資料を見ながら説明したほうがわかりいいかと思いますので、参考資料の最後のページ、カラー刷りになっております「栄養表示基準一部改正の概要」の部分を参照していただきながら、次に行きたいと思っています。
 戻っていただきまして「誤差の許容範囲に関する規定(栄養表示基準)」です。
 栄養表示基準第三条第一項第六号において「第四号の一定の値は、当該一定の値にあっては、別表第二の第一欄の区分に応じ、同表の第三欄に掲げる方法によって得られた値を基準として同表の第四欄に掲げる誤差の許容範囲にある値であること」を規定しています。
 この規定は「表示する栄養成分の量は、規定された方法によって分析を行い、そして得られた値(得られた値の数は規定されていない。1つの分析値でもよい。)を基準として誤差の許容範囲、言い換えれば±20%以内にある値であること」と述べている。しかし、これは論理的な表現ではない。「表示する栄養成分の量は、表示をしようとする製品の分析値を基準として定められるべきである。そして、表示した栄養成分の量の実測値は、表示値の許容範囲内であること」との内容とすべきである。加えて、製品の分析値には、バラツキがあるということを言及しなければならないと思っています。
 事業者が実際にやっていることは、事業者が実際に栄養成分を行う場合には、繰り返しになりますけれども、1つの製品の分析値ではなく、複数のロットについて複数の分析値を求め、その値の平均値及びバラツキ、特に原材料の産地や収穫季節等による成分量の変動によるバラツキを考慮に入れて、表示すべき値を慎重に決定しています。この際、事業者は、表示した値が分析値の変動をカバーするか否かが、表示した値の80%から120%の範囲におさまるか否かを考慮するように努力しているということであります。
 「国際的な基準やルール」です。
 コーデックスの栄養表示に関するガイドラインのパラグラフでは「栄養表示に用いられる値は、表示を行おうとしている製品を代表する複数の製品の分析から特に得られたデータから誘導された重量平均値にすべきである」と述べています。
 また、このパラグラフは、製品の分析値にバラツキがあるので、製品に栄養成分表示を行う場合には、このバラツキを考慮して、重量平均値を表示すべきであるとコーデックスの栄養表示基準のほうでは記載がされているということであります。
 コーデックスの栄養表示に関するガイドラインのパラグラフでは「tolerance limits」については、欧州委員会のDG SANCO(健康・消費者保護総局)にも述べられているように、コンプライアンスの検査における実測値と表示値の差に言及する用語、例えば実測値が表示値の120%から80%までの範囲内にあるかどうかに言及する用語であり、表示値の許容範囲を呼んでいます。
 また、アメリカのFDA(食品医薬品局)のほうでは、妥当な栄養表示値の決定は事業者の責任であるとして、その決定方法を特に特定はしていないものの、アメリカ FDAは、規定されたサンプリング法と分析法に基づいて、食品サンプルの表示規則に関するコンプライアンスを以下のような式によって判定しています。
 すなわち、表示値をもとにして実測値を評価するということがFDAの仕組みになっているところであります。
 4ページです。
 コーデックス及び欧米では、栄養表示に関する基準及び規則においては、表示値の決定のプロセス、すなわち表示の方法とその後のコンプライアンスの判定のための実測値の表示値に対する比の評価プロセスとは明確に区分されています。
 以上、述べたように、栄養表示基準の一部改正(案)にかかわる説明や用語には、サイエンスをベースにした理解し得ない部分が今回の場合は多過ぎると思います。いずれ、WTO通報に関して、今回の栄養表示の一部改正については輸入食品も対象になるということを考えると、これらの関係資料については、栄養表示基準の一部改正を英文にして、今回の改正内容が在日大使館などFSG(フードセーフティグループ)の人たちにも理解できるようなチェックをすべきであると私は考えている次第でございます。
 これが全体的な今回の改正(案)についての意見であります。
 「2.食品表示法案の規定についての質問および意見」です。
 食品表示法案の第一章 総則の部分には“消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会が確保され、並びに消費者に対し必要な情報が提供されることが消費者の権利であることを尊重するとともに、消費者が自らの利益の擁護及び増進のため自主的かつ合理的に行動することができるよう消費者の自立を支援することを基本として講ぜられなければならない”また“販売の用に供する食品に関する表示の適正を確保するための施策は、食品の生産、取引又は消費の現況及び将来の見通しを踏まえ、かつ、小規模の食品関連事業者の事業活動に及ぼす影響及び食品関連事業者間の公正な競争の確保に配慮して講ぜられなければならない”と、これまで食品一元化の報告を受けたものとなっています。
 その次の第二章のところなのですけれども、食品表示基準(食品表示基準の策定等)第四条において“内閣総理大臣は、内閣府令で、食品及び食品関連事業者の区分ごとに、次に掲げる事項のうち当該区分に属する食品を消費者が安全に摂取し、及び自主的かつ合理的に選択するために必要と認められる事項を内容とする販売の用に供する食品に関する表示の基準を定めなければならない”とされています。
 この条文は、これまで議論や報告ではなされてきていないと記憶していますが、どのように消費者庁のほうで決められたとか、その説明を求めたいということです。仮に“内閣府令で、食品及び食品関連事業者等の区分ごと”を小規模事業者が生産したもの、もしくは国内だけにしか流通・販売されない食品の区分であるという解釈ができるとします。その場合は、容器包装詰め加工食品であっても、これは義務表示とされる栄養表示が既に免除されると規定は読めるわけです。
 仮にこのような解釈が正しいならば、今回、消費者庁が提案している幅広い小規模事業者が生産した、もしくは国内だけにしか流通・販売されない食品を含む栄養表示を付すことができるようにするためにわざわざ複雑な栄養表示の基準の一部改正を行わなくても、小規模食品事業者で栄養表示を行うことができない事業者の免除規定はこれで十分カバーできると私は考えております。この辺について、後でお答えいただければと思います。これが2点目です。
 3点目は、強調表示などについての考え方でございます。
 これについてもパブリックコメントで出ていまして、いわゆる強調表示については、現行制度のままであり、表示値を一定値で表示した場合、実測した値は表示値の誤差の許容範囲になければならない。また、1つ以上の栄養成分または熱量について強調表示を行う場合には、実測された値と許容範囲になければならないと考えられる。栄養機能食品についても、強調表示と同様、今回の改正の除外とすることとされています。
 このような考え方について先ほども説明がありましたけれども、どうして分けるかについて、もう一度理由と背景について説明を求めます。
 さらに、その説明を受けた上ではありますが、現在、海外で実施されている、あるいは実施が検討されているFAO、WHO、コーデックスにおいて検討されているようなFront of Package栄養表示の場合は、製品の表面に「ある特定の栄養成分」を一括の栄養成分表示欄から抜き出して表示することになりますが、これらについては消費者庁の見解を伺いたいということです。これが今の栄養機能食品と同じように、±20%のほうで公差に入らないといけないという解釈になるのか、新しいほうで、それは断り書きのほうでもできるのかということについて、その見解を伺いたいということが3点目であります。
 「4.最後に」です。
 今回、消費者庁が我が国における栄養表示基準の一部改正の中で提案している制度は、国際的な、もしくは諸外国の規制、ルールと大きく乖離するものであると考えます。
 これまでの意見の繰り返しになりますが、本来、現行の栄養表示基準の考え方を踏襲し、食品表示法/第二章/食品表示基準(第四条)に基づく例外措置を行うということで十分に対応できると考えてはいかがかと思っています。
 さらに、栄養表示基準の取り締まりについては、海外の例を参考に、これまでの国内の事業者の取り組みの事例や海外でのモニタリングやコンプライアンスの構築という別の観点からもう一度整理し直せばいいのではないかと思いまして、今回の栄養表示の一部改正により、かえって日本の栄養成分表示全体が正しい方向に進まないと思っておりますので、ぜひ再考を願えればと思っております。
 お時間をいただき、ありがとうございました。

○田島部会長 御説明をありがとうございました。
 いろいろございましたが、御質問は3点だと解釈いたしました。
 第1点目は、コーデックスの定めた栄養表示基準というものが、実測値に基づいた重量平均値で代替していて、今回の消費者庁の御提案とは違うのではないかという点。
 第2点目は、食品表示法で事業者ごとに栄養表示基準を定めることができるということで、小規模事業者を対象外とすれば事足りるのではないかという御指摘。
 第3点目は、栄養機能食品あるいは強調表示を除外した理由について、もう一度説明をいただきたいということ。
 この3点だと思います。
 この3点につきまして、消費者庁からの御回答をよろしくお願いいたします。

○増田食品表示課長 いろいろ御指摘があり、今、読んで、正直、正確に理解できているかどうかわからない部分もあるのですけれども、まず、そもそも論をお話し申し上げたいと思うのは、3ページの「事業者の実状」のところです。
 確かに、特に大手など、こうやって複数のロットによって分析をして、さらにバラツキを考慮して、20%に含まれないおそれがあるときには、さらに分析を重ねて、上限値、下限値について合理的にそれを算出して書くということは、本当に一部の大手であれば、できるのかもしれません。ただ、私がいろいろなところで聞く限り、上限、下限について合理的に見積もるということは相当難しいと大手の人でも言っております。
 ここはある意味で議論の分かれ目なのですが、こういうことができない人は、表示をすべきではないと判断するのか、これができない場合でも平均的な値などを書いても、そのほうが消費者にとって食品選択に資するのではないかと判断するのか。これはまさに、そこの部分をどうするかということだと思っております。
 鬼武委員の言うように、ここの範囲で事業者が頑張るところまで頑張って、あとはつけないと判断するのであれば、それも一つの選択肢だと思いますけれども、少なくとも、そういうことを思って私どもは提案していないというのが1点です。
 「国際的な基準やルール」のところですけれども、コーデックスのガイドラインはガイドラインですので、そのまま各国のルールにストレートに適用はできないと思っております。
 ちなみに、コーデックスにおいては、分析して平均を出しなさいと鬼武委員は書いてありますけれども、一方で、それについて、今の栄養表示基準上は「誤差」と言っていますが、ここで言うと「公差」、一定のバラツキの範囲におさめなさいというルールをつくれということは、そもそも言及がありません。つまり、平均を出せと書いてあるだけで、その平均がその後、個々の商品を分析した結果、幾つ差があるかということについてはルールがないというのが、私が理解している範囲でのコーデックスのルールです。
 一方、その後ろにアメリカのFDAのルールが書いてありますけれども、FDAについて言うと、少し御紹介したとおり、例えばアメリカですとカロリーであればプラス20%以下にしなさいというのがルールになっております。そういった意味で、そもそもアメリカもそうですし、日本を含め、全てコーデックスと全く同じルールづくりをしていないわけですが、カロリーで言うとプラス20%以下にしなさいというルールがあり、一方、ここに書いてあるとおり、分析をするとか、一般に信頼できるようなデータベースを活用して得られた数字は信頼できる数値ですよということは、ガイドライン上も書かれておりますけれども、かといって、その結果、得られた数字がルールである、例えばカロリー120kcal以下であることかどうかということについては、それは事業者の責任ですよと書いてあって、20%を超えてもいいですよということは、少なくとも明文の規定はないというのが、私が読んだ限りでのFDAのルールだと思っております。
 食品表示法の解釈については、今後具体的に定めていく中での範囲もあると思いますけれども、いずれ栄養表示は、全ての事業者に少なくとも最初から義務づけるということは非常に難しいと思っておりますが、さはさりながら、今、鬼武委員が示されているような事業者の実情の範囲で書ける人だけが書くというのも、それは要するに、消費者に対して栄養成分の表示の情報をなるべく伝えていくという観点から、狭過ぎるのではないかと思っております。

○塩澤食品表示調査官 続きまして、3つ目の御質問について、私からお答えさせていただきます。
 3つ目の御質問は、強調表示、栄養機能食品の表示といったものを今回の新たな表示値の対象から外す理由は何かという御質問だったかと思います。
 今回の改正(案)につきましては、幅広い食品に栄養表示をすることのための環境整備の一環として考えているものでございます。強調表示ですとか、栄養機能食品の強調表示、これらについては、例えばエネルギーを低減していることやカルシウムが多く含まれていることですとか、ビタミンCにはこういう機能がありますといった表示でございまして、それらは今後も任意のもと、商品のPRのために事業者が行っていくものであり、かつ、消費者の健康に影響を及ぼすという可能性もあることから、一定の基準に適合し、消費者に適切な情報を提供するという観点からも、現行制度の誤差(公差)に許容範囲を維持する必要があると考えておりまして、現行どおり、新たな表示値の設定の対象とはしないという考えにしたいと思っております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 先ほど増田課長がそもそも論をおっしゃっていましたが、加工食品に栄養表示を義務化しようというのは、そもそも非常に難点があるのです。非常に難しい。そこを何とかクリアして実施しようというのが、今回、消費者庁から出された提案だと私は思っています。
 そもそも、そうまでして加工食品の栄養表示をする必要があるのかという疑問が鬼武委員の御指摘だと思うのです。これは前回のこの部会でも議論しましたが、結局、大方は無理をしてでも栄養表示はしてほしいと、特に栄養士会の委員の先生からも御指摘がありまして、こういうことで前回、この表示部会では、この消費者庁からの案をパブリックコメントにかけることを了承したという経緯がございます。
 その上で、また鬼武委員、御意見がありましたら、どうぞ。

○鬼武委員 どうもありがとうございました。
 前回のところもフォローしていただきまして、途中で前回抜けましたので、最後のところの経過がよくわからなかったのですけれども、今回の説明と議事録等を拝見して経過がわかりました。ありがとうございました。その上での発言ですが、増田課長が、私も分析をやれるところはやるのだけれども、できないところがあって、それは表示できないのかということなのですが、私どもも栄養表示は全部につけるべきだと思います。そのやり方として、わざわざ断り書きをつけて分ける必要はない。あとは公差の範囲とか、それはコンプライアンス、アメリカ的な考え方もあるし、その辺のところを少し柔軟に見直せば、現行の栄養表示基準でもやれるのではないかと認識しています。今回の新しいプラス・マイナスの幅が何パーセントでもいいということを言えることによって、むしろ現行の栄養表示基準に示されて努力していることについても、それが形骸化することとか、そういう全体的な栄養表示のことを危惧しているのかが1点。
 それから、やはり中小企業ができないということであれば、データベースを構築して、基本的には例えばAという加工食品にはこういう事例でも参照値が最初に書けるということで、断り書きも極端なことを言えば要らないと思っているのです。そういうことを書くことが、今回の混乱のもとになっているのではないかと思いますし、あわせて、食品表示法案の個別にやれるという、先ほどお尋ねした規定のところでそういうふうに解釈できるのだったら、それは免除規定として読めるのだと私が理解できますので、例えば国内だけしか流通しない食品群とか、何らかの免除規定が幾つかできればそういう食品群を製造・販売等しているところも救われるような気はしています。それは意見です。
 それから、先ほどの栄養表示の強調で、Front of Package栄養表示というものはどういうふうに考えるかということを追加でお答えをお願いします。

○田島部会長 食品表示法の事業者の規模によって異なった食品表示基準を設定することができるということを活用すれば、今回のような提案は要らないのではないかという御意見でございます。それともう一つが御質問ですね。
 この点について、いかがでしょうか。

○菅久審議官 食品表示法案の3条と4条について御意見をいただいているのですけれども、そもそも私は紙を読んだときに理解できなかったのですが、この条文というのは、あくまで食品とか食品関連事業者の区分ごと、つまり、食品ごとに品質表示基準をつくったり、段階ごとにつくれるということを規定しているだけであって、その結果、どういうものをつくるかというのは、まさに最適なものはどういうものかということを決めていくということですね。
 ここで、その結果、なぜ急に小規模事業者が生産した、しかも国内しか流通していない食品というのを抜くという結論が導かれるのかというのが、正直言ってよくわからなかったというか、しかも、何で国内だけということで抜くということが正しいという理解をしているのかということもよくわからなかったのです。しかも、小規模というのをそもそも決めること自体も大変な話でして、だから、この提案によって全てクリアするという前提自体がよく理解できなかったので、できればこの紙に書いていない説明をしていただきたいと思うのです。

○鬼武委員 済みません、これは誤解がないようにしていただきたいのですけれども、私が勝手に決めたことではなくて、今回、国会の中で審議をされていて、そういう中でこのような意見が出ているということを含めて、例示をしているわけで、私がこのような法解釈で免除できると勝手に判断しているわけではなくて、この法律の条文の読み方自体はそういう免除規定として解釈ができるのではないですかということをお尋ねしているのです。
 私は法律の専門家ではないですから、消費者庁がこの法案の制度設計をしていらっしゃるでしょうから、そこの正しい解釈について教えてください。お願いします。

○菅久審議官 免除規定ではなくて、食品とか、事業者のいろいろな区分があるでしょうから、その区分ごとに表示基準を決めることはできるということを決めている条文だと思うのです。

○鬼武委員 だから、そこに書かれている言葉が、例えば「賞味期限」であるとか、いろいろ書いてあったと思うのです。その上で栄養表示についても言及されているのだけれども、それを事業者の区分ですから、区分によってはする必要がないと解釈できるのではないですかとお尋ねしているのです。

○菅久審議官 そういうルールを決めるかどうかというのはあると思いますけれども、これを使えば全て今、提案している話が要らなくなるというのがどういう関係になるのかがよくわからないです。
 済みません、私以外の方がわかっているのであれば、もう説明は要らないです。

○田島部会長 前に消費者委員会がありまして、食品表示法の御説明を受けたときに、この規定についても若干議論をしたのです。そのときの消費者庁からのお答えが、例えば零細事業者などが異なった食品表示基準を適用できるということを将来的に含みとして残しておきたいという御説明だったのです。そのことを根拠に鬼武委員が、この規定を使えば栄養表示基準を零細事業者については免除することができるのではないか、そういう方法もあるのではないかという御意見なのです。
 それについては、やはり消費者庁のほうが、それはしないと。今のところは、全ての食品事業者は一律にこの栄養表示基準は課したいという御希望を持っているということで、それで御提案をしているということです。よろしいでしょうか。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 栄養表示基準のことにつきまして、幾つか述べさせていただこうと思っております。
 食品表示法に至るまでに、栄養表示基準についての義務化に関して検討会が長く開催されてまいりました。それを受けて、食品表示一元化の検討会が開催され、そういう経緯については皆様も既に御存じのこととは存じますけれども、先ほどの鬼武委員も、あわせて私も一緒でしたが、同じメンバーとしてそこの中で全ての食品に対して栄養表示については義務化していただくという方向での検討を進めてまいったわけでございます。
 そういう中で、義務化について小規模事業者を免除するのかどうかというところについては、その中での議論もずっとしてきたところでございます。そういう中で、消費者にとって多様な食品、そして栄養成分が目に見えない形での食品が非常に多くなってきている現状、その栄養成分について適正に利用していくに当たっては、食品の栄養成分表示以外の方法で、その内容を理解していくことが非常に難しい。そういうことで、全ての食品に表示をしていくことが必要なのだという結論に達したと私は記憶しております。そういう議論を進めていただきまして、食品表示法にそれが盛り込まれていったということでございます。
 国内に消費がとどまる食品、小規模事業者が製造した食品であって、もし国内にとどまる食品が免除されるのだとすれば、これは消費者にとって全くメリットのない話だと。国内に流通されるものこそ表示をするべきものだと思うところでございます。情報提供のレベルといいましょうか、若干の成分値の差異があったとしても、適正な栄養量が表示されていることによって、それをきちんと利用できていくという、これがやはり今回の議論の中の大義ではないかとまず思うところであります。
 前からお話しをしているところの若干繰り返しになりますけれども、自然由来の食品については、個別に分析をしようと、計算値で表示しようと、どちらにしても差異が生じるということは間違いございません。例えば幾ら分析をしても、その分析をした食品の栄養成分値であって、その数値が全ての食品に該当するとは言えません。必ずそのバラツキの中では外れるものが出てまいります。そうしてまいりますと、分析値であるか、計算値であるかということが重要なファクターではないだろうともとから考えているところであります。
 分析値につきましては、先ほど鬼武委員が言われましたように、ある程度のロットで分析することによって、その分析した商品の上限と下限という数値を示すことはできるかもしれません。でも、その商品が100%全てに当てはまるかというと、そうではないということも重ねて申し上げます。
 計算値の場合はどうかというと、計算値につきましては、幅表示はございません。一定値の表示になります。一定値の表示しかあり得ないということになります。これは食品成分表、日本で言えば日本食品標準成分表、これは国がつくっているものでございます。その数値についての保証を国として、しているものであります。
 そういう一定値で計算して、それを出していく。そのデータベースというものを重視していくべき。分析値以上に重視してもいいのではないかと思っているところでございます。
 といいますのは、先ほど、自然由来の食品という話をさせていただきましたけれども、単一の食品であれば、これは非常にわかりやすいのですが、複雑な、いわゆる複合原材料による食品、またはそれを調理して、例えば1食の食事、または1日の食事と展開していったときに、差異というものがどんどん拡大していくのか、または相殺されるのか。どちらの場合もあるかと思いますけれども、より拡大をしていく、相殺していく。どちらにしても幅が生じてしまう。そうすると、全て分析をするということよりも、逆に一般的な、基本的な表示項目については、本当に使いやすい計算値をベースにして表示を進めていくという方向性を志向してもいいのではないかとも思っているわけであります。
 学校給食、病院給食、さまざまなところで食事が提供されております。外食にあってもそうです。そこで表示されている栄養成分値というものは、全て食品成分表を使った計算値でございます。一食一食をその都度分析するなんていうことは、とてもできることではございません。
 そういう意味で、断り書きをつける必要性があるかないかというところも若干関係してくるかと思うのですけれども、どちらも推定値にすぎないものでありますので、あえて断り書きが必要なのかどうかというところは、次の議論の中でしていただければいいのかと思っております。
 強調表示について1点申し上げますと、強調表示は、先ほども説明がありましたように、表面に例えばエネルギーを抑えているとか、エネルギーを低減しているとか、カルシウムを強化しているとか、そういう特別な表示をした場合に該当させるものであります。これは商品の差別化という意味合いで、事業者が特別にそれについて表示をする。商品の差別化を求めて、そういう情報提供をするということであれば、それについては厳密に責任を持っていただく。そういう表示をするからには、きちんと責任を持っていただくということが重要になってまいりますので、そういう意味では、的確な従前の数値の枠であるとか、さまざまな規定をあまりいじることなく、継続していくことが望ましいだろうと思っております。
 栄養機能表示につきましても同様でございますし、この辺につきましては、さらに健康保持増進効果について、特定保健用食品との関係で許容されるという話も聞いておりまして、機能表示のところの拡大に関しても含めて、今後大きな課題になってくるのかとは思っております。
 いずれにいたしましても、強調表示、栄養機能食品の表示等については、従前のもの、またはそれ以上に厳格な規定を今後検討していくことも改めて必要だろうと思っているところでございます。
 冒頭でも申し上げましたように、一般的な、基本的な表示については、消費者に対して全ての食品の情報が提供される。これが国内で非常に重要なことだと思います。それが国際ルールを優先するのかしないのかという問題は、まず国内できちんと必要なものについて必要な情報提供ができる体制を組んでいただくことが大事だろうと思うわけであります。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 現実問題として、臨床にしろ、健常人にしろ、栄養指導をする場合に、管理栄養士さんが行っているのは、ほとんど計算値なのです。日本食品標準成分表に載っている食品というのは生鮮食品が中心で、加工食品ましてや中食については、データというのは全くないので、それは全て計算で行って、それで現実に医療現場でも実際に栄養指導を行っているということです。むしろ、この消費者庁が御提案の表現例に、何で「計算値」というものをなくしてしまったのかと不思議な気がしますが、原則として計算で行うのが非常に多いのではないかと思います。推定値に含まれるのかもしれませんけれども、私としてはそう思いました。
 ほかの委員からの御意見をいただきたいと思います。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 迫委員とほぼ同じなのですけれども、そもそもこの健康増進法という法律は、JAS法だとか、食品衛生法と性格が異なるものですから、いわゆる健康増進のためという形で情報提供という意味合いが強いと思うのです。
 ですから、これまでの現行制度では、表示値の幅のところに規定があったということですけれども、まさに小規模事業者の方が表示できるように義務化に向けて、国際的にも栄養表示は義務化の国が多いわけですから、義務化に向けてこういう形で合理的な推定により得られた値を認めますよということこそ、いわゆる小規模事業者に配慮した形のやり方だと思います。
 迫委員も言われましたけれども、実際の数値は、ぶれているのです。これは正確に出そうと思って事業者はやっているのです。でもぶれるのです。ですから、これはやむを得ないことなのです。けれども、結果としてはぶれるということを前提にして、そのことは恐らく多くの消費者の方は御存じないから、これを今回の改正を契機に、このことも知らせる必要があるかどうかという形で、推定値だとか、こういう表現がいいかどうかということだと思うのです。
 ですから、この機会に、この数値が絶対的に正確だと思い込んでいる方は多くいらっしゃいますから、そうではないですよと。これはあくまでも計算だとか、そういった分析でもぶれるということを含めている目安なのですよということがわかればいいのだと思うのです。だから、鬼武委員が言われたことは全くわかりません。理解できない。国際的なルールとの乖離と言われても、国際的に言えば義務化している国は多くあるわけです。それから、トランス脂肪酸だって義務化している国はあるのだけれども、日本の食生活の実態では、それは義務化を必要としていないというか、そういう動きもあるわけですから、何か全然整合性がとれない話をされているので、私は一向に理解ができないのです。
 要は、このことは、新しい法律に向けて食品表示をきちんとやっていこうよという中で進めていく一つのワンステップだと思うのです。このことが今これで完璧だとは、思いません。けれども、このことをまず一歩進めてから、次に進めていくということでいいのではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 繰り返しになるのですけれども、1つは小規模事業者の配慮とか、国内だけというのは、私が勝手に発言しているわけではなくて、国会の議員さんとか、そこら辺で議論になっていたことであって、そういう話が出ていて、仮にということで説明していることであります。
 私も栄養表示は全てにつけられることが原則だと考えておりまして、分析値であろうが計算値であろうと、前々回にお示ししたように、ヨーロッパとかアメリカとかの法制度を参考にすれば、いろいろ方法はあるのです。コンプライアンスの仕方とか、そちらが違うのです。だから、そういう形で2段なり、3段なりの方策はあると思いますので、今回のわざわざ断り書きをつけて、そのかわり何パーセントも外れていいということが、現行の栄養表示が形骸化するし、全体の栄養表示は進まないと思っているということを、繰り返し申し上げたいことでありますし、パブリックコメントでも3割は慎重だということがありますから、私の言っていることが理解できないのは、それはそれで構いませんが、意見としてこのような考え方があるということで、繰り返し申し上げます。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 消費者側の委員からあまり御発言がないようでございますけれども、よろしゅうございますか。
 山根委員、どうぞ。

○山根委員 私は、大事なのは、乖離が大きいにせよ、バラツキがあるにせよ、出ている数字が信頼をされて、根拠が確かなもので、目安にできる数字であること。そして、今それを求める人や現場が多いという状況にありますので、環境整備として、今回のようなやり方でまず一歩進むということを期待したいと思います。
 ただやはり、断り書きはどの言葉が適切かというのはとても悩ましい問題で、するかしないかを含めて、そこがいまだに難しい問題だと思っています。ほかの方の御意見も聞きたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 今、山根委員からお話がありましたが、表現例についての御意見をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 資料2の一番下に「この測定値は目安です」とあります。もちろんこの表現例については、通知等によって事業者にお示しするものであって、この部会でもって決定するものではございません。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 ただいま各委員からいろいろな御意見が出されて、私も聞かせていただき参考になりましたが、やはり今、国内の栄養表示に関する実態を踏まえて考えるのが一番重要ではないかと考えております。
 確かに海外の制度はいろいろあると思います。ですけれども、やはり前回の栄養表示の議論をしたときにも、消費者庁のほうから資料が出されているのですが、現在の制度では、あくまでも任意に表示をしているという状況ですので、これは義務表示ではない。ですから、事業者としても、ある程度表示に自信がある、鬼武委員も先ほどおっしゃったように、表示に自信があるということは、かなり分析もやっておられる、あるいは計算もやっておられるという状況の中で、努力はしておりますが、現在の枠の中から外れてしまうものがあるといった実態を踏まえて考えるべきではないかと考えます。
 そういった意味から言いますと、今回、消費者庁のほうからパブリックコメントを取りまとめていただいて、表現例として2つの例が出てございます。私はこの2つの例というのは、この2つに絞れたという意味は非常に重要であって、この2つをうまく活用することによって、消費者の皆様にも非常にわかりやすく、なかなか表示スペースがないという事業者にとってもうまく使える1つのセットになるのではないかと思います。
 当初、パブリックコメントのときに示された表現例というのは非常にたくさんあったのです。ですけれども、あそこまであるとなかなかわかりづらいだろうと思いますので、私は今回、消費者庁のほうから出された2つの表現例は、事業者にとっても消費者にとっても非常にいいのではないかと思いますので、これを支持したいと考えております。
 以上です。

○田島部会長 ほかに御意見ございますか。
 中下委員、どうぞ。

○中下委員 なかなかたくさんのパブリックコメントで異なる意見も出て、難しいのはわかるのですけれども、私はやはり今回の新たな設定といいますか、新たな追加の根拠というのが、結局合理的な方法によって推定された値というものを採用するということなので、そうすると、そこの部分をわかるようにしていくのが重要なことではないかと思うのです。
 そうしますと、設定根拠というのは、補完すればいいというだけではなく、消費者が見ても設定根拠がわかる、それが合理的だと納得できるという表示は必要なのではないかと思います。ただ、その数値が一般的な意味での誤差の±20%以内をさらに超えているかもしれませんよというところのメッセージを出したいというのが、多分今回の表現例の「推定値」だとか「目安」だとかという言葉のメッセージだと思うのですけれども、その設定根拠というところのものを欠いてしまうのは、ちょっと問題なのではないかという気がしますので、本来、どちらも入れたいところではあるのですね。どちらもその要素が入ったものとして表現例が必要なのではないかと思うのです。

○田島部会長 ありがとうございました。
 例えば「成分表による計算値」というように記したほうがいいのではないかという御意見ですね。
 ほかに御意見はございますか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 今回示された2つの表現ですけれども、よくここまでまとめたなというのが正直な印象です。要は、やはり難しいのです。事業者の立場に立てば、スペースがない中で本当に短くコンパクトに書きたいし、この表現はどの表現がというのも難しいのですが、この2つの表現は非常にいいなと思っています。
 それから、中下委員が言われたようなことをつけ加えることは別に可能なのですから、つけ加えればいいのです。問題は、強調表示をやられる方は、逸脱することはだめですよと。きちんとそれは、いわゆる限度ラインにおさめてくださいということです。
 それと、求められたときにきちんとそういった書類とどうやって数値を出したかという根拠資料を出せるということを、強く指導をしていくということだと思います。そうすると、このぐらいが一番適当かなという感度はあります。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 この表現例のところで「この表示値は目安です」というのは、実は全ての数値に当てはまる言葉だと思っております。ですから「合理的な方法により得られた値の表示を行う場合は」というよりも、栄養成分値そのものが目安であるということは、共通的に表示をするということでもいいのではないか。もしそういう表示になれば、消費者の方々に表示の意味を理解していただくためには、非常に重要なキーワードになるのではないかと思うところであります。
 もう一点は、推定値でも構わないのですが、どういう方法によってデータが出てきているのか。先ほどの食品成分表による計算値であるとか、分析値であるとか、そういう当社の分析なら分析、または当社の何とかというような、その辺の根拠が消費者により伝わるほうが、文字列は若干伸びますけれども、そのほうが情報源としてはより有効なのではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 表現例で今、こういった2つの点がございましたけれども、私としては、こういった表現でもよろしいかと思います。ただ、これがコンプライアンスの問題で、エクスキューズの道具に使われるということは避けなければいけないと思います。決して法的な責任を回避するものではないよという意味であるという解釈をこの場でしっかり皆さんで共有していただいて、特に強調表示などの問題もありますけれども、消費者が決して誤認しないような、そういうルールにしていかなければいけない。あくまでも事業者には責任があるということを強調したいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますか。よろしゅうございますか。
 手島委員、どうぞ。

○手島委員 この表現例ですけれども、推定値の中で公的成分表の計算値でした場合には、そういうことも書けるような形にしていただければと思いました。

○田島部会長 消費者庁、どうぞ。

○菅久審議官 その点につきましては、今、栄養表示基準の提案しているものが、そもそも規定としては一致しない可能性があることを示す記載をすることということでございまして、そのバリエーションは幾らでもあると思います。
 ただ、この例としては、これを出させていただいて、あとはこれよりさらに追加的に情報を出していただくというのは、全く妨げるものではないということかと思っております。

○田島部会長 どうぞ。

○増田食品表示課長 今の2つをお示しした理由というか、背景としては、パブリックコメントを読んでいて、1つは差があるということをストレートに書くと、では書いていないものは差がないのかということにならないかというのがあるので、むしろ「差がある」という表現ではなくても、数値の性格そのものを説明していく表現として、目安と推定値を選びました。
 計算値は非常に悩ましかったのですけれども、食品の特性によっては、計算値だけれども、十分±20%の幅には入りますよというものもあるのかなと思うと、計算値イコール一定の幅の範囲におさまりませんと言い切るのは、ちょっと難しいのかと思って、計算値というのは、要するに当然に±20%を外れるというわけではないので、少なくとも例示からは外したということがあります。
 あと、いずれ複数の委員がおっしゃられたとおり、これはまずそもそも義務として最低限何を書かなければならないかという話で、当然スペースの問題、あるいは情報提供という観点から、こういうふうに計算したもの、あるいはこういうふうにサンプルを分析したものですから推定値ですとか、あとは、それは一方で、それぞれの食品を見れば、例えば調理型食品であれば、サンプルを分析しても、当然±20%とか一定の範囲には入らないであろうなというのは、多分言ってみれば、消費者のそういう知識と当てはめてみればわかるので、そこはむしろ積極的に根拠というのは書いていただきたいとは思いますけれども、一律そこまで義務的に書かせるというのは難しいのかなと思っております。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 夏目部会長代理、どうぞ。

○夏目部会長代理 私も消費者団体の一員でございます。今回の議論をしておりまして、消費者の栄養管理に新しい表示基準が一部改正されることによって大変役に立つだろうと思っております。
 それぞれの委員が御意見を出された中で、ここの表現例をたくさん皆様に、つまり、パブリックコメントでお示ししたところ、もちろんそれに対してさまざまな御意見があったわけですけれども、やはり迫委員もおっしゃっていらっしゃいますように、どんな数字をとっても目安なのだということがありますので、この消費者庁の御提案された表現例というものを支持して、まずは進めていただくということが消費者にとってプラスになるのではないかと考えております。
 以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 先ほどの意見を撤回して、この表現例の2つについて合意をさせていただきます。
 そして、食品成分表に基づく計算値とか、こういう表示について付加することは望ましいというような、今後おつくりいただくであろうQ&A等でお示しいただいて、より根拠が明確になるような進め方をしていただければという提案をさせていただきます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 中下委員、どうぞ。

○中下委員 今の迫委員の御意見に全く賛成です。そういう意味で、私も一部撤回させていただきます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 それでは、意見も出尽くしたようでございますので、取りまとめさせていただきます。
 まず、栄養表示基準の改正(案)につきましては、一部の委員から反対意見が述べられましたが、大方では御了承という方向だと思います。ということで、本部会としては、改正(案)を承認することにいたします。
 表現例については、この消費者庁から示された2つについて、かなり賛成意見が出ましたが、Q&Aでもって補強していただきたいという御意見もございましたので、今後、消費者庁のほうでもって十分御検討いただいて、最終的な通知等で示していただければと思います。
 よろしゅうございますか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 先ほどのFOP(Front of Package)栄養表示に関する回答をいただけますか。

○増田食品表示課長 そもそも書き方をどうするかというのは、これからの議論だと思います。前面に必ず書くようにするのかどうかというのも、世界の議論というのはあるかもしれませんけれども、そもそも日本でルールとしてどうするかということがありますので、その中で決めていくということになると思います。
 ただ、先ほど御説明したとおり、基本的に強調表示をする場合には、全成分について、今のルールである誤差の許容範囲、あるいは公差の範囲に入っていなければならないというルールは、当然そのもとで進めていくということでございます。

○鬼武委員 課長の回答がよくわからなかったのですが、FOP栄養表示は今の規定で言えば、強調表示と同じように考えるのですか、違うのですかということを聞いているのです。別にどこを書けということではなくて、強調表示というように同じような解釈に当たりませんかと、そこを尋ねているのです。

○塩澤食品表示調査官 今の御質問ですけれども、多分、鬼武委員がおっしゃっているのは、いわゆる「含む旨」とか「高い旨」みたいなあからさまな強調表示ではなくて、例えばエネルギーの数値のみを前面に出すようなことをおっしゃっていると思います。
 確かに現行制度では、それは強調表示には当たりません。しかしながら、多くの消費者にとって、それは事実上、強調表示ではないかという御指摘も多数受けるところでございますので、消費者庁としては、今後どういったものを強調表示として考えていくのかということを含めた消費者調査を行って、そういうのはやはり強調表示ではないかという意見が多数ある場合には、そういうものも強調表示の一環として考えていくということを検討してまいる所存です。

○田島部会長 まだ御意見ありますか。

○鬼武委員 わかりました。
 とりあえず、調査はするのだけれどもということですね。わかりました。

○田島部会長 強調表示につきましては、今後検討を続けていくということでございます。
 それでは、次の手続に進むということで決定いたします。
 次の手続に関しまして、消費者庁より御説明をお願いいたします。

○増田食品表示課長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の議論を踏まえて、関係告示の改正及びQ&A等を作成し、表現例を示したいと思います。
 また、Q&A等を作成するに当たっては、きょうの議論を踏まえて、内容をつくっていきたいと思っております。
 どうもありがとうございました。

○田島部会長 議事次第にはありませんが、2点御報告事項がございます。
 まず、食品表示法についての情報です。
 5月31日に衆議院本会議において修正案が可決されました。その後、先週6月21日に参議院本会議において法案が可決され、食品表示法が成立しております。
 追加資料として、国会において附帯決議が出されたものについて配付してございます。
 次に、前回の食品表示部会において山浦委員から、検討するための部会の下に作業部会を設けていただきたいといった御提案がございました。
 現在、消費者委員会の委員間で意見交換を行っております。先週、食品表示法が成立したこともあって、附帯決議や国会審議における議員の意見等も精査した上で、検討課題の優先順位や今後のスケジュール等について、消費者庁と協議をしながら進めさせていただきたいと考えております。
 以上、2点御報告を申し上げました。
 本日の議事は以上でございます。
 事務局から、連絡事項などございますでしょうか。
 済みません、山浦委員から御発言がございますね。

○山浦委員 前回の提案につきまして、いろいろと作業を進めていただきまして、ありがとうございます。
 ただ1点、これは早急に調査会を立ち上げる必要があると思いますので、その辺のスケジュール感ですね。例えば夏ぐらいをめどにとか、そういうことで情報提供をいただければよろしくお願いします。

○田島部会長 事務局のほうから、何かスケジュール感についての詳しい質問ですけれども、お答えできますか。

○原事務局長 今、部会長から発言したとおり、先週金曜日に法案が成立したばかりというところがありまして、国会でのいろいろな議論、それから附帯決議なども精査した上で、消費者庁と相談をしながら、施行まで2年ということですので、できるだけ早くというのは命題だろうと思っておりますので、準備を進めたいと思います。
 今すぐこのスケジュールでというのは、きょうの時点では申しわけありませんけれども、まだ御報告できるものがございません。

○田島部会長 消費者委員長も非常に関心を持っておりまして、鋭意、委員間でもって意見交換をしておりますので、まだスケジュールを示していないので恐縮ですけれども、鋭意進めておりますので、御理解をしていただきたいと思います。
 では、連絡事項等をよろしくお願いします。

○原事務局長 ありがとうございました。
 次回の日程につきましては、議題とともに改めて御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)