第21回 食品表示部会 議事録

日時

2013年1月23日(水)10:00~11:34

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、夏目部会長代理、青柳委員、阿久澤委員、海老澤委員、鬼武委員、
 春日委員、川戸委員、栗山委員、澁谷委員、立石委員、手島委員、中下委員、
 森(修三)委員、森(康益)委員、山浦委員、山根委員
【説明者】
 消費者庁  増田食品表示課長、谷口課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.栄養表示基準の見直しについて
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:51KB)
【資料1】 栄養表示基準の改正(案)について(PDF形式:20KB)
【資料2】 栄養表示基準一部改正(案)新旧対照表(PDF形式:97KB)
【資料3】 栄養表示基準の改正イメージ(案)(PDF形式:349KB)
【資料4】 合理的な方法に基づく表示値の設定について(記載イメージ)(PDF形式:90KB)
【参考資料1】 鬼武委員提供資料(PDF形式:464KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから、「消費者委員会食品表示部会(第21回)」の会合を開催いたします。
 本日、迫委員から御欠席との連絡をいただいておりますけれども、過半数に達しておりますので、本日の部会は成立しておりますことを御報告します。
 会議の開催にあたりまして、最初に配付資料の確認をさせていただきます。
 議事次第と書かれた裏に配付資料一覧を載せておりますけれども、座席表の次に資料1といたしまして、「栄養表示基準の改正(案)について」。
 資料2といたしまして、「栄養表示基準一部改正(案)新旧対照表」。
 資料3といたしまして、「栄養表示基準の改正イメージ(案)」。
 資料4といたしまして、「合理的な方法に基づく表示値の設定について」という記載イメージ。
 参考資料1といたしまして、鬼武委員から御提供をいただいた資料をつけさせていただいております。
 不足がございましたら、審議の途中でもお申出いただければと思います。
 なお、大変恐縮ですけれども、傍聴者の方も多数おられますので、御発言の際はマイクに近づいて発言をお願いしたいと思います。
 それでは、田島部会長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 おはようございます。本日は、消費者庁から増田食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日、公開することにしております。
 それでは、早速、議題に入ります。
 本日は、栄養表示基準の見直しについて、議題として取り上げております。これは前回からの継続課題でございます。
 まず、栄養表示基準の見直しについて、議論に入りたいと思います。初めに、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.栄養表示基準の見直しについて≫

○増田食品表示課長 おはようございます。本日も、前回に引き続きまして、栄養表示基準の見直しについて、御審議をいただきたいと思っております。
 配付した資料を後で谷口のほうから説明させますけれども、特に資料1、資料2の部分、若干の修正はありますが、基本的な考え方は前回お示ししたとおりです。前回、主たる議論として、断り書きをどういうふうに書くべきかという議論になったと理解しております。それで、どういうことを断り書きで書くべきか、事務局の考えを資料3にまとめております。それをもとに、資料4で具体的な記載のイメージを書いているという資料構成にしております。
 それでは、内容は谷口のほうから説明させます。

○谷口課長補佐 食品表示課の谷口です。よろしくお願いいたします。
 では、資料に基づいて説明していきたいと思います。前回の部会におきまして、記載例をお配りしておりましたけれども、そちらについて、部会長から文章を精査するようにという御指摘もいただいておりました。あわせて、前回の資料で、十分にわかりやすくお示しできていなかったと思われる部分もありましたので、改めて、今回の改正内容について資料を整理いたしました。順に説明をいたします。
 まず、資料1です。こちらは前回と基本的に同じです。文言の微修正などがありますけれども、前回の部会でお配りしたものと同じ内容となっておりますので、説明は省略させていただきます。
 次に、資料2です。こちらは改正内容を条文に落とし込んだものということで、新旧対照表になっております。前回、横書きで配付しておりましたけれども、実際の告示が縦書きですので、今回は縦書きということで整理いたしました。
 前回から修正いたしました点は、3ページ目以降の別表第二の部分ですけれども、2つ目の改正事項ということで、低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大に関する部分です。これについて規定している部分ですけれども、上の段、別表第二の第四欄のところで、なお書きの部分が今回追加した部分です。100g当たりということが前回入っておりませんでしたけれども、文言をそれぞれ追加しているということです。以上が資料2の修正点でございます。
 続きまして、資料3、資料4の説明をいたします。こちらは、今回、新たに作成した資料です。まず、資料3をごらんください。
 「栄養表示基準の改正イメージ(案)」の「(1)合理的な方法に基づく表示値の設定」ということでございます。左側が現行の制度ですけれども、栄養成分の含有量を一定値で示す場合、規定された誤差の許容範囲内にあることが求められるということでございます。例えば、上側のほうの数値は、商品のラベル上の表示として見ていただいて、下のほうの数値が、その商品を実際に分析した値という形で見てください。栄養成分表示として、エネルギー100kcal、たんぱく質2.0g、脂質5.0gなどと表示されている商品について、実際に分析してみたところ、エネルギー110kcal、たんぱく質2.0g、脂質5.5gなどといった場合に、誤差の許容範囲としては、右側の点線の中の範囲になっているということですので、表示値がこの誤差の許容範囲内に入っていれば問題なしというものです。
 資料の右側、今回の改正案につきましては、現行の制度は維持しつつ、新たな設定方法として、合理的な推定により得られた値を表示値として用いることができることを追加しようというものです。マル1が現行の維持ということで、マル2が今回追加する内容です。マル1とマル2の違いは、表示値の要件が異なっているということでして、マル1のほうは、規定された分析方法で測定した値を基準に、一定の許容範囲、ここで言うと±20%以内ということですけれども、この許容範囲内であることが要件でありまして、表示値をどのように算出したかということについては、特段、指定はないということです。
 一方、マル2のほうは、合理的な方法により得られた値であることを表示値の要件としておりまして、結果として、±20%を超える可能性について限定しないというものです。ただし、どのように算出したのか、その設定根拠を保管することを求めているというものです。食品に含まれる栄養成分については、原材料の製造場所、収穫時期などの違いにより含有量のばらつきが大きいというものもありまして、加工度が低かったり、個体差の大きい食品などでは、現行の許容範囲におさめることが困難な場合もあります。このような食品も含めて幅広い食品に栄養成分表示をすることができるようにするために、このような方法を追加してはどうかということです。
 ここで、「今回の論点」として挙げておりますけれども、マル1とマル2の違いを消費者に伝えるべきではないかということで、今回追加するマル2の方法をとる場合、例えば「この表示値は○○です」といった形で表示値の性質が異なることを記載すべきということと、記載するとすれば、どのような表現が適当かということが論点として挙げられます。
 この点に関しまして、資料4でさらに詳しく記載しておりますので、資料4をごらんください。こちらは記載イメージというものでございます。前回の部会では、具体的な記載例を列挙した資料を机上配付という形でお配りしておりましたけれども、こちらについて文章を精査するようにということで御指示をいただいておりましたし、記載例を精査するとともに、考え方を整理した記述をつけ加えたというものでございます。
 まず、食品に含まれる栄養成分の含有量を表示する場合、算出方法にかかわらず、表示値と実際の製品の栄養成分の含有量との間には多少の乖離があり得るということです。その乖離の程度によっては、特段の断り書きなどがなくても許容し得る場合と、断り書きなどがなければ許容できない場合があると考えられますので、その両者を区別して表現する必要があると思います。
 このうち、現行制度では、誤差の許容範囲内であることを要件としているだけで、何らか断り書きを記載する義務はございません。今回の改正におきましても、表示値が誤差の許容範囲内におさめられる場合(資料3-(1)のマル1の場合)は、特段の事情は今回の改定でも変わりませんので、引き続き、断り書きをする必要はないと考えられます。
 一方、今回、追加しようとする改正案(資料3-(1)のマル2の場合)は、何らかの記載がない限り、消費者がマル1との性質の違いを把握することができないということですので、その違いを明確にするためには、マル2をとる場合、その値の意味について記載することが必要だと考えます。
 その際、表示値の意味について記載する要素としては、一つは、表示値が誤差の許容範囲内にはおさまらない可能性があること、もう一つは、その値をどのように出したのか、算出方法、この2つの要素が考えられますけれども、そのどちらを記載するのか、それとも両方記載するかということで、記載の仕方としては3通り考えられます。それが、以下のA案、B案、C案という3つでございます。
 まず、A案です。表示値が誤差の許容範囲内におさまらない可能性を示すもので、具体的な記載例としては、点線の四角で囲んでおりますけれども、「この表示値は、実際とは乖離があり得ます」とか、「この表示値は、実際の栄養成分量とは異なる可能性があります」とか、「この表示値は、この製品そのものの分析値ではありません」、あるいは端的に「推定値」といったものを挙げております。
 次のB案は、表示値の算出方法を示すものでして、具体的な記載例はこちらも点線の中に書いてありますけれども、「この表示値は、サンプル品の分析値です」とか、「この表示値は、日本食品標準成分表に基づく当社計算値です」とか、あるいは端的に「当社計算値」といったものを例として挙げております。このB案につきましては、どのような方法により算出されたかを伝えることはできますが、誤差の許容範囲内におさまっているかどうかについて、先ほどのマル1との表示値の性質の違いを伝えるのは難しいのではないか、ということが懸念されるというものであります。
 最後のC案は、A案・B案両方の要素を記載しているものでございます。こちらについては、記載例にもありますとおり、ほかと比較すると記述の分量が多少多くなってしまうということでございまして、限られた食品の容器包装のスペースに記載しなければならないという場合もあることを考えると、考慮する必要があるというものです。
 以上のような記載イメージも踏まえて、今回の改正案について、御意見をいただけたらと思っております。
 資料3に戻っていただきまして、2ページ、2つ目の改正事項の「(2)低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大」についてです。これは現行制度では、栄養成分の含有量や濃度に関係なく、±20%といった一定の比率で誤差の許容範囲が設定されています。しかしながら、低含有量の場合にはこの範囲の絶対値が極めて小さくなってきますので、この範囲内におさめることが困難な場合もあるということです。このため、低含有量の場合に限って、現行の誤差の許容範囲に加えて、一定量を満たさない場合、誤差の許容範囲を拡張することとするというのが2つ目の改正事項です。
 具体的には、右のほうのグラフで見ていただきますと、例えばエネルギーについて、100g当たり25kcal未満という場合には、±5kcalまで許容範囲を拡張することを考えています。この5kcalという数値は、栄養的に意味のない量、つまり、含まれていないと解釈しても差し支えない量であることですとか、分析方法の定量下限ですとか、コーデックス規格を勘案したということで定めている基準です。現行の栄養表示基準におきましても、その数値未満であれば含有量ゼロとしたり、含まない旨の強調表示ができることと規定されている数値ということです。今回の改正は、この基準値を参考にして許容範囲を拡張しようとするものです。
 以上の2つが今回の主な改正内容です。私からの資料の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 御説明、どうもありがとうございました。
 御承知のように、食品表示の一元化というのが日程に上っておりまして、仮称の食品表示法が通常国会に上程される運びになっております。その食品表示の一元化に伴いまして、加工食品の栄養成分表示を義務化するという方向で定まっているということで、加工食品の栄養成分表示を義務化するとなると、いわゆる生鮮食品に近い加工食品については、表示値と実際の製品の値が非常に乖離するおそれがある。それを何とかしようということで、御提案があったというふうに承知しております。
 資料3がわかりやすいので、資料3に基づいて議論をしていただきたいと思います。1ページ目と裏の2ページ目とで2つ論点がございまして、まず1番目が「合理的な方法に基づく表示値の設定」、2番目が「低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大」ということで、性質が異なりますので、2番目の「低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大」につきましては後ほどの御議論にしていただきまして、最初に、「合理的な方法に基づく表示値の設定」について、御議論していただきたいと思います。
 資料3の下のほうに、「今回の論点」ということでIとIIに分けてあります。Iが、表示値の要件の性質が異なることを記載すべきかどうかということ。IIが、どのような表現が適当かということでございます。
 Iの表示値の要件の性質が異なることを記載すべきかどうかということについては、議論するほどのことはなく、当然、記載すべきだというふうに考えますが、まず、この点について御意見を伺いたいと思います。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 参考資料の1に、前回から栄養表示基準の改正ということで、2点、提案がある中の1つ目である、合理的な方法に基づく表示値の設定という議案については、前回の部会開催11月からおよそ1カ月半の間に私のほうでも考えてみました。そのことについて、詳細にはコメントペーパーとして本日は机上配布ではなく既に傍聴者を含め全員の方に配付されておりますので、見ていただければと思います。
 まず、全体的なところですけれども、これまで、栄養成分表示検討会、食品表示一元化検討会、新食品表示に対するパブリックコメントと続いた一連の議題の中で、消費者庁が提起しています加工食品の栄養表示を義務化するということについては、賛同してきました。しかし、今回の(1)の合理的な方法に基づく表示値の設定というのは、詳細のデータ、目的、適用範囲などがはっきりわかりませんので、この提案については疑問があると考えております。
 まず、栄養表示の義務化に向けての、表示一元化の中で言われています環境整備というのはそう拙速にはいかないだろうと考えています。これまで、栄養成分表示検討会でいろいろ出されている内容ですとか、それ以降の表示一元化検討会、本議案に関して出されている意見というのは、事業者団体、消費者団体、消費者、関係者、学識経験者を含めて、栄養成分義務化に関してはいろいろと高い関心もあるでしょうし、たくさんの意見があったと思います。まず、そういう中身について抽出して、精査をして、義務化の環境整備として最も効果のある課題について優先すべきであり、それが、今回の(1)の合理的な方法に基づく表示値の設定というのが果たして妥当性があるかということは、私は、前回も申し上げましたように、これはもう少し慎重に考えるべきではないかと考えております。
 これまでの経過からしますと、栄養表示の義務化の中で、栄養成分表示検討会の中では、栄養成分表示項目として日本人の摂取状況で何が重要かということで、そのときの議論では、現行の栄養成分表示の中で、栄養表示する場合にはエネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムという5成分がありますが、その表示の順番についても、栄養成分表示検討会の中では、日本人の過剰摂取の状況から最も重要な成分であるナトリウムをあえて表示順位を上位に上げて書くべきだという意見が出されていました。
 そういうことからすると、まず、栄養成分項目として栄養表示の順番をどうするのか、さらには現行の栄養表示5項目から何項目にするのか。もしくは、消費者庁がこれまで関心を高く示されていましたトランス脂肪酸の情報開示という課題についても、これはどういうふうにするのか。そこの全体的な議論なしに環境整備というのは困難であろうと考えます。今、実際に事業者が栄養表示項目として表示しているもしくは消費者がどのような栄養成分まで知りたいということで重要でありどういう栄養成分が対象になっているか、はっきりしませんから、まず、そういうものについての議論が必要でありますし、さらには栄養表示を義務化している米国、カナダなどでは表示のフォーマット自体も統一されています。日本の場合は、栄養成分表示を書くフォーマットも現状は定めがありませんから、このような作業についても俎上にのせるべきだと思っておりますし、現行の栄養成分を行う場合には、許容範囲の20%を適用し、もしくは幅表示もしても可能であるということになりますから、そういうことも含めて栄養表示をする上で有効な手段は何かということを考えるべきではなかろうかと思っております。
 栄養表示の義務化については、コーデックス委員会もしくは欧米諸国で実施されている内容との整合性、国際貿易上、WTOの観点からも、現行の(1)の合理的な方法というのは果たして国際的にも通用する規制内容かということについて、もう一度考え直していただきたいと思っています。これが全体的な改正案に対するコメントです。
 次に、個別の内容についてです。資料3を横に置いて見ていただきたいのですけれども、表示規制の在り方です。現状でも、栄養成分表示については±20%ということで、表示値が誤差の範囲におさめられる場合ということで、これが要件として定められています。今回、新たな要件としては、表示値が誤差の許容範囲におさまることが困難な場合ということで、この場合、±20%におさまらないでいいということでありますと、これは50%だろうと、100%だろうと、別に逸脱する範囲の%は規定をしないという内容であります。そもそも法律の規制上、今回の改正案でありますマル1の許容範囲内におさめられる場合と、マル2のおさめることが困難な場合というのは、相反することで、法律の規制上、こういうことを義務化することについては甚だ問題があると思っておりますし、このような規制の方法は、国際的にも海外でも、聞いたことも見たこともございません。
 2点目は、コーデックス食品表示の原則で、欺く食品というのは、そういう面では正確なものである程度の範囲内でおさまらなければなりませんし、栄養表示に求められている値というのは、当該商品を代表する製品サンプルのデータから誘導された重量平均値とすべきであると、これはコーデックスのほうで、どういうものを栄養表示と記載すべきかということが記述されています。
 3点目として、定量的な食品表示としては、栄養表示も定量的な表示項目になりますが、ほかの項目としても、計量法に基づく内容量、消費期限、加工食品の原料原産地というものは、定量的な考え方に基づいてこれまで規制されているものであります。今回の合理的な方法というのは、そういう面では全く定量的なものがありませんから、そういうもので食品表示上の規定をするということが果たしてできるかということです。
 4点目は、今回の基準改正の目的がはっきりしていないと私は思っております。栄養成分というのは原材料のばらつきがあって、おさまることが困難な場合、どういうふうなことが幅広いものとしてつけられるかということで、生鮮食品に近いようなばらつきの多い商品というものを消費者庁は想定されているのでしょうか。その辺が曖昧でわかりませんし、今回のこのような規制の改正ということになると、マル1の要件ではなく、マル2であるということを規制して、何が何でもこれですべて栄養表示ができるということを逆に言っているのか、という解釈にもなりかねないということがあると思っています。
 5点目としては、基準改正で危惧される点。やはり全体としては、WHO等もそうですけれども、生活習慣病、慢性疾患の予防・改善に役立てるために栄養表示は使われるべきであり、その値は信頼性がある程度担保されるべきものであるでしょうし、今回のマル1(±20%におさまる)にプラスしてマル2を並列して義務表示にすることに関しては、マル1自体が形骸化するという可能性も否定できません。
 6点目、執行性についてです。これは前回、監視ということについては、私のコメントペーパーのデータを提出する必要はないという記述に対し、他の委員の方から訂正されたいという意見がありましたけれども、そのときは時間の関係からあえて反論はしませんでした。私は、今回の提案自体(±20%におさめることができない場合)が果たして栄養表示されたものとして執行ができるのか。事業者は管理したデータ保管は可能と考えますが、執行する側として、マル2は栄養表示の±20%におさまらないということで、何を根拠に取り締まることができるのか、甚だ疑問を感じます。事実上、マル2に基づいて栄養表示された商品は具体的に取り締まる手段はなく、結果として違反にはならないというふうに考えられると思います。
 7点目ですけれども、今回、3つの形で表示値案が提案されていますが、実際に現状の表示を調べてきました。7ページを見ていただきますと、渋谷区内のスーパーマーケットで、加工食品について任意で29品目を調べました。実際には29品目中27品目については栄養成分表示の近傍に表示値に関するデータの根拠が記載されており、一番多い記載例は、分析法、分析機関名が記載されているものでした。2番目に、「当社分析」という形で書いているもの。3番目には、「製造者」「販売者」調べ。4番目に「計算値」の順でした。今回の事務局提案に近い内容であります「日本食品標準成分表」から選んだとかの表記例もありました。現行の場合、これらデータの根拠については任意表示の中で、食品事業者等が工夫して表示しているものです。
 現状でこういう任意表示がされていて、一方で、法律の規制で新たに今回のA、B、C案のいずれかが採用されたとして、果たしてこれが消費者にわかりやすい表示になるのか、ということです。その点からして、やはりもう一度考える必要があるのではないかと思っております。
 長くなりましたけれども、以上で私の発言を終わらせていただきます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 基本的ないろいろな御指摘、1番から7番まで御指摘をされました。特に栄養成分として何を表示すべきか決まっていない段階で、このような提案というのは、なかなか議論しにくいのではないかといった話。あるいは2番目、定量的な食品表示、目的が明確でないものに対して議論はなかなかしにくい。6番目、執行性が乏しいのではないか。最後に、現状の任意での表示との整合性がとれないのではないか、どういうふうに考えるのかといったようなお話がございました。
 まとめて、消費者庁からお答え願いますでしょうか。

○増田食品表示課長 再度、お手元には一元化検討会の報告書を配っていないので、口頭で説明いたします。検討会の報告書で、栄養表示について、国際的な動向とか生活習慣病対応の必要性を書いた上で、その基本的な考え方として、まず、栄養表示をつけていけば消費者が食生活の管理に活用し得る環境を整えていくことができると書かれております。ただ、具体的に実際の活用に至るためには、消費者への普及啓発が必要だということや消費者への普及啓発の中には、栄養表示の読み方や必要な摂取量はもちろんのこと、栄養表示には表示値と実際の含有量との間にある程度の差が生じるのは当然のことといったことについても、消費者、事業者、両方共通の認識を醸成する環境をつくっていくことが必要であると書かれております。
 そういった意味で、栄養表示はほかの表示と確かに違うところがあって、特に数字であらわすに当たって、実際に製品にばらつきがあるので、表示値と個々の製品そのものの実際量との差があることは不可避であることを前提に、表示をどういうふうにつけていくかを検討するとなっております。
 その後に、表示をつける事業者側も困難があるということを書いた上で、今後の方向性として、環境整備と義務化を、表裏一体と書いてありますけれども、両方進めていくべきだというふうに書いております。
 その後に、新しい義務化における栄養表示の枠組みについて記載がありまして、鬼武委員から出てくる、栄養成分をどうするかということについては、報告書の中では決めきれておりませんで、それは義務化の施行までに検討することになっております。
 ただ、6でその後に「環境整備」というのがありますが、環境整備の状況も踏まえつつ成分を決めることが適当だというふうに書いてあります。環境整備が全部終わるまでということではないと理解しますけれども、ある程度環境整備も進めていく中で、どういったことができるのかということを検討していくというふうに理解しております。
 もう一つ、表示値の設定方法については、現行の許容範囲に縛られないような方法、低含有量の場合の範囲拡大、幅表示の活用等を図ることが適当であると書いてあります。
 環境整備として、その後進めていくべきこととして具体的には3点挙げられていて、1点が、新たな表示方法の導入と事業者への働きかけということで、現行の誤差の範囲に縛られない方式を速やかに行うべきである。その上で、事業者に対して新しい計算方法の活用を普及していきましょうとあります。そうやって、まず、栄養表示がなされる対象を広げていきましょうということです。その下に、事業者への普及啓発の推進ということと、事業者が円滑に表示できる支援ということが書かれています。
 鬼武委員の今の御指摘の関係で言うと、もちろん、義務化の表示項目は重要事項だと思いますけれども、環境整備を進めていってどういうことができるのかというのを踏まえて考えていくことも必要であるかと思っております。環境整備の中では、今、新たな表示方法の導入のところを御検討いただいているわけですけれども、消費者庁としては、この関係で言うと、合理的な計算方法をどういうふうにしたら円滑につけられるのかということについては、委託事業で調査を開始しているところでございます。マンパワーの問題もあり、現時点においては、普及啓発については具体的な取組みにはなっておりませんが、これも全体の作業を調整しながらやっていきたいと思っております。
 最初の問いで言いますと、私どもの理解としては、やはり新しい表示方法をつくってそれを普及啓発していくことは、先に進むべき課題であるというふうに認識しております。
 次に、やり方として合理的な方法以外にもあるのではないかということですが、ここについては確かにほかのやり方も可能なのかもしれません。ただ、少なくとも事務局としてこれまで検討している中では、例えば±20%を、±30%とか±50%にしていくことはある程度可能なのかもしれませんけれども、逆に、それによってそれを超えないということをはっきり表示する側が担保できるのかという問題については、若干難しい問題があるのではないかと思っております。
 また、アメリカなどでは±20%という形ではありませんで、例えばカロリーであれば、+20%より下であればいい、片一方だけを規制するというやり方で、つけ方の容易さにも資するようになっています。こういった方法も選択肢ではあると思いますが、この方法は、一方において、例えば平均的には100kcalですけれども、150kcalの場合もあり得るとなったときには、ルールを守ろうとすれば、130kcalと書かないと150kcalのときの違反が回避できないということになって、平均的な値と違う値を誘導するおそれもあります。特にカロリーで言うと、日本のように、肥満も問題ですけれども、一方でやせの人もいるという環境の中では、必ずしも適当なやり方ではないのではないかと思っております。
 ただ、ほかの方法がよりよいというのであれば、それはもちろん検討する必要はあると思いますけれども、ここに至った、今、提案している我々としては、許容範囲を広げたり上限だけにしていくというのは、日本の消費者に情報提供するという観点から言うと、問題もあるのではないかと思っております。
 幅表示については、現行でも幅表示をするというやり方も認められておりますし、幅表示の活用も、これが進んでいくこともつけやすさの一つの方法だと思います。逆に言うと、それについては、現行、規制によってそれが障害になっている、つけにくくなっているという状況は少なくとも制度的にはないと思っております。
 ただ、幅表示についてこちらでもいろいろな人に意見を聞いたりしますが、幅表示で幾つから幾つまでと書くときに、つける事業者にしてみれば、平均的な値はともかくとして、上下限を定量的に把握するというのは、より難しいものです。つまり、平均的に100kcalであるというときに、下が例えば70~130kcalであるということを数字で書くのはかなり難しいと思います。結局、70kcalなら70 kcalと書く判断根拠が難しいということを言われております。幅表示も一つの方法ではありますけれども、幅表示であれば幅広くつけられるのかというと、なかなか幅表示だけでは難しいのではないかと思っております。
 いずれにしても、我々としては、今の方法が実際に幅広くつけていくための方法として一番有効だと思って提案をしていますけれども、ほかに有効な方法があれば、御議論をいただくべきものだと思っております。
 次の2ページの部分ですけれども、規制の在り方について、2つの方法をとるのはどういうことかということであります。ここは定め方の問題なので、そういうルールで特におかしくはないのではないかと思います。2つ、非常に差がわかるように書いていますけれども、詰まるところ、±20%の範囲で書いてください、ただし、合理的な方法をとる限りにおいては±20%を超える場合を許容しますということですので、ルールとしてそれほどおかしいものではないのではないかと思っております。これも、他のよりよいものがあれば御提案いただければと思っております。
  コーデックスの表示の原則との関係ですけれども、コーデックスの栄養表示のガイドラインにおいては、むしろポツの2番目に「代表する製品を分析して重量平均値とすべきである」ということが書かれております。逆に言うと、上のポツの「従って~許容範囲内でなければならない」については、定性的にはそういうことなのかもしれませんけれども、具体的に上限とか下限を定めなさいとか、上限とか下限の幅にある必要があるというようなことは、多分ガイドライン上は定められていないと思っております。
 ここについて非常に難しいのは、たとえ代表的な成分を分析したとしても、商品によっては、一定の範囲におさまらない可能性がある商品があるということです。例えばお弁当とか、サンプルをいくら分析しても、その他の製品が一定の誤差の範囲にあるかどうかは、多分、担保のしようがないというものもありますので、そういったものをどうするかという問題だと思います。
 コーデックスは、ガイドラインとして書かれていますので、望ましい形としてこうであるということが書いてあります。それと同時に、それ以外のものについては、認めるのか認めないのかということまでは書いてございません。ただ、各国でルールにしていくためには、むしろ外延をどうするかということを規定していく必要がありますので、コーデックスのガイドラインそのままをルール化するというのは、両者の性格の違いから言って、難しいと思っております。
 次に、他の表示との性格の違いというか、他の表示も曖昧であるかのような認識を持たれるのではないかということについては、正直言って、それぞれの表示項目ごとに性格が違うということを、普及啓発なり情報提供をしていくしかないのではないかと思っております。他の項目と同様の意味で栄養表示をさせることは、栄養成分という特性からいって困難だというふうに思っております。
 そのときに少なくとも選択肢として可能なのは、一定の誤差を超えるようなものは、表示をさせないという方向に進むのかどうかです。要するに、そういうばらつきがあるとしても表示をさせることが好ましいと思うかどうか、まず、その判断があるのだと思います。栄養成分というのは、検討会の報告書の中にありますけれども、詰まるところ、中長期的な食生活の中で平均的にその量が摂取していけるということが大事であって、一つひとつの商品においては目安でいいのではないかということが書かれており、ばらつきがあるから表示すべきでないという選択肢はとらないほうがいいのではないか、ということが前提で書かれていると理解しております。
 次の基準改正の目的については、ここにもありますとおり、まさに幅広い食品に栄養表示ができるようにするためにはどうしたらいいのかということを考えております。この方式については、部会長もおっしゃられましたように、そもそも原材料の差もありますし、ものによっては製造工程における差もあると思います。例えば、焼いたり茹でたりしたときに脂分がどのぐらい流出するかとか、揚げたりしたときにどのくらい吸油するかというのは、ある程度推定はできるにしても、当然、ばらつくわけです。それは、個々の商品の性質によってその程度も違いますので、原材料の差、製造工程におけるばらつきといったものを前提に幅広い食品につけられるようにする方策として、今回のものを御提案しているというものであります。
 ただ、これは義務化のためにやっているのかということについては、報告書でも、少なくとも現行における制度の取組みとして幅広い商品に栄養表示がつけられる仕組みを考えていくべきではないかというふうに書いてあります。そういった意味で、義務化のためというより、現段階においては、任意の制度下においても幅広く栄養表示がなされていくことが、むしろ消費者の情報提供という観点からは適切であるという理解のもとに提案しており、これが義務化の前提であるという観点には立っておりません。
 これを同時に言うと誤解もありますけれども、将来、もし義務化をするのであれば、そのときには、少なくとも義務化の対象になる食品について、規制上、合理的にその表示ができる規制環境がなければ義務化は難しいだろうと思っております。
 具体的に言えば、つけるときには現行のように、上下20%の範囲内にしなさいというルールのもとで、±20%におさめることが困難な食品が複数ある状態で義務化をするのは難しいだろうと思っております。義務化の前提としては、少なくとも義務の対象になるものは、ちゃんと規制のルールにのっとって表示できる環境が前提だと思っています。一方、誤解を招かないように言いますと、今回、だから義務化だということを申し上げているわけではないということです。
 次の3ページですけれども、今回の基準が栄養表示の信頼性を低下させることにつながらないかということについては、多分、選択肢の問題があると思います。先ほども申し上げましたとおり、今でも上下20%という誤差が許容されているわけですけども、20%以上誤差が生じるようなものには栄養表示をつけないという判断をするか、超えるものであっても、栄養表示をつけたほうが消費者にとって望ましいと考えるかの問題です。ばらつきがあるものに栄養表示をつけたから直ちに信頼性が低下するとも思えませんけれども、ばらつきがあるものにつければ、結果として表示と実際の値にそれなりに差がある食品が存在することは、否定できないと思います。これは、選択肢の問題として考えるしかないと思っております。
 執行の問題については、この方法をとる場合には、まさに執行上は根拠資料をちゃんと保管してもらって、それをチェックするということでやっていきたいと思っております。
 さらに、今の表示と一緒になってしまうのではないかということについては、前回の議論でも一部、そういう意見があったと思います。鬼武委員の参考資料にあるように、B案のような算出方法を書くと、それは今でも書いていますというのは前回も議論があり、今回の私どもの資料もそうですけれども、要するにB案のようことを書いても、ここで言う現行のやり方と20%以上の誤差があり得るというものの両者の表示の違いをあらわす表現にはならないのではないか、ということを御提案させていただいております。それゆえに、B案ではなくて、A案のような表現をとるべきではないかということを提案しているというところでございます。
 以上、長くなりましたけれども、総論的な部分があるので、御説明させていただきました。

○田島部会長 ありがとうございました。とどのつまりは、栄養成分表示をするに当たって、ばらつきのあるものを表示させたほうが消費者にとってはメリットがあるのではないか。ばらつきがあるから表示はやめましょうというのは、消費者の利益にはならないのではないか。そのための環境整備の一環として、今回、こういう御提案があったと私は理解いたしましたが、鬼武委員、どうでしょうか。

○鬼武委員 またすべてにこちらでコメントをするのは、私は栄養表示の改正にかかわる事務局ではないので、最終的には消費者庁事務局で考えていただければと思います。私の意見としては全く栄養表示をつけないでいいということではなくて、どういうアプローチが重要かということをまず考えるべきだと思っています。ですから、全く反対しているわけではなくて、具体的にもう少し説明させていただきますと、EUの資料を翻訳したものがありますので、これを見てください。
 9ページからです。EUのほうも2009年から食品表示の大改定ということで、栄養成分もEUのほうでも義務表示になるということで、これが2011年に採択されています。その中で、特に欧州委員会健康消費者保護総局(DG SANCO)が、日本で消費者庁の言う誤差のことでしょうが、EUでは栄養表示のトレランスということですが、まずガイダンスを出しています。先ほど、増田課長がいろいろ説明されていた、例えば±20%とか、言葉ではなくて、ディスカッションするペーパーとして、栄養成分表示を行う上で、今、どういう点が問題になっていて、どういう点が原料として外れているからどういうふうにしたい。例えば消費者庁の調査事業でもEUで検討されているような具体的な調査を行っているということも聞いていますので、調査事業の中でどのような場合にばらつきが生じて、その上で合理的な方法という提案であれば、まだわかります。前回と今回の提案では具体性がなく、その点が腑に落ちておりません。戻ってEUの文章でいきますと、次のページに書いてありますけれども、「緒言」ということで、栄養表示に関する公差は重要であるということですが、「天然の変動及び生産に由来するために可能ではない」など、先ほど例示として増田課長がおっしゃったことです。それから、「貯蔵の間の変動」ということですが、「食品の栄養素含量は、表示値からの逸脱によって消費者が惑わされるようになる可能性まで」と、表示値から実質的に逸脱すべきでないという基本的な考え方を、EU原則としているわけです。
 その中で原則として、例えば11ページの一般的原則のところで、どういうふうな形で外れるかということによると、一つは、分析の正確性なり原料の変動、例えば加工の影響、栄養素の影響ということがあって、その問題についてEUとしてどうアプローチをしていくかということを、まず、事細かに問題の整理をしています。日本の場合には、増田課長の説明ですと、まず法律を先につくって、そこで、ただし書きと言われていますけれども、この点が極めて曖昧で具体性がないのです。消費者庁が言うところの環境整備は、まず具体的データに基づいて議論をして、そこから導きだされた結果をまとめて整備することであり、今回の提案は順序が逆だと思います。
 EUのほうは、こういう形で例えば公差と食品安全の問題と書かれていますし、実際に、12ページの2.4のパラグラフで、測定された値が表示された値の公差外である場合に考慮されるべき要因ということで、EUのほうは、a)からj)までということで、逸脱の大きさとか、当該の栄養素によっても違うから、逸脱の本質が過大評価しているものか、もしくは過小評価しているものか。それとも、c)にありますように、当該の栄養素の自然の大きさの変動であるのか、もしくは、特別な高い分解速度ということで食品の中で展開されていくのかとか、こういう形で問題点をまず整理をしています。
 ですから、先ほど増田課長が口頭で説明するのではなく、まず論点を整理していただいて、もしくは、調査事業で現状についてデータを提示していただき、その内容について全体で議論し、その上で法整備をするということであれば、私はまだ納得できますが、今回の提案は余りにも大まかといいますか、具体性に欠け、どちらかというと定量的ではないですし、何も根拠となるデータを示しておらず、どういう点について議論をしてよいかが全くわかりません。これは多分、事業者にとってもプラスにはならないでしょうし、最終消費者にとってもプラスにはなりません。これまで述べたようにやはりいろいろ形で現行の栄養表示とも混乱するわけですから、A、B、C案であろうとも、断り書きを表示させているものと混乱させることには変わりありません。従って、表示一元化検討会でも散々議論してきた“わかりやすい表示”にはならないと思っています。

○田島部会長 どうでしょうか。ほかの委員の先生、御意見がありますか。ほかの委員の先生の御意見もお聞きしたいと思います。
 山根委員、どうぞ。

○山根委員 私もちょっと疑問が出てきております。誤った環境整備にはならないように、慎重に進めていく必要があると思いました。幅広い食品に表示をということは望まれることですけれども、そもそもの消費者の意識からすれば、±20%、40%の幅が認められていることも、決して狭くはないというような印象を持っているわけです。それがもっと広がるということで、しかも限定なしでということで許可をするとなると、危惧されることは、何でもありになってしまって、制度として望ましい発展とならないのではないか、市場や消費者の側で混乱が起きるのではないかという心配を持っております。もう少し調査や検討が必要ではないでしょうか。

○田島部会長 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 やはり消費者にとりまして、栄養成分の具体的な対象が何であるかということも重要だと思います。一般的に、許容範囲40%以内というところを広げてしまう結果になってしまいますと、例えばナトリウムや脂質など、消費者にとっては非常に重要な問題がルーズになってしまうというおそれもありますので、その点、やはり最初にしっかり踏まえておかなければいけない。ですから、無制限に現状に合った形で値を広げることも認めるという方向性は、栄養成分の要素によっては問題が大きくなるのではないかと思います。

○田島部会長 手島委員、どうぞ。

○手島委員 例えば±20%を超えるケースがどれぐらいあるのかとか、大きく乖離することはないのかということは、私も一つ疑問があります。今、増田課長が、合理的な計算方法について委託事業で調査を開始しているとおっしゃっていましたけれども、具体的にどういう例があるのかというところの調査結果を出してもらい、その上で議論というほうが、より客観的なデータに基づけるのではないかと思います。

○田島部会長 ほかに、ございますか。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 前回の部会のときも申し上げましたが、増田課長からお話がありましたように、一元化の検討会の中で、栄養表示の使い方、中長期的に消費者の方がどうやって使うのかといったところの認識をもっとしっかり持って、その上でないと、単に精度の話に目が行ってしまいますと、重量のように外れてしまうといけないという問題ではなくて、むしろ消費者の方が健康管理として、生涯を通じてどういうふうな使い方をしていくのかといった観点も、十分認識していく必要があるのではないかと考えています。その上で、ではどうしましょうかということになると思います。
 確かに、鬼武委員から御提案のあったEUの考え方というのは、細かく精査していくという方法で、一歩一歩進んでいきますというようなやり方だと思います。こういうやり方も欧米流のきちっとした、特にヨーロッパのほうでは好きなやり方です。ところが、義務化の方向性が出てきている中で、より多くの事業者が、ある程度表示のできる可能性ということも十分に検討していただきたい。これは本当に必要なことだと思います。そうでないと、義務化の段階で、±20%に入りませんから表示はできませんと認めていただくものであれば、事業者としては問題ないわけですけれども、そうではなくて、±20%の中に抑えるようにしろということであれば、これはかなり問題ではないかと考えております。
 今回、消費者庁から御提案いただいた内容について、我々としては、そういう方向もあるのかなというふうに考えておりまして、できれば、そういったことも検討していく必要があるのではないかと考えております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 学識経験者の側からの御意見が余りないのですけれども、どうぞ。

○海老澤委員 義務化していくということは、書ける範囲を決めて、その基準を決めてというように段取りを組んで行っていくことだと思いますが、先ほど増田課長から、「幅広い食品」という漠然とした話がありましたが、それはどういうものを具体的に指しているのか、手島委員がおっしゃったような、外れてくるものがどういうものなのか、そういう具体的な議論がないと、抽象的な考え方の上で議論をしていても何の解決にはつながらないのではないかと感じました。
 また、定義とか国際ルールとか、そういうものにきちんと乗っていかないと、我が国がいつも犯しがちな過ちですけれども、必ず国際ルールから外れていってしまうというところも非常に危惧します。それは、貿易上のこともありますでしょうし、また、我々は日本国内の生産者だけのものを食べるわけではなくて、外国から輸入している食品もたくさんあります。そういうものがグローバルな視点で妥当なのかどうかということと、論理的に一つずつ、定義あるいは範囲、そういうものをきちんと決めた上で、これがどうしても外れてくるというようなところがはっきりしてくれば、また、それをどのように解決していくかという、段階を追った考え方、処理の仕方というものがあるのではないかと感じました。

○田島部会長 ありがとうございました。
 春日委員、どうぞ。

○春日委員 私も、栄養の問題が実際に食品の中で非常に不安定といいますか、なかなか一定の値にならないというのは、今、御説明を聞いていて、そういう可能性はあると思いましたけれども、具体的に±20%に入らないのがどの程度あるのか、もし乖離するとすればどのぐらい乖離するものなのかという具体的なデータがないと、なかなか議論しにくいという印象を持ちました。もう少しその辺の実際といいますか、そういうことのデータを出していただけたらというふうに思いました。

○田島部会長 栗山委員、どうぞ。

○栗山委員 私も、幅の広さが生まれるものは例えばどんなものか。旬の魚とか、季節によっては魚の値とか、その原材料を使ったときというのは、そこそこはイメージしていると思いますが、私の思ったイメージが今の議論の中で正しいかどうかという確認もほしいと思いました。ですから、例えば例はこれとか、この範囲とかで、具体的なものを教えていただけたらと思います。
 もう一つ、先ほど森委員のおっしゃった、消費者がこれを見て何を考えるかということの実際的な問題を考える必要があるということと、最後の、増田課長のおっしゃった方法でやっていけると妥当だということの関連性が、よくわからなかったのです。その言葉と最後の結論の間をつなぐものが見えなかったのですが、多分、違うことだと思うのです。消費者が何をこれで考えるかということを調査することと、今の御提案に沿ってやっていくことというのは違うことだと思うので、その間をつなぐものをもう一度お願いしたいと思います。

○田島部会長 ほかに御意見ございますでしょうか。

○森(修三)委員 ただいまのご質問に私のほうから、言葉が足りなかったかもしれませんので、補足説明ということで申し上げます。前回の部会のときも申し上げましたが、皆さんもよくご存じのように、栄養表示そのものは、メタボリックな病気の原因、直ちにそれだけでなるというわけではない。その一食を食べただけではそういうものではなくて、生涯にわたって栄養を摂取していく中で考えていくべきことではないかということが、一元化の報告書の中にも入っているものでございますから、消費者の皆さんが栄養表示をどう見ていくかということを申し上げたわけでございます。それは、先ほど増田課長からも御説明があったということで、「先ほど御説明がありましたように」ということを申し上げたということです。

○田島部会長 ほかにございますか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 きょうは事業者の立場でお話しさせていただきます。栄養成分表示は、現行、実態面としてぶれというのはものすごくあるわけです。特に天然系の素材を使う場合は、例えば食肉関係を使ったソーセージやウインナーをつくった場合、5%脂質が変わるだけでカロリーが20%ぶれるというのは経験則としてわかっているわけです。ですから、20%以内におさめるということが非常に難しいという現実もあるわけです。そこのところを厳密に突き詰めれば、かなり、生鮮品の持つ個体差ということを考えれば、世の中に出回っている今の商品がどうかというと、そこは非常に疑問が出てくるものもあります。これは、商品によっても大きく異なります。例えば飲料系などは非常に正確度が高いとか、食肉とか天然素材を使ったものほどぶれるということだとすると、これはあくまでも目安なのです。目安ということを、消費者側、事業者側もある程度認識を共有し、共通認識を持った上で進めていくことしかないのだろうと思います。
 余り突き詰めれば、これはできなくなります。これは難しいと思います。20%以内と言われると、とてもじゃないけれども非常に厳しい。だから、合理的なやり方で五訂を使うことも考えられますが、病院なども五訂の数値を使って治療などに役立てておられるかもしれませんが、これは実態数値とは、違っています。季節の大きな変動だとかこういったものを考えるときに、なかなかそこまで突き詰めると、この問題はできなくなるのではないか。私は事業者側の立場でいくと、そういう感じがします。

○田島部会長 森委員、どうぞ。

○森(康益)委員 私は、先ほどの増田課長のお話を聞いていて、少し理解ができないところがあります。それは義務化という話です。今回、一元化の報告書に沿って、新しい栄養表示の制度の中で、対象食品については、原則として、あらかじめ包装されたすべての加工食品を対象に義務化をします。対象事業者は原則すべてですというような枠組みの中で、今回の改正案が出てきたということで理解をしていました。その見方をすれば、今の立石委員と同じような考え方で、今回の改正案というのはある程度理解できる。どちらかというと、正確性よりも、幅広い食品にどうやってつけていくのかといった議論の中で、今回の改正案が出てくるというのは、方向としてはそんなに間違っていないのではないかと思っています。
 ただ、先ほどの話だと、今回の改正案と義務化というのが、どちらかというと改正案があって義務化があるというような話だったので、これは卵が先かニワトリが先かという話と似ているところがあるけれども、できない部分に関しては義務化をしないというようなとらえ方のような形を先ほど私は理解しました。そこのところがはっきりしないと、今回の改正案の位置づけが、どうしてこのような改正をするのかというところもわからなくなってきたというのが本音のところでございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 私は、栄養表示というのは、基本的に広くつけていくというのは望ましい方向だと思っております。そうなると、すべての事業者、すべての加工食品に基本的にはつけていくという方向になってくるわけですが、そうなると一方で、実行可能性という部分を十分に担保しないと非常に難しいと思っています。
 先ほどから具体的な商品という話もありましたけれども、私が頭の中に一番思い描くのはやはり弁当です。弁当をどうするかということになってくると、増田課長からも弁当という話があったと思いますが、今、弁当というのは個々によって、少しずつではありますけれども量も違ってきます。実際に使用する具材についても変わってくるおそれがあるし、ややもすると日々変わるという可能性も否定はできない。もちろん、具材の調達先も変わってくる。調達先が変わってくれば中身が変わってきます。
 そういうことを考えると、実際にそれを20%におさめるということが果たして可能なのかどうか。弁当をつくっている事業者のことを考えると、これは個人事業者も当然います。そういったことを考えると、何らかの形の方策、環境整備という言葉を使っているようですが、そういうのをとらないと実際には非常に難しいのではないかという印象を持っております。

○田島部会長 阿久澤委員、どうぞ。

○阿久澤委員 許容範囲内の±20%ということの妥当性が不明瞭なまま、それにおさまらないものについて、いろいろと表現方法を変えて説明を加えても、いずれにしても実測値ではなく、このまま表示を進めると、逆にマル1の形骸化につながり、表示の意義全体が意味しないものになってしまうのではないかというふうに感じております。
 ということで、±20%、あるいは、それの範囲に入らないというものを分ける意義が薄れていることから、現状にてやるのであれば2つに分けることなく、先ほども出ましたが、五訂の数字を使った一くくりでの表示のほうが、目安として逆にわかりやすいのではないかと感じております。

○田島部会長 中下委員、どうぞ。

○中下委員 私も、消費者の立場というか、自分も糖尿病ですから、やはりカロリー表示についてはすべての食品にあったほうがいいと思っております。ただ、今、表示されているものもいろいろありますから、それを見るときに、立石委員も先ほどおっしゃったように、すべて正確に全部この値だというのは考えてもいないです。個別食品などによって違うわけですから、当然、そんなことはあり得ない。ただ、自分としては一つの目安として、そういうふうに選択し、1日の大まかなカロリー計算を自分の頭の中でしながら食品を使っているというのは事実ですから、すべての食品にそういった形であるほうが望ましいのではないかと思います。なかなか難しい選択だろうと思いますけれども、正確を期すれば義務化ができなくなるだろうと、今の状況の中では思わざるを得ないです。ですが、たくさんの食品に表示をするということになれば、正確性についてはある程度犠牲にせざるを得ないというようなところかなと思います。
 先ほどの合理的な推定方法というのが、どのくらいの誤差を生んでくるものなのかとか、そういうところは、詳細があるともう少し議論が進みやすかったのではないかと思いますけれども、いずれにせよ、個別の食品のばらつきを考えると、そうは言っても絶対に20%におさまらないものが出てくる。出てくるものを例外扱いするのかという議論になりますけれども、ここは、目安にすぎないと先ほど立石委員がおっしゃいましたが、私もそういう使い方をしているものですから、目安にすぎないというのを一応前提として、そのことをもう少しリスクコミュニケーション等で啓発をしていく中で、全部の商品にかけていくというのは必要な方向性ではないかと私自身は思っております。

○田島部会長 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 私も、なるべくたくさんのというか、すべてのものに表示があるという方向性のほうがおそらく重要で、特に栄養成分表示の性格を考えれば、必ず正確な「この数字」という固まったものではないことは皆さん理解していただけるのではないかと思っておりますし、こういう表示の仕方に国民全体がまだ慣れていないという部分があるだろうと思います。そこのところが誤解を生む、あるいは発展を妨げる要因になっているという気がするので、義務化をする場合、そしてこのような合理的な方法に基づく表示をするということであるならば、あわせて、そのことの理解の啓発を強力に進めていくことが次の段階に広げていくにも必要なことだろうと思いますので、まずはやってみるという選択をするのがよいのではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 そろそろ、御意見が出尽くしたと思います。多くの御意見をいただきましたが、栄養成分表示を義務化しようということについての御反対はほとんどなかったと思っております。問題は、栄養成分表示を義務化した際に、今までの20%以内におさまらない商品がたくさん出回ってくる。そういったものについてどう考えるか。あくまでも目安としての数値であるということを、消費者にどれだけ理解させるかということも大切だというお話もございました。
 そういったことを議論するために、まず、具体的なデータがほしいということが鬼武委員からかなり強調されました。ほかの委員からも強調されました。そういったことを考えますと、もう一度、議論を振り出しに戻して、栄養成分表示を全面的に行うことは前提にしても、どの程度実際に20%から外れる商品が存在するのかといった具体的なデータ、あるいは、今回の御提案をされた表示をした場合、果たして消費者がどういうふうに考えるか。本当に理解できるのかどうかといったことももう少し精査しないと、いきなりA案、B案、C案を示されても議論できないというのが、この部会の雰囲気だというふうに私は総括をいたします。
 ということで、残念ですけれども、もう一度、消費者庁のほうでは、いわゆる定性的な議論ではなく、定量的な議論ができるようなデータを御用意していただいて、次回にもう一度御提案をしていただきたいということにしたいと思いますが、委員の皆様の御意見はいかがでしょうか。

(「はい」と声あり)

○田島部会長 もう一言、付言させていただきますと、これは部会長の個人的な見解でございますが、消費者庁から、今回、A案、B案、C案と3つの御提案をいただいておりますが、どうなのでしょうか。このどれかを部会に選ばせるというやり方は、私は余り適当ではないのではないかと思います。消費者庁として、それは自信のなさのあらわれの裏返しだと思うのです。消費者庁が自信を持って御提案するのであれば、どれか一つの案で御提案すべきだと私は思います。それについて部会の先生方の御意見を伺う。普通、いろいろな審議会はそういった御審議をするケースがほとんどだと私は理解しています。3つの案を提案してどれか選んでくれというのは、ある意味では消費者庁の責任逃れというような感じがいたします。この点も含めまして、再提案していただければと思っております。これは部会全体の意見ではなく、部会長個人の意見でございます。
 それでは、資料3の「(1)合理的な方法に基づく表示値の設定」については、再提案いただくということで、「(2)低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大」については、前回も御議論いただきまして、前回はほぼ合意に達したと思いますが、改めてこちらのほうも議論したいと思います。
 含有量が低くなってくると、範囲を示したとなると、絶対値としてはものすごく小さくなってしまう。そうすると、なかなか守れないので、絶対値を大きくすると逆に範囲は拡大してしまう。それを許すかどうかといった御提案でございますが、改正案について御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。
 これは前回も議論して、大方の御理解は得ておりますので、よろしゅうございますか。

(「はい」と声あり)

○田島部会長 それでは、(2)は原案のとおりということにさせていただきます。今後の取扱いは、1番が決まらないと、2番だけでは今後の進行はできないと思っておりますが、それでよろしゅうございますね。
 それでは、本日の議題は以上です。
 ほかに、消費者庁のほうから何かございますか。

○増田食品表示課長 上下20%を超えるような場合、どういう場合があるのかなど、資料を整えるというのは検討させていただきたいと思いますけれども、非常に抽象的だというのは自分たちでも意識がある反面、この問題の難しいところは、そもそも今、表示されていない食品について、20%以上の乖離があるかどうかを調べること自体が非常に困難であるということです。そもそも、どういうものでなければ食品として存在してはならないかということ、要するにどういう食品でも、食品衛生上問題がなければ世の中に存在している中で、栄養成分表示がどのくらい実測値と乖離があるのかというのは、食品が自由である以上、その外延を画することは多分できないと思います。ただ、幾つかサンプルを持ってくると、この食品だとこのぐらい差があります、あるいは、考えられる差としてはこのぐらいありますというのは、サンプルを調べるなり一定の前提を置いて計算してみるということで、出すことはできると思いますけれども、そもそも、日本に今ある食品がその範囲におさまっているかということについては、論理的にそういうことはあり得ませんので、そういうものとして次に提出するものとして御理解いただきたいと思います。
  義務で表示させていくことすべてに対する難しさと同等だと思いますけれども、そもそも食品を自由につくることができるという中で、義務で実行できるかどうかを判断していくので、定量的に外延とか、これならできるとか、逆に言うと、これでできない食品は存在することが適当でないということは、結果として表示できなければ販売できなくなるということにもなりますので難しいのではないかと思っております。
 それと、今後の議論の方向にも若干かかわりますので、当方として考えていたことを申し上げたいのですけれども、今回の議論でも、今の±20%というのは容易に緩くしないほうがいいという意見が一方でございました。今回、やり方を2通り許容しますが、その差が明確にわかるように断り書きという形で書くようにしましょうというのは、一方において、消費者として±20%の範囲でおさまるものを引き続き選べる環境をつくるという意味では、多分こういう方法しかないだろうと思っています。
 具体的に申し上げますと、例えばこの方法を±30%とか±50%にするとか、上限だけで切るとか、そういうふうにすれば、商品全体から±20%の範囲で選択することはできなくなるので、今の環境を守るということを考えると、こういう二本立てでどこかで識別するという方法があります。それが適当かどうかはともかくとして、そもそも20%の根拠という話もございましたけれども、正直、我々もいろいろ調べましたが、20%に確たる栄養学的根拠があるかというと、どうもそういうものは見当たりません。むしろ、その当時やっていた諸外国、例えばアメリカの上限20%とか、そういったものを参考に決めております。これは、技術的に入る範囲ですとか、そういった実際の通用性ということを、範囲で決めているというものであります。
 誤差がどの程度許容されるかは、食品というより、選ぶ消費者の体の状況とか、そういったものによって違うものなので、そこも±20%を絶対視することが適当かという問題はありますけれども、一方で、今の水準がちゃんとわかるようにしてほしいという要望はあると思いますので、そこにも応えることを考えると、多分、方法としてはこういう形なのではないかというふうに思っております。
 部会長からお話のあったA案、B案、C案は、御指摘ごもっともなところがありまして、当方としては、少なくとも今回の紙はA案でどうでしょうかということを、実質、御提案をしたかったということでございます。
 いずれにしても、再度、いろいろ資料を整えて御議論をいただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 増田課長、混乱していると思うのです。まず、基本的な栄養表示をつけるということの考え方等も示した上で、それから外れる例外事項の取扱いを整理すべき、先ほど説明した中には五訂に基づいて表示されている例があります。例えば乾燥ひじきは、五訂から持ってくれば、分析しなくてもつけているメーカーさんもあるし、そういうサンプルというのは世の中にたくさんあるわけですし、多分±20%におさまっているのです。そういう商品群を解析して、さらにコンポジットというか、混ぜ合わせたような弁当というのはどのような栄養表示のつけ方が可能であるのか、そういうことは、調査事業でやられているかどうかわかりませんけれども、区分して商品分類ごとの特性を解析すれば栄養表示をすることが多分できると思います。
 だから、非常に漠とした言われ方をして、次回は提案するのですけれども、こんなペーパーでどうですかと言われても、我々は事務局ではないので、もう少し中身として考えてもらいたいわけです。そういう面で先ほど説明したヨーロッパや海外のことも含めて、基本的に栄養表示をつけるということはどういう意味があるのか。20%の差を許容するのかどうかも含めて考えて、栄養成分を幅広くつけるためにはどうするかというふうに考え方をまず整理して、それを討議資料として出してください。
 あわせて、説明されたような現状について、商品としてはこういうものがばらつきがあるとか、原料としてはばらつきがある、加工して熱をかけることでばらつきがある、もしくは、保存期間中、6か月ないし10か月を過ぎればビタミンCとかも減衰してしまうとか、いろいろファクターがあるわけです。そういうものを少しずつ例示してもらえれば、全体の枠組みとしてどういうものが必要か、できないものかどうかというふうにわかるけれども、まだ整理ができていないような気がして仕方ないのです。1カ月でできるかどうか、無理だったらその先でもいいですけれども、少しじっくり考えてその上で論点を整理して出してもらって、それを議論の遡上にのせてもらうことを希望します。全体としては今発言したような内容であり、そういう考えで整理していただきたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 それでは、事務局から連絡事項等、ございますでしょうか。

○原事務局長 たくさんの御意見をありがとうございました。少し準備に時間がかかるかもしれませんので、消費者庁とも相談して、次回の日程を決めさせていただきたいと思います。
 事務局からは以上です。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)