第20回 食品表示部会 議事録

日時

2012年11月29日(木)13:59~16:03

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、夏目部会長代理、青柳委員、阿久澤委員、鬼武委員、春日委員、
 迫委員、澁谷委員、立石委員、手島委員、中下委員、森(修三)委員、
 森(康益)委員、山浦委員、山根委員
【説明者】
 消費者庁  増田食品表示課長、谷口課長補佐、船田課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.栄養表示基準の見直しについて
3.玄米及び精米品質表示基準の見直しについて
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:57KB)
【資料1-1】 栄養表示基準の改正(案)について(PDF形式:21KB)
【資料1-2】 栄養表示基準一部改正(案)新旧対照表(PDF形式:124KB)
【資料2】 砕粒等が混入した精米の食味試験等調査の結果報告(抜粋)(PDF形式:439KB)
【参考資料1-1】 我が国の栄養表示制度及び栄養表示の必要性について(PDF形式:883KB)
【参考資料1-2】 栄養表示基準に関する参照条文(PDF形式:304KB)
【参考資料1-3】 栄養表示基準(PDF形式:501KB)
【参考資料2-1】 砕粒等の流通実態について(PDF形式:203KB)
【参考資料2-2】 各論点の今後の考え方(PDF形式:41KB)
【追加資料】 机上配布資料(鬼武委員提出資料)(PDF形式:191KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会食品表示部会(第20回)」の会合を開催いたします。
 本日は、川戸委員、海老澤委員、栗山委員から、所用により御欠席との連絡をいただいておりますが、過半数に達しておりますので、本日の部会は成立しております。なお、山浦委員が少しおくれて御参加ということで、御連絡をいただいております。
 まず、会議の開催に当たりまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 第20回の議事次第と書きました裏の面に、配付資料の一覧を載せております。
 座席表の後ろから、資料1の関係は、栄養表示基準の改正についての関連資料になります。
 資料2といたしまして「砕粒等が混入した精米の食味試験等調査の結果報告(抜粋)」をつけております。
 その後の参考資料になりますけれども、参考資料1-1、1-2、1-3は、栄養表示基準に関連する資料になります。
 参考資料2-1、2-2については、砕粒等の審議のところに使います資料となっております。
 机上配付資料といたしまして、栄養表示基準の記載例のイメージ。それから、鬼武委員から御提出いただいた資料をおつけしております。
 不足がございましたら、また審議の途中で申し出をいただければと思います。
 なお、大変恐縮ですけれども、本日、大変傍聴者の方も多いので、御発言の折にはぜひマイクに近づけて、発言内容がはっきり聞き取れるようにお願いしたいと思います。
 それでは、部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は、消費者庁から増田食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては、公開で行います。議事録についても後日公開することといたしております。
 それでは、本日の議題に入ります。本日は「栄養表示基準の見直しについて」、「玄米及び精米品質表示基準の見直しについて」を議題として取り上げます。
 それでは、議事次第2の「栄養表示基準の見直しについて」の議論に入りたいと思います。
 消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.栄養表示基準の見直しについて≫

○増田食品表示課長 消費者庁食品表示課の増田でございます。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、栄養表示基準の改正の関係でございます。健康増進法に基づきます栄養表示基準の改正、これにつきまして、食品衛生法、JAS法と違って、法律上、消費者委員会の意見を聴くことにはなっておりませんが、同じ食品の表示基準に関することということで、御審議をしていただくようにお願いしたところであります。
 まず、議論を引き受けていただいたことを感謝したいと思います。
 概要は、担当のほうから詳しく説明いたしますけれども、主な点といたしましては、今、栄養表示基準で栄養成分、基本的にはカロリー及び4つの主要成分の数値を書くということになっておりますが、書くに当たっては原則±20%の範囲の中に設定することということで、カロリーで言えば、100kcalと書けばその中身は80~120kcalの間には入っているようにしなさいとなっております。
 現行は、栄養表示は任意でございますので、それに当てはまらない、入らないかもしれない、あるいは入るかどうかわからない場合は、結果としては表示をしないという選択をするというのが今の状況でございます。
 栄養成分については、原材料、例えば肉を使っていれば肉の脂身の量などによって脂質がどの程度含まれるかはかなりの差がございます。ナトリウムのように量が少ないものは、どうしても誤差も大きくなるということがございます。
 そういうことがあって、実在する商品の中には、必ずしも一個一個の商品が±20%ではおさまり切らないものがあり、少なくとも事業者サイドから見て、おさまるということが確認しがたいというものがございます。そういったものに対しても、幅広く栄養表示をつけていただくという取り組みをしたいということで、今回考えましたのが、一定の表示等を付記することによって、±20%の範囲におさまらなくても、栄養表示をすることができる場合を規定したいというものでございます。
 以上が概要でございますが、資料に沿って内容説明を担当のほうからさせます。

○谷口課長補佐 食品表示課の谷口と申します。よろしくお願いいたします。
 私のほうから、栄養表示基準の改正(案)について説明していきたいと思います。
 まず、改正(案)自体の説明の前に、現行の栄養表示制度の概要と今回の検討の背景について説明します。
 参考資料1-1、横紙の資料でございます。よろしいでしょうか。
 まず、表紙をおめくりいただきまして、現行の栄養表示基準の概要です。
 販売する食品について、何らか栄養表示をしようとする場合には、健康増進法に基づく栄養表示基準に従いまして必要な表示をしなければならないこととされているということで、つまり、先ほどもありましたように、義務表示ではなくて任意の表示制度となっています。
 この栄養表示につきましては、主に3つの類型がございまして、1つ目が栄養成分の含有量表示というものです。
 2つ目が、“カロリーゼロ”ですとか“カロリー何パーセントカット”といったような形で、栄養の強調表示というものがございます。
 3つ目といたしましては、栄養成分の機能の表示というものもございます。
 今回の改正に関係する部分は、1つ目の含有量表示です。
 3ページ目です。含有量表示についての説明でございます。
 栄養表示をする際の必要表示事項といたしまして、100g当たりですとか1食分当たりといった、単位当たりの量を表示するというものでございまして、真ん中に挙げておりますこの5つを最低限表示していただくということで、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムという5つで、これをまとめて一般表示事項ということもありますが、この5つを表示することとなっております。
 この含有量を表示する際に、一定の値で表示するに当たりましては、誤差の許容範囲というものが定められておりまして、一般表示事項の5成分につきましては、分析値を基準として±20%の範囲内とされております。
 次のページに入っていただきまして、栄養表示制度の前提といたしまして、食品中の栄養成分の特性と栄養成分表示の特徴を御紹介していきたいと思います。
 まず、食品の栄養成分自体は、右のほうにも挙げてありますとおり、季節変動ですとか個体変動ですとか、加工(調理)方法などさまざまな要因によりまして変動するものであるということですので、製造者の管理ですとか努力というものによりましても、含有量にある程度の差が生じることは避けられない特性があるというものでございます。
 これを前提としつつ、栄養成分表示というものの特徴といたしましては「栄養の可視化」を進めるツールであるということでございます。つまり、通常目に見えない食品中に含まれる栄養成分を見える化して、消費者に情報として伝えるものであるということですとか、消費者が健康でバランスのとれた食生活を実現するために参考となる目安量を示すものであるということで、長期間にわたって活用されるものであることなどが特徴として挙げられると思っております。
 次のページに移っていただきまして、栄養表示が目安であるという前提につきまして、消費者が理解されているのかどうかという実態を示したものが、次のグラフでございます。
 消費者庁のほうで、昨年「食品表示に関する一元的な法律の制定に向けた消費者意向等調査事業」を実施しておりまして、その中で栄養表示の活用方法についても尋ねたところでございます。その結果、栄養表示を利用する際に、7割以上の方がエネルギーや栄養成分を大まかに把握したり、食品を比較する際に参考としていると回答しておりまして、栄養表示の趣旨というものはおおむね理解されているものと考えられます。
 6ページ目からですけれども、栄養表示に関するこれまでの消費者庁での検討を簡単に御紹介したいと思います。
 国民の健康意識の高まりですとか、国際機関、諸外国におきまして進められております栄養成分表示の義務化に向けた取り組みなど、そういった状況を踏まえまして、平成22年12月~23年7月にかけまして、栄養成分表示検討会を開催いたしまして、報告書を取りまとめたということでございます。
 この議論の中でも、栄養表示の義務化に向けた課題の整理ということで、例えば誤差の許容範囲に関する技術的な問題ですとか、表示方法に関する問題なども挙げられているということでございます。
 次のページに入らせていただきます。食品表示一元化検討会というものがございます。これは先日当部会でも報告させていただいたところでございますけれども、JAS法ですとか、食品衛生法ですとか、健康増進法という、食品表示の関係法令を一元化するということを検討するために、昨年9月~本年8月まで開催してきたものでございます。この検討会の中では、栄養表示についても議論がなされまして、新制度における栄養表示の考え方が整理されております。
 この中で、表示の設定方法といたしまして、例えば計算値方式の導入ですとか、低含有量の場合の許容範囲の拡大といったことなど、今回の改正に係ることについても述べられているところでございます。
 次のページに移らせていただきます。ここからは、栄養表示の必要性につきまして、健康・栄養政策との関係を御紹介していきたいと思います。
 左側のほうですが、例えば「健康日本21」というものがございまして、これは平成12年から推進してきたものでございますが、この中で「栄養・食生活」分野の目標の1つといたしまして、脂肪エネルギー比率の減少ですとか、食塩摂取量の減少ですとか、外食や食品を購入するときに、栄養成分表示を参考にする人の増加といったことが目標として挙げられております。
 また、右のほうで「食生活指針」でございますが、これは「健康日本21」と同時期に公表されたもので、「健康日本21」の目標に対しまして、具体的な実践を進めていくための手立てとして作成されたものでございます。この中で、食塩や脂肪は控えめにという目標に対して、栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけることといったことが、具体的な実践として取り上げられているものでございます。
 9ページ、こちらは先ほどの「健康日本21」で目標としていた項目につきまして、昨年厚生労働省で最終評価を行った結果というものの一部の資料でございます。この結果の中で、適正体重を維持している人の増加ですとか、脂肪エネルギー比率の減少といったものにつきましては、若年世代へのアプローチが必要とされたところでございます。
 また、食塩摂取量の減少につきましては、個人の努力だけでは限界があることから、栄養成分表示の義務化や環境介入が必要といった形で取りまとめられてございます。右下のところでございます。
 10ページ、ここから健康ですとか栄養ですとか、栄養表示に関する消費者の意識についての調査結果を御紹介していきたいと思います。
 左側のグラフなのですけれども、こちらは内閣府のほうで平成21年に行ったインターネット調査の結果でございます。その中で栄養バランスを意識して食事をとっているかという問いに対しまして、「おおむね意識している」と「時々意識している」という回答を合わせますと、おおむね8割以上の方が栄養バランスを意識していると回答しているという結果でございます。
 右側のグラフはまた別の調査で、平成17年度に厚生労働省で行った国民健康・栄養調査の結果でございます。その中で、食習慣を改善しようとする場合、どのようなことが必要と思うかという問いに対しまして、男性の約6割と女性の約7割が、栄養成分表示が必要だと回答しているところでございます。
 こういった結果からも、健康ですとか栄養ですとか、栄養表示に関する意識というものは比較的高いということが伺えると思います。
 11ページ目、こちらの図は栄養表示の利用状況について、過去10年の推移を示したものでございます。
 先ほど紹介いたしました「健康日本21」の最終評価においての話ですけれども「外食や食品を購入するときに栄養成分表示を参考にする人の増加」につきましては、男性も女性もともに有意に増加しているということで、女性は目標値にも達しております。
 一方で、男性につきましては、目標値にも達していないという状況でございまして、やはり食事の内容ですとか、量の調整というものに活用できる栄養成分表示について、義務化といったような環境整備を促す制度の見直しも必要であるということが、今後の課題で述べられております。
 12ページ目です。こちらは昨年、消費者庁で実施した消費者意向調査のデータでございます。
 こちらは加工食品を購入する際に、商品選択のために栄養成分表示をどの程度参考にしているかということを尋ねたところ、男性の約5割と女性の約7割が、商品選択のために栄養成分表示を参考にしていると回答しているものでございます。
 また、栄養成分表示を、いつもですとか時々参考にしていると回答した人に対しまして、さらにその理由をお尋ねしたところでございますが、6割~7割の方が健康管理のために参考にしていると回答しております。
 13ページ目、左側のグラフにつきましては、先ほど紹介いたしました消費者意向調査の中のデータでございますけれども、栄養成分の表示をどの程度必要だと思うかということについて尋ねたところ、男女とも9割近い人が必要だと思うという形で肯定的に回答されております。
 さらに、右側のグラフにつきましては、栄養成分表示の必要性というものと、商品価格というものの関係についてお尋ねしていまして、表示をつけるためのコストが商品価格に反映されるということについて、どう捉えているかというものを尋ねたものでございます。
 その結果、「コストが商品価格に反映されても栄養成分の表示は必要」ですとか、「コストが商品価格に幾らか反映されるのは仕方がない」といった形で、何らか商品価格へ反映されることに対して認めるような回答が7割以上を占めています。このように、栄養成分表示が非常に求められている状況が伺えるものと思われます。
 次のページから、諸外国の栄養表示に関する現状を紹介したいと思います。
 14ページの資料ですけれども、これは世界における健康・栄養施策と栄養表示の関係を示したものでございます。
 左側のほうに書いておりますのが、WHOの「食事、運動、健康に関する世界的戦略」というものでして、世界的に増え続けております非感染性疾患、生活習慣病ですが、こちらの予防に取り組む必要性があるということで策定されたものでございます。
 この戦略の中で、食事に関する勧告というのもなされておりまして、その際に、健康・栄養政策の1つとして、表示についても言及されています。「消費者は健康的な食品選択を行うために食品の内容について正確で、標準化され、かつ理解しやすい情報を求めている。公共における健康への取組を強化させる上で、コーデックス規格を活用しても構わない」、こういうことなどが記載されているということでございます。
 コーデックス委員会のほうではこれらの報告を受けまして、栄養表示に関するガイドラインなどを検討して、具体的な表示の規定などについてまとめてございます。
 それについては、次のページに入っていただきまして「コーデックスにおける栄養表示に関する議論」ですけれども、コーデックス委員会のほうでは、ここ数年、栄養表示の義務化に関する討議が進められてきたということでして、今年のコーデックス委員会の総会までで大きな改定がなされたということでございます。
 項目としては主に2点ありまして、1つ目は、2011年に、栄養表示を行う場合に必ず表示すべき事項といたしまして、それまでの熱量、たんぱく質、糖質、脂質に加えまして、総糖類、飽和脂肪酸、ナトリウムが追加されたということでございます。
 2つ目は、2012年、強調表示を行っていない包装食品に関する栄養表示につきましては、これまで任意であったものについて、原則義務とすべきと修正されたということでございます。
 資料はございませんけれども、各国の栄養表示の状況というものに簡単に触れさせていただきますと、義務化が先行しておりましたアメリカについては、栄養表示は義務ということで、表示すべき事項も非常に多いということで、アメリカでは14項目、サービングサイズを入れると15項目となりますが、表示事項は非常に多くなっております。
 EUでは、昨年、栄養表示を義務化するということが決定されておりまして、こちらのほうは表示すべき事項というのは、コーデックスで先ほどありました必要表示事項とされたものと大体同じものとなっております。
 韓国では栄養表示は義務化されておりまして、表示事項といたしましては、日本での先ほどの一般表示事項5項目以外にも、飽和脂肪酸ですとかトランス脂肪酸、コレステロール、糖類といったものについて、義務表示ということになってございます。
 以上が海外における状況でございます。
 資料は16ページからでございますけれども、最後に栄養表示をつけていくための課題について御紹介していきたいと思います。
 先ほど御紹介しました栄養成分表示検討会におきましても、消費者の食生活の改善に資するためには、栄養に関する情報が積極的に情報提供されるべきで、そのためには多くの食品に栄養表示がつけられるべきであるとされましたけれども、先ほど栄養成分の特性のところで紹介しましたとおり、食品中の栄養成分というものは、そもそもばらつきが生じるものであるということで、例えば個体差の大きい惣菜ですとか弁当といった食品については、その誤差の許容範囲におさまることが困難な場合もございます。そういった場合に、栄養表示に厳密な正確性を求めるということには一定の限界があります。
 そこで、誤差の許容範囲につきまして、柔軟かつ合理的な許容範囲を設定することを検討することが必要となっております。
 この点につきまして、次の17ページでございますけれども、食品表示一元化検討会の報告書の中でも触れられておりまして、現行制度のもとでも、幅広い食品に栄養表示をつけることができるようにするため、現行の許容範囲に縛られない計算値方式の導入といったことですとか、低含有量の場合の許容範囲の拡大といったことが述べられてございます。
 以上が、今回の改正の検討の背景でございます。
 資料1-1に移らせていただきまして、今回の改正の内容について説明させていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 検討の背景については、先ほど来御説明したとおりでございますけれども、今回の改正につきましては、栄養表示を義務化するか否かにかかわらず、現行の任意制度のもとでも幅広い食品に栄養表示をすることができるようにするためということで、所要の改正を行いたいというものでございます。
 主な改正内容といたしましては2つございます。
 まず、1つ目の(1)「合理的な方法に基づく表示値の設定」についてでございます。
 現行制度におきましては、先ほど来御紹介しておりますとおり、栄養成分の含有量を表示する方法といたしましては、一定値または幅表示で表示することとされておりますが、そのうち一定値につきましては、栄養成分ごとに決められた分析方法、公定法と言っておりますが、それによって得られた値を基準といたしまして、規定された誤差の許容範囲、ここでいうと±20%というところですが、その範囲内にあることとされておりまして、これを超えてしまうと違反になってしまうということでございます。
 次のページでございますけれども、しかしながら、食品に含まれる栄養成分につきましては、原材料の製造場所ですとか、収穫時期などの違いによりまして、含有量について非常にばらつきが大きいということでございますので、加工度が低いような、例えば個体差の大きい食品などにつきましては、表示値を現行の誤差の許容範囲内におさめることが困難な場合もございます。
 こういった食品も含めまして、幅広い食品に栄養表示をすることができるようにしていくためには、現行の誤差の許容範囲の規制を一定程度見直すことが必要となっております。
 ただ、その見直しに当たりましても、表示される値が消費者にとって目安として十分に許容できるものであることが重要だと考えておりまして、現行の誤差の許容範囲というのは原則的に維持しつつ、例えば原材料における栄養成分の量に基づき、算出し得られた値ですとか、当該食品と同様の組成と考えられるものを分析して得られた値などといった、何らか合理的な推定によって得られた値というものであれば、表示値として用いることができることとするということが、1つ目の改正事項でございます。
 合理的な推定の方法について、真ん中あたりの点線で囲まれた部分に具体例を挙げておりますけれども、例えば日本食品標準成分表など、公的なデータベースから得られた個々の原材料の栄養成分の量を、当該食品の重量に応じて算出していく方法ですとか、同一レシピのサンプルを分析する方法といったことを想定しているものでございます。
 ただ、この場合、こういった値を用いることができる要件といたしまして、2つの要件が必要と考えております。それが点線部分の下の部分でございます。
 1つ目の要件といたしましては、表示値の趣旨というものが消費者に適切に伝わるように、その値の意味を明瞭に記載していただきたいということでございます。
 2つ目の要件といたしましては、その下の段落の「また」以下のところですが、表示の監視等に当たりまして、その値がどのようにして算出されたのかということを、行政機関の求めに応じて説明できるようにしていただくために、表示値設定の根拠資料というものも保管しておいてくださいということでございます。
 この2つの要件を満たす場合に、現行の誤差の許容範囲に縛られることなく、合理的な推定によって得られた値というものを、表示値として用いることができることとするというものでございます。
 以上が1つ目の改正事項でございます。
 2つ目の改正事項でございます。
 3ページ目「(2)低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大」でございます。
 現行制度では、先ほど来説明しておりますとおり、栄養成分の含有量ですとか濃度に関係なく、±20%といった形で一定の比率で誤差の許容範囲が設定されております。
 しかしながら、低含有量の場合には、この範囲の絶対値が極めて小さくなるということで、この範囲内におさめることが非常に困難な場合がございます。
 ここに挙げております例で、熱量、エネルギーの場合ですと、100g当たり10kcalといった食品につきましては、±20%では、許容範囲というのが8~12kcalとなっておりまして、非常にその範囲が狭いということになります。実際、この範囲内におさまるようにコントロールしていくのは非常に困難と考えられます。
 ですので、こういった低含有量の場合に限りましては、現行の誤差の許容範囲に加えまして、一定の量を満たさない場合に、誤差の許容範囲を拡張することとしてはどうかというのが、2つ目の改正事項でございます。
 具体的には、今回、例えばエネルギーにつきましては、100g当たり25kcal未満の場合には、±5kcalまで許容範囲を拡張することを考えています。真ん中あたりの右のグラフでいきますと、実線の部分が現行の許容範囲ですが、点線部分のほうに今回、拡張していくことを考えています。
 5kcalという数値につきましては、栄養的に意味のない量、つまり、含まれていないと解釈しても差し支えないような量であることですとか、分析方法の定量限界ですとか、国際基準のコーデックス規格など、そういったものを総合的に考慮して定めた基準値でして、現行の栄養表示基準におきましても、その数値未満であれば、含有量をゼロとしたり、含まない旨の表示ができると規定されているという数値でございます。
 今回の改正は、こういった基準値を参考にいたしまして、この許容範囲を一定程度拡張しようというものでございます。
 以上が主な改正内容ですけれども、これを具体的な条文の案に落とし込んだものが、資料1-2という新旧対照の形になっているものでございます。
 栄養表示基準の中で、第3条に「表示の方法」が定められておりまして、まず、第1項の第4号という部分で、栄養成分の含有量について一定値また幅表示で記載することなどが規定されています。
 その下の第6号というところで、一定値につきまして、誤差の許容範囲内にある値であることなどが記載されています。6号の前半部分でございます。
 今回は、1つ目の改正事項につきましては、2ページ目でございますが、第3条の第3項として追加することを考えております。
 ここで、次に掲げる要件の全てに該当する場合には、第1項第6号の規定にかかわらず、一定の値について合理的な推定により得られた値などを記載することができるとしています。
 また、ただし書きの部分は、補給ができる旨ですとか、適切な摂取ができるといったような強調表示をする場合には、今回の緩和措置というのは適用しないということを書いています。
 今回の緩和措置を適用するための2つの要件につきましては、第1号と第2号という形で規定することとしております。
 第1号の規定ぶりにつきましては、下の点線で囲まれた箇所に3つの案を示しているところです。
 第1案というのは、表示された値の推定の方法を記載する案でございます。
 第2案というのは、表示された値が実際に分析して得られた値というものとは必ずしも一致しない可能性があるということを示すような記載をするという案でございます。
 第3案というのは、第1案と第2案で示した両方を併記するという案でございます。
 こういった形で3つの案を示させていただきましたのは、食品の容器包装という限られたスペースの中で、消費者に適切に表示値の意味を伝えるためにはどこに重点を置くべきかということについて、その違いを明確にするために複数の案という形でお示ししたものでございます。
 この部分につきましては、具体的な記載例のイメージというものを、別途机上配付資料という形で1枚紙で配付させていただいておりますが、こういった具体的な記載例のイメージなども参考にしていただきまして、どういった案が適切と考えられるかということについて、御意見をいただけたらと思っております。
 2つ目の改正事項につきましては、新旧対照表の3ページ目でございます。
 こちらのほうで別表第2というものがございますが、ここで規定をしております。別表第2の第4欄という部分が、誤差の許容範囲を規定している箇所ですが、ここに低含有量の場合の範囲の拡張というものを追加することを考えています。
 以上が具体的な条文の改正案でございます。
 最後に、資料1-1の3ページ目に戻っていただきまして、主なスケジュールということについて簡単に触れさせていただきたいと思います。
 本日11月29日ということで、食品表示部会、こちらのほうで御議論を開始いただいたということでございます。この後、改正案等について了承が得られれば、パブリックコメントの手続に入らせていただいて、その後、パブリックコメントの結果等も踏まえまして、再度食品表示部会のほうで御審議いただきたいと考えておるところでございます。
 大変駆け足になりましたけれども、私からの説明は以上でございます。

○田島部会長 御説明どうもありがとうございました。
 御説明にありましたように、今回提示されたものは、論点が2つございます。
 1つ目の論点が、合理的な方法に基づく表示値の設定についてでございます。3つの案が提示されております。
 第2の論点は、低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大についてでございます。
 ということで、この2つにつきましては、非常に内容が異なりますので分けて議論をしたいと思います。
 その前に、今回の改正の趣旨、背景を確認したいと思います。御理解いただいたと思いますけれども、まず、改正の背景について、御意見がございましたらお寄せください。
 よろしくお願いします。
 改正の背景につきましては、今まで消費者庁が行っていました食品表示一元化検討会、表示の拡大に関する検討会でもって議論をかなり尽くしているので、改めては必要ないと思いますが、念のため。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 全体的な話に関連しまして、対象品目なのですけれども、今、御紹介があったように、世界において、特に韓国などで飽和脂肪酸とかトランス脂肪酸とか、そういったものも対象にするという動きもある中で、5つの品目だけに限定しただけでいいのかということは非常に気になるところで、今回の改正の対象ではないのかもしれませんが、今後対象を拡大するということは、世界的に見ても必要ではないかと思いますので、この点を留意する必要があると思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 表示対象の拡大につきましては、今後の具体的な食品表示一元化の法律改正の中で議論されることだと思っております。
 ほかにございますでしょうか。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 既に触れられていること、または、触れさせていただいたことと重複する部分でございますけれども、現在の日本人の健康問題の中で、高血圧の患者さんたち、そういう症状を持っている方たちが3,500万人から4,000万人いらっしゃる。糖尿病の方が2,200万人いらっしゃる。
 そういう疾病が多く発症する年代というのが、いわゆる成人の中でも40歳以上。40歳以上の人口を母数にして概算を出してみますと、高血圧については60%を超えていて7割近く。糖尿病についても4割まではいきませんが、それに近い方々がそういう病気で悩んでいらっしゃる。
 そうすると、こういう栄養表示をベースにして、エネルギーのコントロール、または食塩のコントロール、こういうものをきちんと適正にできるように情報提供をしていくということが、今、一番求められていることではないかと思っております。
 栄養表示基準が、食品表示法という一元化の法律ができる前に、少しでも先へ進む形に展開していっていただく、より情報提供がされるような形に進めていくというのは、非常に有意義なことだと思いますし、さらに、そういうものをベースにしながら一元化の法律ができ上がった、または、その中で次に告示ができてくるときの適正な資料に使っていっていただくという段階を踏んで進めていくことが、非常に大事なことだとまず思っております。
 もう一点、先ほど山浦委員から拡大の方向というお話がございましたけれども、対象栄養成分については、これから検討することになっておりますが、求められている栄養成分というのは種類も多いものだと思いますので、任意表示の中から徐々に義務表示に進めていく方法論であるとか、そういうところも含めて経過措置の期間中によりよい形になるように進めていただければと思っております。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 後段で今回の健康増進法の改正の説明がありますので、それに水を差すわけではないのですけれども、栄養成分表示に関してはこの間、栄養成分表示検討会でも一定の議論のまとめがされていること、食品表示一元化検討会でも報告書としてまとまっていることから、さらにはその後の意見交換会等でもさまざまな意見が出されています。
 これまでに出された報告書や意見などから考えると、今回出てきた案というのは栄養表示の一部だけの案件であり、もっとこれまで栄養成分表示にかかわる議論をした中身についてグランドデザインというものを示すべきであり、その期限は5年しかないわけです。その中で、栄養成分表示の義務化に向けてということで、これまでに約束されたことは、いわゆる環境整備ということでお約束をされたと思うのですけれども、そういうことがあるとすると、これまで事業者サイドからするとかなりいろんな面で栄養成分表示を実施するうえでのハードルが高い部分があって、その部分はどう解決するとか、幾つかの課題があると思うのです。
 そういうものをある程度抽出してもらって、今回は、栄養表示のこの部分については今年中には改正を行う必要性があるとか、せっかくこれまで議論してきた中身があるので、総合的なる提案みたいなものが消費者庁事務局のほうから提案があれば、もっと包括的に議論ができるし、もしくは事業者サイドなり、または、消費者サイドが求めている栄養成分表示の環境整備が可能と考えられます。栄養成分表示についてこれまでコンセンサスができていない部分はどのような部分なのか、十分にわかると思うのです。今回提案されている栄養成分表示の改正は、合理的な方法に基づく表示値の設定及び栄養成分の低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大であるといった2つの議案についてであり、一部だけを見ていると、この改正部分に確からしいなり、そこだけでの賛否に集中してしまう傾向があるが、全体的な栄養成分表示の改正を5年間の中でどうしたいという提案のなかで、この部分については今回改正したいと提案されるべきであろうと考えます。
 繰り返しになりますが、そのような各論と総論が議論できるような資料と、それをもし、消費者委員会食品表示部会が栄養成分表示の改正にかかわる審議の場に適切であるということであれば、そういう議論をした上で、現行の栄養成分表示義務の変更についても、納得はできるのですが、したがって、これまで述べてきた内容について今後ぜひ提案していただきたいと思っております。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 今はやりの工程表ですかね。栄養成分表示の義務化に向けての、5年間にわたっての工程表を消費者庁は示しなさいというお話だと理解いたしました。できたらそういうものがあれば、確かに議論がしやすいと思いますので、消費者庁に努力義務を課しておきたいと思います。
 そのほかにございますでしょうか。
 森修三委員、どうぞ。

○森(修三)委員 ただいま消費者庁から御説明をいただいたわけですけれども、現行の栄養表示基準というのは、あくまでも任意ということで事業者のほうは取り組んで来ております。任意に栄養表示をする食品だけに適用されておりますが、なかなか表示がしにくい、あるいは誤差が大きくて表示できないという食品もありますので、そういった意味では、事業者にとって課題がたくさんありますということです。
 今回は課題を幾らかでも改善される方向というのでしょうか、より実行性を高めていただくという考え方であると思っておりますので、今回の改正案を全般的に見るならば、ぜひ実行性を高めるようにしていただきたい。事業者としても、自主的に取り組むことがより進められるように、さらに消費者にとってもメリットがあることではないかと考えておりますので、ぜひこの改定案を進めていただければと考えております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 栄養成分表示については、国際的に見て、かなり義務化されている項目が多い中で、我が国が少し遅れているという認識ではないのかなと思っています。特に先ほどもあった話ですが、山浦委員からの提案でもありましたトランス脂肪酸については韓国も義務化になっていますし、アメリカもそうですし、動きとして1日当たりのトランス脂肪酸の摂取量を全カロリーの1%未満とするようにというWHOからの勧告も出ています。そういった動きを、日本の食生活がいわゆる平均レベルで1日当たり摂取量が1.56gしかとっていないといった単純な理屈で必要ないという判断をされたようですが、そうではなく、さまざまな階層、若い人もいますし、うちの息子などはコンビニばかり行ってコンビニさんにお世話になっていますが、そういった生活の中でも本当に大丈夫なのかというところで、必要な表示を検討するというプロセスが少し見えないなと思ってしまいます。
 一昨年10月にガイドライン(案)が出されてパブコメがとられ、昨年2月にガイドラインが公表されていますけれども、現実に、ではトランス脂肪酸が本当にきちんと表示されているかというと、ほとんど表示されていません。ホームページを見ても非常にわかりにくい形で表示されているところもありますが、ほとんどは表示されていません。
 そういったところについて、本当にこれでいいのかということを、もう一回この機会に、今、この一元化の検討を進めている中で少しやるべきではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございます。御意見として承っておきます。
 ほかにございますでしょうか。
 それでは、改正の趣旨についてはこの程度にいたしまして、具体的な論点の議論に移りたいと思います。
 まず、論点1の「合理的な方法に基づく表示値の設定」についてでございます。
 消費者庁にお聞きしたいのですけれども、机上配付資料で出されました第1案、第2案、第3案の取り扱いはどうなのですか。この部会で第1案、第2案、第3案のどれかを選択せよというお話なのでしょうか。あるいは、この第1案、第2案、第3案はこれから消費者庁で御検討いただくというものなのでしょうか。

○増田食品表示課長 今回の案では、表示すべき内容について3つの案を示させていただきました。これはまさにここに書いてあるとおり、現行の±20%の範囲を超えるような場合がありますということを、少なくとも消費者にお知らせする必要があろうということで、そういったことがわかるように一定の表示を求めるものでございます。
 取り扱いにつきましては、私どもとしては、今日御議論いただく中で、基本的にはどの案がいいというのを決めていただき、それを採用した形でパブリックコメントをすることができればと思っております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 それでは、論点1の合理的な方法につきまして、資料1-1の1ページ目の下(1)の範囲でございます。御意見のある方、どうぞよろしくお願いいたします。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 机上配付資料の第2案の表現なのですけれども、これを読んでみますと、せっかく義務化へ向けた新しいルールをつくろうというときに、事業者にとってのエクスキューズを認めてしまうような、非常に後ろ向きの表現ではないかと思うのです。実際の成分量とは異なる場合があると書いておけば、そのルールを守らない場合でもペナルティはないということになりますので、もっと積極的に義務化を進めているのだということがわかるようなものでなければいけないと思うのです。
 第1案でどの分析機関がやったのかということを示して、そこに向けてこの製品はこうなっているということを説明するという方向であれば、まだましだと思うのですが、第2案のような方向だと非常に後ろ向きの感じが否めません。

○田島部会長 ありがとうございました。
 澁谷委員、どうぞ

○澁谷委員 今の机上配付資料の質問なのですけれども、1案のところに、例えば分析機関名を書くという案だと思うのですが、分析機関でも言ってみればさまざまなレベルがあるというか、精度管理の問題もあるかと思うのですが、あらかじめ何か指定をしたリストのようなものをつくって、そこからこういう表記の仕方を考えるのかどうかということをお伺いします。
 それから、今、第2案のところの表現の話がありましたけれども、点の3つ目に「必ずしも正確な値ではありません」という表現がされているのですが、正確な値ではないということと、方法によって異なる場合があるというのは全然意味が違うと思うのです。正確でないといったら、どんな方法でやっても正確でないということで、この場合違うと思うので、パブリックコメントなどでこの表現が出るのは適切ではないかなという気がしましたので、その辺の事務局の御意見を伺いたいです。

○田島部会長 正確な値ではありませんというのは、私も文学的表現であって余り適切ではないなと感じましたけれども、消費者庁のお答えはいかがでしょうか。

○増田食品表示課長 第1案は、どういうやり方でこの数字を算出しましたということを書いてもらうものであります。それによって表示値がどういう性格のものかというのが一番わかるのではないかということで、そういった意味で、分析機関等に限定をかけるとかそういうものではございません。よりどころを示してもらうというものであります。
 第2案に正確な値ではありませんと書いているのは、確かに個々の表記の仕方はそれぞれメリット、デメリットがあるのだと思いますけれども、栄養成分は原材料の栄養成分の違いもありまして、できた製品一個一個を見ると、必ずしも同じではない。つまり表示上100kcalと表示しても、一個一個の商品を見れば当然100kcalでないものが存在するわけです。そのときに現行のルールであれば、カロリーでいうと、100kcalと表示したときにはその商品は80~120kcalの間にはあるようにしなさいというのが現行のルールです。
 ただ、もっとばらつきの多い商品ですと、必ずしも80~120kcalの間にはまり切らない場合がある。そういったものについては、もう表示はしないというのが1つの選択肢なわけですが、表示を見て活用するという観点から考えると、たとえばらつきによってそういうことがあっても、栄養成分表示がないよりはあったほうが商品選択する上で役に立つと、ここではそういう理解に立って、そういうものでも表示させられるようにしたいと思っています。
 ただ、そのときにその数字が、今、申し上げましたとおり、100kcalと書いても80~120kcalの間に入っていないことがあるということをどこかに書いておく必要があるだろうということで、そういう場合があるということを示すものとして、ここの第2案で並んだような表記の仕方、これは例ですから不適切なものは削っていけばいいと思いますが、そういったものでございます。
 ちなみに、ここの考えに至った背景を説明しますと、どういう方法で計算して、その結果、その表示は今、認められている許容範囲の外にあるかもしれませんということを、3案のように両方書くのが多分最も丁寧であろうとは思うのですが、スペースが常に十分あるとは限らないので、常に併記を求めるというのは、実際に表示する上での負担が非常に大きいのかなと思っております。そういった意味でいうと、1案の方法を書くか、2案の許容範囲に当てはまっていないかもしれませんということを書くか、どちらかと思っております。
 そのうち、方法を見て、その結果どういう確からしさの数字なのかということがわかる消費者にとってみると、第1案のほうがより具体的な情報だとは思うのです。ただ、1案の方法を書いたときに、その結果どの程度の確からしさというのがわからない消費者にとってみると、逆に誤解する面もある。例えばサンプルを分析したものですと書いて、サンプルを分析したものだからこれはほとんど同じなんだと思う消費者もいれば、サンプルを表示したものだというのは、これはあくまでサンプルだから実際はかなりそれぞれ違うものもあるのだなということを、その商品などを見て判断できるかというと、それなりの知識がないと、多分方法だけ書いて確からしさを判断するのは難しいのかなと思っております。
 そういった意味では、余り分析方法とか計算の仕方に対して十分知識がない消費者を前提にすれば、2案のように端的に、場合によってはこの数字と違う数字の場合もありますということを書くのがより伝わるのかなと思いました。
 それは想定する消費者の像といったものも踏まえて考えたときに、どちらのほうがより適切かということなのだと思うのですが、確かに2案が違っていることがあるということだけエクスキューズ的に書いている印象があるというのは、ある意味おっしゃられることはあると思いますし、実際伝える趣旨も±20%の範囲の外にあることがあるということを、むしろはっきりお伝えしておくということなので、そういった趣旨はあろうかと思います。
 ただ、前提を言いますと、いずれにしてもそれなりの合理的な方法で、例えば原材料を積み上げるとか、幾つかのサンプルを分析するとかという方法をとるということが前提で、その上でばらつきが多いものについては、その範囲からかなり外れる場合がありますよということを書くということなので、こう書けば、つまり何の根拠もない数字を書いてもいいというわけではないので、そこだけは御理解いただければと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 わかったような、わからないような御説明でございました。
 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 私が申し上げたことは「必ずしも正確な値ではありません」の「正確な」ということの使い方が不適切ではないかということなのです。ばらついているというのは、それは正確であってもばらつきということはあるわけです。正確ではないというのは全く意味が違うと思うので、もしパブリックコメントをとられるのであれば、そのときは考えていただいた方がいいのかなと思ったということです。

○田島部会長 3番は2番に含まれるという御説明のような気がいたします。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 ありがとうございます。
 この推定方法の記載なのですけれども、まず、案の1というのは、事実のみを記載しているという形と思います。ですから、分析機関で分析したのか、または、食品成分表により計算をしたものなのか、そういう事実を示すというもの。
 第2案、第3案等で示されている、異なる場合とかばらつきとかという問題は、ある意味では例外規定につながるようなものであって、大多数の商品が±20%の中に入っている、一部商品に外れるものがあるというのか、または、ある特定の商品について、表示値から大きく外れた形でばらついていることを示しているものなのか、2つのものがあろうかと思うのです。
 つまり、標準偏差から外れてしまうような数値のものが出てくることはあり得るのですが、それが常に存在しているという形で、こういう形で書いてしまうということが本当にいいのかどうか。
 もう一点、特定の商品、例えばお惣菜とかお弁当とかというものが例示で先ほど出ていましたけれども、そういうものについては、それぞれの料理ごとでのばらつきがあって、それを寄せ集めたばらつきなので、これは本当にばらつきが大きくなるだろうということはイメージできるのです。そういうときに、そういうものも含めて案の2のような形で表示をさせるのだとすると、逆にきちんと範囲の中におさまっているものの信頼度を非常に低めてしまうのではないかというところも心配するところであります。
 ですから、第1案というのは原則というよりも、全てに表示をしなければならない。事実関係ですので表示をしていくべきものですし、それ以外の案の2とか案の3に関しましては、例外規定のような形で、お惣菜のような、または、お弁当のような外れてしまう可能性の非常に高いものについては、こういう形のものを認めるということもあってもいいのではないかと思うわけであります。
 実際問題、事業者の方に伺いたいと思うのですけれども、ばらつきの幅というのでしょうか、エネルギーであれば±20%から外れる例数は何パーセントぐらいあるものなのか。それは消費者庁さんのほうで把握をされているのかどうか。実際にばらつきの程度が見えてこないと、適正な範囲の設定にはならないのではないかと思いますし、そういう意味で、案の2のような形での表示をしてしまうことが、逆にマイナスになるのではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 難しい問題ですね。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 机上配付資料のほうで少しコメントをしたいと思います。私が提出している資料をごらんください。
 時間が限られていますので、後で事務局の方で生かしていただければいい面もありますが、今、合理的な方法についての前提のところで、1つだけお話をさせていただきたいことがあります。1つは、食品表示はいわゆる容器包装に入っているコーデックスの食品表示規格に述べられているように、虚偽なり誤認を与える、もしくは人を欺くような表示であってはならないということは大原則ですので、そういうことをまず確認しないといけないということで、したがって、表示された栄養成分量が、分析に基づく方式を含めて、それが正確でなければならないし、許容範囲内でなければならないということで、このことがまず明記されなければならない。
 コーデックスの栄養表示に関するガイドラインにおいても、用いられている当該製品を代表する、もしくは、製品分析から特に得られた重量平均とすべきとは既に規定されています。
 今回の事務局提案ですけれども、まずは分析に基づかずに表示が行われる場合でも、ある程度は表示が規定された許容範囲内にあることが原則であって、前段の資料に書いてありましたが、栄養成分というのは、原材料の製造場所とか収穫時期、もしくはサンプルであっても含有量のばらつきが大きくて個体差の大きい食品などは、誤差が許容範囲におさまることが困難である。
 このような食品も含めて、幅広い食品に栄養表示をするためにという提案があるのですが、何人かの委員からも意見として出ていますが、1つは、栄養成分というものは、原材料の製造場所とか収穫場所等の違いによって、同様のサンプルであっても含有量にばらつきが大きく個体差の大きい食品など、誤差が許容範囲におさまることが困難な食品と、もう一つが幅広い食品です。
 前者と後者で取り扱いが異なるはずでありまして、前者については含有量のばらつきが大きくて、個体差が大きいか否かはあくまでも分析によって確認されるべきものでありますから、表示値は分析に基づいて、ある程度幅で行われることが適正だろうと思います。
 一方、いわゆる幅広い食品については、栄養表示を行うためには事業者の経済的な負担を軽減させるためにも、分析によらない合理的な方法ということで、これについては表示を認めることが適切であるということも考えられます。EUにおいても、理事会指令の中でもこういうことを書いてあります。
 いずれにしても、重要なことは、表示された値が分析に基づくものであれ、合理的な推定に基づくものであれ、ある程度は許容範囲内にあるか否かが重要であって、合理的な推定によって得られたか否かという記載については、私は不要と考えております。
 3ページ目のところに、一応今回の合理的な方法に基づく表示値の設定に関する根拠ということで、日本の現行の健康増進法と今回提起された案、3つ目のパラグラフのところに重量を平均ベースとするべきであるというコーデックスで基本とされている分析、アメリカの方法、EUの方法が書かれてあります。
 そういうものをもう少し、特にアメリカについては長年栄養成分表示をしてきていますから、そこでの実際の監視とか指導とか表示の適正性について、どういうふうにしているかということが、もう少し調査が必要ではないかと考えております。
 以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 かなりクリアな議論で、そうしますと、結論を言えば第1案は余り望まないということですか。

○鬼武委員 海外の例でも調べていただければいいと思うのですけれども、義務のところでこういう分析のことまで書くようなことは、アメリカは多分していないと思います。ですから、任意でそういうことを書くことは可能かもしれませんが、法律でそこまで規制することは必要ないのではないかと思いますし、これはWTOでいうとTBT協定とかにもかかわってきますから、このような観点からすると、余り過剰なことまで義務化して表示すること自体が国際的な点から少し問題になる可能性はあると、私は考えております。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 立石委員、どうぞ。

○立石委員 昨年のトランス脂肪酸のときの分析方法についての書き方が、使用した分析方法と測定した方法を明らかにする、表示の根拠になる考え方を示せということが決まっています。そうすると、まず、私はそれで十分だと思います。どんなふうに調べたのか、根拠はどこなのかということがわかれば、あとは買う側が判断する話であって、そこはいちいちこんなことを書かなくてもいいのではないか、根拠方法だけ示せばいいということでいいのではないかと思います。
 そうすると、第2案とか第3案になったとき、去年のガイドラインでトランス脂肪酸との整合性もなくなるし、その辺も含めて考えれば、簡単に考えて根拠だけ示せということでいいのではないかと思います。

○田島部会長 青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 今の立石委員の意見に賛同します。
 1番というのは、これは本当の事実だけですから、数値根拠の算出方法が単一であれば、広く周知徹底すれば必要ないと思いますけれども、さまざまな数値の算出方法があるということであれば、消費者の方が算出の方法に熟知しているしていないにかかわらず、きちっと根拠は示すべきだと私は思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 中下委員、どうぞ。

○中下委員 私も同様の意見で、第1案でまず根拠をきちっと示して、確かに消費者は根拠があってもわかりにくいという消費者庁からの御意見もありましたけれども、かといって第2案と第3案みたいなことを書かれていたら、余計にわかりにくいです。どう受け取っていいのか、一体何を信用していいのかということすらわかりにくいので、もし書かれるとしたら、先ほど迫委員がおっしゃったように、本当に例外的な場合に対象商品を限られた上でこういうものを書くと決めるのであれば、結構なことかと思いますが、そのようにすべきではないかと考えております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 迫委員、どうぞ。

○迫委員 鬼武委員の記載されている資料の中で、2ページの一番下のところに「事業者に根拠資料を求める必要はない」という記載があります。これについてコメントさせていただきたいと思うのですけれども、実際、私は都道府県で、任意表示ですが、栄養表示の基準に対して事業者指導をやっておりました。そういう中で、行政が分析にかけるものは本当にわずかです。実際に分析にかけるのではなくて、表示の事実を見て、どういう方法論でそれを示しているのか、示したもとの根拠のデータであり、レシピであり、そういうものを見させていただいて、これが適正かどうかという判断をしていく。それで怪しいもの、または不適正表示と思われるようなものについてのみ、今後は分析に回っていくのではないか。
 従前、国が行う収去検査は本当に数が少なくて、都道府県あたりについては、数としてはほとんど1桁だったと思います。もしこれが監視指導としてもう少し充実したとしても、あらゆる商品について分析できるような状況にはまずならないだろう。そうすると、やはりこういう根拠資料を明確に示していただく、監視指導の根拠となるものがない限り、現場で事業者指導に入っても対応できなくなってしまう。そういう意味で、ぜひここは根拠資料を求めるという項目を入れておいていただきたいと思っております。
 以上です。

○田島部会長 手島委員、どうぞ。

○手島委員 私も第1案で根拠を示すことに賛成いたします。
 鬼武委員の3ページ目の表のEUのコメントの中にも、大体根拠を示すという形が書かれていると思いますので、これに近い形ということで、私も第1案に賛同したいと思います。

○田島部会長 森委員、どうぞ。

○森(康益)委員 確認なのですけれども、第1案というのがあります。この場合でも、例えば±20%を外れてもいいですとの理解でよろしいですよね。±20%を外れてもいいとの中で1案、2案、3案があるという理解ですね。
 ただ、現状としてどういう表示をしているかといったら、消費者の方々から分析機関とか、どういう分析値で表示をしているかという求めが多いので、特に冷凍食品だと、現状でも自社分析値であるとか社外分析機関だとか、このような表示をしている場合があります。逆にそういう表示(分析値)を書くと、変な言い方ですが、±20%を外れている可能性がありますという位置づけと同じになってしまうということなのですかね。

○増田食品表示課長 何らかの書き分けをするということがなければ、そういうことになるのかなと思います。
 ちょっと話を戻すかもしれませんけれども、むしろ鬼武委員から提出されている御提案は、いずれにしろ許容範囲を広げたりするということもあるかもしれませんが、要するに許容範囲の中に入れないと表示はするなということ、そのラインが望ましいというのは鬼武委員の議論なのですね。
 私どもも許容範囲が定まっていて、それを広げるにしろ、その中に入っていれば、わざわざ根拠を求めるとかそういうことまで求める必要はないというのは今のルールでもありますし、それはそうだと思っているのです。
 ただ、今、御提案しているのは、さはさりながら世の中に今、ある食品で表示をしようとすれば、必ずしも許容範囲におさまらない、あるいは事業者から見ておさまるということがしっかりと確認できないような食品というのはありますね。例えば肉を使っていれば、脂質の量というのは肉の脂身によってかなり違うとか、ナトリウムとかは大分製品によって違うことがあって、そういうものについては、現状でいうと許容の範囲になければつけないという選択をすることになっているのですが、それについては多分、消費者の要望とかを考えれば、お弁当の類みたいなものは特につけたらどうかという話があって、事業者にとってみれば±20%を確保して、その範囲で表示するというのは非常に難しいものでもつけられるようにする手段として、ちゃんとした方法で調べた結果、表示したものであれば、許容範囲の外にあったとしても違反にしませんというものをつくりたいというのが提案なのです。
 さはさりながら、20%の中に入っているものと、それが必ずしも入っていませんという両方のものが世の中に存在するときに、上下20%に入っているものといないものと、消費者が識別できる必要、要するに入っていないかもしれないものはちゃんと入っていないかもしれないということがわかるような識別が要るのだろうなと思って、そのことを表示するのにこういった何らかのことを書いたらどうかということです。
 これはそもそも許容範囲を広げるということがあるのかもしれませんけれども、許容範囲をどこかに定めて、許容範囲でなければだめだとなれば、多分およそ表示はないのだと思うのです。そういう意味では、2通りのルールをつくるので、別のルールによっていることが消費者にわかることを書く必要があるのではないかということです。
 ちなみに、アメリカは値の決め方は、栄養成分によって下限上限のどちらかだけを縛るとしています。例えばカロリーであれば、表示された値の120%以下、例えば、100kcalと書いたら120kcalより下であることが許容範囲となっています。一方で、本来であれば加重平均的なものを書けということであろうかと思いますが、違反に問われるか問われないかということを考えれば、この商品はもしかしたら150kcalいくかもしれないと思えば、130と書かないと、もしかしたら超えてしまうかもしれないということなのです。
 ほかの国でもそういう方法はとっていて、要するに上下両方を縛るのではなくて片一方だけ縛る。カロリーでいうと上だけ縛って下は自由。上に抜けそうなときは最初の表示を上に上げていくということは、方法としてはもちろんあるのだと思います。
 ただ、その方法は、過剰、過少というのが非常に明確なもの、多分日本でもナトリウムみたいなものはそういうことができるかと思いますが、カロリーのように、一方で痩せの人もいるという中で、アメリカの方式をとると、遵法意識が高ければ高くなるほど、違反を離れるために実際期待される数値より高い数値を、つまり平均的には100 kcalだけれども、150 kcalの可能性があるとしたら、とりあえず130 kcalと書いておかないと違反に問われると思えば、130 kcalと書くという行動をもし事業者の方がとれば、出てくる数値が期待される平均的な値より高くなってしまう。つまりそこに差が出てしまうので、圧倒的に過剰が多い場合にはそれで問題ないと思いますが、肥満の人もいれば、一方で痩せでちゃんととることが必要だという状況というのを今、日本で捉えれば、片一方だけ縛るやり方というのは、言ってみれば平均的な値から離れたところに表示値が決まってしまうという問題があるのではないかということです。
 もう一つ、実際に表示をする範囲としては、幅表示の話もありましたけれども、ばらつきの最高最低加減がいかなる部分かというのは、多分事業者の方でも非常にそこは見極めが難しいところだと思うのです。例えば150 kcalなのか、でも160 kcalなのかもしれないといったときに、アメリカのルールでいくと、自分はどこと書くと抜けることがないのかというのは、幅表示も同じですが、むしろ平均的より難しい、つまり上限下限についてある程度知見が得られないと、なかなか書きづらいというところもあって、そういう意味も踏まえると、今、提案しているようにサンプルとかごく平均的なものを書いていただくが、上下20%なり、そういった許容の範囲の外にある場合もありますということを書くというのが、実際につける場合あるいは利用する場合にとっては、一番実用できる数字になるのかなというのが提案です。
 最初に戻ると、多分鬼武委員との議論の境目は、許容の範囲をどうするかはともかく、許容の範囲の外というのはなくすという今の提案は、そもそもノーだと言えばそういう議論になるのだと思いますけれども、許容の範囲を超える場合があるとなれば、多分鬼武委員が言っていた根拠は要らないとかというのは、多分別のストーリーになるのだと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明を聞いて、もう一度議論をしたいと思います。御意見をどうぞ。
 森委員、お願いします。

○森(修三)委員 今回の表示された値の推定方法に関する記載ということですけれども、事実をきちんと記載するという意味で、第1案がよろしいのではないかと考えております。
 ただ、ここで議論するときに1つ忘れてはいけないのは、栄養表示がどういうふうに使われるのかという視点を持っておく必要があるのではないかと思います。
 一元化検討会の中では、中長期的な期間で栄養を管理するための目安と捉えるという、栄養表示に関する捉え方をしてきたと思っております。栄養表示をライフサイクル全体の中で活用していくという視点で考えれば、仮に、個々の食品ごとに見れば栄養表示と実際の含有量との間に差があったとしても、日々の栄養、食生活を管理していれば、中長期的な食生活全体の中では、摂取する栄養成分の量が平均化されていくことになると考えられるためである、という考え方が示されております。
 そういった意味では、第2案、第3案で、予備知識なしに表示だけで説明をするということになると、なかなか限界があるのではないかと思うのです。むしろ第2案、第3案の内容については、国として政府として、しっかりと消費者の方々に栄養表示の使い方について普及啓発に努めていただきたい。
 実際に表示でできる範囲というのは、やはり第1案程度ではないかと考えております。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかに御意見ございますでしょうか。
 いろいろと議論が出ましたけれども、正直言いまして、本日結論を出すのは難しい。消費者庁からの御説明も追加説明があって大体理解できたということと、第1案と第2案と第3案で、第1案はいいのですが第2案と第3案の文言が何か正確さを欠くような印象を受けますので、もう一度第2案、第3案について文章を整理して再提案していただければと思うのですが、委員の先生方から御発言はどうでしょうか。本日はもう一つの議題もございますので、この論点1については再度次回の部会でもって御議論をするということにさせていただきたいと思います。
 どうぞ。

○迫委員 1点だけ。
 検討を進めていただく中で、先ほども申し上げたのですけれども、製品によるばらつきであるとか、その範囲に関してのデータが余りに少ないのではないか。そのデータを全部集めて、理想的なのは適正範囲に全てがおさまっていることが理想的ですから、適正範囲の設定を一元法の中で見直ししていくことはすごく大事なことだと思っています。
 そういう中で、今回の表示基準の改定というのは、現行基準をどう変えるか、どこまで近づけられるかということですので、現行の表示基準を大幅に変えるという話ではなくて、一部を変えようという話になっています。そうすると、現行の適正範囲、許容範囲をどこに設定していけば今後、より全ての義務化に向かっていいのかというところも議論した上で、それを外れても構わないのかそうでないのかという次の段階に行くのではないかと思います。
 そういう意味で、今後の経過措置の間にそういうデータを集めるような仕組みを構築していただくというところが、次の段階に向かって大事なことなのではないかと思っております。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 夏目委員、どうぞ。

○夏目部会長代理 ただいま部会長から論点1について、今日はとても結論を出せる状況ではないのでというお話がございましたけれども、先ほど消費者庁の主なスケジュールの中に、今日の表示部会で議論をしてパブコメにかけるというスケジュールになっております。そうすると、今の状況では、このままの状況でパブコメに出されては、部会としても意思が形成されているわけではないので、その辺をどうするかという御議論も必要ではないかと思いますが、いかがでございましょうか。

○田島部会長 パブコメはしないのでしょう。

○夏目部会長代理 しないのですか。

○田島部会長 再提案です。

○夏目部会長 先ほどここで、例えば机上配付の中で3つの案のうちのどれかに決めていただいて、パブコメにかけるという御発言はなかったでしょうか。

○増田食品表示課長 それはまさに議論がまとまればということだったので、スケジュールに括弧書きでありますとおり、日程はまた事務局と御相談させていただければと思います。ただ、次回に向けて、今日までの議論として、1つは、こういうことでよろしいのでしょうかということをお伺いしたいのですが、今の許容範囲は±20%というのがあるのですが、それに必ずしも当てはまらない場合があっても表示できる方法をつくるということと、それに当たっては、今、お示しした3つの案でいうと、案1の推定方法を記載するという基本的なラインで次回再度御提案するという理解でよろしいのでしょうか。パブコメは次回で御了解を得られたら進めたいと思っています。

○田島部会長 まだ案1だけにするとは決まっていないです。

○山根委員 私も今の案1だけで了解ということでは合意できないと思います。

○増田食品表示課長 次回も一応、今の形でということですね。わかりました。

○原事務局長 文言の精査だけはお願いしたいと思います。

○山根委員 もう一言だけよろしいでしょうか。

○田島部会長 山根委員、どうぞ。
 私は、栄養表示が、広く義務化がスムーズに進むための環境整備の1つとして、今回、消費者庁が示されたことを前向きに評価したいと思っています。
 ただ、案1~3の書きぶりがいかがなものかというのはやはり感じますし、個人的にはただ1案で進めるということではなくて、第3案のような内容で、いかにこれをコンパクトに消費者にわかりやすく、いい表現がないかなということで、もうちょっと議論をしたいと思いますので、ぜひまた前向きな提案をいただければと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 それでは、議論を進めさせていただきたいと思います。
 論点2「低含有量の場合の誤差の許容範囲の拡大」についてでございます。資料1-1の3ページの(2)でございます。これについて御意見よろしくお願いいたします。
 ございませんでしょうか。
 森委員、どうぞ。

○森(康益)委員 実際の栄養成分表示をしていくと、こういう問題は起こるのです。低濃度のものに関して、どうしても値が少なくなればなるほど、誤差の許容範囲から外れるというので、論理的にも必要なのではないかと思います。こういう考え方で導入をするということに関しては、私は賛成をいたします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 私もただ今お話がありました森委員と全く同感でして、低濃度の部分に関しては、非常に誤差について苦労しているところがございますので、こういった方向で、より表示がしやすくなる、あるいは消費者の方にも情報提供できるということであれば、非常に前向きに捉えて進めていただきたいと考えています。

○田島部会長 あと、ほかにございますでしょうか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 机上配付資料の5ページの下のところから見てください。
 6ページに書いてありますけれども、確かに少し許容範囲を拡張するということは理解はできますが、例えばたんぱく質が0.1gという表示があった場合に、これが1食でいうと±0.5gだと表示できなくなるので、そういうものについては±20%だけでいいのではないかと思っています。その辺は再度検討してください。

○田島部会長 あと、ほかにございますでしょうか。
 これもパブコメにかけるのですか。

○増田食品表示課長 はい。かけるときは同時期に。

○田島部会長 そうすると、次回の論点1の整理が終わってからパブコメという形ですか。

○増田食品表示課長 はい。あわせて。

○田島部会長 それでは、御意見ございますでしょうか。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 事務局に質問というか確認なのですけれども、今回、第4欄の低濃度の領域について誤差の見直しをするということなのですが、ここの○○未満という数字がございますけれども、これは第5欄のところの5倍程度になっているふうに見えるのですが、ここの考え方というのは何かございましたら、お聞かせいただければと思っております。

○増田食品表示課長 ここの許容範囲は基本、パーセントでやっているのですけれども、それを言ってみれば絶対値の±何グラムと書き始める境目の基準としては、今、栄養素について一定の分量以下であれば含まれない旨というのを書けるというルールをつくっております。それは栄養的に見て、ないに等しいといったことを勘案して、コーデックスのルールに沿ってつくっているのですが、そこでゼロと書いてもいいという数値以下になったら、その誤差は許容しましょうということです。
 その結果、先ほどの鬼武委員の紙であるとおり、最終的には限りなくゼロに近づけば、表示された数字より誤差で許容される数字のほうが大きくなること当然あり得る。最後は絶対値でいきますから、限りなく数値がゼロに近くなる。正直言って、その数値を本当に分析してはじいて書けるかというのはまた別問題だと思いますが、理論的にはその数値が出れば書けるということになると思います。

○田島部会長 どうぞ。

○森(修三)委員 例えばたんぱく質の場合、±0.5gの部分ではなくて、その前の2.5g未満の2.5gの部分の考え方がございましたら、お聞かせいただければと思います。

○増田食品表示課長 結果として±20%の幅が、ここでいうと0.5gになるところから絶対値にしているということです。逆に言うと、2.5g未満が先に決まっているのではなくて、誤差の許容の差が0.5gよりも少なくなった段階からパーセントによる許容ではなくて、絶対値0.5gによる許容に変えていくという考え方でございます。

○田島部会長 ほかに大丈夫でしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、消費者庁の御提案どおり進めさせていただきます。
 パブリックコメントは論点1の整理が終わってからということでございますので、手続の御説明はよろしゅうございますね。
 それでは、3番の「玄米及び精米品質表示基準の見直しについて」の御説明をお願いいたします。
 まず、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪3.玄米及び精米品質表示基準の見直しについて≫

○船田課長補佐 食品表示課の船田でございます。
 私のほうから「玄米及び精米品質表示基準の見直しについて」ということで、お手元の資料2と参考資料2-1をもって、続けて御説明させていただきたいと思います。
 まず、資料2でございます。
 今回、食味試験を実施するということは前回お示ししたとおりですので、方法等について簡単に御説明いたします。
 まず、穀物検定協会、食味試験を含めまして米に関する分析を広く実施している検査機関でございます。食味試験についても、検定協会で通常行われている試験でございます。
 ただ、今回、砕粒の割合別ということで試験を依頼している関係がございまして、事前に検定協会で検討会を立ち上げていただいております。検討委員としましては、座長としましてつくばの作物研究所の鈴木先生をお呼びしています。消費者側としまして、財団法人の消費科学センターと東京都地婦連の方、一般の消費者の方にも入っていただいております。あとは事業者としましてお米の品質に詳しい米関係の団体2団体に参加していただいて、事前に検討会で試験の実施方法について検討していただいております。
 今回、試験対象としたお米でございますが、単一原料米と複数原料米双方でやってございます。単一原料米につきましては、新潟県産コシヒカリ、秋田県産あきたこまち、それぞれ1点ずつ。
 複数原料米でございますけれども、量販店で販売されている複数原料米と、ドラッグストアと書いてありますが、ちょっと低価格になると思われる複数原料米ということです。ただ、複数原料米について品種等は不明でございます。
 いずれの試料も小売店で一般に売られているものを買い上げしまして、今回の試験の対象品としています。
 食味試験ですが、基準米と試験米を比べて、基準米と比べて比較評価を行う相対評価ということで実施していただいております。今回、基準米ですが、砕粒の割合を0%のものを基準米としております。それに対して試験米というのが8%、15%、20%。砕粒割合は後ほどのページに出ております。
 今回、食味試験を実施するに当たりまして、食味の順番による評価の偏りをなくすために、パネル1グループ20名なのですが、その中でもグループ化、細分化しまして試食の順番を変える等実施していただいています。
 さらに、今回、食味試験の実施に当たりまして、日本穀物検定協会の日ごろ試験をやられているエキスパートということで書いてあります20名と、別グループとしまして一般消費者が入りました20名で、別々に試験を実施しております。別々と言いましても、対象とするお米は一緒でございます。
 以下の条件はそこに書いてあるとおりなのですけれども、今回、炊飯するときの加水量ですとかは別途、日ごろ穀検さんでやられている方法で調整していただいているということです。
 評価項目ですが、香り、外観、味、粘り、かたさ、総合の6項目について試験していただいております。
 統計処理を行う関係上、それぞれの項目について点数化して、その点数を用いまして統計処理をやっているということでございます。
 今回の砕粒についてですけれども、0%、8%、15%、20%ということなのですが、これは検定協会のほうで人為的に作成していただいております。最初からそういうお米を探してきたということではなくて、人為的に作成していただいているものでございます。
 食味試験の参考とするために、理化学分析を実施していただいております。項目についてはたんぱく質、水分、ヨード呈色度となっています。たんぱく質は主にかたさの指標になるということだそうです。ヨード呈色度というのは粘りの指標になるということで、でん粉の中のアミロース量をはかる目安となるものだそうでございます。
 実際の食味試験なのですけれども、20名、20名の2つのグループでやっていただきましたが、方法ですが、パーセントがわからないように基準米とほかのお米を、皿の上に4つ、ぽんぽんとちりばめて、基準米だけわかるようにして、あとのお米と食べ比べて点数をつけていただいているということでございます。
 評価方法でございますが、まず、食味の評価方法としまして、今回は総合評価というのと外観、香り、味、粘り、かたさということでやっているのですが、実際に有意差があるかどうかというのを判断するに当たっては、総合評価というものを採用してございます。総合評価なのですが、マル1~マル5まで香りとか、かたさとかあるのですが、その5項目の個別評価を平均するようなものではなくて、あくまで感覚で総合的に判断するものということで、個々の項目も評価していただくのですが、食べたときに総合的に、ほかの項目を参考とせずに判断していただいているという項目になっています。最終的には、総合評価というところで統計処理しまして、有意差があるかどうかを判断しているものでございます。
 評価の尺度と書いてありますけれども、評価の尺度というのは、実際のパネルの方が試験をするときにどういう判断で「かなり」とか「少し」といったものを判断していただくかという尺度なり、そこに書いてある1回目の試食ですとか、2回目の試食ということで判断していただいているものとなります。
 3ページの下に「食味評価表」がつけてありますが、実際に各パネルの方にこれに○をつけていただくということでございます。
 結果でございます。4ページ、5ページに分けて結果の一覧表をおつけしてございます。4ページは単一原料米で、5ページは複数原料米の結果ということでお示ししました。
 結果の見方でございますけれども「+」というのは基準米に比べて基本よい。「-」は基準米に比べて劣るという判断になります。空欄は同程度ということになるということです。
 ただ、かたさなどについては「+」がかたいですとか「-」がやわらかい。劣る、劣らないということではなくて、粘りについても「+」は強い、「-」は弱いという判断になっております。
 一応統計処理と先ほどから申しておりますが、今回、よく使われるt検定というもので判断させていただいております。
 4ページの単一原料米の結果を見ていただいて、空欄が目立つところでございますけれども、総合評価を見たときに、単一原料米では検定協会、消費者パネル両方差が出なかったということになっております。ただ、検定協会のパネラーの方の結果で、砕粒20%の場合、外観、粘り、かたさに差が出ているという結果でございます。消費者のパネラーの欄を見ますといずれも空欄なので、差が全然見られないという結果になっております。
 これに対して5ページ目、複数原料米でございます。単一原料米とは違いまして、こちらの場合には一般消費者のパネルの欄を見た場合には、余り差がある項目が出ていないのですが、検定協会のほうのパネラーの方がやったものについては、結構「-」の有意差が出ているものがあります。
 ここで見ていきますと、例えば外観で複数原料米Aでは差がないのですが、Bの欄を見たときに8%、15%で外観に差があるとか、香りなどで見た場合ではAで15%で差が出ていて、ただ、Bにいくと15%ではなくて8%と20%で差が出るということになっています。味に至っては、8%で味が劣る結果になっていて、Bのほうですと8%、15%で劣るということで、20%では特段差がないという結果になっています。
 なかなかパーセントに比例して劣るような結果には、今回の結果はなっていないという状況ではないかと考察されます。
 ちょっと時間がないので理化学分析についてはそこにお示ししたとおりですが、特段同じ試料の中で、パーセントの中で差があるようなことにはなっていませんけれども、品種が違うとたんぱく質などにはやはり差が出るということでございます。
 7ページのところに、一応検討会を立ち上げているので、その検討会の中で今回の結果について、総合的に判断していただいたものを載せてございますが、食味官能試験で単一原料米については、検定協会のパネル、一般消費者のパネルともに総合評価においては砕粒混入率の違いによる有意差はなかったという結果でございます。
 ただ、複数原料米ですが、先ほども御説明しましたように、穀物検定協会のパネルの総合評価では、複数原料米Aで砕粒混入率8%、20%にマイナスの有意差が見られ、また、複数原料米Bでは砕粒混入率8%、15%。20%全てにおいてマイナスの有意差が見られているということでございます。ただ、この場合でも砕粒混入率との関係で見た場合、有意差はみられていないという結果でございます。
 それに対して、一般消費者パネルの総合評価では、いずれの複数原料米についても、混入率の違いによる有意差はなかったという結果になっております。
 理化学分析の結果についてはそこに書いてありますとおり、これも水分及びたんぱく質は試験米の粉砕後分析を実施することから、砕粒の混入率にかかわらず、当然砕粒混入率の違いによる影響は見られませんでしたという結果でございます。
 ヨード呈色度については、砕粒混入率と比例しての傾向は見られず、砕粒混入率の違いによる影響は見られなかったという結果になってございます。
 単一原料米と複数原料米とでちょっと結果に差がございます。その原因についてなのですけれども、今回、作物研究所の先生にその違いはどうして出たのだということをコメントいただいております。紹介いたしますと、今回、食味試験を行うために砕粒を人工的につくり、混合しましたが、試験を実施した単一原料米の2品種は砕粒混入による食味への影響は確認できませんでした。一方、複数原料米の2つのケースでは、低評価をつけたパネラーもおりましたが、その評価は砕粒の混入率に比例してはいなかった。ただ、製品そのものの品質、複数原料米はいろんな品質のものが入っていて、今回、品種等も全然わからない状況でございました。製品そのものを見たときに、白濁粒、胴割れ米などが含まれていたということで、品質そのものが悪かった商品を使ったせいで、食味の評価に影響が出たのではないかという結果をいただいております。
 続いて、参考資料2-1「砕粒等の流通実態について」を簡単に御説明します。
 前々回の部会で砕粒等の流通実態が余り明らかでないということで宿題をもらっていまして、それに対しまして消費者庁単独で、ヒアリング調査を行った結果でございます。
 最初から御説明しますと、まず「生産者」、農家ということになろうかと思いますが、生産者の段階ですと、もみをもみずりしまして玄米とする。この玄米を1.7mm~2mm以上と書いてありますけれども、これは地域によってふるい目のサイズが異なるということは、以前の部会の中でも御説明したとおりですが、ここで1.7mm以上のものと、1.7mmより小さいものが当然出てくる。ただ、2mmでふるったときには1.7mmと2mmの間のものも落ちてくるという理解になります。
 ふるいにかけられました玄米というのは「集荷業者」と書きましたが、農協とかになりますけれども、そこに出荷されまして、農産物検査を受けるものと受けないものもそこで出てくるという形になります。農産物検査を受けないものといいましても、1.7mmより大きいもの、ふるい下がこちらの精米工場等に入るということではないということでございます。
 通常ですと、その後精米工場ですとかお米屋さんで精米されまして、家庭用ですとか業務用として販売されるということなのですが、ここでフロー図の下半分「米穀加工業者」と書かせていただいております。フロー図の上でふるわれたお米がそれぞれの段階で出てくるのですが、そういったものを集める専門業者が実態としてあるということでございます。
 米穀加工業者では、それらを再度いろいろなサイズのふるいで選別して、ただ、米穀加工業者の中でふるいがいっぱいあるのですが、玄米用と精米用とではちょっとふるいが違うということだそうでございます。
 いずれにしましても、玄米をふるったときに、米穀加工業者でも1.7mmの上と1.7mmの下ということで分けられて、1.7mmの上というのはもともと食用として流通しているお米であるということで、それは再利用されるということなのですが、1.7mmよりさらに下になったものというのは、消費者庁のヒアリングの中では全て加工用として流通する。ずっと右のほうを追っていくと「実需者」と書いてありますが、そういったところまで行くという形になります。
 精米工場で発生する砕粒等もあります。それは上段の右のほうに「砕粒等」と書いてありますけれども、これらも米穀加工業者のところに集められまして、加工用に行くというお話でございました。
 消費者庁のヒアリングでしかないのですが、精米工場の段階で、砕粒等の精米それだけを仕入れるという行為はあり得ないという調査結果でございました。
 以上、簡単な御説明でございましたけれども、説明を終わらせていただきたいと思います。

○田島部会長 ただいま、食味試験の結果について御報告いただきました。
 結論として、食味試験をした結果、有意差が認められないということで、これまで砕粒の割合の表示につきまして議論してきましたが、今回、食味への影響がないという結果が示されましたので、砕粒の割合の表示というのは難しいのではないかという御判断でございますが、消費者庁からはしばらくのところは新しい知見がまた出ればまた考えますが、当面は表示については見合わせたいというお話だと思います。
 御意見はございますでしょうか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 今回、食味実験の結果をお示ししていただいたわけですけれども、ただ、疑問はまだ残ると思うのです。というのは、米の規格の問題で、価格差があるものがいろいろと流通しているのが実態でして、そこで食味試験で差がわからなかったといっても、実際には消費者としては、ある一定のブランドを信じて高いものを買う、あるいは安いものを買うといった選択をしているわけですね。あるいは、事業者の方々も、よりコストの安いものを仕入れて、製品化すれば利益は上がることになりますので、その辺の実際の経済的な利益の問題あるいは消費者の被害といったことも、優良誤認のような形で存在し得ると思いますので、食味でわからなかったからこの問題は取り上げる必要はないというのではなくて、別の視点も必要ではないかと思うのです。実態がどうなっているかということをさらに検討して、実際の米の流通に見合った価格が設定されるようなルールをつくるということも必要ではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。
 消費者庁は今後の見通しというか、例えば山浦委員から御発言があったような、新たな調査などをする計画等は御検討されていますでしょうか。

○増田食品表示課長 現時点の状況では、この先どうという確たる具体的な計画を持っているわけではございません。いずれ、少なくとも今回、ある意味2度目やった食味の試験でも、砕粒に着目して食味を見ても、少なくとも有意な差は出なかったという、この結論から考えると、砕粒で何らかの割合を決めて、それを義務的に表示していくというのはかなり難しいのだろうなと思っています。
 一方、山浦委員が言われましたように、何らかの形で質の悪い米とか、そういうものの流通があって、結果として消費者が本来その価格では買わなかったであろう価格で買っているということがあれば、どういう形でそれがうまく是正されるのかというのはなかなかわかりませんが、何らかの手立てがあれば、それは考えていきたいとは思います。
 ただ、一方において、おいしさですとか、そういったものを客観的に捉えてルールづくりをするというのは、正直なかなか難しい面もあるので、直ちにこういうやり方というのは、今、具体的なものはありませんが、いずれにしても、米についても、消費者庁でもPIO-NETなどでいろんな消費者の声も集まるようになっていますので、そういった消費者からのいろいろな声については、よくチェックしながら状況を検討していきたいと思っております。

○田島部会長 青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 精米というのは、基本的に生鮮食品になるのかどうかというのは、いろいろ議論があるところはあると思うのですが、基本的に生鮮食品に非常に近いと私は認識しておるのですけれども、通常、一般の消費者の方は、生鮮食品を買う場合、顔を見ないで買うというのはまずないと思うのです。大体色だとか艶だとか、もちろん大きさも含めて、そういう形で総合的に目視で判断をして、これがいい、あれがいい、場合によっては触ることもあるかもしれません。
 そういう性格のものだと思うのですが、精米に関していえば、今、実際に中身が見えない包装をしているものがかなり増えてきております。私どもの売り場でもかなりございます。パーセントはどれぐらいですかと聞かれると、ちょっと私も承知していないのですが、1つのやり方としては、強制ということではないのですけれども、望ましい指導ということで一部中身が見えるような包装をしていく。例えば丸い透明なところを必ず一部つくるというような方法も御検討いただければいいのではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 少し時間が過ぎていますが、砕粒についてこのような形で調査されたことについては、いろいろと消費者庁事務局のほうで苦労があったと思いますけれども、その点についてはこの本消費者委員会食品表示部会の要請でやっていただいたことについては感謝したいと思います。
 私は、前回の部会で申し上げたように、砕粒の表示をすることによると、逆にそこまで混入率を認めてしまうということが1つあるということと、今回の結果についても、実際には一般の人は食味でかわらなかったという結果が出ていますから、この調査結果が逆に変な意図で使われることのほうを私は危惧しています。今回の調査は、今までの調査結果と同じように砕粒の混入による食味試験などの差がないという結果が出ているので、これ以上の調査の必要性はなく、一旦打ち止めにすべきであると考えます。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。
 山根委員、どうぞ。

○山根委員 今回の調査についてはわかりました。ただ、山浦さんがおっしゃったように、たびたびここでも説明がありましたけれども、調べたところ、約1割に8%以上のくず米が入っていて、一部には25%以上入っているものも現実としてはあった。砕粒米とかふるいした米というのは、本来主食以外に回されるべきだが、精米のほうに行っている実態があって、それは5分の1の価格で取引がされているという実態は明らかにあるわけですので、この問題がこれで終わりということではなくて、先ほどおっしゃったように、問題意識を持って取り組んでいただきたいとは思います。

○田島部会長 そうですね。消費者庁としては、消費者からのさまざまな要望を多角的な面から取り上げて、今後も抽出していっていただきたいと思います。
 ほかによろしゅうございますでしょうか。参考資料2-2の御説明は要らないですね。
 それでは、よろしゅうございますか。本日の議論はこれにて終了でございます。
 事務局から連絡事項等ございますでしょうか。

○原事務局長 次回につきましては、内容も精査をした上で改めて御案内差し上げたいと思います。
 ありがとうございました。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
 お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪4.閉会≫

(以上)