第19回 食品表示部会 議事録

日時

2012年8月27日(月)14:00~15:31

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、夏目部会長代理、青柳委員、阿久澤委員、海老澤委員、鬼武委員、
 春日委員、川戸委員、栗山委員、迫委員、澁谷委員、立石委員、手島委員、
 中下委員、森(修三)委員、森(康益)委員、山浦委員、山根委員
【説明者】
 消費者庁  増田食品表示課長、谷口課長補佐、船田課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.食品表示一元化検討会報告書について
3.精米の食味試験調査等について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:53KB)
【資料1-1】 食品表示一元化検討会報告書(PDF形式:121KB)
【資料1-2】 食品表示一元化検討会報告書の概要(PDF形式:158KB)
【資料2】 砕粒等が混入した精米の食味試験等調査(仕様書抜粋)(PDF形式:18KB)
【参考資料1】 食品表示一元化検討会報告書についての意見書(山浦委員提供資料)(PDF形式:156KB)
【参考資料2】 第18回食品表示部会における各委員からの意見について(PDF形式:19KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、お暑いところ、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、「消費者委員会食品表示部会(第19回)」の会合を開催いたします。消費者委員会の事務局長を務めています原です。よろしくお願いいたします。
 まず、食品表示部会におきまして委員の辞任がございましたので、御報告させていただきます。
 宗林さおり委員が消費者庁消費者安全課長に就任されたことに伴い、7月19日付で委員を退任されております。また、阿南久委員が消費者庁長官に就任されたことに伴い、8月9日付で委員を退任されています。御報告を申し上げます。
 本日は全委員に御出席いただいており、部会が成立いたしますことを報告いたします。
 会議の開催に当たりまして、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。議事次第と書かれた紙の後ろに一覧を載せております。
 資料1の関連が、「食品表示一元化検討会報告書」本体と、概要を1-2でおつけしております。
 資料2といたしまして、「砕粒等が混入した精米の食味試験等調査(仕様書抜粋)」です。
 参考資料1といたしまして、「食品表示一元化検討会報告書についての意見書」ということで、山浦委員から御提出いただいた資料。
 参考資料2といたしまして、これは精米表示の部分になりますけれども、「第18回の食品表示部会における各委員からの意見について」。
 机上配付になりますけれども、「米の検査規格の見直しを求める会」から、玄米及び精米品質表示基準の見直しについての意見書を部会の委員宛てにいただいておりますので、配付させていただいております。
 以上です。不足がございましたら、審議の途中でもお申し出いただければと思います。
 それでは、田島部会長、よろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は、消費者委員会事務局から、原事務局長のほか、小田審議官、消費者庁から増田食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録につきましても、後日、公開することといたします。
 それでは、本日の議題に入ります。本日は、「食品表示一元化検討会報告書について」「精米の食味試験調査等について」を議題として取り上げております。なお、両議題とも報告事項となります。
 それでは、議事次第2、食品表示一元化検討会報告書について、議論に入りたいと思います。
 既に8月9日に最終的な報告書が公表されているところでございますが、これまで、本部会におきましては検討会の進捗状況を御報告いただいておりましたので、最終的な検討結果について御報告をお願いしたいと思います。
 それでは、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.食品表示一元化検討会報告書について≫

○増田食品表示課長 食品表示課の増田でございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、私の方から、食品表示一元化検討会報告書について説明させていただきます。お手元に報告書本体と概要が置かれていると思いますので、両方をごらんいただきながら聞いていただければと思います。
 初めに、概要の左上の部分、「食品表示の機能」と「今日的な課題への対応のための食品表示制度の見直し」、これはお手元の資料の「はじめに」の部分に記載されているものでございます。
 最初の機能の部分は、第1パラグラフと第2パラグラフのところで、1点目として、第1パラグラフの後半の方ですが、「食品の内容を明らかにし、消費者が自らの求める食品を適切に選択できるようにしていく」ということ。もう一つは、「食品そのものの安全性には問題がなくとも、摂取までの時の経過や保存方法によって安全性が損なわれる場合がある。また、個々の消費者が摂取する段階で、食物アレルギーを発症する場合がある。このような事態に備えて、事業者があらかじめ消費者に必要な情報を提供しておくことは極めて重要である」ということが書いてございます。
 次に、今日的な課題の部分は、1ページの下の段落ですけれども、視点として3つ書いております。1点目は、単独世帯の増加などによって食生活が多様化する中で、消費者のニーズが多様化していること。2点目として、高齢化の進展など社会情勢が変化する中、より多くの消費者が重要と考える情報が、食品の容器包装上適切に読み取れるような制度にしていくことが大事ということ。3点目に、情報提供手段の多様化に対応していくことを挙げております。
 諸外国の食品表示制度の動向を踏まえた対応の部分については、2ページの「この点」から始まる段落のところですが、中段以降に「もとより、食品表示は各国の食生活の実態に即して国ごとに定められるべきものではあるが」という断り書きを書いた上で、近年における特に栄養表示の義務化の動き、これについて、生活習慣病対策として共通の課題として考えられるということを書いてございます。
 次に、概要の青地の部分でございますが、この部分は報告書で言うと3ページ以降でございます。3ページの(1)の最初のパラグラフですけれども、食品一般を対象として表示を義務づける制度として、食品衛生法、JAS法、健康増進法を挙げています。それぞれ現行の法律において、食品衛生法は公衆衛生上必要な情報を表示させる、JAS法は品質に関する情報を表示させる、健康増進法については栄養成分及び熱量に関する情報を表示させるという仕組みになってございます。
 これについて概要では、「わかりやすい食品表示が必要」としておりますが、報告書の中身では、現行の食品表示制度が複雑でわかりにくいものになっているということを、消費者、行政、事業者の視点から、それぞれ3ページの中段に書いてございます。
 報告書では、これまで共同会議など、複数ある制度の統一的な運用の取組等を書いております。消費者庁に食品表示の基準の制度が一元化された機会をとらえて、一元化の法律をつくることについて提言されているというのが、4ページの後ろの方の段でございます。
 次に、「消費者基本法の理念と食品表示の役割」です。報告書の5ページ以降の部分ですけれども、平成16年に改正された消費者基本法において、第2条に基本理念というのが定められていて、消費者政策の推進は、消費者の安全の確保、自主的かつ合理的な商品の選択の機会が確保される等々、こういったことを消費者の権利として尊重することを基本にして行うということが、消費者政策の基本的考え方として書かれていることをもって、新しい食品表示法においても、基本法に示された消費者政策の推進に合致する形で位置づけたらどうかということが書いてございます。
 特にそのうち食品表示における役割としては、6ページに書いてありますけれども、自主的かつ合理的な商品の選択のために必要な情報と、食品の安全性を確保するための情報という2面について言及しているところでございます。
 「新しい食品表示制度の在り方」については、報告書の6ページ以降に書いてございます。1点目は、新しい制度の目的の定め方、アの部分ですけれども、「新しい食品表示制度の目的は、食品の安全性確保に係る情報が消費者に確実に提供されることを最優先とし、併せて、消費者の商品選択上の判断に影響を及ぼす重要な情報が提供されることと位置づけることが適当と考えられる」という形で、新しい制度の在り方を書いてございます。
 それ以降、特に取り組むべき課題として、1点目は用語の統一が書いてございます。7ページに情報の重要性の整序ということで、これについては8ページの上の方に、「すべての消費者に確実に伝えられるべき重要な情報として、アレルギー表示や消費期限、保存方法など食品の安全性確保に関する情報が位置づけられると考えられる」と書いております。
 8ページの下に表示の見やすさについて書かれており、具体的には、次の9ページですけれども、「食品表示の文字を大きくするために、どのような取組が可能か検討していく必要がある」とされております。
 ちなみに9ページの脚注に、平成14年度と平成20年度の国民生活局で行われたアンケート調査の結果が載っています。「食品表示をわかりやすくするために役立つと思うこと」について、いずれの調査についても最も数が多かったのは、用語統一の問題と、14年では3つ目ですけれども、次に挙げられているのが、文字を大きくすることであったということを脚注に書いてございます。
 次に、義務表示事項の範囲の関係ですが、報告書の9ページからでございます。基本的な考え方については9~10ページにかけて書いてございますが、簡単に言えば、表示により情報が得られるメリットと、表示をするためには相応のコストがかかること。特に安全性にかかわりないものについては、それを活用する人と活用しない人がいて同様にコストがかかることを踏まえて、消費者全体としてのメリット、デメリットをバランスさせていくことが重要ということを、若干抽象的ですが、書いてございます。
 次に、イの現行の義務表示事項の検証については、結論の部分は11ページの中段のパラグラフです。現行の義務表示事項については、「長年の議論の積み重ねの下にその必要性が認められてきたものである。これまでの議論も踏まえつつ、食品表示の一元化に当たって優先順位の考え方を導入する機会に、情報の確実な提供という観点から現行の義務表示事項について検証を行うべきである」ということを書いてございます。
 次に、新しく義務づけを行う際の考え方としては、ウのところで、新たに義務づける場合には優先順位の考え方を活用すべきということが書いてございます。
 次に、将来的な表示事項の見直しに関しては、12ページで、将来において必要に応じて表示事項を見直すことも重要であるという観点から、ここでは、義務表示事項を柔軟に変更できるような法体制とすることが必要であると書いてございます。
 この趣旨は、現行のJAS法なり食品衛生法においても、法律で表示基準をつくることができるという根拠規定を置いて、具体的な義務づけは、表示基準として、内閣府令、告示という下位法令で書いているのが現行の法令の形式でございます。そういった形の方が、逐一表示事項を改める際に法改正をしなくてよいことから柔軟な対応ができるということで、現行の下位法令に委ねる仕組みを維持することが適当ではないかということを書いてございます。
 次に、12ページの後ろ、適用範囲の考え方でございます。ここの前段から書いてありますけれども、現行の食品表示制度については、法律上は広く食品一般に表示の義務をかけられるような構成にしつつ、実際には、原則として容器包装に入った加工食品を主な対象、プラス、生鮮食品について名称、原産地等を書くという形で表示の義務づけが行われているのが現状でございます。
 これに対し、今後の方向として、現在、具体的な義務表示の適用となっていない中食、外食等について、どういうふうに考えるべきかを書いているのが13ページの(1)からの部分でございます。
 外食等につきましては、1点目として、単独世帯の増加という社会構造の変化等を受け、惣菜などの中食や外食などの重要性はますます高まっている一方、中食、外食が生活に密着したものとして重要性を増しているということが書いてございます。そういった中において特に消費者から求められる情報として、安全性にかかわるアレルギーの表示について、まず第一に考えるべきではないかということが書いてございます。
 一方、義務づけを今後行っていくかという点については、それ以降、問題点が書いてございます。特に議論上大きな点としては、14ページの中ほどに書いてありますけれども、特に外食等において、アレルギー物質の意図せざる混入が効果的に防げるかということについては、技術的な観点からの検討が必要ではないかとされております。こういった実態を踏まえつつ、中食、外食のアレルギー表示についてはどういう形でできるのか。コンタミネーションをどういうふうに防ぐことができるのかという技術的な面を含めて、更に検討が必要という結論になっております。
 15ページからはインターネット販売の取扱いの部分が書いてあります。インターネットについては、現行の義務では、ほかの商品と同様、容器包装された食品についてはパッケージに表示がされているわけです。そういった意味で適用除外になっているわけではございませんが、商品選択、商品を購入する段階においては必ずしもパッケージが見られるわけではないので、その時点における情報提供をもっと充実させるべきではないかというのがインターネット販売等の取扱いの論点でございます。こちらにつきましても、勿論、必要性の観点はうたわれているわけですが、一方において、一言でインターネットといってもその形態は種々ではないかということが、16ページの真ん中ぐらいのところに書いてございます。
 インターネットについて要望が強いのは、インターネットでしか売っていない物で、その商品に対する情報がなかなか得られないもの、これについては確かに情報が必要である反面、今の状況ですと、お店に買いに行くのが困難なお年寄りなどが、ネットを通じて購入して配達等のサービスを受けている。そういった形式においては、一つは、ネットスーパーでの品揃えの充実、何千アイテムという形での品揃えがなされているかと思います。そういう品揃えが消費者にとって有意義であるということと、必ずしも消費者にとってなじみのない商品でもないということもあり、こういったものについて、全体としてインターネットを一律に論ずるのはもう少しきめ細かい議論が必要ではないかということで、インターネットについても専門的な検討の場を別途設けて、情報提供の在り方について議論すべきということが書かれています。
 17ページ以降は栄養表示の考え方でございます。栄養表示においては我が国は、栄養強調表示をする場合は、義務としてカロリー及び4成分の5項目を書くことになっておりますが、それ以外は原則任意というのが今の状況でございます。
 これについて今後どういうふうに考えるべきかということについて、概要で言うと赤の部分ですけれども、一つは、栄養表示は健全な食生活の実現に向けて重要な役割を果たしているということで、「健康日本21」での目標等を17ページ以降に示してございます。もう一つは、冒頭の「はじめに」の部分でも書きましたけれども、19ページ以降では、近年のコーデックスにおける栄養表示の議論についての御紹介と、近年、特に先進国を中心に栄養表示の義務化が進められているということが書いてございます。
 19ページの一番下の行から、栄養表示に関する基本的な考え方が書いてございます。まず、栄養表示をしていくに当たっては、勿論、表示する側もそうですが、一方において、栄養の情報を使いこなしていく消費者への普及啓発を併せてやっていく必要があるということ。もう一つ、栄養表示の特殊性として、特に原材料の質の違いによって、栄養素、これは数値で書くわけですが、それにかなりばらつきが出るということがございます。そういった意味では他の表示制度と異なった状況がありますので、そういう栄養表示制度の特性、差があることについても、併せて、消費者の方への情報提供なり、御理解をいただくという環境づくりが必要ではないかということが書いてございます。
 一方、栄養表示については事業者の方々に対しても一定の負担があるということで、従来、食品表示制度について事業者は知っているけれども、消費者は必ずしも知り得ないという情報を提供させることによって、情報の格差をなくすといったことを進めてきたわけですけれども、栄養表示について言えば、事業者自身も必ずしもその数値を当然に知っているわけではないという事情がございます。そういった中で事業者の方に、分析あるいは計算等によって数値を調べてもらって、それを表示するということになりますので、そういった意味からもある程度円滑に進めていくためには、期間の問題もありましょうし、さまざまな表示円滑化のための枠組みなり環境づくりが必要ということを書いております。
 こういったことを踏まえますと、栄養表示の義務化については、消費者・事業者双方の環境整備と表裏一体のものとして論ずべきものということが、栄養表示制度の基本的な考え方の最終結論として書いてございます。
 20ページ、(5)からは表示制度の枠組みについて書いてございます。対象食品としては、原則として予め包装された全ての加工食品を対象に義務化すると書いてございますが、2点、適用除外の観点が書いてあります。1点目は、栄養の供給源としての寄与が小さいと考えられるもの、水等でございますが、こういったものは適用除外にすることと、(イ)の対象事業者についても、家族経営のような零細な事業者に過度な負担がかかるようであれば、適用除外とすることが適当であるということで、こういった観点からの適用除外についても検討することが書いてございます。
 対象とする栄養成分については、現行の一般表示事項は、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの5項目ですけれども、義務化に当たっては、栄養成分をどういうふうにするのか更に検討していく必要があるということで、具体的には義務化施行までに決めるということを書いてございます。
 表示値の設定方法ですけれども、栄養成分の表示をする場合、±20%まで差が許容されるということで、具体的には、エネルギー100kcalと書いた場合、80~120kcalの間に当てはまっていれば許容するというルールになっています。しかしながら、ばらつきが大きい食品について幅広く栄養表示を表示させるためには、±20%という許容範囲に縛られない方法も必要であるということで、新たな表示方法について検討することが適当ということが書いてございます。
 (6)は環境整備の部分が書いてございます。1点目は、先ほど申し上げました±20%の許容差に縛られない表示の仕方、これをまず先行的に表示のルールを設定して、その方法による表示の拡大と、消費者の方がそういった表示に慣れてもらい、それを通じてさまざまな健康管理をしていく、表示を活用することを進めていくということでございます。
 (イ)の部分は、そういった新しい方法に限らず、結果としては、表示されたものを消費者の方々が活用して初めて意義があるということで、消費者への普及啓発を進めていく必要があるということが書いてございます。イ以降の部分は、事業者サイドとして表示を円滑に進めるための仕組みということで、データベースの整備、支援ツールの充実ということが書いてございます。
 最後に、義務化の導入の時期については、環境整備の状況などを踏まえつつ、新しい制度の施行後おおむね5年以内を目指して決定しようということで、ある程度目標の時期を明確にして環境整備等を進めていくことが書いてございます。
 「終わりに」に書いてありますのは、1点目は、この報告書をもとに新しい法律の立案作業に着手し、速やかにというのは、具体的には次の通常国会を目指して法案を提出するということでございます。もう一つは、現行の表示制度における枠組みを基本的に維持する方向をとりつつ、その在り方について、今後の検討課題として更に検討を行うことが適当であるとされています。
 ここには3点書いてございまして、1つは、加工食品の原料原産地表示の在り方です。加工食品の原料原産地につきましては、現行では、23ページの(1)のマル1が、原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品として品質に大きく反映されると一般的に認識されている品目で、マル2が、製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上である商品。これを今の要件として選定しているわけですけれども、これについて、品質の差異という観点にとどまらず、新たな観点から原料原産地表示の義務づけの根拠とすることについて議論を行ったところでございます。
 具体的には、消費者の誤認を生じるような状況であれば、品質の差異にかかわらず原料原産地表示の義務づけをすることは考えられないかということを、事務局として提案して御議論をいただいたところでございます。
 結論から申し上げれば、この検討会においては結論が出なかったというところでございます。ここについては、原料原産地そのものについての考え方もありますし、誤認というのはある種主観的であり、客観的な要件が必要なのではないかといった意見が出されております。いずれにしてもこの検討会では結論まで至らなかったということで、原料原産地については、一元化の機会に検討すべき項目とは別の事項として位置づけ検討することが適当であるというふうに報告書では整理されています。
 2点目は中食、外食の関係ですが、これは適用範囲のところで申し上げましたとおり、技術的な観点を含めて更に議論をしていく部分でございます。
 最後に、その他の個別表示事項として、今回、途中で意見募集の手続を行ったわけですけれども、意見が多かった事項についても、今後、検討課題としていくことが適当であるというふうに書いてございます。
 長くなりましたけれども、御説明は以上でございます。

○田島部会長 どうもありがとうございました。
 本日は、山浦委員から、この報告書につきまして意見書の提出がございます。御意見を伺う前に、まず、山浦委員から御説明をお願いしたいと思います。
 では、山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 ありがとうございます。参考資料1に、今、御説明がありました報告書の各章各節についてのコメントを書かせていただいております。余り時間を取ると申し訳ないので、簡単に概要を私の意見書に沿って申し上げたいと思います。
 まず、消費者庁としてはこの報告書を採用されて、これが消費者庁の見解であるというふうに理解されています。それでよろしいですね。そして、今後、法案化に向けてこの方向で要綱案等を検討するという段取りだと思います。
 この一元化の報告書ですけれども、法案の一元化に向けてのツールになり得るかというと、私としては、目的がよく示されていない、また、具体的なロードマップ等も出ていないし、よくわからないということで、報告書としては一元化法に向けての内容になっていないのではないかというふうに申し上げたいと思います。今回の報告書は事業者の観点が大幅に入ってしまった、消費者にとりましては後ろ向きの報告書になってしまったのではないかというふうに非常に残念に思っております。
 具体的には、消費者基本計画でも加工食品の原料原産地表示の拡大ということが示されているわけですけれども、こういったものについても先送りをする。あるいは、消費者基本計画で消費者の権利を取り上げていると思いますけれども、これを具体化するような論理展開もないということで、報告書としては私どもとしては不満に思っております。
 第1章「はじめに」のところの論理展開ですけれども、現行の食品安全行政を絶対視している。食品安全委員会のリスク評価、厚生労働省、農林水産省のリスク管理の仕組みといったものが前提にありまして、市場に出ているものは安全であるということが語られているわけですけれども、消費者には、この間、慎重な考え方に立ってさまざまな食材を選択したい、そういう声が実際にはあると思います。
 安全性評価の問題につきましても、さまざまなグレーゾーンの物質、あるいは、よくわからないけれども不安ではないかというふうに考えているものがございます。具体的には遺伝子組換え食品、これをどう考えるかということについては国民的にも考え方が分かれていると思います。昨今では、遺伝子組換え技術を使った食品添加物を使ったダシ、これが実際に市場に出ていますけれども、違法な状態で市場に出回っていたわけです。
 アメリカの牛肉については、BSEの関連から、どこの国の牛肉であるかということをはっきり知りたい、あるいは、何か月以下であればどうだといったような議論もあるわけです。また、抗生物質ナイシンなどを食品添加物として使うチーズの製法、あるいは例えば大豆たんぱくとか、まがいものの食原料を使った加工食品といったものが出回っています。こういったものについて、どういう食材に基づいた食品であるかということを消費者としては知った上で選択したい、ということが実際には要望としてあると思います。
 しかし、今の食品安全行政は安全性をしっかり確保している、あるいはリスク管理もしっかりしているという前提で語られますと、消費者が選択をしたいといった対象が限定されてしまうことになりますので、私としてはできる限り表示を充実させることが重要ではないかと思いますけれども、そういう方向の報告書にはなっていないことが一つの問題ではないかと思います。
 規格を策定するリスク管理の立場からすれば、我々としては、予防原則の立場に立った慎重な評価を行った上での基準や政策の策定を求めたいわけですけれども、そういったことも、これによってはなかなかできにくいということがあります。後で見ていきますように、限定に限定を重ねていくというようなことで、情報の限定といったことが重視されている報告書ではないかというふうに思います。
 具体的には「消費者がわかりやすい食品表示」というところに行き着くわけです。これを導き出すにおいては、高齢者は字が小さいと見えにくいなどということを例に挙げまして、わかりやすさといったことが簡略化に事実上つながっていく、そういった報告書ではないかと思います。こういった議論によって、事業者が余り表示したくないといった要望をここに盛り込んでしまったように思います。
 第2章は「新たな食品表示制度の基本的な考え方」ということで、現行制度の枠組みと一元化の必要性を述べているわけですけれども、3法の食品の表示に関する部分を機械的につなぎ合わせる、そういう論理展開がどうも前面に出てきているのではないかということで、これも非常に不満です。技術的に瑣末な問題、用語の統一とか、重要ではありますけれども、こういったところを引用して一元化の必要性を矮小化しているのではないか。そもそも一元化の必要性というのは、消費者が食品偽装などによって被害を被ったことに対する国としての姿勢を、もう一回見直すというところから始まっている議論であるはずですけれども、そういった精神が生かされていないと考えられます。
 第2章第2節では、「消費者基本法の理念と食品表示の役割」ということで、ここで具体的に明確かつ平易な形での情報提供を述べているわけですけれども、安全性については、消費者の購入してからの食品の取扱いがリスクを高めるから、そこについての注意書きを書くといったような話にこれも矮小化していることが非常に問題ではないかと思います。私どもとしては、事業者の全情報の開示をまず原則とした上で例外も検討する、そういう立場をとっているわけですけれども、そういったものとは相反する論理展開ではないかと思います。
 第2章第3節では、「新しい食品表示制度のあり方」ということで、事業者の実行可能性、消費者の表示の見やすさということだけが強調されているわけです。これは、事業者の意向を重視した制度に3法を後退させる、そういったものにほかならないということです。例えば、東京都は冷凍加工食品の原材料の表示義務化が実際行われていますけれども、多くの食品を販売している東京都においては、こういったルールを各事業者さんは遵守しているわけです。ですから、できるのに、これをやりたくないということでやらないという方向性を出すのは消費者としては非常に不満です。
 また、韓国における加工食品の原料原産地表示については、同じ食品なのに、日本企業は韓国では厳格な表示をしているわけですけれども、日本においてはそれをしないといった二重基準で製品を販売しています。こういったことは、できるのに、法律がないから、していないということにほかならないので、やはり国内においてまず実施するように義務化を進めることが必要ではないかと思います。
 それから、山根さんがよくおっしゃっている、景品表示法とか公正競争規約の内容も入れる形で、アルコール類の内容の成分をしっかり表示させることも、今後、必要ではないかと思います。
 第4節、「義務表示事項の範囲」ですけれども、ここで優先順位の考え方があらわれてきています。これまでの加工食品の表示制度についても、優先順位の考え方を取り入れて見直すという叙述もあることは、非常に問題ではないかと思います。食品添加物、遺伝子組換え食品の表示に対する表示コストの上昇があるということがここで論じられているのも、後ろ向きではないかと思います。
 義務表示ですけれども、ウェブサイトの情報提供でもいいのではないか、任意表示でもいいのではないかといった論理展開が行われていますけれども、これは、まず義務化があって事態が進行していくわけですから、安易に事業者の要望に沿った形で報告をするのは、これはいかがなものかというふうに思います。また次には、将来的な表示事項の見直しということで、ここでも、優先順位あるいは任意表示でもいいといったことをうたっているのも問題だと思います。
 第3章で、「新たな食品表示制度における適用範囲の考え方」ですけれども、先ほども御報告がありましたように、これも非常に限定した考え方が示されています。実際の食生活を見ますと、自宅での調理以外にさまざまな中食、外食に頼っているのが現状ですから、ここで、しっかりできるというところを示すべきではないか。韓国では実際にこれを行っているわけですけれども、こういった見方がここでは欠けている。インターネット販売、カタログ販売、自動販売機における購入につきましても、さまざまな理由をつけてできないということを言っているのは問題ではないかと思います。
 第4章は栄養表示の考え方ですけれども、国際的な栄養表示制度の動向、また、中長期的な期間で栄養を管理するための目安というふうにもとらえていますけれども、国際的には義務化が進んでいる状況がありますから、新法の施行後5年以内などと言わず、直ちに実行することを是非言ってほしかったというふうに思います。
 第5章「終わりに」のところです。ここでは、第1節「加工食品の原料原産地表示」につきまして、先ほども御報告がありましたように、消費者が誤認しかねないものといったような、これまでの品質の差異とか、50%ルールに代わる新しい考え方も示されたわけですけれども、これを発展しようとしなかったことは遺憾に思います。それから、長らく議論を進めて、消費者基本計画で打ち出した原料原産地表示の拡大の考え方を後退させてしまったのは非常に問題が大きいと思います。中食、外食、インターネット販売についての取扱いも別途検討で、先送りということは問題です。
 最後に、「その他の個別の表示事項」で、遺伝子組換え食品の問題が先送りされています。意見交換会が今年の3月23日に行われ、また、パブリックコメントも集めたわけで、ここで消費者から、遺伝子組換え食品の表示制度が今のままでは非常に使い勝手が悪い、もっとしっかりした選択の道具にできるようにしてほしいという意見があったと思います。こういった多数の意見を反映することなく議論を先送りしていくということなので、これも問題が多いと思います。
 全体的に消費者の選択する権利を具体化し、また、事業者に義務づけるルールをしっかりと示すことで、法案化に向けての方向性を示す報告書であってほしいと思うわけですけれども、残念ながらそうはなっていなかったということで、私としては非常に残念な結果だというふうに考えております。

○田島部会長 それでは、先ほどの消費者庁からの報告書の御説明につきまして、各委員から御発言はございますでしょうか。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 ただいま、食品表示一元化検討会について御報告をいただきました。私も食品表示一元化検討会の委員として参加してきておりました。この報告書の内容が今後どのように進められるかということに関しましては、事業者にとっても大きな関心事になっておりますので、一言申し上げたいと思っております。
 報告書の中で、特に栄養表示の部分でございますけれども、この栄養表示の部分が実施されるに当たってはさまざまな課題があるのではないかと考えております。その中でも、義務化の方向が今回示されて、原則すべての事業者を対象とするとされているわけですけれども、一方で、零細な事業者の適用除外についても触れられています。実際、中小零細の製造事業者の方にとっては大変難しい課題ではないかと考えておりまして、制度設計の検討におきましては、適用除外となる事業者について、専門家あるいは事業者等を交えて十分な検討をしていただきたいと考えております。
 また、対象製品及び実行可能性についても、専門家、事業者等を交えて十分に検討していただき、実行可能性が担保されるように、十分な環境整備を是非進めていただきたいと考えております。
 以上、栄養表示に関してのお願いでございます。
 また、原料原産地表示に関しましても、一言申し上げたいと思っております。原料原産地表示については、第10回の一元化の検討会の資料、「新たな食品表示制度における加工食品の原料原産地表示についての方向感(案)」にまとめられていますように、「検討会の議論の中では、原料原産地表示制度そのものに対する否定的な意見や、その拡大に反対する意見が大勢であった」という取りまとめになっていたかと思っております。このような状況でしたけれども、一方で一元化検討会では、品質の差異の観点にとどまらない新たな観点からの原料原産地表示について更に検討を行ったわけでございます。しかしながら、これまでの品目横断的な選定要件である要件I、要件IIに代わる、新たな選定方法は得られなかったということでございます。したがいまして、昨年、食品表示部会により取りまとめられた原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会報告、そこの結論の部分と内容的には同様であったのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。

○田島部会長 どうぞ、海老澤委員。

○海老澤委員 中食と外食の取扱いで、アレルギー表示が一つの例として挙げられているわけですが、現在の加工食品を対象にしたアレルギー表示はかなり定着しているとは思いますが、それでもまだ難しい点とか、多々見直していかなければいけない点はあります。アレルギー表示をもし中食とか外食に進めていくと、ここにもいろいろな問題点が書いてありますけれども、業者の自主的な表示というところが、なかなか難しいところでもあるのかなと思います。
 というのは、患者さんにとって健康被害を伴うことですから、信用できる表示でないと取捨選択の基準にできにくいというところがあるのと、業者の方で中食や外食を提供する場合、一つひとつどういうものを使ってどういうふうにしているというのを開示していくのは、企業秘密をばらしていくことにもつながるのかなと思うわけです。そこのところのバランスで、加工食品の場合は義務と推奨で今までやってきているわけですけれども、「自主的な」という言葉は、具体的にはどういうイメージで行くのか。専門家を集めてとか、患者さんを集めてとか、ここに書いてありますけれども、将来的にそこのところを広げていこうということは、患者さんにとって選択肢が広がっていいことだろうなとは思いますが、そこをどういうふうに具体的にしていくかというところにおいては、テクニカルにいろいろな問題があると認識しています。
 企業が自主的に行っていくという場合、日本は、何でもアメリカのように訴えられるということは基本的にそんなにはないと思いますが、健康被害が発生してくると、病院を受診したとかいろいろな問題が発生してきて、法律的にどういうふうにそれを取り扱っていくかとか、多分かなりデリケートなところも入ってくるのではないかと思います。
 今は表示義務違反になると、保健所が入って食品衛生法で刑事罰となるわけですけれども、自主的なといったときにどういう取扱いで、また、健康被害が発生した患者さんに対して、そこのところで訴えがあった場合、そういうことがどのように取り扱われるのかと思いました。これから5年ぐらいかけて検討されるのではないかとは理解したのですけれども、かなり難しい問題を包含しているなというのが印象です。

○田島部会長 報告書では、今後、新たな場を設けて検討を進めていきたいというふうになっております。
 ほかにございますでしょうか。立石委員、どうぞ。

○立石委員 今回の一元化検討会の結果については、私も山浦委員とほぼ同感です。非常に残念な、非常に後退した中身ではないかというふうに思っております。今まで、健康増進法、JAS法、食品衛生法、さまざまな課題がありつつ、縦割り行政の中で問題があった点を一つにして全体を組み立て直す、そういう思想のもとにきちっとした議論がなされていると思えないということです。あるべき理想形といいますか、今回は、消費者目線、消費者視点に立って組み立て直すというところが相当不足しているのではないかと思います。
 原料原産地表示についても、調査会の中でさんざん議論をして、特に要件マル1、マル2については、全く問題があるというふうにここで結論づけたにもかかわらずそれがまだ生きていて、それでもって延長して、またおさらいから始めてという、同じことが繰り返されているわけです。これまでと同じ議論が何度も何度も繰り返されているわけです。これは総論で議論をすれば、当然、百人の人がいれば百の意見が出てくるわけです。消費者基本計画で着実に拡大すると言いつつ、既に要件マル1は、用をなしていないわけですから、新たな基準を設けるというところで具体的にもっと各論を詰める話なのです。
 なぜ韓国はできているのか、なぜ東京都の調理冷凍食品は事業者が守られているのか。ここで何が問題があるのかというところをきちっと議論をした上で先に進めていかなければ、こんなことを何度やっても同じですよということを私がここで何度も申し上げたことが、また繰り返されたわけです。結果が先送り、棚上げ。こういったことをいつまでやるのですかと、私は強く消費者庁に求めたいです。消費者委員会からもこのことについては、JAS法にとらわれないで議論しなさいと、そういった提言が出たわけでしょう。それが全くこの中では議論されていません。そういったところも、非常に不可思議なこの調査会の検討だったというふうに思います。
 以上です。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 中下委員。

○中下委員 私も今の立石委員、山浦委員の御意見に賛成します。総体的に見て本当におふた方がおっしゃられたとおりで、消費者の権利という観点、消費者が商品を選択するに当たっての表示という観点からの表示制度は、どういう制度が望ましいのかという観点からの検討が極めて乏しい。勿論、実際的なことをお考えになっておられるので、いろいろな情報があって、それを統一するのはなかなか大変だということもおありになって、この3法だけという形になっているのだろうと思います。
 でも、消費者が欲しいのは、「はじめに」のところに書かれているように、一般に消費者と事業者で保有する情報の質と量に格差がある中で、食品の内容に関する情報をできるだけ欲しいということだと思うのです。そういう中でどの部分を表示の義務化をしていくかということと、提供の仕方、例えば化学物質ですと、必ずしも表示に入れなくて、それについてはMSDSみたいな形で提供するという方法もあろうかと思います。私は化学物質のことをやっているものですから、とりわけ農薬に関する情報は本当は知りたいです。どういう農薬が使われていて、何回ぐらい使われていてという、そういう情報がトレーサビリティであるような制度だってあり得ることだろうと思います。
 放射性物質に関しても消費者の方は非常に関心が強く、基準以内だから安全だというだけでは納得されないというのが、やはり消費者の意識だと思います。そういう点ではもうちょっと抜本的に考えていただきたいし、原料原産地表示については何度も議論をし、この中でも特別の検討会を設けて検討していただいているのに、これがずっと先送りというのは本当に問題があるかというふうに思いますので、決断をしていただきたいなと思います。

○田島部会長 ほかにございますか。
 青柳委員。

○青柳委員 報告書の中に、「できる限り多くの情報を表示させることを基本に検討を行うことよりも、より重要な情報がより確実に消費者に伝わることを基本に検討することが適切」というふうに書いてございますが、私はこの記述については賛同いたします。食品表示の一元化の目的は、わかりやすい表示にするということが大前提ですから、一つの包装の中に多くの情報を入れれば入れるほど文字は小さくなる、しかしながらスペースは限られているというところがあれば、これは優先順位をつけて表示せざるを得ないという考え方は、これはしごく当然だろうというふうに考えております。
 ただし、優先順位をつけるのは、あくまでも一般消費者の表示に対する要望によってつけていただかなければ困る。私、あえて一般消費者というふうに申し上げたのは、表示によって直接的な利害が発生する人もいるわけです。その方たちも一面で言えば消費者ということになるわけです。そういう方たちの言動あるいは意見がことさら強く取り上げられてしまうと、一般消費者の意見が反映されない方向になる可能性が非常にありますので、やはりその辺は十分に注意をされて優先順位をつけていただきたいというのが、私のお願いでございます。

○田島部会長 栗山委員、どうぞ。

○栗山委員 アレルギーの表示というのは、命にかかわる安全のためであり、食品の自主的な表示ということになりますと、勉強しないまま、適切ではないアレルギー表示がされることになると、命にかかわる選択が確実にできなくなることが考えられます。今後も、アレルギー表示についてお考えいただくときにはその部分を是非御考慮いただきたいと思います。
 もう一点、6ページの「(3)新しい食品表示の制度の在り方」で、「必要な表示について、事業者の実行可能性を十分に踏まえた上で」と書いてありますが、そこは事業者の事情を十分に踏まえずに、それを無視していいと言っているわけではないので、「配慮しつつ」ぐらいにしていただきたいと思います。実行可能性が強調されすぎずに、消費者の命にかかわる安全性を十分に踏まえていただきたいなと思っております。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 山根委員。

○山根委員 検討会は12回開催され私も委員として参加しましたけれども、とにかく私としては、事業者のものすごい抵抗といいますか、義務の拡大などとんでもないと。書くスペースはないし、大変な負担であるといった抵抗に辟易した1年だったという感想を持っています。消費者庁のリードの下に、ともにみんなでよい表示法をつくり上げようと、そうした努力を積み上げる1年にならなかったことがとても残念に思っています。
 今、私が関心を高く持っていますのは、今後のことでありまして、この報告書を受けて法令化という準備が進むようですけれども、消費者委員会、あるいはこの部会として何かすることはあるのか、何をすべきなのかということを議論していただければというふうに思います。例えば今後の検討とされた課題、報告書の中で明記された言葉以外にも課題は検討会の中でもたくさん出てきていますし、いろいろあります。それらをどこでどう議論するのか、いつするのか。また、一元化に合わせて監視や執行体制も一元化すべきということも多くの声があるわけですけれども、その辺りもどうしていくのかということを、関心を持って今後見ていかなければいけないと思っています。
 また、田島部会長も全回傍聴されていらっしゃったと思います。部会長も、報告書を見てどういう感想をお持ちかも教えていただければと思います。

○田島部会長 森委員、どうぞ。

○森(康益)委員 今回の報告書を見て、何が決まって何が決まらなかったのかということを、皆さんで共通の認識を持った方がいいのではないかと思っています。今回の報告書だけではなく、当然、次のステップに行くわけですけれども、今回の報告書を踏まえた中で次のステップに入っていくべきなのではないか。議論を振り出しに戻して全く更にするということではなくて、1年かけて専門家も有識者の方々も検討されてきた話なので、今回の報告書を踏まえた中で次のステップに移っていただきたいと要望いたします。

○田島部会長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 私もこの検討会に参加させていただきました。この検討会の成果としては、消費者庁ができたことによって、一元化という議論が新法をつくるための土台としてできたこと。この一歩が進んだということが非常に大きな成果だろうというふうに思っております。いろいろな立場でさまざまな意見があろうかと思います。それはあって当然です。それぞれスタンスは違いますし、よりどころが違うわけですから、あって当たり前。ただ、それをどういうふうに調整していくのか。消費者庁ができて、表示の一元化の議論の中でその内容の調整の部分が可能になったわけです。
 もう一点は、その調整が実現できるのかどうかという問題です。消費者庁食品表示課が中心となって議論をされていくわけですから、そこの所掌範囲を大幅に超える中での調整を求めれば、新法作成までにその成果は全く出てこない。逆にその一歩すら危うくなっていくのではないか。そういうことから考えれば、JAS法、食品衛生法、健康増進法の3法に限定した調整を行っていったことは、一歩目として非常に重要なことであろうと思っているところでございます。
 そういう状況の中で、幾つか指摘がされているわけです。私は栄養表示の部分が専門でございますので、そこの部分についてはできるだけ早く進めていきたいという思いはございますけれども、一部の事業者だけ表示がされるのであれば、それは消費者にとってのメリットがないであろう。現状と変わらない状態になる。ごく零細な事業者は別として、中小の事業者であってもそれが適正に表示できる、そういう状況に制度を構築していくこと、これが消費者に対しての適切な情報提供として非常に重要だろうと思っているわけでございます。そういう方法論も含めて、経過措置の期間の中できっちりと積み上げていただいて、いざスタートするときには完全なものでできるようにしていっていただきたい。
 原料原産地表示の調査会にも出席させていただきました。これは、その段階からも意見が割れておりましたし、今回も意見が割れて結論が出なかったということでございます。まさにそれぞれの立ち位置によって意見が違うところで、どこかにまだ集約できるという状況にはなかったのだろうと。特に原料原産地表示そのものの意味合い、本来であれば、その特徴を生かして、そういうものを優先的に選択していただくという目的で原料原産地表示は活用されるべきものであろうと思いますけれども、一部では安全性に対して回避するための情報として使われる可能性もあるのではないか。原料原産地表示で安全性を担保することはできませんから、そうすると、原料原産地表示の目指す姿とは違う方向性もあらわれてくるのではないか。そんなふうなことがあったのではないかと思います。
 幾つかの項目については、今後の課題として、次の検討を待つということになっております。そういう意味で結論が出なかったもの、それから、例えば食物アレルギーの問題に関しても、専門家がいなかったがために専門的議論ができきれなかった、そういうところはやはり次の検討を待つという形で、先送りという言い方をすれば先送りかもしれませんけれども、それは適正な議論を積み上げていただくという意味で、次の検討会を待つということになったのだと思っております。そういう議論の経緯の中で、冒頭で申し上げましたように、いろいろな意見を報告書へ集約したということで、これから先、一歩、二歩進めていっていただくことを消費者庁にお願いしたいと思っております。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 中下委員、どうぞ。

○中下委員 先ほど青柳委員から、たくさんの情報があるとわかりにくくなるので、やはり優先順位をつけるべきではないかという御意見があったかと思います。その御意見自体は私もわからないわけではないですけれども、ただ、そういうふうにして優先順位をつけていきますと、情報が少ないほど恐らくわかりやすくて、たくさん書くと、やはりわかりにくいことになりかねないのをとても懸念しております。
 皆様、消費者として何を一番望んでいるかということをお考えになっておられると思いますけれども、今は消費者というのはものすごく多様化してきていると思います。ですから、最低限これだけが必要だ、それだけで納得される消費者というわけではない消費者もいっぱいおられる。基本的には一人ひとりの合理的な選択のための情報は、できる限り情報の格差をなくしていくという方向性を確認した上で、先ほども申し上げましたけれども、表示として容器包装につけるもの、どこまでのものをつけるのか。インターネットを活用することによって更なる情報を欲しいと思う消費者が、その情報が得られるシステムを確立していくという多様なやり方があるかと思いますので、ここで優先順位をつけてしまって、安全性情報だけ、ということではないでしょうけれども、それを優先してあとは少しでいいということになるべくならないように、安全性も必要ですが、合理的な選択のための情報もどちらも必要。とりわけ優先順位を強調するのではなく、どちらも必要なんだという考え方で、更にわかりやすさというものも大切なことですから、わかりやすさが保証される方法がないかというところに英知を結集していただきたいと思います。

○田島部会長 立石委員、どうぞ。

○立石委員 この問題、特に原料原産地表示については、迫委員がおっしゃられましたけれども、いつまでたっても多分同じことが繰り返されるだけですね。中国産のギョウザの事件が起こったのは20年1月ですが、翌年の4月からこれはもう義務化になっています。やはりこのスピード感なのです。なぜかというと、あの事件で健康被害が出たわけです。そうすると、消費者の方から声が出るわけです、どうしても知りたいと。冠表示している商品については配合割合まで書かされますし、重量順に第3位までと。これだけ難しいもので一気にやり上げたわけです。有識者で何度か議論をして、勿論パブリックコメントを取った。事業者の方は相当反対があった。私が役員をしている会社も相当損をしました、表示を変えるために。それでもやり切ったわけですよ。
 こういったスタンスが求められています。今、消費者庁が自ら率先してデッサンを描いて、こうではできないかと意思を示すことです。今、何が問題なのか、東京都の基準でどこが問題なのか、韓国と日本とはどこが違うのか、なぜできないのか。そういった踏み込んだ議論をしない限りはこの議論は絶対に前に進まない。それだけ申し上げたいと思います。

○田島部会長 さまざまな御意見が出ました。私なりに総括してみますと、食品表示の一元化というのは、厚生労働省、農林水産省、それぞれの役所が担当してきた表示を一元化しようということで、厚生労働省、農林水産省はそもそも省庁の成り立ちが違うわけです。厚生労働省というのはいわゆる昔の内務省の流れをくんでいて、取り締り行政というのが本流。それに対して農林水産省というのは農林省がもともとで、すなわち農林水産業の発展を支援するという、その相いれない性格の省庁がそれぞれ所管している法律を一元化しようというものですから、非常に難しい。
 でも、消費者庁ができて3年、今もって消費者庁自身での法案の提出は余りなされていない。これがいいチャンスで、消費者庁らしさを、できれば食品表示一元化のための法律に出してほしい。消費者庁らしさというのは、消費者側の委員の先生に言わせれば、消費者目線というものになると思います。もう一方では、事業者の実効性の確保というのも非常に大切だと思いますけれども、できれば、さすが消費者庁ができて新しい食品表示法ができてよかったな、というような法案を目指していきたいというふうに私は思っております。
 先ほど、山根委員から感想を求められたので、それに代えさせていただきたいと思います。
 それでは、議事を進めさせていただきたいと思います。
 議事次第3、「精米の食味試験調査等について」でございます。
 それでは、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪3.精米の食味試験調査等について≫

○船田課長補佐 食品表示課の船田でございます。私の方から、資料2と参考資料2について説明させていただきます。
 まず、参考資料の方ですけれども、これは第18回、前回の食品表示部会で各委員の皆様から出していただいた意見を取りまとめたものでございます。その中で幾つか宿題が出ておりまして、その一つが、食味試験をもう一度やってはどうか。もう一つは、砕粒等の実態調査もやってはどうかという御意見が出ています。今日は、宿題の一つである食味試験等調査について、今、消費者庁の方で委託調査という形で公募しております。今月末には食味試験の調査についての委託業者が決まって、調査をやるということでございます。どういう食味試験をやっていくのかということで御紹介させていただければと思います。
 資料2は、今、公募している仕様書の抜粋でございます。調査の概要は、ポイントとしまして、食味試験をするに当たり、学識経験者、消費者団体、事業者等からなる検討会をそこで設置していただいて、妥当な評価が得られる試験を実施していただく予定でございます。検討会では試験方法についても審議していただくのですけれども、その中で食味試験の方法、理化学検査もあわせて実施してはどうかというふうに思っていますので、そういったことを御審議いただく。試験が終わった後、試験結果についての評価も検討会でやっていただければというふうに思っております。今回は、実施機関で試験をするだけではなく、一般の消費者の方を交えた食味試験を実施できればというふうに考えているところでございます。
 資料2の2ページ目になりますけれども、食味試験ということで、前回、精米工業会でやられたデータをお示ししたところでございますが、それも踏まえまして、試験対象米をどういったものにするのか、試験項目としてどういったものか。併せて理化学検査、食味というと味ということになってしまいますので、科学的にそれを裏づけるデータが得られるのであれば、それも分析して検討の資料としていきたいということでございます。前回、15%までは有意差がないというお話もしたところでございますので、そこのパーセントについても、検討会の中で、ある程度20%をやるとかいうことも決めていただければというふうに思っております。
 理化学検査については、今のところ、お米ということですので、一般的にやられている項目としては、たんぱく質、水分、アミロース、そういったものが現在やられているようですので、そういったものを併せて実施する予定でございます。
 私からは以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御報告につきまして、御質問等、ございますでしょうか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 今から公募してやられるということですが、質問したいことが幾つかあります。一つは、砕粒ということで、食味の官能試験といいますか、現状ではある程度確立した方法というのが、消費者庁の方で今回の食味試験の手法を想定できるものなのでしょうか。
 それから、公募要綱にはまずは検討会をつくってそこで議論してもらうということで、ここで表現されている学識経験者、消費者団体、事業者というのは、幅広い人を入れるとか、どういう意味合いがあるのでしょうか。この2点についてお尋ねしたいと思います。

○船田課長補佐 食味試験でございますけれども、今、私どもの方でコンタクトをとらせていただいているのが、つくばの作物研究所の先生でございます。その方はお米についての食味試験を従来から研究なさっている方で、研究成果なども報告されているということで、その先生をお呼びして、今回のやり方についてアドバイスを受けるということを考えているところでございます。
 あと、検討会でございますけれども、ここも部会の委員からアドバイスがあれば受けたいところですが、こちらとして委託するに当たって、まず方法論として学識経験者という方を想定したと。今回、表示の義務化ということも想定されますので、そういったことを考えると消費者の方の御意見も聞きたいということ。砕粒という話で、細かい専門的な話になるので、そういったことがわかる事業者というイメージで、ここで書かせていただいているということでございます。

○田島部会長 どうぞ。

○鬼武委員 検討しようとされている内容は回答でよくわかりました。それで、要望が2つほどあります。
 前回のこの部会でいろいろ意見が出て、砕粒に関する科学的データが必要だということをこの部会の中で申し上げたことはそうなのですけれども、実際に検討会で食味試験をやるというのは結構コストもかかるでしょうし、その結果が生かされないといけないとも思っています。したがって、まず砕粒について起こる原因、水分であったり、品種であったり、その他、物流による原因とか、想定される要因が幾つかあります。そういうことは、学術的な論文とか、これまでも専門で調査・研究されている方、穀物検定協会で研究されているかどうかわかりませんが、この分野の専門でやられているところがあれば、もう少しヒアリングをしていただきたいということです。
 あと、気になるのは、実際に15%以上が閾値として設定された場合、これ以上混入すると食味がおかしいという結果になったとき、その値をもって基準値を設定するとなると、本来の基準値設定の目的から意図的には入れてはいけないでしょうけれども、そこまで入っていてもわからないということにもなるわけです。そういう調査をすることはいいですけれども、そもそも当初に戻ってもらうと、砕粒の科学的な基準値をつくって、それを表示して、消費者に情報提供すること自体もう一度十分に考えていかないと、そこの結果だけを使われる可能性があると考えられます。私はこれを見たときに非常に気になったのです。非意図的なものは仕方がないと思うのです。物流上なり、何か物理的なことによるある程度の砕粒の混入は今までもあるだろうし、それを今度規制値としてやるということになると、それ以下だと、意図的に入れても多分わからないでしょう。逆に言えば、そこまでは許されることになる可能性もあるので、そういう点も是非慎重に考えていただきたいと思います。

○田島部会長 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 お米の問題につきましては、この間、表示部会においても「玄米及び精米品質表示基準の見直しの論点整理」ということで議論も整理されていると思いますが、今回のふるい下米、砕粒の問題だけではなく、これまでの精米の表示の問題について、やはり議論を続けていかなければいけないのではないかと思っています。今日、机上配付してもらいました「米の検査規格の見直しを求める会」、私もこの会員ですけれども、ここでの情報提供を一つさせていただいて、もう少し幅広く、お米の流通の問題、規格の問題を考えていただきたいと思います。
 1点目は、精米に適用される品質表示基準、消費者向けの袋詰めの精米に適用されるルール、これと同時に業務用のばら売りに適用される生鮮食品の品質表示基準、2つございますけれども、生鮮食品の場合には、品種、産年、これが未検査米においてもできるというルールがございます。こういった矛盾点もありますので、どのような規格が必要であるかということをやはり考えていかなければいけないのではないかと思います。
 それから、農産物検査法とお米の表示のJAS法のルールとの矛盾を私どもも以前から言っておりますけれども、これをどう調和させるかということが今後の課題ではないかと思います。
 ふるい下米、砕粒の問題については、1L当たりの重量を測定する容積重という考え方が、実際に事業者の間でもとられているわけで、こういったものを利用する可能性もあるのではないかと思います。
 4番目に、複数原料米の表示ということで、韓国では211品目で表示義務化を先行しています。複数原料米の表示のコストがかかるという事業者さんの反対の意見もございますが、実際に商品代金にかかる商品の表示コストが0.25%以下とか、負担としてはそれほど大きくないのではないかというデータもございます。そういったことも含めて、複数原料米における表示の見直しも是非考えていただきたいと思います。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 これからこの仕様書に基づいて入札をしますが、それで調査を行って、その結果をまた御報告いただくことになります。
 それでは、この議案はこのぐらいにしたいと思います。
 最後に、乳児用食品の表示について御報告がございます。本部会において、本年1月より御審議いただいておりました乳児用食品に係る表示基準について、7月25日に改正府令が告示され、同日付で施行通知、Q&Aが発出され、8月1日から施行されておりますので、御報告いたします。
 私からの報告は以上でございます。
 予定した時刻よりも少し早いですけれども、本日の議事は以上でございます。
 事務局から、連絡事項などございますでしょうか。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 次回の日程につきましては、改めて、議題等も含めて御連絡をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪4.閉会≫

(以上)