第15回 食品表示部会 議事録

日時

2012年1月18日(水)14:00~15:29

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、阿久澤委員、阿南委員、鬼武委員、川戸委員、迫委員、澁谷委員、
 宗林委員、立石委員、手島委員、森(修三)委員、森(康益)委員、山浦委員
【説明者】
消費者庁  神宮司審議官、増田食品表示課長、谷口課長補佐、今川課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会  原事務局長、小田審議官

議事次第

1.開会
2.乳児用食品に係る表示基準の策定について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:59KB)
【資料1】 諮問書 (PDF形式:523KB)
【資料2】 食品衛生法第19条第1項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令及び食品衛生法第19条第1項の規定に基づく乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する内閣府令の一部改正に係る消費者委員会への諮問について (PDF形式:90KB)
【資料3】 乳児用食品の規格基準が適用される食品に対する表示について (PDF形式:95KB)
【資料4-1】 食品衛生法第十九条第一項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令一部改正(案) 新旧対照表 (PDF形式:111KB)
【資料4-2】 食品衛生法第十九条第一項の規定に基づく乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する内閣府令一部改正(案) 新旧対照表 (PDF形式:111KB)
【資料5】 乳児用食品の規格が適用される食品に対する表示 (PDF形式:697KB)
【参考資料1-1】 食品衛生法第19条第1項の規定に基づく表示の基準に関する内閣府令 (PDF形式:126KB)
【参考資料1-2】 食品衛生法第19条第1項の規定に基づく乳及び乳製品並びにこれらを主要原料とする食品の表示の基準に関する内閣府令 (PDF形式:126KB)
【参考資料2】 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令の一部を改正する省令及び食品、添加物等の規格基準の一部を改正する件(食品中の放射性物質に係る基準値の設定)(案)等に関する御意見の募集について  1~12ページ(PDF形式:805KB) / 13~25ページ(PDF形式:282KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから、「消費者委員会食品表示部会第15回」の会合を開催いたします。事務局長を務めている原でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、急いで開催を決めたということもございまして、夏目部会長代理、青柳委員、海老澤委員、春日委員、栗山委員、中下委員、山根委員が、所用により御欠席との御連絡をいただいておりますけれども、過半数に達しておりますので、本日の部会が成立していますことを御報告いたします。
 議事を開催する前に、前回、御欠席だった阿南委員に、今日からお加わりいただいておりますので、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。

○阿南委員 全国消費者団体連絡会の事務局長をしております阿南と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
 事務局でも職員の異動がございまして、本日より小田審議官が出席をしておりますので、御紹介をさせていただきます。

○小田審議官 小田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○原事務局長 よろしくお願いいたします。
 それでは、審議に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 お配りしております資料は、議事次第と書かれたものの裏面に一覧を掲載しておりますけれども、資料1といたしまして、本日、御議論をいただく内容についての諮問書。
 資料2は、その関連の資料。
 資料3は、消費者庁の食品表示課で御用意いただきました、「乳児用食品の規格基準が適用される食品に対する表示について」の検討の課題ということで、御準備をいただいております。
 資料4、資料5、参考資料では、今日の審議の関連で必要となるものをおつけしておりますので、適宜、参照していただければと思います。
 それでは、田島部会長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は臨時の会合ですので、最初に、臨時開催となった経緯につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。

○原事務局長 本日、食品表示部会を開催することになった経緯について、御説明させていただきます。
 現在、厚生労働省において、食品中の放射性物質にかかわる規格基準の設定について、本年4月1日施行に向けて、食品に含まれる放射性物質の新たな基準値を設定する手続を進めておられます。この中で、食品区分の設定に当たっては、飲料水、乳児用食品、牛乳、それ以外の食品である一般食品の4区分となる予定ですが、消費者庁より、乳児用食品に係る表示基準について、消費者委員会に設置されている本部会において審議いただきたいとの要請を受けており、また、パブリックコメントや、WTO通報の期間を考慮いたしまして、また、厚生労働省の規格基準が4月1日施行ということに向けて考えますと、本部会を早急に開催する必要がございました。
 このような経緯を踏まえ、本日お集まりいただき、審議を行うこととなりました。状況としてはそのようなことです。どうぞ御検討をよろしくお願いしたいと思います。事務局からは以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。
 本日は、消費者委員会事務局から、原事務局長のほか、小田審議官、消費者庁からも神宮司審議官、増田食品表示課長に御出席いただいております。
 本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日、公開することといたします。
 それでは、ここでカメラの方は御退室願います。

(報道関係者退室)

○田島部会長 それでは、本日の議題に入ります。
 本日は、「乳児用食品に係る表示基準の策定について」、議題として取り上げております。
 それでは、「議事2.乳児用食品に係る表示基準の策定について」、議論に入りたいと思います。
 まず初めに、消費者庁から御説明をお願いいたします。

≪2.乳児用食品に係る表示基準の策定について≫

○増田食品表示課長 消費者庁食品表示課の増田でございます。今日は、委員会を開いていただきまして、どうもありがとうございました。
 それでは、今日の議題について御説明させていただきたいと思います。最初に、若干背景になりますけれども、参考資料2の13ページに、これまでの放射性物質に関する規制値の経緯が書いてあります。これをごらんいただきながら、ごく簡単でございますが、これまでの規制の経緯を御説明させていただきます。
 昨年3月11日、大震災とともに福島第一原発の事故が起こった。これに伴って、周辺環境に放射性物質が放出された。これを受けまして、3月17日に、食品中の放射性物質に関する暫定規制値が定められております。ただ、これはまさに暫定規制値というものでございまして、これ以降、食品安全委員会等で今後の放射性物質に関する健康影響評価が議論されております。
 この食品安全委員会の評価につきましては、14ページの第2段落のところに、10月27日に食品安全委員会の評価結果が出まして、「通常の生活において受ける放射線量を除いた生涯における累積の実効線量として、おおよそ100mSv以上」、これが影響が見出される範囲だということが評価として出されております。
 これを受けまして、厚生労働省におきまして、食品中の放射性物質に関する新たな規制値、規格基準についての議論・検討が行われ、それが薬事・食品衛生審議会に諮問され、議論されているというのが今の状況でございます。
 審議は今も継続中という状況でございますが、この12月に行われました審議会におきまして、一定の方向性が審議結果として出ておりまして、それ以降、今年の年明けから、厚生労働省が新しい規格基準案についてのパブリックコメント等の手続に入っております。それが参考資料2の全体、これが厚生労働省の新しい規格基準の案でございます。
 簡単に御説明しますと、3ページに、新しい規制においては今の食品を4つに分類するということで、飲料水、牛乳、乳児用食品、一般食品と4つに区分し、それぞれについて上限となる規制値を設ける。基本的には一般食品は100ベクレル/kg、一方、乳児用食品については、50ベクレル/kgにするというのが、今、厚生労働省において審議されている新たな規制値の案ということでございます。
 勿論、現段階においてもまだ審議過程ということで、決まったわけではございませんが、こういった方向性が示された上で議論が進められているということと、いろいろ経過措置は勿論ありますけれども、今年の4月1日から新しい規制値が適用されることを目指しているということでございます。これが今回の議論の背景でございます。
 資料3は、これを踏まえた今回の表示基準の考え方でございます。Iの部分で、今の厚生労働省の新たな規制値の案では、乳児用食品については、一般の食品より低い基準値を適用することを検討しているということでございます。
 この乳児用食品につきましては、厚生労働省の案では、一つは、許可を受けた特別用途食品のうち「乳児用」として許可を受けているもの。それと、「乳児の飲食に供することを目的として販売するもの」と定められております。
 具体的にどんなものかにつきましては、先ほどの参考資料2に、厚生労働省の資料がついていまして、その7ページに「乳児用食品の範囲」が書いてあって、おおむねの含まれる食品の範囲が例示されているところでございます。このうち、特別用途表示のあるものは許可を受けて表示があるということがあって、消費者にとって判別は容易だと思っておりますけれども、それ以外のものにつきましては、外見上、乳児用食品の規格基準が適用される商品であるか否かというのは確たる区別はつけにくいのではないかというふうに思っております。
 一方、食品に含まれる放射性物質、これがどの程度のものかというのは、消費者にとって非常に大きな関心事項というふうに考えております。当課に対しましても、さまざまなところから放射性物質についての消費者のいろいろな意見が来ておりますので、非常に関心が高いと思っております。特に赤ちゃんを持つ親御さんにとっては、やはりどういうものかをわかりたいというのは非常に大きな関心事だと思っております。
 そういった中で、新しい規格基準において、食品によって規制値が異なるのであれば、当然、どういう規制がかかるものかということを知った上で商品を選びたいというのは、消費者の強い要望ではないかと思っております。
 こういった観点から、消費者が食品を購入する際に、乳児用食品であるか、一般食品であるかということが、消費者がそれを判別した上で商品選択ができるように表示基準をつくって、乳児用食品についてはその旨が表示され、消費者が選択できるようにすることが必要ではないかというふうに思っております。
 IIに具体的な表示基準の考え方を示しております。表示基準につきましては、資料3とともに、資料4-1が諮問してあります文章でございますが、内閣府令の案を示しておりますので、両方を見ていただきたいと思います。
 基本的な考え方としましては、今回、乳児用食品については、乳児用食品であることの表示をするということと、乳児用食品以外の食品に乳児用食品と紛らわしい表示をしてはならないこととする、ということを基本において内閣府令の案をつくっております。
 1点目は、「乳児用食品の規格基準が適用される食品に対する表示」ということで、「乳児用食品の規格基準が適用される食品には、その旨を表示することとする」という規定を置きたいと思っております。具体的には、資料4-1では、第1条第2項の第45号のところに、その旨を記載しております。
 内閣府令はこのような案を考えているのですが、具体的にはこの対象となる商品については、例えば「本品は、乳児用食品の規格基準が適用される食品です」といったことを、一括表示欄の欄外の下とか、勿論、表でもいいのですが、そういったところに書いていただく。あるいは、文字数が多過ぎる場合もありますので、「乳児用規格適用食品」といった文言を入れていただくことを考えております。
 2番目に、省略規定を置いたらどうかというふうに考えております。これは資料4-1では第20条のところに当たる部分でございますけれども、今回の表示の目的が、消費者が乳児用食品かどうかを判別するということにありますので、商品に付されている表示、あるいはその商品の内容といったものから、乳児用食品の規格基準が適用される食品であることが明らかなもの、容易に判別できるものについては、上の1の表示を省略できることとしてはどうかというふうに考えております。
 具体的には、特別用途食品の乳児用調製粉乳、これは、当該食品に「乳児用食品」と記載することになっておりますので、改めて重ねて表示をしなくても判別は容易ではないかと思っております。例えば商品によっては、何か月齢、「6か月から」とか、そういった表示があるものもございます。こういったものも、基本的にそういう表示があれば判別はできるのではないかというふうに思っております。あとは、例えばベビーフードという表記のもの、フォローアップミルク、いわゆる乳児用のミルクですけれども、そういったものについても、調製粉乳、これは乳等省令に基づいて記載することになっておりますが、調製粉乳は、乳幼児に必要な栄養素を加えて粉末状にしたものという定義があって、赤ちゃん用などの粉ミルク以外のものには書かれないことになっておりますので、そういった表示があればわかるのではないかといったことです。
 あと、特別用途食品の中にはアレルゲン除去の粉ミルクなどもあります。こういったものにも母乳代替食品等という記載がございます。省略できる例については、一個一個、判別の容易さは勿論差があると思っております。そういう意味では、ここでは並べてありますが、濃淡はあるので、これはいいけれども、これは難しいというものもあるだろうということは思っておりますが、とりあえず考えられるものをここでは挙げております。具体的にはどれがこれに当たるかというのは、通知等で示していきたいと思っております。
 なお、こういった考え方の規定といたしましては、4ページに「参考」として、今回の規定の参考にした規定の例を並べております。今、アレルギーの表示の省略で、原材料に特定原材料、アレルギーを含む原材料が入っていることが容易に判別できるものはアレルギーの表示を省略することができる、といったような規定がございます。具体的にはマヨネーズの場合、マヨネーズにわざわざ「卵を含む」というようなことを書かなくても、要するにマヨネーズと書いてあれば普通の消費者はそれでわかるのではないか、という理解の下に省略規定を置けることになっておりますので、こういった規定を参考にして今回の省略規定を置いてございます。
 3ページは「紛らわしい表示の禁止」ということで、規格基準が適用されない食品については紛らわしい表示をしてはならないということ。これは、そうでないものについての判別を容易にするという観点から、置く必要があるのではないかと思っております。
 以上、3つの条文を内閣府令に置きたいというふうに考えています。
 次に、スケジュールについて説明だけさせていただきたいと思います。
 このスケジュールは勿論、今日の議論の結果、基本的にパブコメをすることに御了解をいただいた前提のスケジュールでございますので、説明をするのは早いのかもしれませんけれども、お話しだけさせていただきたいと思います。
 今日、基本的な方向性が御了解いただけましたら、若干の事務手続期間はありますが、なるべく早くパブリックコメントとWTO通報の手続をとりたいと思っております。WTO通報は原則60日になっております。この期間は、状況によっては短くすることは手続的には可能でございますが、乳児用食品は、輸入はほとんどないというようなことも聞いていますけれども、よくわからないというところもあって、そういうわからない状況ですので、基本ルールどおりの60日をとりたいと思っております。それと、パブリックコメント、WTO通報の期間が経過した段階でその状況の資料をつけまして、再度、食品表示部会を開いていただいて御審議をいただきたいと思っております。
 次に、ここの場でもし答申がいただけたらという前提ですが、その後、内閣府令の公布・施行等といった手続をとるということを考えております。いずれにしても、今、厚生労働省の規格基準は4月1日施行を目標にしているということでございますが、表示基準の公布・施行は4月1日には間に合わないというふうに思っておりますけれども、なるべく早くこの表示基準も公布・施行まで持っていきたいと考えております。
 私からの説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いします。

○田島部会長 ありがとうございました。
 ただいまの御説明につきまして、御意見等ございますでしょうか。
 どうぞ、山浦委員。

○山浦委員 乳児用食品の規格基準を厳しく定めるということについては、原則、私も賛成です。この間、10か月以上たっているわけですけれども、これがしっかりと定められないまま、ずるずると暫定基準という形で、この間、市場で出回ってしまったことについては、管理当局のやり方が遅かったのではないかというふうに思います。その点について、やはり反省していただかなければいけないと思います。
 乳幼児につきましては、感受性が非常に高い、細胞分裂を含め成長が大人とは違うということで、体内被ばくのおそれが非常に高いわけでして、これについてやはりきちっと対応してこなければいけなかったと思います。今後も、経過措置等は認めず、4月からこういった形で早急に実施されたいというふうに思います。
 併せて、今回の議題ではないのですけれども、ほかの穀物とか牛肉等について、経過措置が緩められているという案が示されていますので、これについても直ちに施行することを望みます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 鬼武委員。

○鬼武委員 資料を見ました。消費者庁の説明の資料3のマル2、「乳児の飲食に供することを目的として販売するものとしている。このうちマル2については、商品によっては、外見上消費者が乳幼児食品の規格基準が適用されているかどうかを必ずしも判別することができない。そのために表示が必要である」と記載されています。このところを何度も何度も読み返したのですが、これがなぜ表示が必要かというのが私には理解できません。
 基本は、緊急時における暫定規制値から、新しく新基準値になって、各食品群について基準値が超えないように管理されて、定期的にモニタリングされて、新基準値が守られるということが重要であって、それと食品表示がすぐにリンクするというふうには私は考えていません。
 それから、この資料にいろいろ書かれてありますが、前提となる表現があります。乳児用食品、乳幼児用食品、食品安全委員会自体が、まず「子ども」という表現で、子どもについては影響があるからということで、それを受けて厚生労働省の方は「子ども」、消費者庁は「乳児」と引き継がれている。これらは、子ども、乳児、乳幼児を定義をされていないと、どういう食品群が対象であるかということがわからないと思われます。
 それをまず解決するには、例えば乳児については、児童福祉法で決められている1歳未満でという定義があります。もしくは幼児については、海外ではyoung childrenと言いますが、1歳を超えて3歳未満であるとか、まず年齢によって制限をするとか、そのような定義が必要であって、そういうことで食品が当てはまるかということを決めないと、この資料には、いわゆる乳幼児用といわれるような食品がいろいろな形でリストアップされていますが、それがどういう食品かというのが私にはわからないし、それ自体が市場の混乱を来すような気がします。同時並行で厚生労働省と規格の協議をやっていると思いますが、乳児用食品とは何か、乳幼児とは何か、定義からまず出していただいて、その上で議論することが必要であると思っています。

○田島部会長 森委員、どうぞ。

○森(康益)委員 私も、定義が非常に重要だと思っています。今回、厚生労働省の方で規格基準が策定される。これは私の理解では、食品衛生法の改正という形になって、食品衛生法第11条の規格基準が新しく制定されると思います。当然、そのときには食品の定義そのものが明確になるだろうと思います。そうでないと、行政当局としても取り締まれないし、メーカーとしても、それに適合するような商品がつくれないので、表示とはまた別に規格基準の方で何らかの定義が決まってくる。それと今回の表示はリンクしていないと当然おかしな話になってしまうので、厚生労働省との定義の関係で、今、どういうふうになっているかを教えていただければと思います。

○田島部会長 どうぞ、森委員。

○森(修三)委員 今の御質問に関連してのことですが、一つは、先ほどからも出ておりますように、乳児ということ、これは1歳未満であろうと思っていますけれども、その辺が、乳児という言葉は出てきていますけれども、はっきりしていないということ。どういう定義なのかということをお示しいただければというふうに思います。
 資料3のIの「(参考)」のマル2に、「乳児の飲食に供することを目的として販売するもの」、その後に括弧がついていまして、「(消費者が表示内容等により乳児向けの食品であると認識する可能性が高いもの)」とございます。ここが事業者から見ると非常にわかりにくいところがあります。事業者としては、乳児用ではなくて、幼児用の、1歳以上の子ども用として一般食品の規格で販売した場合でも、消費者が乳児向けの食品であると誤認をしてしまった場合には、違反と見なされる懸念が出てくるのではないかということがございまして、「消費者が表示内容等により乳児向けの食品であると認識する可能性が高いもの」とは具体的にどのような食品が対象になるのかということを、明示していただきたい。
 また、このような場合には、違反と見なされれば罰則があるということですね。その辺について、御見解があればお聞かせいただければというふうに思っております。「乳児向けの食品であると認識する可能性が高いもの」というのは、どんなものであるかを関係者に周知していただかないと、非常にわかりにくいのではないかと考えております。

○田島部会長 宗林委員。

○宗林委員 類似のところもございます。私も、厚生労働省でこの規格基準の4区分を作成する際に乳児用食品の定義を明確にされるのだろうと思いますので、それに合わせてこれを連動させるべきということと、もしそうであれば、例えば資料5に乳児用食品の具体的な表示例があります。ソフトせんべいは、「食品衛生法に基づく乳児用食品の規格基準が」というところが、放射能の残留規制値だけではなく、この書き方であれば、やはり食品衛生法の乳児用食品というものがあり、その中の規格基準に適用されるというふうに読めますので、こういう書き方があるのであれば、定義もあり、そして範囲もありということになるのだろうと思います。
 その場合は、下にありますように、前面に「乳児用規格適用食品」ということではなくて、一括表示の中に入れられるべき。法律に従った表示ということで、一括表示ではないところに書くというよりは、むしろ一括表示の中に必ず入れることにすべきだと思います。

○田島部会長 関連した御意見はありますか。
 迫委員。

○迫委員 今般の諮問については、乳児用食品の表示に関しての諮問というふうに受けとめております。そういう中で、食品安全委員会の委員長のコメントの中には、「子どもに対して」という表現があったと思いますが、乳児以外の子どもに対する部分の影響について、これは、この席で伺うのが正しいかどうかわかりませんけれども、今回、乳児用食品に限定されて諮問を受けているというところについて、関連して御説明いただければありがたいと思います。

○田島部会長 この辺で、ひとまとめさせていただきます。
 3人の方からの御質問は、乳児用食品というものの定義がはっきりしないと議論が進まないのではないかという御指摘でございます。宗林委員からも、食品衛生法に基づく乳児用食品となっているのであれば、規格が食品衛生法によって定まっているのではないか。だとしたら、それを提示していただきたいという御意見であったと思います。
 そのほか、迫委員からの御意見は、後ほどという形にしまして、最初の乳児用食品の定義について、消費者庁でどういうふうにお考えなのか、御回答をお願いいたします。

○増田食品表示課長 定義の問題ですけれども、資料3で書いておりますマル2の部分は、厚生労働省の審議会の資料、具体的には先ほどの資料のところですが、それを、現段階で示されているものということでそのまま引き写しております。
 更に、乳児はそもそも何歳、あるいは何か月齢未満なのかということについても、一つの議論として、他法令等で1歳未満で使っているということはあるわけでございますが、今回の議論をしている乳児用食品についてどこに置くかというのは、私どもが伺っている限りで少なくとも現段階では決まっていない。全く決まっていないのかどうかは別として、少なくとも今、具体的に1歳とか、何か月齢以下というふうには決まっていないと承知しております。
 そういった意味では規格基準の方も、これから4月に実際にスタートするに向けて議論は進んでいくはずですし、我々は、消費者がわかるかどうかという視点でこれを考えているわけですけれども、一方で、この規格基準は事業者がつくっている食品が適用を受けるので、個々の事業者が、自分はどこの基準を守らなければならないのかというのは、当然、規格基準の関係でわかるようになるはずのものだと理解しております。
 ただ、現時点ではそういう状況ですので、私どもとしては、基本的には1歳未満ということを念頭に置いていろいろ考えておりますけれども、当然、規格基準で定義が決まって、例えば乳児は1歳とか、何か月齢にするというのも含めて決まって、その対象になるものについて表示をする。それは、事業者はわかっても、出てきた商品が消費者がわかるのかというのは別問題ですし、場合によっては、例えば赤ちゃんの絵が描いてあって紛らわしい商品というのも、今後、特に放射性物質の基準値が低いものをより選びたいという消費者の意向が強くなればなるほど、そういった類似商品が出てくることも考えられます。そこはやはり、消費者にとってもはっきり判別が可能になることが適当なのではないかと思っております。

○今川課長補佐 食品表示課の今川と申します。
 補足ですけれども、今の表示、具体的には厚労省のパブリックコメントですが、参考資料2の7ページ目、先ほども若干御説明申し上げたところですが、「乳児用食品の範囲について」とございまして、上段・下段の下段の部分になります。「乳児の飲食に供することを目的として販売するもの」ということで、5つ例示として示されております、乳幼児を対象とした調製粉乳、乳幼児用食品、具体的には乳幼児のお菓子等、それからベビーフード、乳幼児向け飲料、そしてその他として、薬を飲むときに使うゼリーですとか栄養食品というカテゴリーが考えられているということでございます。
 これに基づきまして、先ほど宗林委員からも御指摘がありました、資料5になりますけれども、「乳児用食品の規格が適用される食品に対する表示」ということで、最初にまず具体的な表示例がございます。「本品は(食品衛生法に基づく)乳児用食品の規格が適用される食品です」。それを省略した乳児規格適用食品、乳児用規格適用、こういったものが考えられる。それ以外に、基本的に厚労省から示されているカテゴリーに基づいて、表示が省略できる規定ということで分類しておりますけれども、最初に乳児用調整粉乳、次に「○か月から」と書いてあるようなもの、ベビーフード、その他のものとして調製粉乳など、ということが先ほども御説明申し上げたところですけれども、これにつきまして、厚労省でこういった例示を今後していくということになると思います。その中で、年齢などについて恐らく何らかの文書で示されることになると思います。
 御参考までに、先ほど鬼武委員からも御指摘がございましたけれども、今、日本の法律の中で2つほど乳児の定義がある法律がありまして、児童福祉法と母子保健法に乳児の定義が法令上ございまして、それによると、乳児は1歳未満ということになっております。したがって他法令との兼ね合いも含めまして、乳児の年齢の定義についてはそういったところが目安になってくるのではないかと考えております。ここは宗林委員からも御指摘がありましたけれども、厚労省と定義を合わせてやっていくことになってくると思います。
 それから、宗林委員から御指摘がございました、資料5の2ページ目のところです。具体的な表示例の「本品は乳児用食品の規格が適用される食品です」というところを、一括表示の中でという御意見がございました。現状では、食品衛生法の中で法令的には一括表示という括りは特にありませんで、見やすいところというふうに考えてございます。こういった表示をする場合に、食品衛生法の中では見やすいところに表示していただくということになると思います。それが一括表示の中であれ、外側であれ、ということになってくるのではないかと考えております。
 迫委員から御指摘がございました諮問につきまして、食品安全委員会は小児ということのご指摘がございましたが、今回の消費者庁からの表示基準案の諮問は、先ほども各委員の方々から御指摘がございましたように、厚労省の規格基準と連動させる必要がどうしてもございます。連携してやっていく必要がございますので、厚労省が今回、乳児用というカテゴリーを設けておりますので、消費者庁の表示基準も乳児用ということで検討したいと考えております。
 私からは以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 澁谷委員、どうぞ。

○澁谷委員 これは、資料3のマル2の表現にありますように乳幼児用という言い方もしているわけです。だから、これは1歳未満とかという月齢が問題ではなくて、食品衛生法の第11条第1項の規定が適用されるかどうかということで、もう少し赤ちゃんの範囲を広く考えていて、例えば1歳を超えていても、乳幼児食品というカテゴリーであればそれは適用されるということで、月齢から考えるのではなくて、食品衛生法から考えてその規定に合うものということではないでしょうか。もし1歳未満ということになると、かなり範囲が狭められているので、1歳半の子が食べるお菓子は適用にならないのかというと、そんなことはないというふうに常識的には思いますので、乳児食品という言い方は法律の言い方ですけれども、乳幼児の食べる食品というふうに考えた方がいいのではないでしょうか。

○田島部会長 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 私が言ったのは、例えばWTOに通報したときに、海外の基準で、Codexとか、EUとか、アメリカは「infant」というのが乳児です。それから、「young children」というのは1歳~3歳ということで、海外では年齢で定義がされている。WTOで日本が通報したときにも、やはりそのような月齢など具体的な定義をある程度横目に見ながらやった方がいいと思っています。私も、消費者庁なり厚生労働省がきちんと定義をしてくれれば、その上では協議のテーブルにつくのはいいと思っていますけれども、今回は明らかに乳幼児なり乳児という漠然とした表現でしかないですし、そもそも食品安全委員会から出てきた答申の中でも、小児の期間については、感受性が成人より高い可能性と表現されており、小児について、小児が何歳齢だということも書いていない。
 それを受けて厚生労働省の方は、より慎重に見て、乳児用食品と牛乳についてはより厳しく見ましょうというふうに、だんだん自分たちで曖昧な定義をつくっているようにみえます。そうすると、省庁間でどの年齢層までかがずれてきているのではないかと思っています。だから、最初に定義をきちんとするべきだという話を何度もしているのです。食品衛生法なりで1歳半なり2歳ということであれば、それはそれでいいです。そういうことを最初に前提として提案をしないと、事業者は一番困ります。われわれも商品が、5,000品目ありますけれども、販売の売り場では表示や乳児用とか乳幼児用という形でポップとか書いていますが、今回の提案を受けて商品をリストアップするとかなりの品目が挙がってくるわけです。前提として定義されるのか、されないのかというのは、非常に関心のあることですし、それを受けて作業しないといけないということになると、まず定義がされていなければなりません。それが海外でも正確に説明できるようなものでないといけないということを何度も言っているわけです。

○田島部会長 阿南委員、どうぞ。

○阿南委員 具体的にどういう商品なのかというところですけれども、ちょうど私は、孫が7か月過ぎて8か月くらいで、離乳食をつくって食べさせたり、ビスケットなども与えるようになってきています。そこで、お店に行ってビスケットなど選んで買ったりしていますが、ビスケットは保健機能食品がいくつかあって、商品名を言って申し訳ないですが、カルケットですとか、アンパンマンビスケットですとか、「生後7か月ごろから食べられます」という表現になっています。また、スティックボーロなどでも、「1歳ごろから食べられます」と表示があります。
 消費者にとっては、乳児に市販のおやつを買って食べさせようとする場合でも割と選択はしやすいのです。調製粉乳なども全部、何か月からと書いてありますし、選びやすいのではないかと思いますけれども、わざわざ乳児用と表示をする意味があるのかどうか疑問に思いますが。

○田島部会長 先ほど、鬼武委員から御発言がありましたけれども、食品衛生法で乳児用食品というものをどう定義するのかわかりませんけれども、つくる側からいくと、定義がはっきりしていないと、果たして自分の製造する食品が乳児用の食品の適用を受けるのか、そうではないのか。もし適用を受けることを知らないで50ベクレル以上のものを出してしまったら、それは違反になってしまいます。そうすると、怖くてつくれないという話になってしまうというのが業者側の御意見だと思います。

○森(修三)委員 ちょっとよろしいでしょうか。今、座長がおっしゃったように、50ベクレル以上という基準値に対してのことではなくて、今回は表示をするということに関して、事業者が表示をどうしたらよいのか。一般食品だけれども、消費者の方が、誤認というか、乳児にも食べさせられるというふうに解釈すると、ここの書きぶりを見ていますと、それは明らかに、消費者の方がそう思っているのだから、乳児用ではないかという判断をされてしまうと、事業者は予期せぬことを言われてしまう。その辺がはっきりしていないと、事業者も意識して、明らかにこれは一般食品ですということを自信を持ってできない。その辺をもう少し明確にしていただかないと、ということになるかと思います。

○田島部会長 確かに非常に懸念が生じるところだと私も思います。消費者庁の方はどうですか。

○増田食品表示課長 皆さんの御意見は十分よくわかりますが、一つは、仮にこの表示基準がなくても、乳児用の規格ができれば、当然、乳児用規格に当たるものをつくる人はその規格に合致したものをつくる必要があり、その範囲は食品の規格基準の中で決められていくべき問題です。今の表示基準は、それに乗ってその対象を書くというだけですので、そもそも事業者にとって、まず自分がつくるときにどれに当たるのかというのを、はっきりわかった上でつくる必要があるというのはごもっともですけれども、それはまさに規格基準の中で決められていく問題だと思っております。
 もう一つ、阿南委員からあった「7か月から」とか書いてあるというのは、私どもも例に挙げていますけれども、一つの考え方として、書いてあるものはわざわざ書かなくてもいいのではないかと。もしかしたら、書いてあっても書くべきだという議論もあるのかもしれませんけれども、ただ、類似した商品で書いてないものもありますし、絵だけ描いてあるとか、もっと言うと、赤ちゃんと書いてあったらどうかというようなものもあるのかもしれませんけれども、いずれ、みんなわかるのか、あるいは全商品を広く見てわかるのかというと、明らかなものは省略していいという規定を一方で置きつつも、やはり原則としてはわかるようにしておく。そのうち、何か月みたいなものが書いてあれば、そこにわざわざあえてもう一度書く必要がないのであれば、省略していくというのがいいのではないかと思っております。
 いずれにしても、そもそもの規格基準の範囲が必ずしもかっちり決まっていない中での御議論になっていますので、非常にわかりにくいところはあると思います。いずれ中身は客観的に決まるはずのものを、ここでの議論は、消費者がそれを見たときに、逆に言うと、このように書いてあるものはわかるからいいけれども、そうでないものはやはり書く必要があるのではないかということだと思います。

○田島部会長 一応、御説明は御説明として承りました。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 今回、もう一つ確認したいことがあります。これは重要なことでして、資料3のところに、消費者庁から、今回、紛らわしい名称等の表示禁止規則ということで、これは、内閣府令第45号第1条第6項の「保健機能食品以外の食品にあっては、紛らわしい表示はしてならない」ということで、これを引用して今回取り締まりをしたいという御説明がありました。
 これでやれるのでしたら、私は大歓迎であります。と申しますのは、健康食品の表示に関する検討会が2年前にありまして、そのときに、健康食品の表示については施行規則で取り締まれると私は何度も主張しました。当時、消費者庁はそれに対して、これについては罰則規定がないので取り締まれないし、広告・表示についても罰則がないからできないという回答でした。いわゆる健康食品については食品衛生法では罰せられないというふうにおっしゃっていまして、大変残念だなとそのときに思いました。そのときは、薬事法でしか健康食品は取り締まれないという主張をされています。  今回、新たにこの点について決意を持ってやられるということであれば、私は、それはそれですごいことですし、歓迎します。いわゆる幼児用食品というのが世の中に出回らないで取り締まれるということであれば、そのロジックも、その辺を確認させていただきたいと思います。

○田島部会長 健康食品の話と今回の話とは、直接は。

○鬼武委員 乳幼児と紛らわしいのは法律で取り締まると言うご説明ですから、前回のいわゆる健康食品と同じなのです。

○田島部会長 確かにそうですがね。

○増田食品表示課長 そのときの議論を完全に承知しているわけではないので、若干、齟齬があるかもしれませんが、確かに紛らわしい表示というのは、法的措置をとるのはかなり難しい規定だと思います。逆に言うと、これを根拠に指導などはできるので、そういう意味では規定の有効性はあると思います。
 それと、特定保健用食品と栄養機能食品を総称して、食品衛生法の規則上、保健機能食品と言っていますけれども、これと紛らわしいというときに、栄養食品とか、健康食品というふうになると、「紛らわしい」の範疇からどのくらい近いか遠いかによっても、特定保健用食品と一字しか違わないものみたいなものとイメージだけ合っているものとかでも多分違うので、そういった意味合いで、おっしゃった事案は、もしかしたら取り締まりができないということなのかもしれません。ちょっとそこはよくわかりませんけれども、いずれ、一般で考えて「紛らわしい」の範疇に当たるものであれば、当然、指導はできると思います。健康食品の類は確かにいろいろな表現もある中で、なかなか紛らわしいと言い切れないものはあるのかもしれません。そこは、そのときおっしゃっていた状況がはっきりとはわからないので、いずれにしろ、完全にアウトにするのは確かに難しい条文ではあると思います。

○田島部会長 宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 先ほどの答えしか、現状ではないのだろうと思いますが、今の鬼武委員のことも含めてですが、マル2のところも、例えば「乳児の飲食に供することを目的として販売するもの」ということで限定すると、事業者側からすると、「これは乳児の飲食を目的としていない」というふうに言って規格の食品という言葉をつけないという話も出てきます。逆に、括弧の中の文言で言うと、今、森委員からもお話があったように、事業者側はそうは思っていないのに消費者が勝手にそう思うもの、この両方を対象にするということになって、どちらもあいまいさが残るといいますか、明確ではなくて、そういう言葉が表示されていないときにどう考えるのかという問題が残るだろうと思います。
 確かに厚労省の規格を見据えた上でということなのですが、消費者側から見ても、事業者側から見ても、商品が乳児用食品に該当し表示をつけなければいけないものである範囲が一致して分かるような形が、事業者側も消費者側も、やはり望まれるのではないかというふうに思います。
 それから、今、鬼武委員の言われたことは、私もそのときに検討会に出ていてよく覚えていますが、結局、このことをどう判断し、どう指導するのかという実効性が担保できないという話がかなりございました。そして、実際にこれでなかなか指導した例がないというお話がありました。そうすると、今、実効性を持たせていくということでありましたので、紛らわしい表示の例示などをFAQ等で紹介し指導対象がわかるようにすることも実効性を担保するための一つの道具としてよろしいのではないかと思いました。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 今日の議論を聞いていまして、定義をどうするかといった問題も重要ですけれども、私たちとしては、この間、500ベクレルという形でずっと来ている。これに対して食品安全委員会の方でも評価されましたけれども、そして厚労省の方でも、新しい規格基準を策定するというふうにおっしゃいましたけれども、やはり成長過程にある子どもたちが被ばくする可能性がある、ここの問題をどうするかということが基本にあるので、事業者の方もできるだけベクレルは低い形で提供していただきたいと思います。
 定義をどうするかということ以上に、私どもは例えばベクレル表示などもしてほしいと思っていますけれども、実際に消費者が選択できる、特に乳幼児を含めた子どもたちに対して、「成長」というものをしっかりと考えて、次世代のさまざま障害が出てこないような体制をつくることが重要ではないかと思いますので、その点、是非しっかりと認識していただきたいと思います。

○田島部会長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 省略規定に関して、本当に省略規定が必要なのかどうか。例えば乳児用規格適用という言葉が入っていれば、月齢とかあいまいな数字ではなく、例えば「1歳ごろから」というふうな表現がしてあったときに、これは乳児用と言えるのかそうでないのか。あいまいなものが出てきますので、逆に省略規定をなくしてしまうことによって誤認は防げるのではないかと思います。

○田島部会長 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 消費者庁に別の視点でお尋ねしたいことがあるのですが、いいですか。乳児用食品ということで増田課長にお尋ねします。蜂蜜というのは乳児用食品に入りますか。

○増田食品表示課長 どんな表示があるかにもよるかもしれませんけれども、いわゆる通常売っている蜂蜜、幼児向けとも何も書いていない普通の蜂蜜であれば、入らないと理解しております。

○鬼武委員 消費者は、それは乳児が食べるとは考えていない、ということですか。

○増田食品表示課長 それは、要するに乳児が食べるかどうかではなくて、その食品が基本的に乳児向けのものとしてつくられているかどうかなので。

○鬼武委員 一般的に消費者がいろんな形で乳児用食品ということで誤認するとすれば、蜂蜜も私は入ると思ったのです。そのときに別の視点で考えたのは、蜂蜜については、1歳児未満に与えてはいけないという警告の表示が、海外でも日本でも、表記が残っています。私どもの商品も乳児ボツリヌス症との関係で「1歳未満には与えないでください」という警告表示をしています。そのような表示が現在されていて、一方で乳児用食品というのが記載されることになると、消費者はどういうふうに選択できるかというのは大変難しいし、判断できないと思ったのです。
 ほかの事例でも、乳幼児の規定と関連して、いろいろ食品添加物の表示規定もあります。例えば乳酸もそうです。フェニルアラニンという、いわゆるアスパルテームなどもそうですが、そういうものが現行で表示は規定されています。そういうものとの整合性も少し考えていかないと、消費者庁が一番関心の高いこんにゃくゼリーだって、乳児が食べる可能性はあるけれども、現行の表示では乳児は食べてはいけない、高齢者は食べてはいけないと書いてある。その両方の表示があった場合はどういうふうに判断できるのかということを考えているのです。
 だから、そういう事例も考えていただかないといけないし、乳児用食品と乳製品、乳飲料が、全体の食品の中で、厚労省がこれから定義をされるのもいいでしょうけれども、そのうえで表示の範囲となるのかというのを正確に見積もっていただかないと、まだちょっと混乱すると考えます。これは、単純に意地悪な質問をしたのではなくて、実際にそういう表示になることが予想されますから、両方あったら普通の人は混乱しますね、というふうに思いました。

○田島部会長 ありがとうございました。
 こんにゃくゼリーはまさに、子ども、高齢者には食べさせないでくださいという表示をするように指導していながら、乳幼児が食べているということもよく問題になります。
 ほかに、御意見はございますでしょうか。
 宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 具体的に表示に関しての経過措置は、乳児用食品はどのようになるのでしょうか。多分、製造日で実施されるのだろうと思いますけれども、乳児用食品でも結構長い賞味期限のものがあります。そのあたりも踏まえて詳しく教えていただけますか。

○田島部会長 経過措置について、消費者庁から御説明をお願いいたします。

○増田食品表示課長 最初に申し上げましたが、内閣府令としてはなるべく早く公布・施行をしたいと考えておりますが、一方で、どこから個々の事業者に具体的な表示をする義務が発生するかについては、パブリックコメントをしたときに事業者からも意見が寄せられると思います。そういったものも踏まえ考えていく必要があると思いますけれども、いずれ、包材の切りかえが必要になってくると思っております。やはり包材の切りかえに必要な期間は、なるべく早く、ある意味任意でというか、つけていただくような働きかけ、シールを張っていただくとかいう働きかけはしていきたいと思いますけれども、そこを一律の義務とするには、包材切りかえ期間などをある程度見積もって、その期間は古い包材を使ってもいいですという形にはしていく必要があるのではないかと思っております。期間等は、パブリックコメントでの意見等を踏まえて決定したいと思っております。

○田島部会長 ほかに、御意見はございますでしょうか。
 どうぞ、森委員。

○森(康益)委員 表示の切りかえという話で、かなり注意して慎重に対応しなければいけないのではないかと思っています。当然、ある段階から切りかえる。表示の切りかえ前のものがあたかも乳児の方々に健康を害するようなものみたいに、そんなことがないように、スムーズな移行をお願いしたい。消費者の方々にうまくアナウンスしないと、今、出ているものが全部危険だと。それについては買い控えなどが起こって、新しいものを求めるみたいな形が状況としては発生する懸念があります。猶予期間というか、いつから切りかえるかというのは、食品衛生法の中の切りかえの時期とリンクさせた中でやっていただければと思います。

○田島部会長 ほかにございますか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 あと2つ、質問があります。
 一つは、今から表示が決まってということで、ずっと先のことかもしれませんが、20~30年後に、セシウムの問題がほとんどなくなってきて、規格が必要なくなった場合に際しては、乳児用食品なりその表示も必要なくなるという理解でしょうか。
 あとは、今後も、汚染物質とか食品の容器から溶出する化学物質が食品中に残る場合に、海外では特にそうですけれども、基準値が乳児とか大人とか違う場合があります。まさに今回のように、放射能が大人と子どもは違うから、乳児に対してはきちんと表示をしなさいということになれば、例えばビスフェノールAというのが乳児と大人で残留規制値が違うということであれば、その時点でその表示を付加して考えるというふうになるのでしょうか。その2つをお尋ねしたいと思います。

○田島部会長 かなり将来の話で難しい質問だと思いますが、特に厚生労働省が規格基準を定めて、表示というのはそれに付随したものですので、消費者庁としてはなかなかお答えしにくいと思いますけれども、お答えできる範囲で、消費者庁、お願いいたします。

○増田食品表示課長 十分なお答えになるかどうかはわかりませんが、規制値の変更があったときには、勿論、表示の是非は改めて議論されるものだと思っております。更に言えば、もしかしたら基準値はそのままですけれども、消費者の関心度等によっても、そもそもそういうものに全く関心がなくなれば、形式的にもしかしたら基準値が残っていても表示はやめるという選択もあるのかもしれません。いずれにしても、その時々の消費者の関心ですとか、規制の動きによって、そのたびごとに見直されるべきものだと思っております。
 ほかの物質のときにどうするかというのも、多分個々それぞれ、その事案ごとに考えていくことになると思っています。客観的な影響度というものもありますし、消費者の関心というものもあろうかと思います。そういったものを一個一個検討してその是非を議論するということですので、これをもって例えばこの先のものをすべて規制していく、表示していくというようなことを思っているということではございません。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 森委員、どうぞ。

○森(修三)委員 今の鬼武委員の意見とも少し関連してきますけれども、基本的に厚労省で新しく出した規格基準というのは、一回決まればかなり長期の期間にわたって使用される。放射性物質の増加がなければ基本的にはそうなるであろうと思っています。ただ、表示に関しては、現在、非常に消費者の方の関心が高いということで、何らかの「わかる」という表示を考えるということはいいと思いますけれども、ある一定期間が過ぎた場合、定義が括弧書きのようならば表示の方はやめる。表示制度を複雑にするということもありますから、ある意味、期間限定というような考え方も成り立つのではないか。基本的な考え方は、規制値と表示がリンクすることは必要なことだと思いますけれども、未来永劫ずっとリンクしている必要があるのかなという部分は、検討をいただいてもいいのではないかというふうに考えております。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。
 山浦委員、どうぞ。

○山浦委員 今、30年後セシウムの害が減少する云々というお話もありましたけれども、30年というのは半減期ですね。これで全くなくなるわけではないですし、また、さまざまな食品あるいは生物に濃縮されて、これが循環していくという状況は今後も続くわけです。また、セシウムだけではなくて、半減期が28.8年のストロンチウム、24000年のプルトニウムなど、長期にわたり放射線を出し続ける核種というものもあるわけです。こういったものについて私たちはこれからつき合っていかなければいけないという状況ですから、これはしっかりと規制をすると同時に、表示の方も今後も続けていくという気持ちは、しっかり認識しなければいけないというふうに思います。

○田島部会長 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。
 それでは、さまざまな御意見が出ました。特に一番大きな御意見は、厚生労働省による規格基準の中身がはっきりしないと、なかなか表示のことについても議論できないといった御意見でした。一方で、スケジュールを見てわかりますとおり、4月の内閣府令の公布を目指すとなると、本日の表示部会である程度結論を出さないと先に進めることもできません。表示が決まらなくても、規格基準だけを先行するということは可能ではありますが、表示と規格基準というのはリンクするべきものだと思いますので、やはり4月の内閣府令の公布というものは目指したいと思います。
 先ほど山浦委員からもお話がございましたけれども、せっかく乳児用食品については低い基準を設けるということを、厚生労働省では新しい基準案として出していることも考えますと、パブリックコメント、WTO通報には入りたいと思っております。パブリックコメント、WTO通報の後に、もう一度、御議論をする機会がございます。3月下旬でございますが、食品表示部会を予定しております。ということで、本日は、とりあえず原案をもってパブリックコメントに入ること、WTO通報に入ることをまず御了承していただけますでしょうか。
 鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 WTOとパブリックコメントはどんな文章が出るのでしょうか。今までパブリックコメントを出すときに、間に合えば消費者委員会の表示部会の委員のところでも、少し意見を聞いたうえでパブリックコメントを出すようなことがあったと記憶しています。定義もなくてこのままの提案資料をWTO通報するのですか。私は新しい基準値が必要だとは思っています。それは前提ですが、表示のことをなぜ拙速に決定しようとするのかというところはわからないので、もう一度お伺いしたい。

○田島部会長 現時点で、WTO通報、パブリックコメントの内容につきまして、消費者庁から御説明できますでしょうか。

○増田食品表示課長 パブリックコメント自体は、今、お出しした資料を基本的にはそのままかけることを考えております。おっしゃるとおり、そもそも乳児がどこの定義なのかというのは、現時点では規格そのものが決まっていない段階で、更に言うと、規格基準はそういった状況で、食品衛生法の規格基準は、今、パブリックコメントにかかっているという状態ですので、そういう意味ではそれと同じ状況になるのだと思います。
 そこも含めて、パブリックコメントの中で、このぐらいの範囲にすべきだという意見ももしかしたら併せて出されるのかもしれませんけれども、いずれにしても、対象そのものを消費者庁で決めるという仕組みになっていません。表示基準と規格基準を合わせるという前提ですので、こちらで「ここ」と決める性格のものではないので、決めて出すということは現段階では難しいと思っております。今、お示ししたベースのものをかけるということを考えております。

○鬼武委員 ベースというのはどれですか。資料3ですか、資料4-1ですか。法律の改正の条文、これをパブコメにかけるということですか。

○増田食品表示課長 基本的にはパブリックコメントの対象の意見は資料4です。勿論、これだけ見せてもわからないので、それに資料として資料3と資料5を、これはどちらかというと参考の資料という位置づけかと思いますけれども、そういった形で出していく。基本的にパブリックコメントは、内閣府令改正、規則改正についての意見を聞くということになっていますので、若干形式的な議論になるかもしれませんけれども、基本は改正案あるいは改正草案をベースの対象としてお示しする。勿論、それだけではわからないので、付属の資料として説明資料をつけるという形になろうかと思います。

○田島部会長 それでは、パブリックコメントに進むことを御了承いただきましたので、手続の詳細につきまして、消費者庁から御説明をお願いいたします。

○今川課長補佐 資料3をごらんください。3ページの「III.主なスケジュール」でございます。先ほども若干御説明申し上げたところでございますけれども、まず、1月18日、本日でございます。本日の御審議の結果を踏まえまして、パブリックコメントとWTO/SPS通報などの手続の準備に入りまして、できるだけ早くを考えていますけれども、1月下旬目途でパブリックコメント等をかけたいと考えております。
 WTO通報の方が60日間ですので、約2か月間、つまり3月下旬を目途として再度表示部会で御審議いただきまして、パブリックコメントとWTO通報の結果なども踏まえまして、それらを御審議していただき、その結果を踏まえて4月中目途ということで公布・施行を考えてございます。
 3月下旬に仮に食品表示部会の開催が可能で、そしてそこで御審議いただいて、多少修正があるにしても内容的に了承いただけた場合に、その後の手続にすぐ入るのですが、どうしても官報の掲載手続などもございますので、恐らく4月1日ということはなかなか難しいのではないかと考えております。そうした中でも、できる限り早く表示基準として公布・施行したいという考えがございますので、できるだけ4月中に公布・施行というところまで行きたいと考えてございます。
 以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。
 宗林委員、どうぞ。

○宗林委員 参考資料2が厚生労働省側のパブコメだと思いますが、3ページの食品の区分というところでは、「乳児の飲食に供することを目的として販売する食品」というふうに、「供することを目的として」ということでカテゴライズされており、更に、設定について13ページ以降を見ていきますと、やはり乳児用のところは、17ページの上から6行目に「及び乳児の飲食に供することを目的として販売するものとする」と書いてあります。絵表示のところで、7ページのところに1か所だけ、矢印で「表示内容等により乳児向けの食品であると認識する可能性が高いもの」というのが入っていますが、原則は、事業者側が、1歳以上の子どもが食べても乳児を対象とした食品というような意味合いが極めて強いのではないかと受け取りますが、いかがでしょうか。であれば、表示についてのパブコメはそういうふうに明らかにしてとるというやり方もあるのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。厚生労働省は、正式に書いてあるところは皆、そういう表現が主になっていると思います。
 まず、基準は参考資料2です。厚生労働省の方のもののパブコメの募集のところで、3の食品の区分は、乳児用食品は「乳児の飲食に供することを目的として販売する食品」と定義づけられていること。それから、17ページの2.3.3の乳児用食品に、ここは特別用途と同じ言葉で、「乳児の飲食に供することを目的として販売するものとする」というふうに書かれています。ですから、きちんと書かれている文章のところはそのように記載されているということです。
 1か所だけ、先ほど今川さんが御説明された7ページの図のところに、乳児用食品の範囲についてということで、「乳児の飲食に供することを目的として販売するもの」の下に矢印で書いてあるところが、今回の消費者庁の方の括弧に入ってくるわけですけれども、パブコメをとるときに、厚生労働省としては、基本的には供することを目的として販売する商品に対して規制をかけているという考え方なのではないでしょうか。それでパブコメをとるというやり方もあるのではないかというふうに思ったのですが。

○阿南委員 「それでパブコメをとる」というのは?

○宗林委員 というのは、括弧の中をとってしまうということです。

○増田食品表示課長 資料3のここの括弧。

○宗林委員 そうです。パブコメをとるときの資料3の方、これは両方ともあると、事業者側は、こういう目的として販売するものについて表示義務があると受け取り、消費者側が受け取る食品も表示義務があるものだと受け取り、両方大きく範囲がぶれて、いろんなパブコメが出るという感じがするのですが、いかがでしょうか。

○田島部会長 パブコメに供するときまでに、もう一度、厚生労働省の資料を精査すると。厚生労働省の方も時間がなく、余り精査していなくてつくっているので、整合性がないのかもしれませんというふうに思っています。そんなことはないですか。

○宗林委員 では、お任せします。

○田島部会長 もう一度精査していただいてパブコメにかけていただくということで、どうでしょうか。

○神宮司審議官 御趣旨として、宗林委員の御指摘が、資料3のIの参考の中のマル2の括弧書きというところですね。そこのところが厚労省の審議会資料をそのまま引いているために、定義が一義的でないということになっているという御指摘と受けとめました。御指摘はそういう意味ですね。

○宗林委員 そうなのですが、厚生労働省の方はどちらかというと、括弧のないもので文章とか表がつくられているので、括弧のところは図式をしているところだけにその部分がつくられています。厚生労働省は、基本的には食品の区分の言葉も、その後の設定についての説明もすべて同じ言葉、「乳児の飲食に供することを目的として販売する」という言葉が使われているように感じました。括弧書きは絵表示のところだけに一部入ってきているだけですので。表示のパブコメの範囲を明確にしてとる方が良いのではと。済みません、あとはお任せします。

○田島部会長 資料3の括弧書きは消費者庁でつけ加えたものですが、厚生労働省の資料をもとに考えると、ない方が適当であるといった宗林委員からの御指摘ですので、もう一度、消費者庁の方で精査していただきたいと思います。それでよろしゅうございますね。
 ありがとうございました。
 それでは、本日の議事は以上でございます。
 事務局から、連絡事項など、よろしくお願いいたします。

○原事務局長 ありがとうございました。
 最後の形は、どういうふうになったかについては部会長にも御連絡したいと思います。
 次回の日程につきましては、2月20日(月曜日)の14時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
 お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

≪3.閉会≫

(以上)