第11回 消費者契約法に関する調査作業チーム会合 議事要旨

日時

2012年11月12日(月)17:45~20:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 河上正二消費者委員会委員長、山口広消費者委員会委員長代理、
 大澤彩准教授、沖野眞已教授、北村純子弁護士、角田美穂子准教授、千葉恵美子教授、
 中田邦博教授、平尾嘉晃弁護士、丸山絵美子教授、山本健司弁護士
 【事務局】
 原早苗事務局長、小田克起審議官、浅田英克参事官、山田茂樹委嘱調査員(司法書士)、戸上真語政策調査員

議題

 適合性原則/不招請勧誘における論点整理

議事要旨

(1)不招請勧誘規制について

  • 不招請勧誘に関する消費者被害の相談が多く寄せられている現状にかんがみ、不招請勧誘規制の考え方を消費者契約法に導入し、民事効の在り方を検討する必要がある。
  • 民事効の在り方については、消費者契約法の性格、介入根拠に照らしつつ、引き続き検討する必要がある。
  • 訪問販売、電子メール広告といったように行為を限定した形で不招請勧誘規制をかけるのか、それともおよそ一般的に望まない消費者に対して声をかけてはならないといった一般的なルールとして不招請勧誘規制を設けるのかが問題となる。
  • 不招請勧誘は、消費者の私生活の平穏を害する行為であるため禁止すべきということなのか、それともそれ以外にも根拠があるのか。
  • 現在、不招請勧誘が問題となっている場面の典型例の1つとして高齢者に対する詐欺的投資勧誘がある。
  • 自宅や職場などを勝手にアポイントメントなしに事業者が侵害するという行為をやってはいけないというのが基本的な考え方なのではないか。
  • 事業者が消費者にコンタクトをとること自体、つまり、情報提供すること自体が全て禁止されるわけではないのではないか。
  • 不招請勧誘規制の効果として、損害賠償請求を認めるということであればともかく、取消しという効果を与えるとなると難しい問題がある。適格消費者団体訴訟の差止めの対象にはなりうる。ドイツの不正競争防止法においては、差止めが認められている。
  • 事業者の態様に攻撃的要素があるという場合に規制が及ぶという規制の在り方は諸外国はもちろん、日本でも特商法の中で同様の規制があるが、この規制を消費者契約法で行うことができるかどうかは問題となる。
  • 不招請勧誘は、必ずしも情報の不正確な提供がなされるわけでもなければ、真意ではない契約の締結に必ずしも結びつくようなものではないことから、誤認・困惑の拡張に任せるといった形が適切なのか。状況の濫用、迷惑勧誘といったものが受け皿的に存在した方がよいのではないか。

(2) 適合性原則について

  • 消費者契約法への適合性原則の導入の可否を検討するにあたっては、もともとはアメリカの証券取引の領域における業者ルールであった同原則を、消費者契約一般を対象とする民事ルールと構成することができるかという、法規範の性格および適用領域における二段階のシフトを意識する必要がある。
  • 導入の必要性については、消費者法政策論議において指摘されてきた問題が、訪問販売、連鎖販売取引、過量販売等、既に特別法による対応がなされている領域に集中しているか否か、民法(債権関係)改正においても適合性原則の内実を実現させる試みが提案されていることを踏まえたうえで、消費者契約法に規定を置く意味を検討すべきである。
  • 民事効の在り方については、投資サービス領域における適合性原則をめぐる議論動向、消費者法政策の課題として適合性原則に期待されているものを意識しながら、引き続き検討する。
  • 自己決定の環境整備というレベルで位置づけるのか、それともそもそも自己決定を実質的に保障するという側面で考えるのかによって違いが出るのではないか。
  • 狭義の適合性原則を設けることの根拠は何かという困難な問題が残る。
  • 投資以外の取引で適合性原則が問題となるような事例は存在するのか。あるとしても、状況の濫用規定でほぼ解決できるのではないか。
  • ミニ一般条項といった形で、高齢者の過量販売などに対応できないか。
  • 立法事実として、高齢者の過量販売が問題となっていることは間違いないが、そもそもどの部分の問題なのか。量が多すぎるという点が問題となっているとしても、それ以外に過量販売が行われた「場」(訪問販売など)も問題となっているということではないのか。

(以上)