第10回 消費者契約法に関する調査作業チーム会合 議事要旨

日時

2012年10月29日(月)17:45~20:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

 河上正二消費者委員会委員長、山口広消費者委員会委員長代理、
 大澤彩准教授、沖野眞已教授、鹿野菜穂子教授、北村純子弁護士、角田美穂子准教授、
 千葉恵美子教授、中田邦博教授、平尾嘉晃弁護士、丸山絵美子教授、山本健司弁護士
 消費者庁消費者制度課 加納克利企画官
 【事務局】 原早苗事務局長、小田克起審議官、浅田英克参事官、山田茂樹委嘱調査員(司法書士)、戸上真語政策調査員

議題

 約款規制との関係における論点整理

議事要旨

(1)約款の採用要件

  • 消費者契約法において「約款」というアプローチを採用すべきかどうかが1 つの問題である。
  • 約款の定式については、多数の取引での利用を想定するものであること、定型性をもった契約条項・条件であること、その総体であること、を要素として抽出する。
  • 採用要件に関しては、以下の4 点について規定を考えるべきである。
    1. 約款による意思が鍵であること
    2. 「約款による意思」の前提として消費者の認識をどこまで確保するべきか、またそのために事業者にどのような行動が求められるかという問題として「開示」をとらえること
    3. 「約款による意思」によって契約内容化がもたらされる範囲の画定・限界の問題として「不意打ち条項」の問題があること
    4. さらに、このような約款(総体)の採用とともに条項についての段階的な規律(いわゆる中間的条項の採用の規律)を組み合わせること
  • 約款の冊子を渡されても、消費者はそれを吟味して判断するのが困難であるところに問題があるのに、開示したから契約内容になるという流れになるのは危険である。

(2) 約款の明確性(透明性)

  • 現在の消費者契約法3 条前段に該当するような規定を、約款についても設けるべきではないか。
  • その際、努力規定より一歩踏み込んだ形での規定を置くことを検討してはどうか。
  • 契約条項の不当性判断においても、その一考慮要素として当該条項が透明性を欠くことが考慮に入れられうることを規定することにつき検討してはどうか。
  • 契約の中心的給付条項についても、透明性を欠く場合には、不当条項審査の対象となることを確認するべきではないか。
  • 不意打ち条項に関する規定をもし設ける場合には、その不意打ち性の判断も、契約条項の不透明性も考慮に入れて行われうるものとするべきではないか。
  • 透明性とも関連する問題として、不明確条項解釈準則についてもその導入を検討するべきではないか。

(3) 約款条項の解釈

  • 条項使用者不利の解釈準則の下で、個別に交渉されていない約款条項の意味について疑義が存する場合においては、その意味は、その条項が一方の当事者によって提示されたことを踏まえ、相手方の利益を顧慮して解釈するものとする旨の規定を設けてはどうか。
  • 個別交渉条項(個別合意)の趣旨が、個別交渉を経ていない条項より優先されるべき旨の規定を設けてはどうか。
  • 約款の解釈において、個別事情がどこまで考慮されうるのか(されるべきなのか)については、さらに検討を要する。
  • 約款の解釈準則・透明性原則などは、約款だけにとどまらず、消費者契約全体にかかわる。
  • 対価関連条項について、複雑に仕組まれた対価内容の決定方法、給付内容の決定方法などは、約款の解釈や透明性からのアプローチも必要である。

(以上)