第5回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2013年5月30日(木)13:00~14:03

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、小塩委員、古賀委員、白山委員、橋本委員、
松村委員、矢野委員、山内委員
【消費者委員会担当委員】
山口委員長代理、小幡委員、細川委員
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、浅田参事官
消費者庁 草桶審議官、日下部企画官

議事次第

1.開会
2.これまでの議論の整理について
3.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:60KB)
【資料1】 取りまとめの骨子案(たたき台)(PDF形式:189KB)
【資料2】 鉄道料金認可をめぐる問題点について(消費者委員会委員公共料金問題担当委員資料)(PDF形式:206KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、皆様おそろいになりましたので始めさせていただきたいと思います。
 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会」の第5回会合を開催いたします。
 本日は、所用により、小塩委員、蟹瀬委員、消費者委員会担当委員の小幡委員が御欠席ということで連絡をいただいております。
 それでは、議事に入ります前に配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 「議事次第」と書かれた下に配付資料一覧を載せておりますけれども、資料1といたしまして「取りまとめの骨子案(たたき台)」です。
 資料2といたしまして、「鉄道料金認可をめぐる問題点について」ということで、消費者委員会の公共料金問題の担当委員から提出をいただいた資料になっております。
 これに基づきまして審議のほどをよろしくお願いいたします。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても後日公開することといたします。
 それでは、古城座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

≪2.これまでの議論の整理について≫

○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。
 当専門調査会では、公共料金等に係る情報公開の実施状況のフォローアップ、公聴会や審議会における消費者参画の実質的な確保、料金の妥当性を検証する具体的な方法の進め方について、これまで4省庁からヒアリングを行いまして、その結果を踏まえ、前回、消費者庁が整理した諸課題について議論いたしました。
 本日は、これまでの議論を踏まえ、消費者庁が取りまとめた骨子案について説明をいただいた後、議論を行いたいと思います。
 それでは、消費者庁から御説明をお願いいたします。

○日下部企画官 それでは、御説明させていただきます。
 この「取りまとめの骨子案」でございますけれども、今回、骨子案を出させていただきまして、今後それを報告書の案にしていくという作業をしていきたいと考えているところでございます。
 まず最初、本とりまとめの位置づけでございますけれども、消費者基本計画の進捗状況を取りまとめたと同時に、この専門調査会での議論や、この専門調査会の下に電気料金調査会が置かれていますので、そこでいろいろ議論をされていましたので、そういったところから得られた取り組むべき課題と今後検討すべき論点を示しているものでございます。
 取り組むべき課題については、消費者委員会から関係省庁、それから消費者庁に対して取り組みを要請する。それから、その取り組み状況を随時フォローアップしていくということを想定してまとめようかと考えているものでございます。
 今後検討すべき論点については、関係省庁に協力を依頼しながら委員会がこれを検討していくということを念頭に置いた取りまとめの骨子とさせていただいております。
 「今後の取組みの方向性」(1)の消費者参画の機会の確保ですけれども、これについては、所管省庁、消費者庁は、以下の課題に取り組んで、消費者委員会がそれをフォローアップするということをすべきではないかという論点でございます。もしそういうことであれば、最終的な報告書を書くときには、「何とかではないか」とずっと続きますけれども、その「ないか」がどんどんとれていくというイメージかと思っております。
 「消費者参画の機会の確保」ですけれども、電気料金のいろいろな議論のときにも、なかなか電気料金についてはすぐれた例だったということを想定して今回はまとめているところでございますけれども、審査要領の見直しとか料金改定というのは、外部有識者を構成員とした検討・審議の場を整備すべきではないか。ただ、そのときに若干難しいのは、検討・審議の場で消費者の意見をどのように取り込んでいくかというときに、委員とかそういう形で正規メンバーとして入っていなければいけないのか、ただ、それがなかなか難しい場合、オブザーバーとして参加するというのもありなのか、あるいは、意見聴取対象ということで、その時々で消費者の代表を必要に応じて呼んで聞く、そういった方法では有効性は図られるのかどうかといったことについても何がしかの方向性が出ればいいかなと考えております。
 それから、公聴会の開催について、公聴会については開催しなければいけないと書いてある場合と、要請があったら開催すると書いてある場合が法制度上ありますけれども、いずれにしろ、公聴会というのは極力開催すべきではないかという論点でございます。
 公聴会の開催が関係者の要請に基づく場合というのは、その関係者というのは一体どこまで指すのか。関係者に消費者が含まれないという整理をされている場合には、どういう対応をしていくといいのかというのも、そこはもう一つの公聴会についての議論になるかと思っております。
 それから、公聴会の開催を迅速に決定して、利用者に公聴会の開催の参加を積極的に働きかける、こういうことが望ましいのではないかというふうに考えています。
 それから、希望者全員に意見陳述の機会を、これは経産省の電気料金審査プロセスでもそうしておりましたけれども、そういう意見陳述というのを設けるべきではないか。
 それから、公聴会の定めがない場合、法律上、公聴会を開くという規定がない場合もありますけれども、そういう場合でも、それにかわる利用者の意見を聴取するような場というのは必要なのではないか。
 それから、ホームページとかを活用して国民から広く意見募集をするということも、また、募集しただけではなくて、その募集した意見への回答も公表すべきではないか。
 それから、「透明性の確保」ですけれども、料金改定を行う場合には、消費者の求めに応じて事業者が積極的に説明会を開催すべきではないかとか、審査要領、算定要領等についてもホームページに常時載せるべきではないかとか、消費者が見やすくするべきではないか。
 それから、申請すると、認可というのは書類がそれぞれあるわけですけれども、そういったものも公表すべきではないか。
 それから、料金改定を審査する場は、全面的に公開するべきではないか。そのときには、マスコミだけではなくて一般傍聴も認めて、資料も早くホームページに載せる。
 それから、認可申請に対する消費者庁の検証ポイント、電気料金の場合はチェックポイント等をつくっていますけれども、そういったものをつくった場合には、それを公表して、それに対する所管省庁の意見というものを公表すべきではないか。電気料金というのは、まさにそうやっているところでございます。
 それから、サービス提供地域において、消費者や消費者団体との意見交換というのも開催して、そのときに希望者全員の意見参画の機会も必要ではないか。
 それから、公共料金に関する消費者の知見や理解の向上を支援するための消費者教育とか啓発活動も積極的に実施すべきではないか。
 それから、マル4ですけれども、公共料金についていろいろな相談とかいうものが地方の消費生活センターとかに集まっている場合もありますので、そういったものは国センがPIO-NETを持っていますので、協力を得ながら解析して、それを各省庁と共有して今後の制度改善に生かす、そういう取組みもあっていいのではないか。
 もちろん、そういったものを原則としつつも、事業者の規模とか事業者の負担能力とか、全ての事業者が申請してくる場合にそういう対応をするかどうかというのは、場合によってはそうはいかない場合もあると思いますので、柔軟に対応していくべきではないか。
 「料金適正性の確保について」は、今度は、いろいろ検討する内容があるのではないかと考えて、ここには検討すべきような論点を掲げ、それを今後検討していくというような流れにしております。
 中長期的な課題として、まずは事実関係とか検討に資する材料を整理していくという方向になるのかなと。
 複数の公共料金分野にわたる課題、横串の課題ですから、その関係する所管省庁にも、積極的に消費者委員会に協力していき、こういうものを議論していくということを念頭に置いています。
 その最初の論点ですけれども、「総括原価方式における事業報酬算出の在り方についての検討」です。
 事業報酬については、電気料金のときにも、いろいろわかりにくいとか、何のためかとか、いろいろ議論があったところでございます。その目的は何だとか、資本コストへの充当なのか、内部留保なのか、自己資本の充実なのかとか、たしかいろいろ説明があったりして、いまだに事業報酬はわかりにくいという指摘は非常に多く出されておりますので、そういった事業報酬の概念とか規制の考え方を明らかにしていくために今後議論していくべきではないか。
 それから、事業報酬算出上の自己資本と他人資本のウエート、今のところ30対70とかがよくあるウエートですけれども、それが適正なのか、実績から乖離しているけれどもそれでいいのかどうか、そういうことも議論していくべきではないか。
 それから、算出のウエート比は、各分野、事業規模で、30対70、35対65もたしかあったと思いますけれども、同じであるべきなのか、事業者によって異なるべきなのか、どう考えるのか。
 自己資本報酬率は、どのような指標で決定すべきなのか。
 諸外国ではどんな考え方を採用されているのか調査すべきではないか。
 それから、マル3 料金妥当性の検証のあり方については、料金妥当性の継続的な検証というのはしていく必要性というのは基本的にあるわけですけれども、どういった指標・要素で、どの程度の頻度、毎年なのか、原価算定期間ごとなのか、その辺、どの程度の頻度であるべきなのか。
 それから、消費者が継続的な検証を行えるように、どのような情報が公表されていくべきなのか。
 逆に、今度はインフレ時になると、申請がインフレの世界になれば、恐らく定期的に申請してこないと会社はやっていけなくなることが想定されるわけですけれども、そのときに厳しくチェックすることで効率化が図られるという考え方があるわけですけれども、そのことと、この継続的な検証ということの関係をどう考えるべきか。
 それから、4ページでございますけれども、上限料金制をとっている公共料金もありますので、実際運賃を規制するのか、上限運賃制の中で実際運賃はどこまで規制できるのかという議論もありますので、上限運賃と実際運賃の規制という両方の制度のもと、検証の手法や考え方が異なるのだろうかとか、妥当性の検証によって料金が変わり、どうもおかしいのではないかとなった場合、変更を求めることになるわけですけれども、そうすると、今度はコスト削減インセンティブが逆に失われるのではないかということがありますので、そこをどう考えるか。
 あと、諸外国ではどう取り組んでいるか。
 マル4として、将来世代と現在世代との費用負担のあり方ですけれども、水道を初めとして公共料金においては世代間で、インフラというのは基本的にはお金がかかるものでございますけれども、維持費用というのは世代間で費用を公平に負担するというのが原則なのかと考えられますけれども、世代間の公平な費用負担のあり方というのを検討すべきではないか。その際、地方公共団体が決定する公共料金、これは議会とかいろいろ絡んでいるところでございますけれども、そういうときには何となくイメージとしては、今の料金を安くして、将来お金がかかるということが想定されている場合、今の料金がどうしても低くなりがちということもあり得るわけですけれども、そういったときに、そういう料金決定プロセスに対して何か提言すべきことはないか。決めるのは自治体でございますけれども、提言することはないか。
 それから、公共料金の原価算定を行うときには、結果的に更新投資を抑制する方向に働くことになってしまうのではないか。あるとすれば、どう対応すべきか。
 それから、修繕や更新、技術開発といった費用の世代間負担について、どう対応すべきか。
 それから、公共料金の国際比較ということで、単純に今までも内外価格差みたいな比較はしてきているわけですけれども、そういった各国の現状というのは価格以上に政策についても調べていくべきではないか。また、自由化された国もあるわけですけれども、された国とか地域とか、電気が自由化されたという例もありますけれども、そこでいろいろな問題が生じたり、生じなかったりしているわけですけれども、料金規制における消費者への配慮は、自由化されているけれどもどのような規制か、規制に似たようなものをかけていくのかといったものを調べていくべきではないか。
 それから、料金妥当性や事業効率性を検証する際には、サービスの質が下がっていいのかという議論もあるわけですが、そういうのも比較すべきではないか。
 そういうようなことでございますけれども、いろいろな小さな会社、大きな会社、世の中には事業者がありますから、そういったものに共通して言えるのか、それとも共通して言えないかというのがあるので、そういった事業者の規模や他社への影響というのも考慮しながら柔軟に対応するということが必要なのかと。
 こういった論点がございまして、本日の議論をいただきながら報告書の案を作成していきたいと考えているところでございます。
 以上です。

○古城座長 ありがとうございました。
 骨子案について御意見のある方の御発言をお願いします。
 その前に、細川委員から鉄道料金についての個別の意見が出ておりますので、簡単にかいつまんでお話ししていただけますか。

○細川委員 今のたたき台案の中身ともかなり重複するところがありますし、今まで、この専門部会ができる前に、御承知のように消費者委員会ではこういう公共料金について関心を持ってきまして、建議も1回出したところですので、そのうち鉄道運賃について今までいろいろ国交省等のやりとりもありましたので、現状どういう問題があるかという何か具体例もあったほうがいいかなと思いましたので、きょうはちょっと御紹介する時間をいただくことになりました。
 まず初めに、「消費者への情報開示をめぐる問題」ということで、情報提供の不備ということで、情報提供ガイドラインというのがあるのですけれども、これは認可時の情報提供を念頭に置いたものであるということで、消費者にとっては以下のことが不利益として挙げられるということで*印でついていますけれども、認可申請時点で十分な情報が得られなければ、たとえ公聴会が開かれても限られた意見しか表明することができないということの問題。あと、運賃等改定時のデータと対比できるデータが改定後定期的に示されなければ、現在の運賃等の内容が妥当であるかどうかを判断できない、こういう問題があります。
 さらに、新しくつくった線路は、主に空港につながる線路等なのですけれども、今、加算運賃という制度を設けていますけれども、加算運賃については、運賃の回収状況、あるいは加算運賃を継続する必要性について説明責任が十分果たされているとは言いがたいということで、ちなみに、京浜急行の空港線の回収状況というのをホームページから出ているものを引っ張ってきましたけれども、非常に簡単なものでありますし、初めに要した投資額700億円というのも、私が調べた限り、申請時の金額とちょっと違っているのです。この理由もわかりませんし、あるいは、支払い利息というのが2番目にありますけれども、申請時は支払い利息を投資額のほうに入れるというふうになっていたのに、ここでは外側に持ってきているのです。これもよくわからない。極めて信憑性というか、信頼性が担保できないような情報ということでございます。
 2ページ目に一応、建議でこういうところも言っているわけですけれども、今、国交省がどういう回答をしているかというのをここで御紹介しております。
 2番目が「運輸審議会での審議過程の透明性」ということで、国交省では、鉄道等の運賃の認可に当たっては、運輸審議会という組織でその審議をしているのですけれども、そこでの審議というのは、こういうような公開でやらないで非公開である。そういったものの議事要旨みたいなものが後から出されるのですけれども、そこでの情報というものも限定的でありますし、そこで配付される資料についても、出すようにはなってきましたけれども、経営上の秘密等を理由に不開示のものが多いということで、これも問題があるかなというふうに思っております。
 3ページ目は、「消費者の参画・意見の反映」ということで、まず、「運輸審議会の委員構成」でございます。これは、今まで消費者委員会からの建議で、やはり消費者の利益を代表できる人材をこの中のメンバーに入れるようにというふうに求めてきているのですけれども、国交省は、今のメンバーは十分広く一般国民の代表として審議できる人物なのだというふうに回答はしてきているのですけれども、そういうふうに判断した理由を示してくれといっても、そこは示すことができないという状況にございます。この3ページの真ん中にありますように、常勤委員の方は2名いますけれども、どちらも事業者側で、公共料金の認可を受ける側のメンバーという形になっています。
 2番目が、「運輸審議会における消費者の扱い」ということで、利害関係人という規定がありまして、利害関係人は公聴会の開催を要求できるというふうな形になっているのですけれども、国交省では、利用者は利害関係人ではないという解釈をとっており、これを変えておりません。
 4ページ目に行きますけれども、最近になって成田空港アクセスの料金についての住民からの訴訟があったのですけれども、そこでは、まず原告5名全員の原告適格を認めて、アンダーラインを引いているように、「少なくとも居住地から職場や学校等への日々の通勤や通学等の手段として反復継続して日常的に鉄道を利用している者」は原告適格があるのだということを申しております。
 これは、被告の国側は、近鉄特急判決という有名な訴訟があって、これは原告適格を拒否しているわけですけれども、このときと明確に法律が違うと。これは法改正があって、理念規定の中に利用者のいわゆる利益の擁護というものが入っているので、国が言うように、近鉄特急事件で原告適格が認められなかったから今も認めるべきではないという主張は通らないということを、この東京地裁では言っております。
 さらに、運輸審議会の一般規則の中に、利害関係人としてどういうものを認めるかというのがあるわけですけれども、地方のほうの規定では、「『利用者その他の者のうち地方運輸局長が当該事案に関し特に重大な利害関係人を有する者と認める者』を規定している」、このことからすれば、先ほどのアンダーラインで示した、こういった日常的に反復継続して使う者が利害関係人であるということは明らかだというふうに、この東京地裁は言っております。こうしたことからも、そういった日常的に使う人たちが利害関係人として当たるのは当然であるというふうに我々は思っております。
 5番目は、「適正な運賃水準の設定」ということで、鉄道については、「これを受けて」というところにありますが、JRと大手民鉄についての算定要領があります。これについては、ヤードスティック方式により審査することを定めていますけれども、しかしながら、これに基づいて効率的な経営のもとにおける適正な原価であるか否かを、この運輸審議会が審議しているか否かについて必ずしも確認ができておりません。
 なお、中小民鉄のほうについては、算定要領もかなり簡単なもので、ヤードスティック方式の適用もございません。また、算定期間3年を経過した以降の算定審査というのは、事業者が上限運賃の改定を必要とするときに限られ、この間の運賃水準は検証されないということで、これはほかの料金も同じだと思います。
 ただ、調べた限りでは、乗合バスについては要素別原価報告書というのを定期的に事業者から提出させて、ブロックごとの標準原価を設けて、運賃の妥当性の事後的な検証ができるようになっているようです。かなりそこら辺でばらつきというか、鉄道とバスというところでまた違いがあるのかなというふうに思います。
 あと、「一社一運賃原則の例外をめぐる問題」ということで、国交省は一社一運賃が原則というふうに今まで述べてきているのですけれども、先ほど御紹介したような加算運賃とか、あるいは京成電鉄における路線別運賃の設定等による高運賃体系が沿線住民から不満を噴出させております。こういったものをどう考えるかということでございます。
 先ほどの加算運賃については、運賃認可後10年、あるいは加算運賃による資本費の回収率が50%に達したときに、その加算運賃は見直すのだということを今まで運輸省、国交省は言ってきたのですけれども、最近になって100%が理論的な廃止の時期だという形で、今までと言っていることが変わってきているのです。ここも非常に問題があるかなというふうに思っていまして、加算運賃の廃止時期については、消費者委員会のほうで引き続きフォローしているところでございます。
 以上、御報告させていただきます。

○古城座長 どうもありがとうございました。
 それでは、発言のある方は、目の前の名札を立てていただけますでしょうか。
 松村委員、どうぞ。

○松村委員 たたき台なのですけれども、まず、2のマル2の最初の○のところです。ここの記述はずっと議論されてきた通りのものなので、これで異議はありませんが、一応念のために確認させてください。消費者の代表は正規メンバーだけではなくて、オブザーバー参加だとかいろいろな形がありえるというのは、私も前の委員会でも強行に主張した点です。これは事業者が審議会の正規のメンバーになっていなくて、例えば中立者だけでやって構成される委員会で議論する場合に、こういうやり方もあり得る。そういう了解だったと思います。事業者は正規の委員として入っているのに、消費者のほうは意見聴取を1回すればこの要求を満たしたと、この文章を根拠に安易に言われたら困ります。こういう意図ではない。いろいろなやり方はあり得るけれども、そういう非対称なことは許容範囲ではないという点だけ確認させてください。
 次に、(2)のマル3の3ページの最後のところ、3つ目のところです。「インフレ時には、申請内容を厳しくチェックすることとなるが、これとの関係をどのように考えるべきか」というのは、これは意図が若干わかりにくい。インフレの関係のことは確かに議論していました。私自身も発言していたのですが、例えば値下げ届け出制というような形で、値上げしなければ許認可の対象にならないということになっていたとすると、インフレ時には実質的にインフレ分だけ効率性を改善していかないと届け出では済まなくなるという意味では、確かに厳しくなるということだと思うのですが、別に申請を厳しくチェックすることになるわけではなくて、申請を出されたとして、インフレに伴ってコストが上がっているということが適正であると認められれば、当然、値上げが認められるという形になっていると思いますから、審査自身が厳しくなるわけではなく、ルールに従って審査されるはずです。この点この文章はわかりにくい。更により重要なのは、この文章を根拠に、インフレが起こっているのだから、値上げするのは当然という理屈に使われても困る。デフレ下でデフレ率分ぐらい料金を下げても当然でしょうという理屈を一切振りかざさず、デフレ下で値下げしなかった事業者が、突然、この文書を根拠にしてインフレのときだけ値上げしないと厳しい、値上げできて当然と身勝手なことを言われても困る。ここの内容はわかりにくいし誤解を招きかねないので、どういう意図なのかを御説明いただけるでしょうか。

○古城座長 どうぞ。

○日下部企画官 これは、まさに先生おっしゃった、わかりにくいなというのは御指摘のとおりで、今、読んでいて改めて思ったのですけれども、インフレになれば必然的に申請をせざるを得ないだろうと。申請をしてきたときには、インフレではなくても申請してきたら厳しくチェックしなければいけないというのはその通りなのですけれども、厳しくチェックすると安易な値上げというのは抑えられることになり、そのことが彼らとしては効率性を図らざるを得なくなるということですので、インフレ時にはそういう申請のチェックを厳しくすれば、彼らは必然的になかなか申請してこないということも含めて効率化が図られるのではないか。そうすると、インフレのときに厳しくチェックすれば、必然的に彼らは効率的になるであろうということと、継続的な検証ということとの関係はどうなのかということです。

○松村委員 よくわかりました。そのような意図なら問題ないと思います。もし可能なら、今御説明いただいたことが素直にわかるような文章に直していただければと思います。
 以上です。

○古城座長 あといかがでしょうか。
 山口委員、どうぞ。

○山口委員長代理 大変よくまとめていただいていると思うのですが、幾つかございます。
 先ほどの松村先生のお話はそのとおりだと思います。また、2ページの「透明性の確保」の観点のところで、情報公開あるいは情報開示の基準を、これは先ほど細川委員がおっしゃったように、どう考えても電気料金のときの公開の基準と鉄道料金の情報開示なり公開の基準は違うのです。ここは、やはり各料金相互間で情報公開あるいは情報開示の基準は揃えるべきです。率直に言えば、少なくとも電気料金の基準に沿ったものにするべきだと思いますので、その点についてはきちんとした形で明示していただきたいと思います。
 特に電気料金で問題になったのは、私企業との契約関係が必ずしもオープンにされない。下請け事業者や関連事業者との契約関係が開示されないというところで、一番肝のところがもう一歩わからないというところがあったわけですが、そこの点についてもそれでいいというわけではないと思うので、やはり公的な公共料金の認可申請に当たっては、仮に私企業であっても、あるいは関連会社との契約関係であっても、一定の限度で示す、あるいは公平な審査を期すためのインカメラ方式とか、そういう工夫をするようなことについてもぜひコメントをいただきたいと思います。
 それから、4ページのマル4の1番目の○のところですが、「地方公共団体が決定する公共料金について、料金決定プロセス等に関し提言すべきことはないか」という、この提言の主体はどうなるのでしょうか。つまり、総務省が提言するということになるのか、それとも何らかの形で総務省にこの専門調査会なり、消費者庁か消費者委員会かわかりませんが、そういうところが提言するということになるのか、その趣旨がもう一歩よくわからないので、この点は御説明いただければと思います。
 以上です。

○古城座長 どうぞ。

○日下部企画官 今の提言する主体ですけれども、基本的には委員会で議論するわけでございますので、今後、消費者委員会で議論をして、それが提言につながるということ。要するに、相手が、総務省が適切なのかどうかはよくわかりませんけれども、自治体である場合は、決めるのは自治体でございますので、総務省に幾ら言ってもどうしようもないというところもあるかもしれないので、したがって、提言という形かなと思っているところでございます。

○山口委員長代理 そうすると、仮に言うとするならば、今後、地方自治体が決する公共料金について、その決定プロセスについて提言することも考えるということになるのでしょうか。

○日下部企画官 提言ですので、提言という言葉がいいかどうかというのは、提言という言葉ではなくても、本来、自治体でもこういうふうにすべきではないのというようなことは言ってもいいのかなと思います。

○草桶審議官 結構我々は迷ったのです。地方自治体が、しかも議会できちんと決めている話なので、どんな言葉が適当なのか、どんなチャネルが適当なのか、また別途検討させていただいて、きちんとした文書にするときに相談をさせていただければと思います。

○古城座長 これは、消費者委員会が地方自治体に対して提言するということですね。

○草桶審議官 誰を経由してというのはあるかもしれませんけれども、いずれも発信元は、やはり消費者委員会ということになるのかなと思います。

○山口委員長代理 どうも消費者委員会は自治体には発信できないらしいのです。

○原事務局長 でも、意見は言っている。

○山口委員長代理 こうしたらどうかという意見は言っています。そうですね。

○古城座長 国に対しては、ある程度拘束力みたいなものはあるのですけれども、自治体に対してはないだけで、提言自体は可能でしょう。
 細川委員、どうぞ。

○細川委員 このたたき台で言えば、2ページの「透明性の確保」になるのか、あるいは、その前のマル2の「消費者参画の機会の確保」になるのかわかりませんけれども、山口先生の言われたように、やはり情報の開示というところです、情報の開示がなくして合理的な消費者の権利とか利益主張はできないわけです。蚊帳の外に置いておいて、一応形だけ公聴会を設けて機会は与えても理論的にこうだああだ言えない。したがって、消費者の言っていることに説得力がないということで却下されてしまって、事業者側の意見ばかりが通るという形が非常に多いと思うのです。そういう意味で言うと、いわゆる事業者側の申請資料とか、そういった資料の開示というところは、直接的に読めるところがなかったのです。透明性の確保というのも、例えば○の3番目、「料金改定を審議する場は、全面的に公開」とは、公聴会のことを言っているのか、あるいは、先ほど私が御紹介した鉄道で言えば、運輸審議会自体のことを公開と言っているのか、あるいは、そういうところで議論される原価算定の資料とか、そういうものはどう考えるのか。というのは、結局、情報開示あるいは情報公開請求しても、営業上の秘密だとか経営上の秘密だとかという形で出されない資料が非常に多いのです。そうすると、情報の非対称性があって、これは消費者の権利主張が言えないということになるのだろうと思います。
 例えば、先ほど私の資料2で御紹介した加算運賃についての京浜急行の例を御紹介しましたけれども、これも5年前までは経営の秘密だということで全く出されていなかったのです。これは経営の秘密ですかね。ようやくこれだけは出されるようになったという状況で、そこは非常に進んでいないのですけれども、そこら辺の書き込みが足りないような感じがするのですけれども、消費者庁はいかがでしょうか。

○日下部企画官 ここで言っている料金改定を審議する場というのは、電気料金であれば経産省の審査専門委員会みたいなものをイメージしておりますので、そういったときに出された資料というのは、当然、会議も公開でやるべきだし、資料も公に出すべきだろうと。もちろん経産省でやっている場合も、どうしても出せない場合は委員が非公開でやっているという例はありますけれども、原則は出していくのでしょうということを想定しているので、経産省みたいなプロセスというのを念頭に置いておりますので、最終的に報告書をまとめるときには、そういうのを念頭に置いた書き方にしたいと思います。

○古城座長 よろしいでしょうか。
 形容詞として、「電気料金の場合と同じく」また「同じレベルでの」というのを入れて、最後まとめたいと思っているのですけれども。
 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 幾つか意見と質問をさせていただきます。
 先ほど山口委員から出された地方公共団体の関連なのですけれども、1ページのところで、「1.本とりまとめの位置づけ」の2つ目の○で、ここでは、この課題について、消費者委員会から所管省庁と消費者庁に対して取り組みを要請するとあります。その関係性では、例えば水道料金等は自治体がまさに事業を行っているわけですから、そういったときにはここに書かれている課題について自治体にどういうふうに関係してくるのか、先ほどの4ページのところだけに関係しないで全体の課題について取り組みの要請が自治体にはどういうふうにできるのか、その辺を明確にしておいたほうがいいのではないかと思います。
 それから、2ページのマル3の「透明性の確保」についてのところですけれども、最初の○のところで、「料金改定を行う際には、事業者が、消費者の求めに応じて積極的に説明会を」というふうに書かれていますが、この限りだと、事業者は消費者の求めがあれば積極的にということになりますが、料金改定自体を消費者がなかなか知り得ない、先ほど加算料金の話もありましたけれども、いつそういったことが発信されたのかさえわからない状況の中で消費者が求める機会さえないわけですから、ここは「消費者の求め」云々に関係せず、事業者は積極的に説明会を開催すべきというふうにしたほうがいいのではないかと思っています。
 それから、マル3の「透明性の確保」は、この文章全体の主語が、いわゆる消費者委員会が提言を出し、各省庁に取り組みを要請するということになっていますから、今のマル3の透明性の最初の1は、事業者が説明会を開催すべきになりますが、マル4の手前の、下から2つ目の○の意見交換会ですが、これは関係する所管庁がやるということなのでしょうか。これは、どこが意見交換会を開催しようと、それで、これは事業者がやる説明会とは違うし、公聴会とかそういったものともまた違うという位置づけなのか、その辺を少し明確にしていただいたほうがいいと思います。
 最後の消費者教育と啓発等は、これも事業者ではなくて関係の所管庁ということですね。だんだん読んでいくと主語がどこかわからなくなってくるところがあるので、その辺は明確にしておいたほうがいいかと思っています。
 それから、マル4の「その他」の国民の意見・相談ということで、「国民生活センターの協力を得て」とありますが、例えば関係の省庁のところにも消費者相談とか相談窓口はあって、そこにも一定の情報が入ると思います。それから、相談は必ずしも消費者だけではなくて、一緒に競争している事業者からも競争の内容に関して相談があったりするわけですが、そういった情報もある程度つかみながら改善に活用すべきとは思いますけれども、その辺の取り扱いをどうしていくのかというところは少し課題かなと思います。
 以上です。

○日下部企画官 おっしゃったところは、主語は何かというのは整理していきたいと思います。確かにおっしゃったようなのはいろいろあるなというので。
 あと、消費者や消費者団体の意見交換会は、消費者委員会とか消費者庁が行うわけです。検証する側も行うということを想定していたので、そこもわかりやすく表現したいと思います。
 それから、確かに消費者教育は誰がやるかというのも書きたいと思います。
 意見についても、確かに消費生活センターに集まった意見だけではない意見があるでしょうというのは、そうだと思いますので、そこも何か工夫したいと思います。

○古城座長 古賀さん、どうぞ。

○古賀委員 細川委員の鉄道料金についてのお考えに、私も大変同じ思いをしているものなのですけれども、ダイレクトに消費者の声を効果的に反映させる料金検証のシステムというのがつくられるのが一番大切なことだと思います。それをどこにつくるかというと、現状では、料金認可の当否を審議する権限を有する運輸審議会の議論について、結局、最終的には訴訟を起こすことでしか消費者は値上げに反対することができないというのが現実の姿だと思うのです。そういった都市計画の失敗が運賃、消費者に転嫁されているような状況が1つあるわけですし、また、最近ではタクシー料金も値上げするというような報道もされています。高速道路通行料金についても整備が終わった後も、また今度は修繕のために高速料金は下げないというようなニュースも流れてきています。
 今回の取りまとめの骨子案の(1)の消費者参画の機会のところなのですけれども、ここのマル2のところで、審査要領や料金改定申請についての「審査の場」を整備するということなのですが、この場をどこにつくるかというのが非常に重要なポイントだと思うのです。この書きぶりですと、やはり国交省の中にそういう場をつくって、何らかの形で消費者参画を進めていくというふうに読めるのです。もちろん国交省の中の運輸審議会のもとにそうした会をつくっていただいて、有識者なり第三者的な消費者的観点から審議の場を設けていただくというのはいいと思うのですけれども、やはり電気料金のときに1つ確立した消費者のチェックの仕方として消費者庁の果たした役割というものから考えますと、消費者委員会の中にそのような料金をチェックする機能があってもいいのではないかと思うのです。ですから、ここの書きぶりなのですけれども、「審議の場を整備すべきではないか」というのは、運輸審議会の中で審議してもらうこと、これが多分、運輸審議会の委員が国会人事であり、第三者委員会であって、消費者の声、なかんずく、消費者庁の声がなかなか届けにくいということはあると思うのですが、国土交通省側に消費者参画の一つの場を整備することもそうなのですが、もう一つ、消費者庁の中でも、消費者委員会としてそれをチェックして、そうした料金値上げについての情報を消費者が共有できるような仕組みを消費者委員会の中にチェックする機能を入れてほしいというようなことを1つ入れていただきたいと思います。

○古城座長 今の点は、消費者委員会がもう少し、道路運賃ですか、タクシーや鉄道に限ってですか。そうではなくて、一般的にですか。

○古賀委員 一般的というと非常に漠然としてしまうのですが、この1年間、昨年の建議を出した後の状況を見て、それから今回の公共料金等専門調査会において、4回ほどヒアリングをした段階に於いても、やはり運輸審議会は非常に硬直した対応というか、率直に言ってしまえば消費者参画については消極的すぎるという感じがしていますので、特に運輸審議会における鉄道料金、タクシー運賃などについては、そうした審議をチェックするような場が消費者委員会の中にあってもいいのではないかと思います。

○古城座長 電気料金のケースを見ますと、電気料金値上げのときに消費者庁のほうでかなり厳格にチェックポイントをつくって、これが守られないのでは消費者として納得できないというので、大臣が、それだと値上げについて消費者庁の同意が要るのですけれども、消費者庁が同意できませんよということを言うことによって、料金算定プロセスに影響を与えるということをやったわけで、いつも取りかえるというのではなくて、最終的には規制官庁の料金改定プロセスを改善してもらうということで、いつもいつも消費者庁や消費者委員会が料金をウオッチングしていくということは、物理的、予算的に無理だと思うのです。だから、効果があるときには深く検討して、こんな料金もきちんと算定できないのですといったら、消費者庁の大臣は賛成しないでくれというふうに言って、それで国土交通大臣に改善してもらうということはできると思うのですけれども、恒常的にこちらが並んでチェックするというのは無理だと私は思うのですが。

○古賀委員 確かにケース・バイ・ケースではあると思うのですけれども、電気料金のように、かなり広範な地域において一律に多くの、ほとんど全員の人が利害があるようなことと、それから、局地的に鉄道運賃のように一部の利用者における限局的な場合とでは必要性について議論はあると思うのですけれども、値上げ申請があって、なおかつそれで公聴会を開かなければいけないようなものについては、その都度、必要に応じて消費者委員会としてチェックするということもあっていいのではないかと思います。

○古城座長 それはやることになっていると思います。

○古賀委員 もっと強くというか、厳しくというか。

○古城座長 電気料金のときにかなり厳しくチェックポイントをつくったのですから、それ並みのことは今後もやると思うのですが。

○草桶審議官 恐らく、消費者委員会にこういう組織をつくるとかつくらないという話と余り関係がない、聞いていてちょっとそう思ったのです。要は、手続きにどんなふうにかんでいくかということですね。それで、電気料金の場合には、経産省が規制当局として審査要領を第三者委員会で議論してつくったと。それに基づいて審査をする際に、物価対策関係閣僚会議とかいろいろな手続きがありますから、その中で今、古城座長が紹介されたようにチェックポイントというのを使って関与をしていったということです。その他の料金については、必ずしも認可申請が出てこない段階ではないわけですけれども、そうであれば、こんな形でまさに日ごろの毎年の仕事の中で、今もまさにそのための議論をしているのだと思うのですけれども、手続きだとか審査の中身についてこんな考え方で改善してほしいというのを言い続けていくということかと思うのです。
 消費者委員会の中に組織をつくる、つくらないと、国交省との間で余り関係がないような気がしたのですけれども。

○古城座長 座長が余りしゃべって申しわけないのですけれども、この報告書の骨子は、電気料金並みの手続きをほかの公共料金にとっても今後とってほしい。それから、料金査定もそれぞれの審議会で電気料金並みの厳格な査定をやってほしいということを求めているわけですね。もしそういうふうになっていなくて、とても甘い値上げが認められるというのが出てきた場合は、当然のことながら、消費者庁や消費者委員会は、内容が非常に怪しいものだから厳格な検討をしてチェックポイントをして、大臣に頼んで、これは改善するように影響力を講じていく。電気料金の場合と同じような改善策をとると思いますが、そのときは、おっしゃるように厳しい査定というのを消費者委員会も時間をかけてやるということになると思います。

○細川委員 多分、古賀委員が言われているのは、運輸審議会で議論するようなプロセスの中に、そこの段階で消費者の声を反映させるような仕組みが必要ではないかということだと思うのです。例えば、今の電気料金は非常にレアケースで、これだけ国民の議論があったから、逐一マスコミも報じていたし、ああだこうだと言っていたので我々も認識があって、早目に我々はこういうポイントでやってくださいねということで自発的にやったわけです。ただ、そうでないものは、我々が気づかないままに進んでいて、認可の段階で初めて消費者庁に言ってきて、終わった後に消費者庁や消費者委員会がチェックするということだって出てくる可能性がありますね。だから、そういう前に、向こうだって、いろいろやった後、また言われるというのでは面倒なことだと思いますので、原局というか、各省庁でいろいろなシステムがありますけれども、もうその段階で消費者庁とか消費者委員会が関与して、あらかじめこういう申請があって、こういうことをやるのだったら、こういうところをチェックポイントで我々は後からチェックするから、そちらでもそのつもりでいてくれみたいな、そういうシステムが必要だという感じも私もちょっとしているのですけれども。

○古城座長 よろしいでしょうか。

○日下部企画官 この報告書ではどう書くか検討させていただきます。

○古城座長 ちょっとそれは考慮して改善できるようにしたいと思います。
 山内委員、どうぞ。

○山内委員 骨子案の3ページの(2)「マル2 総括原価方式における事業報酬算出の在り方について検討」というところですけれども、まず質問なのですけれども、マル2の1つ目の「○事業報酬の概念と規制の考え方を改めて明らかにすべきか」ということで、括弧の中に何の目的で事業報酬があるのかと。資本コスト、内部留保、自己資本充実というのですけれども、これは、まず1つ目の質問は、資本コストといっているのは何を指しているのかということなのです。それから、内部留保の充実と自己資本充実とあるのですけれども、通常、内部留保を充実しないと自己資本も充実できないのだけれども、それをどういうふうに考えるのかなということと、もう一つ、多分こういうことを意図されているのかと思うのですけれども、例えば事業報酬の中には他人資本に対する仮受金の利払いと、自己資本に対する報酬があるのだけれども、それを明確にしろという意味をおっしゃっているのかなというふうに思うのですけれども、もしそうだとすると、そういうのは費用積み立て方式という別のやり方がありますけれども、実際そういうのをやったところもありますね、だから、それとどう違うのかというのがまず1つ目の質問です。
 それから、ウエートの問題は、何が適正なのかという御疑問はよくわかるのですけれども、私の考えは適当ではないのですけれども、御疑問を出されるのはいいのかと思うのですけれども、その次の「また、実績値との乖離を踏まえて」というのは、要するにおっしゃりたいことは、自己資本比率が低かったら、そういう形で計算しなさいという意味ですかというのが質問です。
 それから、次の○のところは、「自己資本報酬率は、どのような指標を参照し、決定されるべきなのか」というのですけれども、これはこれでいろいろな議論がありますけれども、今までの議論をかなりしているので、それはちょっと踏まえられたほうがいいかと思います。
 それから、外国でレートベース方式が採用されているのかという次の文章ですけれども、レートベースというのは何を言っているのかわからないのですけれども、要するに、いわゆるレートベースをつくっておいて、事業報酬率をそれで計算しますというやり方をレートベース方式というのであれば、もともとこれはアメリカでやっていたので、アメリカのをまねしたので、外国ではやっています。ただ、外国の場合はいろいろな規制方式が変わって、自由化したりしているので、あるいはインセンティブ規制を入れたりしているので、レートベース方式がそのまま残っているところもアメリカへ行けばありますけれども、そんなに多くないのは事実です。それをどう考えるのかということと、しかし、例えばイギリスでインセンティブ規制を入れて、プライスキャップを入れましたというときに、プライスキャップは、御承知のとおり、生産性向上率をエックスではかって、それをマイナスするというやり方だけれども、そのエックスではかるときに事業報酬率を計算しているのです。だとすると、そういうのも入れるのだったら、まだやっていますということになります。
 それで、算出ウエート比というのは7:3の話ですかということです。
 それから、4ページの一番上ですけれども、公共料金上限制と実際料金というのはわからないのですけれども、要するに、例えば電気料金も一応上限です、それから、鉄道料金も上限です。それから、プライスキャップみたいなものも上限ですし、それから、プライスキャップをやっているのは、電気通信の特定電気通信役務だけですけれども、それのことですかというのと、上限運賃をやるときは必ずインセンティブをつけるというのが基本的な考え方なので、上限運賃の話と、実際規制というのは、意味がわからないのですけれども、料金をこういうふうに決めるという意味ですか。

○古城座長 多分、電気料金とガス料金。

○山内委員 でも、上限規制だって議論した、電気料金みたいに。

○草桶審議官 約款。ばしっともろに詰めていますね。

○山内委員 そういう意味ですか。

○草桶審議官 そういう意味です。

○山内委員 そういう意味では、約款規制について手法は変わるべきかと。
 これはわかりました。上限を決めて、細かいデータメークのところで約款は決めているので、2段階になっているだけの話だと思うのだけれども、そういうことですね。

○古城座長 大分細かいところを。

○草桶審議官 余り予断を持っているわけではないのです。ただ、もう2回の電気料金の審査の過程で、事業報酬の話はいつも議論になって、議論も混乱しているというか、専門家の中では皆さんわかっているのだけれども、消費者の方を交えて議論したときに、必ず皆さんこんがらがるわけです。それで、恐らく一般の方が聞いていると、説明がころころ変わっているように聞こえるのかなと。つまり、あるときは自己資本の充実ですと、あるときは内部留保で、例えば原子力発電所がとまって、火力に頼って赤字になったのだけれども、おかげさまで内部留保が当時ありましたので、バッファーになりましたと、しばらく我慢できましたということで。

○山内委員 それは積立金だから、自己資本で充当ではないですか。

○草桶審議官 そういう話とか、最後、あるいは、いや、これは利払いとか配当ですと、いろいろな説明で、どれも正しいのだろうと思うのですけれども、議論を一回整理しないといけないのではないかと。どの側面を協調するかによって、次の問題ですけれども、実績がこうなのに、今まで30%行ったことないでしょう、何で30なのですかと、その疑問に対してもお答えができていないわけです。なので、これは多分に、アカデミックというか、専門家の中である議論をもうちょっと整理してわかりやすくしてお示ししたらいいのではないかと。我々自身もどう考えていいかわからないところもあるので、この際ということです。

○山内委員 ただ、ここで資本コストという言い方をすると、全部含めて資本コストというのが基本的な理解なので、利払いの部分とか、そういうふうに明確にされたほうがいいかと思います。
 それと、今の自己資本の話は、内部留保になると自己資本に積み立てられないので、それは連動している話だということですね。
 それから、ウエートの話は、おっしゃるとおり、今10%前後しかないですね。それは、まさに年変とか積み立てを取り崩してそうですね。では、何が適切なのかと言われると答えはないと思うのですけれども、これもある意味ではリスクと事業の代用について皆さんで合意するところしかないと思うのですけれども、それはかなり難しい議論だとは思います。
 例えば、今、日本航空というのはつぶれて利益を出していますけれども、自己資本比率が46%、もうすぐ50%ぐらいです。なぜかというと、あれはかなり事業変動があるので、それぐらいないと生きていけませんというのが彼らの判断です。電力会社というのは、本当はそんなつもりはなかったのだけれども、ここのところ地震があったり、原子力があったり、本当に物すごい変動があるのでもっと必要ですよと考えるかもしれないですね。その辺の皆さんの議論かと思います。

○古城座長 井手委員、どうぞ。

○井手座長代理 今の点に関して。この事業報酬のところでかなり書いているのですけれども、事業報酬というのは、資金調達のコストです。ただ、実際には事業報酬を算定したときよりも上回る事業報酬が出る場合があります。そのときに、その上回った分を、例えば東京電力だと、それを賠償に回すという議論もありました。上回った分を内部留保に回す、あるいは従業員の給料に回すということも考えられます。予定したものよりも上回った事業報酬の場合の処分は、本来、経営者に委ねられている話で、これをどうするかというところまで踏み込むのかどうかという話です。それは経営者の判断だという話になる。
 それから、もう一つは、資本構成の話も、かつては4:6という時代もあったわけで、それがいろいろな経営環境の変化で変更するということはあるわけで、それは何が正しいかというのはないにしても、こういう水準が目標とすべき資本構成の数値だというのを示すということは、それなりに意味があると思います。

○山内委員 もうちょっと今のを具体的に言うと、企業は必ず手元に資金がないとやっていけないので、その資金を確保するためにどのくらいの自己資本報酬で、その中で変動を吸収しなければいけないというのは、あらかた計算できるかわからないけれども、そういうことから割り出すことはできるかもしれないですね。例えば、東京電力は4兆円から5兆円ぐらいの売上高ですけれども、多分手元にキャッシュが5,000億円ぐらいないと回っていかないと思うのです。だから、それをちゃんと確保するのにどうしたらいいかということなのですね。

○古城座長 ちょっとこの論点は、やり始めると長くなりますのでここまでにいたしまして。

○草桶審議官 考え方の整理とかそういうことかもしれませんけれどもね。

○古城座長 別の機会にちょっと議論をやってみたいと思います。
 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 時間がないので1点だけ確認なのですけれども、1ページの公聴会の開催についてなのですけれども、最初のほうの文章では、「『関係者』と消費者の位置づけ」という「消費者」という言葉を使っているのですが、次に「利用者に公聴会開催」とか、2ページに行くと、やはり「可能な限り、利用者の意見を聴取する場を」というふうに書いてあって、ちょっとここは混乱する、消費者というのは、利用者以外の全ての消費者というふうに見えてしまうところがあるので、これは、やはりきちんと分けて書いたほうがいいのではないかと思います。この1点だけです。

○古城座長 用語ですね。それは気をつけて整理したいと思います。
 どうぞ。

○山口委員長代理 2ページの真ん中あたりですが、「値上げ認可申請に対する消費者庁の検証ポイントを策定する場合には、その検証ポイントを公表し」云々とあるのですが、私は、できるだけ消費者庁の検証ポイントは策定するように努めたほうがいいと思うのです。策定したり、策定しなかったりするのではなく、できるだけ策定をして、早目に検証ポイントを公表して、先ほどの古賀さんや細川さんの意見ではありませんが、その検証ポイントに基づいて消費者委員会、消費者庁、あるいは専門調査会のほうが検討するというようなスタンスは、今後も維持するというふうにしたほうがよくないかなと思うのですが、検討をお願いします。

○古城座長 小幡委員、どうぞ。

○小幡委員 私も公共料金問題担当委員として資料2にかかわったのですけれども、この資料1の取りまとめの骨子のところの関係で幾つか公聴会の開催を求められる利害関係人に利用者が入っていないとか、あるいは、審議会での扱いとして、実際には審議にかけない軽微事案が多いとか、いろいろ問題がここにございますので、それぞれに具体例としては入り得るのでよろしくお願いしたいと思います。

≪3.閉会≫

○古城座長 それでは、まだ御議論はあるようですけれども、時間が押しておりますので、この専門調査会はこれで終了させていただきたいと思います。
 ただいま御議論のあった点を踏まえて、引き続き消費者庁のほうで御検討くださるようにお願いいたします。
 それでは、議論は以上といたします。
 本日は、熱心な御議論をどうもありがとうございました。次回の日程については、追って御案内させていただきます。
 それでは、「公共料金等専門調査会」は、これにて閉会とさせていただきます。
 本来休憩をとりたいのですけれども、休憩時間はございませんので、引き続き14時から「家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会」を開催いたします。

(以上)