第3回 公共料金等専門調査会 議事録
日時
2013年3月4日(月)12:58~15:05
場所
消費者委員会大会議室1
出席者
【委員】古城座長、小塩委員、蟹瀬委員、古賀委員、白山委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
山口委員長代理、細川委員
【説明者】
国土交通省鉄道局旅客輸送業務監理室 滝沢室長、安西課長補佐
国土交通省運輸審議会審理室 杉山調査官
国土交通省自動車局旅客課 瓦林課長、高橋課長補佐、金山専門官、栃原係長
総務省電気通信事業部料金サービス課 二宮課長、藤井課長補佐
財務省理財局総務課たばこ塩事業室 矢花室長
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、小田大臣官房審議官
消費者庁 草桶審議官、長谷川消費生活情報課長
議事次第
1.開会2.公共料金等所管省庁へのヒアリングについて
(1)国土交通省(鉄道)
(2)国土交通省(バス)
(3)国土交通省(タクシー)
(4)総務省(固定電話等)
(5)財務省(たばこ)
3.閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
議事次第(PDF形式:7KB)【資料1】 国土交通省資料(鉄道)(PDF形式:211KB)
【資料2】 国土交通省資料(バス)(PDF形式:529KB)
【資料3】 国土交通省資料(タクシー)(PDF形式:350KB)
【資料4】 総務省資料(固定電話等)(PDF形式:168KB)
【資料5】 財務省資料(たばこ)(PDF形式:19KB)
【参考資料】 第92回消費者委員会(2012年6月12日(火))議事録(抜粋)(PDF形式:12KB)
≪1.開会≫
○原事務局長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから「消費者委員会公共料金等専門調査会」の第3回会合を開催いたします。
本日は、所用により、専門委員の井手委員、橋本委員、松村委員、山内委員が御欠席ということで御連絡をいただいております。
議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきます。議事次第の下に配付資料一覧を掲載しております。
資料1、2、3は国土交通省から御提出いただいた資料で、鉄道、バス、タクシーそれぞれについての資料になります。
資料4といたしまして、総務省から御提出いただいた資料です。
資料5といたしまして、財務省から御提出いただいた資料になります。
参考資料といたしまして、第92回の消費者委員会の議事録の抜粋をおつけしております。
不足がございましたら、審議の途中でお申し出いただければと思います。
なお、本日の会議については公開で行います。議事録についても、後日公開することといたします。
それでは、座長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。
≪2.公共料金等所管省庁へのヒアリングについて≫
(1)国土交通省(鉄道)
○古城座長 それでは、議事に入らせていただきます。
前回に引き続き、公共料金等にかかわる情報公開の実施状況のフォローアップ、公聴会や審議会における消費者参画の実質的な確保、料金の妥当性を検証する具体的な方法の進め方についてヒアリングを行いたいと思います。
最初に、本日は、国土交通省、総務省、財務省においでいただき、国土交通省から鉄道、バス及びタクシー、総務省から固定電話等、財務省からたばこの各分野における取り組みについて御説明をいただき、その後質疑応答をしたいと思います。
国土交通省におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございます。
それでは、御説明のほうに入りたいと思います。
鉄道運賃についてです。国土交通省から御説明をお願いいたします。
○国土交通省滝沢室長 国土交通省鉄道局旅客輸送業務監理室長の滝沢でございます。本日は、よろしくお願いいたします。
事前に消費者庁より書面調査票というのをいただいておりますので、その書面調査票の順番に沿って御説明をさせていただきたいと思います。
まず、資料1の調査1「情報公開ガイドラインについて」でございます。
情報公開ガイドラインに対応した情報公開の現状はどうなっているのか、また、大きく変更した点はあるのか、そういった変更の要因は何なのかという御質問でございまして、私どもは鉄道の運賃につきましては、平成8年度に情報ガイドラインというのを策定してございます。その後、13年度に一部変更、これは利用者のサービス選択の確保に資する情報提供ということで若干追加をさせていただいているところでございます。
また、現在どうなっているのかということでございますが、昨年の2月に消費者委員会より情報提供につきまして建議をいただいてございますので、従来は運賃改定時に重点を置いて情報提供をさせていただいているところでございますが、昨年の8月に建議を受けまして、運賃改定の申請時、認可時、認可の実施後に区分を細分化いたしましてガイドラインの見直しをしてございます。ガイドラインにつきましては、各鉄道事業者に周知・指導をしたところでございます。
次に、(2)情報公開ガイドラインの中で、料金、加入金・負担金等の根拠はどうなっているのか、あるいは、他事業者との料金格差の要因の説明や設備投資計画の妥当性といったものを説明する情報、セグメント別収支、あるいは、料金、サービス等に関する比較対照できる情報は含まれているのかという御質問でございます。
まず、運賃の根拠につきましては、先ほど申しましたように、ガイドラインの中には申請時、認可時、実施後におきまして、申請の内容でありますとか、鉄軌道部門収支の実績及び根拠となる推定、運賃・料金の内訳、需要見通し等につきましては公表することとしてございます。
また、主要な他事業者との料金格差の要因の説明につきましても、収入原価の大きなウエートを占めております人件費・経費といったものはヤードスティック方式で算定にすることになってございまして、そういったヤードスティックのもとになる基準単価といったものにつきましては、現在、回帰式による方法をとってございます。その回帰式に使いました基礎データや基準単価、施設量、基準コスト合計といったデータにつきましては、毎年度公表しているところでございます。
次に、設備投資計画の妥当性を説明するための情報等につきましても、毎年度、各事業者より設備投資実績、計画、主要事業プロジェクト等の内容、利用者のサービスの向上策について、定期的あるいは随時、ガイドラインの中で公表するようになってございまして、その都度、あるいは毎年度公表しているところでございます。
また、料金、サービスの質等に関する比較対照できる情報につきましても、運賃・料金の多様化の内容、例えば運賃等の割引メニューや運賃の種類一覧といったもの、あるいはサービスに関します基本的な情報(ダイヤ、遅延情報といった内容)、あるいはサービスの水準(駅のバリアフリー施設の整備状況等)につきましてもガイドラインに基づき公表することになってございまして、各社公表しているところでございます。
次に、調査2「料金の水準・内容の説明」でございます。
原価に認める費用項目やその水準に関する基準の策定・公表をしているのかということでございます。これにつきましては、鉄道の運賃改定に際しまして、JR旅客会社、大手民鉄及び地下鉄事業者を対象とした収入原価算定要領、あるいは中小民鉄につきましては、中小民鉄事業者の収入原価算定要領を策定してございます。
次のページ、調査3「料金妥当性の事後的・継続的検証」でございます。
この中で(1)、算出の根拠は明確に公表されているのか、どのような情報を公表し、料金水準の根拠を説明しているのかということでございますので、これにつきましても情報提供ガイドラインにおいて、運賃改定時には鉄軌道部門の収支の実績でありますとか、推定、運賃料金収入内訳、需要見通し等の料金水準の根拠となるデータを公表しているところでございます。
(2)料金の妥当性について、定量的なデータを用いた事後的な検証はどうなっているのか、 また(3)その結果について、対外的にどのように公表しているのか、反映しているのかという御質問でございます。
事後的な検証に必要なデータにつきましては、鉄道事業者から報告が毎年度上がってございますので、そういった事業の報告書、あるいは鉄道事業実績報告書等により把握しているところでありまして、また、必要に応じてヒアリング等を行っているところでございます。
また、調査票の1で申し上げましたとおり、情報ガイドラインの中で情報提供の時期を認可時のみならず、申請時、認可時、実施後に細分化し公表することとしているところでございます。
次に、調査4「料金変更命令等」でございます。現行の料金水準が適当でないと判断される場合は、料金改定を命令できるような定量的な基準等の要件が策定されているかということでございますが、現在、鉄道事業法におきまして、事業改善命令の条文の規定が設けられておりますが、定量的な基準等の要件につきましては、現在、策定はしていないところでございます。
次に、調査5でございます。
○国土交通省杉山調査官 (1)が公聴会に関してでございます。国土交通大臣が行う旅客運賃の上限認可につきましては、運輸審議会に諮らなければならないこととされております。
運輸審議会におきましては、大都市部の大手事業者の事案など事案の及ぼす社会的影響が大きいと認められる事案、あるいは強い反対意見が想定されるような事案などにつきまして、審議会としての職権により公聴会を開催しております。その際には公募を行いまして、一般利用者等を公述人として選定した上で意見聴取を行っております。その際には、公述の申し出が多数になると予想される場合には、2日間にわたり公聴会を開催しております。公示の段階では2日間ということで募集して、結果的に人数がそれほどに達しなくて1日で終わるというケースもございます。
また、公述人の選定につきましては、なるべく各界各層に公述の機会が公平となるよう、また、同種の意見が重複しないように選定しております。当然、予定しております人数内におさまりましたら全員に公述をしていただきますが、仮に人数をオーバーしたような場合には、このような観点から選定させていただいております。
ただ、選定されなかった方が提出した公述書につきましても、どういうことを公述するかということを述べた紙でございますが、これにつきましては審理の資料に供されるということで、審理過程には反映させていただいております。
また、首都圏以外の事業者の事案につきましては、当該事業者が所在する地方において公聴会を開催して、運輸審議会の委員が赴いて開催しているところでございます。
公聴会開催の官報公示、また、ホームページで告知を行いますが、そこから公述の申し出までの期限はおおむね2週間程度でございます。
また、公聴会において公述しようとする者は、公聴会の開催前に当該事案の申請書その他の関係書類を閲覧することができるとされております。
質疑応答につきましては、公聴会は、事案の審議に際しまして運輸審議会の委員が広く一般からの意見を聴取するという目的で開催するものでございます。したがいまして、一般公述人に対しまして質疑応答の機会というものは設定されておりませんが、公聴会の最後に申請者は意見陳述を行うこととされています。
また、必要に応じまして、公述人の公述が終わった後、委員から申請者に質問を行うことがあるほか、公聴会を開催した事案に係る答申の際には、公聴会で提起された意見をどのように取り扱ったかについてホームページで公表することとしております。
なお、消費者団体の代表者等に個別に公述を依頼するということは行っておりませんが、公述の申し出はどなたでも行うことが可能でございます。
○国土交通省滝沢室長 続きまして、地方運輸局権限の運賃改定に際してでございますが、利害関係人、参考人の出頭を求めて意見を聴取することができることになっており、地方運輸局におきまして、利害関係人からの意見聴取を実施するため、鉄道事業法施行規則に基づく事案公示を行うこととなっております。
また、意見聴取の申請をしようとするときにおきましては、上記公示の日から10日以内に申請することとなってございます。
なお、利害関係人の定義でございますが、施行規則におきまして、利用者その他の者のうち、地方運輸局長が当該事案に関しまして特に重大な利害関係を有すると認められる者とされているところでございまして、意見聴取の申請は、消費者団体の代表者等も行うことが可能であるとなってございます。
○国土交通省杉山調査官 次のページ、(2)でございます。運輸審議会におきましては、運賃・料金に係る事案の審理は、全て運輸審議会そのもので行っておりまして、その下部の研究会、委員会、ワーキンググループ等での審議は行われておりません。
運輸審議会の審議におきましては、運輸事業者の経理の実態、収支見通し等の関係者の秘密に属する事項を取り扱うことから、公聴会を除いては非公開としておりますが、現在、議事要旨及び配付資料につきましてホームページで公表することとしております。
また、運輸審議会におきましては、国民目線に立った利用者保護と安全で安定的な事業運営の確保の必要性を十分に踏まえた上で、適切かつ合理的な審議・決定の確保に努めているところでございます。その委員の人選につきましては、消費者基本計画に当該審議会の性格等に応じて生活者・消費者を代表する委員の選任に努めるとの記載がございますので、この記載内容も勘案しつつ、公平・中立な審議を行う必要から、均衡がとれた委員構成となるように留意した上で、国民目線での審議が可能な幅広い経験と高い識見を有する方を選任しているところでございます。
○国土交通省滝沢室長 続きまして、(3)の料金認可手続等に当たりまして、事業者から提供されるべき情報について、特に事業者の部門別・サービス種類別のセグメント情報でありますとか、子会社・関連会社等の情報が含まれているかどうかということでございますが、セグメント情報でありますとか、子会社・関連会社との取引等につきましては、財務関係の報告書類、決算発表資料等によって把握しているところでございます。また、情報提供ガイドラインにおきまして、鉄軌道事業者の財務等に関する情報提供につきましては、定期的あるいは随時公表することにしてございます。
次のページ、調査6「経営効率化の促進」についてということでございます。料金認可、届け出手続等におきまして、どのような方法で経営効率化の度合いを判断しているのか、あるいは、どのように反映しているのかという御質問でございます。
運賃の認可に当たりましては、総括原価方式を採用してございまして、その中でも大きなウエートを占めます人件費・経費につきましては、事業者間で比較可能な営業費でございますので、公表データを用いましたヤードスティック方式を採用してございます。そういったヤードスティック方式の算定に当たりましては、回帰式、基準単価、基準コスト等のデータにつきましても毎年度公表しているところでございます。
また、これによる最近の各社の傾向でございますけれども、平均して下がってきている、または、ほぼ横ばいの状態ですので経営効率化が表れているのではないかと考えてございます。
なお、運賃改定の際にはガイドラインの中でこれまでの経営の合理化の状況でありますとか、今後の取り組みにつきましても、併せて公表することになっている次第でございます。
次に、調査7「高齢者等に対する情報提供」でございます。どのような工夫をされているのかという御質問だと思いますが、これにつきましても、情報提供ガイドラインにおきましては、情報へのアクセスについての情報提供という形で運賃あるいは料金、列車時刻等に対する問い合わせ先を公表することとしており、各社におきましては、インターネットや利用者窓口といったものを設置してございまして、あるいは広報活動等の情報発信を行っているところでございます。
また、相談窓口の対応といたしましても、筆談器の設置や、障害者・高齢者の方々へのきめ細かなサービス提供ということで、駅係員や乗務員のサービス介助士といった資格取得等にも各社努めているところでございます。
次に、調査8「今後の課題」でございます。ガイドライン等の見直すべき箇所はあるのか、今後の課題ややるべきこととしてどのような点が考えられるのかという御質問でございます。
情報提供ガイドラインにつきましては、冒頭の調査1の記載のとおりでございまして、昨年の8月に見直しを実施したところでございます。また、各社ガイドラインに沿っていろいろな媒体を利用して情報提供に努めているところでございますので、現時点において特段の問題はないのではないかと考えてございます。
また、現在も公共料金全体のフォローアップ等の動きがございますので、今後の具体的な取り組み、検討状況を踏まえつつ、引き続き消費者庁等の関係者と連携をして適切に対応していくこととしております。
以上でございます。
○古城座長 どうもありがとうございました。
ただいまの御説明について、御意見、御質問をお伺いしたいと思います。質問のある方は、いつものように目の前の名札を立ててください。いかがでしょうか。
○古賀委員 御説明ありがとうございました。
2点お伺いしたいのですが、1つは、料金認可手続における消費者の参画のことについてお尋ねいたします。
こちらにいただいている資料の中で、7ページの四角の後半部分ですけれども、「運輸審議会において、国民目線に立った利用者保護と安全で安定的な事業云々のために、消費者基本計画の審議会の性格に応じて生活者・消費者を代表する委員の選任に努めるとの記載も勘案しつつ」と書いてあるのですけれども、現在、運輸審議会の構成メンバー、委員長、委員長代理も含めまして6名の方が委員としていらっしゃると思うのですけれども、消費者の目線を入れることを勘案するのではなくて、むしろ消費者参画を積極的に講じてほしいというのが、多分、消費者委員会の昨年の建議内容だったと思うのです。この運輸審議会の委員の構成についてもう少し丁寧に御説明いただきたいということ。
もう一つは、料金の申請と認可、事後の検証についてですけれども、3ページで、料金の妥当性について事後的な検証をしていらっしゃるということなのですけれども、実は、私のところにも委員個人あてに1件、成田空港線のことについての公聴人の陳述をした方からのご意見が来ているのですけれども、ここの料金の事後的な検証というのはどのようにされているのか簡明にお答えいただければと思います。
以上です。
○古城座長 よろしくお願いします。
○国土交通省杉山調査官 まず、最初の御質問にございました運輸審議会の関係につきまして、私、運輸審議会の事務局をしております運輸審議会審理室調査官の杉山と申します。
まず、お尋ねがございました運輸審議会の委員の人選につきまして、昨年、消費者委員会から公共料金問題についての建議の中で御指摘をいただいているところでございます。その御指摘の内容は、消費者の権利・利益を十分代弁し得るという観点から、運輸審議会の委員を選任することについて検討するようにということで建議をいただいております。
それに対しましては、昨年の8月に御回答しておるところでございます。基本的には、この調査票に記載しているのと同趣旨でございます。運輸審議会の委員は、いわゆる三者構成、公労使といった構成の考え方ではありません。基本的には、全員が公益委員であるという認識のもとに委員の選任をさせていただいております。その際に、当然、それまでの経歴や御専門などいろいろなバランスも勘案しながら選任させていただいておりますが、運輸審議会での審議に際しては、出身母体を代表する、あるいは出身母体からの目線で御審議をいただくということではなく、広く一般国民の代表としての観点から御審議をいただいているということで、既にそのような観点からの委員選任を行っているということを御説明させていただいております。
○古城座長 今の質問は、もうちょっと先の話を聞きたいということなのですけれども、消費者を代表する人は、出身母体の観点からいないということですか。
○国土交通省杉山調査官 消費者を代表するという言葉の定義が、現在、明確な定義はございませんので、消費者庁で、消費者基本計画のフォローアップ時にここについては最終的には各省の判断で、いろいろな方があり得るとされています。ただ、そういう意味では、消費者団体の代表、消費者団体に所属の方はいらっしゃらないということです。
○古賀委員 今、消費者団体はいないということですが、消費者団体がいるかいないかということも一つの大変重要な要素ではあるのですが、現在のメンバーの方を拝見しますと、具体的にお答えいただかなかったので申し上げますと、JRの出身母体の方が委員長をしていらっしゃいまして、最近再任の議決が通られたとお聞きしています。それから、委員長代理の方も東京ガスという公共料金を申請する側の方が代理職をしていると聞いております。あとの非常勤の方には一般の企業の方や弁護士もいらっしゃいます、それから読売新聞の方もいらっしゃいますし、日本通運の方もいらっしゃいますけれども、いわゆる消費者の意見を代弁、今おっしゃったように、広く一般市民を代表するような方はいらっしゃらないのではないかという意味でお聞きしたのですけれども、その確認でよろしいでしょうか。
○国土交通省杉山調査官 広く一般社会を、そういう意味では、マスコミ出身の方、弁護士の方も入っていただいておりますので、そういった方はより一般市民の代表ということになじみやすいのかもしれませんが、別にその方だけが国民を代表している方であるというふうにはとらえておりません。委員全員がそういう方であるということでお願いしております。
○古賀委員 そうしますと、つい最近、消費者団体が連名で委員長の人事に関して、いわゆる公共料金の申請を受ける側のJRの方が委員長であることについて再任は望ましくないという意見書を提出したことは御存じだと思うのですけれども、その辺についてはどのようなお考えをなされていらっしゃるのでしょうか。
○国土交通省杉山調査官 運輸審議会の議事規則上、利害関係を有する案件については議決に参加できないということになっておりまして、仮にJR東日本からの申請事案が審議される際には、当該JR出身の委員は議決には参加しないということになっております。そういう意味では、審議の中立性、公正性は担保されていると考えております。
○古賀委員 それでは、ほかの質問である2点目についてお願いします。
○古城座長 2点目。
○国土交通省滝沢室長 多分、事後的な検証をどうしているのかという御質問だと思いますが、これは先ほども最初に御説明をしたとおりでございまして、毎年度各社から事業計画とか決算の報告が上がってまいりますから、そういった中で内容についてはお聞きしているということと、先ほどのお話の中では、公聴会等の関係でそういったお話があったということでございますが、私どもは、運輸審議会にかけてございますので、運輸審議会からもそういった事後のフォローアップというものがあるのだろうと認識をしています。
また、先ほど、昨年の建議を受けたことを踏まえ、我々としても、認可時だけではなくて、実施後におきましても、事業者においても今後は一定期間、事後の実績がどうなっているのかということを情報提供するように改めてございますので、今後はなるべくそういったことも踏まえて情報提供していくということを考えてございます。
○古城座長 よろしいでしょうか。
○古賀委員 その事後評価ももちろん重要で、しっかりやってくださるということなのですが、事後のフォローアップが十分とは思えない点が1点。きょうの資料としていただいている6ページのところを拝見して考えますに、運輸審議会というのはと、私が大上段に言うのもどうかとは思うのですけれども、本当に国民の生活に密着接した公共料金を決定するということで、大臣の重要な諮問機関であるわけですから、その公共料金にかかわる利害関係性を多少なりとも疑われるような人事というのは極力避けるべきだと思います。今回いただいた資料の中にあるように、一般公述人も最終陳述しか許されていないですとか、消費者団体も個別に依頼することは行っていないとか、そういった意見聴取の申請は消費者団体も行うことが可能であるというような非常に受け身的で弱い参画の仕方です。実際に公聴会の陳述対象者の中に民主制を補完するような消費者の意見が十分代表されるような方を入れることと、利害相反が疑われるような方は、特に国会人事でもあるわけですから、厳に避けていただくように要望いたしたいと思います。
○古城座長 白山委員、お願いします。
○白山委員 書面調査票記入シートの調査5の(3)でございますが、料金の認可手続等に当たって、セグメント情報や子会社・関連会社との取引ということで、御回答のほうが、各種の情報提供については、定期的・随時公表することとしているということなのですが、ここで確認したかったのは、本業と非本業との間の不適切な付け替えみたいなものがないのかどうか、その辺りのチェックはどういうふうにされていらっしゃるのか、あるいは、関連会社との適切な金額でない取引のようなものがあるのかないのかといった、そういうチェックをどのような形で規制当局側として見ておられるのか、そこを確認したかったというところが趣旨でございます。まず、それをどういう形でお考えになられているかということが1点目でございます。
2点目は、多少細かな話になりますが、情報提供のガイドラインと、こちらにいただきました収入原価の算定要領等を見させていただきましたけれども、そのときに事業報酬の算定のところのレートベースの考え方等で、各種の通常の固定資産やさまざまなレートベースを設定されていらっしゃるわけですけれども、レートベースに含まれている資産が適切なのかどうかという、いわゆる非本業部門に使用されているような資産がこのレートベースに入っていないかどうかといったチェック、あるいはその正確性の担保というのはどういうふうにされていらっしゃるのか。特に、例えば不稼働の資産のようなものをどういう形で把握されていらっしゃるのかなどです。、この辺りについては、JRや民鉄ならば第三者としての監査法人や公認会計士等の監査が入っているため、またよいのですが、地下鉄等の地方公営事業のほうは、そういった第三者的な担保が何もなくて、会計の基準等も非常に粗い状況になっております。その辺りについては、国交省の方としてどのようにお考えになられてやっていらっしゃるのか、あるいは、料金認可の算定の際に、民鉄、JRなどのような先端的な企業会計を適用しているものと違うような、特に地方公営企業的なものというのは大分違うと思うのですけれども、その辺りはどんなふうにお考えになられていらっしゃるのかというところでございます。
最後は1つ要望なのですが、先ほどの質問の関連ですが、事後の情報のところで、事業報告書とか実績報告書等により把握しているということですが、ここで確認したかったのは、料金改定のときの予測といいますか、計画と実績がどういうふうに乖離しているのか、それが今後の料金改定にどのような影響を及ぼすのかというところの確認を具体的にどういうふうにやられていらっしゃるのかというところを確認したかったわけです。ディスクローズしておしまいですということではなくて、どういう形で内容を分析してチェックされていらっしゃるのか確認したかったというところでございますので、この辺りについては今すぐ御回答ということではなくて、今後、財務諸表や事業報告書を見ただけの情報では、料金算定にすぐつながるような情報というわけではないので、そこら辺りをどういう形で事後のチェックとして考えていくのかというのは、今後御検討いただければということで、これは要望でございます。
○国土交通省滝沢室長 1点目の、これは認可の際にということだと思いますが、認可に際しては、当然、鉄道の場合は運賃に係る事業は鉄道部門だけを見ているということでございます。また、申請に当たっては、鉄道部門とそれ以外に分けた形での説明を受けております。その中の説明を聞きながら、内容が適正かどうか確認しております。収入原価のざくっとしたイメージを申し上げれば、先ほど申し上げましたように、人件費・経費といったものは比較可能でございますから、現在はヤードスティック方式により毎年度、運賃認可があるなしにかかわらず公表させていただいております。
それ以外の原価等は何があるか申し上げれば、動力費でありますとか、これは鉄道に限った動力費でありますから比較的わかりやすいのではないかと思います。それ以外に設備投資計画、設備投資というのがございますので、大きなものでは設備投資計画につきましても、運賃認可に際しては、今後どういう設備投資をやるのか、やっているのか、そういった説明を受けると同時に、情報ガイドラインによりまして、事業者も設備投資計画につきましては内容を公表することになってございますので、それも比較可能ではないかと思います。やっていない場合には、昨今、運賃改定が頻繁にないのでちょっとなんでございますが、運賃改定で設備投資をお約束した分につきまして、実施されてないといった場合には、当然、次回の運賃改定の際には査定をさせていただく仕組みになっているということでございます。
2点目のヤードスティックのレートベース方式でございます。この中におきましても、固定資産につきましては、当然、鉄道に係る固定資産のみ計算をしているところでございますので、ちょっと不十分な回答かもしれませんが、認可時には当然、事業者から内訳を提出していただいて、中身を精査、説明を受けた上で認可しているということでございます。
それから、鉄道の会計の場合には、先ほど地下鉄が純粋な民間と違ってちょっとほわっとしたところがあるというお話だったと思いますが、鉄道の場合には鉄道事業会計規則というのがございます。この中で細かく費用科目といったものが決まってございますので、そういったものに従って、我々は収入原価のもとになる原価といったものをチェックさせていただいている次第でございますので、そういった御懸念されるようなことはないのではないかと考えてございます。
○白山委員 鉄道事業会計規則の存在は存じておりますけれども、実際にそれに基づいて会計をしているということが、JRとか民鉄であれば第三者の保証が入っているということなのですけれども、地下鉄の場合にはその保証がないので、正確性というのをどうやって担保するのかというところが非常に気になるところでございます。その辺りは認可の際に、より細か目に見ていただければというのが要望でございます。
○古城座長 次、矢野委員。
○矢野委員 御説明ありがとうございました。主に3点ほど質問させていただきます。
1点目は、ガイドライン等に関してですが、消費者委員会の建議等も取り入れながら改善とかはされているわけですが、各事業者が実際にガイドラインに沿ってきちんと公表したりしているのかどうかの、そういったチェックはどのようにされているのか、また、なされていない場合にどういう指導をされているのか。3ページのところでは、事後の検証に必要なデータ等が新しくガイドラインを改正したことで各地方運輸局等の所管部局に周知・指導を要請したと書いてありますけれども、具体的にそういった現場のところでどういうふうに指導なりチェックが行われているのか、また、それを国交省として受けとめながら、場合によっては運輸審議会等でそのあり方を再度ただすとかそういったことをされるのかどうかについてお聞きしたいと思います。
2点目ですが、6ページに公聴会や意見聴取のことが書いてありますが、期間的に非常に短いなと感じております。公聴会の公述人の申し出期限は2週間ということですが、今、電気料金関係に関しては非常に早く、申請化された時点から既に公聴会等、国民の声もありますけれども、そういったものをオープンにして、非常に長い期間をとって、しっかり意見が出せる状況づくりをしているということがありますが、6ページの下のほうの地方運輸局権限の運賃改定の際には、10日以内に意見聴取の申請をするということですが、こういったこと自体が、意見聴取がされるとか公聴会が行われること自体をどの程度一般の人が知り得るのか。ホームページでアップされているとかというのはあるかもしれませんが、1つには、もっと関係者に情報をきちんと伝える。それは、ある意味では、消費者団体には特段の手当はされていないということですが、むしろ広く消費者の意見を常日ごろから反映する活動をしている消費者団体に、こういうのがあるからぜひ行ってくださいとか、そういったことを働きかけるとかということが今後必要なのではないかと思いますが、その辺も期間等を改めて、さらに多くの人にそういったことが活用できる状況づくりをどうされるのかをお聞きしたいと思います。それが2点目です。
3点目は、審議会に関してです。運輸審議会の構成については、先ほど古賀委員のほうからも意見がありましたが、やはり消費者の権利、それから、消費者目線というところでは、どなたも消費者ですから、当然、消費者目線や国民目線はお持ちだと思いますが、しかし、それぞれに専門性を持ちながら委員になられているという点では、消費者団体等は常日ごろから消費者の権利や消費者問題、広く消費者の声を集めていくというところでは、より一般の方々以上に消費者問題関連に精通している、そういった関係者を入れることも非常に重要ではないかと思っておりますので、引き続き御検討をお願いしたいということです。
それから、先ほどの成田空港線の審議に関しては、議事概要に、まさに上限運賃認可申請に関して運輸審議会の中で行われた審議の中で、能率的な経営のもとにおける適正な原価であるか否かの審議が行われた形跡がうかがえなかったというような御意見をいただいております。議事概要自体がどの程度の概要になっているのかということで、十分な審議概要を細かくは書いてないと思いますが、しかし、やはり利害関係者にとっては、まさに自分たちの関心のあるところがどういうふうにしっかり審議会の中で審議をされたかということは非常に大きな関心事でありますし、審議会はそういう責任を負っていると思いますので、そのあたりの関係性のものがもっとわかりやすく公表されるように要望したいところです。
以上、3点です。
○古城座長 本来はこの時間で鉄道についてはおしまいの予定なので、少し時間がございませんので、質問はこれで打ち切らせていただくのと同時に、お答えと今後の御質問はなるべく短目にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
どうぞ、御回答をお願いします。
○国土交通省滝沢室長 1点目のガイドラインを見直した上で、各事業者が本当にやっているのかどうかというチェックはどうされているのかということでございますので、これは多分、各社のインターネットとかいろいろご覧になっていただければ分かると思いますが、むしろ詳し過ぎるぐらい各社は情報提供をしているというふうに認識しておりますし、私どもも定期的に業務監査といったような監査をやってございまして、そういったときにそういったことも一つの項目としてお聞きし、確認をしております。
また、そのほか、各運輸局におきましても、そういった情報提供につきまして実施状況等の報告を各社から受けていると聞いてございます。
○国土交通省杉山調査官 2点目、3点目につきましては、まとめて簡単にお答えさせていただきます。
公共料金に関しましては、今まさにこの専門調査会を初めとして、消費者庁を中心にいろいろ全体的な御検討をいただいていると認識しておりますので、そういった政府全体としてのいろいろな状況も踏まえつつ、審議の透明性の確保、あるいは利用者、一般国民、消費者の参画という点については、引き続き全体の状況も踏まえながら検討させていただきたいと考えております。
○古城座長 次、山口委員、お願いします。
○山口委員長代理 簡単にお答えいただければと思います。正直言いまして、運輸審議会は、専任の方が2人いて、あとはほかの非常勤の方が4人ですね。これで、例えば飛行場の設置の許可とか鉄道の安全性の問題から、あと、後ほど出てくるバスやタクシーの料金問題を含め、何から何まで担当するわけですね。私、ちょっとこれは無理だろうなと思うわけです。
なぜワーキングチームとかその他、例えば飛行機の問題だったら別の専門委員会をつくるとか、分野別にするとかいう工夫をなさらないのか。もうちょっと実質的な審議会の審議を、形式的なものにしないためには工夫が必要だと思うのですが、その工夫の余地はないのかが1つ。
それから、鉄道料金の決定にあたって、一般で流布されている非常に一般的な質問なのですが、例えば八王子に行くときに、JRと京王線で値段が違うわけです。そこについての比較とか、あるいは羽田に行くときの選択肢が2つぐらいありますね。片方だけが非常に高くなって、片方が安くなると、当然偏りが出てくるので、例えば両立その他のときに、そこら辺、多少のさじかげんは運用上なさるのかなさらないのかが1つ。
それから、例えば今回、電気料金の値上げがいろいろ議論されているわけですが、その電気料金が値上げした場合に、では、運賃を値上げするかどうかというところには、当然それぞれの鉄道会社のほうで検討されるのでしょうけれども、そこら辺について、現段階で国交省のほうで何かお考えのところがあるのかどうか。
以上3点です。
○古城座長 答えられるところについては御回答をお願いします。
○国土交通省杉山調査官 1点目につきましては、確かにいろいろ審議事項がございますが、運賃認可の関係につきましては、運輸審議会としては非常に中心的な議題であると認識をしております。
ただ、広くなっているがゆえに形式的な審議になっている、実質的な審議がなされていないというふうには考えておりません。きちんと実質的な審議を運輸審議会では委員の先生方にしていただいております。そこら辺の審議内容の出し方、透明性の向上については、いろいろ建議での御指摘も踏まえて改善を図っているところでございますので、引き続き進めてまいりたいと考えておりますが、現在、実質的な審議ができていないので、何か下につくって実質的な審議をしていくという考え方は今のところございません。
○国土交通省滝沢室長 運賃の決め方において、当然、競合路線等の各社、運賃が違いますので、そういったさじかげんがあるのかないのか、昨今の電気料金の値上げについて省としての何かあるのかという御質問だと思います。
1点目でございますが、当然、運賃でございますので、鉄道事業法に基づいて、これは収入原価でありますので、能率的な経営のことにおける適正な原価に適正な利潤を超えない範囲内ということをチェックさせていただいているわけでございます。そういった関係から、鉄道事業の事業規模でありますとか、事業環境の差によって、当然、コストの構造でありますとか輸送形態の違いがありますから、そういったものが運賃収入原価に反映され、なおかつ運賃に格差が生じているということでございますので、そういった面から、事業者判断の中で競争関係の間でどういう運賃を設定するかということだと思います。
2点目の電力料金の値上げについて何かあるのかどうなのかということだと思いますが、基本的にこれは事業者判断でございますので、省として何か、電力料金が上がったからどうのこうのということはございません。それぞれの判断で収入原価の中で整理をされているのだと思います。
○古城座長 ありがとうございます。
細川委員、どうぞ。
○細川委員 時間がなくて、座長も気をもんでいると思いますので、意見だけ、御回答は要りません。
今、消費者委員会をやっていてちょっと感じたのは、鉄道の運賃が高いという切実な申し出が結構あるのです。首都圏で言うと、京成千原線とか、あるいは成田空港線の一部である北総線、こういうところの住民の方は非常に運賃が高いということで生活に支障を来しているというような申し出がございます。
今、人生80年の時代で、労働者として働くのが40年、それ以外は非労働者として40年生きる中で、今までだったら運賃が高くても通勤定期であれば会社が払うということで痛みはなかったわけですけれども、今はそうではない、人間として生きる中で鉄道というのは不可欠ですから、その中で非常に高い、隣の駅に行くだけでも300円近くするなんていうところで困っているという話がかなりございます。
そうした中で、納得できる鉄道運賃というものが必要なのだと思いますけれども、消費者委員会としてもこれにも関心を持っていて、今まで国交省にもいろいろお話を聞きましたけれども、最後は鉄道事業者というのは民間だから、そこで裁量権の中でやっているのだと。だから、著しい不当、著しい差別というものがない限り、それは国交省は関与しないというスタンスが見えてきているのです。本当にそれでいいのかというところをもう少し生活者目線、消費者目線で考えていただきたいと思いますし、消費者委員会としてもこの問題に関心を持っておりますので、この専門委員会でやるか、本委員会で建議も出していますので引き続きやるか、今後のテーマでありますけれども、重大な関心を持っているということをお伝えしたいと思います。
以上です。
○古城座長 ありがとうございます。時間もありますので、これで。
委員の皆さんには、追加の御質問がございましたら、文書にて事務局までお知らせください。その際には、国交省においても御協力のほどをお願いいたします。
ただいま御議論のあった論点等につきましては、今後予定している専門調査会としての考え方の検討に反映したいと考えております。
国交省の方につきましては、時間をオーバーしましたが、御協力いただきましてありがとうございました。
(説明者交代)
(2)国土交通省(バス)
○古城座長 続いて、バス運賃についてです。お待たせして申しわけありませんでした。国土交通省から御説明をお願いいたします。
○国土交通省瓦林課長 自動車局で旅客課長をしています瓦林と申します。どうぞよろしくお願いします。
お手元にお配りしている資料を事前にフォーマットいただいておりますが、フォーマットですと字が多くなるものですから、フォーマットの調査事項を反映させた形で横長の資料をお配りしております。それに沿って御説明申し上げさせていただきます。
まず、1ページをお開きいただきまして、「乗合バス運賃に関する制度」、規制の枠組みがどうなっているかでございます。平成12年に成立した改正道路運送法のもとで上限運賃認可制となっております。主な審査基準は、ごらんのとおりマル1からマル4がございますけれども、適正な原価に適正な利潤を加えたものであること等々、基準がございます。
その上で、下にございますように、上限認可・実施運賃届出制と、上限を認可した上で実施運賃を届け出していただくという方法をとっております。個別事業者ごとに上限運賃を国土交通大臣、事案によりましては地方運輸局長でございますけれども、認可いたしまして、認可を受けた上限運賃の範囲内、これは上限の80%までということでございますけれども、そこで実施運賃を届け出していただいているということでございます。
2ページ目でございます。その上限運賃認可は、具体的にどのような形で認可しているのかという趣旨の御説明でございます。
記入シートの関係では、調査2に関係してまいります。いわゆる総括原価方式をとってございまして、乗合バス事業の経営に必要な営業費に適正な利潤を加えた総括原価を求めまして、総収入がこれと等しくなるように運賃水準を決定する方式でございます。
これにつきましては、処理方針に関する通達という形で平成13年度に出しておりまして、策定し、かつ公表しているものでございます。原価としては、ごらんのような費用項目をその通達の中で明らかにしてございます。
また、査定方法でございますが、収入につきましては、実績を踏まえた上で、過去の輸送傾向を見込んで運送収入を算出してございます。費用につきましては、もちろんこれもバス事業に限定した形でございますけれども、ヤードスティック方式におきまして査定しているところでございます。
また、調査4に関係します料金変更命令の関係でございますけれども、これにつきましては、申請資料でございますので、申請が行われた場合というところで書かれてございますけれども、実績年度の適正利潤を含む収支率が100%以下、すなわち赤字になっている場合、またはその翌年度の収支率が100%以下と推定される場合で、引き上げをしなければ改善が見込めないという場合についてのみ引き上げを認めているということでございます。
3ページの、標準原価のブロックは地域別に分けて21ブロックございます。詳細は省略させていただきます。
4ページ、手続でございます。上限運賃の変更認可申請から認可までの流れを書いてございます。道路運送法の規定に従いまして申請が行われた場合、地方運輸局長に委ねる部分が施行規則で書いてございますが、地方的な路線ということで、路線の長さが200キロメートル未満、かつ事業者の車両数が100両未満、こういったものにつきましては運輸局長の権限になっておりますが、それ以外のものにつきましては、国土交通大臣が認可することになっています。
審査を行います。そのプロセスとしまして、詳細につきましては鉄道と同様でございますので省略させていただきますが、運輸審議会に諮らなければならないというプロセスを経るというのと、消費者庁さんに御協力申し上げる形で、物価担当官会議申し合わせに基づきまして、6大都市に係るような基本運賃は関係閣僚会議に付議することになっています。また、それ以外のものにつきましても、車両の規模によって、また、公営かあるいは政令指定都市に関係するかによりますけれども、消費者庁さんに協議等々の手続をするというプロセスになってございます。
5ページ目をごらんください。これは調査1に関係します。情報公開の実施状況でございます。
情報公開ガイドラインを策定してございまして、国交省と事業者それぞれにおいて情報の公表を図っております。国交省の方におきましては、基礎的な情報ということで審査基準や標準処理期間がありますが、あるいは行政の苦情に関する問い合わせ先を出しております。
また、右側でございますが、上限運賃の設定(改定)をする場合、あるいは実施運賃が届け出られた場合の情報提供といたしまして、申請の概要や届け出の概要、さらに、一番下に事業者の情報提供を補完する事項といたしまして、事業者から提出を受けております合理化の取り組みや進捗状況、あるいは利用者サービスの向上のための具体的な計画、こういったものも情報提供させていただきます。
左側の定期的または随時提供でございますけれども、これは乗合バス事業につきまして、収支につきましては最低毎年1回は出していただいて、車両保有数が30両以上の会社、大体260社ございますけれども、これにつきまして全体の収支状況を毎年9月末にプレスリリースしてございます。
事業者の方におきましては、基礎的な情報提供といたしまして、当然のことですが、運賃のメニュー、金額の一覧等々を出しております。また、それに加えまして、設定(改定)時、届け出時におきましては、ご覧のような申請内容、経営合理化の状況、割引の内容等々を出しております。
続きまして、6ページは調査5の関係になりますが、上限運賃改定の審査手続のプロセスの中における消費者の参画というところでございます。
大きく分けて2つございまして、1つが、利害関係人からの意見の聴取というのが道路運送法89条で定められております。これは、消費者団体の代表者の方から意見を聴取するということになりますけれども、公示をいたしまして、公示の日から10日以内に聴取してほしいという方がいらっしゃる場合に開催するということでございます。また、開いた場合は、意見聴取のみならず質疑応答の機会も確保するということでございます。そういった意見聴取の制度になってございます。
また、運輸審議会への諮問もこの後の段階でプロセスを経ております。
続きまして、7ページは、調査項目の3と6と7に関係していますが、まず、運賃の妥当性に関します事後的・継続的な検証でございます。これにつきましては、国交省におきましては、先ほどの30両以上の規模の260社につきましては、毎年、要素別原価報告書というものを提出していただいておりまして、ブロックごとの標準原価を算出して、運賃として引き続き妥当かどうかという事後的な検証を継続的に実施してございます。
提出していただいているデータは、ここにございますような収入と費用、費用項目も詳細につきまして出していただいているものでございます。
こういった情報を踏まえまして、年度ごとの収支状況、運賃原価の動向、人件費の動向、こういった経営効率化の状況を把握して検証に努めているところでございます。
それから、経営効率化の促進そのものでございますけれども、これにつきましては、今のデータをベースにいたしまして、合計260社、乗合バスの収支状況報告というところで、費用項目も含めまして対前年度比ベースで増減を算出、公表してございます。それを通じまして、乗合バス事業者のさらなる経営効率化を促しているところでございます。
また、高齢者の方々等に対する情報提供といたしましては、もちろん事業者団体で問い合わせ先を明示しておりますけれども、あるいは割引運賃等の御案内をする等々、これは事業者としてある意味当然でございますけれども、事業者団体も含めて、ホームページ、営業所において御案内をしているところでございます。
8ページは、調査8、今後の課題にも関係してございますけれども、乗合バス事業の現状全般につきまして簡単な資料をつけさせていただいています。
ごらんのとおり、輸送人員と営業収入は、引き続き長期的に減少傾向にございます。輸送人員は、この十数年でおよそ20%近く減少しているということでございます。また、事業者数は、経営効率化を目的として分社化して、地方路線を別の会社にして人件費を変えるというようなこともございますので、そういった分社化等によって増えているということでございますけれども、新規参入そのものは非常に限定的であるという状況がございます。
収支率、下のほうに小さい字で恐縮でございますけれども、これは乗合バス事業のみに限定した収支率、これも先ほど上がってきているデータに基づいて公表しているものですけれども、260社につきまして収支率を出しておりますが、おおむね90%前後で推移してございます。こういった260社の中でも、地方路線などでは補助を受けて運行を維持しているという路線も含めてでございます。
乗合バスに関します資料の御説明は以上でございます。
○古城座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。
小塩委員。
○小塩委員 御説明どうもありがとうございました。私は、7ページ目の資料について質問させていただきます。
ここで事後的なチェックをなされているということですが、それは結構なのですけれども、ここで効率化を十分進めていない事業所がもしあったとします。そのときに、どのように行政サイドからペナルティーをかけるといいますか、法的に制約をかける仕掛けがあるのかどうかという点です。
それと関連いたしまして、次の「経営効率化の促進」というところで、いろいろな指標を公表して効率化を促すということが書いてあるわけです。それは結構なことなのですが、それが具体的な料金の改定にどのようにつながるのかということについて御説明いただきたいと思います。
以上です。
○古城座長 よろしくお願いします。
○国土交通省瓦林課長 どうもありがとうございます。
まず、7ページの資料の中で、チェックした結果、非効率な会社が出てきた場合ということでございます。一義的には、当然、事業者として定められた運賃ということで、費用が拡大してしまう場合は赤字に転落しますので、それが何よりも経営に対する歯どめとして効きますが、プラス、もう一つ、私どもといたしまして、赤字路線でございますと補助の対象になってございます。この補助制度におきまして、そういった費用の効率化が図れるようなメカニズムを採用していますので、そういった事業者における抑制と補助制度を通じた抑制と両方あると思いますが、そういった面で抑止という形で働いているというふうに考えてございます。
また、運賃の面でどうするかというところにつきましては、当然、そういった会社は赤字でずっと続けるわけにいきませんから、いつか黒字にしたいということで運賃の改定を申請されるわけですけれども、そういった際に効率的な取り組みがなされていない場合は、費用として審査して運賃の値上げを認めないという形で、これも抑止力になると思いますが、そういった形でペナルティー、抑止力、両方働いているということでございます。
○古城座長 ありがとうございました。
蟹瀬委員。
○蟹瀬委員 御説明ありがとうございます。8ページですが、「乗合バス事業の現状について」というところで、輸送人員が非常に減っている、ある意味では、これからふえる傾向が日本はないと思うのですが、各地域の中で生きていくシルバーがふえて、働く人が少なくなっていく現状の中で、今後どういう指導をなさっていくのかご説明ください。そこをきちんとしないと、幾ら値上げしても事業として成り立ちません。
それから、もう一つ、よく事故が起こる長距離バスについてですが、申請したけれども値上げができないので結構ハードな労働条件で運転手さんが運転しているという状況が多々見られてきています。この件についてもどういう指導をなさっているのかお聞きしたいのですが。
○国土交通省瓦林課長 まず、第1点の需要が将来的にどうなっていくか。これは、もちろん都市部、地方部でさまざまでございますけれども、全体としては少子・高齢化の影響というのは受けざるを得ないと思います。ただ、実は、バス、特に地方部で激しいわけでございますけれども、他方におきまして、公共交通としてどういうふうに役割を発揮していくかという問題でございます。すなわち、現状におきましてはマイカー等々に流れている部分があって、バスとしてのサービス、利便性を改善する中でどう取り込んでいくか、それによって事業としても成り立つようにして維持していく。国として公共交通は、少子・高齢化の中で特に重要になっているという位置づけでございますので、むしろ事業者の利用促進、あるいは、自治体とも一緒になって町づくりの中でも、公共交通、バスも含めて、使いやすいような形にしていただいて利用を誘導していく。それによって、もちろん大幅な増加というのはなかなか難しいのですけれども、減らない、あるいは少しでも現状を維持できるような形を目指している、そんな取り組みを進めてございます。
それから、長距離バスの関係でございます。これは事故も起きて、皆様に大変御心配をおかけしていますが、実は非常に価格競争が激しいという現状でございます。値上げというより、むしろ値下げ競争が起きていて、その中で安全コストさえ無視される現状があったという実情がございます。このため、私ども、昨年来、これはどちらかといいますと乗合バスではなくて貸し切りバスの世界でございますが、貸し切りバスが下請けとして安値競争を広げているところでございます。しかも安全を無視した形で一部行われているようなケースもございました。
そういった反省に立ちまして、今までのいわゆる高速ツアーバスのあり方につきましては、この夏に新高速乗合バスという乗合バスの形に改めていただき、かつ、いろいろな形で安心して使っていただきやすいような制度にするために、今、実は審議会的なバスのあり方検討会という、有識者の方に集まっていただいて御議論いただいています。3月中に取りまとめを出す予定にしていますけれども、その中で検討を行うということで御紹介させていただきます。
○古城座長 矢野委員、どうぞ。
○矢野委員 御説明ありがとうございました。バスに関しては、公共交通ということで、事業的には赤字の状況が9割台の収支率ということで非常に大変な状況の中で、でも、一方で地方において、特に公共交通としての足の確保、これからますます重要視されている面があるのではないかと思いますが、それにつけても、公共料金というところで見た場合には総括原価をとられているので、実際には運輸審議会に係るところで、電気料金ほどではないかもしれませんが、どの程度総括原価の中身が深堀りされて十分審議されているのか、その辺をお聞きしたいのが1点。
それから、6ページのところで審査手続における消費者の参画という御説明をいただいていますが、先ほど伺いました鉄道のときとちょっと意見聴取のところの中身が違うかと思うのですが、これはバス独自なのかどうか。例えば、消費者団体の代表者から意見を聴取とか、質疑応答の機会も確保しているというところは、バスはまた独自のとらえ方をされているのかどうか、その辺をお聞きしたい。2点です。よろしくお願いします。
○古城座長 よろしくお願いします。具体的に、例えばバスの料金を審議会に諮るとき、何回、1件について何時間ぐらいかけて審議されているのか、それを言っていただくとよくわかるのですけれども。
○国土交通省杉山調査官 バスですと、最近は地方のバスの事例しかないのですが、4回ぐらいの審議です。
○古城座長 審議会ですか。
○国土交通省杉山調査官 運輸審議会でです。ただ、誤解があるといけないので念のため補足させていただくと、運輸審議会は、経産省に置かれている電気料金の審査専門委員会のように、一から全部査定・チェックするのではございません。査定自体は担当部局できちんとやっていただいて、その査定なりがきちんとなされているかどうかということを最終的に国民、消費者的な目線で御審議いただくのが運輸審議会ですので、当然、そこにかかる前に各担当部局において、何を総括原価として認める、認めないということの綿密なチェックがなされた上で審議会に諮られ、それは妥当かどうかの審議を4回ぐらい。
○古城座長 1回何時間ぐらいなのですか。
○国土交通省杉山調査官 1回、大体1時間半から2時間程度です。
○古城座長 そうすると、1件について8時間ぐらいやっているということですか。
○山口委員長代理 たくさんの事項があるのでしょう。
○国土交通省杉山調査官 ホームページを見ていただくとおわかりいただけると思いますが、諮問答申事案というのは年に数件しかございませんので、昔は相当案件がございまして、1日に何件かを審議するという時代もございましたが、昨今は1回の審議で1案件という状況でございます。
○古城座長 ありがとうございます。
○国土交通省瓦林課長 もう1点の御質問の消費者の参画でございます。これにつきましては、6ページの資料がございますが、規定ぶりそのものは、道路運送法は鉄道の方も変わりません。趣旨として、消費者団体の代表者からと限定してという感じになりますと、そこは御説明の仕方が悪かったのですが、消費者団体の代表者の方も含めてという意味でございます。
また、質疑応答の機会も確保するというのは、これは運用でございまして、そういう運用の形でやっているということでございます。制度は同じだというふうに御理解賜れればと思います。
○古城座長 ありがとうございます。
よろしいですか。
細川委員、どうぞ。
○細川委員 私がお伺いしたかったのは今のところでして、6ページの「利害関係人からの意見聴取」ということで、道路運送法第89条に利害関係人から申請があった場合は意見を聴取しなければならないという規定があるのです。ところが、今、運輸審議会では、利用者は利害関係人ではないというふうに、即、利用者イコール利害関係人ではないということを言っているわけですけれども、ただ、道路運送法上は、いわゆる利害関係人というものの範囲はどういうふうに決めているのでしょうか。省令とか何かそういったものでその定義があるのでしょうか。これを見ると、消費者団体は利害関係人だというふうに国交省は認めているというふうにとれますけれども、そこはいかがでしょうか。
○国土交通省瓦林課長 詳細を申しますと、道路運送法の下の省令(施行規則)におきまして、利害関係人について説明の規定を置いておりまして、次の各号のいずれかに該当する者をいうということで、まず、認可の申請者、それと、申請者と競争の関係にある者、その次の号で「利用者その他の者のうち地方運輸局長が当該事案に関し特に重大な利害関係を有すると認める者」ということで、この定義の範囲内で該当される方は該当する者として扱わせていただいているということでございます。
○国土交通省杉山調査官 補足させていただきます。運輸審議会の公聴会の開催申請ができる利害関係人の規定については、昨年の消費者委員会の建議でも御指摘をいただきまして、何回かやりとりをさせていただいているところかと思いますが、こちらも鉄道も同じでございますが、地方運輸局の権限に係る利害関係人の意見聴取につきましては、そもそも法文の規定上、利害関係人でなければ意見が言えないことになっております。他方、運輸審議会の場合には、公聴会を開催すれば誰でも意見が言えますので、当然、その際には消費者もその中に含まれます。そこの違いがあるという点を御認識いただければと存じます。
各運輸局で行う意見聴取については、利害関係人と認めないとそもそも意見を言えないという法文のつくりになっております。
○古城座長 細川さん、今ので質問いいですか。
○細川委員 何でそこに違いがあるのかもわかりませんし、運輸審議会の、要は権利としては認めないけれども、開催する場合には認めてやるというスタンスですね。あくまでも行政の恩恵として、開催するのだから、そこでは排除しないよという非常に冷たい制度だなと思います。
○古城座長 利害関係人は公聴会を要求できるのですね。その利害関係人は入っているのですか。
○国土交通省杉山調査官 利害関係人からの要求があった場合には、必ず開かなければならない。
○古城座長 その利害関係人には、消費者団体、利用者は入っているのですか。
○国土交通省杉山調査官 含めておりません。
○古城座長 だから、その他一般として、公聴会を開いたら意見を言うことができるということですね。
○国土交通省杉山調査官 職権による公聴会開催の際には可能でございます。
○細川委員 そこは我々消費者委員会と意見が違うところで、重大なものは職権で開いていますと。職権で開けば消費者は意見を聞けるのだから文句ないではないかというのが国交省の一貫した今までの意見です。我々は、それは権利として認めるべきではないか。ただ、国交省としては、利用者と言ってしまうと、1回でも切符を買った人は利用者なのかと、すぐそういう議論になるので、それだったら、もう少し何か決めて、例えば通学定期を買う者とか通勤定期を買う者とか恒常的にそこに住んでいる者とか、そういう基準をつくるとか、あるいは消費者団体、適格消費者団体というようなところで枠をはめればいいのではないかということを御提言申していますけれども、国交省は、そこら辺は拒否されているというふうに私はとっております。
○古城座長 ちょっと御意見が我々と違っていますけれども、きょうは公聴会ですので、御意見を伺いたいと思います。
○小田審議官 座長、矢野委員から査定の中身、公聴会とか公述人ではなくて、要するに事務局がやっている査定というのは本当はどんなことをやっているのか。
○古城座長 では、矢野さん、もう一回簡単に質問を。
○小田審議官 要するに、エネ庁の審査専門委員会がやっているほどのことを国交省の事務局はやっておられるのですかという、端的に言えばそういうことです。
○国土交通省瓦林課長 エネ庁さんのやり方までは把握しておりませんけれども、例えば、これは2ページにございますけれども、ヤードスティック方式の説明の中で書いてございますけれども、各費用項目ごとに申請値を査定する方法になっていますけれども、この申請されている単位コストとブロックの標準単位コストを比べた上で、その真ん中をもって査定する等の形で査定してございます。費用項目ごとにやっている、あるいは全体の事業者の傾向とのばらつきが出ないようにするということで査定しているというふうに御理解賜ればと思います。
○古城座長 多分皆さんの関心は、エネ庁ですと、例えば人件費というと電力事業者の中で突出して高くないかどうかではなくて、電力事業以外の人と比較して妥当かどうかというチェックをしているのですけれども、バスの場合はそれはやっていませんね。事業者の内部の。
○国土交通省瓦林課長 そもそもバス業界の場合、これは後ほど出てきますタクシー業界もそうですけれども、人件費そのものが一般の産業の平均よりも低いものですから、そういったことを前提として見ているということで御理解賜ればと思います。
○古城座長 ほかの単価についても、一応バス業界の中で比較査定しているのですね。例えば、燃料とか、もっと安くあるではないかとかいうのがあっても、バス業界の中で標準コストを守っていれば、一応妥当に購入している、こういう審査ですか。
○国土交通省瓦林課長 そうです。やはりバスの場合、当然、人件費以外は、例えば車両の減価償却や油代でございます。それは全国的な傾向等々、地域差もありますので、その辺は見た上でやっておりますけれども、ただ、そこは油の値段としてバス業界だけでやっているというわけではなくて、これは油の全体の値段を見ているつもりでございます。
○古城座長 ありがとうございます。
○矢野委員 先ほど、利害関係者の話で、利用者は含まないということでしたけれども、わかりやすく言うと、利害関係者というのは誰を言っているのか教えてください。
○国土交通省杉山調査官 申請者及び申請者と競争の関係にある者、あと、不利益処分の場合には不利益処分の名あて人を、ここで言う「利害関係人」としております。
ただ、公聴会をやる際には、どなたでも意見を陳述することが可能です。
○古城座長 よろしいでしょうか。
時間を超過して、どうもありがとうございました。
追加の質問がございましたら、また先ほどと同じように文書にて事務局までお知らせください。その際にまた御協力をお願いしたいと思います。
どうもありがとうございました。
(説明者交代)
(3)国土交通省(タクシー)
○古城座長 それでは、引き続いてタクシー運賃についてです。国土交通省から御説明お願いいたします。よろしくお願いします。
○国土交通省瓦林課長 それでは、引き続きまして、タクシー運賃に関しまして同様の資料を御用意しておりますので、御説明させていただきます。
まず、1ページ目をお開きください。タクシー運賃に関する制度についてでございます。
先ほどのバスは上限認可制でございましたが、タクシー運賃は普通の認可制でございます。これにつきましては、平成12年の道路運送法改正においても認可制が維持されたという経緯がございます。
審査基準でございますけれども、ごらんのとおり、3点ございます。1点目の「能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものであること」については、適正な運賃水準の幅として、上限と下限を厳正に審査しております。
また、不当な差別的取り扱い、不当な競争等々については、他のものと同様でございます。
それから、自動認可運賃制度という制度をタクシーではとってございます。これは、タクシー運賃の設定は、個別申請、個別認可によることが物理的に厳しく、全国で個人タクシーの事業者も含めますと4万7,000社を超えますので、そういったタクシー事業におきましては、全ての事業者の運賃を個別に審査して適否を個別に判断することは事実上困難だということで、集合的に処理してございます。
行政運用上の措置といたしまして、事業者の原価計算書類等を個別に審査するのではなくて、運賃ブロックごとに、これは営業区域よりもっと大きな概念でございますけれども、その中で車両数が7割以上の事業者から申請があった場合には、これらを審査して、自動的に認可する上限と下限の幅を自動認可運賃として設定するということでございまして、この方針につきましては、ここにございます処理方針の通達の中で策定するとともに公表するとしているところでございます。
次の2ページをごらんください。自動認可運賃に関する説明でございます。これは、調査2の項目に関係しているところでございます。
先ほどの処理方針の通達の中で具体的に書いているところでございますけれども、左側をごらんいただきますと、事業としてタクシー事業だけに特化した上で、そのタクシー事業の部分につきまして、その経営に必要な営業費等に適正な利潤を加えた総括原価と、総収入とが等しくなるような運賃水準を決定するという方式でございます。
原価として認める項目も書いてございますが、人件費、燃料油脂費から、最後の営業外費用、適正利潤というところをそれぞれこの通達の中で明確にしているところでございます。
また、自動認可運賃の上限につきましては、運賃ブロックごと、全国で93ございますけれども、その中で先ほどのような方法で申請を受け付けまして、このブロックの中で標準的な経営状況にあると考えられる事業者、これは、後ほど5ページに出ていますけれども、要は、例えば小規模で零細な事業者は含まないとか、事故が多発している事業者は含まないとか、参入してまだ3年たっていないような事業者は含まないとか、こういった形で標準的な経営状況にあると考えられる事業者を選び出しまして、その原価を基礎として、これに見合うように上限運賃を設定しているという方法でございます。
それから、自動認可運賃の下限につきましてでございます。これは、タクシー適正化活性化法、特措法と呼んでいますけれども、特措法が平成21年に施行された後の話でございますけれども、下限につきましては、特に効率的な経営を行った事業者の収支が相償う水準の運賃ということにしてございます。
では、具体的に、特に効率的な経営とはどういうものかということでございますけれども、経費の中で、ここにございますように、効率的な経営で低廉にできるという経費と、安全上その他の問題で認めるべきではないという経費を区分しまして、マル2につきましては、その地域の標準的・能率的な経営を行っている事業者の平均値を固定値として用いる一方で、マル1については、特に効率的な経営を行った場合は、そのコストを採用するという方法でございます。
差異を認める経費としては、燃料費、役員報酬、金融費用等でございます。差異を認めないものとしましては、このタクシー業界は労働条件がいつも非常に問題になるものですから、適正な労働条件の確保に必要な人件費、安全サービスの確保に必要な車両修繕費等、あとは公租公課等でございます。こういったものについて、それぞれめりはりをつけて、特に効率的な経営を行った事業者の収支が相償う水準というものを出しているということでございます。
3ページは、先ほどの詳細でございますので省略させていただきます。
4ページは、調査1の関係でございますけれども、情報公開の実施状況といたしまして、タクシーにつきましても、平成10年以降、情報公開ガイドラインということで策定して公表してございます。国交省におきましては、ごらんのような項目につきまして基礎的な情報提供、あるいは運賃改定時というところで情報提供をしております。これは、特に行政の苦情に関する問い合わせとしては、連日のように本省、運輸局で多数いただいておりまして、その都度、誠意を持って対応してございます。
事業者団体の方におきましても、これもバスと似通っておりますけれども、ご覧のとおりの情報提供を行ってございます。
続きまして、5ページでございます。これは調査5の関係になります。消費者の参画でございます。
タクシーの場合は幾つかございます。まず、一連のプロセスの中で利害関係人からの意見聴取は、先ほど御質問や御議論がございましたが、消費者団体の代表者も含めて解釈して運用してございます、道路運送法89条に基づくプロセスでございます。
それから、消費者庁さんの関係で物価安定政策会議もありましたし、あるいは、東京のタクシー運賃につきましては、物価関係閣僚会議に付議されるという制度になってございます。
また、事業者団体におきまして、これは自主的な取り組みでございますけれども、運賃改定時には民間公聴会を通常開催しまして、消費者団体の方々も含めて意見交換を行っているところでございます。
さらに、ここに書いてございませんけれども、実は、10ページをご覧いただきますと、先ほどちらっと御紹介しました特措法という、正確には「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法」という法律でございますけれども、この法律のもとで、右の真ん中ぐらいに濃い枠がございますけれども、協議会というのを地域ごとにつくっております。この協議会の中に地域住民に入っていただいて、この中で常設機関としていろいろな意見交換ができる場が設定されてございます。
続きまして、6ページでございます。ここは、調査3、4の関係でございます。
まず、運賃の妥当性の事後的・継続的な検証でございますけれども、認可時に原価計算対象事業者の平均原価というものは公表してございます。加えまして、国交省におきまして経営データを毎年把握しておりまして、事業報告書等、B/S、P/Lベースでございますけれども、毎年提出していただいて、大きな変化が生じていないかどうかはチェックしてございます。
また、○の2つ目でございますけれども、事業者団体のほうで事後的な検証を同じくやっておりまして、これは賃金水準等の労働条件の改善状況が、どちらかというと労働条件が大変厳しい業界でございますので、それがどう改善しているかというものを公表したり、あるいは合理化計画をどう実施しているかということも公表してございます。
運賃変更命令、調査4の関係でございます。これにつきましては、定量的な基準というのは設けていないのですけれども、認可を行った運賃の上限が、その後の社会経済状況の変動で利用者保護を著しく欠く高いものになった場合等には、旅客の利便その他公共の福祉を阻害している事実があるということで、運賃変更命令を発動することを想定してございます。
7ページでございます。これは、調査6、7の関係でございます。
まず、経営の効率化の促進はどうやっているかでございますけれども、原価計算の対象事業者の選定に当たりましては、年間平均の実働率と生産性の水準が上位の事業者から選定しておりますことに加え、先ほどちょっと触れました特に効率的な経営を実施している事業者の原価水準で自動認可運賃の下限を設定するということで、経営効率化の度合いが運賃に反映されるような仕組みとしてございます。
また、これは運賃そのものではございませんけれども、予算で補助したりしてございますものとして、配車の効率化を推進するようなシステムの補助に対する支援とか、あるいは燃費を向上させるというハイブリッド車の普及の支援といったものを国として推進しているところでございます。
また、先ほどから何度か出てきております特措法の枠組みとしまして、協議会の協議結果を踏まえて自主的に減車できるというものでございますので、遊休車両が減車されるような形で経営の効率化も後押ししているという枠組みがございます。
調査7の関係でございます、高齢者の方々等に対する情報提供につきましては、先ほどのバスと似たような形になりますけれども、事業者団体のほうでいろいろなお問い合わせ先を明示するということと、高齢者、障害者の方々等に対する割引運賃等の御案内をしてございます。
8ページでございます。今後の課題でございますけれども、タクシーの業界は大変厳しい状況が続いてございます。このグラフを御説明させていただきますと、規制緩和が行われて以来、緑の線でございますけれども、車両数が大幅にふえた状況がございました。リーマンショック等で減少に転じるとともに、先ほどの特措法によりましてさらに拍車がかかっているところでございます。収入と連動する1日1車両当たりの収入を示す赤い線ですが、大幅に落ち込んでいます。これにつきましても、特措法で一定の歯どめはかかっているものの、当初想定したほどの回復にはなっていないという状況がございます。
ブルーの線でございますけれども、輸送人員は景気低迷が非常に出やすいものでございまして、なかなか回復の兆しが出るに至っていない状況が続いてございます。
いずれにしましても、なかなか需要の回復が望めない状況がございますので、さらなる経営の効率化を促進していくにしても、経営の効率化だけで運賃水準を引き下げるということはなかなか難しくて、事業全体の経営状況を注意していく必要があると認識してございます。
ちなみに、関連で資料をおつけしておりますが、9ページでございます。タクシーの運転手の方々の労働条件をお示ししております。上の折れ線グラフは労働時間でございます。一般産業の緑の線に比べてタクシーの業界での労働時間が大変長いという状況がおわかりいただけるかと思います。また、賃金に至りましては、一般の500万円強に対しまして300万円を割っている状況が続いてございます。大変厳しい状況がございます。
一番下に小さい表で恐縮でございますけれども、収益性の比率ということで収支率をつけてございます。タクシー事業のみの部分で、関連事業とかを一切含まないものでございますけれども、これにつきましても合計をご覧いただきますと100%を割るような数字が続いている状況でございます。
最後に10ページでございます。これは、先ほど御紹介しました特措法と呼ばれております、平成21年に国会全会一致で成立した法の説明でございます。特定地域においては協議会をつくって、地域の実情に即した計画をつくって、その中で事業者が減車を含めた特定事業計画を作成して実施できることになっています。その中で、先ほどの協議会のメンバーなどが議論を活発に行うことになっています。
また、あわせて運賃の適正化の関係では、実は、この法は内閣提出法案でございますけれども、衆議院での御議論の結果、修正が入りまして、運賃料金の認可水準については、もともと「適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないもの」という表現だったのですが、衆議院での修正で、「適正な原価に適正な利潤を加えたもの」と読みかえるという規定になっています。これに基づきまして、自動認可運賃の幅というものを、当初は10%だったのですけれども、これが五、六%に縮減しております。また、認可運賃を下回る運賃、下限割れ運賃の厳正な審査も実施しているところでございます。
以上、タクシーに関しまして御説明させていただきました。どうもありがとうございました。
○古城座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明に対して御質問ございましたらお出しください。
細川委員、どうぞ。
○細川委員 タクシーは、今、いろいろな問題を抱えていて、単純に値段が消費者から見て高いとかというだけではない部分があると思います。あと、台数制限をすべきかそうでないかとか、そういう議論もありますけれども、非常にわかりにくいところがあってお聞きしたいのですけれども、いわゆる基本料金以外の部分での料金というのがありますね。例えば深夜の割り増し料金とか、あるいは迎車料金とか、これは最近、柔軟になってきて、迎車料金を取るところ、取らないところがあったり、2キロ実車するところが1キロ実車しますとか、深夜料金も取らなかったり、半額だったりしますね。ところが、私が調べた限りだと、今は距離・時間併用制というのをとっていますね。東京だと、たしか時速10キロ以内で1分45秒たつと80円上がるという、実はこの仕組みもよくわからない制度で、これは初乗りで乗っていたらどうなるのですかとタクシーに乗るたびに運転手さんに聞いたのですけれども、回答できる人は一人もいませんでした。これはとまっていても時速10キロで走っているとみなして距離換算するという制度だというのに初めて気づいたのですけれども、これについては廃止しているところは、私が知る限り1件もないです。あるいは、10キロとみなすのではなくて5キロとみなすというようなところもないのです。こういうところは規制しているのかどうかというのを1点、お聞きしたいと思います。
もう一つ、料金ではないですけれども不思議に思うのが、構内権という問題です。
駅に行くと、ある会社の車がほとんどで、ほかの車は2台しか入れないとかというのを運転手さんに聞くのです。ところが、これは誰が決めているのかというと、運転手さんは誰も答えないのです。今、こういう乗り入れする、しないというような、ある意味カルテルだと思います。ただ、誰がやっているかはわからないのですけれども、この2点はどういう制度になっているのかちょっと教えてください。
○国土交通省瓦林課長 まず、時間距離併用制でございますけれども、これはタクシーという乗り物の特性を踏まえて、渋滞等で動かない場合も含めてどう運賃を計算するのかということもあって、事業者の方でこれが一番実態に即しているということで、この方法がとられてきたと思います。
同じようなもので、例えば貸し切りバスなんかですと、時間運賃と距離運賃、それぞれ算定して、どちらか高い方をとるとかという仕組みをとっていますけれども、これは、やはり乗り方、御利用のされ方を反映して、事業者のほうでこれが一番実態を反映しているということで採用されて、我々もそれを尊重しているところでございます。
○細川委員 事業者がその制度をやらないといえば、それは自由なのですか。ただ、これだけはやめているところとか、料金を割引しているところはないのですよ。
○国土交通省瓦林課長 それは、やはり事業者の御判断として、一番実態を反映しているのだという御判断があるからだと思います。自動認可運賃として時間距離併用制を公示しておりますが、自動認可運賃を国が強制しているということではございません。別の方法があるかもしれませんが、ただ、値上げの場合、あるいは運賃改定の場合、それをどういうふうに、幾ら上がったのかと判定するのはなかなか難しいところはあります。一定の算式でやるしかないと思いますけれども、今はそれが主流になっているということで御理解賜りたいと思います。
それから、構内営業の関係でございますが、これは、基本的には施設を持っていらっしゃる大家さんといいますか、土地の所有者といいますか、ビルとか駅とかいろいろございますけれども、そことの協議によって決まっていて、当然、利用料を取っていらっしゃるケースが多くて、特定の会社しか入れない場合は、その特定の会社と当該ビルなりなんなりの管理者との間で話し合いが行われた結果というふうに理解しております。
○古城座長 駅やターミナルの鉄道会社が決めているということですね。
○国土交通省瓦林課長 そこは、駅の場合ですと、駅前広場が鉄道会社の敷地の場合はそうなりますし、そうではなくて道路であれば、そういう制約はないということになります。
○細川委員 そうすると、いわゆるロータリーが、公共の一般的なパブリックなものだった場合には、そういう構内権はあり得ないという理解でいいですか。私が見た感じ、あると思うのです。タクシー事業者間で何か協定を結んでいるように思うのですけれども。
○国土交通省瓦林課長 パブリックなスペースであれば、それは制度的にできないことになっていますので、その敷地が誰のものかによって変わってくると思います。それは普通の利用者の方からはわかりにくいケースもあるようです。
○古城座長 蟹瀬委員、どうぞ。
○蟹瀬委員 タクシー運賃については、値上げのときに委員をやっておりまして、大変けんけんがくがくとなった経緯があるので、2つ質問があります。適正な原価に適正な利潤というときに、その適正な利潤というのは、今、10%から5-6%に下がったみたいな話があるのですが、どういうふうに計算なさっているか教えてください。どこのことを利潤と呼んでいるのでしょう。全体の中でおっしゃっているのか、最終利益でおっしゃっているのか。
もう一つ、利益が上がっていくときに、タクシーの運転手さんに所得が上がるということを、必ずタクシー会社は約束をするのですが、私は、100台ぐらいタクシーに乗って運転手さんに「上がりましたか」とか「上がりますか」とかいろいろ聞きました。みんな「ノー」という答えなのです。そういうことが起こっているということに対しての認識と、例えば値段を上げたときに、その後の所得を上げてあげているかどうかの調査をなさっているのか。4万7,000社あった場合に、どのように調査なさるのかをお聞きしたいのです。
○古城座長 2点についてお願いします。
○国土交通省瓦林課長 まず、適正な利潤の計算方法でございますけれども、通達によって定めておりますように書き方は複雑ですけれども、要は、自己資本に対して1割というものにしております。恐らく五、六%の話は、先ほどの自動認可運賃の下限に関して、当初10%だった幅を五、六%になった際の御説明と入り組んでしまったのかもしれませんけれども、この適正な利潤の計算方法そのものは、今も運用上も変わっておりませんで、自己資本の1割でございます。
○古城座長 それは普通だと、他人資本もあわせてレートベースをつくってから公正報酬率を計算するのですけれども、それとはやり方が違うのですね。
○国土交通省瓦林課長 はい。
○古城座長 では、2件目お願いします。
○国土交通省瓦林課長 それから、ドライバーの方の賃金の問題ですが、基本的にこれはどこの世界も同じですが、労働分配率の問題といいますか、それ自体は労使でお決めいただくことでございますけれども、やはりこの業界の場合、労働条件の改善というのが非常に大きな課題になっているものですから、先ほど説明した資料の中でもありましたが、業界団体のほうでもどのように改善するかというのをデータとして出しております。私どもとしても、もちろんそれは期待しておりますけれども、ただ、法令によって求めるものではないだろうと考えておりますので、そういった扱いでやらせていただくということで御了解賜りたいと思います。
○古城座長 ありがとうございます。
小塩委員。
○小塩委員 私もタクシー運賃の値上げのときに議論に参加させていただいた一人なのですが、そのときの印象を申しますと、供給超過というのは事実としてやはり正しいと思うのですが、効率性が低い業者がなかなか市場から撤退しない仕組みになっていて、そのしわ寄せが運転手さんにずっと行ってしまうというメカニズムがあると思うのです。
先ほどのお話では、例えば9ページで、これからは人口が減って需要の回復が見込めないので、効率化を進めて運賃水準を引き下げることは容易でないと説明されています。タクシー業界から見ればそういうことなのかもしれないですが、消費者から見るとこれはやはり納得できない理屈だと思います。効率的に事業を展開している事業者だけがマーケットに残っていくという仕掛けはないのでしょうか。例えば、減車をどんどん進めていくための、行政サイドからの働きかけというのは考えられないのでしょうか。それが質問です。
○国土交通省瓦林課長 タクシーは、御指摘のとおり、非常に難しい市場でございまして、先ほど説明しました特措法の枠組みで一定の形で減車の取り組みが、事業者団体で、自主的な取り組みとして推進できる、あるいは地域に後押しされる形で推進できるようになっていますけれども、これは財産権の問題とも関連して、国として何台か減らしなさいとかいう形はなかなか難しいのだろうというふうに考えております。
その中で、もちろん競争は適正に行わなければならず、そういったものを満たしていかなければいけないということでやっております。
効率性の低い事業者をどう駆逐するか、撤退していただくかという部分ですが、サービス水準が一つの鍵なのではないかというふうに考えておりまして、サービス水準という観点で見ますと、評価制度のようなものを事業者団体の取り組みとして進めているというのがありますし、あるいは、譲渡譲受を通じて、許可を受けている事業者において事業者の選択が行われます。これはもちろん一定の資格をチェックして譲渡譲受認可を受けていただきますけれども、そういった形で違う方にかわっていただくということもございます。
あるいは、例えば最近の取り組みですと、スマートフォンで配車できるようにするというものががありますが、これで当然収益性が上がっていきますので、そういった形で圧力が市場内メカニズムとしても維持していくところを私どもはいろいろな形で応援していくこともありますし、先ほどご説明しました適正化活性化法の活性化のほうでは、サービスを活性化するというところも後押しするメカニズムにしております。それは国としても後押ししていこうと思っています。
○古城座長 今のに関連するのですけれども、料金を算定するときに実車率というのを入れますね。経営がうまくいっていて実車率が高い事業者と低い事業者がいると思うのですけれども、そのときの実車率はどこでとっていらっしゃいますか。平均値的ですか、それとも標準事業者みたいなものをまたつくって、そこから出してきているのですか。料金算定のときの実車率は、何を使っていらっしゃるかということです。
後でよろしいです。
○国土交通省瓦林課長 もしよろしければ、後で調べて御報告させていただきます。申しわけございません。
○古城座長 古賀委員、どうぞ。
○古賀委員 余り主要な質問ではなくて恐縮なのですが、タクシーは難しい市場だということですが、いろいろな資本投資から考えると、多分、外国の企業の参入というのがやりやすくこれから問題になってくると思うのです。高齢化社会における公共性という意味ではタクシーはまだまだ公共財として必要ですし、料金の妥当性も検討すべきだと思うのですが、例えば、外国の企業が参入するようなことは特措法の中で考えられているのでしょうか。もしTPPの関連などで外国企業が参入してくるようなときの対応なども検討されているのであれば教えてください。
○国土交通省瓦林課長 これは、もともとの法律の枠組みとして、航空法とか鉄道事業法であるような外資の参入、これはいろいろインフラの問題とかそういうのがあるのだと思いますけれども、道路運送法ではそういう制限はございませんから、資本参加も含めて、あるいは設立することも含めて可能になっております。外為法上の手続はちょっとあるかもしれませんけれども、設立そのものは道路運送法では規制していないところでございます。
○古城座長 まだ皆様、御質問したいことがあるかと思いますけれども、時間の都合がございますので、これで終了させていただきたいと思います。
追加の質問がございましたら、事務局にお寄せください。その際には、また国交省の方にお答えいただきたいと思います。
きょうは長時間、どうもありがとうございました。
○国土交通省瓦林課長 どうもありがとうございました。
(説明者交代)
(4)総務省(固定電話等)
○古城座長 それでは、固定電話の料金につきまして、総務省から御説明を受けたいと思います。総務省におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございます。
固定電話の料金につきましては、平成24年6月12日開催の第92回消費者委員会で総務省のヒアリングを実施しているとのことですので、その内容について事務局から御説明をお願いいたします。
○原事務局長 先ほど、資料のときに少し御紹介いただきましたけれども、お手元に資料をおつけしております。第92回消費者委員会の資料になります。
第92回、昨年開催しておりますけれども、ここの場におきまして、公共料金問題についての建議のフォローアップの一環といたしまして、総務省より固定電話等のプライスキャップについてヒアリングを行っております。その結果、消費者委員会河上委員長の取りまとめというところを抜粋しているわけですけれども、「NTTの固定電話、公衆電話の料金水準の上限値、プライスキャップの内容並びに策定のプロセスが、当委員会からの建議の内容と照らして、およそ問題のない形で運用されているということも理解できました」というふうにされておりますので、御参考までに御報告をいたします。
○古城座長 ありがとうございました。では、総務省から固定電話等の料金について御説明をお願いいたします。
○総務省二宮課長 総務省、料金サービス課長二宮でございます。
それでは、資料4に基づきまして、電話料金に係ります「消費者基本計画の具体的方策への対応状況」ということでお話をさせていただきたいと思います。
冒頭、簡単に我が国の電気通信市場のこれまでの規制緩和の経緯とか考え方について述べさせていただきたいと思いますけれども、皆様御存じのとおり、昭和60年、日本電信電話公社の独占市場に競争を導入いたしました。累次の規制緩和を通じまして、競争を促進してまいっているところでございます。その過程におきまして、電気通信事業法、電気通信事業を規律する法律でございますけれども、その目的の中に公正な競争を促進することにより、電気通信役務の円滑な提供を確保するとともに、利用者の利益を保護するというような目的が記載されているところでございます。
この趣旨は、基本的に電気通信市場と申しますのは、競争を旨として行うものでございまして、そのために公正な競争環境を整備することによりまして目的を達成しようとしているところでございます。
したがいまして、基本的には事業者間の競争を通じまして、利用者利便の向上を図る一方、その競争が十分に働かないところに対しまして、必要な行政の関与を行うこととしているものでございます。そうした意味では、他の公益事業とは若干異なるところがあるかもしれません。
利用者料金の制度について申し上げますと、従来は全ての電気通信事業者の料金につきまして認可制でございましたが、競争の進捗状況を踏まえながら、段階的に規制緩和をしてまいりまして、現状におきましてはNTT東西についてのみ上限価格方式(プライスキャップ方式)を採用しているところでございます。
この制度の考え方でございますけれども、今申し上げました考え方のとおりでございまして、電気通信サービスの利用者料金は、原則として事業者が自由に設定可能ということでございます。他方、競争が不十分な分野におきましては、市場メカニズムを補完することが必要となるということでございますので、プライスキャップ方式を採用してございます。その上で実質的な料金の低廉化により利用者利益を確保しつつ、料金水準の上限以下であれば、ここの料金は届出のみということで運用をして事業者のインセンティブを付与しているところでございます。
制度の概要につきましては、3.のところに書いてございますが、対象となりますサービスは、NTT東西の固定電話と公衆電話でございます。以下の表の一定のサービス区分ごとに料金水準の上限(基準料金指数)を設定いたします。基準料金指数につきましては、下の算式のとおり、3年ごとに設定する生産性向上見込率(X値)と消費者物価指数変動率を踏まえまして設定し、毎年通知をしているものでございます。
1ページおめくりいただきますと、消費者基本計画に沿う形で具体的な施策と対応状況を示してございます。
まず、情報公開についてでございますが、私ども、平成10年、研究会を開催しておりまして、電気通信分野における料金等に係る情報公開の在り方に関する提言をいただいております。これを情報公開ガイドラインに準ずるものとして情報公開を実施しているところでございます。
NTT東西におきましては、法令上、電気通信事業会計を整理し、役務ごとの収支の状況について整理、公表する義務づけがなされておりまして、ホームページにおきまして公表されているところでございます。
続きまして、費用算定の具体的な処理の手順についてでございますけれども、総務省よりNTT東西に対しまして、基本料に係るものについて一般利用者の理解が容易に得られるような工夫を凝らした上で公表してくださいということで要請しているところでございます。図表等を活用しながら具体的にホームページで説明がなされておるところでございます。
さらに、効率化のための具体的方策でございますが、総務省よりNTT東西に対しまして、毎年度の事業計画の認可申請の際に報告するよう要請しております。これを受けまして、審議会に私どもから報告をしているところでございます。
さらに、NTT東西における経営ビジョンや設備投資計画につきまして公表しているところでございます。
さらに1ページおめくりいただきますと、プライスキャップ制度の具体的な運用に当たって記してございますが、X値の算定に係る考え方につきましては、3年に一度、有識者から成る研究会を開催して検討し、報告書を公表しております。その上で基準料金指数の見直しに当たりまして、公開の審議会で諮問を行い、意見募集も実施しているところでございます。
さらに、総務省におきまして、電気通信サービスの料金に関する状況を適切に把握する観点から、世界の主要7都市における内外価格差調査を実施し、毎年公表しているところでございます。
私どもは引き続き、事業法の枠組みにおける情報公開を通じまして、消費者への情報の提供を確保してまいりたい、充実させてまいりたいと考えております。
次のページでございます。2点目の消費者参画の確保でございますけれども、この対応状況でございます。
まず1点目、規制の枠組みについて、先ほど述べましたとおりでございますが、料金水準の上限以下であれば、個々の料金について総務省が原価を査定して認可を行うということはございませんで、経営判断による届出のみで自由に設定可能としているところでございます。
また、諮問の審議会におきましては、その構成メンバーといたしまして、消費者団体の代表者に入っていただいております。具体的には、全国地域婦人団体連絡協議会の事務局次長にお入りいただいているところでございます。
さらに、消費者、利用者の意見を反映することを目的といたしまして、意見募集を実施し、消費者の参画を実質的に確保しているところでございます。
引き続き、基準料金指数の決定過程における手続を通じまして、消費者の参画を確保してまいりたいと考えてございます。
最後に、料金の妥当性を検証する具体的方法についてでございます。
プライスキャップ制度の運用の際のX値の算定に当たりましては、3年に一度研究会を開催いたしまして、客観的な経営効率分析を行って、NTT東西の非効率を計測いたしまして、さらなる経営効率化による費用の削減を見込んだ上でX値を算定しているところでございます。その上で、審議会プロセスを経た上で、今申し上げたX値と消費者物価指数変動率を踏まえた基準料金指数を設定いたしまして、毎年、NTT東西に通知をしているところでございます。
実際の料金指数につきましては、毎年度報告を受け、基準料金指数を下回っていることを確認しております。仮にこれが上回ってしまった場合、超える場合につきましては、特別な事情があると認めるときを除きまして、料金変更命令を行うことができるという枠組みになっているところでございます。
それから、先ほども情報公開のところで述べましたけれども、NTT東西につきましては、役務ごとの収支の状況について整理、公表が義務づけられておりますが、その整理に当たりまして、収益及び費用の取り扱いの基準は、毎年、私どもよりNTT東西に対して通知をしているところでございます。引き続き、3年に一度の生産性向上見込率の見直し等を通じまして、料金の妥当性について確保してまいる所存でございます。
説明は以上でございます。
○古城座長 ありがとうございました。
先ほど事務局から説明があったとおり、固定電話料金に関しては、昨年6月12日の消費者委員会で一度ヒアリングをしております。御説明について特段の御意見、御質問はございますでしょうか。
一度十分御説明いただいていますので、きょうはこれで結構です。わざわざ御足労いただきまして、ありがとうございました。
(説明者交代)
(5)財務省(たばこ)
○古城座長 次は、たばこ料金についてです。財務省におかれましては、お忙しいところ御出席いただき、まことにありがとうございます。
では、たばこ価格について御説明をお願いいたします。
○財務省矢花室長 それでは、財務省理財局総務課たばこ塩事業室長の矢花でございます。どうぞよろしくお願いします。
資料は、資料5の1枚の紙になります。若干ほかの公共料金と扱いが違っておりまして、その点についてきょうは御説明をさせていただきたいと思っております。
まず、表に従いまして説明をさせていただきますが、財・サービスの特性といたしまして、主な公共料金、ほかに代替性のない生活必需品ということでございますが、たばこにつきましては、多数の銘柄間での代替性のある嗜好品ということでございます。括弧書きですが、製品価格の6割強が税という課税物品でもあります。また、健康の問題で消費抑制の観点から価格あるいは課税といったものが重要、すなわち、安ければいいということではなくて、ある程度高い形で消費を抑制していく必要があるのではないかといった御指摘もいただいているところでございます。
次の欄でございますけれども、市場の形態。主な公共料金につきましては、独占的な供給体制ということで、多くの場合、消費者の選択の機会が確保されていないということですが、たばこのほうは国内外の多数の銘柄が競争をしているという状態でございます。多数の銘柄からお好きなものを選んでいただくような機会が用意されている。実績でいきますと、平成23年度、700件を超える件数を認可してございます。
財・サービスの供給者でございます。主な公共料金につきましては、基本的には国内企業というふうに認識しております。たばこにつきましては、国内だけでなくて、外国の企業も多数製品を供給しているところでございます。こういった性格がございまして、法律上、認可の基準の規定ぶりも違ってございまして、主な公共料金につきましては総括原価方式ということで、例えば電気事業法であれば、能率的な経営のもとで適正原価、適正利潤といった仕組みになっていると認識をしております。たばこのほうは非常に簡単でございまして、次のいずれかに該当するときを除き、認可をしなければならないということで、認可をしない場合がマル1、マル2ということで、1つ目が消費者の利益を不当に害するということでございます。これは、具体的に申しますと、メーカーのマージンが非常に過大であると認められるような場合は、認可をしないということになるわけでございます。
2つ目は、どちらかというと小売店との関係になりますが、最高販売価格、これは具体的には日本たばこの卸値というふうに見ていただければ結構かと思います。日本たばこの卸値、あるいは外国製品ですと輸入価格、これに照らして不当に低い小売り定価、すなわち小売りのマージンが非常に低く抑えられるような価格の設定はできない、認可しないという仕組みになってございます。
こうした制度のもとで認可基準の考え方でございますが、公共料金のほう、独占・競争制約に伴う過度の利益を事業者が得ることを防止する、消費者の利益を保護するということかと認識しております。たばこのほうは、不当に害するものについてのみ排除するということで、通常は競争を通じて適正な価格が形成されると考えられますので、認可に当たりましては、個々の小売り定価について詳細な基準により、その内容をチェックするということはしてございません。
したがいまして、こういう仕組みのもとでコスト削減のインセンティブがどう働くかということですが、総括原価方式では、公共料金事業のコスト削減のインセンティブが働きにくい性格であるということで、一層の経営効率化努力が必要だというふうに指摘をされております。
たばこにつきましては、競争を通じてコスト削減のインセンティブが働く点は、ほかの一般消費財と同じでございますので、製品の性格、市場の性格からいって、コスト削減のインセンティブは基本的には働くということでございます。
以上のような相違がございまして、ほかの公共料金におけますような事業者からの情報聴取ですとか消費者の参画というのはなかなかなじみにくいのかなというふうに認識をしているところでございます。
以上でございます。
○古城座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、御意見、御質問をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。
ほかに質問ございませんね。御説明にみんな納得したのだと思います。
どうも御足労いただきまして、ありがとうございました。
それでは、議論は以上といたします。
≪3.閉会≫
○古城座長 次回、これまでのヒアリングに基づき、専門調査会としての考え方の検討を行いたいと思います。
事務局から、連絡事項などございますでしょうか。
○原事務局長 本日は、どうもありがとうございました。
次回の日程については、改めて御案内をさせていただきたいと思います。
以上です。
○古城座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)