第3回 家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会 議事録

日時

2013年3月13日(水)17:00~18:59

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
古城座長、井手座長代理、蟹瀬委員、古賀委員、白山委員、矢野委員
【消費者委員会担当委員】
山口委員長代理、小幡委員、細川委員
【説明者】
経済産業省資源エネルギー庁  糟谷電力・ガス事業部長
経済産業省資源エネルギー庁電力・ガス事業部  片岡電力市場整備課長
滝澤電力市場整備課調査官
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、小田大臣官房審議官、浅田参事官
消費者庁 草桶審議官、長谷川消費生活情報課長

議事次第

1.開会
2.査定方針案の経済産業省ヒアリングについて
3.電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(福岡・大阪) について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:8KB)
【資料1-1】関西電力及び九州電力の認可申請に係る電気料金審査専門委員会の査定方針案について(査定方針案概要版)
【資料1-2】関西電力株式会社及び九州電力株式会社に係る電気料金審査専門委員会の査定方針案について
※資料1-1、1-2は、国立国会図書館インターネット資料収集保存事業WARP(http://warp.da.ndl.go.jp/)に掲載されております。https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8098966/www.meti.go.jp/committee/sougouenergy/sougou/denkiryokin/report_002.html(国立国会図書館インターネット資料収集保存事業(WARP)の保存ページ)の【関西電力株式会社及び九州電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案(概要)(PDF形式:516KB)】【関西電力株式会社及び九州電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案(PDF形式:2,590KB)】を御参照ください
【資料2】チェックポイントへの回答
【資料3-1】九州電力株式会社による電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(結果の概要)(PDF形式:14KB)
【資料3-2】 関西電力株式会社による電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(結果の概要)(PDF形式:118KB)

≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、時間がまいりましたので、始めさせていただきたいと思います。
 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。
 ただいまから、「消費者委員会公共料金等専門調査会 家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会」、第3回の会合を開催いたします。
 本日は、所用により、専門委員の小塩委員、橋本委員が御欠席という連絡をいただいております。
 まず、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第の下に配付資料一覧を載せておりますけれども、資料1-1が、「関西電力及び九州電力の認可申請に係る電気料金審査専門委員会の査定方針案について」ということで、1-1が概要版です。1-2が査定方針案の本体になります。
 資料2といたしまして、資源エネルギー庁から、消費者庁が提出いたしましたチェックポイントへの回答をいただいております。
 資料3-1と3-2は、3月7日と11日に、九州電力、関西電力の値上げ認可申請に関する意見交換会を地元で開催をいたしましたので、その概要をおつけしております。
 審議の途中で、不足がございましたら、お申し出いただければと思います。
 それでは、座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○古城座長 本日は、経済産業省資源エネルギー庁から、「関西電力及び九州電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案」について御説明をいただきます。続いて、事務局から、3月7日に福岡で、3月11日に大阪で、それぞれ開催された電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会の報告を受けます。その上で議論を行いたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。

≪2.査定方針案の経済産業省ヒアリングについて≫

○古城座長 消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会では、関西電力及び九州電力の家庭用電気料金値上げ申請に関して、これまで、12月11日、1月24日の2回にわたって議論を行ってまいりました。また、去る3月6日、経済産業省における電気料金審査専門委員会で示されました、「関西電力及び九州電力株式会社の供給約款変更認可申請に係る査定方針案」について、同日付で消費者庁にて協議が行われ、さらに、消費者庁長官から消費者委員会に対して、これに対する意見を求める付議が行われました。
 本日は、この付議を受け、査定方針案の概要や消費者庁によるチェックポイントを踏まえて、どのように査定したのかを中心に御説明していただきたいと思います。資源エネルギー庁におかれては、お忙しいところを御出席いただき、まことにありがとうございました。
 説明時間につきましては、20分程度でお願いいたします。よろしくお願いいたします。

○糟谷電力・ガス事業部長 資源エネルギー庁電力・ガス事業部長、糟谷でございます。よろしくお願いいたします。
 まず、資料の1-1に基づきまして、経緯を簡単に御説明申し上げます。
 昨年の11月26日に関西電力、11月27日に九州電力から、それぞれ電気料金認可申請の提出がございました。関西電力は、規制分野で11.88%の値上げを申請。九州電力は同じく規制部門で8.51%の値上げの申請がされました。
 これを受けまして、東京電力のときと同様、総合資源エネルギー調査会における電気料金審査専門委員会において検討をいただきました。委員会はすべて公開のもとで10回開催いたしまして、その10回いずれの回も、消費者団体、中小企業団体、消費者庁からオブザーバー参加をいただきました。
 また、公聴会につきましては、1月28日に大阪、1月31日と2月1日に福岡で行いました。それから、国民の声を募りまして、関西電力については752件、九州電力については444件いただいております。
 査定方針案の検討に当たりましては、それぞれの委員の方、数名ごとにチームを組んでいただきまして、分野の担当割り振りをいたしまして、それぞれの詳細な資料を直接確認いただきました。委員から事務局に対するヒアリングは、延べ102回、合計125時間行っております。その結果、3月6日に査定方針案をとりまとめたわけでございます。これが、資料1-2につけております分厚い資料でございます。
 これについて、片岡課長から、いただいたチェックポイントに沿いまして、どういうふうに対応したかということを御回答申し上げます。

○片岡電力市場整備課長 資料の2をごらんいただければと思います。項目ごとにまいります。
 まず1ページ、人件費ですけれども、役員報酬と、従業員一人当たりの年間給与、両方あります。役員報酬は、関西電力、九州電力それぞれ、減額の上で4,100万円、3,300万円、一人当たり原価に入れております。また、人数につきましても、関電が3名の減、九州は3名の増となっておりました。これに対しまして、査定方針案におきましては、九州電力の3名の増員は認めない。一人当たりの水準につきましては、国家公務員の指定職の給与水準と同レベルとすることが適当である、としております。
 また、従業員一人当たりの年間給与水準は、関西電力、九州電力それぞれ、地域補正も含めて補正のやり方が異なっておりまして、申請でいきますと、関電が664万円、九電が650万円という申請になっておりました。
 これに対して、査定の考え方ですが、まずは、一般電気事業者が競争市場にある企業と異なるということで、一般的な企業の平均値を基本とする。他方で、同種同等の観点から、類似性を持つ企業との比較も加味する。地域間の賃金水準の格差も考慮するとなっております。
 具体的には、一般企業の平均値として、賃金構造基本統計調査(賃金センサス)の1,000人以上の企業の平均値(594万円)を基本とする。公益企業の加味につきましては、大規模ネットワークを有するといった特性を踏まえまして、ガス・水道・鉄道の3業種。企業との同種同等比較という観点から、年齢、勤続年数に加えまして、学歴についても相違を補正する。その上で、それら3業種の単純平均と、先ほど申し上げました594万円の単純平均、これを平均するということであります。
 地域補正につきましては、それぞれやり方が異なっておりますけれども、賃金の決定には消費者物価指数が基本となるのではないか。他方で、これらとそれぞれの申請の間には大きな乖離が見られない、かつ、それよりも低くなっているということで、それぞれの申請は妥当であるということであります。
 結果、一人当たり、関西の664万円の申請が627万円、九州は650万円が598万円になります。これは、現行の水準から比べますと、関電は790万円でしたので、21%の減。九電は826万円でしたので、28%の減であります。東京電力の査定が、761万円から590万円ということで、22%減となっておりますので、それと関電は同等、九電はそれよりも大きい下げ幅となります。
 続きまして、4ページ、厚生費です。法定厚生費につきましては、単一組合・連合組合の合計の負担率(55%)を上限として原価算入を認めるという査定方針になっております。
 一般厚生費は、厚生施設、文化体育費、カフェテリア、その他奨励金等であります。関西電力は一人当たり25.9万円、九州電力は24.1万円、原価に算入されております。査定方針案につきましては、これら水準が1,000人以上の企業の平均値と比較した場合に、下回っているということで、それを確認した。この範囲においては、どのような福利厚生施策に重点を置くかは企業の自主性に委ねられるべきであるということであります。
 なお、厚生施設、体育施設、文化施設につきましては、原則、入っていない。一部入っていますけれども、これは発電所敷地内にあるグラウンド等であり、原価算入を認めないという方針であります。カフェテリアプランにつきましては、コスト削減の効果がある。奨励金につきましては、持株奨励金は、従業員持株制度を有する企業の9割が奨励金の5%以上ということで、妥当ではないかという意見をそれぞれいただいております。
 5ページ、出向者の給料、顧問料ですけれども、これにつきましては、電気事業本体に関係が深いものに限って原価算入されるということを確認した。ただし、ヒートポンプ・蓄熱センターの2名については、原価から除くべきという査定方針案となっております。顧問につきましても、関電の14名、九電の3名につきましては、原価に算入することを認めるべきではないということであります。
 続きまして、調達等であります。指名競争入札の比率で、60%を目指した数字となっているかというチェックポイントですけれども、関西電力、九州電力それぞれ、現状15%程度ということで、残り85%のうちの関係会社の割合は約5割という回答であります。これにつきましては、九電、関電ともに、今後、3年程度で3割まで高めることを目指したいということを、審査専門委員会の場でも、あるいは、この調査会の場でも説明をされております。
 マル5の削減率ですけれども、10%を目標としているかということで、原価算定上は両電力ともに7%程度の削減効果を織り込んでおりました。これに対しまして、査定方針案は、東京電力の例を勘案し、コスト削減を求めることが困難である費用を除き、10%に満たない場合には未達分を減額するということで、原則10%という方針を出したわけです。
 7ページ、入札比率の拡大等について、第三者の視点をもって進捗を継続的に検証ということですけれども、これも、査定方針案で、最後に今後の課題といたしまして、「外部の第三者の視点を取り入れた検討・検証を行う仕組みを導入するなど、インセンティブをさらに促進する仕組みを検討すべきである」という御指摘を委員からいただいていますので、今後、経産省において、具体的な対応策を検討してまいりたいと考えております。
 7番です。広告宣伝費、交際費、兼職職員、幹部送迎用の社用車です。次のページに査定方針を載せておりますけれども、基本方針としまして、公益的な目的から行うようなものを除く広告宣伝費、あるいは寄付金、団体費、これらについては原価算入を認めない。従来より、交際費、政治献金、書画骨董等についても、原価算入を認めないとなっております。普及開発費につきましては、販売促進を目的としたものは入っていないということを確認していますけれども、他方で、節電、省エネ推進を目的としたものであっても、販売促進的な側面が強いと考えられるものについては、原価から除くべきであるという査定方針になっております。
 また、地方議会の議員との兼職の人件費も、関西電力が7日以内の給与を原価に算入していましたけれども、これについては、原価算入を認めないことが適当であるというふうになっております。社用車につきましては、顧問等にかかる費用、これは顧問の人件費を査定した、つまり認めなかったのと同様に、執務スペース、社用車についても、原価から除くべきであるということになっております。
 8番、寄付金、団体費、交際費です。交際費は先ほど申し上げたとおりです。寄付金につきましては、九州電力の、大牟田市特定呼吸器疾病救済事業への寄付金のみが算入されておりましたけれども、これについては補償的な意味合いがあるということで、原価算入を認めるという査定方針になっております。団体費につきましては、海外電力調査会、海外再処理委員会等、5団体について、合理的な理由があるということで、原価への算入を認めるということですけれども、電気事業連合会ほか、それ以外の団体につきましては、原価に算入されていないということであります。
 9ページ、電力中央研究所への分担金です。査定方針案においては、優先度の低い研究や、情報収集を行うような研究、重複しているものについては、原価から除くべきということであります。また、電中研につきましては、電力本体で行うことも考えられる業務を、各社が費用を分担するものであるということもありますので、関西電力及び九州電力のコスト削減並みに原価から減額する。その他一般管理費等のコスト削減可能な経費についても、10%減額すべきであるという方針になっております。
 再委託の比率につきましては、10ページ、11ページに表が載っています。
 12ページは、子会社・関係会社の役員報酬・賞与・退職慰労金であります。これにつきまして、関西電力、九州電力の説明が、上のマルで書いてございます。査定方針案は、資材調達や工事・委託事業に関しまして、今後、契約を締結するものにつきましては、入札の実施の有無にかかわらず10%の効率化を求めるということであります。加えて、子会社、関係会社につきましては、本社並みの経営合理化を求めるため、今後の契約取引にかかる費用のうち、一般管理費等のコスト削減可能な部分について、出資比率に応じて10%の追加的なコスト削減を行うことを前提に減額するというふうになっております。
 11番、子会社・関連会社の役員を兼務している者の報酬です。これにつきましては、関西電力が、日当もしくは無報酬、九州電力は無報酬としているということです。
 12番、コスト削減努力でありますけれども、申請ベースにおきましては、関西が1,553億円。九州電力は1,130億円。内訳は次ページ以降に載っていますが、原価に反映しているということであります。これに対しまして、7%の削減を前提に織り込んでいるわけですけれども、10%を求めるとなったのは、先ほどの回答のとおりであります。
 なお、スマートメーターにつきましては、両電力ともに、今後、仕様を公開し、競争入札を実施するという方針を表明しております。それを踏まえまして、査定案におきましても、1.4万円程度の織り込みとすべきというふうになっております。
 14ページ、事業報酬です。資金を調達するコストである事業報酬につきましては、算定方法が、算定規則、あるいは審査要領に定められております。他方で、電気事業をめぐる経営リスクが、一般企業と比べてどのような位置にあるかというβ値については、そのときに見るということになっていまして、今回の査定方針案では、震災後の3月11日から審査専門委員会の査定方針案のとりまとめの日までとすることが妥当である。結果、申請は妥当であるということですけれども、そういう結論になっております。
 なお、事業報酬の算定につきまして、3割の自己資本比率を前提としているので、実際の配当、支払利息等のコストを上回るという指摘があります。これにつきましては、もともと3割の自己資本比率は、他の公益事業の状況を参照しつつ、望ましい自己資本比率として設定されたものであるということ。関電、九電ともに、昨年度以降、大幅な赤字により大きく自己資本が毀損しております。こうした中で、資金調達コストの低減に努め、内部留保の充実を通じて将来の資金調達コストを低減させていくことは、電気料金の安定性の観点から、需要家にもメリットがあるということを査定方針案にも書いてあります。
 16ページ、原価償却費です。減価償却費は、設備投資により形成された発電所等の設備が運転開始することに伴い、簿価の一定割合が会計上、費用化されてまいります。他方で、電気事業の運営にとって真に必要不可欠な試算に限るということになっております。関西電力は、長期計画停止火力、保養所、病院。九電も保養所、スポーツ施設、PR施設、こうしたものについては原価算入は行われておりません。査定方針案におきましては、その施設が真に必要なものかということについて、経産省の職員が立入検査をやっておりますけれども、その結果を確認したところ、ここに書いてありますような設備については、原価から除くべきであるというふうになっております。同時に、レートベースが除かれるものですから、それに伴いまして、それに係る減価償却費についても、原価算入を認めるべきではないということです。
 15番は、その各論でありますけれども、稼動が見込まれない原発設備をレートベースに含める理由は、関西では、11基中4基の稼動を想定しており、九州電力では6基中4基の稼動を想定しております。査定方針案の中では、審査要領に書いてありますけれども、長期の停止発電設備につきましては、原価算定期間内の緊急時の即時対応性や改良工事中など、将来の稼動の確実性を踏まえて算入するとなっております。これらの稼動を見込んでいない発電所につきましては、高経年化対策に加え、さらなる安全性向上対策等の実施を計画しているということで、原価算定期間以降には稼動するものと想定していることから、レートベース及び減価償却費を算入することは妥当であるという結論になっております。
 なお、建設中の資産につきましては、工事認可等により、実施が確定したものについて、2分の1が算入されているということです。
 18ページ、燃料費です。16番、メリットオーダーですけれども、発電単価を踏まえた燃料費の抑制ということで、査定方針案においては、最も経済性のある石炭をベースとして、次に経済性のあるLNGを優先的に消費、残りの所要量を石油の順に賄うということを基本としていることを確認しました。具体的に、第16回の委員会で詳細な検証資料が出ておりますので、19ページ以降に添付しております。
 22ページ、燃料調達であります。17番、18番、あわせて回答をしております。長期契約のうち、将来の燃料費の削減期待額を織り込んで削減できないかということであります。これにつきましては、23ページ以降、詳細に査定方針案を書いてございます。特にLNGは、関西電力におきましては、長期契約の9プロジェクト11契約のうちで、5プロジェクト7契約。九電は、6プロジェクト7契約のうち、4プロジェクト5契約が改定を迎えます。これにつきまして、どう査定するかということであります。
 調達義務に関しまして、不可抗力による引取不能は免責されるけれども、そうでなければ、契約未達数量についてはテイクオアペイということで、支払の義務があるということを、契約上、確認しております。
 24ページに移ります。今回の申請におきましては、改定後、どのような価格にするかということにつきまして、関電は、全日本のLNGの通関価格ですけれども、JLC、全日本並みということになっております。九電は、現行の据置き、もしくは若干の値上げで申請に織り込んでいるということで、これにつきまして、将来の効率化努力を先取りした調達価格を織り込んだ原価査定を行うべきであるという結論になっております。
 具体的には、今回、原価算定期間は3年ございますけれども、最初の2年につきましては、申請会社以外も含めまして、一般電気事業者の中で最も安いもの、いわゆるトップランナー価格を原価の織り込み価格とすべきであるということであります。加えて、27年度以降につきましては、シェールガスが米国から非FTA締結国に輸出開始が見込まれる。日本に入ってくるのはさらに先ですが、非FTA締結国に輸出される見込みがあるということで、27年度以降、天然ガスリンクの価格を一部反映した織り込み価格とすることが適当である、という結論になっています。
 25ページ、19番、購入電力料、再処理積立金です。その概要は、特に原子力発電の件につきましては後ほど詳しく説明をします。
 28ページです。購入電力料と再処理費用のうち、広告宣伝費、給付金、団体費等がどうなっているかということですけれども、基本的な考え方として、こうした費用は原価から除くということで査定方針案に書かれております。止まっている原発に係る購入電力料は、2つ目のマル以下で査定方針が書いてあります。
 これら、関西電力が、北陸電力及び日本原電に支払う発電の購入電力料につきましては、受電する量に応じて払う電力量料金、受電する量にかかわらず払う基本料金、この組み合わせで設定をされております。今回の申請では、原価算定期間における受電量はゼロと見込んでおりまして、そういう意味では核燃料費等の電力量料金は原価に算入されていないということで、全体では128億円の減となっております。他方で、今回の申請では、停止中の発電所に係る維持管理費、あるいは安全対策工事などに必要と見込まれる費用が、基本料金として算入されております。これにつきましては、相手方との契約原本などを確認した結果、以下の理由から原価に算入することを認めることが適当であるとなっております。
 具体的には、契約の相手方との共同開発である。そのため、人件費、修繕費、減価償却費等の維持管理費用、将来の稼動に向けて投資に要する費用についても、自社電源同様に負担する義務があると考えられるということであります。
 なお、日本原電の敦賀発電所につきましては、原子力規制委員会での調査も行われておりますけれども、現時点では最終的な結論は出されていないということであります。他方で、基本料金の算入を認める一方で、相手方に対して効率化努力を求めていくべきであるということで、既存分の減価償却費等を除き、人件費や修繕費につきまして、関電の効率化努力と比較して減額していく。とりわけ日本原電につきましては、人的関係も考慮すれば、先ほどの子会社出資率に応じてではなく、100%フルということで、関電のコスト削減努力並みに一般管理費等の経費について、10%削減するという方針になっております。
 29ページです。再稼動の理由と再稼動しない場合の影響です。再稼動の理由につきましては、関西電力と九州電力、それぞれストレステストの評価結果等を踏まえて算入したという説明が書いてございます。また、再稼動しない場合の影響は、関西電力につきましては、収入不足がほぼ倍増するということ。九州電力は、自由化部門、規制部門合計の値上げ率が35%まで上昇するという試算結果を載せております。
 21番、バックエンドですが、3つの費用がございます。マル1、マル2、マル3、それぞれ法律もしくは省令に基づきまして算定方法が決まっております。具体的内容につきましては、30ページ以降に表を載せております。
 32ページ以降、レートメーク等の話になってきますけれども、規制部門と自由化部門の関係で、原価の配分、損益構造をあわせて説明しております。原価の配分につきましては、算定規則に基づき、適切に行われていることを確認したとあります。さらに、各需要種別、大口、小口の需要種別への配分方法は、スマートメーターを活用したサンプル調査に基づく推計値が用いられておりまして、過大ではないことが推計されたとしております。
 この結果、総原価に対する事業報酬の割合につきましては、関西電力、九州電力の数字が書いてありますが、それぞれの部門における固定費の割合、固定費の資金調達コストだということでありますので、その割合を適切に反映したものであることを確認したというふうになっております。
 なお、料金改定実施後に、実績と異なってくるということになりますれば、先般来、御説明していますけれども、認可申請命令の発動という事後チェックになっていくということであります。
 33ページは、需要の推計、見込みと実績の乖離であります。これにつきましても、低圧の最大電力はスマートメーターを活用したサンプル調査に基づいている。それに加えまして、景気後退期・拡張期の織り込み、これは民間のシンクタンク17社等の予測値に基づきまして、IIPあるいはKP3を織り込んでいるということです。
 なお、効率化メニュー、節電メニューが、予想以上に効果を発揮した場合、料金が下がるのではないかという指摘もありましたけれども、一定の仮定をおいて計算した場合、需要の減が直接設備費に効いてこないというふうになりますと、燃料費の減が、分母が減ることによります単価の増を上回っていまして、そういう意味では、逆に値上げになってしまうということを確認したということです。
 33ページの下のほうですが、販売電力量、原価項目の見込み値と実績値の比較です。次ページに、今回のものを載せておりますし、去年から部門別収支の公表を行うようになりまして、それぞれのホームページで過去の原価算定期間における販売電力量、あるいは原価項目の見込み値と実績の違いを載せるようになっております。
 35ページ以降は、料金体系、新料金体系移行に向けた情報提供であります。試算できるようにということですけれども、両電力ともにホームページ上でシミュレーションが可能になるようになっているということです。
 27番、省エネ、節電のインセンティブですけれども、まず、査定方針案では、3段階料金につきまして、それぞれ今回の申請、1・2段の格差率を縮小し、2・3段を拡大しているということで、1段階目のナショナルミニマムという考え方、3段階目の節電、省エネの考え方、これに照らせば妥当であると考えられるということです。
 28番の周知・説明は、チラシ、ホームページ、個別説明、個別訪問等々で説明しているということを書いてございます。
 29番のステークホルダーの負担は、36ページに、この調査会で事業者から説明がありましたけれども、その資料を再度載せております。
 37ページ、30番は、消費者からの問い合わせ、苦情ですが、専用ダイヤルを設ける、あるいは個別に訪問する等によって万全を期していきたいということであります。
 38ページ、資産売却です。これにつきましては、関西電力、九州電力のこれまでの取組みを書かせていただいています。査定方針案との関係は、総原価との関係は直接的には関係はないということですが、子会社、関係会社に対しても、先ほどのとおり、出資率に応じまして10%の追加のコスト削減を求めるということで、一般の企業に発注するよりは、より深い査定幅、効率化努力を求めるというふうになっております。
 38ページ、附帯事業です。まず現状は、附帯事業が利益を計上しているということに加えまして、電気事業とそれ以外、例えば通信事業等の附帯事業との区分につきましては、会計規則で定められておりますし、それについては、特別監査、立入検査で確認しているということです。
 39ページ、需要の伸びの予測ですけれども、節電の継続、あるいは代替エネルギー自給の流れ等々について、どう織り込んでいるかということです。節電につきましては、(2)とも関連しますけれども、それぞれ電力会社が行いました節電のアンケート、政府の行いました節電のアンケートを見比べまして、それぞれの定着率を算定しております。
 40ページ、定着の量としましては、関電であれば368万kWのうちの249万kW(7割程度)という、一定量としての節電量を見込んでおります。
 34番、供給予備力ですけれども、需給検証委員会で昨年、議論がありましたが、少なくとも8%程度の予備率が必要ということでございます。九州電力の予備率が、8%を上回っている場合もあるということが確認されましたけれども、原子力発電所の再稼動見通しが、申請時の仮定に基づくものであるということも勘案すれば、直ちに問題だとは言えないものと考えられるということになっております。
 41ページ、適切な審査等ということです。今回の審査はどう変えたかということですけれども、前回、東電のときにいろいろ御提言も踏まえまして改善をいたしました。今回、それに加えまして、電気料金審査専門委員会の委員として消費者問題の専門家に御参加いただく。地方の会社の申請でもあるということで、インターネット中継も行いました。公聴会につきましては、消費者団体、消費者庁、消費者委員会にも大変御尽力いただきまして、1,200団体に周知を行いまして、東電を上回る参加を得たということであります。加えまして、電気料金審査専門委員会の委員、あるいは消費者委員会の委員におかれましても、御出席いただいたということであります。今後も、こうした御意見を聞きながら継続的に改善していきたいと考えております。
 情報公開は、電気料金審査専門委員会は、先ほどのとおり、10回にわたりましてすべて公開のもとで行っております。今回の査定方針案も公開しましたけれども、最終的な方針案につきましても、東電のときと同様に公表したいと考えております。
 37番、実施のタイミングにつきましては、消費者庁の協議のプロセスの中で判断することにしたいということです。
 38番、エネルギー政策の今後の在り方についての理解ということで、3月15日から総合資源エネルギー調査会の総合部会を開催いたしましたけれども、これについても、御理解いただけるように進めていきたいということであります。
 大変長くなりましたが、以上でございます。

○古城座長 ありがとうございました。
 続きまして、消費者委員会公共料金等専門調査会家庭用電気料金の値上げ認可申請に関する調査会では、電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会を、3月7日に福岡、3月11日に大阪でそれぞれ開催しました。その模様について、消費者委員会事務局の浅田参事官から、御報告をお願いいたします。

○浅田参事官 事務局でございます。資料は3-1と3-2で御説明申し上げます。
 座長から御案内がありましたとおり、3月7日は福岡、11日は大阪で調査会委員の皆様も御出席いただいた上で、意見交換会を行っております。
 まず、3-1、福岡でございます。北九州から鹿児島まで4団体の方に御参加いただいて、意見をいただきました。大きくまとめますと、今、御説明いただいた査定方針案ですが、消費者庁作成のチェックポイントをよく踏まえて作成されているといった評価があった上で、今後もよくフォローアップしてチェックをする必要があるといったようなこと。人件費については、少々議論がありまして、切り込んだことは切り込んだのだろうけれども、まだ九州の水準から見ると高いのではないか、という意見もあったということでございます。
 特に福岡で多く出ましたのが、消費者への情報提供ということでございます。個々の消費者、事業者に丁寧に説明されているのかどうかは疑問である。高齢者の方にもよくわかるように、パンフレットはいろいろ配って努力されていることはわかるけれども、わかりやすいものかどうかは疑問であるといったようなことがありました。
 続きまして、資料3-2、大阪でございます。大阪は、6団体、ほぼ関西全域、各県から御参加をいただきました。大阪でも、今回の値上げの審査システムですけれども、情報が随分開示されるといったようなことで、昔から比べれば格段の進歩があるといったようなことがございますけれども、厳しい意見も多々ございました。
 2ページ目の人件費でございますけれども、役員給与については、チェックポイントも反映されたと理解しておりますが、国家公務員並みということで、かなり切り込んでおりますが、まだ消費者の思いとは乖離があるのではないかといったようなこと。燃料費につきましては、シェールガス革命の話もありますけれども、そういったものはもっと早めに取り込むことはできないのかといったようなこと。
 購入電力料は、特に日本原電の関係でございますが、受電量、購入電力がゼロなのに、原価に入るのは理解しがたいといったような厳しい意見もございました。レートベース、事業報酬についても、再稼動を見込んでいない原発についても、レートベースに入っているのはどうなのかといったようなことがございました。
 料金改定のうち、使用量に応じた3段階というのがありますが、わかりやすい議論がされているのか。先ほど説明がございましたけれども、節電プランを使うとかえって値上げになるといったことがあるけれども、これはどう理解していいのかよくわからないといったようなことがあったということでございます。
 さらに、補足でございます。福岡、大阪とも共通してありました点については、この調査会の直接の議題ではございませんが、今後、予定されております電力システム改革、家庭用小売電力の自由化が今後進むわけですが、これについて、消費者にどういうメリットがあるのか、よくわからないので、今後、理解していきたいといったようなこと。制度設計についても、消費者の参画を得ながら、消費者の利益になるようなものにしていただきたい。規制なき独占といったことに終わらないようにしてほしいといった意見があったということでございます。
 以上であります。

○古城座長 ありがとうございました。
 査定方針案及び意見交換会について御説明をいただいた内容について、御質問、御意見のある方は御発言をお願いいたします。内容が多岐にわたりますので、チェックポイントの項目ごとに議論を行いたいと思います。その上で、本日の議論を取りまとめて調査会の意見にしていきたいと考えております。この場で、疑問点等については漏れなく確認していきたいと考えておりますので、委員の皆様、御協力をお願いいたします。
 まず、人件費について御議論をお願いいたします。御発言のある方は、前の名札を立てるようにしてください。
 矢野委員、お願いします。

○矢野委員 御説明、ありがとうございました。4ページの厚生費についてですが、特に法定厚生費、健康保険料と事業主負担については、東電は結果として50%という割合でしたが、今回、55%を妥当としているわけです。東電の50%結果を踏まえた状態にならなかったことについての御説明をお願いしたいと思います。

○片岡電力市場整備課長 東電の際に、電気料金審査専門委員会の査定方針としては、たしか56%が妥当であるとしたかと思います。これは、他の人件費が1,000人以上の企業の平均を基本とするとなっていますので、それに基づきまして、厚生費につきましても、負担割合、これは単一組合と連合組合と、わりと大きな企業で個別の会社で持っている組合、あるいは、その会社プラス関係会社が持っている組合の合計値ですが、これが56%だったものですから、それで56%にしました。
 今回、統計が変わっていまして、55になっているので55にしたということですが、東電の場合は、消費者庁協議の過程で、人件費につきましては、管理職の給与水準を3割カットするというようなことも含めまして、公的資金を投入された企業であることに鑑みまして、深掘りをしたということでありますので、今回はそこまではやっていないということであります。

○古城座長 井手座長代理、お願いします。

○井手座長代理 人件費のところで、まず、類似の公益事業というところで、ガスと水道と鉄道の3業種を選んでいます。航空はもちろんパイロットとかがあるので、高収入ですけれども、パイロットを除いて航空の賃金を比較することも可能ですし、水道というのは基本的に地方自治体がやっているものです。これを入れるというのは、地方自治体の場合は、給与は安いかもしれないけれども、退職金等々があります。それを考慮しないときちんとしたものにはならない。通信も、なぜ外すのかよくわからない。通信をどうして外したのか、水道は地方自治体であるのにどうして入れているのか。
 役員報酬のところもそうですけれども、国家公務員並みというふうにされて、減額するというのはいいのですが、これも生涯賃金とかを考えたときに、退職金というのは国家公務員と地方の民間企業と全く違うという認識があるので、その辺はどういうふうに考慮しているのかというところ。
 もう一点、査定方針案の中で、一人当たりの法定厚生費とか、一人当たりの一般厚生費を出していまして、電力11社の平均で平成23年度で比較しています。これを東京電力と比較するとどうなるかとか、23年度と比較してどのぐらい削減しているかというのも必要ですけれども、横並びで東京電力と比べてどうなのかというのも参考資料として出して、例えば一人当たりの人件費全体で見てどうなのかとか、そういう比較を本来やることが必要なのではないか。
 以上です。

○古城座長 よろしくお願いします。

○片岡電力市場整備課長 まず、公益企業をどう選ぶかということですけれども、基本的にはこれも、ある程度予見可能性ということもありますので、統一的な統計調査を使ったほうがよかろうということです。そういう意味では、航空につきましては、この統計上、パイロットとそれ以外を分けてはいないので、そろえられる数字はこれしかないということでした。別途、もしパイロットを除く数字があるのならば、教えていただければありがたいと思います。
 なぜ通信を除いて水道が入っているかということにつきましては、ネットワーク産業であること。これは通信も同じかもしれませんけれども、加えまして、競争状態がどうかということが議論でありました。通信、航空につきましては比較的参入が自由化されていまして、競争が促進されているということで、むしろ類似の産業という意味では、ガス、水道、鉄道が適当ではないかということであります。
 退職金につきましては、委員会でも事業者のほうからそういう議論がありました。国家公務員の給与水準が民間調査で、3,200万円ぐらいの数字ですが、それを踏まえて国家公務員の指定職の給料が出ていることを踏まえまして、そういうレベルにしました。そういう意味では、退職金等を加味していないという意味で、より厳しいものになっているのではないかと思います。
 法定厚生費、一般厚生費につきまして、東電との比較は、手元に数字がありませんけれども、これは関西電力が委員会でも説明をしておりましたが、おっしゃったように、全体の一人当たりの人件費で見た場合、東京電力に比べて関西電力の申請のほうが既に低いという説明も行われております。
 ただ、これにつきましては、多少、出向者をどう入り繰りするかとか、人員数の問題とかもありますので、必ずしもそれだけで判断するのはどうかということで、今回のこういう判断に至っているということであります。いずれにしましても、東電に比べましても、先ほどのカット率は相当なものになっていましたけれども、相当厳しく査定をいただいたと思っております。

○古城座長 補足ありますか。

○井手座長代理 産業ごとに見ると、水道は全く競争は行われていません。それを考慮するというのはよくわからない。通信も、ウエイトとして高いのはNTT東西です。確かに携帯等は、給料がどのくらいか知りませんけれども、競争が行われているかどうかで見ると、取り上げる業種というのは多分違うのではないかと思いますが。

○片岡電力市場整備課長 いろいろ考え方もあり得るとは思いますけれども、繰り返しますが、一つは、まさに類似の企業ということで、競争実態があるところはむしろ違うだろうと。つまり、一般企業の594万円という全産業のほうで一般企業の平均と見ていて、むしろ公益企業というのは、電力会社と類似の企業はどういうところなのか、そういう観点で見ていったということです。
 もう一つ、言い忘れましたけれども、料金規制の観点におきましても、通信におきましては、基本的に接続料以外はほぼ自由化されております。他方で、ガス、水道、鉄道につきましては、小売料金が認可制であるということで、そういう意味でも類似性があると考えた次第です。

○古城座長 細川委員、お願いします。

○消費者委員会細川委員 御説明、ありがとうございました。今回は、公共料金としての規制部門の認可ということで、原価算入すべきものの中の審査ということになりますけれども、競争のない事業者の経営の自由度とか、情報公開はどうあるべきかという、大きな部分がそこに横たわっていると思います。
 そういう意味で言うと、例えば人件費についても、原価算入したいと言ってきて申請したものについてはチェックしていますけれども、例えば九州の意見交換会であったように、実際はもっと払っているのではないかとか、そういう疑問があるわけです。特に九州の水準で見ると、原価算入すべきという金額ですら高いのに、もしかしたら、それ以上のものを払っているのではないかという疑問があります。その辺については経産省としてはどうなのでしょうか。
 それは私企業なのだから、利益を上げて、それ以上の役員報酬を払うのは自由なのか。あるいは九州電力で言えば、顧問とか相談役の報酬を原価算入にすることは、望ましくないという判断は出されましたけれども、そうは言っても、原価算入には認められなかったけれども、相談役とか顧問を置いて巨額の報酬を払うということに対して、それは仕方ない、しかも、情報公開もそれはしないでいいということになるのか。その辺はかなり疑問があると思います。
 それは人件費だけではなく、例えば政治献金みたいなものもそうですし、電気事業連合会への拠出金もたしか算入を認めないということですけれども、逆に認めないがゆえに自由だということで、ベールに包まれてしまう。その辺はスタンスとしてどうなのか、お聞かせいただきたいのですが。

○古城座長 よろしくお願いします。

○片岡電力市場整備課長 あくまで我々は、規制権限としまして、電気料金の規制を法律に基づいてやっているものですから、基本的には原価の査定を見ているということです。人件費も査定方針案にも明確に書いてありますが、労使交渉で基本的には決まるというのは大原則だと思います。そういう意味では、実際の人件費をどうしろ、給与水準をどうしろと言っているわけではないことは確かです。
 原価以外で払われるもの、あるいは査定後に実績が異なってくるものはあろうかと思います。他方で、全体としての状況を見たときに、自己資本がこれだけ毀損している中でそういう費用をどういうふうに配分していくか、経営者としても考えると思いますし、制度としましては、毎年、部門別収支といいまして、自由化部門、規制部門の収支結果を年に一度公表することにしています。項目につきましても、人件費で原価には幾らだったけれども実際はどうだったかというのがわかる形で、今年から出すようにしておりますので、そういうことも考えながら、経営としての適切な判断をされていくということではないかと思います。

○消費者委員会細川委員 例えば役員報酬は、現実には幾ら払われたかというものの情報開示は、進むと考えていいですか。あるいは、そこは経産省としてはタッチしないということでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 役員報酬については、毎年、明示的に有価証券報告書に出てくると思います。それ以外の項目、人件費、修繕費、購入電力料、燃料費とかありましたけれども、それらの大きな費用の固まりが原価と比較してどうだったのかというのは、毎年、公開していくということになります。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 ありがとうございました。矢野委員の質問等と重なりますけれども、細かいことにこだわりたいのですが、東電の場合、56%の法定厚生費とのご説明がありました。衆議院消費者特別委員会での昨年の東電の値上げに関する質疑を傍聴していたのですけれども、東電の場合、昔は75%とか80%ぐらい事業主負担率であったということをお聞きし驚きました。
 今回の値上げに関して、大阪では3月11日に地元の方のヒアリングを行いお聞きしましたが、常識的に考えた場合、事業主負担はやはり50%を限度にすべきだという意見がありまして、私もそのとおりだと思います。法定福利費といっても、今、健康保険料等の負担率そのものが非常に高くなっています。給料の1割以上という場合もあります。そこのところはこだわりたいのですけれども、仮に55%を50%にした場合には、全体の値上げ幅には微々たる影響なのかもしれないですが、どれぐらい影響があるのでしょうか。

○古城座長 よろしくお願いします。

○片岡電力市場整備課長 手元に数字がないのですが、恐らくそれほど大きくないと思います。多分、1ケタ億円ぐらいのものだと思います。パーセンテージでいくと、全体が二兆三千数億ですので、非常に小さいものになると思います。繰り返しですけれども、あくまで全産業の参照すべき企業の平均値が55%であることをもとに、我々としては55という査定方針案にしているということです。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 検討のプロセスの確認という趣旨で、細かなところに入ってしまうかもしれませんが、確認させていただきます。まず、検討の査定方針案のところで、関電にしましても九電にしましても、退職給与金が出ております。給料手当自体を原価に算入しない部分が出てきたことによって、退職給与金の将来の見積りなど、その辺りに対する影響はなかなか算定等が難しいところはあると思いますけれども、それによって、退職給与金自体の将来の予測費用が下がって退職給付費用自体が削減される影響や、これらの相互の関連性の影響というのは、何らかの審査の過程で御検討をされたのかどうかというのが1点目です。
 2点目は、これもまた非常に難しい問題ですが、消費者の方々からもいろいろ御疑問が出たりしている点がありますので、確認いたします。役員報酬のところで、一人当たりの単価のところはかなり切り込まれておやりになられたというのは、消費者の方々からも非常に高い評価を得てはいますが、そもそも論として、取締役及び監査役の数、関西電力、九州電力における、これらの適正な数というのはなかなか難しいところはございますけれども、審査の過程で、取締役に限らず監査役も含めて、その数がどうなのかというところは、何か御検討の過程があったのかどうかが2点目でございます。
 3点目は、出向者の給与の負担関係のところでございます。子会社とか関連会社、独立行政法人、公益法人等に出向されていらっしゃる方がおられますが、これも非常に細かな論点になってしまうかもしれませんが、特に出向先のところで、退職給付等の負担関係が非常にあいまいになるケースが一般的には多くございます。その辺り、出向先のほうで負担している部分を出向元のほうで二重に計上してしまうとか、そういったケースが間々ありますので、その辺りの確認をされているのかどうか。
 4点目は、非常に細かい話でございますが、出向先につきまして、関西電力の場合は、ヒートポンプ・蓄熱センターへの出向者2名については、原価算入を削除すべきであると査定方針案に出ております。それから、出向先と出向者数の細かなデータも出ておりますけれども、例えばパッと見て、関西電力の中に、京都府庁とか、道路管理センターというところに出向者が出ている。私どもは情報がないものですから、これが電気事業本体に関係が深いのか深くないのか、これを見ただけではよくわからないのです。御検討されていらっしゃると思いますけれども、この辺りの説明をいただければ、全体として適正におやりになられているというのがわかるものですから、お話をいただければと思います。
 以上の4点でございます。

○古城座長 お願いします。

○片岡電力市場整備課長 退職金については、基本的に各社が制度を持っているわけですけれども、退職給付金の仕組みが基準賃金に連動するのではなくて、ポイント制のように、年が経つにつれて上がっていくことになっていると確認しています。今回、モデル標準者を出していただいて、公務員及び全産業の平均と見比べて、関西電力の場合はモデルで2,900万、実際の平均は2,500万程度のものですから、その差分は全部カットするということで、もう一回数理計算をやり戻して査定額が出てくるということにしています。
 役員の数は、おっしゃったように、企業の規模だけの問題ではなくて、管理部門ですので、それぞれの部門がそれぞれ役員が必要だということだと思います。これも委員の一部から、kWhで割ってみたらどうかという意見もありましたが、結論としましては、一般人件費、従業員と役員報酬を合わせてみても、生産性はそれぞれ電力会社の平均より上回っているということで、結局、役員と一般従業員と合わせて数で見た場合、上回っているのでいいのではないかということでありました。
 出向者の負担関係は、おっしゃったように、個別に見ていくのだと思います。これについて確認しましたところ、賃金とか厚生費、退職金はそれぞれ契約を結んで二重にならないようにしているということです。数が多いので詳細は精査したいと思いますけれども、そういうことです。
 最後に、出向先であります。査定方針案におきましては名称しか書いてありませんが、それぞれ個別の議論をしたときには、理由も含めて書いて公表されています。京都府は、けいはんなのスマートグリッドのプロジェクトをやっているところで、これは国もお金を出してやっているプロジェクトですが、そこでスマートグリッドというネットワークの技術開発の関係の業務をされていると聞いています。道路センターは、共同溝とか、道路の下に溝を掘りますけれども、それにかかる管理システムですとか、そういうことの開発等に携わるということだと聞いております。

○古城座長 山口委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 先ほど井手座長代理がおっしゃった点は、私も疑問に思いますが、それはともかくとして、補正のことです。地域補正はなさったようですが、学歴補正は、先ほどなさったようなことをおっしゃったけれども、それはどこにどういうふうにデータに反映されているのか。学歴補正とか、年齢あるいは勤務年月の補正はされたのか、されていないのか。それが一点です。
 出向との関係でよくわからなかったのが、九州電力については、兼職といいますか、議員さんが32人ぐらいいると聞いています。関電は、そこに給料を出すのをやめましたとなっていますが、九州電力についてはどういう扱いになっているのか。
 以上、2点です。

○片岡電力市場整備課長 まず、補正のやり方ですけれども、チェックポイントの2ページにありまして、事業者からの申請は、賃金センサスといいまして、1,000人以上の企業の平均値も、公益企業の平均値も、いずれも年齢及び勤続年数については補正をする。学歴については補正をしないというような形になっています。詳細は1ページの下に書いています。
 今回の結論としましては、年齢が高い、あるいは勤続年数が長いと、その分給与も高くなるわけですけれども、それにつきましては、基本としては、賃金センサスの1,000人以上の企業についてはそういった補正はやらない。単純な生の平均にするということで、マル2のところで594万円となります。
 他方で、類似の企業との比較ということで、むしろ公益企業は似ているものを加味するという観点から、これらの企業について、年齢、勤続年数、学歴も含めて補正をしました。これは、委員から強く、年齢と勤続年数だけを補正するといったやり方は、やや事業者に有利になっている、と言うと変ですけれども、これを入れるとまた下がると思います。そういう意味では、やるのであればすべてやるべきだと思います。ちなみに、公務員の決め方もこうしたものをすべて考慮して決めていますので、そうすべきだということで、公益企業については、申請会社の相違を補正するというふうになります。
 そうしますと、生の数字でありますと、2ページの下の表のガスの672とか、水道の577というのが若干上がってまいります。592と、3業種の若干上がった数字の平均値をとりますと、3ページの右側にあります627という数字が出てくるということであります。
 議員の兼職は、九州電力につきましては、原価に算入されていないと確認しております。関西電力につきましては、7日以内のものについては入っていたのですが、それについては入れないという結論になったということです。

○古城座長 関連して、井手座長代理から。

○井手座長代理 公益事業の年齢と勤続年数と学歴について、補正しているとおっしゃいましたが、生のデータではなくて、補正した数字というのは公表していますか。

○片岡電力市場整備課長 公表していませんが、できます。

○古城座長 小幡委員、どうぞ。

○消費者委員会小幡委員 人件費については、当初、役員報酬について、余りに高額ではないかということで非常に消費者の声が大きかったのですが、それ以外についても、細かな話にはなりますが、原価として積み上げていくということは、総括原価方式の下では、どのような企業として認めていくかという観点からやはりとても大事なことだと思います。先ほどから厚生費について、矢野委員、古賀委員がこだわっていらっしゃるのは、法定の50%でよいのではないかということです。ほかの大企業の平均がこうだというふうにおっしゃいましたけれども、公共料金に総括原価方式をとっているところで、原価としてどのような割合を認めてよいかという観点からの今の御指摘だと思います。
 もう一点は、4ページの最後の持株奨励金制度のところです。従業員拠出金に対して5%の奨励金を支給していて、これは妥当だということのようですが、株主には無配という状況で、こういう厳しい状況のもとで公共料金を決める上での「原価」を見ているという、先ほどの観点からすると、無配の中で従業員に持株奨励金を支給することが、そもそも原価として入れてよいかというのはやはり問題があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 繰り返しになってしまうかもしれません。料金の査定上、人件費一般に貫かれる考え方ですけれども、従業員1,000人以上の企業の平均値を基本に考えるということですので、そういう意味では、法定厚生費あるいは持株奨励金も、一般的な大企業と見比べて、特段問題ではないという判断をしているということであります。

○古城座長 蟹瀬委員、お願いします。

○蟹瀬委員 皆さんお聞きになったことばかりですが、私は総括原価方式という事業の在り方に対しても反対をしていまして、人件費云々ということも含めて、いろいろな値上げの申請の場に行きますと、通信だけは原価方式をとっていないわけです。なぜならば、グローバルで競争を始めてしまって、消費者にとって選択肢が非常に多い。その中で、原価方式ではやっていけなくなってしまったという現状が多分あるのだろうと思います。
 今、私たちは電気料金に対しての選択肢がないわけです。企業はありますが、一般の人、私たち消費者はありません。ここであるものはここで使えということになってしまうので、原価方式をとらざるを得ないという状態ではあるだろうと思います。そうなってくると、人件費という問題がここに入ってきたり、厚生年金が何%減らされようが、そこに入っていること自体、何だか変ではないかというのが一般の方の意見だと思います。その中で、いろいろ細かいことを聞かれたと思いますが、退職引当金などに関しても、もっと厳しくごらんになったほうがいいのではないかと思います。
 もう一つは、後から多分議論になるかと思いますが、事業報酬について、報酬があって初めて福利厚生ができるようになるというのが企業ですから、そういう意味においても、その辺の連係性みたいなものをもう少しごらんになったほうがいいかと思います。退職引当金について、どのような調査をなさったかお聞かせいただけますでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 総括原価方式ということの御批判は多々ありますので、それについては認識しておりますし、いずれ、電力システム改革の中で、自由化していく中で見直されていくことは確実です。それはコミットしております。他方で、総括原価方式の下でチェックをしていくという観点からは、いかに妥当性を考えるかということでして、例えば退職金であれば、その他の企業の調査をしております。
 査定方針案の25ページに書いていますけれども、関電と九電の標準となる者を対象に出していただきまして、それと人事院の調査、中央労働委員会、これは民間の企業ですが、調査の結果をそれぞれ見比べまして、人事院と中労委の平均、約2,500万が妥当な水準であろうということで、現行の関電の2,900万弱、九電の2,600万はちょっと高い。この差分は原価に認めないということに査定方針案はなっています。

○古城座長 ありがとうございました。
 ひとわたり議論が出たと思いますので次の項目に移らせていただきたいと思います。
 次は、調達、燃料費、購入電力料について、御議論をお願いいたします。
 細川委員、どうぞ。

○消費者委員会細川委員 調達購入費はいろいろなものがありますけれども、例えばチェックポイントへの回答の10、11の中で、電力中央研究所の研究のリストが出ていまして、9ページに考え方が出ています。ちょっとわからないのは、人件費については10%削減するとなっていますけれども、研究項目で優先順位が低いものは認めないという方針の結果、どうなったのかというのが、この表なのでしょうか。要は、10、11が原価算入を認めたもののリストという理解でよろしいのですか。

○片岡電力市場整備課長 違います。これは、まだ申請段階での全体のリストでして、そこから個別に、まさに審査専門委員会の先生方が個別に見ていただいた膨大な数がありますけれども、一件一件、判断していくということで、最終的には、これはだめだ、全体で幾ら切りましたというのは出しますけれども、まだ精査中です。

○消費者委員会細川委員 その結果は、まだこちらに示すことはできないという意味ですか。

○片岡電力市場整備課長 そういうことです。方針をお示ししていて、これに基づいて見ていただければ。

○消費者委員会細川委員 それでしたら、是非シビアに見ていただきたいと思いますけれども、これを見ると、今まで、お金があったからこういうものをやっていて、人をつけたというような項目という感じがします。逆に言うと、自前でこれだけのものができるわけがないのではないかと思いますし、研究課題を見ても、人をバカにしているなと思うのは、これは研究課題ではないですね。例えば3番目が電力システム、4番目が雷・電磁環境と。ある意味、研究領域を並べているだけで、研究課題でも何でもないです。しかも、それに対して何千万とか何億ついている。これはもう少しシビアに見ないと、存在させるために項目を設けているという感じもしますので、これからということであれば、これは是非シビアに見ていただきたいというのが私の意見でございます。

○古城座長 意見ということですね。
 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 6ページのマル4の競争入札比率について、先ほどと似たような質問になると思いますが、東電のときは60%というところまで最終的になったわけで、非常に競争入札が厳しい企業であるというのはもろもろ説明の中ではわかります。しかし、60%まで切り込めなかったところの理由を御説明いただきたいと思います。30%というところで目標設定されていますが。

○片岡電力市場整備課長 委員会の場でも、4割はなかなか難しいという御説明がありました。これは、例えば原子力発電所の定期検査などです。あるいは、既につくった設備のメンテナンス、緊急時にやらなければいけない工事、そうしたものについては4割ぐらいあるということで、4割はどうしても無理ですと。3割を目標にしますが、以降も引き続き努力したいということは事業者もおっしゃっています。
 東電のときと今回ですけれども、いずれも査定の側としましては、発注の費用がどうなのかということでありまして、競争してもしなくてもカットしていくということは、東電も今回も同じです。10%カットするということですので、事業者の自主的な判断として、3割を超えてどうされるかというのはむしろ事業者の御判断だと思っています。

○古城座長 今の御説明は、調達比率のほか、額のレベルでの縛りもかかっているということですか。10%削減するという縛りもかかっていると。

○片岡電力市場整備課長 比率ではなく、調達価格、発注価格を10%削減していただくということです。それは入札しても、しなくても。

○古城座長 わかりました。
 それでは、井手座長代理。

○井手座長代理 燃料費のところで、これに踏み込んだというのはある意味で大変評価するところでもあると思いますけれども、一方で、非常に厳しくトップランナーの価格で抑えるとか、シェールガスを見込んで原価に追い込むことが必要だということです。シェールガスについては不確実性が高いので、それをどういうふうに織り込むかというのは議論もあるところだと思いますが、ここで調達で厳しくやっていて、一方で、燃料費調整条項で、上がった分はすべて需要家に転嫁する。ここのところで緩くするというのは何か統一性がない。やはりそういう制度も含めて将来的には検討しないといけないと思います。調達しているのは高いと言っても、ボリュームや時期で価格というのは大きく左右されるわけで、量が少なければ当然高くなるということも一般には考えられるので、そういうところに本当に手を着けるのであれば、原料のところを基本的にはどうするかというのを将来的に考えないといけないのではないか。これは意見として申し上げます。

○古城座長 査定は評価するけれども、燃料費調整制度も考えろということですね。

○井手座長代理 そういうことです。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 購入電力料のところは、やはり消費者の方々からも非常に御意見が出ているところでございます。これは多分、委員の皆様共通だとは思いますが、共同開発という言葉が引っかかっておりまして、決して電気料金審査会の先生方の御判断とか、経産省、エネ庁の御判断を疑うわけではないということで御理解いただきたいのですけれども、やはり消費者サイドとしては、そこが共同開発という概念というのはどうなのかという御意見が多々出ております。この場で御説明いただくか、あるいは、消費者の立場からすると、根拠となった契約の条項とか、契約の判断というのを、二重チェックになってしまって大変恐縮ですけれども、そこを消費者委員会の方で再確認するということで、消費者の方々に信用をいただくといいますか、そのような仕組みがやはり必要なのではないかというのが、福岡、大阪の消費者の方々との意見交換会に出させていただいて感じているところでございます。その辺りについて、御意見をいただければと思います。

○消費者委員会山口委員長代理 今の点は、28ページ辺りに書かれたところだと思いますが、私も東京電力のときに概括的な条項だけは見せていただいたけれども、弁護士的に見ると、どう考えてもいじれない金額ではないと思うのです。特段の事情があった場合にはこの限りではないという、その種の条項があったかと思います。そうしますと、まさに特段の事情が生じているわけですから、これで1割削減しかないというのはどう考えてもおかしいと思うので、ここは、もう一度きちっと検討し直していただきたいと思います。あわせて御説明いただければ。

○片岡電力市場整備課長 査定方針案の56、57ページに契約の概要を載せております。御指摘のとおりで、契約そのものは私契約ですので、なかなか公表するということはできないわけですけれども、こういう概要を代わって表に出させていただいております。
 これをごらんいただきますと、例えば日本原電の敦賀1号、2号もそうですが、第1項で、全量を受電3社に供給するとなっています。つまり、ほかには売らないという契約になっています。すなわち、必要な電力量すべて受電会社が負担するわけですから、その費用についても、そういう意味ではすべて負担するという考え方だと思います。設立の経緯からしましても、日本原電そのものを各電力会社が出資してつくって、日本初の商用原発をつくるといことでつくられたわけですので、そういう意味では共同開発ということだと。
 加えて、いわゆる民間企業と異なりますのは、一度もこの何十年にわたって配当もしたことがない会社であります。すなわち、もし利益が出れば受電契約上の料金に反映させていくという考え方で、配当していなかったということもありますので、そういう意味では一般の会社との契約ではないということだと思います。
 山口先生が御指摘のとおり、4番目の項目をごらんいただきましても、原電敦賀の長期間停止の場合、その他利用率が著しく低い場合には、基本料金の負担について別途、4社で協議するとなっております。実際に協議しております。新聞にも出たりしていますけれども、当面必要な対策は、原発が動いても止まっていても必要な、例えば防潮堤ですとか、発電所の水密化という水が入ってこないようにする工事ですとか、そういう費用。あるいは減価償却費については支払うということですけれども、減額のための交渉をこれら受電会社でやっているということです。
 実際に費用の項目が、チェックポイントの27ページの上のほうに表が載っています。関西電力から、北陸電力と日本原電と両方入っているので、合わせた数字ですけれども、これをごらんいただきますと、前回に比べまして今回、核燃料費、送電料金はゼロであります。発電していないので、こういう燃料費はかかってきません。他方で、一番大きいのは減価償却費です。これは、過去の投資の結果として会計上発生するものですので、こうしたものを中心としながら、委託費、諸費、修繕費の中で原発の安全対策をやっているということです。人件費の単価も高いのではないかと委員会で御指摘がありました。そのようなことを踏まえまして、今回の査定方針案では、人件費につきましても、関電並みに削減するという査定にしたいと思っております。

○古城座長 小幡委員、どうぞ。

○消費者委員会小幡委員 今のこととも関連いたしますが、日本原電は、関西電力の関連会社でもあるし、役員の人的関係もあるということはここにも書いてございます。関電、九電の役員報酬については、今回、下げるということになっておりますが、日本原電の役員報酬については、消費者の立場から言うと、ここはどうなのかということが伺いたいところです。

○片岡電力市場整備課長 これも委員会の場で説明が求められまして、事業者のほうから、役員については2,800万か2,600万のどちらかです。一般職員の給料が780万円という数字が公表されました。これは、今回の査定の額から比べると高いので、これについては今回、関電で査定した額並みに、購入電力量に入っている人件費は落とすという査定方針になっております。

○消費者委員会小幡委員 2,800万というのは最初の時点での話ですか。

○片岡電力市場整備課長 現状です。

○消費者委員会小幡委員 それを下げることになっていると。

○片岡電力市場整備課長 そういうことです。

○消費者委員会小幡委員 どの程度下げるのでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 今回、関電、九電の査定方針案で、役員報酬を国家公務員の指定職並みというふうになっておりますので、そのレベルに下げていくということであります。一般人件費も790万を、今回、関電で言えば527万になっていますので、そこまで下げるということであります。

○消費者委員会山口委員長代理 ここは、要するに日本原電への支払いを1割下げるということですか。

○片岡電力市場整備課長 人件費はもっと下がります。その他、一般管理費等は1割となっているので、混ぜ合わせていくとどうなるか、計算してみないとわかりませんが。

○古城座長 どうぞ。

○古賀委員 日本原電と関西電力の契約のことを丁寧に説明していただいたと思いますけれども、この受電契約というのは、私たち消費者にとってはとても理解できない内容です。原発を推進するという国策でいろいろな保護のもとに今まで来たということがあって、かなり片務的な契約であっても温存されたまま来ているということがあると思うのです。
 今、脱原発とか、電力システム改革という中で、少なくとも将来的には原発をなくしていく方向であるという大きな流れの中で考えた場合に、受電ゼロでありながら、基本料金契約分を原価算定上、466億を原価に算入するというのは、消費者としては決して納得できることではないと思います。その辺の、私たちの身近な電気料金が上がるということと、片務的な契約に縛られて、あくまでもそのときの契約を履行しなければいけないということ、そうした契約を締結してしまったその経営責任を含めて、消費者としてはここの466億は削るべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 自社電源同様、負担する義務があると考えられると書いていますけれども、そういう意味におきましては、関西電力なり九州電力の、今回、原価算定期間内に再稼動を見込んでいない発電所も、ある意味では同じだと思います。これは、過去の投資によりまして、ずっと発電してきたわけであります。そういう意味で、過去、発電した電気の投資が、減価償却という形でこのように次年度以降にかかっている面もあります。そういう意味におきましては、今この時点で稼動しているか、していないかということで、原価算定の可否は判断できないのではないか。それは、この審査要領にも書かせていただきましたけれども、将来の稼動の見通しなどを確認しまして算入の可否を判断していくということだと思っています。
 日本原電は、特に敦賀2号機は活断層の問題で報道されています。これも念のためにここに書きましたけれども、現時点では、最終的な結論は出されていないということを言わざるを得ないということです。

○古城座長 山口委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 今の点ですけれども、日本原電は要するに東海原発と敦賀原発を持っているわけです。両方とも、もう役割を果たしたというふうに評価して、例えば、敦賀第2原発は関電に譲渡したらどうか。電力会社各社が資本を出し合ってつくった会社ですから、東電のときから恐らく次の東北電力のときまで、ずっとこの問題は残ると思うのです。そろそろ政策的に決断して、歴史的役割を果たしたと。まさかここで新しい原発を日本原電でつくるとは思えないので、その辺の後始末の方向は考えられないのでしょうか。そういう議論はされなかったのですか。

○糟谷電力・ガス事業部長 役割を果たしたというお話がありましたけれども、まだ減価償却は残っております。これは、国が出資をしているわけでもない民間企業でありまして、それを国として法律に基づいて原価審査をやるわけですけれども、それを超えて、役割を果たしたのかどうかというところを判断するところまでは、ちょっとやりすぎではないかということであります。

○古城座長 それでは、次の項目に移らせていただきます。
 次は、減価償却、レートベース、規制部門と自由化部門の関係、見込みと実績の乖離について、これらについて御議論をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○白山委員 レートベースの特別監査のところでございます。先行投資、不使用設備、予備品、建設中の資産等ということで、それでレートベースから外す資産を抽出してくるわけですけれども、母集団といいますか、全設備を対象として特別検査を行ったという理解でよろしいのでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 当然、電気事業にかかる資産ということでありますけれども、全資産の帳簿などを確認しまして、実際に使われているかどうかということを確認してきたということです。

○白山委員 そうしますと、その結果として、特定固定資産と、建設中の固定資産はその一部の費用でございますけれども、レートベースから外すものが原案に記載のとおりのものだけだったという結果で、その辺りは当然、電気料金審査会の先生方も、特別検査の内容とか、レートベースから外す対象資産の網羅性の話とか、全部確認されているという理解でよろしいですか。

○片岡電力市場整備課長 確認していただいています。

○古城座長 矢野委員、どうぞ。

○矢野委員 33から34にかけて、販売電力量の見込みと実績の乖離について、25番のところで表も出ていますが、実際には乖離はあったと、この表では見てとれます。審査専門委員会でも、冒頭、消費者側の素朴な疑問で、節電とか省エネをして使用量が減れば、当然、電気料金の値下げにつながるのではないかと。でも、実際はそうではないというのが今回のところで少し説明の文章が入り込みました。実際には、むしろ価格は上がるというようなことでしたけれども、そのこと自体が単純には非常にわかりづらい。
 なぜそうなのかというのと、実際に乖離があるということは、そもそもの想定電力量自体の在り方がむしろ高すぎるのではないか。それは予備率とか、さまざまなところに影響しますけれども、そういったことへつながると、消費者側はどういうふうにそれを受け止めながら、事業者が申請してきた数値を妥当と見なければいけないのか、というのがよくわからないのです。その辺をもう少しわかりやすく説明していただければと思います。

○片岡電力市場整備課長 まず、前段のお話ですけれども、節電が効きますと、一番高い電源が稼動しなくなるはずなので、その分の燃料費等の可変費、燃料費が不要になるというのがマイナスの効果だと思います。
 他方で、設備はあるわけです。設備が要らなくなるほどの圧倒的な需要の減があればまた別だと思いますが、設備があれば、減価償却等の費用はあります。それを少ないアワーで負担することになるわけです。少ない人手で負担すると思ってもいいかもしれませんが、アワーが減ることは、燃料費が減る部分と、固定費は変わらないので、固定費の一人当たりの負担が増える分の両方の要素があります。それを試算したところ、若干、固定費の増のほうが上回るという試算結果が出たということです。
 御指摘のとおり、もっと節電が進んで、発電所がどんどん要らなくなればまた別かもしれませんけれども、短期間、特にこの3年間でそれが見通せませんし、加えて言えば、本当にそれで発電しなくなってしまって、何かのときにどうなのかということがありますので、そういうことだと思います。
 見通しと実績の乖離のお話がありましたが、過去の推移で見ましても、短期的には改定直後は大体合っていますが、当然、景気にもよりますし、産業構造も変わったりしますので、乖離が出てくるということだと思います。今回、毎年、原価と実績の比較を出すことにしていまして、そういう意味では乖離がちゃんとわかるようになってきているということは進歩した点だと思います。その上で、必要があれば、もし原価と実績が著しく乖離して料金が不適当だということであれば、これも、以前御説明しましたけれども、23条の申請命令を出すことも考えるということだと思います。

○糟谷電力・ガス事業部長 前者の御質問について、補足をさせていただきます。
 固定費について、電気料金は基本料金と従量料金と大きく分けて2つありますけれども、固定費分が全部基本料金で賄われていれば、節電をされたらそれだけ下がります。ところが、実際は固定費分の一部を従量料金の中に織り込まれているわけです。したがって、節電をして量が減ると、その分、固定費を負担する部分がなくなるので、それで全体の単価が上がるという形になります。逆に言えば、余り電気を使わない方、お年寄りでひとり暮らしの方とか、そういう方は、本来固定費でかかっている金額を基本料金として全部負担するということではなく、それよりも少なく御負担いただいていて、その分、従量料金でたくさん使った方に固定費の一部を負担いただいている。そういう構造が背景になっているということだと思います。
 他方で、節電をいただければ、節電をいただいた方は、その分、単価は上がりますけれども、全体のkWhは減りますので、それによって電気料金を支払う額は減るということは少なくとも言える。御理解いただければと思います。

○古城座長 蟹瀬委員、どうぞ。

○蟹瀬委員 減価償却について、27ページにあります原子力発電の購入電力量原価内訳の中に、減価償却費も一緒に払っているという織り込みが書かれてあります。購入する電気料金にこれが入っているということは事業として正しいのですか。普通はこういうものはそこの事業がやることであって、買う電気料金に入れてはいけないような気がしますが、その辺の仕組みがよくわからなくて、例えば関電さん、九電さんが買っていらっしゃる原子力発電の電気量、その中に相手方の減価償却費が入っているという理解でいいですか。

○片岡電力市場整備課長 そういうことです。可変費だけでなく、もし契約した場合に、固定費も回収しないと商売が成り立たない面がありますので、そういう意味では、関西電力が支払う購入電力の中に固定費も可変費も基本的には入っている。ただ、今回は発電していないので、可変費は入っていないということです。

○古城座長 どうぞ。

○古賀委員 34番の供給予備率のことをお尋ねしたいのですけれども、ここの書き方が最後のところがちょっとあいまいなので、確認させていただきたいのです。3年間の査定期間内においては、今の電力システムの改革がどの程度進むかが未確定だということと、電力の自由化がどれぐらい進んで再生エネルギーが普及するかということも未確定だということで、真の意味のメリットオーダーに基づいた考え方ができないのはよくわかるのですが、特に九電の予備率が高いのは、公聴会の時点からかなり指摘されていたことだと思います。ここの「予備率を上回っていることが確認されたが、直ちに問題であるとは言えない」とした判断の根拠を、もう少し丁寧に教えていただけますでしょうか。
 それから、実際に予備率はどれぐらいで査定されたのかも教えてください。

○片岡電力市場整備課長 基本的には少なくとも8%が適当というのは、政府の需給検証委員会でも指摘されたところであります。ただ、少なくとも8%程度以上、そういう意味ではいろいろなリスクを考えますと、もう少し持っていてもいいのではないかということは当然言えるかと思います。
 九電の場合、系統が関門でつながっているだけだということもありますし、管内における発電所1基落ちたときの影響も大きなものがありますということと、申請時点の仮定に基づいて再稼動の見通し、6基中4基、稼動する見通しで算定はされていますけれども、実際に算定期間内にどうなるかというのは、若干、見通せない面もある。万が一、これで8%ぎりぎりでそれ以上は原価に認めないということで、原価に認められなければ、発電所を畳んでしまうとか、除却してしまうということになってしまいますと、逆に将来、問題が生じるのではないか、そういう判断です。

○古賀委員 私たちの市民レベルだと、メガソーラーの開発とか、地元の生協などが中心となって必死になってやっていらっしゃいます。そうすると、この予備率の8%というのはやはり非常に高すぎると思います。これが電気料金の単価に上乗せされているということ。再稼動の問題はあえて言いませんけれども、ここの8%というのはやはり高すぎると思います。それ以上の御説明はいただけないとは思いますけれども、申し上げたいと思います。

○片岡電力市場整備課長 一点だけ。まさに国が設置した需給検証委員会、これは第三者の方に入っていただいて検討した結果、再生可能エネルギーの普及ですとか、先ほどの節電の定着率、こうしたものを踏まえまして8%程度は必要という結論になったわけです。

○古城座長 山口委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 分厚い資料の80ページ、修繕費です。これは、前回、今回という形で比較されていますが、どういう査定の仕方をされたか御説明いただきたいのです。要するに修繕費というのは、恐らく下請け、関電なり九電のファミリー企業に発注されると思います。その上でいろいろな備品が必要になるかもしれませんが、そうなると、先ほど来の入札やその他の関係も含めて、相当程度減額をなされるべきではないかと思うし、なされると思います。そうすると、前回と今回というのは、もしこれが前年と今後ということになれば、2,639億が、1割なり2割なり下がった数字が出てきておかしくないのではないかと思うけれども、全然変わらないというところの削減努力はどうなっているのか、御説明をいただければと思います。

○片岡電力市場整備課長 修繕費につきましては、設備が古くなってくれば、リプレースしていくとか、その時々の状況に応じて、当然、必要なものはやっていくということだと思いますけれども、査定の方針としましては、下に修繕比率と書いていますが、過去5年間の実際に使ってきた額、それを今回の算定期間で、修繕比率なので、設備に対する修繕費の比率ですが、それを下回っているかどうか。つまり、過去実績と見比べて、その量が適正かどうかということをまず見ています。それは両者ともに一応おさまっています。その上で、各社ともに7%の削減効果。これは、入札してもしなくても、随契でも、そうでなくても、7%の単価を落としていますが、それを今回、査定方針では、10%を求めるべきということと、さらに加えて、子会社、関係会社につきましては、一般管理費等について、出資比率に応じてさらに10%という査定方針になっているということです。

○消費者委員会山口委員長代理 この数字が増えたということですか。1割以上。

○片岡電力市場整備課長 今回と書いてある申請のところは、既に事業者としては7%の削減効果を織り込んだ上で言ってきているということなので、もともと無かりせば、もう少し大きかったのかもしれません。

○消費者委員会山口委員長代理 前回というのは、前年度という意味ですか。

○片岡電力市場整備課長 いえ、平成20年の料金改定のときの数字です。そこから5年ぐらいたっていますので、設備が当然変わっていくと、メンテナンスはしなければいけないということだと思います。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。
 ちょっと伺いたいのですが、原発事故でずっと稼動していない原発がございますが、これは電力事業のためにつくった施設ですから、減価償却が必要です。全く電気の生産に役に立っていないのに、報酬まで稼ぐ資産にするということについては大きな問題があると思いますが、これについてはどうお考えですか。

○片岡電力市場整備課長 まさに真実かつ有効な資産といいますか、レートベース方式ですので、そのレートベースが電気事業に真に必要かどうか、そういうことだと思います。確かに短期的に算定期間中は動いていないかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたとおり、将来の再稼動の可能性、将来もしこれがきちんと安全が確保されて、審査を通って稼動すれば、まさに真実かつ有効な資産だと考えられますので、そういう意味でレートベースから落としていないということです。

○古城座長 使っていない電線はレートベースに入れないとお書きになりましたね。それとの平仄はどうなりますか。後で必ず使う電線についても、早すぎるとか、役に立っていないからというので。

○片岡電力市場整備課長 例えば、100万Vの送電線の設計はしているけれども、50万Vでしか運用していないというようなものであれば、見通しがあいまいといいますか、そういうことであれば、具体的に見てきて落としたりはしています。ただ、それももう少ししたら運開するということであれば、個別に見て判断するということだと思います。

○古城座長 小幡委員、どうぞ。

○消費者委員会小幡委員 今の古城座長の御質問のところは、まさに消費者として非常にわかりにくいところで、違和感が大変あるところではないかと思います。
 もう一点、38ページの資産売却のところですが、関電は平成23年度までの11年間で605億円を売却し、九電は、過去10年で140億を売却とあれます。とてもたくさん遊休資産をお持ちだったということがわかるわけですけれども、今、ここで求めているのは、こういう状況になったから、改めて遊休資産を処分したほうがよいのではないかという話で来ていると思うのです。過去、既に10年間やっていますというのは、いかに資産があるかということの証左のような感じもしますが、遊休資産として一体どのぐらいあるのか。積極的に資産売却を行っているかということについて、これからもやっていくということではありますが、かなり資産があるように思われるのでで、まだまだできる余地があるのではないか。これを読むと、そのような感想を消費者は皆持たれるのではないかと思います。いかがでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 過去にいろいろな投資をしたものの積み重ねといいますか、そういう面もあると思いますので、両社で多い少ないというのは比較できないのかもしれません。ただ、こういう状況ですので、収支が非常に悪化している中で、売れるものについてはどんどん売っていくという方針だとは思っていますし、実際にそうされているのではないかと思います。

○消費者委員会小幡委員 そうすると、総体というのはわからないわけですか。

○片岡電力市場整備課長 総体というのは、どのくらいの資産を持っているかということですか。

○消費者委員会小幡委員 はい。

○片岡電力市場整備課長 電気事業の固定資産についてはすべて把握していますので、それはわかっていますし、その中で、使う予定のないものについてはカットしているというのはあると思います。電気事業以外の固定資産は、有価証券報告書等で明らかになるところはあるとは思います。我々はあくまで電気事業固定資産の中で、必要か必要ではないかということを見ておりますので、通信事業とかその他事業で、どういう資産を持っておられるかというのは必ずしも把握していないところです。

○古城座長 それでは、最後の検討事項に移ります。
 次に検討していただきたいのは、新料金体系の移行に向けた情報提供と、普及開発費、関係費等、その他につきまして、御議論をお願いいたします。
 済みません、ちょっと積み残しがあるようですので。

○蟹瀬委員 済みません。事業報酬率ですが、今回30%という査定がされていますけれども、過去にこんなに高いことがあったことはないような気がします。なぜこんなに高いベースになっているのか、御説明いただきたいのですが。

○片岡電力市場整備課長 報酬率ですか。

○蟹瀬委員 自己資本比率です。

○片岡電力市場整備課長 これは、すごく昔は積み上げ方式と言いまして、まさに利払い分と配当を積み上げて、利益、剰余金などを乗せて料金をつくっていましたが、昭和30年にレートベース方式ということで、資産に対して一定の報酬率を掛けるということになっています。その当時は、自己資本比率は50%で計算をしていました。今よりもっと高かったわけです。それが、平成8年に他の公益事業の自己資本比率を確認しまして、それで3割という数字が望ましいのではないかということで、以後、3割になっています。一昨年、有識者会議で審査要領をつくるときにも御議論いただきましたけれども、他の公益事業と比較した場合の望ましい自己資本比率は、3割というのは変わっていないということでありました。
 御指摘は、自己資本比率3割も事業者は達していないのではないかということだと思います。これは、あくまで望ましい自己資本比率3割を目指して、ある程度内部留保を積んで自己資本比率を高めることは、資金調達コストを抑えることにもなりますし、今回、2年間、そういう意味では値上げもしなくて、赤字を我慢した、と言うと変ですけれども、内部留保を取り崩して対応した面もあると思っています。
 14ページにグラフで関電の数字が出ていますけれども、自己資本比率は、御指摘のとおり、一番高くて27%ぐらいまで上がってきました。その後、燃料費の高騰でありますとか、ここ2年は震災後のこういう状況で著しく落ちていますけれども、この部分、内部留保の取り崩しで6,300億ほど取り崩しています。そういう意味で、3割という望ましいものに向けて内部留保を積みましていくことが必要ではないかということを、査定方針にも書いていただいたと考えています。

○蟹瀬委員 でも、株主に支払ったりすることも含めて、今、上げる必要が本当にあるのかどうかというのは検討なさったほうがいいような気がします。値上げをする理由の一つにはならないような気がするので、この辺はもう少し我慢して、保有資産を全部売り払っていらっしゃるわけですから、そういうところでカバーしていくとか、いろいろあるような気がします。その辺をもう少し御検討いただけたらうれしいです。

○古城座長 古賀委員、どうぞ。

○古賀委員 今、事業報酬の話が出たので、もう一度、しつこいようですが、単純に言ってしまうと、事業報酬というのは、消費者のエンドから見た場合には、電力会社が金融機関等への利払いコストを転嫁されているという面が非常に強いと思うのです。確かに内部留保を充実させて、金融機関からの資金調達を円滑にするというのは、事業としては当然必要なことだとは思いますけれども、ここの2.9%という事業報酬率は、値上げという消費者への負担を考えた場合には、もっと削減していいのではないか。審査専門委員会ではここのところは、所与のものとして考えられていたように思いますけれども、消費者の立場から言うと、ここの利払いのコストを消費者に付け替えられているという意識はどうしてもぬぐい去ることができないわけです。

○片岡電力市場整備課長 それも、先ほどの蟹瀬委員への説明と重なるかもしれませんけれども、設備をつくってそれを運用しながら電気事業が行われているわけでして、過去に行った設備投資の資金も、社債なり長期借入金で調達しているわけです。社債の償還期限が10年なり15年で、次々と来るわけです。23年度は社債が一切発行できなくて、その分すべて金融機関からの借入れに頼っているわけです。金融機関もそれなりに枠がある中で融資に応じて、それなりの責任を果たしていると思いますけれども、こういう費用を賄いながら設備投資は行われて回っていっているということは、是非、御理解いただきたいと思います。そうでないと、長期的な設備投資ができなくなってしまうと、消費者にとって、この短期間でそれを抑えることと、中長期で設備投資ができなくなることと、どちらが得かということを考える必要があると思います。

○古城座長 どうぞ。

○井手座長代理 今、事業報酬の問題が出たので、ついでに、経産省が出された査定方針案の75ページですけれども、基本的に総括原価という中で、9社が同じようなレベルでやるということについては私は賛成です。ただ、75ページの検討結果のマル2で、β値のことで(5)の説明というのは、言い訳がましいというか、適切ではないと思っております。
 東京電力のβ値が、他の電力会社と比較して最も高いわけではないと書いてありますけれども、東北電力はやはり同じように震災の影響を受けているわけで、これが1点幾らというのと、ほかの電力会社の0点幾つというのは、差がないのではなくて、東京電力は例外として挙げるべきではないというふうに書いているのは、非常にわかりにくい。明らかに東京電力の場合は経営リスクがほかの電力会社と違うというところを考えると、この検討結果の書きぶりというのは非常によくないと思っています。これは、今回どうしろと言うわけではないのですけれども、お考えいただければと思います。

○古城座長 今のは意見と考えていいですか。

○井手座長代理 はい。

○古城座長 白山委員、どうぞ。

○白山委員 古賀委員の意見に補足でございますけれども、消費者の側にとっては、事業報酬が、安定的な電力供給のために必要な設備投資のためのものとは理解はしていますけれども、料金として負担して、それが例えば利息として金融機関に払われるだけなのではないかと、そのような意識をお持ちになるケースが多いのです。
 それで、これはいつも言いますけれども、チェックポイントの29番のところに、それぞれの利害関係者がどういう負担をして、その結果、消費者にこれだけ負担をいただきますという説明をする必要があると考えております。この中に決定的に欠けているのが、利害関係者としての金融機関がないということなのです。株主の負担はありますけれども、金融機関は陰ながら、いろいろな資金調達に協力をしたりというところで、なかなか定量的に表せないところはありますが、金融機関も重要な利害関係者ですので、金融機関のほうもこれだけの負担があるというのを、やはり消費者の方に示していかないといけない。この表の中に同列で幾らということはなかなか書けないかもしれませんけれども、重要な利害関係者である金融機関が完全に抜けているので、そこのところは、経産省から各電力会社にもう一度、その辺りのところの説明をきちっとして、消費者の方に納得を得られるようにしたほうがいいのではないかということを、何らかの形でお伝えいただきたいし、消費者の目線からすると、そこが一番気になるところの一つでもございますので、お願いしたいと思います。

○古城座長 ほかにいかがでしょうか。
 山口委員長代理、どうぞ。

○消費者委員会山口委員長代理 今の点はどうなのでしょうか。東京電力のときには、追加融資をするのだから、それなりのリスクをとっているという話でしたが、九電や関電の場合にはどういう説明になるのでしょうか。

○片岡電力市場整備課長 繰り返しですけれども、14ページに関西、九州の資金調達の推移が載っています。関西電力のほうをごらんいただきますと、22年度、23年度にかけて、23年度は社債ゼロです。そのかわり長期借入金が、これまで840、1,440だったものが8,330まで借り入れているわけです。金融機関もそれぞれ業界に出せる枠がある中で、相当な額を融資しているということは言えるのではないかと思います。
 当然、金利は取っていると思いますけれども、あくまでビジネスでもありますし、我々も預金者という面においては、それはどうかというのがありますので、そういう努力はされているということは定性的には言えるのではないかと思います。ただ、金利で幾ら安いかどうかとか、そういうことはなかなか言えないと思います。

○古城座長 皆さん、事業リスクに興味が行きまして、料金体系の移行に向けた情報提供等については何の意見も出ておりませんけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、よろしいですね。この点については、特に御意見がございませんでした。
 経済産業省資源エネルギー庁にはここで退席していただきます。きょうは、お忙しいところを、長時間にわたりましてありがとうございました。
 本日のヒアリングを踏まえ、次回の調査会において、調査会としての意見の取りまとめに向けた議論を行いたいと思いますが、取りまとめに向けて、現時点で何か御意見はありますでしょうか。
 それでは、議論は以上といたします。

≪3.電気料金値上げ認可申請に関する意見交換会(福岡・大阪) について≫

○古城座長 事務局から連絡事項などございますか。

○原事務局長 最後の新料金体系への移行に向けた情報提供等については、ここでの意見は出ておりませんけれども、福岡でも大阪でも出ておりましたので、それは反映させていただきたいと思います。
 本日は、熱心な議論をどうもありがとうございました。
 次回の調査会の日程については、来週18日(月)の午前中で調整をさせていただいた上で、改めて御連絡させていただきたいと思っております。
 以上です。


≪4.閉会≫

○消費者委員会山口委員長代理 スケジュール的には、いつまでにこの専門調査会で答えを出さなければいけないということになるのですか。

○古城座長 それは相談している点で、特にいつまで意見を出さなければいけないということは決めずにやるということでやっております。

○矢野委員 審査専門委員会では、事業者側は4月1日から是非値上げをしたいというのが、再度、要望として出ていたのですけれども、最終的に経産大臣が査定方針を決めて、その後、知らせていかなければいけないという期間自体は何日間と決まっているのでしょうか。

○消費者庁草桶審議官 周知期間は10日間です。

○古城座長 ここでの了解は、4月1日に料金値上げできるようにと後ろを決めてスケジュールを決めることはしない、ということでよろしいですね。
 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。少し時間が延びまして、皆さんに御迷惑をおかけいたしました。お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)