第11回 製品事故情報の公表等に関する調査会(合同会議) 議事要旨

日時

2012年3月30日(金)14:00~16:00

場所

経済産業省別館8階 825号会議室

出席者

【消費者委員会消費者安全専門調査会製品事故情報の公表等に関する調査会】
◎夏目座長、山口委員
【消費経済審議会製品安全部会製品事故判定第三者委員会】
○升田主査、青山委員、天野委員、大河内委員、櫻橋委員、田中委員、東郷委員、
 野坂委員、樋口委員、牧野委員、美馬委員
◎議長 ○議長代理
【事務局】
消費者委員会 原事務局長、小田大臣官房審議官
経済産業省 羽尾大臣官房審議官、矢島製品安全課長、野中製品事故対策室長、
宮下製品事故対策室室長補佐、古田製品事故対策室専門職、谷製品事故対策室室長補佐
NITE 山本製品安全センター所長
消費者庁(注1) 金児消費者安全課課長事務代理、金田消費者安全課企画官、
小林消費者安全課課長補佐、西森消費者安全課課長補佐
(注1)合同会議の庶務は、消費者委員会と経済産業省が合同で行い、消費者庁はこれに協力する。
【欠席】
細川委員
(以上、消費者委員会消費者安全専門調査会製品事故情報の公表等に関する調査会)
郷原委員、長田委員、和田委員
(以上、消費経済審議会製品安全部会製品事故判定第三者委員会)

議事次第

1.開会
2.審議事項
(1)製品起因による事故ではないと判断した案件、重大製品事故ではないと判明した案件について
(2)原因究明の結果、製品に起因する事故ではないと判断する案件について
(3)原因究明の調査を行ったが、製品に起因して生じた事故かどうか不明であると判断する案件について
3.その他
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:68KB)
【資料1】 委員名簿 (PDF形式:99KB)
【資料2】 合同会議申し合わせ (PDF形式:30KB)
【資料3】 重大製品事故の受付・公表状況について(平成24年2月末日現在) (PDF形式:86KB)
【資料4】 製品起因による事故ではないと判断した案件 (PDF形式:80KB)
【資料5】 原因究明調査の結果、製品に起因する事故ではないと判断する案件 (PDF形式:433KB)
【資料6】 原因究明調査を行ったが、製品に起因して生じた事故かどうか不明であると判断した案件 (PDF形式:807KB)

≪1.開 会≫

 事務局より、資料に沿って説明を行った。委員からの発言概要は以下のとおり。

≪2.審議事項≫

(1)製品起因による事故ではないと判断した案件、重大製品事故ではないと判明した案件について
  (資料4-1及び資料4-2に沿って、案件ごとに消費者庁より説明)

(委員)ノートパソコン(A201100802)、バッテリーパック(ノートパソコン用)(A201100813)について、今後、諸外国に旅行してそこで製品を買い、日本に持ち帰って危害に遭うという案件が増えていくと思う。逆に日本で買った製品を諸外国に持ち帰って問題が起こるケースもあると思う。そういう場合、関係行政機関と協議の上、適切に対応するというが、具体的にはどこでどういう対応がなされるのか。

(消費者庁)海外で購入した製品で、日本で事故が起きた場合、例えば今回のノートパソコン等の事案では火災のため、消防に状況を確認し、現時点では製品に起因する可能性は低いという情報を得ている。このような形で情報収集を適宜行っている。

(委員)例えば、ある外国メーカーの製品だとすれば、日本の裁判所でその外国メーカーを訴えることもあり得るが、行政は、特定の外国メーカーの商品が日本に持ち込まれて、顕著に問題がおきた場合に、どのように対応をするのか一定のスキームを考えておく必要があると思う。例えば、外務省やその他と協議しながら適切に対応する等の検討や、何らかの国際的な協議のフォーラムの有無等、状況を教えていただきたい。

(消費者庁)今のところ消費者庁では、そこまでの海外との対応はできていない。

(経済産業省)具体的に多方向ではないが、2国間での情報共有、例えば中国であれば、中国政府に対して日本でのリコール情報等を出すということは行っている。しかし、個人輸入や持ち込まれたものについては、今のところ具体的に検討していない。

(委員)この事故の製品は、日本国内向けの製造も行っている事業者が製造している製品であり、今回の事例は、とりあえず事業者の協力を得て、自主的に参考資料として公表する等、法的な措置以外のいろいろな行政的な手立てを是非ご検討いただきたい。グローバル化の中で海外から製品が持ち込まれる可能性は非常に高く、たまたまそういう事故が顕在化していないだけなので、将来的には法的な整備も必要と思う。関係行政機関の協議等もきちっと対応をしてほしい。

(委員)中国では幾つかの日本のメーカーの商品が、消費者トラブルということで理不尽な形で報道されていろいろ問題になっている。国際的なルールが確立していかないと、一昨年のアメリカにおけるトヨタのバッシングと同様の問題が起こりかねない。単に消費者保護という観点だけでなく、国際的にフェアな競争を図って、しかもそれが世界の消費者のニーズに合うという視点からも、是非、国際的な協力体制、連携や協議等のルールをつくる努力をお願いしたい。

(議長)ただいまのご提言について、是非検討をお願いしたい。

(2)原因究明調査の結果、製品に起因する事故ではないと判断する案件について
  (資料5-(1)、資料5‐(2)に沿って、案件ごとに経済産業省より説明)

(議長)資料5-(2)エアコン(A201000470)の事故の原因と推定されるエアコン洗浄は、使用者ではなく専門業者が行っている。それでもこういう事故が起きるということについて、使用者はどう判断したらよいのか。

(経済産業省) エアコン洗浄に関しては、事業者の取扱説明書では事業者に相談し、専門業者に洗浄を依頼する旨書かれている。また、エアコン洗浄剤という商品が一般に市販されているが、洗浄液が内部電装部品にかからないように使用する旨の表示がされている。消費者が留意すべきとことはこのようなことと判断している。


  (資料5-(3)に沿って、案件ごとに経済産業省より説明)

(経済産業省)今回、資料5‐(3)で6件の介護ベッドの手すりの事故(A200900456、A201000085、A201000777、A201001045、A201001090、A201001113)があり、いずれも調査の結果、製品には問題ない事故と判断した。なお、介護ベッドの手すりについては、これまで様々な製品の安全使用のための取り組みを行っている。
  例えば、平成21年3月のJIS改定によりベッドのサイドレールのすき間の基準を強化し、また平成22年9月には介護ベッドの業界団体で、注意喚起のための本日配布資料のパンフレットを約70万部刷り、病院、医療・介護施設、レンタル業者、ケアマネージャー等に広く配付して、安全使用の呼びかけを行っている。
  現在、介護ベッドの業界団体が介護ベッドの安全使用に関するビデオを作成中であるが、本日委員会のために提供いただいたのでご覧いただきたい。

(ビデオ上映:約7分)

(経済産業省)このビデオには、手すりのすき間を埋めるカバー、簡易スペーサーというものが紹介されているが、実際の事故では、事業者が病院、施設あるいは在宅の方にこのような簡易部品の使用をお勧めしていたものの、実際にはそれを使っていなかったことによる事故も何件か発生している。

(議長代理)今のビデオは貸出されるのか。

(経済産業省)介護事業者、レンタル事業者等への配布や業界団体のホームページへの掲載等を検討中と聞いている。

(委員)配布やホームページに掲載するということは良いが、もっと確実に見てもらえるような方法はないのか。

(経済産業省)介護の現場の方にいかに見ていただくかが、今後の重要なポイントであり、課題であるが、例えば介護者の研修等で使用してもらう、あるいは在宅介護の方には市町村のパンフレット等にお知らせして見ていただく等の方法があると考えている。

(委員)例えば、製品レンタルの時には、このビデオを付けて納入する等、ある程度強制的にやらないといけない。意識の高い方は積極的にやるが、事故は結局意識のないところで起きている。意識の低いところをいかに減らしていくかを工夫してほしい。

(経済産業省)今のご意見は、関係業界の方にも申し伝えたい。

(委員)例えばケアマネージャーの方やレンタル業者、介護ヘルパーの派遣会社等重点的にお知らせ等を徹底して、最終的にこれらの関係者を通じて介護ベッドの利用者のところに到達するという工夫を是非、お願いしたい。

(委員)施設側の人手不足の中で、事故が起こっても困るからと柵をたくさん作り、昼間から寝ていてくださいということになりがちである。注意喚起をしていても、お年寄りがトイレに行きたくて降りようと思ったら、柵があって足が挟まったという事故は避けられないのではないか。注意も必要だが、JISの規格の見直し等で、もう少しすき間を小さくできないか。

(経済産業省)平成21年3月にJIS規格が改定され、介護ベッドの手すりのすき間の基準が強化された。
  一方、どれぐらいのすき間なら絶対挟まらないかについては、全部覆うと使用者に閉塞感があり、また実際の医療現場では、医療作業のための最低限のスペースが必要であるのが実態。

(議長)各委員から貴重な御意見をいただいた。DVDは現在作成中ということなので、是非、ご検討いただく内容もあると思う。よろしくお願いしたい。

(3)原因究明調査を行ったが、製品に起因して生じた事故かどうか不明であると判断した案件について
  (資料6に沿って、案件ごとに経済産業省より説明)

(委員)太陽光発電システム用パワーコンディショナ(A201100221、A201100227)について、これは火災が起こった物置に偶然パワーコンディショナがあったという事故か、あるいはパワーコンディショナが原因で発火したのは間違いないが、焼損が著しいため製品内部での具体的な出火元が特定できなかった事故なのか。

(経済産業省)この事故が起きた小屋には、他にも電気製品が幾つか置かれており、それらからの出火も疑われた。もらい火による事故の可能性もあると判断している。

(委員)消費者委員会では、先般、太陽光発電システムの新設を予定される消費者の取引分野での被害抑止のために消費者庁及び経済産業省の方に一層のご努力をお願いした。
 今後、太陽光発電システムは増えていくと思われる。設置時に屋根に穴を開けて10年ぐらい経って雨漏りの原因等、色々な問題になったり、火災の原因になる危険性も全くないわけではないので、是非、メーカーに御指導いただき、メンテナンスも十全を期して事故を防ぐということを経産省に御尽力いただきたいと思う。

(委員)太陽光パネルも日本製だけではなくて、中国メーカーが大変伸びてきていると思う。経産省、消費者庁両方へのお願いとして、この分野の成長が期待される中、日本メーカーだけでなく、海外メーカー製品の事故に対する目配りを十分していただきたい。またメンテナンスあるいは経年劣化によって、10年後、20年後にどうなっているか予測がつかないので、経年劣化に対する目配りもしっかり忘れないでいただきたい。

(議長)太陽光発電システムについては、今後の問題として、委員の御発言の内容に沿って対応いただくようお願いしたい。

≪3.その他≫

(委員)本日の最初の方の案件は平成21年等がある。かなり時間がかかっているが、その理由は、調査する人数が足りないということか。正確な結論を出すということはとても大事だが、最終的な判断に時間がかかり過ぎている案件が幾つかあると思う。

(経済産業省) 資料3の受付・公表状況のように、年間1,200件ぐらいの重大製品事故の報告があり、その9割以上についてNITEに調査依頼を行っている。年間1,000件ぐらいあるため、まず事故の受付時点でリスク評価を行って、発生の頻度や事故が起きた場合の拡大の程度、リスクの高いものを優先的に調査している。効率的かつリスクの高いものから優先的に進めていく考え方をとると、実態として結果的に遅くなるものも出てくるという面もある。
 また、警察や消防の方でずっと調査されていて、なかなか十分な情報が得られないようなケースがあり、結果として時間がかかっている案件もある。

(委員)重大なことからやるということはとても大事と思うので、そこの判断を誤らずに、そういうものもできるだけ早くするように、組織としてのしくみをうまく作ってほしいと思う。

(委員) 高齢者、特に有料老人ホームの事故等について調べた中で、高齢者施設での火災で8人とか10人が亡くなると大問題になって、政府の方で98億円ぐらい使って、スプリンクラーをつけるということを消防庁と一緒になっていろいろやった。
 ところが、介護ベッドによる死亡事故は、毎年恐らく10人以上亡くなっているかもしれない。ある意味では火災で一時に亡くなる事故よりも介護用ベッドでもっと深刻な死亡事故が起こっているのではないかと思う。今後も介護用ベッド等での事故を調査した上で、単に施設側の人に注意するだけでなく、ベッド絡みの事故で高齢者が亡くなることを防ぐことももっと注意してやっていただきたい。是非ご配慮をお願いしたい。

(経済産業省)その必要性は御指摘のとおりと考えている。昨年度、消費者庁と協力して、厚生労働省を通じて全ての病院や施設等に対して事故防止の注意喚起を行うとともに、経済産業省は先程ご説明した取組みを進めている。今後も色々な形で注意喚起等が必要と考えている。平成21年にJISを改定し、事故が起きにくい形になってからこれまで死亡事故は起きていないが、旧型品の対策として今後どういうペースで入れかわっていくかも注視している。
 どのような事故が起きているのかを知らせることは、まさにこの重大製品事故の公表制度の1つの狙いで、こういう事故が起きているということや事故件数は公表している。

(議長)全体を通して、委員からのご意見を施策に反映いただくよう、対応をお願いしたい。

(消費者委員会事務局)これまでこの会議は経済産業省と消費者委員会での合同会議として開催していたが、消費者委員会としては考え方を整理し、個別の案件の判断に入り込むのではなく、今後も製品安全に関心を持って全般的なしくみを確認していく趣旨で、来年度以降の合同会議は、経済産業省と消費者庁との合同会議という形に仕組み方を変更させていただくこととなった。消費者委員会として大変お世話になり感謝申し上げたい。

≪4.閉 会≫

(以上)