第5回 食品表示部会 議事録

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日時

2010年11月16日(火)16:00~17:45

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
 田島部会長、日和佐部会長代理、青柳委員、阿久澤委員、阿南委員、石塚委員、鬼武委員、
 春日委員、川戸委員、迫委員、立石委員、中下委員、山浦委員、山根委員、山本委員、
【説明者】
 消費者庁 原審議官、相本食品表示課長、平中課長補佐、中村課長補佐
【消費者委員会事務局】
 消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.原料原産地表示の拡大の進め方について
3.加工食品品質表示基準の改正について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:11KB)
【資料1】 原料原産地表示の拡大の進め方 (PDF形式:230KB)
【資料2】 加工食品品質表示基準の改正について (PDF形式:517KB)
【資料3】 加工食品品質表示基準の諮問について (PDF形式:511KB)


≪1.開会≫

○原事務局長 それでは、始めたいと思います。本日は、皆様お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから「消費者委員会 食品表示部会第5回」の会合を開催いたします。
 本日は、海老澤委員、澁谷委員、栗山委員、宗林委員、手島委員、森委員が御欠席となっております。鬼武委員、少し遅れておられるようですけれども、見えられると思います。過半数に達しており、本日の部会は成立しておりますことを御報告いたします。
 それでは、田島部会長、議事進行をどうぞよろしくお願いいたします。

○田島部会長 本日は、消費者委員会事務局から、原事務局長のほか、齋藤審議官、消費者庁からも原審議官及び相本食品表示課長に御出席いただいております。
 なお、本日の会議につきましては公開で行います。議事録についても、後日公開することとします。
 では、議事に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 第5回の「議事次第」と書いてあります紙の後ろ面に配付資料ということで付けさせていただいておりますけれども、資料1「原料原産地表示の拡大の進め方」。
 資料2「加工食品品質表示基準の改正について」ということで、今からの審議について使う資料ということで準備させていただいています。
 資料3としては、「加工食品品質表示基準の諮問について」ということで、諮問書をお付けしております。
 それから、席上で第4回部会で使いました資料を、食品表示部会に準備していただいたものを、これも審議の途中で活用させていただけたらと思っております。
 不足がございましたら、また事務局へお願いしたいと思います。
 それでは、部会長、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.原料原産地表示の拡大の進め方について≫

○田島部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入ります。本日は、「原料原産地表示の拡大の進め方」及び「加工食品品質表示基準の改正について」の2つを主な議題として取り上げていきたいと思います。
 まず、「原料原産地表示の拡大の進め方について」は、品目全体について計画を立てて、原料原産地表示の拡大に向けた検討を進めるべきとの意見が数多くございましたのを踏まえ、消費者庁より過去の経緯も含めて御説明いただきます。なお、今日の部会の議論は、消費者委員会にも報告し、議論いただいた上で、今後どのように進めるかを考えてまいりたいと思います。
 「加工食品品質表示基準の改正」につきましては、消費者庁よりJAS法に基づき定める加工食品品質表示基準に、主な原材料の原産地表示を義務付ける加工食品として、黒糖及び黒糖加工品及び昆布巻きを追加することについての諮問があり、消費者庁から諮問経緯や内容について説明をいただきます。
 それでは、議事次第2の「原料原産地表示の拡大の進め方」について議論を行いたいと思います。消費者庁の相本食品表示課長から御説明をお願いいたします。

○相本食品表示課長 では、お手元の資料1に基づきまして御説明申し上げます。「原料原産地表示の拡大の進め方」でございます。
 2ページ目ですけれども、原料原産地表示の拡大に向けた検討の経緯ですが、まずJAS法に基づく加工食品の原料原産地表示の拡大に向けた検討につきましては、消費者庁が発足する前から、平成20年7月から農林水産省、厚生労働省が共同で設置しておりました食品表示に関する共同会議において検討が行われてきたところです。昨年9月以降、新設された消費者庁がJAS法に基づく表示基準の企画立案業務を担当することになったことから、この課題について検討を継続してきたところです。
 消費者庁におきましては、まず本年2月~3月にかけて、パブリックコメントや意見交換会等を実施し、消費者等からの御要望の多かった品目を中心に、生産流通実態などの調査を行ったところです。この結果、「黒糖及び黒糖加工品」、それから「昆布巻き」の2品目につきまして、原料原産地表示の義務付けを行うための要件 I 及び II に該当すると判断いたしました。したがいまして、この2品目に関して、原料原産地を義務表示とするための加工食品品質表示基準の改正について、今月4日に消費者委員会へ諮問したところです。
 この諮問に関しては、資料3に諮問文の写しを添付しております。
 2番目として、この原料原産地表示の拡大に関しては、これまで原料原産地表示の指定の要件の I 及び II の判断の基準を基本として、その検討を進めてきたところです。これまで、第3回の食品表示部会以降、御議論いただいてきたところですが、この問題につきましては、品目全体について計画を立てて、今後の原料原産地表示の拡大に向けた検討を進めるべきとの御意見を各委員の皆様から多くいただいたところです。
 したがいまして、消費者庁としては、次に御説明するような点を中心として、原料原産地表示の今後の拡大のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。
 3ページ目です。
 まず1点目として、原料原産地表示の拡大に向けた検討方法として、義務対象品目を選定する際の基本的な考え方です。これについては、消費者庁発足以前、食品表示に関する共同会議において、義務対象品目選定の際の基本的な考え方として示されていた要件 I 及び II があります。今後、原料原産地表示の着実な拡大を図るため、これらの要件を見直すべきか、あるいは新たな要件を設定すべきかについて検討していきたいと考えております。
 要件 I については、原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映されると一般に認識されている品目であって、かつ要件 II として、製品の原材料のうち、単一の農畜水産物の重量の割合が50%以上である商品と定義されております。
 検討の課題として想定される課題としては、以下に整理しております。
 1点目として、この要件 I に関しては、平成15年に義務対象品目として20食品群を設定。これは資料3の3ページ目に、これまでの経緯の表を整理しておりますけれども、原料原産地に関しては、平成13年以降、2回にわたって対象品目を拡大してきたところです。平成15年に20食品群を新たに原料原産地の対象として追加する際に、この判断の基準として要件 I 及び II を設定したという経緯があります。
 平成15年に、義務対象品目として20食品群を設定した際に、加工の程度が比較的低いなどの要素を判断する基準として設定したものですけれども、この際に、緑茶やもちなど、必ずしも加工の程度が低くない食品であっても、要件 I に該当するということで義務対象品目に追加してきた経緯があります。あるいは、消費者の産地情報ヘの関心の高まりなどを踏まえて、この原産地についての情報が消費者の選択に混乱を来しているかどうかなどの要素をより重視するため、この要件を見直すべきかどうかということを検討したいと考えております。
 2点目として、要件 I に該当するかどうか、必ずしも定かでない食品のようなものであっても、消費者から御要望が高かった、あるいは産地偽装の表示が横行しているというものについても、この義務対象品目に追加できるよう、新たな要件を設定すべきかどうかということを検討していきたいと考えております。
 もう一点、この要件 II ですけれども、これは原材料の重量割合について、単一の農畜水産物の割合が50%以上という基準を設定しているところですが、食品によっては、例えばエビシュウマイのエビのような、50%以下の食材であっても、その商品を特色付けるような食品もあり得ることも考えられますので、こういったことから50%という要件を見直すべきかどうかということを検討してまいりたいと考えております。
 この要件 I 及び II ですけれども、もともと食品表示に関する共同会議で、具体的にここに4つ掲げてございますけれども、このような要素に合致するかどうかの判断基準として設定したという経緯があります。
 1番目として、加工の程度が比較的低い。言いかえれば、生鮮の食品に近い加工食品であるということ。
 2番目として、原産地によって原料の品質に違いが見られ、価格を含めて商品の差別化がされているということ。
 3番目として、原料の調達先が海外を含めて多様であるということ。
 4番目として、単一の農畜水産物の重量の割合が高いことといったことを判断するための基準として設定したという経緯があります。
 4ページ目です。2点目として、対象品目の候補の選定の進め方です。
 まず、3ページ目で御説明したような、新たに設定された基本的な考え方を踏まえて、この要件に該当し得る品目を幅広く選んでいく。
 具体的には、これまで消費者庁発足以前から検討がなされてきた品目で、5ページ目を御参照いただきたいのですけれども、これは平成19年に緑茶飲料及び揚げ落花生を新たに原料原産地義務表示の対象としたという検討を行う際に、総計で24品目の食品について検討を行ったという経緯がありました。このうち、緑茶飲料と揚げ落花生について追加したという経緯がありました。
 その際に、この資料にありますような24品目について、要件 I と II に合致するか、あるいは実行可能性の面から表示を義務付けることが適当であるかといった観点から検討を行って、最終的にこの緑茶飲料、揚げ落花生が選ばれたということです。
 このような、過去に検討を行われた食品、加工食品、あるいは産地偽装が増加しているといった新たな状況がある食品を、まず幅広く対象品目としてリストアップしていってはどうかということです。対象品目の候補について具体的に原料原産地の義務付けを行うかどうかということを検討する際に、これについて実行可能性ということから検討が必要と考えております。
 具体的には、これも昨年消費者庁が発足する前の食品表示に関する共同会議の検討の報告書として、昨年8月28日に公表された報告の抜粋ですけれども、原料の産地の切りかえが頻繁である。あるいは、一般的に輸入の中間加工品が使われているなどの実行可能性の観点から、新たな表示方法の導入を含め、検討すべきといった課題が提示されているところです。
 この報告書において、まず課題1点目として、頻繁な原料原産地の切りかえにどのように対応するのか。
 2点目として、一括表示欄の表示の物理的スペースが限られておりますので、数多くの輸入国を表示しなければならないとした場合に、どのように対応すればよいのかという課題。
 3点目として、生鮮の農産物を一たん加工した中間加工品を輸入して、国内で加工食品の原料とする場合に、もとの農産物の原産地の情報がわからないという場合に、どのような表示をすべきかといった課題が挙げられております。
 まず、課題マル1及びマル2に関しては、下の緑の四角のマル1及びマル2という対応策が提示されているところです。
 1番目として、切りかえ産地を列挙する可能性表示。これは、1年を通じて、時期によって材料の輸入先、調達先が変わるということが食品の原料においては考えられますけれども、こういった際に想定されるようなすべての輸入国を具体的に原料原産地の表示として列挙するという案を提示しているところです。
 また、この案につきましては、他方問題点として、食品の内容と表示の内容が必ずしも一致しないということで、使っていない原産地の原料が表示されてしまう可能性があるということで、かえって消費者に誤解を招く情報を与えかねないことから、導入することは不適切ではないかという整理が、この報告でなされているところです。
 2点目として、「国産」・「外国産」又は「輸入」といった大くくり表示を認めてはどうかという案です。これに関しては、頻繁に原材料の産地の切りかえが行われている加工食品に対しても対応できるということで、導入が適切ではないかという整理がなされております。ただ、その適用に関しては、表示の意義がどうなるのか、あるいはその必要性がどうであるかということも含めて、個々の食品の原料の取り扱いも踏まえて十分な検討が必要であるということが報告されているところです。
 課題マル3に関して、輸入中間加工品の原産国表示の方法の導入に関しては、原料原産地情報が不明な中間加工品を原料として使用する際にも表示ができるということで、導入は適切ではないかといった整理がなされているところです。
 このような原料原産地の表示の実効性の観点からの検討も含め、今後、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上、御審議の方、よろしくお願いいたします。

○田島部会長 ありがとうございました。この問題につきましては、過去2回の表示部会で委員の皆様から、今までのやり方では行き詰まるのではないか。原料原産地表示の拡大について、新たな視点を出すべきではないかという声を受けまして、消費者庁でも検討を開始したいという報告でございます。この問題は大きな問題ですので、消費者委員会でも今後検討を進める予定にしております。委員の皆様から御意見をよろしくお願いいたします。
 山浦委員。

○山浦委員 要件の見直しが必要かどうかということですけれども、私は要件 I ・ II だけではなく、新たな基準というものを考える必要があるという意見です。やはり消費者にとりましては、この間の事故米をはじめとして、いろいろな被害に遭っているわけでして、そういったものが解決されるように、そして消費者の選択権が確保されるように、特に消費者の関心の高い事項について、どの国の原料なのか、どういうふうな割合で入っているのかということがわかるような基準というものを、新たに設ける必要があると考えます。

○田島部会長 ありがとうございました。今後の検討に生かしたいと思います。
 ほかに御意見、ございますでしょうか。どうぞ、立石委員。

○立石委員 1つ問題提起したいのですけれども、先ほど紹介がありました、平成19年に表示対象商品に追加された揚げ落花生と緑茶飲料の件です。私、常々不思議に思っておったのですけれども、柿の種の中にピーナッツがございますね。これは、どういうわけかピーナッツの表示が食品メーカーによって、きちっと中国産と表示されているメーカーさんと、そうでないメーカーさんがございます。
 柿の種、あられの部分とピーナッツの配合割合は6対4が多いそうです。5対5というのもあるそうです。6対4の場合は、ピーナッツは加工食品品質表示基準によることになるわけですね。そうすると、加工食品品質表示基準によると、50%以下のピーナッツは表示しなくてもいいのですね。これはどう考えてもおかしいのではないかと思います。だから、もともと要件 I ・ II の50%ルールというのは、消費者にとって選択に資するということでありながら矛盾をはらんでいるわけですね。ここのところをもう一度、柿の種のピーナッツの例でも検証していただきたいと思います。

○田島部会長 わかりました。ありがとうございます。中下委員、どうぞ。

○中下委員 この要件 I ・ II なのですけれども、先ほどの御説明では、ページの一番下に、食品の表示に関する共同会議で、以下の要素に合致するかどうかの判断基準として、2つの要件が設定されたと書かれているのですけれども、その理由なのですけれども、先ほどの50%ルールとも非常に関連するかなと思うのです。
 消費者の要望としては、必ずしもこの4つ書かれている要素だけでもないかなと思うのですね。消費者の要望がこの4つの要素なのかというと、必ずしもそうではないのではないかと思うものですから、この4つの要素というのが、なぜこの要素を判断基準として挙げてきたのかということをもう一度確認して、果たしてそれでいいのかどうかということも一度議論いただきたいなと思うのです。

○田島部会長 ありがとうございました。続いて山本委員。

○山本委員 もともと過去からの原料原産地の議論の中で、要件 I ・ 要件 II が中心というか、基本に据えられて検討されたわけですけれども、原料原産地表示はあくまでJAS法における品質表示の一部です。そうなると、やはり品質を中心ということですので要件 I があって、しかもそれがしっかりとわかるものでなくてはなりません。どこかで線を引くのであれば半分ということで、どこかで妥協があったというか、議論があったと思いますけれども、そういうことがあって今のルールが決められているわけです。
 ですので、先ほど柿の種の例がありましたけれども、少なくともどこかである程度の線を引くということが、必ず必要になってくるのですね。ですので、これまでの議論を十分に踏まえて、要件 I と II がなぜ必要になったかということを、今のやろうとしていることに対して、過去の歴史といいますか、過去の経緯ももう一度十分に検討する中で議論し合いながら進めるべきだと思います。
 今回の資料、幾つか質問というか、意見も含めてやりたいのですけれども、3ページ目の真ん中、想定される課題の例で、最初の黒丸の2行目に、「必ずしも加工の程度が低くない食品であっても、要件 I に該当するものとして対象となってきた」ということですが、「必ずしも加工の程度が低くないものであっても」というのが中心にあったわけではなくて、要件 I 、要件 II 等に照らし合わせてみたら、あくまでそれはクリアーしている。しかも、消費者の声もあるということで、どちらかというと例外的な扱いとして加えていたという議論があったはずなのです。
 なので、本筋ではないというと言い方は変ですけれども、例外的な扱いの位置付けといいますか、そういったものもあったのは事実です。だけれども、それがあるからといって中心に置いて、もっと広げようということになると、切りがないといいますか、そんな考え方もできるわけでして、そういう考え方が良いのかどうかをある程度詰めていく必要があるのかなと思います。
 それから、その下の2つ目の黒丸ですけれども、これは原料原産地そのものの議論と違うかもしれませんが、産地偽装があるからとか消費者の要望が高いからとか、ほかの理由があるからということで、もともと品質基準であったJAS法の中の話ではなくて、品質と関係ないところの根拠でもって、原料原産地、いわゆるJAS法の内容を変えていくとなると、JAS法そのものの位置付けが変わってしまうのではないか、つまりJAS法の改正というところまで及ぶ話になってしまうのではないかと思いますし、余り国内法で規制を強くすることによって、海外からは、今でさえ買い負けという状態がある中で、ますます物が入りにくくなるのではないかと思います。
 今度、TPPの問題もありますし、その辺の兼ね合いをうまくやっておかないと、単にこんな声があるから、こういう問題が起きたからということで強化してしまうことが本当にいいのかどうかということが議論になってくるのではないかなと思いますが、その辺はこれからの議論とはいえ、どのようにお考えになっているのかなと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 食品表示の情報の受け手というのは消費者になるわけですから、消費者の御意向がどこにあるのかということを第一に考えなければいけないと思いますけれども、現状の枠組みは、危害発生の防止と適正な選択。更にその下に、原料原産地の場合は要件 I と II がプラスαになっている。この枠組みを考えますと、今、諮問されている原料原産地の義務化というのには、かなり解釈を拡大しないと、なかなかそれに当てはまらないのではないかと私は思っております。
 つまり、例えば昆布巻きとか黒糖が出ていますけれども、消費者というよりは、どちらかというと生産者の御意向が非常に強いのかなと思いますし、それから加工品という定義に当てはめますと、例えば昆布巻きなどは本当に加工度が高いのではないかと思いますので、この枠組み全体を何らかの形でもう一度、先ほど消費者庁の方から説明がありましたけれども、そこをきちっとたたかないと、これから産地表示を拡大していくことにおいて、同じような議論の繰り返しになって前に進まないのではないかと私は思っております。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。ほかにございますか。立石委員。

○立石委員 これは当初、要件 I ・ II を検討した際に、50%ルールとか、多分相当な議論をされてきたと思うのです。ただ、当時想定されていないようなさまざまな問題が出てきているわけです。いわゆるルールを逆手にとるというか、悪質な事例もございます。
 例えば豚肉と牛肉を混合したものについては、50%を超える方だけが表示しなければいけないというルールがあります。そうでない方はしなくていい。例えば豚と牛と鶏を3つセットしたもので、50%いかなければ、すべて表示しなくていいとか、こういう解釈をしている方もいらっしゃるわけですね。
 焼き鳥のネギ間なども、ネギが50%以上あればネギの方だけ表示する。それで、肉の方は表示しなくていいとか、こんなおかしなことが起こっているのではないかと思っているわけです。まさにルールを逆手にとるような方もいらっしゃる。
 一方、お隣の韓国などを見てみますと、平成6年の時点で加工食品の原料原産地表示を義務付けているのです。50%以上のものは当然ですけれども、50%以下のものについても、配合比率の高い2品目は義務化されている。更に、8月11日から、外食産業においても義務化された上で、もしこれに違反すれば懲役3年以下、もしくは3,000万ウォン以下の罰金というぐらい厳しい法律が課されてきているわけです。お隣の国でこれができて、なぜ我が国はこれができないのか、よくわからないですね。
 消費者は、表示がされない限り、わからないのです。この辺は、もう一度検討していただきたいと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。引き続き、山浦委員。

○山浦委員 先ほどの山本委員のJAS法の改正の問題にもつながるのではないかといった御意見でしたけれども、今の立石委員の御意見にもありましたように、消費者としましては、例えば49%のアメリカ産の牛ひき肉が入っていた場合にも、ハンバーグの原料である牛ひき肉の原産地がわからないなど、さまざまな矛盾が現在もあるわけです。
 私は、このJAS法の品質ということに基づいた原産地表示という縛りではなくて、ここは消費者委員会なので、現在の食品表示制度あるいは食品のさまざまな制度、法JASや食品衛生法といったものも対象に据えて、消費者の選択権を確保するためにはどうしたらいいかという幅広い視点から、しっかりと制度を議論することが望ましいと考えますので、私としましては、要件 I とか II に縛られることなく、新たな議論をしっかりやっていく必要があると思います。

○田島部会長 ありがとうございました。鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 別の会議とバッティングしておりまして、遅れまして済みませんでした。また、最後までいられませんので、どの辺の発言までできるかわかりませんけれども、発言させていただきます。
 まず、原料原産地表示ですけれども、その前に食品表示に関することについて、多分消費者庁が一元化でこれからいろいろ議論される中で、義務表示と任意表示をどう考えるかというのがもっと前提にあるべきで、その中で加工食品の表示義務化の中で、義務表示とは何か、もしくは任意表示するものは何かという枠組みをどの辺に持っていくかということを議論しないと決着はつかない。現在、原料原産地表示の一部について義務化拡大ということで、対象品目の追加という歯抜けの部分をだんだん埋めていこうとしていることです。
 一方で、もっと義務表示で必要な項目というのは、原料原産地表示について韓国の事例のように日本ができるのではないかというお話以外にも、日本の食品表示で立ち遅れている問題はあります。例えば、栄養表示というのは、現在義務表示になっていませんから、それは食品表示における歯抜けの部分として認識すべきであり、義務表示及び任意表示は何かという、まずその辺のところから議論を深め、優先順位をきちんと付けないと、皆さんの合意が得られるものではないと思っています。例えばEUの事例でお話ししますとEUでは、消費者に対する食品情報の提供に関する規則、ヨーロッパ委員会の提案となっていまして、2008年1月に既に出されたものがインターネットで公表されています。その中で、例えば商品名とか原材料、アレルギー、期限表示、保存条件、製造者の住所・連絡先、栄養表示等については義務表示となっているのですけれども、一方、それ以上に、公衆衛生や消費者の保護、偽装・詐欺行為の防止、知的財産権の保護の観点から正当化される場合にのみ、加盟国が追加的な義務表示項目として定めることができるものがある。その中の一つとして原産国や原産地の表示を義務とできると書かれているのですけれども、それらの要件としては、明らかに食品の品質に関連があると証明された場合のみであって、加盟国は欧州委員会の通知の際に、消費者の大部分がこのような情報提供に重要な価値を置いているという証拠を提出しなければならないという厳格なルールに基づいて、原料原産地が一部義務表示化されています。 そのルールからいいますと、今、日本で進めている原料原産地表示は、明らかに地域振興なり内外価格差という視点からすると別の視点であります。EUの場合はそういうものは別のルール(例外)として、保護原産地呼称表示とか保護地理学呼称を定め、言い換えますとチーズとかワインのように地域でプロテクト、ある程度歴史的につくられているものを守らなければならないというものは、別の観点から表示の規則を決めています。義務表示とするべきものは何かについて日本とEUでは隔たりがあると考えられます。繰り返しになりますけれども、義務および任意表示を議論しないと、今後加工食品の原料原産地義務化の拡大に向けて議論するにも、このステップを踏まない限りは、なかなか前進しないだろうと思いますし、是非その辺の議論から進んでいただきたいと思っております。
 以上です。

○田島部会長 今日も大変示唆に富んだお話、ありがとうございました。
 ほかにございますでしょうか。どうぞ、山根委員。

○山根委員 3ページの方に戻りますが、私は加工の程度とか工程数が必ずしも第1の条件ではなくて、それよりも消費者の要望とか実行の可能性というものの方が、判断材料として高くなるのではないかと思っています。産地が注目されているもの、関心を持たれているもの、身近なもの、偽装が気になるもの、価格差が気になるもの、販売量が急に伸びたものにケース・バイ・ケースで対応していくことが、確実に広げていく方策かなと思っています。
 それと、50%のところですけれども、確かに過去もいろいろとあちこちで議論されていると思いますけれども、それでは上位3つのものについて義務化にするのがいいのか、その辺りについては、まだまだ今後の議論が必要で、私は当面、この50%でいくのが、今の段階では仕方がないと言うとおかしいですけれども、段階なのかなと。ただ、議論は十分する必要があると思っています。

○田島部会長 ありがとうございました。ほかにございますでしょうか。どうぞ、阿久澤委員。

○阿久澤委員 今回、加工食品から議論が始まっているわけですけれども、これはそもそも生鮮食品の原産地表示に近いもの、すなわち、加工度の低いものに対しての原料原産地表示が考えられているわけです。先ほど50%という話もありましたが、その50%というのも、加工度が低いから故の50%以上ということであって、原料に大きく反映する割合であり、50%以上と低加工度はセットで考えるということが基本であると思います。このことからも、この要件 I ・ II は、今まで原料原産地表示を考える上において、よくできている内容かなと思います。
 しかし、これでは十分でないということで、消費者の要望を更に入れて、山根委員からもいろいろな要望の内容がありましたけれども、表示は、商品と消費者、製造者と消費者のコミュニケーションツールです。言葉は交わせないけれども、コミュニケーションのツールですので、使い方によってはミスコミュニケーションが生じる場合があります。そこで、消費者の要望に対する検討のみでなく、ミスが生じる可能性があるだろうと思われること、あるいはあったという内容のものについて、能動的な議論あるいは考える姿勢にて拡大の方向性を模索することが大切であると思います。適正ツールとして義務表示への拡大のみでなく、任意表示も重要な位置にあると考えています。

○田島部会長 ありがとうございました。中下委員から先に。

○中下委員 私は、消費者の知る権利、あるいは消費者の選択権という観点から、原料原産地表示の拡大というのを考えていくべきだと、基本的には思います。
 その上で、先ほどのJAS法だと品質だというお話なのだけれども、消費者の関心は、先ほど山根委員からもありましたように、必ずしも加工の程度といったことだけにかかっているわけではないと思いますので、そういう意味ではJAS法にもし限界があるということであれば、違った枠組みで整えていくべきではないかと思います。
 その場合には、要件 I ・ II というのは、勿論この要件を踏襲しても構わないのですけれども、もう一回その観点から見直してみると、どこかで線引きしなければいけないのでしょうけれども、先ほどの50%ルールというものがあることによって、49%にするような形でこれを逃れるということが出てきて、そのことが消費者のミスコミュニケーションを招くということであれば、この要件を付けている意味がないわけですから、もう一度この要件についても見直していくべきではないかと考えます。

○田島部会長 ありがとうございました。立石委員、お願いします。

○立石委員 そもそも加工食品の定義自体が、食品衛生法とJAS法で違っているのですね。この辺は、よく御理解いただきたい。JAS法では属性の変化、火を通したりすることが必要なのですけれども、食品衛生法ではカットしただけで加工になるわけです。JAS法での義務表示というのは、例えば牛肉の場合、バラスライスを店内加工した場合、国内産牛バラ肉で表示はいいのですけれども、食品衛生法ではこれでは足りないのです。内容量、保存方法、加工者、もっといえば牛トレ法の個体識別番号まで必要なのです。
 今、加工品という定義自体も法律によって違うというところを、もう一回徹底的に全部やり直さなければいけないと思います。今までのことをいえば、矛盾が生じているということだと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。先に青柳委員、お願いいたします。

○青柳委員 ありがとうございます。食品表示というのは情報ですから、情報というのは基本的にはないよりはあった方がいい、必ずそうなってくると思います。必ずひとりでに膨らんでいくという性質を持っていると思います。ただ、そこには実行可能かどうかという部分が大きく出てくると思います。ですから、必ず一定のルール付けというものが私は必要だと思います。そのルール付けに沿ってやらないと、さまざまなところで不公平感が出てくる。
 だから、先ほど私が申し上げたのは、要件のところをきちっと論議をしてたたいて、ルール付けをして、そこに沿ってやっていくというやり方をしないと、食品表示で今、目指している消費者にとってわかりやすいもの、それから事業者にとって使いやすい表示にはならないのではないかと思っております。

○田島部会長 ありがとうございました。阿南委員、よろしくお願いします。

○阿南委員 私は、この50%ルールも含めて見直しが必要だと思っています。例えば、この50%ルールについていえば、先ほどエビシューマイの例が出されていましたけれども、このような特徴を持った商品の特徴の決め手となる原料については、それなりの情報は必要だと思うのです。原産地表示はあっていいと思います。それは50%にこだわらないということだと思うのです。すべてそういうふうに考えてはどうかと思います。
 それと、見直しを進める上で、先ほど鬼武さんからも意見があったのですが、私はこの消費者庁が担う食品表示に関わるもともとのメインの課題は、食品の表示の一元的な法制度をつくっていくことだったと思います。そのメイン課題を検討していく大きな方向性の中で、今回の見直しもしていくということが必要です。こうした筋道といいますか、歩み方というのをもう少し明確にして位置付けてやっていく必要があるのではないかと思います。
 以上でございます。

○田島部会長 迫委員、どうぞ。

○迫委員 今の阿南委員の意見に賛成させていただきます。
 JAS法のありようという点ではかなり問題の部分があるのかもしれない。表示の一元化の議論が一番根本にあるのではないかと思われますし、その議論をどこでするべきなのか。表示の一元化についての議論を、この表示部会でするのか、そうでないのか明らかにしていただきたい。それから、先ほど阿南委員、一元化の議論の道筋とおっしゃられましたけれども、そのスケジュールの中で、それに向けての経過措置みたいな形でJAS法をどう見直しをしていくのか、原産地表示をどう見直しをしていくのかという手順を、スケジュール管理上の意味合いで明確にしていただくことが必要なのではないか。
 もう一点は、本来JAS法は何といっても品質をきちっと担保していく。その部分でありますので、要件 I ・ II は余り大きく動かすことは難しいのではないか、また動かすべきではないのではないか。ただし、第2段階として、消費者の選択の中で誤認を誘導しているような商品については、網をかけていくような段階的な方針というものがあっていいのではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。ほかに。山浦委員。

○山浦委員 要件 I ・ II に加えて消費者の選択権を確保することが必要ではないかということですけれども、私、具体的に考えるに、この間のいろいろな偽装問題を考えますと、ある意味で優良誤認表示みたいなことが実際あるわけですね。ですから事業者のコンプライアンスの問題でもあるわけですけれども、そういったことが起きないようにするために、やはり独禁法マターかもしれませんけれども、そういった発想も表示ルールにとっては非常に重要ではないか、と思います。
 それから、消費者契約法でも重要事項の説明が義務化されているわけですけれども、そういった発想で、この商品であればこれは絶対に必要だという項目があると思います。ですから、その要件として消費者の選択権をしっかり確保する。そして、事業者が消費者の誤解につけ込むようなすきを与えないような発想も必要かなと思いますので、よろしくお願いします。

○田島部会長 ありがとうございました。いろいろ御意見があると思いますけれども、山本委員辺りでそろそろ打ち切りたいと思いますが、山本委員、どうぞ。

○山本委員 先ほど言いましたように、情報というのは消費者が商品を選ぶ際の情報ですね。ですので、消費者の方がどの情報をどんなレベルまで欲しがっているのかというのを、よく言われる一時的なブーム的なもので関心が高いというのではなくて、実際本当にどのレベルまであれば商品の選択が自由にできるかということも含めて考えなければならないと思います。
 そういう意味では、3ページにあります要件 I ・ II の見直しという検討方法もありますけれども、4ページに、過去、まとめられた3つ、切りかえ産地の可能性表示については、不適切という方向にありますけれども、このマル1からマル3をこのままの内容ではなく、これについてもうまく活用することによって、実際、消費者がわかれば十分だとかいうこともあると思います。だから、一つひとつの品目を選定するための要件 I ・ II の見直しと併せて、この3項をうまく使いながらできるかどうかの検討は進めるべきだなと思っています。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。では、鬼武委員さん。

○鬼武委員 済みません、あと追加で1つだけ。
 加工食品の原料原産地表示について、これまでに20食品群、プラス4食品でしょうか、そういうものを平成15年からやってきたわけですから、それらの表示が実際にどれぐらい役に立っているのかというのも、是非消費者庁の方でレビューしてもらいたいです。そうしないと、原料原産地表示が本当に消費者のために役に立っているのかどうかというのをきちんと把握しておかないと、今後の方向性の議論にならないと思いますので、是非、今までやってきた食品群について、実際どういうふうに消費者にとって役立っているか、どういう点が事業者にとって困難であったのか等の検証をお願いしたい。これまで行政は新しい法律をつくったら、その後見直しをするということは余りやっておりませんけれども、今回は是非レビューが必要と考えます。
 食品表示の義務化のなかでは、今回提案されている原料原産地表示の拡大は別に危害が大きくて、何かスピード感を持って早くやらねばならないという必要性ははないと思います。むしろ基本的な資料がそろって、それをみんなで議論を闘わせた上で拡大なり、義務表示はどういうものがあるべきかというのを、もう一度きちんと議論すべきではないかと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。いろいろな御意見をいただきましたので、一度ここでとりまとめをしたいと思います。
 要件 I ・ II の見直しにつきましては、多くの委員から御発言がございました。その中で、過去の経緯を含めて検証すべきではないかという話もございました。その検証の結果から、JAS法の品質表示基準をもう一度見直してみたらどうかと。もともと表示の一元化というものを目的に消費者庁ができたので、その中でJAS法というものを見直していくこともあり得るのではないかといった御意見もございました。
 何よりも、消費者委員会の食品表示部会なので、消費者が知りたい情報を表示すべきだ。表示というのは、消費者の選択権の拡大・確保というものが目的であるということ。特に、優良誤認をしてしまうことがないような表示というものが必要なのではないか。
 その反面、実行可能性ということについてもお話がございました。何もかも表示すればいいという話ではなくて、実行可能性も十分考える必要がある。そもそも義務表示と任意表示について、もう一度枠組みから検討すべきではないかというのも、その流れの話だと思います。
 私なりのとりまとめは以上でございますが、これをもって、今後、消費者委員会等で検討を進めていきたいと思っております。
 消費者庁から何か御発言ございますでしょうか。

○相本食品表示課長 各委員から大変示唆に富む御意見、御提言をいただきましてありがとうございます。本日いただいた御意見も踏まえ、これから今後の検討に向かっての準備を進めていきたいと考えております。
 特に、現状の原料原産地の表示の実態から、50%ルールの運用などについて御指摘がございましたけれども、そうのようなことも含めて、これからの検討の参考となるような資料やデータを整理して、これからの御議論等のために準備してまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○田島部会長 ありがとうございました。

≪3.加工食品品質表示基準の改正について≫


○田島部会長 それでは、次の議題3に移りたいと思います。議題3は「加工食品品質表示基準の改正について」でございます。消費者庁の相本食品表示課長から御説明をお願いいたします。

○相本食品表示課長 引き続きまして、お手元の資料2に基づき御説明いたします。「加工食品品質表示基準の改正について」でございます。
 2ページ目ですけれども、まずこれまでの検討経緯を整理しております。
 消費者庁発足前、農林水産省におきまして、平成20年7月から、新たな原料原産地表示の拡大に向けた表示の方法と品目の考え方について検討が始まったということであります。
 昨年、平成21年8月に食品表示に関する共同会議報告書がとりまとめられまして、先ほど御説明しました加工食品の原料原産地表示の対象品目拡大の際の3つの課題、それから新たな表示方法の導入を検討ということと。この報告におきましては、義務対象品目選定の際の基本的な考え方については、要件 I 及び要件 II を基本的に維持すべきものと考えるということが整理されたところです。
 このような検討を踏まえ本年2月以降、原料原産地表示に関する意見を国民の皆様に幅広く募集したということ。また、東京で意見交換会を実施したということです。
 この結果を整理し、各方面から御要望の多かった5品目、具体的には昆布巻き、果実飲料、黒糖、鰹節、食用植物油を中心に、この要件 I ・ II に該当するかという観点からの実態の調査などを実施してまいったところです。
 これに関しまして、本年7月の第3回食品表示部会で、この流通実態調査の報告、更に10月の第4回食品表示部会において、更にこの要件 I ・ II に該当すると考えられる品目についての説明をしたところです。
 3ページ目です。
 平成15年以降に20食品群の表示を義務化したときの考え方です。これに関しては、平成15年に共同会議の報告書で、加工食品の原料原産地表示に関する今後の方向ということで、先ほどの要件 I と II が整理されたところです。
 この要件を踏まえ、具体的に20の食品群を選定したのが右側です。幾つかグルーピングいたしますと、要件を満たすと考えられる品目群に関して、まず1番目として、生鮮の農畜水産物を乾燥したものがあります。2点目としては、同じくこのような原料を塩蔵、塩漬けしたものがあります。3点目としては、調味液と混合したもの。4点目としては、カットしたものがあります。
 更に、加工の程度からかんがみると、乾燥しただけ、塩蔵しただけといった品目群には分類されない加工食品がありましたけれども、こういったものについても、この要件に該当する可能性があるかどうかについて検討を行い、消費者の御意見や表示実行上の問題を総合的に勘案して、追加した品目がこの右側、緑茶、もち、こんにゃく及びあんについて、原料原産地表示の義務付けの対象としたのが、この20品目の整理、指定の経緯です。
 更に、第3次の品目の追加の検討として、平成17年以降検討を行い、先ほど御説明した24品目についての検討を行い、新たに緑茶飲料、揚げ落花生の2品目が追加されたということです。緑茶飲料に関しては、既に指定されている緑茶との整合性などをかんがみて、飲料としての緑茶も追加したということ。あるいは、揚げ落花生に関しては、既に落花生の加工品、いり落花生やゆで落花生が指定されているということから、揚げ落花生についてもこれに準ずるものとして指定したという経緯がありました。
 続きまして、今回の諮問品目に関する説明に移ります。
 まず、黒糖及び黒糖加工品です。
 この黒糖及び黒糖加工品について、先ほどの要件 I 及び II に照らし合わせての検討を行い、消費者庁としてこれが妥当として判断し、原料原産地表示の義務化の対象として追加するという案を諮問したところです。
 まず黒糖ですけれども、要件 I との関係で、国産の黒糖、それから輸入産の黒糖というのは、価格面で見ると3倍程度ということで、価格を含めた市場の評価があらわれているということがあります。
 更に、黒糖を生産する際には、さとうきびを圧搾・加熱し、沈殿物を冷却・成形したもので、基本的に夾雑物を除くといった工程以外には、さとうきびの絞り汁と組成は変わらないということで、もともとの原料であるさとうきびの品質、この原材料に由来する品質自体に差異があれば、黒糖の風味も産地の差が反映されると一般に認識されるだろうということで、要件 I を満たすのではないかと整理しております。
 2点目、要件 II 、50%以上という要件については、黒糖に関しては、原料はさとうきびの絞り汁からつくられたものになっておりますので、この要件 II は満たすことになります。
 もう一点、黒糖加工品ですけれども、これについてはいろいろな商品があります。代表的なものとしては、黒糖に水などを混合した黒糖みつ、水あめ、塩、しょうが、ピーナッツなどを混合した黒糖菓子といったものがあります。こういった黒糖加工品に関しては、原料に含まれる黒糖の割合が高いということで、黒糖の品質の差異がそのまま大きく加工食品としての黒糖加工品に反映されると一般に認識され得るということから、要件 I を満たすのではないかと整理しております。
 この黒糖加工品と要件 II の関係ですけれども、黒糖加工品にはいろいろなものがあります。例えば黒糖みつ、黒糖菓子のようなものは、原料のうち黒糖の占める割合が50%以上となるというものが比較的多いく、一方、原料のうち黒糖の占める割合が50%未満であろうと考えられるものといたしまして、例えば黒糖パン、黒糖まんじゅうといったものがありますが、このようなものに関しましては要件 II に照らし合わせて、黒糖の原産地表示の対象から、表示義務は課されないことになります。
 黒糖加工品との関係において、下に参考として、既に原料原産地の表示義務対象品目となっているこんにゃくの例を整理しております。
 こんにゃくに関しては、生産の工程としては、生のこんにゃく芋を粉砕・加熱して、灰汁を加えて冷却・成形したものとなります。この場合、こんにゃくに関しましては、板こんにゃく、玉こんにゃくほか、これに青のり、ごま、ゆず、しそなどを混ぜたものも、こんにゃくの割合が50%以上あれば義務表示の対象になります。
 この表示方法に関して、このこんにゃくのつくり方として、こんにゃく芋からこんにゃく粉を製造して、こんにゃく粉からこんにゃくが生産されるというこんにゃくがあります。こういったものに関しては、原料がこんにゃく粉になるので、この場合、こんにゃく粉の原料となるこんにゃく芋の産地を表示してもよいことになっております。
 これに関し、黒糖加工品に関しては、原料として黒糖と表示されますので、黒糖の原料のさとうきびの産地を表示するということになります。
 5ページ目です。
 上段ですけれども、まず黒糖などの名称の定義の明確化という問題です。
 黒糖あるいは加工黒糖という名称で製造・流通される食品について、この原料原産地の表示を義務化することに伴って、この定義を明確化することにより、その表示の義務対象となる食品の範囲を明らかにする必要があります。
 まず、黒糖に関しては、本年3月にJAS法の解釈通知として公表している食品表示に関するQ&Aがあります。これを改定し、黒糖とは、さとうきびを絞って、そのまま固めたものであるということを明示しております。すなわち、さとうきびを絞って、そのまま固めたものに、糖みつとか粗糖を混ぜた場合には、黒糖とは表示できないということを定義上明らかにしたということです。
 もう一点、加工黒糖という名称で製造・流通される食品があります。一般的には、黒糖に砂糖や糖みつを混ぜてつくるものということになっておりますけれども、黒糖を全く使用していない砂糖について、加工黒糖と書いてよいかという疑問が提示されましたので、これについても今般、加工黒糖という名称で表示する砂糖については、少なくとも黒糖を全く使用していなければ、加工黒糖とは書けないということを定義上、明らかにしたところです。
 2点目、黒糖に関する認証制度ということで、前回の食品表示部会で御要請があった地域認証等の取組みについて整理しております。
 1点目といたしまして、地域団体商標制度に基づく認証があります。これは、沖縄県の沖縄黒糖、沖縄県黒砂糖協同組合が認定を受けている商標であり、地域ブランドを商標権として取得するものです。平成19年に沖縄黒糖のブランドとして団体商標がなされたということで、現在に至っているということです。
 参考として、経済産業省特許庁の資料に、この指定の効果という説明がございましたけれども、現在のところ、競合する輸入含みつ糖、再製糖との価格差が大きいことや消費低迷の影響などから、売り上げに対する効果は見えないという説明もあるところです。
 2点目は、食品産業センターが認証している事業として、本場の本物という地域認証事業があります。これは、日本各地の豊かな食文化を守り、育てるために設けた認証マークとして、製造者の原料と製法へのこだわりのあかし、あるいは生活者が安心して味わえる本物の味のあかしとして認定を受けるものです。実績としては、沖縄県内の7島で生産される黒糖、鹿児島県の種子島の黒糖がそれぞれ認定されている状況です。
 3点目として、ふるさと認証食品、通称3Eマークと呼んでおります。これは、農林水産省が制度化した地域食品認証です。これに関しては、鹿児島県の2事業者がこの3Eマークの認証を受けているということです。
 続きまして、昆布巻きの原料原産地表示について、6ページの資料で御説明いたします。
 まず、昆布加工品の位置付けについて御説明いたします。
 日本標準商品分類上、昆布加工品という分類があり、昆布加工品の下に昆布巻き、あるいはほかの昆布加工品、とろろ昆布や昆布のつくだ煮というものがありますけれども、今般、この義務表示の対象とするのは、それらのうち昆布巻きに限るということです。
 この理由ですけれども、昆布巻き以外の食品、つくだ煮あるいはとろろ昆布のようなものにつきましていは、まず細かく切ったり砕いたりということで、原型をより小さくしてしまっている。現在、昆布につきましては、乾燥したものについては、既に原料原産地の表示の対象になっておりますけれども、その中で、粉末にしたり細かくしたものについては表示の対象から除くことになっておりますので、それとの整合性も考える必要があるということです。
 もう一点ですが、昆布巻き以外の昆布加工品に関しては、特徴として国産の昆布の使用の割合が大きい。93%が国産の昆布を使用して、つくだ煮などをつくっている実態があります。したがって、このような商品に原料の原産地表示を義務付けたとしても、そのほとんどが国産昆布になりますので、あえて義務化しなくても消費者の選択に混乱を来す可能性が低いのではないかということで、今回は義務化の対象としないこととしたところです。
 昆布巻きについて、まず要件 I 及び II についてです。
 要件 I に関し、価格面では、国産の昆布は中国産に比べて大体2倍から3倍程度の価格差があるということで、市場の評価はそのような差があるということです。
 2点目として、加工の程度ですけれども、昆布巻きのつくり方としては、加工の工程のニシンなどの魚の具を昆布で巻いて、かんぴょうで縛るという工程自体は、確かに手間のかかる工程ですが、この工程に関しては、昆布の品質そのものに影響を与えないのではないかと判断しているところです。
 また、昆布自体に味を付けたり、包装したり、殺菌するという工程を経ることとなっております。これにつきましては、既に指定されている揚げ落花生なども同様の工程を踏んでいるということで、この原料である昆布については、原産地に由来する品質に差異があって、これが加工食品である昆布巻きの品質に大きく反映されると認識され得るだろうということで、要件 I を満たすのではないかと整理しております。
 それから、要件 II ですが、昆布巻きに関してはいろいろな商品がありますので、単一の農畜水産物の重量割合が50%以上であるかどうかということは、商品によっては分かれてくる可能性があるということです。これについて、改めて製品について把握をしたところですけれども、一般的には、昆布は水を吸うということもありますので、全体重量の3分の2程度は昆布、それから残りの3分の1を魚やかんぴょうといった具材が占めるということで、昆布の占める割合が5割以上の商品が多いことになっております。
 他方、まれに具、中のニシンなどが非常に大きいということで、昆布の割合が全体の5割未満となる商品もあり得ますので、こういったものには表示義務は課されないことになります。
 参考として、既に指定されているもち、あるいは揚げ落花生の原料原産地表示の事例を挙げております。
 もちに関しましては、もち米のみ、またはもち米に米粉やとうもろこしでん粉などを加えて製造、包装したものということで、これに例えば草もちや豆もちのように、それ以外の副原料を使用した包装もちについても原料原産地の表示になっております。
 揚げ落花生、いわゆるバターピーナッツですけれども、これも落花生を油で揚げて塩などを付けて、包装、殺菌などの工程を経ているところです。
 7ページ目ですが、昆布巻きあるいは昆布加工品に関しては、過去、原料原産地の表示の検討の中で議論されているところです。
 まず、平成16年の検討におきまして、昆布巻きについては、例えば加工度が低いとは言いがたいとか、昆布巻きのみに表示を義務付けることが適当でない。あるいは、パブリックコメント等でも昆布巻きについての要望がない。あるいは、弁当のおかずなどが多いのではないかといった御意見。
 また、平成18年に昆布加工品としてのジャンルでの検討を行っておりますけれども、この際に、流通の実態が大きく変化していない。あるいは、昆布巻きなどの昆布加工品の流通実態がよくわからない。あるいは、加工度の高い食品ではないかといった議論がありまして、過去の検討においては、昆布巻きについては原料原産地の指定対象からは除かれているところです。
 この昆布巻きについて、改めて今般諮問するに当たっての現在の考え方を整理した上で提示しておりますけれども、まず本年2月以降に行った意見募集などにおいて、消費者からも昆布巻きについての義務化要望をいただいたということ。
 それから、改めて流通実態についての調査を行って、昆布巻きの中間製品の段階で、外国から輸入して国内で加熱等の工程がありますけれども、この中間製品の段階の推定輸入量が約2,000トンあるということで、国内総生産量5.3千トンの38%を輸入品が占めているといった実態が明らかになったということです。
 3点目として、昆布の中間製品の流通実態を改めて調査した結果、これは国内で中間製品が味付け、加熱されて、国産の昆布巻きとして販売されているということで、既に味付け、加熱した食品として、揚げ落花生、うなぎ加工品、うなぎの蒲焼きなどが指定されております。こういったものと比べても、加工度が高いとは言えないのではないかということ。あるいは、繰り返しになりますが、ほかの食材、ニシン、かんぴょうとの組み合わせ自体は、昆布の品質に影響を及ぼすものではなくて、この問題につきましては、むしろ原材料の占める割合の大小の観点から判断されるべきだろうということ。
 意見募集としても御要望を多くいただき、また調査検討の過程でも、食品事業者にも昆布巻きについて表示の実行性の問題からも大きな支障はないのではないかといった御見解もいただいていることから、今般、昆布巻きについての指定を諮問したところでございます。
 以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。

○田島部会長 御説明ありがとうございました。
 今回の諮問につきましては、表示の共同会議で2年以上にわたりましてヒアリング等を実施しておりましたし、消費者庁でも意見交換会を開催するなどしてまいりました。当部会の前回第3回会合でも御説明いただきましたので、そろそろこの問題に結論を出す必要があると思います。各委員の皆様方から御意見等をお伺いいたしたく存じます。
 山浦委員。

○山浦委員 対象を黒糖と昆布巻きに拡大することに私は賛成いたします。
 といいますのは、品質の面で、あるいは重量の面で問題等もあるかと思いますけれども、私が考えますのは、この問題は消費者の購買行動と非常に密接に関係していると思います。食べ物に対して消費者が期待するものは、栄養成分とかカロリーといった要素もありますけれども、風味とか、その食べ物が持っている一種の物語性といいますか、どこでつくられて、どうなっているかということ、あるいは、国産のものに対して応援したい気持ちとか、さまざまな要素があって商品を選択していると思うのです。
 いわば一種の本物志向みたいなものを考えますと、そういったものを消費者が高いお金を出して買っているという現実があります。先ほどの優良誤認表示ということになりますと、そういった消費者の購買行動に事業者がつけ込んで、消費者の経済的な損害をもたらす側面があると思います。これは、独禁法レベルでいえば、優良誤認表示、不公正な取引方法ですから、今後、課徴金の対象にもなるわけです。そういった厳しい措置も今後とられていくということでありますから、単なる品質の問題とか重量の問題にとどまらず、食べ物についての消費者の購買行動に着目して、消費者の選択権を確保するためには、こういったものに対してもしっかりと義務化していくという方向性が望ましいのではないかと考えます。

○田島部会長 ありがとうございました。鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 私は、この2品目について、今まで議論してきましたけれども、前段の議題である原料原産地の拡大の義務化に向けての議論のなかでコンセンサスが得られていません。それと、これまでに説明いただいた黒糖と昆布巻きが要件 I ・ II に合致するかというと、私はそのような要件を満たすデータが提出されたと思っておりませんので、加工食品表示基準の改正という2品目とも保留もしくは反対を表明させていただきます。
 まず黒糖については、後で消費者庁の方からお答えいただきたいのですけれども、50%以上使った加工した菓子類というのは、多分余りないのではないかと認識しています。インターネットで見ていますと、くるみ黒糖というのがあって、くるみが主要原料でしょうからかなりの量となっています。それと、くるみの外を黒糖、糖みつ、粗糖の3つの組み合わせでなっていまして、今これが任意表示でくるみ以外の糖類は○○産と書かれています。
 これがたとえ義務表示になっても、同じように、くるみ、黒糖は義務表示、糖みつおよび粗糖は任意表示ということで○○産とラベル表示できると思います。ですから、全くもって現状の表示と変わっていないことになるから、黒糖の加工品について表示をしても、消費者にとって黒糖が義務表示となったというを理解させる表示にならないと思います。更に黒糖を使った加工食品は、多分50%以下のものの方が大多数を占めることが予測され、食品事業者は50%以下の配合の方を表示したいのだろうと考えられます。
 したがって、黒糖を使った加工食品というものが、この要件にふさわしいかということを消費者庁がもう少し実態を調べた上で、義務化の対象にすべきです。加工食品のなかで黒糖が50%以上使われているものというのは、多分ほとんどないと思います。しょうが黒糖は、ほとんど黒糖の塊で、それにしょうが汁を入れたみたいなものでこれは例外でしょうが、ほかのものは50%、黒糖だけで超えるような菓子類は多分ないと思います。現行の任意表示で黒糖の原料原産地表示ができるわけですから、余り意味がないものだと思っています。
 次に現行の黒糖のふるさと認証とかを調べてもらって、それの中で、例えば地域団体商標制度では「沖縄黒糖は競合する輸入含みつ糖との価格差や消費低迷の影響から売上に対する効果が今のところ見えない」となっています。したがって、これを義務表示にしても、そんなに大きく変わるものではないと思っています。繰り返しになりますが、義務表示ですから、慎重に考えてもらいたいというのが黒糖です。
 それから、2品目のこんぶ巻きですけれども、これも要件 I ・ II ではなくて、地域振興なり内外価格差という2つの側面しか、これまでのデータ・説明からは読み取れません。この前提のところで、「昆布加工品のうち、こんぶ巻以外の食品(佃煮昆布など)については、細切した製品が多いこと及び国内昆布の使用割合が93%と高く消費者の選択に混乱をきたす可能性が低いから、義務化の対象としない。」と記述されています。しかし、消費者は切った昆布の加工品のほとんどが国産であって、それは義務表示の対象にしなくても、原料原産地の情報を知りたいものだと思います。7ページ目に、これまで昆布巻きの昆布加工品を議論してきた経過を覆せるだけの、論拠になっていないと思っています。こんぶ巻についても義務表示となるわけですから慎重に行っていただきたい。
 任意表示で事業者なりが努力して原料原産注意表示やそれに関する情報を公開することは賛成いたしますけれども、義務表示についてはもう一度慎重に考えていただかなければいけないと思います。
 もう一つだけ。品質は安全とは関係ないものですから、消費者庁の施策として義務表示の拡大ということは、一方で消費者をミスリードしてしまう。ヨーロッパはそういうことを非常に気にしています。ですから、原料原産地の義務表示化はするべきではないのです。任意表示で事業者が努力した結果を消費者に伝えるということが必要であって、そこまで行政が義務表示にすることには疑問を持ちます。先ほどの繰り返しになりますけれども、義務表示として何が必要かというところから議論していただかないといけないと思っています。
 以上です。

○田島部会長 消費者庁の方から答えをお願いいたします。

○相本食品表示課長 昆布巻きについて、補足いたしますが、黒糖もそうかもしれませんが、任意表示でもいいのではないかという御議論は確かにあろうと思います。黒糖に関しましては、沖縄の産地の事業者はしっかり自分たちで任意表示でも産地表示をすることになろうと思います。問題は、輸入品の外国のものを使って黒糖製品をつくったときに、それが表示されていない例が多いということです。そういったものが国産あるいは沖縄産の黒糖・黒糖製品と並んだときに、消費者がそれをきちんと認識して買える状況になっているのか。
 任意で一生懸命やっている方に、更に沖縄産の方に義務付ける必要は、確かにないといえばそうかもしれませんが、輸入のものも義務の対象にしないと、消費者にはわからないのではないかということが表示を義務化すべきではないかという理由の1つでございます。
 それから、昆布に関して、つくだ煮等を今回除いたことです。これは、要件 I ・ II を今回、前提に考えておりますが、この中で先ほどの議題の2番目でも御説明いたしましたけれども、要件 I ・ II の判断によって、例えば原料の調達先は海外を含めて多様であるとか、価格も含めた商品の差別化がなされているかということも、この判断要素に入っているということで、このような考え方により対象を整理をしたところです。
 黒糖菓子の5割の問題につきましては、補足して説明申し上げます。

○中村課長補佐 黒糖菓子の関係で言えば、机上配付資料の第3回の黒糖流通実態調査の中に、前に御説明したものが入っております。6ページになります。
 こちらの方に、鬼武委員から、こういうものは余りないのではないかという話の中でも、黒砂糖、さとうきびを沖縄産と書いてあって、原料等が書かれている例とか、黒みつ、黒砂糖と、黒糖を使っているものという加工品があったり、現実的には先ほどありましたしょうが黒糖や塩を混ぜた黒糖もございます。
 それから、確かに今ある黒糖加工品の全部が義務の対象になることはないと思っておりますが、過去のこういう義務表示の中で任意表示を誘導することも考えられると思っておりまして、これの影響力が少ないからという判断は、消費者庁はしていないと思っております。
 以上でございます。

○田島部会長 ありがとうございました。消費者庁としては、要件 I ・ II は十分満たしているといった御説明でございます。
 青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 ちょっと質問させていただきたいのですけれども、消費者からのへの要望があるかないかというのは私は最大のポイントだと思っておりますけれども、昆布巻きについてですが、16年の上段のところでは、消費者から特別に昆布巻きについての要望はないと書かれておりますね。それから、現在の考え方のところでは、義務化要望も多かった。義務化要望が多かったというのは、一般消費者の方からということなのですか。
 それと、もしそういうことであれば、この短期間でこんなに消費者のマインドが昆布巻きについて変わった、それは何か背景があったのかということをちょっと教えていただきたいのですが。

○田島部会長 消費者庁の答えをお願いします。

○平中課長補佐 昆布巻きにつきましては、パブリックコメントにおきましても、例えば釧路消費者協会さん、あるいは全国地域婦人団体連絡協議会さんからも御意見をいただき、3月の意見交換会の場でも、昆布巻きについて義務化をしてほしいという要望をいただいたところでございます。
 以上です。

○田島部会長 ございますでしょうか。どうぞ、青柳委員。

○青柳委員 今のお答えは、私が期待していた答えではないのですけれども、この短期間で変わったという背景は一体何だったのですかということをお聞きしたかったのですが。

○田島部会長 消費者庁、お願いいたします。

○相本食品表示課長 前回までは出てこなかったのに今回はご要望が出てきた背景については私どもは承知しておらないのですけれども、今回、消費者団体の方からいただいている御意見といたしましては、例えば輸入のものが比較的出回っていることでありますとか、その中で輸入品であるかどうかという情報が伝わってきていないということをその理由として、昆布巻きだけではございませんけれども、食品の表示に関する偽装が増えている中で、しっかりやってほしいといった御意見をいただいているところでございます。

○田島部会長 ほかに。立石委員、どうぞ。

○立石委員 昆布巻きについては、先ほどの柿の種と同じような議論なのですけれども、基本的に干したものは産地表示が義務付けられているわけです。だから、一般的に干した昆布はそういうふうに記述している。そうすると、消費者の方は、当然のように加工品についてもそうではないのかと思うわけですね。誤解する、国産と誤認されている。その中に輸入品がかなり入っているわけですね。だから、昆布巻きだけではなしに、全部やるべきなのです。7%の塩昆布の中にも入っているわけです。これを皆さんは、国内産と思って食べておられる。そういうふうに優良誤認して食べているのではないかと思います。そこら辺は十分に考えるべきです。加工食品として既に義務化されているものについては、別の加工品の形に変えても現物が見えている以上は、そうするのが当然ではないかと思います。
 それから、黒糖についても、これは過去、沖縄で相当な努力、長い歴史の中で培ってきたブランドなのです。それに乗っかかっいる人がいるわけです。優良誤認されています。
 もう一つ、黒砂糖の問題。黒砂糖と黒糖と並べた場合に、消費者の方は区別できないと思います。一度ここでやってみればいいと思いますけれども、黒糖だけは原産地表示が義務付けされて、黒砂糖がそうでなかったら、これは片手落ちとしか言いようがないのではないかと思います。ですから、黒砂糖という非常に誤認しやすいものについても、きちっと縛るべきです。規格、定義付けといいますか、そういう形でやるべきだと思います。
 以上です。

○田島部会長 消費者庁からお答えできますか。

○中村課長補佐 まず、昆布巻き以外もというお話があったのですが、先ほど課長が説明しましたとおり、つくだ煮まで味付けした、調製した昆布加工品を入れるとなると、例えばスライスしたものは、乾燥したものとか、幾つか除いているものもあります。全体の御議論を詰めた段階で決めていっていただければと思います。私たちとしては、昆布巻きを今回は義務の対象としたいと考えています。
 それから、黒砂糖のお話があったのですが、立石委員がおっしゃっている黒砂糖は、多分黒糖以外の加工黒糖やいろいろな黒っぽい砂糖のことをおっしゃっているのではないかと思うのですけれども、先ほど説明したとおり、黒糖と加工黒糖とそれ以外を区別したということもありますので、今後も何らかの形で明確化していきたいと考えております。

○田島部会長 山本委員、お願いします。

○山本委員 今回の黒糖と昆布巻き、現行のルール、現行の考え方ですと、要件 I ・ II がありますね。黒糖も昆布巻きも、説明いただいた資料を読んでも、先ほど鬼武委員からありましたように、価格差が先に説明があって、だから要件 I ・ II に合っていると言っているようにしかとれません。価格差といっても、価格の中には人件費とか保管費とか運賃とかマージン、一部ブランドの引きもあるかもしれませんが、それがすべてを構成していて、だから品質の差だけで価格差があるということではないと思います。だから、ここで品質に差があるのかと言われると、あくまでもここは首を傾げたくなる。これは黒糖も昆布巻きもどちらもそう思います。
 それと、黒糖加工品というのは、確かに生姜黒糖とか何とか黒糖を持ってくれば、それは黒糖の量は確かに多いでしょうけれども、黒糖を使った加工品全体の中のどれだけなのか。確かに輸入品が紛れ込んでいるといえば、そのことは正しいのかもしれませんが、加工品全体の流通されている量として、どれだけ占めるのかと考えると、極めて少ないというのが実感ですし、業界からも黒糖が50%を越えるような加工品の量は多いといった意見を聞いたこともございませんので、それを義務付けするか。流通量が増えるというこれまでの要件から考えたら、当たらないのではないかと考えておりまして、基本的に今すぐに黒糖と昆布巻き、特に黒糖の加工品について義務の対象にする必要はないのではないかと思います。
 それと、仮に黒糖と昆布巻きに限らず、現行の原料原産地の考え方で進むときには、先ほどの要件 II の50%に満たないものと言われるものについては、現状を維持して、きちっとそのことは守った上で考えていくべきではないかと思います。

○田島部会長 消費者庁の方からお話ありますか。

○相本食品表示課長 価格差の件ですけれども、数字的にお示しできるものとして、ここに書かせていただきましたけれども、これだけということではなく、そういうことも含めて品質差が認識されているのではないかということでございます。例えば黒糖でいえば、島によって風味が違って、値段もニーズも違うというお話もございますけれども、そういったことも含めて、産地による品質の差異ということが加工食品の品質に反映されているのではないかということです。
 それから、黒糖と黒糖加工品ですけれども、いろいろな商品があるのですが、ここに挙げたような黒糖菓子、特にしょうが黒糖とかピーナッツ黒糖のようなものにつきましては、そのままの黒糖に近いような形で、例えばおみやげ物屋さんで売られるという実態もございますので、そういったものとセットで産地表示の対象として取り扱うべきではないかということから、あわせて対象としたいということです。

○田島部会長 先に迫委員。

○迫委員 ありがとうございます。私は、黒糖も昆布巻きについても、今回ここで原産地表示の対象にしていいのではないかと思っております。
 その中で1点、黒糖について確認させていただきたいのですが、5ページの定義のところなのですけれども、黒糖を使用していないものは、名称として加工黒糖など、黒糖の用語を使用できない旨を明確化したと記載されています。この名称というのは一般的な名称になると思いますが、商品名として黒糖という表示がされているようなものは、先ほど来、前半の方で議論された今後の方向性とも若干関わる部分ではあるのですけれども、商品名として黒糖まんじゅうとか黒糖何とか、かなり黒糖が含有されていることを期待させる表示であります。
 これは本来、JAS法で見るべきものではないのかもしれないのですけれども、名称で使用できない旨を明確化していながら、商品名のところについては触れないのかどうか。この辺が、今後の表示そのもののあり方、議論の進め方とも関係してくる部分ではないかと思うのですけれども、どういうふうに考えていらっしゃるのか、教えていただければと思います。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。消費者庁、よろしくお願いします。

○相本食品表示課長 例えば黒糖を全く使っていないにもかかわらず、商品名に黒糖パンと表示している食品の表示が適切かどうかということでございますけれども、JAS法においては一括表示欄の名称でで判断いたします。

○原審議官 JAS法でやるのはなかなか難しいのですが、こういった問題につきましては、多分景品表示法上の問題になりますので、消費者庁としても景品表示法を担当している部署がございますので、そういったものについては厳正に対処する形で考えております。

○田島部会長 追加でどうぞ。

○迫委員 是非その辺をお願いしたいと思っております。私は実際、栄養表示の関係で仕事をしたことがあるのですけれども、葉酸ビタミン何とかあめとか、栄養素の名前を直接商品名に使っていて、勿論含有はしているのですけれども、表示のところに引っかかってこないようなものがありましたので、消費者庁としては是非その辺をやっていただければと思います。
 今回の黒糖に関しては、加工黒糖というような、本来、黒糖と表現できないようなものを使っていても、黒糖という名前が使えることになるかと思いますので、よろしくお願いいたします。

○田島部会長 中下委員、よろしくお願いします。

○中下委員 私は、黒糖、昆布巻き双方とも要件 I ・ II を満たしていると思いますので、今回、これの表示を義務付けることに賛成です。
 更に、立石委員が先ほどおっしゃった、特に昆布です。加工品のつくだ煮昆布のようなものについても、国産だと思って食べている人が多いと思いますので、こちらについても是非前向きに御検討いただきたいなと思います。今回と同時でなくても、おっしゃられたように、ほかのものとの調整もございますでしょうから。でも、そういうものについて、消費者として産地を含めて選択したいと考えますので、是非前向きに御検討いただきたいと思います。
 それから、迫委員がおっしゃったように、黒糖というのは体にいいものだとみんな思って、黒糖まんじゅうとか黒糖パンとかも買っている人も少なからずおいでになるのではないかと思いますので、この点についても、全く黒糖が含まれていないものまでそういう名前を付けて売られるということについては、厳正に対処していただきたいということを要望いたします。
 以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。山根委員、どうぞ。

○山根委員 私もどちらも表示の拡大義務化に賛成です。
 ほかの既に義務化済みの食品と比べて考えても、今回の両方とも義務化が相当と判断できると思います。消費者庁さんからの説明でも、十分それは判断できるものだと私は思いました。何よりも産地をわかって購入したい、誤解なく買いたいという消費者に、拡大ということで対応できるものだと思って期待したいと思っております。
 また、地域の認証制度などで頑張っている方もいっぱいいらっしゃいますけれども、その間を縫って悪質なインチキをするような業者もいるわけですので、その辺りにもこの義務化で適正な配慮というか、対応がなされることも期待していますし、適切に義務化に進んでいただければと思います。

○田島部会長 山浦委員、お願いします。

○山浦委員 先ほど青柳委員の方から、平成16年に消費者の要望がなかったのに対して、今なぜ要望が出てきたのかという御質問がありましたけれども、それと関連するのですが、今回のこういった加工食品に対する表示の義務化につきましては、構造的な問題があると思うのです。ここ5~6年の間に開発輸入がどんどん進んだ。それから、輸入原材料の輸入量の増大があります。特に中国からのものが多いと思います。こういった中で冷凍餃子の問題もありましたし、消費者の意識がやはりどういった原材料なのかということについて、非常に敏感になっているという構造があると思います。
 ですから、私たちはこういった現状に即して、構造的に変わってきたのだったら、それについてはしっかりと表示するという方針が必要となっているのではないかと思います。

○田島部会長 ありがとうございました。鬼武委員、どうぞ。

○鬼武委員 もう一つだけ意見を申し上げます。
 表示の義務化ということになりますと、実際にいろいろな食品原材料が流通・販売されているものについて偽装の可能性がないかという、実行性、エンフォースメントといいますか、監視も必要になると思います。実際に原料の昆布なり黒糖という品質の差が一般に認識されることはわかりますけれども、実際に科学的機器分析によって国産または外国産であるかの分析ができるということも成り立っていないと、義務表示をしても、それを保証する制度にはなりません。新しく法制度化されると、一時的にある程度業者は法律を遵守することはあるかもしれませんけれども、時期が経過し、挙証できない表示制度であるとわかった瞬間から、法をかいくぐって偽装する原料を使って表示してしまうケースも予想されます。
 実際に科学的な機器分析できない場合には、食品原材料に関するトレーサビリティ等で記録・管理されていないと法的にも処分できないことになると思いますので、このような問題点も含めて今後検討していかないと、義務化だけを最優先するということでは非常にアンバランスな食品表示制度の普及となるおそれがあれます。義務表示の実行性の挙証は消費者庁ですけれども、実際には地方行政組織も管理をおこなうため、必要な監視制度の確立が重要となります。
 もう一つ、繰り返しになりますけれども、原料原産地の拡大というのは、農水省と厚生労働省の共同会議で議論がありましたけれども、これは食品の安全・品質とかに関わる高い意識からの表示制度ではないこと、知りたい権利として食品原材料の一部の情報を提供するという制度であって、食品の安全性とは関係ないということを行政機関が明確に言及しないといけないと思いますし、これまでの共同会議でも幾度も意見として述べました。一般の人、消費者からすれば原料原産地の表示は安全性と思うわけです。原料原産地表示の拡大および品質表示基準の改正(2品目)については、消費者は食品の安全性のための表示であると認識してしまう傾向があることから、この点も充分に加味しないと義務表示の拡大ということにはならないのではないかと思っております。是非慎重なる判断をしていただきたいと思っています。

○田島部会長 ありがとうございました。青柳委員、どうぞ。

○青柳委員 私は、今の表示の枠組みから考えると、特に昆布巻きについては、少し無理があるのではないかなと思って、ちょっと好ましくないなと思っております。以上です。

○田島部会長 ありがとうございました。この議題につきましては、前回の部会から継続して2回にわたって議論してまいりました。それで、もうそろそろこの辺で議論を打ち切りたいと思います。
 今後の取り扱いでございますけれども、いろいろ御意見がございましたので、その御意見を踏まえて部会長に一任していただきたいと思います。当部会の運営規定によれば、部会の議決については消費者委員会委員長の同意を得ることとされておりますので、本件の取り扱いにつきましては松本委員長に御相談した上で決定させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、議題を終了いたします。連絡事項等につきまして、事務局からよろしくお願いいたします。

○原事務局長 遅い時間までありがとうございました。
 次回の日程ですけれども、12月13日月曜日の14時からを予定しております。議題については、改めて御連絡を差し上げたいと思っております。
 事務局からは以上です。

○田島部会長 それでは、本日はこれにて閉会させていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

≪4.閉会≫


(以上)