第9回 地方消費者行政専門調査会 議事録

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日時

2010年12月16日(木)10:00~12:20

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 稲継座長、沼尾座長代理、奥山委員、国府委員、斎藤委員、菅委員、
 田中委員、野口委員、馬場委員、圓山委員、矢野委員、山下委員
【担当委員】
 池田委員、佐野委員、下谷内委員、山口委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 林地方協力課長
 独立行政法人 国民生活センター 日下部企画調整課長
 独立行政法人 国民生活センター 窪田情報部長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政の基盤・環境の整備について
3.地方消費者行政の実態と対応策について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第(PDF形式:72KB)
【資料1】 消費者庁提出資料(PDF形式:320KB)
【資料2-1】 地方消費者行政の基盤・環境の整備について(論点)(PDF形式:96KB)
【資料2-2】 消費者教育及び行政の人材育成に関する参照条文について(PDF形式:97KB)
【資料2-3】 行政と消費者、事業者などの協働連携、消費者教育・啓発、人材育成のあり方に関連する第171回国会における議論について(PDF形式:215KB)
【資料2-4】 行政と消費者、事業者、専門家等との連携協働及び人材育成に関する現場の声(地方消費者行政の実態調査(平成22年1月 消費者委員会事務局)別紙2)(PDF形式:116KB)
【資料3】 「地方消費者行政に関する特別世論調査」(クロス集計結果)について(PDF形式:284KB)
【資料4】 消費生活相談に関する実態調査(中間報告)(PDF形式:395KB)
【資料5】 消費生活相談専門家による巡回訪問事業-市町村の消費生活相談窓口の現状-(国民生活センター提出資料)(PDF形式:439KB)
【資料6】PIO-NETの入力に係る相談員の負担について(国民生活センター提出資料)(PDF形式:269KB)
【資料7】市町村の相談窓口体制整備のための対応策(たたき台)(PDF形式:165KB)
【資料8】今後のスケジュール(案)について(PDF形式:85KB)
【資料9】地方消費者行政と国の支援のあり方に関する主な論点に関する意見(奥山委員提出資料)(第8回の「資料9」と同一資料)(PDF形式:363KB)
【資料10】相談窓口整備の「たたき台」への意見(圓山委員提出資料)(PDF形式:238KB)
【資料11】消費者教育、啓発についての提言(馬場委員提出資料)(PDF形式:253KB)
【資料12】地方消費者行政の基盤・環境の整備に関する課題と国の支援(池本オブザーバー提出資料)(PDF形式:102KB)
【資料13】小規模相談窓口の相談の現状(相談事例)(田中委員提出資料)(PDF形式:139KB)
【参考資料1】「地方消費者行政活性化基金」の活用状況等について(消費者庁提出資料)(PDF形式:142KB)
【参考資料2】当面のPIO-NETの利用範囲の拡大について(消費者庁提出資料)(PDF形式:118KB)
【参考資料3】市町村連携による広域的な消費生活相談等の対応例(消費者庁提出資料)(PDF形式:127KB)
【参考資料4】「住民生活に光をそそぐ交付金」の活用について(消費者庁提出資料)(PDF形式:618KB)


≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。時間になりましたので、始めさせていただきたいと思います。今日も朝早くからありがとうございます。
 ただいまから、「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会」の第9回の会合を開催いたします。
 なお、本日は、所用により、担当委員の日和佐委員が御欠席ですが、専門委員の皆様は、ちょっと遅れておられる委員の方もいらっしゃいますけれども、全員御出席ということになっております。
 議事に入ります前に、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。
 議事次第と書かれたものの次に、配付資料の一覧をお付けしております。今日は膨大な資料になっておりますけれども、資料1と資料2は、前半、御議論をお願いいたします「地方消費者行政の基盤・環境の整備について」の論点に係る資料で、消費者庁と消費者委員会で準備した資料でございます。
 資料3、これは「地方消費者行政に関する特別世論調査」のクロス集計の結果です。
 資料4、資料5、資料6は、後段の御議論をお願いしたいと思っております「地方消費者行政の実態と対応策について」に関係する資料です。
 資料7が、これも後段の御議論で、「市町村の相談窓口体制整備のための対応策」のたたき台を準備しております。
 資料8が「今後のスケジュール(案)について」。
 資料9から資料13までが、専門調査会の委員、オブザーバーからの御意見ということで、資料として準備をさせていただきました。
 それから、参考資料1、2、3、4とございますが、参考資料1は「『地方消費者行政活性化基金』の活用状況について」。
 参考資料2が「当面のPIO-NETの利用範囲の拡大について」。
 参考資料3「市町村連携による広域的な消費生活相談等の対応例」。
 参考資料4が「『住民生活に光をそそぐ交付金』の活用について」ということで、消費者庁の方でご準備をいただきましたけれども、これも一つひとつ、議題になるぐらい大きな課題ではありますけれども、今日は議論の参考のためということでお付けしておりますので、御確認をいただけたらと思います。
 不足の資料がございましたら、審議の途中でも事務局にお申出いただけたらと思います。
 それでは、稲継座長、議事進行、どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.地方消費者行政の基盤・環境の整備について≫

○稲継座長 それでは、議題に入りたいと思います。
 本日は、まず、前半1時間で「地方消費者行政の基盤・環境の整備について」を議論します。
 まず、消費者庁の地方協力課から、行政と多様な主体との連携や地方消費者行政の充実強化に向けた組織体制と人材育成について、国の取組を踏まえて御説明をいただきます。
 続けて事務局から論点を御説明いただいた後、一括して御質問、御意見をお願いしたいと思います。
 そして、後半1時間では「地方消費者行政の実態と対応策について」を議論いたします。
 まず、事務局から、消費生活相談に関する実態調査等について報告を行っていただきます。
 続けて、現場の実態に関連して、国民生活センターから巡回訪問事業で把握された、消費生活相談の最前線の実情とPIO-NETの入力における相談員の負担の実態について御説明をいただきます。
 最後に、前回、事務局に作成をお願いいたしました相談体制の整備の考え方に関するたたき台でございますけれども、これについて事務局から説明をいただきたいと思います。
 なお、御質問、御意見は、順次説明を行っていただいた後に一括してお願いしたいと思います。
 それでは、まず、前半の1時間ということで、消費者庁の林地方協力課長から御説明いただきたいと思います。恐れ入りますが10分程度でよろしくお願いします。

○林地方協力課長 それでは、早速資料1の説明を行いたいと思います。1枚めくっていただきまして、「行政と多様な主体との連携について」という資料をご覧いただきたいと思います。
 まず、基本的視点でございます。地方消費者行政の充実・強化を図っていくということは、非常に大きな課題でございまして、このためには、それぞれの地域の住民の方々に消費者問題について意識を高めていただいて、このことがそれぞれの自治体の首長さん方の問題意識の向上にもつながるのではないかということで、そのために、消費者をキーワードに活動されている消費者団体の方々はもちろんですけれども、多様な主体の参加と連携を促すということが必要なのではないか。そのことによって、消費者行政の充実・強化が、時間はかかるかもしれませんが、こうした住民の方々の後押しによって図られていくのではないかということでございます。
 1枚めくっていただきまして、「国としての取組」で、詳細は別途の資料を付けさせていただいておりますが、「住民生活に光をそそぐ交付金」の御紹介をさせていただいております。この補正予算で1,000億円が措置をされまして、ソフト事業に広範に使うことができる交付金という形になっておりますけれども、その対象の第1番に地方消費者行政挙げられています。私どもの承知しているところによれば、12月、暮れも押し迫った段階ですので、それぞれ地方議会が始まっているものですから、平成23年度、平成24年度にわたって基金を積んで、活用する、あるいは今年度の執行も可能という形で、この1,000億円というのは活用可能と伺っております。
 この交付金を活用していただいて、こういった地域の多様な主体、それから、地方公共団体内部も消費者行政担当部局に限らず、福祉ですとか環境ですとか、あるいは高齢者や少子化対策をやっている部門、こういった部門でも連携をしていただいて、こうした消費者問題に活用していただければということで働きかけを行っているところでございます。
 「光をそそぐ交付金」につきましては、先週の9日に東京で、まず各都道府県や政令市を集めた説明会を開催させていただきまして、年内、都道府県からの要望に応じまして、私ども地方協力課の職員が出向きまして、各市町村向けの都道府県単位の説明会も順次開催いたしているところでございます。
 今のところ、年内、まずは6か所ほど日程が確定しておりまして、そのほかにも2、3、まだ年内にやってほしいという要望をいただいておりますので、現在、日程調整も含めて説明の機会を設けようとしているところでございます。
 続きまして、国として取組マル2という資料をご覧いただきたいと思います。
 消費者行政ブロック会議、これは、長官に直接地方に出向いていただいて、都道府県、政令市の担当部局長さんにお集まりいただいて、フリーな議論をしながら、こういった多様な主体との連携、あるいは行政内部での横の連携といったようなことを意見交換させていただいて、問題意識を高める取組というのも併せて行っております。年内4か所やりまして、年明け、中国四国と九州沖縄が残っておりますけれども、これも順次開催をしていく予定となっております。
 それから、地方消費者グループ・フォーラム、これは全国消団連の皆様と連携をいたしまして、各ブロックごとに、消費者団体をはじめとしたいろいろな団体に参加をいただいて、消費者問題について議論を深めるといった取組を年明けから全国8か所で開催していきたいと思っております。
 次に、事例紹介として、行政と多様な主体との連携についての具体例を挙げさせていただきました。
 ここでは、今年の2月に設立されました、三重県の「みえ・くらしのネットワーク」、岩手県の消費者行政推進ネットワークを御紹介させていただいております。別途、資料として全国の状況を地図に落としたものも付けさせていただいておりますけれども、このほかにも、本年5月には福島や滋賀で、9月には岐阜で、来年3月には和歌山でそれぞれこういったネットワーク組織というのが立ち上がる方向になっておりまして、こういった多様な団体のネットワークという組織も順次各地で立ち上がりつつあるという状況となっております。
 次に、事例紹介のマル2として、多様な担い手の養成ということで各地の取組を御紹介させていただきました。
 神戸市では、これは昨年から行っている取組でもありますが、基金を活用していただいて、コンシューマー・スクールを開講し、消費者問題についての専門家を養成して、市で登録いたしまして、各地での勉強会などに講師派遣をしたり、消費者相談員の方々のアドバイスを行っていただいたりということで、専門家を養成するという取組を行っています。
 行方市では「くらし安全マイスター」ということで、地域の商工会と連携いたしまして、リフォームなどに関する相談や助言指導といったようなことで、専門的な知識を要求されるようなものも地域の経済界と連携をすることによって、消費者問題の解決に当たられているといったような取組をされています。
 次に、地図に落としたものを付けさせていただいております。
 これは、青色で塗ってありますものが、知事を本部長とする都道府県単位の本部組織を立ち上げていただいている県でございます。そのうち、白い星で打ってあるところが消費者庁創設以降にこうした本部組織が立ち上げられたところでございます。こうした都道府県知事を本部長とします本部組織につきましては、先日、「光をそそぐ交付金」の活用について、各都道府県知事あるいは市区町村長さんに長官名のお手紙を出させていただいたときに、都道府県知事さん宛てに改めて、まだ設立されていないところについては、是非こうした組織をつくってほしいというのも重ねてお願いをさせていただきました。
 また、赤丸、白丸で打ってありますところが、先ほど御紹介させていただいたような多様な団体のネットワークが都道府県単位で形成されているところということで、参考にしていただければと思います。
 次に、地方消費者行政の充実・強化に向けた組織体制と人材育成の在り方ということで、消費者庁といいますか、基金の創設の前後、どういう状況になっているかということを御紹介させていただいた資料をお配りしております。
 参考資料として、基金の活用状況については、別途、相談員さんの処遇改善ですとか、あるいはこういった専管組織の設置ですとかといったことについて、数字のデータを付けておりますので、これはまた参考にしていただければと思います。
 まず、専管部署の設置状況については、平成21年度の当初、これは4月1日時点ですけれども、ここで見ますと、都道府県でも専管の課以上を設置している割合は4分の1、市町村では、課以上を設置している割合は1.4%という状況でございました。
 平成22年度に入りまして、この基金の活用というのも順次進んでまいりまして、北海道や新潟では課を設置するといった動きが出てきております。
 それから、消費者行政担当職員の配置状況でございますけれども、平成21年の当初の時点では5,190人。これは実は10年前と比較しますと半減という状況でございました。都道府県では7割5分が専任職員、政令市では9割ということになっておりますけれども、市区町村では専任の職員を配置しているというのは1割強という状況でございました。
 これに対しまして、平成22年度に入りまして、定員を増やすといった動きも14の都道府県で出てきております。こうした動きをさらに基金、あるいは交付金を活用していただいて進めていきたいと思っております。
 次に、人材育成に関する研修関係の取組の御紹介でございます。
 まず、国民生活センターでは、平成22年度、78コースの研修を実施いたしておりまして、特に要望の強い地方での開催について55コースということで、7割強の研修については、地方に出向いて実施をしていただいております。
 相談員さん向けのほかにも行政職員対象の研修も8コース実施させていただいております。
 また、消費者庁におきましても、執行専門研修などを実施させていただいて、特に法執行について、なかなか取組が進まない都道府県、アンバランスがありますので、こうしたところの執行力の強化に向けた取組も行っております。また、法令研修の実施や消費者庁に地方公共団体の職員の方々を実務研修員として受け入れるといったことも行っております。
 基金を通じた支援といたしましては、従来よく相談員さんについて言われましたのは、研修に参加をするにも費用、特に旅費などが支払われない、自腹で参加ということがあって、これではなかなか研修参加の機会は恵まれないということもございましたけれども、基金を活用していただいて、こういった研修の参加費用なども充当していただいたり、あるいは法執行の担当者の増員配置といったことも行っていただいているということで御紹介させていただきました。
 このあとには、参考として、本年2月に策定いたしました「地方消費者行政の充実・強化のためのプラン」のうち、このテーマに該当する部分を付けさせていただいております。
 それから、参考4以降は、本年3月に閣議決定をいたしました「消費者基本計画」の中で、地方消費者行政の充実・強化に向けた取組、これも一つ大きな柱になっておりますので、どういった施策が位置付けられているかということを参考資料として付けさせていただきました。
 私からは以上でございます。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 続きまして、事務局の方から、地方消費者行政の基盤・環境の整備に関する論点について御説明をいただきます。お願いします。

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。
 資料2-1をまずご覧いただければと思います。ここでは論点を2つに分けております。
 最初の論点は、行政と消費者、事業者などの協働、消費者の声を政策決定などに反映させるシステム構築の在り方というものでございます。
 その中が3つに分かれておりますけれども、最初は、主に消費者との協働という観点で整理したものでございます。ただいま消費者庁の方からも御説明がありましたように、行政がさまざまな主体と協働を行うという例が挙がってきております。こうした地域の多様な主体の活動というものが、消費者行政が効果を上げるための重要な基盤となっていると考えられます。
 その下の方にマル1、マル2ということで掲げておりますけれども、マル1の方では、例えば、連携の場となる協議会、ネットワークといったものをつくっていく。あるいは、出前講座、消費生活展といった形で、行政と消費者団体等とが協働で事業を実施するという連携の形もございます。また、適格消費者団体に対して、行政としてさまざまな形で支援するということもございますし、また、意識の高い地域の消費者を育て、その方々をモニターやサポーターといった形でお願いをいたしまして、地域の活動の核になっていただく。行政と地域とのつなぎ役になっていただくといった形での連携というものも進んでおるところでございます。
 また、マル2の方でございますが、消費者、高齢者、障碍者などの声を行政に反映するということで、審議会、あるいは連絡会議といった場を通じて意見を吸い上げるということも行われているようでございますし、また、東京都などにおきましては、条例に基づく意見申し出制度というものも設けられております。
 こういった形で地方ではさまざまな取組が進んでおりますが、国としてもモデル的な事例の紹介、あるいは情報提供、ブロック会議の開催等、いろいろ支援を行っておりますが、さらにどういう支援が可能かといったことが一つの論点かと思われます。
 (2)でございますが、事業者団体との連携協働ということでございます。
 マル1に挙げておりますが、行政から事業者団体への情報提供、あるいは意見の吸い上げといった協力関係の構築、あるいは事業者団体が自ら行っております自主規制、あるいは消費者向けの啓発活動、こういったものに対して行政がどういうふうに連携していくかといったこともまた一つの論点かと思われます。
 (3)でございますけれども、こちらは消費者教育という観点で整理したものでございます。
 学校や大学における消費者教育の内容の充実ということが必要ですけれども、さらに、そこに地域の多様な主体が関わる。また、学校教育以外でも地域社会で若者から高齢者に至るまで、その特性に応じて必要な知識、情報提供を行っていくことが必要ではないかと考えられます。そのために、情報提供や啓発の機会の拡充という観点からは、福祉等他部門との連携ということが重要な課題となるかと思いますし、また、教育を担う担い手として、現場で消費者相談に携わっている方、あるいは民生委員等福祉関係者、そういった切実な問題に触れている方、そういう方にも関与していただくことが必要ではないかと考えられます。
 2つ目の論点でございますが、地方消費者行政の充実強化に向けた組織体制と人材育成の在り方ということでございます。
 (1)に挙げておりますのは、組織体制の関係でございますが、国における消費者庁や消費者委員会の設立と並行して、地方におきましても、先ほど消費者庁からの御説明にもありましたが、課でありますとか、あるいは局といったものにまとめていくという動きも見られます。ただ、まだ多くの地方では、消費者行政に関する事務の位置付けは相対的に低いものになっているのではないかと考えられます。そういう意味で、部局横断的な連携というものについても課題を抱えております。本部をつくったり、あるいは計画ということで連携を図るということも行われておりますけれども、組織的な意味での体制充実というものもさらに検討する必要があるのではないかと思われます。
 次の(2)でありますけれども、こちらは人材育成という問題でございます。
 消費者行政を担う人材をどうやって育成していくかということで、国としても国民生活センターを通じたさまざまな研修を行っておりますし、地方公共団体としても取り組んでいらっしゃるとお聞きしております。こういう研修を通じて知識やノウハウを高めていくということも必要ですし、さらに、それだけではなくて、そういう分野の専門性をもって、将来展望が得られるようなキャリアパスをつくり上げていくことで士気を高めていくということも必要ではないかと思われますし、また、消費者行政に携わる職員だけではなくて、職員全般に消費者行政の重要性に対する意識を高めてもらうということも必要ではないかと思われます。
 以上が論点でございますが、参考資料を付けておりまして、簡単に御紹介をさせていただきます。
 まず、資料2-2でございますが、こちらは消費者教育に関する規定が消費者基本法と消費者安全法に、国と地方公共団体それぞれ啓発や消費者教育を進めていく責務があると規定されております。
 それから、行政の人材育成に関しては、消費者安全法の第11条、一番下のところでございますが、そこに相談員の適切な処遇、研修の実施、あるいは専任の職員の配置・養成といった形で規定がされております。
 それから、資料2-3でございますが、こちらは、国会における議論で関連する部分を拾い上げたものでございます。
 1ページ目に書いておりますのは、行政と消費者、事業者の協働の事例の御紹介が国会の議論の中であったということで、最初の箱にありますのは、北海道でやられている事例でございます。2つ目の箱にありますのは焼津市。3つ目の箱にありますのは富山県、あるいは滋賀県の野洲市で行われている事例の紹介がございます。
 また、一番下では、事業者との協働ということに触れたところがございます。
 2ページ目の2つ目の箱の中でございますけれども、大学との協働ということを打ち出した御意見もございます。
 3ページ目でございますが、消費者団体との連携ということに関連しては、最初の箱のところには一般的な考え方が述べられているかと思います。
 2つ目のところでは、市の補助金をいただきながら、いろいろ活動しているという実態の御紹介があります。
 3つ目の箱のところでは、適格団体の抱えている問題、4つ目の箱におきましては、予算的に非常に厳しいといった実態の紹介がございます。
 4ページ目でございますが、消費者教育・啓発ということに関連いたしまして、一番上の箱の中では、学校教育の中でしっかり教えていくことが重要だという御指摘がありますし、2つ目の箱では、それを受けて、新しい学習指導要領において内容の充実を図られているという紹介がされております。また、3つ目の箱におきましては、いろいろな環境教育でありますとか、IT教育でありますとか、いろいろな教育というものがうたわれているわけですが、さらにもっとさかのぼった、アプリケーションではなくてOSの部分といったものをもっと築き上げていくようなことが必要ではないかという御指摘がございます。
 5ページ目にいきまして、2つ目の箱でございますが、現場の方々が学校に入って社会教育等、あるいは消費者教育等を携わっていただく必要があるという御指摘がございます。
 3つ目の箱も同様の問題意識かと思いますが、消費者教育・啓発と相談というものが密接に関係しているという御指摘があります。
 それから、一番下の箱でございますけれども、そこも高齢者の施設で働いている方々にしっかり学んでいただいて、高齢者に伝えていくという形で教育というか啓発を進めていく必要があるという御指摘もございます。
 6ページでございますが、その中では、企業として社員に対する教育というものも重要ですし、企業が消費者教育を担うという考え方もあるという御指摘がございます。
 7ページでございますが、組織体制、人材育成につきましては、最初の箱にありますのは、どうやって意欲を持って行政に従事してもらうかという観点が重要だという御指摘があります。
 2つ目の箱の中では、国税の研修の充実、さらにそれをもっと発展させて、消費者行政大学校の設立といったようなアイデアも御披露されております。
 3つ目の箱のところでは、専門的な知識をもって消費者問題を解決していく人材、そういう人材を社会全体としてどうやって育成していくかということが重要ではないかという御指摘がございます。
 資料2-4の方は、消費者委員会事務局が昨年末にかけて実施した調査の中で拾い上げた、現場の声ということで挙げたものでございますが、1の方に書いておりますのは、外部の団体との連携状況について幾つか例を挙げております。
 2のところで、相談員及び消費者行政担当職員の研修ということに関連いたしまして、いろいろ御要望が挙がっておりますけれども、研修の充実を望む声が非常に多いということがうかがえるところでございます。以上でございます。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対しまして、御質問や御意見のある方は御発言をお願いいたします。
 なお、なるべく多くの方に御発言いただきたいと思いますので、御発言は簡潔にお願いします。どなたからでもお願いします。いかがでしょうか。野口委員、お願いします。

○野口委員 御説明をありがとうございました。
 先ほど御紹介いただいた資料2-1で、質問というよりは要望、リクエストということになるかと思うのですけれども、1ページの(3)でありますとか、論点2の(2)、人材というところで消費者も含めてということであると、ここに関わってくる話であると思うのですけれども、「消費者の自立」という言葉を是非入れていただきたいと思っています。恐らく、現状の表現でも、「一定の知識と確かな判断力を持って、被害に遭うリスクを低減していく」という表現の中に、恐らくは「自立」という意味が含まれているとは思うのですけれども、消費者の自立というのは消費者基本法にも示されている目的であり、消費者が自立していく仕組みづくり、そのために消費者の方にいかに行動していただくかという仕組みを考えていく必要があると思いますので、もし可能であれば、消費者の自立を促すとか、消費者の自立を目的とした消費者の育て方というのはどういうものなのか、という表現を入れていただきたいということが1点。
 あとは、市町村の体制に関わる話なのですが、後々の論点でも出てくるかもしれないのですけれども、論点2の(1)、特効薬として、市町村に限らず、都道府県レベルでも地方公共団体において担当部署をきちんと整えておくことがというのが論点にどうも挙がってきそうなのですけれども、地方分権の時代ですので、自治体が基本的には責任を持って考えていくということになろうかと思います。したがって、これは国が上から整えなさいというのはなかなか難しいであろうと考えられます。その場合に、これも可能であれば、基礎自治体としての市町村が消費者行政に対して第一義的な責任を持って関わっていくのだというところを是非強調していただけるような議論の運びと、自治体の責任、責務を自治体がきちんと果たしていただくことが重要であるという視点を入れ込んでいただければと思います。

○稲継座長 ありがとうございました。今の意見に対してどなたかいかがですか。事務局からは何か。

○齋藤審議官 それぞれ、非常にごもっともな御意見と思いますので、また皆様方から関連していろいろ御発言もあろうかと思いますので、そういうものを踏まえて対応していきたいと思います。

○稲継座長 ありがとうございます。
 ほかの委員。では、圓山委員、お願いします。

○圓山委員 さっき野口委員からお話のあった「消費者の自立」という言葉を入れるという話ですが、私は反対です。というのは、もう少し言葉の意味をはっきりしないと、単に「消費者の自立」という五文字を入れると、消費者に自立を求め、行政は手を引いたらよいという反対解釈をされる可能性があります。それは、消費者基本法に改正されたときに、「消費者の自立の支援」ということが入ったときに、かなり行政の責任が軽減されるかのような誤解を生んだと思われます。
 消費者基本法の「消費者の自立の支援」という言葉は、行政が見捨てるという話ではなくて、消費者が自ら権利を行使したりとか、消費者団体として事業者団体と渡り合えるような、例えば、民事ルールなどをふんだんに盛り込むことによって、消費者自らの力、消費者なり消費者団体の全体の消費者としての力を高めていくという意味で入ったと思われますので、そういう意味でここに入ってくるのではいいのですけれども、単に「消費者の自立」としたら、消費者個人個人が自立する、弱い人々、本当に守ってあげなければいけない人々についても自立なんだというふうな誤解が出ないように、そこは配慮をいただければありがたいと思います。

○稲継座長 書き方の問題ですよね。同じことをおっしゃっていると思うのですけれども、書き方を工夫してもらうということでどうでしょうか。
 ほかに。斎藤委員、お願いします。

○斎藤委員 今、議論になっております論点2の(1)についてですが、基本的には、消費者行政の強化ということは、自治体ごとに自主的にお考えになることというのを基本にしていただきたいということです。つまり、本部が設置されたり、計画を策定するということは望ましいですけれども、国がこれを義務付けるということになると、野口さんも最初おっしゃいましたけれども、全体として自分のところで考えましょうという分権の方向性とそごが生じてしまう場面があります。ですから、国として、例えば、野口委員は、責任、責務をはっきりさせてとおっしゃいましたが、その点についても、現在、消費者安全法にあるような「努めなければならない」という規定を置いたとしても、それは必ずしも実効的な消費者行政につながらないので、むしろ先進的なこういう取組がありますと、そういうのをモデル的なものとして紹介したり、推奨したりするというのが自治体の組織についての関わり方、国の関わり方ではないかと考えます。
 ですから、民間との連携についても多様で、自治体が消費者行政の実働セクションをどうしても強化するのだという、その方向しかないかというと、例えば、民間のADRとか、民事調停の現場などでは、自治体が場所だけでも貸してくれればありがたいという場合もあるのです。自治体自身がやるのではなくて。ですから、そういった多様な取組というのを促す方向でお考えいただければと思います。

○稲継座長 ありがとうございます。
 ほかにいかがでしょうか。馬場委員、お願いします。

○馬場委員 資料で出させていただいたのですけれども、消費者教育とか啓発についての提言をさせていただいています。消費者教育はかなり長い時間がかかるものです。各地方自治体でも啓発展などをやっておられるのですが、成果がすごく見えにくい。だから予算が削られていくというのは、今、地方の方で抱えている問題点だと思っています。是非このスパンを長くとって、日本の消費者の在り方みたいな形から、そういう観点から取り組んでいただきたいと思っています。
 例えば、それぞれのライフステージごと、例えば中学ぐらいになると、携帯端末を持っているので、そういうものの使い方とか、そういうことまで含めて学ぶ。そして、例えば、ニセブランド品は買わないようにするとか、そういうことを含めて消費者教育を達成していただきたいと思っています。これは意見です。特に質問ということではありません。

○稲継座長 ありがとうございます。資料11に提出されている「消費者教育・啓発についての提言」ということで、ここに詳しく書いていただいております。非常に重要な論点だとは思うのですが、この地方消費者行政専門調査会だけでできるような問題よりも、もっとかなり大きな問題なので、むしろ消費者委員会に別の専門調査会を置いていただくぐらいのかなり大きなイシューかなと思います。

○馬場委員 ここでは提言の中に入れていただいて、実効あるものをどこかの委員会ででも内容を深めてつくっていただきたいと思います。

○稲継座長 ありがとうございます。では、国府委員。

○国府委員 私は、資料1の9ページのところに関連して述べます。この中に執行専門研修の実施ということで、都道府県の執行のスキルを上げていくためのいろいろな取組をやられているという御紹介があるのですが、前回、埼玉の方も言われたように、都道府県では職員の数が少なくて、執行が徹底できないという問題があるという中で、単に研修の場を国が用意するだけではなかなか実効が上がらないのではないかと思っております。むしろ、前回議論した中でも申し上げたのですが、特商法の執行などは、本来的には国がやるべき執行の部分があるかと思うのですね。それを地方に逆にお願いしているような部分もあるかと思うので、例えば、国から地方に職員を出向させたり派遣したりしながら、地方のスキルを上げていったり、また、地方の執行の体制を強化するのに協力していくというパターンもあってもいいのではないかと思います。これは要望です。

○稲継座長 池本オブザーバー。

○池本弁護士 資料12で発言メモを準備させていただいたので、要点だけお話ししたいと思います。
 この間、委員の皆さんの御発言の中でも、地域の消費者団体、官民の協働、自主的な取組が必要だということ、あるいは職員の強化ということも自治体における自主的な取組、地方分権の時代である、これらは理念としてはまさしくそうだろうと思うのです。
 ただ、冒頭に地方協力課長からも紹介があったように、過去10年間で職員は半減している。1万人が5,000人に減っているという、この状態の中でこれからどう建て直していくかという観点で考えたときに、やはり何か具体策を私たちからも提言する必要があるのではないか。よく官民協働と言いますけれども、協働する体制をつくるはずの官の方が職員半減で、動ける状況がない。他方で、民の側も、30~40年前に、例えば、物価モニターとか表示モニターという形で自治体が消費者団体を育成し、消費者団体ができていった。その後、そういう手を差しのべることがなくなって、消費者団体も高齢化したり、弱体化したという歴史があるわけです。
 だとすると、地域の消費者あるいは消費者団体に向けてどう活性化するかを考えると、消費者全体への消費者教育や情報提供ももちろん頑張ってやる必要はあるのですが、少し焦点を絞って、その地域の中で自覚的に行動できそうな人たちを集めて核をつくる。そして、その人たちが継続的に活動できる場の提供や支援をする。
 例えば、以前には、兵庫県で神戸会議という催しがあって、全国のいろいろな消費者グループがそこで発表することを目指して研究し、参加するという会議がありましたが、残念ながらそれは現在、廃止されています。現在は唯一、国民生活センターの消費者フォーラムというのが唯一頑張っているという状況です。やはりこうした取組を、各都道府県レベルで少しでも多くつくって、その発表の場へ向けて消費者の自主的な活動を促進することです。また、地域の団体を育成する出発点のところは、自治体が地域で自覚ある消費者を集めて、継続的に勉強したり、体制づくりを学んでもらうということが必要なのではないか。
 今回、「光交付金」という財源が出ましたが、2年間ということです。こういうものが今後も継続的に支援があるということを、あるいは継続的に支援すべきだという方向性を国が打ち出せば、各自治体でも継続的にやってみようかという気持ちになるのではないか。
 それから、一番悩ましいのは、職員の体制強化です。先ほども課長さんから、職員も徐々に増え始めたという言葉は聞きましたけれども、5,000人が倍の1万人にすぐになるとは到底思えません。これから地道に増やしていくためにといっても、職員数を義務付けるわけにもいかない。そうであれば、職員研修をもっとやって、各自治体で本気で動く人を一人でも二人でもつくっていくことだろうと思うのです。そのためにも、例えば、国民生活センターも多少は職員研修をやっていますが、体系的な職員研修のカリキュラムを設定して、各自治体の職員が複数名必ず受けるような体制をつくる必要があるのではないか。法執行の個別事例検討型のものとは違った、消費者行政を担う専門職を養成するような内容で、消費者行政大学校ということが先ほど紹介の中にありましたが、それくらいに位置付けを高めることが自治体の中で消費者行政を高める起爆剤になるのではないかと考えます。以上です。

○稲継座長 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。菅委員。

○菅委員 今の池本先生の発言に関連しますけれども、今、活性化基金が交付されて、一番使いやすいところが出前講座、講演会などがお手軽で使われていると伺っておりますので、消費者教育というのは、今日教育して、明日に芽を見るものでもないので、かなり長い期間にわたってやっていかなければいけないかと思います。それは、最近の相談の中でも、数年前のものがまた復活してきている。それが二次被害だけでなくて新たな被害を生んでいるという傾向から見ても、消費者教育というのは一朝一夕でできる仕事ではないので、やはり継続的にやっていけるような支援が必要ではないかなと考えております。

○稲継座長 ありがとうございます。では、田中委員、お願いします。

○田中委員 私は、池本先生のおっしゃったお話で、消費者と消費者団体と地方消費者行政、この関連性を考えてみると、地方消費者行政が全国各都道府県ありますけれども、それと消費者団体も各都道府県にあります。そこの関連性も同時に考え併せてみますと程度の差はいろいろありますが、消費者行政が活発なところは、消費者団体の活動も活発と。消費者団体と消費者行政の充実というのは、相関性があるような気がいたします。さらに、消費者団体と消費者というところをまた見てみますと、消費者団体を支えている消費者、消費者団体が活発なところは、消費者の意識も高い。活動も活発であるということで、全体的に見て消費者、消費者団体、地方消費者行政、それぞれ底辺からの、消費者からの基礎的なところからの充実をやっていかないと、消費者行政の充実までにはつながらないのではないかと思いますので、まずは消費者の充実、そうすると、消費者団体も充実してくる。消費者団体に刺激される消費者行政もお互いに切磋琢磨しながら向上していく、そういう関連性の中から、それぞれの部門でさらに活発になっていくような支援というのをしていく必要があるのではないかと思っております。

○稲継座長 どうもありがとうございました。ほかに。矢野委員、お願いします。

○矢野委員 質問ですが、論点2の(1)について、ここでは、部局横断的な連携についてというところで課題を抱えているというのが書かれていますが、今、私ども東京消費者団体連絡センターと東京の生協連とで、都内の53区市町村の消費者行政調査をやっており、今、2回目の訪問に入っているところなのですが、アンケート結果や具体的な意見交換の中で、まさに行政部門がさまざまな部署内の連携をしてこそ、より消費者にとって充実した行政につながるということを実感しているところです。
 そういった意味で、今回書かれている部局的な連携についての課題というのは、具体的にどういったことがあるのか、もう少し具体性を示していただければと思います。

○稲継座長 では、お願いします。

○齋藤審議官 具体的ということに関しては、むしろ矢野委員の方がよく御存じかなと思いますけれども、ややもすると、地方の行政の組織というものが国の組織の相似形というのでしょうか、縦割りがそのまま地方の組織にも反映されているということになりがちでありますので、その中で、消費者行政というものはむしろ横割り的に進めなければいけないというときに、横割り的に進める上で縦割り的な組織の在り方というものが課題になっているという、むしろ具体的というよりは、わりあい大ざっぱと言っては失礼ですけれども、そういう問題意識で書いております。
 具体的なことで言えば、消費者庁の中に、例えば、食品関係の表示の問題などは一元化されているわけですけれども、地方では、食品表示というのは、農水関係、あるいは厚労関係の行政部署の中に位置付けられていることが多くて、その部分まで一緒にといいますか、横割り的に連携するというのはなかなか難しいという実態があるようには聞いております。

○稲継座長 ありがとうございました。いろいろ貴重な御意見を出されましたので、本日の議論を整理して、今後の検討に活かしてまいりたいと思います。

≪3.地方消費者行政の実態と対応策について≫

○稲継座長 それでは、次の議題に移ります。
 まず、「地方消費者行政に関する特別世論調査」のクロス集計結果の報告と、「消費生活相談に関する実態調査」の中間報告を事務局から行っていただきます。よろしくお願いいたします。

○齋藤審議官 それでは、資料3でございますけれども、これは、前回の専門調査会で特別世論調査の御紹介をいたしました。その後、年代別、あるいは性別にクロス集計した結果が詳細なものが出てまいりまして、その中でも特に興味深いものについて今回御紹介したいということでございます。
 1ページ目の左肩、図1をご覧いただきますと、消費生活センターの認知度が男女別ということで記されております。ご覧のとおり、50~59歳のところで非常に認知度が高い。9割を超しているというところがうかがえますけれども、他方で70歳以上、あるいは20代のところは、相対的には低い認知度になっております。
 右肩の図2でございますが、これは、窓口の利用度。利用したことがあるかという問いに対するお答えですけれども、これも年代別、性別にかなり特色が出てきております。利用度が一番高いのは、50代の女性の利用度が非常に高い結果が出ております。他方、70代以上の利用度は6%台ということで低い形になっておりますし、また、20代の男性が4%ということで、特に低いということがうかがうことができます。
 次のページでございますが、消費生活センターの認知度と相談窓口の利用度の比較ということで、認知度が高いところでは利用度もある程度高いということでありますけれども、そういう関係が概ねうかがえるわけでありますが、これも先ほどご覧いただいたとおりですが、70代以上のところで認知度も相対的に低く、また、利用度も低いということでありまして、この階層といいますか、年齢層に対しまして、どのようにアプローチしていくのか。窓口に来るのを待っているという形ではなかなか難しいのかなというところがうかがい知れる結果でございます。
 これは世論調査ということで、利用者サイドのニーズというものを知るという意味で御紹介をいたしました。
 次の資料4でございますが、「消費生活相談に関する実態調査(中間報告)」とタイトルを付けております。これは、前回の専門調査会でもこういう調査をするということを紹介させていただきましたけれども、約1か月足らずの間に、全国の都道府県の皆様方にお願いをいたしまして、アンケート調査を実施した結果でございます。年末を控えて大変お忙しい中、都道府県の担当の職員の方々には非常に御尽力いただきまして、こういう結果ができましたことを、この場をかりて、まずはお礼を申し上げたいと思います。
 その上で内容でございますけれども、1枚おめくりいただきまして、調査概要が書いてございますけれども、対象としては、全国47都道府県、1,750市町村ということでございますが、星印のところにありますように、12月10日現在で整理したものでございまして、29都府県、1,001市町村の集計結果でございます。全体の6割程度のものでございます。全体を集計したものは次の調査会で御紹介したいと思います。
 次のページをご覧いただければと思いますが、まず、どういう質問かというのは、左肩の青いカラーの箱の中に入っておりますけれども、平成21年度中に貴自治体が実施した相談体制の強化策、どういう強化策をとられましたかという質問をしまして、その答えがいろいろあるわけですが、消費生活センターを新設した、窓口を拡充しセンターとした、窓口を新設した、相談員を増員した、あるいは開設日数、開設時間を増やした、担当職員を増員した。左肩にAからFと付けておりますが、AからFに該当するような体制の強化を図ったという自治体の比率は、右肩の円グラフにございますが、全体の4分の1程度ということでございます。これは平成21年度中ということでありますので、今後この比率は上がっていくのではないかと期待されるところでございます。
 次のページをご覧いただきたいと思います。これは、今、体制を強化したということで、自治体さんとしては非常に前向きに相談に対応しようという意欲が感じられるわけでございますけれども、そういうところにおきまして、交渉が難航しているような事案について、基本的にどういう対応をとられますかということでお聴きしたところ、助言にとどまらず、あっせんまで考えて対応するというお答えが66%ということで、非常に積極的、前向きな関与の仕方がうかがわれるわけでございます。
 その次のページでございますが、回答対象は、質問1でAからCのいずれかに○を付けたところということで、センターを新設した、あるいは窓口をセンターに格上げした、あるいは窓口を新設したということで、かなり前向きに体制を強化したというところについて、平成21年度、あっせん件数がどうなりましたとお聴きしたものですが、あっせん件数が「増えた」というところが、「減った」というところに対してはかなり比率的には大きなものになっておりますが、まだ1年ということで「変わらない」というのが66%という比率になっております。
 それから、右肩でございますが、相談体制を強化して、助言やあっせんの内容が変わりましたかという問いに対して、「変わった」というお答えが27%ございます。これも比率的にはまだ限定されたものかと思いますけれども、その内容につきましては、右肩のところにありますように、その場で助言ができるようになったとか、あるいは窓口での助言により解決する事案が増えたといったようなお答えが出てきております。
 次のページでございますが、体制を強化して、それぞれの自治体におきまして、消費者行政の各種機能、ここでは紛争解決機能でありますとか、被害予防機能、被害情報集約機能、あるいは法執行・取締りといったものを全部集めて各種機能と言っておりますけれども、そういった機能が向上したかどうかという問いに対しましては、「非常に向上した」というのが11%、「ある程度向上」というのが61%、合わせて7割程度は「向上した」というお答えになっております。
 具体的にどういう内容、どの機能が向上したかということにつきましては、次のページでございますけれども、棒グラフになっておりますが、一番多い御回答は、「被害を予防する機能」というものが一番回答としては多くなっております。窓口体制の強化でございますので、相談して問題を解決するという機能が直接的な効果としては期待されるわけですけれども、それが「紛争解決機能」ということかと思いますが、それよりも、恐らく窓口で受けた相談をもとにして、被害予防につなげていくという方の機能の方が評価が高いという結果になっております。
 次のページからは、PIO-NET導入の効果ということでお聴きしているものでございますが、これは、体制を強化して、しかもPIO-NETを新たに設置した市区町村について聞いたものでございます。PIO-NETを導入して、そのことによって、助言やあっせんといったものの水準が上がったかどうかということをお尋ねしたところ、「非常に向上」というのが11%、「ある程度向上」を合わせて70%程度が向上したと評価されております。あっせん件数というところで見ますと、「増えた」というのは17%ということで、まだ限定されたものでございますけれども、内容的な意味での向上が図られたという評価かと思います。
 次のページでありますが、PIO-NETを設置することによって、事業者指導、あるいは事故情報の周知ということで、ある意味二次的な波及効果というものがあったかどうかということでありますけれども、これについては、「あった」が47%ありまして、「なし」に比べると大分大きな比率になっております。
 その右肩の方にPIO-NET設置に関する効果・課題ということで挙げられているものを選び出しておりますけれども、大変参考になっているとか、確認作業ができ、処理がやりやすいということもありますが、他方で、入力業務が負担になっている、手間がかかるといった記述もございました。
 次のページでございますが、今後、消費者が製品事故や悪質商法等の被害に遭わないよう、その安全・安心を守るためにどういう施策が必要かという問いに対するお答えでございますが、こういう問いかけでございますので、「啓発」という施策が必要だというお答えが一番多いわけでございますが、その次に多いのが「基金の延長・新設」という財政的な支援に対する期待というものが大きいようにうかがわれます。また、「相談員の育成」というものもお答えとしては多くなっております。
 それから、「市町村間連携」、「県・市町村連携」というものは、分けておりますので、それぞれ100程度になっておりますが、これを合わせてダブルカウントを除きますと150程度ということで、こういった連携に対する施策の必要性というものの意識もある程度高いものとうかがわれます。
 以上が実態調査の中間報告でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。
 続けて、国民生活センターの日下部企画調整課長から、巡回訪問事業で把握した消費生活相談の最前線の実情と、これまでの専門調査会でも御意見が出されました、PIO-NETの入力における相談員の負担の実態について御説明をお願いいたします。

○日下部企画調整課長 国民生活センターの日下部でございます。
 資料5でございますけれども、まず、2ページでございますけれども、市区町村の消費生活相談の窓口の現状ということでございますが、赤字のところでございますけれども、経験の浅い相談員が1人で対応しているとか、専任の相談員がいない、担当職員に消費者行政の経験がないといったような状況があって、現地の窓口では相談対応は困難な場合があると。結局、相談がきても何をしたらいいかわからないとか、あるいは、あっせんをしてはいけないと言われたとか、啓発をしようと思っても何をしたらいいかわからない。そういう窓口が多いので、巡回訪問事業を始めたという状況でございます。
 3ページ目でございますけれども、消費生活相談専門家ということで、ベテランの相談員の方にニーズのある地方を回っていただくと。窓口を回っていただいているのですけれども、そのときに、毎回報告書を、行くたびに書いていただいています。その報告書の中には、基本的にはどういうことをしたかというのを報告書に書くわけですけれども、中には、現場がこんなに苦労しているとか、こんな大変な状況であるということを書いていただいている相談員の方もいらっしゃいますので、そういうのをピックアップして、なかなかこれは大変だなという事例だけを切り出して出してきたのが3ページ目、4ページ目の内容でございます。
 したがいまして、全部がこういう状況だというよりも、一番大変な事例を抜き出してきたということで、簡単に御紹介させていただきたいと思います。
 相談員及び相談を受ける職員についてということで、実際、電話が来たら、それを受け取る人についてのこととしては、例えば、資格があって知識が豊富でも、1人体制であって不安だということで、資格があるだけでは、それでも1人体制では不安だとか、あるいは、週1日しか出勤しないので、あっせんがなかなか難しいとか、ほかの仕事もやっているので、十分にこの時間を割くことができないといったような状況が見られます。
 それから、担当課の職員は相談員の上司に当たる方が多いわけですけれども、そういうところになると、4番目では、例えば、あっせんに入っていいかどうか、業者との関係で非常に悩ましいとか、上司から助言以上の対応はするなと言われているので、あっせんの経験もなく、どうしたらいいかわからないとか、あるいは、相談窓口の現状がわからないので、相談件数だけで評価されてしまう、あるいは、商業振興課と兼ねていることが多いですから、そういうところでは、そもそも消費者被害について職員の方に理解してもらえない。
 7番目あたりはひどい例、特殊な例かもしれませんが、相談員として雇われたのに、お茶くみみたいなアルバイトと同じような扱いをされてしまうというような苦情もありました。
 8番目では、これもちょっとひどい例かなと思ったんですけれども、相談窓口があっても、相談窓口はどこかと聞かれると、自分のところじゃなくて県センを紹介するという例も中にはありました。
 次のページでございますけれども、今度は現場の施設、環境ですね。そこもなかなか苦労しているところもあるということで、プライバシーを保てる、相談場所がなくてやりとりが外部に聞こえてしまうとか、あるいは、インターネットを使えるパソコンすら置いていないので、そういった基本的な情報収集ができない。
 それから、消費者教育・啓発については、経験がないので、啓発のための事例紹介ができないとか、どういう啓発をしたらいいかわからないとか、あるいは、窓口が知られていないので、窓口を知らせようと思っても、知らせる方法がよくわからない。
 PIO-NETについては、PIO-NETはなかなか使い方が難しいという問題もありますので、PIO-NETの経験、検索というのを一度もしたことがないとか、したがって、あるにもかかわらず活用ができていないということ。
 それから、その他ですけれども、自分のところで余り相談がこないけれども、その町に相談があるのかと言えば、県センの方には相当たくさん、10倍もいっていたとか。15番あたりでは、交通費しか出張した際に出なくて、自分の出勤日ではない日に出張したにもかかわらず、その日のお金は交通費しか出なかったとか、あるいは、残業になることがいろいろあるわけですけれども、超過勤務手当が支給されないといった現場の窮状というのが伝わってくることが、これは巡回報告書の中から御紹介させていただきました。
 巡回事業、したがって、そういうところこそがまさに巡回の専門家に来てほしいというところであるわけですけれども、5ページ目でございますけれども、小規模な消費生活センターや消費生活センターが設置されていない窓口だけの市区町村に対して、巡回の専門家が行って能力の向上を図るという事業をやっております。
 助言の内容としては、相談処理が適切であったかとか、処理方法とか、心構え、法律の説明、啓発の方法、窓口の強化の方法、そういったことを相談員の方が現場の窓口の相談員の方々にノウハウを伝えるという事業をやっているわけです。
 6ページ目は、その概要、巡回訪問のイメージですけれども、基本的には、どこの市町村に来てほしいかというのは、都道府県を通じてニーズを聴き取って、都道府県の方から、ここに行ってほしいという話があれば、そこに国民生活センターが指名した相談員の方に行っていただく。もっぱらその相談員の方というのは、都道府県の県センに勤めている相談員が中心でございますけれども、そういった方を指名して市区町村に回っていただいているという事業でございます。
 7ページですけれども、その効果としては、我々が聴いているので、当然そんなに悪いことを言わないというのは当然あるんですけれども、基礎的な知識が学習できたとか、落ち着いて対応できるようになったとか、心構えがわかったとか、新しい事例の情報を得たとか、あるいは相談中の案件の解決につながったとか、クーリングオフですら結構難しいと思っている相談員の方もいらっしゃいますので、クーリングオフへの対処ができるようになったとか、あっせんができるようになった、そういうようなコメントが聴かれております。
 また、県の相談員の方が専門家として行かれることが多いですから、県との関係が非常によくなったとか、いろいろ細かいことも質問できるようになったというようなメリットも聞いています。
 8ページ目以降は、幾つか実際、相談員のベテランの専門家の方が行って、こんな効果がありましたというものを紹介しておりますので、全部は紹介いたしませんが、例えば、8ページ目のものでは、A町では行政職員が対応しているわけですけれども、1人窓口で非常に心配だったんですけれども、実際に電話がかかってきたときに、専門家が横にいていろいろ助言することによって、あっせんすることができるようになったというコメント。基本的にはどこも非常にノウハウが向上してよかった、自信がついたとか、施設にインターネットが入るようになったとか、あるいは、PIO-NETの使い方を身につけることができたといったコメントが多く寄せられているところでございます。
 続きまして、資料6でございますけれども、PIO-NETの入力に係る相談員の負担についてということで、相談員の負担が増えているということを紹介させていただきたいと思います。
 PIO-NET自身は、今年の4月に新しいPIO-NETが入って、それに合わせて、多くの事業所に、多くの相談窓口にPIO-NETがたくさん入るということになってきたわけですけれども、それによって、相談員に1人1台配備される。しかも、作業がオンライン化されるので、訂正とか入力とか修正とかいうのも手元のパソコンでできるようになったということで、それによって相談員自身もいろいろ作業が増えるということも生じてきています。
 (4)としては、PIO-NETの情報自体が、消費者庁もできたということで、消費者問題が取り上げられるようになっているから、非常にPIO-NETのデータの検索といったニーズが生じていまして、資料としては、3ページ目にニーズについては書いてありますけれども、関係省庁とか、弁護士とか、裁判所とか、あるいは取材とか、一般の方からの情報公開請求といったことで、非常にPIO-NETのデータを検索してくれとか、相談件数がどうなっているのだというニーズが増えているというのが、今のPIO-NETをめぐる環境となっております。
 2ページでございますけれども、相談員の負荷が非常に増えているということを簡単に御紹介させていただきますと、今、相談の現場では、比較的簡単な架空請求、架空請求は無視すればいいのですというような比較的簡単な相談というのが非常に減ってきて、複雑化した、あるいは高度化した相談が非常に多くなってくることによって、相談にかかる時間が非常に長くなってきているのではないかと。厳密な統計があるというわけではないのですけれども、かなり時間がかかるような相談が増えているのではないかと言われていまして、それによってPIO-NETに入力するための時間が当然減ってきてしまうということが一つは言えるかなと思っております。
 それから、(2)でございますけれども、PIO-NETを刷新したことによって、そのときに、もっと詳細な情報が欲しいというニーズがありますので、たくさん書き込めるように入力文字数を拡張したところ、たくさん書き込めるということは、それだけ入力時間が増加するということで、相談員に対する負担になっているのではないかと考えております。
 3番目、(3)でございますけれども、また、消費者安全法の施行や、それ以外にもいろいろ新たな詐欺的商法対策チームとか、そういったチームが立ち上がって、より詳細に情報を聴き取れというようなニーズが高まっておりますから、聴き取る内容とか入力項目というのが非常に増えてきているとか、また、例えば、今、被害に遭った場合、銀行の口座番号を早く教えてくれと。しかも、それをちゃんとPIO-NETに入れてくれというような指示も出ていますので、聴き取る項目というのも以前と比べて案件によっては非常に増えています。
 (4)、システムですけれども、PIO-NETを今年の4月にシステムを変えましたけれども、システムを変えたことによって、今までの慣れたシステムと違うので、今までのシステムを使っていた方から見れば、新しいシステムに対応しなければならないということで、そこの対応に相当現場では御負担になっているという話も聞いているところでございます。
 (5)でございますけれども、早期情報登録の要請ということで、当然、消費者庁でもさまざまな対策をとらなければいけないということになりますと、被害に遭ったら、相談があれば、その相談をPIO-NETに入れてくれと。通常、PIO-NETに入れるには、大体20日とか30日とかかかることが多いわけですけれども、そこのところをなるべく早く入れてくれという請求も要望も非常に強くなってきていますので、そういうことも相談員の負荷になっているのではないかなということで、現場ではPIO-NETの関係で相当負荷が増えているという環境を御紹介させていただきました。以上でございます。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 最後に、事務局から、資料7に基づきまして、相談窓口体制の整備の考え方に関するたたき台につきまして御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○齋藤審議官 事務局でございます。
 前回の専門調査会におきまして、座長の方から市町村の相談窓口体制の整備について、何らか御議論の参考になるようなたたき台をお示しするようにという御指示がありました。座長がそういう御指示をされる前に、実は消費者委員会にこの専門調査会の議論の内容を報告したときに、消費者委員会の方から、なるべく専門調査会での議論を収れんさせてほしいという御要望がございまして、それを受けて座長からの指示があったということでございます。
 それで、この専門調査会の論点は非常に多岐にわたっておりますので、それぞれの論点について議論が分かれているところについて、さらにたたき台というものをお示しすることができれば、恐らく一番よかったのだろうと思いますけれども、なかなかそこまでは至っておりませんで、そういったものは1月の専門調査会の際に、報告書の素案という形でお示しをするときに、それまでの御議論を踏まえて、いわばたたき台的なものでお示しをしたいと考えております。本日は、その中でも市町村の相談窓口体制の整備について、どういう考え方で進めていったらいいのかということに関してのたたき台と受けとめていただければと思います。
 それでは、前置きが長くなりましたが、資料7でございます。まず、窓口体制整備の際に求められていることということで、一番上の箱に書いてございますが、まず、地域住民にとって身近な場所で専門的な相談が受けられる。身近なところで専門的なということがまず求められる。ただ、これはある意味、二律背反的な要請であるわけですけれども、難しい課題ではございます。消費者安全法の中では、市町村は相談に応じてあっせんを行うということが義務付けられているところでございます。
 マル2でございますが、地域住民の相談内容を把握して、その相談内容を現実の行政に活かしていくというために、他の部門とも連携することが必要である。
 マル3でございますが、消費者事故等の情報を収集する。
 さらにマル4では、そういったこともひっくるめて、消費者行政を推進する拠点があるということが重要であるということでございます。
 ところで、その次の四角でございますが、市町村の窓口体制の現状はどうなっているかということでありますけれども、これは、消費者庁の夏に発表されました調査結果によりますと、まず、マル1でございますが、なお、多くの市町村で窓口が未設置となっております。全国1,770の市町村のうち、413の市町村で窓口が未設置でございます。また、人口が少ない3万人未満のところでは約4割が未設置となっております。
 次のマル2でありますが、窓口があっても、多くの市町村の窓口では専門的な相談体制が組めていないということがございます。1,000余りの窓口を設けているという市町村があるわけですが、その半数は「よろず相談窓口」ということで、その他いろいろな相談をまとめて受けているという窓口であります。消費生活相談員を配置しているところは36~37%ということで、残りの6割ないし7割の窓口では、専門的な相談体制が組めていないということになります。
 マル3でありますが、では、相談員の方々が地域にあまねくいらっしゃるということではなくて、地域的に偏在しているということで、地域によっては相談員の方を確保することが困難な状況がございます。
 そこで、最後の対応策の考え方というところで、それぞれの市町村が、個々ばらばらに対応しているのでは、人員とか予算の面で困難がある。複数の市町村が連携するということが必要と考えられます。
 また、複数の市町村に県が入るということで、さらに広域的に進めていくということで、効果的・効率的な対応が可能になるのではないかと考えられます。
 以上が基本的な考え方ということでございますが、2ページ目をご覧いただきますと、図式的に示しておりますが、まず、左肩の現状の相談体制というところでありますけれども、A村の住民の方は、A村には窓口がないということで、県の消費生活センターの方に相談に行くということがあります。また、右肩のC町の住民の方は、C町に窓口がない。ただ、C町はB市に窓口業務を委託しているということで、B市の消費生活センターに出かけていって、そこで相談を受けてもらう。これも一つの連携の仕方でありますが、そういうことが行われております。
 この場合、C町の住民は、B市に出かけていくということが必要になりますが、さらにC町の行政の観点からいたしますと、C町の住民の相談を受けないということで、住民がどういう消費者被害に遭っているのか、どういう問題を抱えているのかということを把握する機会がないということで、C町の消費者行政の水準が下がってしまうという問題があろうかと思います。
 そこで、新たな連携体制ということで、右肩の方に移りますけれども、こちらでは、C町の住民は、C町の「よろず相談窓口」というところで、何でも相談を受けますという窓口が、これはどこの市町村でも恐らくあるだろうと思いますが、そういう窓口に相談に行く。行きますと、その内容を聞いたところ、これは消費者相談である、簡単ではないということになりますと、通信端末というテレビ電話のようなものを想定しておりますけれども、通信端末を通じて、B市の相談員の方に相談をする。相談員の方から専門的なアドバイスを受けることができるということで、C町の住民にとっては、身近なところで専門的な相談を受けるということがこういう形で可能になるということでございます。また、C町の行政という立場からいたしますと、「よろず相談窓口」で一旦住民の相談を受けますので、その内容を把握して、必要があれば、福祉・保健部局とも連携して被害防止に向けた対応を図っていくという、消費者行政の内容充実というものに活かしていくことができるということでございます。
 この新たな連携体制の考え方のポイントとしては、2つあるかなと思います。1つは、身近なところで専門的な相談を受けることができるということであります。もう一つは、それぞれの市町村で消費者の抱えている問題を把握することができ、それを市町村の行政に活かすことができるという意味で、この2つがポイントかなと思います。
 ここでお示しておりますように、C町の住民は、B市の消費生活センターに実質的には相談をするということでありますが、B市のような消費生活センターを備えたしっかりした体制が組めているところがないといったところも、恐らく実態的にはあろうかと思います。そういったところにおきましては、例えば、地域ごとに県がセンターを置いていることもございますので、県のサブセンターをB市の代わりに置いて使う。B市の代わりに県のサブセンターが相談を受けるという形もあり得るかと思います。この辺の連携体制というのは、いろいろ地域、地域の実態に応じたバリエーションがあってもよろしいのではないかと考えられます。
 これは、ある限られた地域の中での連携体制ということでございますけれども、これをさらに1つの県全体に体制を広げていくということを考え、さらに、県の持っている法執行の権限というものも組み合わせるということで、次のページになりますけれども、発展した形ということで、広域連合というものを考えてみたらいかがかと考えております。広域連合を組むことで、県の持っております法執行の権限というものを背景に、具体的な相談に対応していくときに交渉力が上がるという効果が期待できます。
 また、上の四角の中に書いてございますけれども、この広域連合は1つの自治体として機能いたしますので、その中で相談員の方の人事配置というものもかなり柔軟に行うことができますし、また、1つの市町村の中で孤立してしまうという問題も回避できると思います。また、人員配置を柔軟に行う中でスキルアップを図るということも可能になるかと思います。また、相談員だけではなくて、行政職員の人員配置も広域の中で効果的な配置というものを考えることができるのではないだろうかと。
 2つ目に挙げておりますのは、個人情報の問題と。自治体をまたぎますと、個人情報をどうするという問題が発生いたしますが、広域連合という1つの自治体になれば、そういった問題は回避できるということでございます。
 マル3は、先ほど申しましたが、都道府県も入ることで、権限をバックにした相談、あるいは事業者指導ということができるということであります。
 マル4にございますが、広域連合は広域計画をつくるということになっておりますので、広域計画の中で、消費者教育や啓発活動、事故情報の収集といったものを含めて、全体的な整合性のとれた施策の推進ということができるのではないかということであります。
 次のページをご覧いただければと思いますが、これは、実際に行われている新たな連携例ということで、御参考までにということでお示しをしております。
 これは、具体的には兵庫県の但馬という地域で行われている「たじま消費者ホットライン」というものでございますが、それを図式的に示したものでございます。
 ここでは、A村、B市、C町といった構成する自治体さんの中、それぞれ一応消費生活センターは存在するということでございますけれども、それぞれの中で、例えば相談員さんが1人しかいないということで、ややもすると孤立しがちであると。あるいは、なかなかスキルアップの機会がないといったような問題を抱えていると。そういったところの方々が共通相談窓口というところに集まりまして、そこで複数の相談員さんがそれぞれ相談しながら、この広域の住民からの相談を受け付けると。難しい問題で、なかなかアドバイスがないと難しいなと思われるものにつきましては、そばに県のベテランの相談員さんがいらっしゃって、ベテランの相談員さんからいろいろ指導・助言を受けることができるということで、共通相談窓口に週何日か曜日を決めてやってきて、そこで広域の相談を受けて、時々は県の相談員の方からアドバイスを受けるという形でスキルアップを図っていく。ある意味自信をつけて、また自分の所属している村、町に戻り、そこで相談を受ける。自信を持って対応するということで、住民からの信頼も高まって相談も増えるということで、現実にも、今年の4月から発足したということでありますけれども、それぞれの市町村における相談の件数も増えていると聞いております。
 これは1つの例でありますけれども、市町村の連携、県がその連携に加わるということで効果が上がっているという事例でございます。
 それから、最後のページになりますけれども、ここは、消防力の整備指針というものを示しております。これは、消防自動車でありますとか、消防職員でありますとか、消防力の基礎となるようなものにつきまして、消防庁が告示という形で、目標とすべき水準というものを指針としてお示しをしております。その指針については、法律上の根拠規定がございまして、第37条に消防庁長官は勧告という権限を持っております。この勧告という権限を背景にして、告示ということで整備水準を指針というものでお示ししているというものであります。義務付けということには当たりませんけれども、一つの目安として、それぞれの市町村が整備していく上での指針になっているというものでございます。
 ここでこういうものをお示ししておりますのは、相談体制の整備につきましても、こういった整備指針にならって、消費者庁がこういう指針を新たな連携体制として、こういう要素を持っている連携については、いろいろバリエーションはありますけれども、是非進めてほしいという意味を込めて、指針として示す、目安として示すということがあり得るのではないかと考えております。
 消防力の整備指針は、単に指針を示すだけではなくて、指針に沿って、何らか高度な設備を導入する場合には、国としても支援するといった支援も組み込まれているようでございますけれども、相談体制の整備につきましても、指針を示すにとどまらず、何らかの国としての支援というものも組み込んでいくということは考えられることだろうと思われます。
 いずれにしましても、消費者庁としての相談体制の整備に関する指針を示すということが、それぞれの市町村において体制を整備していく上での重要な目安となって機能していくということが、進め方として考えられるのではないかということでございます。
 その上で、繰り返しになりますけれども、そういった方向に誘導していく上でのいろいろなインセンティブというものはまた別途考える必要があるのではないかと考えております。
 以上でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。
 それでは、今の御説明に対し、御質問や御意見のある方は、御発言をお願いします。
 なお、なるべく多くの方に御発言いただきたいと思いますので、御発言は簡潔にお願いいたします。
 では、圓山委員、お願いします。

○圓山委員 事務局にお尋ねしたいのですが、このたたき台から、次回の素案に移っていくあたりについて、2つお聴きしたいと思います。
 1つ目は、今、たたき台でお話をされたモデルが3つあります。1つ目は、いわゆる中心市集約方式だと思います。既に取り組まれています。2つ目は、新たな広域連合の設立ということで、前回の調査会で奥山委員のペーパーで出てきた新しい案ですね。3つ目の但馬の話ですが、私は、兵庫県の但馬地域の小さなまちの出身ですので、場所も見に行きました。なお、但馬には村はなくA村はないのですが。但馬の方式は、中心市集約方式とも広域連合とも全然違うやり方なので、3つ目のやり方になります。
 お尋ねしたいのは、ここに出ている3つのモデルを素案にお書きになって、それから議論をする運びにされるおつもりなのか。もしそういうことでしたら、私の資料10に出している案がありますので、それを4つ目のモデルとして素案に書いていただいて、御議論に加えていただきたいと思いますが、その辺の進め方はどうでしょうか、というのが1つ目の質問です。お願いします。

○稲継座長 では、事務局、お願いします。

○齋藤審議官 今のお話でございますけれども、幾つ示しているかといいますか、但馬は、これは現実に行われている例ということでお示ししたもので、これをモデルとしてということでお示しをしたということでは必ずしもないということでございます。勿論これからの御議論で、皆様、委員の方々がどういうお考えをお持ちかということにも依存するわけで、余り事務局がこういう考え方でいきましょうと言うのもいかがかなという気はしておりますけれども、要するに、エッセンスは何かといいますと、さっきポイントが2つと申しましたけれども、身近な所で専門的な相談を受ける仕組というのが必要ですねということと、当該それぞれの市町村が相談を受けて、その相談の内容をそれぞれの行政に活かしていくことができることが必要ですねと。その2つのポイントが満たされるような連携体制というものを考える必要があるのではないでしょうかというのが、ここのたたき台の一つのエッセンスでございます。
 さらに、その上に法執行というものも加えていけば、県の持っている、市町村にはない権限を加えていけば、広域連合という形になりますので、そういうものも一つの形としてあり得るのではないかということでありまして、モデルを幾つ示すのかと言われて、2つか3つかというと、なかなかお答えしにくいのですけれども、ステップといいますか、1つ目の段階としては、広域連合といいますのは、それぞれの市町村の、県も含めて、自治体さんとしての自主的な意思のもとでの決定という、それぞれの自治体が皆それについて合意しないと進みませんから、そう簡単なものではないと認識しておりますので、そういう姿は究極の姿としては念頭に置きつつも、そこに至る中間的な段階としてこういう新たな連携体制というものも考えるということはあってよろしいのではないかということで、そういう段階的なものとして、一つの考え方をお示ししたと。その段階的な考え方の中での一つのエッセンスといいますか、基本的な押さえるべき点として、先ほどの2つのポイントをお示ししたと受けとめていただければと思います。
 それで、素案にどういうふうに盛り込むのかという御質問があったかと思うのですけれども、それは、圓山委員がこれから御提示される4つ目のモデルも俎上に乗せていただきまして、皆様に御議論いただいて、そういったものも踏まえて、専門調査会としてどういう形を打ち出すのがいいのかというのは、また専門調査会としての御議論を踏まえてお示しすべきものだと考えております。

○稲継座長 2つ目の質問。

○圓山委員 2つ目は、このたたき台には、国の財政措置が一言も書いてありません。このたたき台は、明日ホームページに公開されますけれども、全国の役所の人間がこのたたき台を見ると、財政措置が書いてないので、4年目以降の財政措置を消費者委員会は断念したのだと受け取る恐れが多々あると思います。さっきのお言葉もありましたけれども、来月の素案には、国の財政措置をどうとるのかということも書いて議論をするということですね。確認です。

○稲継座長 お願いします。

○齋藤審議官 その辺もこれからの御議論の中で考えていくべき事柄かと思いますけれども、私の御説明の中にもちょっと申しましたけれども、こういう新たな連携体制というものを打ち出して、それを進めていく上では、やはり何らかのインセンティブというものが必要だろうと思いますので、そのインセンティブの中には財政的な支援というものも考えてしかるべきだとは考えております。ただ、余りここでまだ具体的に何か申すような段階ではないと思いますので、紙に書くようなことはしておりませんけれども、その辺はこれからの皆様方の御議論の中で考え方を打ち出していっていただければと思います。

○稲継座長 ここでの議論でということですね。
 では、奥山委員、お願いします。

○奥山委員 前回、欠席したままに資料だけは出させていただいて、大変恐縮でございました。資料だけが先に出ていきましたので、ちょっとだけ私の意見を述べさせていただきますと、東北大の公共政策大学院の方でつくられました試案というのを御参考までにということで出させていただいたのですが、そちらの方で書いております広域連合という案につきましては、私自身はかなり否定的な考えを持ってございます。資料10の圓山先生の資料に、広域連携と広域連合は異なるということとか、幾つかの御意見が書いてございますので、私は、圓山先生のここでお書きの危惧というものは、かなり広域連合の中で、今、私、後期高齢者の広域連合の連合長をやっているわけなのですけれども、実際その運用はかなり、1つの自治体ができるということでございまして、しかもそれが人口規模もおよそ何十倍も異なる自治体が広域連合を持って、それぞれのところから議員を出して、職員は一回自分のところの職員であることをやめた上で出てくるわけですので、その身分とか、健康保険の問題から、病気になったときの代替職員を出すか、出さないかとか、それはそれは大変な、理念と関係ないような実務が山のようにございまして、そういう意味では、将来的にはどこかで、例えば、道州制になって都道府県がなくなるとか、そういうときにはある種考えられる措置かなとは思うんですが、都道府県があるときには必要は薄いのではないかと、個人的というか、政令市の市長としては、今はそう思っている段階でございます。
 ただ、たたき台にございます中で、都道府県と複数の市町村が広域的に消費者行政を進めていくと、このことにつきましては、私の先月ご覧いただきましたペーパーの中にもその趣旨で書かせていただきまして、これはやはり今回、この委員会の議論として、一番大きく進めるべき、ここを主軸にして、地方における消費者行政のレベルアップを図るべき骨子だと思っていますので、大いにその方法について、どのような案、広域連合もあっていいと思いますが、その課題もしっかりと、マイナスの面も踏まえながら議論を深めていくというのが必要ではないかと思ったところでございます。
 あと、ちょっと話が戻って申しわけないのですが、先ほど消費者団体の育成というお話がございましたけれども、これも、ある程度全県に向けてある一定の広域的な場所で消費者行政なり消費者の問題というものを発信していく、わりと高度な専門性の高い市民活動をするという意味での団体の必要性と、私どもの市におきましても、足元の住民の中で、実質的には消費者問題をやっているんですけれども、食の安全をやったり、食育をやったり、また、環境にやさしい暮らしを考えたり、そういう中で消費者の問題も取り組んでいくような団体活動と、本当に幅広いものでございますので、消費者団体と言ったときに、そのレベルのどこを考えているのか、また、実質的に何の効果を期待しているのかによって、余り消費者団体でなければならないみたいなことになると、地域への広がりという意味で難しいことがあるかなとちょっと感じたところでございます。
 以上でございます。

○稲継座長 ありがとうございました。
 ほかに御意見のある方。では、まず、菅委員、その後、斎藤委員、お願いします。

○菅委員 2つほど。今、お示しいただいたモデル的なたたき台で、どこがどうよいというのは難しいかもしれませんけれども、今、一番最後の但馬でやっているのは、長期的に考えてやっているのか、それとも、各町の相談員さんがスキルアップして養成されれば、その次に県が引くということがすごく恐ろしいですね。せっかくある地域の振興局みたいな、地域の局のところに県がありながら、指導していただくときにはいいのですけれども、それで、ああ、育ったということで引かれると、そこはどうかなということと、そうなると、今度、執行権限を持ったところが身近にいなくなると。そうすると、市町村ではできないわけですので、そこで、法の執行ということで、今、研修も行われているのが、ちょっと後退しちゃうかなということと、それから、今日、机上配付されております「国民生活」というのが皆さんのところに、私のところにもありますので、これを見ますと、これは2009年の国民生活センターが発行している「国民生活」1月号ということで、1~2年前になるんですが、この相談員の方が非常に奮闘されている方で、7万2,000人という人口のところにありながらも、最初は1人で営々とやっていたのですが、現在、平成22年から2人体制に発展している。窓口も週5日、月曜日から金曜日になりましたということと、PIO-NETも導入されたということです。相談現場というのは、最初はどこも相談員1人から出発しているのが多いと思いますので、こういうところも住民の身近な相談窓口としては是非必要ですので、そこのところが一気に大きくなってしまうとどうなのかということもあると思います。
 私が現実に先ほど紹介されました巡回相談に行っているところは、もともとは市町村合併前は郡と市というところが、郡を廃止して、全部一つの市になってしまったというところで、本来の人口プラス3分の2ぐらいになって、非常に大きくなって、そこの首長は、今年度から2人体制にしてくれたと。今、聞くところによると、センター化はしていないのですが、ゆくゆくはセンター化もしたいと発展的に考えていらっしゃるところもありますので、それぞれの対応の仕方にゆだねるというのもありますし、やはり小さいところから育てていってほしいと思います。私どもはあまねく市町村に必ず窓口があるようにということで、ずっと思ってきたんですけれども、また、「国民生活」に紹介されているところと近くのところでも同じような体制であったのですが、2人体制になっているということで、もう独立してもいいような環境に育ちつつありますので、そこのところは、時間はかかるかもしれないし、いろいろな対応があって、そこには必ず法執行を持ったところと連携できるようにされなければ、そこの自治体の考え方というだけでポンと投げ出されてしまうと大変になると思います。
 前回、奥山委員から資料9で示されていた1ページ目の下で私が気になったのは、消費生活相談員の身分とか処遇とかについては自治体にゆだねるべきだということで、今までは自治体にずっとゆだねられてきているわけで、その格差が非常に大きくなったと思います。自治体が財政豊かなところはどんどん昇給していますけれども、依然として開きが大きくなってしまっていますので、これは、基本的な考え方は自治体の裁量だと思いますけれども、やはりどこも同じ仕事をして、同じあっせんをしているわけですので、そこら辺も考えていただきたいなという願いも込めております。以上です。

○稲継座長 斎藤委員、お願いします。

○斎藤委員 それでは、確認のための質問が1点と、意見としては、法律の形式上の枠組についての意見なりコメントが1点、具体的なモデル案について1点、3点手短に申します。
 まずは確認のための質問なのですが、たたき台で恐らく一つ参考になさったと推定されるのは、奥山委員の資料9に付いております東北大の公共政策大学院のプロジェクトの案、アイデアだと思うのです。つまり、そこでは消防組織法の話も出ておりますので。ただ、東北大のプロジェクトの案ですと、6ページから7ページの部分では、市町村にセンター設置を義務付ける。市町村で設置か、それとも広域連合か、であると。これを前提にして、それと予算上の対応として消防組織法が参考になるのではないかという仕組です。そうすれば、広域連合をもし使わない場合には、自前で、市町村でセンター設置をやらなければならないので、誘導効果があるだろうという、かなりハードな内容になっています。
 確認のための質問は、今日の事務局のたたき台は、先ほどの斎藤審議官の御説明でもありましたように、広域連携を進めるための目安、目標を示すというたたき台だと理解しました。こういった東北大の案のような市町村へのセンター設置義務付けがセットになっている、あるいは衣の下に鎧が見えるといいましょうか、そういうものではないという理解でいいかどうかというのが確認の質問です。

○稲継座長 お願いします。

○齋藤審議官 そのとおりでございまして、市町村にセンター設置を義務付けるということではありません。

○斎藤委員 安心しました。東北大の7ページのポツのコメントなどを見ますと、センター設置義務付けは、消費者行政の性格上、義務付け・枠付け解消の検討対象外だというのですが、これはかなり問題な理屈だと思います。義務付け・枠付けのメルクマールは、消費者行政の観点も含みながら、より限定的なものを立てておりますし、今回の義務付け・枠付けだけではなくて、何度も聞いて耳が痛いと言われる方がいるかもしれませんが、第1次分権改革以来の必置規制抑制の方針として、今も生きている分権推進計画がありますので、これは成り立ち得ないと考えます。その前提の上で、広域連携を国としてサポートしていくために、目安なり、基準を示していくべきであって、それから、求められていることについても、できるだけ身近な場所で、できるだけ専門的な相談が受けられる。市町村単独で無理であれば、連携すると。その要請については私も異論はございません。
 その上で、こういった目安を示すのに、告示や助言ということで消防組織法がなぜ参考になるのかという点ですが、資料7の5ページで、告示という形式を使っているということで、ここで注意いただきたいのは、告示というのは、国が公示、公に示すために使う箱でして、その内容はいろいろなものがある。つまり、ガイドライン、勧告、助言というものもあれば、政令や省令のように法的な義務を伴ったものもあります。ですので、たたき台の考え方で言えば、告示の箱の使い方として、目安なりガイドラインなのだということを確認なりはっきりさせていただきたいということです。
 それから、助言、勧告を国ができる。これは消防組織法第37条にあります。自治法におきましても、技術的助言、勧告できるという規定があります。できるだけ自治法の一般的な助言、勧告でやりましょうというのが国全体としての考え方でもある。しかし、何で第37条があるかというと、形式的には自治法上の助言、勧告権限というのは、各省大臣の権限なのです。自治法の規定が。ですので、外局の長としての消防庁長官に助言、勧告権限を持たせようとすると、こういう特別規定を置かなければならないということです。ですから、これは消費者庁、あるいは消費者委員会についても事情は同じだと思いますので、勧告、助言権限のための規定をつくるということはあり得る選択肢であろうと私は考えています。
 ただ、いずれにせよ、助言なり勧告である、目安である、ということをはっきりさせていただきたいというのが意見でして、それを明定した場合に、どういう財政措置がくるのか。これも併せて示す必要があるという点については、圓山委員の御意見に同感です。
 最後、3点目、具体的なモデル案については、それぞれの自治体現場、あるいは消費者相談員の方から見て、こういったタイプの自治体であれば、こういうのが適切ではないのかということをより議論した上で示すということが大事ではないか。例えば、小規模市町村については、通信端末を置くというだけでも手助けになるのであれば、そういった目安を示すということもあり得ると考えます。
 そのほかにどういう考慮要素というか、案があるかということについて、これは意見というよりは客観的な状況なのですが、1つは、広域連合がいろいろ使い勝手が悪いという御指摘がありました。この点については、他の行政分野についても、より広域連携を進めるべきだということで、地方行財政検討会議で地方自治法の改正案についての考え方をまとめました。その中では、広域連合についても、例えば、今までは必ず長を置くということだったのですが、そうではなくて、長に代えて理事会を置くという選択肢も認めましょうということで提言をしていますので、それが法改正に至れば、今よりは少しその他の点も含めて使いやすくなるのではないかと考えます。
 それから、これは既に一度申し上げたことがありますが、組織、機関の共同設置という手法です。今は職員の共同設置はできるのですが、機関自体を共同設置するということは今までの自治法の仕組でできませんでしたが、これは第29次の地方制度調査会の勧告に基づいて、自治法の改正案で、機関の共同設置、例えば消費生活課とか、そういったものを共同設置するということの改正案が、昨今の政治状況で法案がつっかえてしまって、継続審議になっておりますが、これが導入されれば、そういったこともツールの一つになろうかと思います。以上です。

○稲継座長 どうもありがとうございました。
 ほかに。圓山委員、お願いします。

○圓山委員 斎藤委員に続いて、もう一つ確認と、次に意見があります。確認については、東北大学の案につきましては、県内の市町村の全員加入制が書かれていたと思います。県も勿論必ず入るし、県内市町村すべて入る。県庁所在地の市の財政力や余裕でもって、小さなまちを助けるという内部補助をやるというのが東北大学の案だったと思いますが、齋藤審議官が12月1日に事前説明にいらっしゃったときに私にお話しになったのは、任意加入だと。入りたくないところは入らなくてもよい、入りたいところだけ入ればよいというお話だったのですけれども、たたき台はどちらをとっていらっしゃるのか。

○齋藤審議官 そもそも広域連合自体、自治体の自らのイニシアティブで進めていくべきものだと思いますので、すべての市町村が入るべきだということまで申し上げるのはいかがかなと思っておりますので、任意加入という形で進めていくのが適切だと思っています。

○圓山委員 続けて意見です。私の案は、資料10にペーパーを2枚出しておりまして、1ページ目の2のところが先ほど申し上げました4つ目のモデルという形で、都道府県の中を県が担当する区域と市が担当する区域に分けて、県のセンターと市のセンターが受け持つというのが、消費に関わる相談については、そういう専門的にやった方がいいと思われます。
 ただ、1に書いておりますが、消費生活相談というのがいろいろなものがありまして、たたき台の「よろず相談」のような、つまり、生活支援相談的なものが結構ございますので、それは各市町村でそれぞれでやられたらいいのではないか。機能を2つに分けて、2のところに戻りますが市町村が担当する機能と、区域割をして消費相談をしっかりやる機能とに分けてはどうかというのが私の案になります。
 それから、3の広域連合案についての私の批判的意見は、(1)から(5)まで書いてございますので、読み上げはしません。
 最後の1行なのですが、国の財政措置の議論なくして窓口整備の議論をしても無意味だと思います。東北大学の案にも、広域連合の財源はすべて一般財源で賄う。地方税と地方交付税を賄うというのが入っています。それは、事務局案にそのままなるのか、さっきインセンティブというお言葉がありましたが、財政措置が講じられるのかというのがまだ不透明なわけです。私の書いている2ページ目のところは、今まで各回の審議において、国がこの部分は財政措置を講じられるのではないか、あるいは国のこの部分は業務について引き取って自治体の負担を軽減できるのではないかと申し上げてきたことを1枚にまとめたのがこれでございます。できれば財政措置なり負担の軽減の議論を先にやって、国からどれぐらいのボリュームのお金がくるのかということがわかってから、じゃ、窓口についてはこういう形がいいんじゃないかという、議論の順番が逆じゃないかと思っております。
 モデルの1、2、3については、国から財政措置が全然ない、今の現状をもとにしたモデルが出ているわけですので、財政措置がくるということがわかれば、あとは、私は極言すれば、都道府県の審議会で「県内どうするのだ。国はこれだけ財政の支えがあるのだ」ということで考えればいい話と思いますので、財政措置の議論を先行させるべきであると。今、ここでたたき台の何か一つを選ぶということは決めるべきではないという意見です。以上です。

○稲継座長 ありがとうございました。
 どうでしょう、沼尾座長代理。

○沼尾座長代理 今の圓山委員の御意見なのですけれども、財源がなくては何もできないというのはそのとおりなのですけれども、今の情勢というのを考えますと、財政措置の議論からということだとすると、全体の議論自体がストップしてしまうというか、実際に厳しいのではないかと思います。むしろ、地域の側で、本日上がってきたような、例えば横の連携での情報の共有ですとか、相談から何とか解決に導くためのルートをどのように確実につくっていくのかですとか、あるいは、地元でどういうふうに情報を利活用しながら消費相談と生活相談をつなげていくのか。さらには、事業者に対する法執行というものも確実にすると。そういったことを可能にするための仕組づくりというのが、それぞれ地域によって、今ある資源をどう活用するかとか、今ある取組をどう広げるか、あるいは、まだ整っていないところをどう整備するか、いろいろあると思うのですけれども、それをやっていくためには、どういう連携体制、あるいは制度をつくっていくことが必要かというところから議論をしていって、それをやるためにはこれだけの財源が必要なんだという財政需要を出した上で、そこから、では、どういうふうに財源を確保するかということを施策とセットで提起をしていくという形でないと、財源の確保論を先にやると、実態としてはうまくいかないのではないかと思います。

○稲継座長 ありがとうございます。
 ほかに御意見。池本オブザーバー、お願いします。

○池本弁護士 池本です。
 私は、たたき台の提案について、広域連合というのもあくまでも選択肢の一つとして位置付けながら、自治体全体の相談窓口を強化する提案という位置付けで進めるべきだと考えて、そのあたりで意見を述べたいと思います。
 もともと埼玉県では、各市町村にそれぞれ相談窓口を、しかも常設的なセンター機能を持ったものを実現しようということで、県も努力されていたことは、前回報告があったと思いますし、私たち消費者団体とか弁護士会の側もそれを要望していました。
 ただ、なかなか小さな自治体のところまで全部センター化することは現実問題としては難しい。しかも、1人相談員の体制のところでは処理が手薄になって、全体の水準が低下することも困るという議論をしていました。
 そこで、当初は、市町村にもセンター設置義務を定めてはどうかという提案や、資格のある相談員をきちんと配置して体制をつくる義務という提案もしたのですが、先ほども御意見があったように、なかなか今の地方分権改革の流れの中で、センター必置ということを法的義務として入れるというのは難しいということは感じていました。
 実は、東北大学の山口准教授を招いて、先般11月にシンポジウムをやってディスカッションをしたのですが、山口先生の問題意識も、特に東北地域で小さな自治体が多い実情を踏まえて、県が入って一緒になって相談窓口をつくってはどうか、それを支えるものとして市町村のセンター設置義務を定めてはどうか、個別の自治体では無理だから広域連合にしてはどうか、そういう思考過程なのだということをお聞きしました。財政的な措置は一般財源でと書いてあるのは、センター設置を義務化しておけば、一般財源からでも回るだろうという思考過程だったようです。
 これに対して、仮にセンター設置義務をなしにして、広域連合型でという提案とするとどうなるか。そうすると、選択肢を幾つ並べても、あくまで参考意見であって、必ずやらなければいけないというものじゃないとなると、実現はなかなか低調になると思います。そうすると、制度の提案と、先ほどから議論がある財政措置の2つをセットにすることで動いていくのかなと思います。
 それとともに、私はもう一点だけ観点を加えていただきたいと思うのですが、今日の資料4で配付された中の4ページ、「消費生活相談への対応について」という点です。これは消費者が自主交渉をやっても解決困難であるという案件について、県・市町村でどういう対応をしているかという質問のはずなのですが、確かに3分の2はあっせん処理をしているとありますが、逆に、3分の1はそれをしていないのです。消費者安全法第8条第2項では、苦情処理のあっせんは市町村も義務になっているのですが、その義務が履行されていないということが正直に吐露されているのですね。
 そうすると、センター設置義務を新たに法改正で入れることはなかなか難しいとしても、現行法の消費者安全法第8条にある市町村も苦情のあっせん処理をする義務があるのだから、これを実現するために、いつでも専門家につなげる体制がなければならない。その一つとして、広域連合もあるでしょうし、あるいは但馬の方式も非常に魅力的な方式だと思います。埼玉では、委託方式とか協定方式とかいろいろやっているのですが、やはり小さい市町同士で協力しても水準が低いままになる。そこをもう一段上げるという意味では、私は但馬の方式というのも、こんな例がありますという参考例ではなくて、選択肢の一つとして、あるいはもっとバージョンアップしたものを追求する価値があるのではないか。そういう選択肢の中へ、圓山委員の案はまだ十分勉強していないのですが、機能するものを幾つか提案し、そして財政措置もきちんと講ずる、そういう方向で議論していったらいいのではないかと思います。以上です。

○稲継座長 ありがとうございます。では、山口委員。

○山口委員 圓山先生の案について1つだけ疑問なのが、相談者はそれは消費相談なのか生活相談なのかというのはわからないのではないですかね。とにかく素朴に相談に来るわけですから、窓口を最初から分けるというのは、僕はあり得ないのではないかと思うのですが。

○稲継座長 どうでしょう、圓山委員。

○圓山委員 それは、病気になったときにかかりつけのお医者さんに行く話に似ています。重い病気の場合、これは総合病院にと紹介状を書いて行くわけです。それは、生活相談窓口の方が、これは消費相談なので、公用車に乗せて県のセンターに送っていくとか、今やっているような県と市の連携の中でやっていく、あるいは移送するという形で十分対応できると思われます。
 それから、もう一つ、話は変わりますが、さっきのオブザーバーの御意見のところでちょっと疑問に思いました。審議官の事前説明のときにも、事前説明は私と物別れになっているのですけれども、そのときのお話でも、広域連合をつくった自治体には財政上の上積み措置をとって優遇するような説明がありました。今のオブザーバーの御意見の中にも、広域連携をしたところには財政措置を講ずるという趣旨で話がつながっているのですが、では、広域連携に入らないところ、例えば仙台市役所は入らないと思いますけれども、差別するのかという話になると思います。差別的な財政措置なのか、行政需要に応じた一律の財政措置なのかという辺はどういうお考えなのでしょうか。

○稲継座長 お願いします。

○池本弁護士 私は、広域連合が先にありきではなくて、各市町村できちんとしたセンター機能を持つ体制ができるのであれば、それが望ましいと考えます。一つひとつの自治体でできないところは、広域連携なのか広域連合なのか、要するに、住民にとってはいつでも専門家にきちんと相談できて、解決できる体制をつくる。それをつくるための財政措置ということで、広域連合だけに特別の優遇という趣旨で発言したわけではありません。

○圓山委員 そのお話を聞くと、いまの活性化基金の「増大する業務には基金を使えるけれども、従来の業務には基金は使えない」という、それと同じ発想のように思われますけれども、今、みんなが困っているのは、東京都にしても横浜市にしても、既にできているセンターの体制を維持できない。この財政状況ではどんどん削減するのだというトレンドをどう止めて、できれば復活したいという話だと思いますが、「ないところにつくる、新しくするところには措置をする」ということでは足りないんじゃないでしょうか。既存のセンターに対しても、今まで国がしてこなかったツケが回っているわけですので、財政措置で支えるんだという話になって当然だと思いますけれども、いかがですか。

○稲継座長 山口委員。

○山口委員 要するに、財政的に脆弱な、人数が小さい市が、あるいは町が、国からの補助を受けて端末を置くとか、あるいは連携をするとか、そのための費用を補助してもらう。それは僕は差別にならないと思うのですが、それは差別なのですかね。

○圓山委員 財政的に脆弱な小さな市町村だけ援助すればいいという話ではなくて、首都圏は別ですよ。首都圏以外の地域の大都市や県が財政的に非常に困っているので、その消費者行政が消滅していくのをどうやって国の財政措置で食い止めるのかというのが今の課題だと思うのですね。だから、今できている道府県立のセンターや市立のセンターが、だんだんなくなっていくというのをどう止めるかではないですか。

○稲継座長 どうぞ、齋藤審議官。

○齋藤審議官 まず、出発点は、今、基金があって、基金を使いながら体制を整備してくださいということでお願いをしていると。そういう状況の中で進みつつあるのですけれども、どうも最後まで進まないネックが残りそうだと。それは、すごく小さな市町村においてどういうふうに相談体制をつくっていくかということであると。そこをどうするかということで、新たな連携体制というものが一つの考え方としてあるのではないかということで、たたき台としてお示しをしたということでありまして、そういうものを進めるに当たって、それが基金との関係でどういう位置付けになるのかはこれからの御議論かと思いますけれども、何らかの支援というものは考えられる。あっていいのではないかなと考えています。それが既存のものとの間で差別ではないかというのは、またちょっと別の議論ではないかなと私は思います。
 それから、もう一つ、菅委員から御質問がありました但馬のホットラインですけれども、私どもの職員も現地に行って実態等をよく聴いてまいったのですが、当初2年ということで発足したそうでございますけれども、まだ1年ちょっと経っておりませんけれども、かなり効果が上がっているということで、是非続けたいというのは現場の方の御意向だと伺っております。県としてどう判断するかはまたあり得ると思いますけれども。

○稲継座長 ありがとうございます。では、田中委員。

○田中委員 広域連合について、行政について詳しくないとわからない点があるのかなと、先ほど奥山委員のお話を聞きながら感じたわけですけれども、私なりに広域連合について考えると、消費者行政は、相談だけじゃなくていろいろな部門との関連、特に私ども消費者団体ですから、環境とか、食育とか、厚生労働省関係、そういうところとの関係もあるわけですけれども、またそれ自体が生活の中の一部なわけですから、消費者行政だけが離れてしまうと、そことの連携はどうなるのかとか、あるいは、例えば、今、既にそれぞれの県で庁内で推進本部とかできて、庁内連携を持とうとしているところ、そこから離れると、庁内連携というのはとれるのかとか、いろいろな課題があるのではないかなと考えます。
 それと、例えば、私は熊本市の方に所属して相談を受けておりますが、では、熊本市は、今、センターとしてありますけれども、広域連合に入るときに、熊本市の形態はどうなるのだろうかということで、それぞれセンター、あるいは消費者行政の部門がここの中に入っていくことで、行政側はどうなのかという、そこのところがよく理解できないところがありまして、もっと行政関係に詳しい先生方と、今の実態と広域連合とを結び付けたときにどうなるかというところを考えていただかないと、相談だけだと連携でいいのかなと思いますけれども、消費者行政自体がもっと広い分野じゃないかと思いますので、その辺がまだ理解できないなと思っているところです。

○稲継座長 非常に重要な御指摘だと思います。ほかに。矢野委員、お願いします。

○矢野委員 今の田中委員の御質問、御意見に関連してなんですが、本日、参考資料3で、消費者庁の方から実際の具体例が広域連携なり広域連合という、自治法上は広域連合と位置付けられているのもあるようなのですが、その3ページのところに、2つの地域で地方自治法第284条第3項の広域連合というのが書かれています。このあたりの、実際の法令上は広域連合をどのように位置付けられているのか、今回でなくてもいいですので、次回の議論のときに少し資料説明をしていただいて、改めて今日たたき台に出ている広域連合というものがその辺とどう接点があるのか、もう少しわかるようにしていただけるとありがたいなと思っております。

○稲継座長 お願いします。

○齋藤審議官 今の御指摘、ありがとうございました。御指摘いただきましたように、消費者行政に関する広域連合ということでは、全国では鈴鹿、亀山の広域連合というのが唯一の事例になっております。鈴鹿、亀山では、消費者行政だけではなくて、他の行政分野も含んだ形の広域連合になっております。法令上の根拠は、ここに書いてあるとおり、自治法上の第284条第3項に基づく広域連合ということでございますけれども、御質問の趣旨は、恐らく実態はどうなっているのかということをもう少し詳しく知る必要があるのではないかという御指摘かと思いますので、その点は次回までに調べて、御報告できるようにしたいと思います。

○矢野委員 併せて自治法に基づいている条項文も出していただきたい。

○稲継座長 これは御用意をお願いします。
 広域連合は、動かしているところの首長さん方にお話をお聞きすると、どこも大変だということをお聞きするので、広域連合ありきという議論には多分ここの答申はならないのではないかなと私自身は思っております。新たな連携体制という非常にソフトな形での提案が前面に出てきて、ほかにこういう可能性もありますよということで、広域連合とか、ほかのものを補足的に書くことはあり得ても、広域連合をやるべきだとか、そういうことを専門調査会の方から出すと、全国の自治体から総反発を食らうようなことになってしまうんじゃないかなと、私自身は広域連合を動かしていく首長さんたちと話していて感じるところです。
 ほかに何かございますでしょうか。国府委員、お願いします。

○国府委員 圓山先生から出していただいている資料10について、これまで十分議論されていなかったのですが、センターを設置できない小規模市町村に対して、県が直轄で相談業務も受託するべきだという圓山先生の意見は、ある一面正しいというか、非常に現状に即しているのではないかと思っています。京都府などは実際このやり方でやっているんですね。今、全国各市町村にあまねく消費生活相談センターをという掛け声はいいんだけれども、それでやっていったときに、市町村にそれが整備されたから、都道府県は引いていくんだということがあってはいけない。消費者相談というのは広域的だし専門的だという側面があるわけですから、本来的に都道府県の責任というものが重要だと思います。
 そういう意味で、事務局のたたき台も、広域連合という形でしたが、県と市町村がネットワークを組みながらやっていくというところに、私はこの提案の一つの肝があるような気がします。そういう意味で、奥山委員から出されている資料9、これを是非たたき台に盛り込んでいただきたいと思っています。その第2項の3行目のあたりのところ、「これらの課題解決には、県を中心に域内の自治体の参加による広域的なネットワークを構築し、広域単位で県消費生活センターのサテライト的な機関を設置するなど、自治体窓口と県の専門性の連携を基本とした相談支援・被害救済体制を構築することが有効と考える」と書かれていますように、やはり県が責任を持ってその地域のサポートをしていくというところは欠かせないのではないかと思っております。

○稲継座長 ありがとうございます。ほかに。たくさん挙がっています。下谷内委員の方から。

○下谷内委員 広域連合にしろ、いろいろな形になるにしろ、先ほど池本オブザーバーがおっしゃられたように、消費者庁ができるに当たりまして、住民が身近で受けられるところで、ワンストップサービスを非常に重要な課題として挙げられていたと思います。それを踏まえまして、住民が身近に相談ができて、解決が図られて、被害の救済がされる。それが安心・安全な生活につながるというような形だったと理解しております。安全法の中にも、そのために消費生活センターだとか消費者相談窓口の設置というのが書かれたと思っております。したがいまして、どのような形になりましても、市町村におきまして、専門の相談員だとか職員が必要なのではないかと思います。勿論PIO-NETもそうなのですが。
 そういたしますと、国民生活センターの巡回相談の皆さんの御意見を拝見いたしますと、巡回相談にいらしたところというのは、本当に窓口しかないようなところだとか、相談員さんも、かろうじて1週間に1回いらっしゃるようなところだとかも伺っております。その中で、今回、書かれておりますのを拝見いたしますと、そこで啓発も必要ですし、その中で、相談をどう受けとめて、どのように解決をして、そしてそれが住民の皆さん方への安全で公平な生活につながるのではないかなと非常に強く感じました。
 したがいまして、どんな形にしろ、センターという義務付けは非常に難しいだろうと思います。窓口というのであれば、私は「よろず相談窓口」、どうも名前が好きではないんですが、何か違う名前ができるのではないかと思うのですけれども、特別相談とかというのを市町村はよくやっておりますので、その中にも専門の消費生活相談がいることは必要なのではないかと。私どもとしては、専門の相談員、専門の職員、そしてPIO-NETの設置というふうに考えて、ずっと訴えてまいりました。
 ですから、先ほどの財源等につきましても、国の財産でありますPIO-NETの情報というところには十分に国の財源をつけていただくことが1点と、今の活性化基金、「光交付金」等につきまして、十分な利用活用を首長さんがしていただくということをやっていただかなければいけないのではないかな。そうすると、それが平成24年以降の財政の補強になるのではないかな。どうあるべきかという形にもつながるのではないかなと感じております。意見です。

○稲継座長 ありがとうございます。では、山下委員。

○山下委員 まとめ方の件なのですが、圓山先生から、第4の案としてというお話があったんですが、私はこれはちょっと性格が違うのではないかと思っていて、広域連携の事務局の案というのは、今、相談窓口がないというところをどうやってカバーするかというお話なのに対して、圓山先生のは、どちらかというと、複数のところがカバーできそうなところをどういうふうに切り分けていくか。要するに、1の方は、生活相談と消費相談をどう分けるかというお話と、2の方は、ゾーニングというか、地域を区切っていって、ここはどこがやってもらいましょうという管轄の分け方の問題なので、これは両立するといいますか、要するに、連携をするとどうしても競合する部分というのが出てきてしまうのだけれども、そのときに片方を単に削るのではなくて、例えば、こういう分け方をして、協力し合ってはどうですかというモデル案としてお示しになるのといいのではないかと思いますので、事務局の案にそのまま第4案と付けるよりは、連携したときの競合した部分の解消の仕方とかという別の項目を立てて、さらにモデルを詰めていただくといいのではないかと思ったというのが意見でございます。

○稲継座長 おっしゃるとおりですね。どうぞ、圓山委員。

○圓山委員 今の御意見、よくわかりました。
 それから、事務局に対して、素案のまとめ方について、お願いが1点あります。
 この調査会のとりまとめをしていくに当たって、多分方向性が2つあると思うのですね。今、財政的に疲弊している自治体に国がどんな救いの手を差しのべるのかというのが第1の方向性で、国が自治体にただ乗りしている分については、国がしっかりお金を出す。国が自治体に押し付けている業務については、役割分担を見直して、負担を軽減する。そのために国は何を制度改正したらよいのかというのが1つ目の方向性だと思います。
 2つ目の方向性は、国が自治体にただ乗りや押し付けしている構造を続けたままで、自治体にもっと働けと言うという提言の方向性もあると思いますし、この調査会の議論でも時々感じるところではございました。勿論どちらか1つと申し上げているのではないですが、せっかくここは国の審議会なのですから、自治体がどうするかというのは都道府県レベルの審議会でやればいい話なので、この審議会でないと、国の審議会でないと国の制度改正の話はできないわけですから、今申し上げた第1の方向性について、しっかりこれから議論をしていって、素案を提言に深めていくという形で是非お願いをしたいなという意見です。

○稲継座長 ありがとうございました。では、田中委員。

○田中委員 最後に申しわけありません。資料13で「小規模相談窓口の相談の現状」を提出しています、ここでも確かに「よろず相談窓口」という表現は余り好きではありません。私も同感なのですが、このような場所であっても、解決困難というか、相談員が頑張って対応しているという状況のものを書いております。これも、巡回相談でバックアップしていただくとか、国民生活センターに相談しながらやっていくとかということで、それぞれの窓口での相談は内容を選んで来るわけではありませんし、また、そこの相談員の能力によって対応が違ってくるということにもなるかもしれませんけれども、それはバックアップということでフォローできているのではないかと思います。「よろず相談窓口」というよりも、消費者相談窓口を置いた結果、よろずの相談も入るということで、イメージをもう少し消費者相談というのを前面に出していただければと思います。

○稲継座長 ありがとうございました。
 いろいろ貴重な御意見を出していただきました。親委員会の方からは、両論併記ではなく、必ず1本にまとめて出せときつく命じられておりますので、何とか専門調査会の意見をとりまとめてまいりたいと思います。本日の議論を整理して、今後の検討に活かしていきたいと思います。
 なお、次回の専門調査会まで時間がございますので、その後、お気付きの点や何か御意見等がございましたら、事務局もしくは私までお寄せください。
 本日の議題は以上でございます。

≪4.閉会≫

○稲継座長 最後に、事務局から、次回日程についてお願いいたします。

○原事務局長 どうもありがとうございました。
 次回の専門調査会は、年明け1月25日火曜日の午後3時からを予定しております。内容としては、報告書案のポイントとなるべき項目や、考え方を整理した素案について御審議をいただく予定です。
 今後のスケジュール案については、資料8としてお配りしております。大変今日も活発な御意見をいただきまして、事務局としても、盛り込むべき内容とか、進め方について、さらに努力を重ねてまいりたいと思っておりますので、どうぞ御協力よろしくお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。

○稲継座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)