第1回 地方消費者行政専門調査会 議事録

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日時

2010年4月28日(水)17:00~19:00

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【専門委員】
 片山座長、稲継座長代理、奥山委員、国府委員、斎藤委員、菅委員
 田中委員、沼尾委員、野口委員、馬場委員、圓山委員、矢野委員、山下委員
【担当委員】
 櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、日和佐委員、山口委員
【委員】
 川戸委員、中村委員
【オブザーバー】
 池本弁護士
【説明者】
 消費者庁 甘利地方協力室長
【消費者委員会事務局】
 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.地方消費者行政専門調査会の進め方について
3.地方消費者行政に関わる制度的枠組み(消費者基本法・消費者安全法、予算措置等)について
4.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:15KB)
【資料1】 地方消費者行政専門調査会の進め方について (PDF形式:97KB)
【資料2】 地方消費者行政の充実強化に向けて(平成21年12月14日消費者委員会) (PDF形式:121KB)
【資料3】 消費者庁関連三法の成立の際に定められた地方消費者行政の充実・強化に関する附則及び附帯決議 (PDF形式:135KB)
【資料4】 消費者基本法及び消費者安全法等に基づく地方消費者行政の枠組み (PDF形式:112KB)
【資料5】 地方消費者行政活性化に向けた取組について(消費者庁提出資料) (PDF形式:216KB)
(参考資料1) 消費者委員会地方消費者行政専門調査会委員名簿 (PDF形式:100KB)
(参考資料2) 消費者委員会運営規程 (PDF形式:66KB)
(参考資料3) 消費者委員会地方消費者行政専門調査会設置・運営規程 (PDF形式:75KB)
(参考資料4) 消費者基本法(昭和43年5月30日法律第78号) (PDF形式:168KB)
(参考資料5) 消費者安全法(平成21年6月5日法律第50号) (PDF形式:180KB)
(参考資料6) 地方消費者行政の実態調査報告書 (PDF形式:391KB)


≪1.開 会≫

○原事務局長 それでは、始めたいと思います。本日は、遅い時間からの開始で大変申しわけございませんけれども、お忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます。ただいまから「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会」の第1回の会合を開催いたします。
 消費者委員会の事務局長を務めております原です。どうぞよろしくお願いいたします。
 地方消費者行政専門調査会については、本日が発足後初めての会合となります。お手元に参考資料1として委員名簿をお付けしておりますので、お名前、御所属の確認をいただけたらと思います。
 なお、消費者委員会から、池田委員、櫻井委員、佐野委員、下谷内委員、日和佐委員、山口委員がこの専門調査会の担当委員としてこれからの調査審議に参画をいたしますので、こちらもどうぞよろしくお願いいたします。
 それから、本専門調査会のオブザーバーとして、この課題に長く携わってこられた池本誠司弁護士にも御出席をいただくということになっておりますので、池本先生がそちらにおられますけれども、どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、所用により池田委員が御欠席ということ。それから、山下委員が15分ぐらい遅れての御出席と聞いております。また、奥山委員は17時30分ごろからの御出席ということで承っております。
 本専門調査会の座長については、4月23日の第23回の消費者委員会において松本委員長から指名がありまして、片山善博委員に務めていただくこととなっております。
 それでは、片山座長、議事進行をよろしくお願いいたします。

○片山座長 今、原事務局長からお話がありましたように、去る4月23日の消費者委員会の場で、委員長から私に座長をということで御指名がありました。僣越ながら座長を務めさせていただきます片山です。どうかよろしくお願いいたします。
 今日の専門調査会は、私を含めまして、皆さん方、第1回ですので、最初にこの専門調査会を消費者委員会の中に置くこととなった経緯でありますとか、趣旨でありますとか、いわばミッションのようなことを共通認識として共有する必要があると思いますので、最初に事務局の方からその点について御説明をいただければと思います。

○原事務局長 地方消費者行政の専門調査会を消費者委員会に置くことになった経緯ですけれども、去年の国会の審議を御覧になっておられた方はよくよく承知のところだとは思いますけれども、今日は第1回の会合ということもありますので、共通の認識ということで御説明をさせていただきたいと思います。
 昨年、通常国会における消費者庁関連三法に関する審議時間というのは約90時間を超えるという大変長いものでしたけれども、その中で地方消費者行政の充実・強化の必要性、重要性ということがかなり議論をされました。審議の結果、向こう3年間の集中育成・強化期間後の地方消費者行政のあり方や充実・強化の検討については、資料3にありますとおり、消費者庁関連三法の成立の際に定められた国会の附帯決議で当委員会に課せられた宿題というか、課題ということになっております。
 そこで、消費者委員会においては、昨年秋以降、この課題について全国の調査も行い、それから委員会本体においても審議を行い、12月14日には、後ほど御説明をさせていただきますけれども、「地方消費者行政の充実強化に向けて」としての論点整理を行っております。これを受けて、昨年12月21日の第11回消費者委員会において、お手元の参考資料3にございます地方消費者行政専門調査会の設置・運営規程が審議をされ、消費者委員会の下に専門調査会を設置することとし、本日より具体的な審議を行うこととなった次第です。国会での膨大な審議の結果ということもあります。それを踏まえて、今後、非常にタイトなスケジュールになってくるかとは思いますけれども、充実した審議をこれからどうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、また座長にお戻しいたします。

○片山座長 そういうことで、今御説明いただきましたが、私も23日に直接、委員長はじめ多くの委員の皆さんから、この専門調査会に対する思い入れでありますとか、期待でありますとか、そういうものを伺っております。また、これは当専門調査会が審議を進めていく過程で私の方からもそのことに触れてみたいと思っております。
 それでは、次に座長代理を決めたいと思います。地方消費者行政専門調査会設置・運営規程第2条第4項によりますと、座長があらかじめ座長代理を指名することとなっています。つきましては、座長代理は稲継裕昭委員にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは、専門調査会の委員の皆様に簡単に、稲継座長代理の方から自己紹介をしていただいた後、順次、委員の皆様にも適宜自己紹介をしていただきたいと思いますので、稲継さんからお願いします。

○稲継座長代理 早稲田大学の稲継と申します。よろしくお願いいたします。地方自治体に勤務していた経験がございまして、その後も地方行政について研究している人間でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○沼尾委員 日本大学の沼尾と申します。専門は地方財政でして、いわゆる中山間地域を中心に、地方の社会経済情勢と自治体財政の役割について研究しております。最近、各地を回っておりますと、新たに消費者行政というのを市町村が担わなければいけないということで、特に町村は非常に苦労しながら取組を行っているというお話も聞いておりますので、そういった現場の声なども踏まえながら勉強させていただきつつ、お役に立てればと思っております。よろしくお願いいたします。

○田中委員 初めまして。熊本消費者協会の田中三恵子と申します。私どもは、熊本県の中で特定非営利活動法人としてこの4月から活動しておりますが、20年前から消費者協会として県の消費者行政をお手伝いするような形で、相談窓口に相談員の派遣を行ったりして、消費者行政のお手伝いをしてまいりました。個人的には熊本市の消費者センターで相談員をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○菅委員 秋田から参りました菅と申します。消費生活専門相談員です。昭和48年から消費者行政に足を踏み入れてからかなりになりましたけれども、いろいろな形の相談形態を見てまいりまして、それが皆さんのお役に立てればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○斎藤委員 東京大学の斎藤です。行政法、それから地方自治法を専門に研究をしております。消費者行政の関係では、細々とではありますが、自治体ADRについて研究をしているところです。よろしくお願いいたします。

○国府委員 弁護士の国府泰道です。私は大阪で弁護士をやっております。昭和58年に弁護士登録いたしまして、その当時から訪問販売被害とか、取引をめぐる消費者被害事件が非常に多くなっていた。豊田商事事件などもありました。そんな中で、行政がどうやって消費者を守るべきなのかという点について、以来ずっと関心を持ってまいりました。消費者庁ができ、消費者委員会ができるというパラダイムの転換というふうに言われたわけですが、地方消費者行政についても何とかパラダイムの転換ができるような議論ができればいいなという思いでこの検討会に参加させていただきました。よろしくお願いいたします。

○櫻井委員 消費者委員会委員の櫻井と申します。私は学習院大学で行政法を教えている者ですけれども、この地方消費者行政専門調査会というのは、大臣の直接の御指示というか、消費者委員会に指示はできないというような議論がすぐ出てまいりますけれども、肝入りの専門的な組織ということで大変期待をしておるところでございます。地方の話ではあるのですけれども、地方と国というのは表裏一体でございまして、国のことも考えながら、国のあり方についても併せて考えるというようなことで幅広に御議論いただいたらよろしいのではないかと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○佐野委員 同じく消費者委員会委員の佐野と申します。私は主婦連合会の事務局におりまして、消費者団体に入ってもう二十数年になります。消費者庁は消費者と消費者団体の努力の結果でやっとできました。本当に望まれてできたものです。ただ、霞ヶ関、この山王パークタワーのような立派なビルの中に入っておりましても何の役にも立たない。やはり地方の消費者行政が一番肝心であるということで、いかにして地方の消費者行政を活性化するかということは、まさにここの委員会で十分練っていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

○野口委員 中央大学法学部の野口と申します。専攻は行政法でして、もともとは行政手続の勉強をしていたのですが、5年ぐらい前から、警察行政法を皮切りに、安全・安心確保の行政法の勉強を始めておりまして、今回、消費者の安全・安心を守る第一線のこういう研究・検討の場に参加をさせていただけることを大変うれしく思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○馬場委員 江崎グリコの馬場と申します。仕事は、お客様相談室でお客様対応業務を今13年目に入っております。委員の方にはお手元にお配りしたのですけれども、ACAP(エイキャップ)という団体で西日本支部の支部長として地方行政の方々といろいろ勉強させていただいております。基金でつくられました神戸コンシューマ・スクールで第1期生として授業を受けまして、神戸からたくさんのことを学びまして、そういうものを今後、我々が地方で活動していく中で活かしていきたいと思っています。また、大阪府、名古屋市なども西日本支部としまして、地方行政の方でいろいろ委員会にも参加させていただいております。よろしくお願いいたします。

○圓山委員 明治学院大学の圓山と申します。私も市役所に1年いまして、県庁に23年勤務しておりました。うち21年間は消費者行政の現場にいました。平成に入ってからの約20年間は地方消費者行政が衰退するのをずっと見てまいりました。この専門調査会は行政に詳しい方がたくさん入っていらっしゃいますので、その衰退の原因は何か、どういう治療法があるのかということを勉強させてもらいながら考えていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○矢野委員 東京消費者団体連絡センターの矢野と申します。よろしくお願いいたします。私は、全国消団連で都道府県の消費者行政調査に9年間のうち後半の3年間を関わってきました。それから、東京の消費者団体の取りまとめのセンターとして、東京都との太いパイプをこの間築いてまいりましたし、今年度から東京都の区市町村の消費者行政調査に着手をしていきます。そういった意味で、現場の声をさまざま消費者の声とともにここで届けながら、一緒に御検討させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○山下委員 遅くなりまして申しわけございません。学習院大学法学部の山下と申します。私は専門は民法でございまして、行政法にむしろ関係が深いと思われるこの調査会でどの程度お役に立てるかよくわかりませんが、法科大学院では消費者法等も講じておりますので、できる範囲で微力を尽くさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○山口委員 消費者委員会委員を仰せつかっております弁護士の山口と申します。数年前、私が日弁連の消費者問題対策委員会の委員長をやっているころに、当時まだ県知事でした片山さんに、大阪の日弁連の会合においでいただきまして講演いただいたのですが、そのときに、地方消費者行政においては消費生活相談の充実が必要だというようなことを片山さんはおっしゃっていまして、そのことが脳裏に焼きついておりまして、ぜひこの委員会の座長になっていただいたらいいのではないかと前から思っておりましたが、夢叶いましたので、ぜひ片山座長の下で充実した報告をしていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○日和佐委員 消費者委員会委員の日和佐でございます。私、個人的には、消費生活総合センターを運営しております横浜市の消費者協会の理事長も兼ねておりまして、地方消費者行政の現場にも少しは通じているのかなというように思っております。この委員会の審議に期待をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○下谷内委員 消費者委員会委員の下谷内と申します。よろしくお願いいたします。全国消費生活相談員協会に所属しておりまして、地方の消費者行政を相談員はみんな期待いたしております。今度は座長に片山先生をお迎えし、先日、首長さんが首を縦に振れば何でもできるというふうにお聞きしましたので、非常に高い期待をいたしておりますので、よろしくお願いいたします。

○片山座長 ありがとうございました。その首長さんがなかなか首を縦に振らないんですね。どうすればいいかということですけれども。
あと、今日は奥山委員がまだお見えになっていません。お見えになり次第、御挨拶いただきたいと思いますが、委員の皆さんのほかに、今日は、先ほど御説明いただいた原事務局長と齋藤審議官にも御出席いただいております。せっかくですから、何か一言。よろしいですか。

○原事務局長 ここで発言の機会があるとは思っていなかったので。私は、今は事務局長をしておりますけれども、消費者団体の事務局にも長く勤めておりましたし、それから地方も何度も訪ねて、いろいろなところでお話を伺わせていただいております。消費者行政の推進会議のメンバーでもありまして、そこでの審議、それから国会での議論を通じて、霞ヶ関は消費者庁とか消費者委員会というのをつくりましたけれども、やはり現場といいますか、実質のところは、みんなが住んでいるところにあるというのでしょうか、それぞれの皆さんの地元にあるというふうに思っておりますので、そこに住んでおられる方々を支えられるような消費者行政をどういうふうに展開できるかというのは大変大きい課題だというふうに思っております。 委員の方々は、それぞれの御知見を持ち寄っていただいて、タイトな審議期間、1年ぐらいというふうに思っておりますけれども、精力的な審議を期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○片山座長 齋藤さん、どうですか。

○齋藤審議官 事務局の担当をしております齋藤でございます。特に私、これに詳しいと申すほどのものもございませんけれども、皆様、大変豊かな経験、深い識見をお持ちの方々ばかりですので、勉強しながら、事務局として御審議の参考になるようにお手伝いをさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○片山座長 ありがとうございました。あと、消費者庁からも地方協力室長の甘利さんに後刻おいでいただくことになっておりますので、またそのときに御紹介したいと思います。
 本日の会議は公開で行います。議事録につきましても、後日公開することになります。
 では、議事に入ります前に、事務局から今日の配付資料の確認についてお願いをします。

○原事務局長 私、配付資料のここの発言から次だなというふうに思っていたので、突然、個人の話をしてしまいまして済みませんでした。
 配付資料は、議事次第の次に1枚入れておりますけれども、資料1から資料5、参考資料1から参考資料6までありまして、資料3については、先ほどの私の説明の中で申し上げましたけれども、国会での附則及び附帯決議になっています。資料1と2については、これから説明をしたいというふうに考えております。資料4と5についても、後刻説明の資料とさせていただきます。参考資料1から6ですけれども、これは名簿、運営規程、それから消費者基本法・消費者安全法、ここで地方消費者行政がどういう枠組みの中に置かれているかというところを参考にしていただければと思います。それから、参考資料6は、これは一番最後に付けておりますけれども、委員にぜひ御就任いただきたいと御説明に回ったときにもお持ちをいたしましたけれども、今年の1月、消費者委員会事務局でまとめました「地方消費者行政の実態調査報告書」ということで、基礎的な資料として今後の審議で御活用いただければというふうに考えております。
 配付資料はそういうところで、不足のものがございましたら事務局まで申し出ていただければと思います。
 それでは、ここからの審議はよろしくお願いいたします。

○片山座長 資料については遺漏ございませんね。もしお気づきの点がありましたら、また別途お話しください。

≪2.地方消費者行政専門調査会の進め方について≫

○片山座長 それでは、引き続き議題に入りたいと思います。
 今日は、地方消費者行政専門調査会の進め方と、地方消費者行政に関わる制度的枠組みについて、議題として取り上げたいと思います。
 最初に、地方消費者行政専門調査会の進め方について議論を行いたいと思います。先ほどもちょっと話がありましたが、この地方消費者行政専門調査会の進め方につきましては、4月23日の第23回消費者委員会において了承されているところであります。席上、いろいろな御意見や御要望がありまして、私も伺っておりますけれども、そういう点も含めて事務局から説明をお願いしたいと思います。

○齋藤審議官 それでは、事務局の齋藤でございますが、御説明いたします。資料1を御覧いただきたいと思います。「消費者委員会 地方消費者行政専門調査会の進め方について」というタイトルの紙でございます。右方に消費者委員会とございますように、先週4月23日の消費者委員会でこのような内容について委員会として御了承いただいたものでございます。
 1のところに「調査審議について」というタイトルの下に、過去の経緯が書いてございます。最初に書いておりますのは、消費者庁関連三法の成立の際の附則・附帯決議で検討するとされているということでございますが、資料3を御覧いただければと思います。そちらの方に消費者庁関連三法の成立の際の附則と附帯決議の抜粋がございます。
 まず附則でございますけれども、1の消費者庁及び消費者委員会設置法の附則の4項というところに、政府は施行後3年以内に消費生活センターの法制上の位置づけ並びにその適正な配置、人員の確保、相談員の待遇の改善、その他の地方公共団体の消費者政策の実施に対し国が行う支援のあり方について、所要の法改正を含む全般的な検討を加え、必要な措置を講ずるものとするというふうに書いてございます。
 その下に衆議院の附帯決議がございまして、その一番下の19項のところを御覧いただきたいと思いますが、今の附則と同様のことが書いてございますけれども、今後3年程度の集中育成・強化期間後の国による支援のあり方や、消費生活センターの設置、相談員の配置・処遇等の望ましい姿について、その工程表も含め、消費者委員会で検討を行うことということで、検討の場として消費者委員会というものが指定されております。
 1枚おめくりいただきまして、参議院の附帯決議が出ておりまして、これもやはり一番下のところ、第24項でございますが、先ほどの衆議院の附帯決議と同趣旨、やや詳しめに書いてございます。内容を読み上げることはいたしませんが、同じようなことが書いてございます。
 こういった附則・附帯決議を受けまして、資料2の方でございますけれども、消費者委員会におきましても、昨年の秋から年末にかけまして地方消費者行政の充実・強化に関する御審議が行われました。その結果、12月14日のこの紙がまとめられておりまして、一応ここで論点を整理したということになってございます。そこの1のところに基本的視点が書いてございまして、その下の2の方に検討されるべき論点ということで論点が列挙されております。基本的視点の中ほどのところでございますけれども、3つ目のパラグラフでございますが、消費者庁と消費者委員会とそれぞれ検討しておりますけれども、それぞれの役割分担のようなことが書いてございます。消費者庁においては、今後3年間、平成21、22、23年度を中心とする地方消費者行政強化プランが策定されようとしている。この時点では「策定されようとしている」ということでしたが、現時点ではもう策定されておりまして、お手元の机の上に冊子の形で配付しております。また、平成20年度、21年度に措置された地方消費者行政活性化基金は、向こう3年間を集中育成・強化期間と位置づけ、当面のインフラ整備に主眼を置いたものであり、4年目以降を見通した政策のあり方については示されていない。消費者委員会は、平成24年度以降の地方消費者行政の充実・強化がどのようになされるべきかを平成22年度末をめどに提言し、その実現を図る。その際、消費者委員会は、地方の実態把握をしながら、地方自治の本旨を尊重しつつ、消費者行政における国と地方の役割分担のあり方を整理した上で、消費者目線から提言すると書いてございます。
 以下、論点が1から始まりまして8まで8つ書いてございます。一々御説明いたしませんけれども、1のところでは、国と地方の役割分担のあり方。それから、2ページ目でございますが、2のところでは国と地方のネットワークのあり方ということで、センターや窓口の整備のあり方。それから、3のところでは、消費生活相談員制度及び相談員への支援のあり方。4のところで、情報の収集・分析、情報提供のあり方。5のところでは、商品テストの位置づけ・各機関のあり方。それから、3ページ目にまいりまして、6のところでは地方自治体による法執行のあり方。7のところでは行政と消費者、事業者などの協働、消費者の声を政策決定などに反映させるシステム構築のあり方。8のところでは、地方消費者行政の充実・強化に向けた組織体制と人材育成のあり方といったことで、8つの論点が整理されたものでございます。
 それで、また資料1の一枚紙の方にお戻りいただければと思います。以上のような経緯がございまして、その上で、この専門調査会におきましては、今のような論点、その他の地方公共団体における消費者行政の推進に関する事項について調査・審議をお願いするということでございます。
 2の方の今後のスケジュールでございますけれども、その柱書きにございますように、平成24年度の予算要求等のタイミングも鑑みまして、平成22年度末をめどに提言する必要があるということでございます。開催頻度としては、大よそ1ヶ月に1回程度ということで、その下の方にスケジュール案と書いてございますが、第1回は本日でございますけれども、第2回は5月に予定されております。第1回、第2回で地方消費者行政のいわば総論的な事柄についてご議論いただきまして、第3回以降は論点ごとの検討に入っていってはいかがかと。必要に応じてヒアリング、あるいは実態調査等についても御検討いただいて、来年3月末には提言を取りまとめいただきたいということでございます。
 座長の方からもお話がございましたが、4月23日の委員会におきまして、この進め方についての紙が議論になりました。その際、出された御意見等を御紹介いたしますと、ここに書いてありますスケジュール、それから先ほどの論点、いずれもそのように書いてはございますけれども、あまりそれに縛られ過ぎることなく柔軟にお考えいただきまして、進めていっていただいたらよろしいのではないかという御議論がございました。
 それから、専門調査会として御議論いただくわけですけれども、適宜、親委員会である消費者委員会と意見交換といいますか、キャッチボールをしながら進めていっていただいたらよろしいのではないかというような御意見もございました。
 私の方からはそんなところでございます。

○片山座長 ありがとうございました。これについて御意見とか御質問を伺いたいと思いますが、その前に、奥山委員が来られましたので、実は先ほど委員に一人一人簡単な自己紹介をしていただきましたので、奥山委員からも一言お願いします。

○奥山委員 遅れまして済みません。仙台市の奥山でございます。お世話になります。私は、長い間、三十数年ほど仙台市の職員として仕事をしてまいりまして、その仕事の始めは昭和50年に仙台市の消費経済課という、今はなくなった課ですけれども、そこに職を得たというところから始まってございます。そんな個人的な事情もありまして、消費者行政の進展にはこの間大変関心も持ち、また、いろいろな現場もそれなりに把握してきたつもりでございます。皆様と御一緒に今後の消費者行政のあるべき姿を求めて、いろいろ御意見を闘わせることができればと思って楽しみにしております。よろしくお願いいたします。

○片山座長 ありがとうございました。
 それでは、先ほど齋藤審議官から説明いただきました地方消費者行政専門調査会の進め方につきまして、御意見なり御質問なりお願いします。圓山委員。

○圓山委員 基本的な質問が2つと、それから大括りで要望が3つございます。簡潔に申しますので、順にお答えいただければと思います。
 まず、質問の1つ目です。地方消費者行政を消費者支援行政と事業者規制行政に分けると、この論点表には事業者規制行政が書かれていないように思うので、事業者規制行政については、この専門調査会は触れないということなのかということをお伺いしたいと思います。少し説明しますと、消費者支援行政というのは、消費者庁、国民生活センター、それから自治体の消費生活センターのラインで、この点については論点表にたくさん書かれています。事業者規制行政というのは多岐にわたっていますけれども、例えば食品衛生法を実施する保健所、消費生活用製品安全法を実施する各自治体の商工課が担当しているのですが、中国産冷凍餃子事件では全国3ヶ所の保健所が対応に失敗をしたので、食品衛生法の仕組み上ではあり得ないような展開をたどったわけですね。
 それから、今考えられているライター規制をするには、消費生活用製品安全法の特定製品に指定することになると思いますが、それを実施するためには、県庁や市役所の商工課の職員が各店舗を回って、許可されている製品なのか、そうじゃない製品なのかということを調べて回るということになるのです。こういった事業者規制行政も非常に弱ってきていて、対応に失敗していることが多々出てきていると思いますが、この専門調査会はそこを論議するのか、それはもう外してしまうのかというところが疑問でしたのでお尋ねしたいと思います。

○齋藤審議官 今の御質問でございますけれども、先ほどの論点の中にも執行面の問題ということで、論点でいいますと6のところにございますけれども、地方自治体による法執行のあり方というところで、今おっしゃいましたような事業者規制行政全般がここで全部カバーできるかどうかというところはまたこれからの御議論かと思いますけれども、この論点をつくったときの委員の皆様方の問題意識としては、特商法や景表法といったものを通じての事業者規制行政というものも念頭にあったのだろうと考えております。ただ、これからどの範囲で地方消費者行政というものを捉えていくかということについては、むしろこの場で御議論いただいた方がよろしいのではないかと思います。

○原事務局長 補足をいたしますと、今、事務局が説明をしているのがいいかどうかというのもちょっとあるのですけれども、4月23日の消費者委員会では、一応、去年の12月14日の論点というのはありますけれども、これにとらわれることなく、付け加える点があれば付け加えていただいて議論をしていただきたいというふうなことでありましたので、付け加えた方がいいという、専門調査会、それから消費者委員会の委員でそういう合意があれば、もちろん加えて検討すべきだというふうに考えております。

○圓山委員 わかりました。私はそれを希望していますので、何度かやっていただければと思います。
 質問の2つ目です。この専門調査会の論議の理念というか、ゴールは何かということが御説明を聞いてもよくわからなかったのです。先ほどミッションというお言葉があって、そこで平成21年の国会審議以降の説明はあったわけですけれども、実は消費者行政の改革はもっと前から始まっていまして、平成20年3月27日の国民生活審議会の総合企画部会の「生活安心プロジェクト」(行政のあり方の総点検)報告書というのは非常に高い理想を掲げていて、私、読んで大変感動いたしました。その次の消費者行政推進会議の平成20年6月13日の取りまとめは、それよりはかなり程度は違いますけれども、それなりの地方消費者行政のイメージを示していたと思います。
 それで、この専門調査会でたぶん制度論を論議するということになると思いますが、制度をいじって何を実現するのかという点について、国民生活審議会のものはどうなるのか、消費者行政推進会議のものはどうなるのか、どちらを目指すのか。全部御破算になっているのか。ここで考えるのかというあたりがよくわからなかったので教えていただきたいと思います。

○原事務局長 私は両方とも委員をしておりましたので、国民生活審議会の生活安心プロジェクトも委員でした。消費者行政推進会議も委員でした。それで、別に御破算にはなっていないと思います。そこで検討した議論というのは、やはり発展形で参考にしていただけたらというふうに個人的には考えます。ただ、結論はどこを目指すかというところは、皆さん委員の方々のコンセンサスになっていくと思います。

○片山座長 もし消費者委員会の委員の皆さんで補足なり異論なりがありましたら、おっしゃっていただいても結構ですけれども。

○山口委員 まさにゴールは見えていないんです。この問題はどういうふうに結論を出しても、それが実現するどうかというのはまた別問題です。したがって、今、圓山さんがどういう趣旨でおっしゃったかよくわからないのですが、本当に少しでも前進するように、いろいろな角度から検討して、少しでも地方消費者行政が充実するように、あるいは、それが実現するように、どうしたらそうなるのかというところについて逆に言えば教えていただきたいというふうに私は思うんです。消費者委員会の議論としても、そういう観点で、100点満点の答えはありっこないし、仮に紙ベースで100点満点でも、それが実行できるかどうかというのはまた全然違いますから、その観点を含めて御議論いただき、出していただければというところだと思うのですが。

○片山座長 いいですか。

○圓山委員 ちょっとお尋ねしていいですか。例え話ですけれども、宇宙ロケットをこの専門調査会で修理する話だとすると、宇宙ロケットが火星に飛んで行くのか、月に飛んで行くのか、地球の周りを回るのか、行きっ放しなのか、戻ってくるのかによって、直し方の程度が違うと思うんです。とにかくロケットの出力を上げればいい、どこに行くのかわからないということでは。理想があって実態が違うので、その間を埋めるためにはどうすればよいのかというのが制度論だと思うのですけれども、その行き先というのを教えていただきたい。それから考えたいと思ったわけです。

○片山座長 それは、あまり小難しく考えない方がいいと私は思うんです。といいますのは、ここでの論点というのは、問題意識は、自治体の消費者行政をどういうふうに進めてもらうかということなんです。自治体の消費者行政の分野というのは自治事務という分野になっていますから、本来、自治体が決めればいいことなんです。極端なことを言えば、自治事務ですから、やるかやらないかも含めて、実は自治体の自由意思で決めればいいというのが理念型なんです。だけど、そう言ってしまったら、今の自治体の現状を見ると、やるところはずいぶんやるかもしれないけれども、やらないところも出てきて、せっかく国でこういう法律までつくって、国の消費者行政体制も整えてきたのに、やるかやらないかも含めて自治体で決めることができる、それで、やらないことに決めましたと言われたのでは身もふたもない。できれば、やはり充実してやってもらいたい。だけど、自治事務という範囲内でどうやって実施してもらうか。それをどういうふうになだめたり、すかしたり、脅したりはいけませんけれども、いろいろな手だてを講じながら進めていきますかということだと思うんです。
 ですから、全部、国の方で目標を決めてこうするんだと言ったら、これは自治事務から外して法定受託事務にして、全部こうすべしという、そういう強権的な全国一律のやり方もあるんです。でも、消費者行政というのはそうじゃなくて、本来の自治事務の範疇に属していて、その中で、どういうふうにすれば自主的に自治事務として、国が期待するように、住民が期待するように充実してもらえるのか、そこの知恵を出し合いましょうということだと思うんですね。だから、そもそもあまり1つの目的をつくって、どこに向かうかというのとは少し違うのではないかと私は思うのですけれども。

○国府委員 今日は第1回目なので、具体的に目的を設定するというのは、我々委員の共通認識という点でもなかなか難しいんじゃないかと思っておりますが、ただ、国会の附帯決議にもあるように、4年後以降の地方と国のあり方をどうしていくのかというところを、具体的に制度設計まで含めてここでは議論していかなければならないと思うんです。そのために、我々委員の中で、今の地方消費者行政がどういう問題を抱えているのかという点について、実態も含めて、まず共通認識になる必要があります。消費者委員会では、今日の資料6にあるように、そういう実態調査をされているようですが、我々委員はペーパーで実態調査の報告書を読んだだけではなかなか十分理解できない。だから、ここは更にきちんと理解して、どこに原因があるのかということの議論もこの場ではやっていかなければならないのではないかと思います。
 それで、圓山先生がさっき言われた国生審なり、消費者行政推進会議の各報告書、これはやはりこれまでの到達点という意味で、我々の共通認識にするためにも、事務局から我々委員に資料配付していただいて、これまでそういったところでどういう議論がされてきたのかということをもう一度勉強して、次の制度づくりの議論をしていけばいいんじゃないかというふうに思うのですが、いかがでしょうか。

○圓山委員 でしたら、専門調査会で引き続き御議論いただければと思います。私は法定受託事務派なので、自治事務についてはちょっと異論もありますが、それは今日は止めておきます。
 要望を3つよろしいですか。大きな1つの要望は情報提供のお願いです。情報提供その1は、消費者委員会事務局の方に、平成21年以降の衆議院と参議院に設置された消費者問題特別委員会の議事録を全部、私たち委員に送付をしていただければありがたいと思います。
 情報提供のその2は、消費者庁さんにお願いしたいのですが、毎年、都道府県を通じて全国の自治体に調査をしている「地方消費者行政に関する調査結果」という白表紙の資料があります。毎年1月に出ていますが、今年は印刷が遅れているのかまだ出ていないのですけれども、この平成21年度版を早く印刷をして専門調査会に出していただいて、概括の十何ページじゃなくて、詳細版の分厚い数百ページのものを見せていただければと思います。
 情報提供のお願いのその3ですけれども、これは委員会と消費者庁の両方にお願いしたいのですが、平成21年度以降、内閣府の時代、消費者行政一元化準備室の時代、それから現在の消費者委員会事務局と消費者庁が実施をして、地方自治体とか相談員にアンケートを繰り返し行われています。もう10回行われているのか、30回行われているのかちょっとわからないですけれども、県庁も市役所もアンケートの回答に悲鳴をあげるぐらい繰り返しアンケートをされていますが、その集計結果を漏れなく専門調査会に出していただければありがたいと思います。
 続けて申し上げます。要望の2つ目ですけれども、もしこの専門調査会でヒアリングを行われる際には、消費生活センターの関係者などはいろいろなところでも発言していますので、ぜひ自治体の中枢部、人事、財政、組織の各責任者、それから総務省の地方自治制度と公務員制度と地方財政の担当者の方にヒアリングをお願いしたいと思います。
 それから、要望の3つ目ですけれども、この専門調査会の審議時間をぜひ長く取っていただきたいということで、10回程度、各2時間ではとても足りないと思います。どうしても月1回程度ということに限られてしまうのであれば、丸一日、朝から晩までやるという形で時間を取れると思いますので、お願いをしたいと思います。
 以上です。

○片山座長 資料の方はいかがでしょうか。今の要望について。あと、ヒアリングとか、どういう開催日程にするかというのは、これはむしろこちらが決めることですから、どういうふうにするかは相談しながら決めていきたいと思いますけれども、現実的に多くの人が集まれなければいけませんから、あまり欲張ったスケジュールを組むと結局空中分解してしまいます。その辺は圓山さんの御希望もあるでしょうけれども、ほどほどの加減にしなければ進みませんので。あと、月に1回がいいのか、それとももう少し密度を濃くするかは、これはどういう項目をいつまでにやるかということとの兼ね合いになると思いますから、おいおい決めていったらいいと思います。そういうことで、資料の方の御要望はいかがですか。

○原事務局長 今聞いたものであれば、ちょっと連休が入りますけれども、消費者委員会の部分については連休明けであれば可能かと思います。

○片山座長 では、そういうことでいいですね。

○齋藤審議官 なるべく御要望に添えるようにやりたいと思いますが、消費者庁の方はどうなるか、まだこの場では何とも言えませんので、それはまた追ってということでお願いしたいと思います。また、議事録全部となりますとコピーだけでも大変な分量になりますので、どういうお渡し方がいいかどうかということも含めて、ちょっと検討させていただきたいと思います。

○片山座長 みんなにということでなくて、希望があれば、その該当部分をということでもいいでしょうし、その辺は適宜御相談ください。
それでは、ほかの方。

○国府委員 圓山委員、今のは議事録全部ということですか。

○圓山委員 議事録全部という趣旨は、国会で審議されている霞ヶ関の話についても、地方が支えになっている。だから、冷凍餃子の事件についての審議なので地方に関係ないということで外すということではなくて、それは保健所の関係とか、都庁・県庁の関係も入っていますので。だから、それは何日のどの審議が地方で、何日のどの審議が中央かという区分けはできないと私は思いまして全部と申し上げました。

○国府委員 そこは、例えば地方消費者行政に関する審議をしている部分を抜き出していただくとか、そういう形で、膨大な資料になってしまうのでというのもあったりすると思うのですが、圓山先生は議事録全部という御趣旨ですか。

○圓山委員 はい。

○片山座長 今は、時間をおけば議事録は誰からでもアクセスできるようになっていますよね。

○齋藤審議官 そうです。ホームページでアップされますので。ですから、むしろこの日のこの審議と言っていただければ、その部分をコピーするとか、あるいは、何かうまくリンクできるようにするとか、そういう工夫をした方が現実的かなという気はしますけれども。

○片山座長 これは後でよく相談をしてください。ほかの方、いかがですか。

○馬場委員 私などは一消費者としての感覚でしかものを見ていないんですが、やはりゴールといいますか、目指すところは、一般の方が安心して安全に暮らせる、そして豊かな消費生活を送れるようにするというのが1つ目的というふうに思って参加しているのですけれども、そういう意味で、すぐに1つのゴールにはいかないと思うのです。けれども、次のステップとして、こういうところは我々として確保していきたいというところは1つの目標値になるのではないかと考えています。
 もう1つ、ここで書いていただいているのですけれども、やはり治療と予防があると思うのですけれども、予防の観点の消費者教育とか啓発というのも、地方自治体に聞きますと、やはり教育委員会の協力をもらわないと学校教育もできないということがありますので、そういうところも論議の中に入れていっていただきたいというふうに思っています。
 以上です。

○片山座長 ありがとうございます。いかがでしょうか。

○国府委員 審議の対象ということに関してですが、先ほど圓山さんが法執行というか、規制行政の問題を言われたこととも関連するのですが、私はこの間の消費者庁、消費者委員会設立に向けての国会での議論以降、それから活性化基金の取組も含めて、消費生活相談なり相談現場の問題ということはずっと議論されてきているのですが、法執行の部分というのが非常に不十分ではないかという受けとめ方をしているんです。私たち現場でこれまで消費者行政を見てきた立場からすると、まだセンターなどでの消費者相談はわりとよくやられている。それから、あっせんなどでもよく解決してくれているという印象があるのですが、一方で悪質業者が法律に基づいていろいろ処分を受けたり、指導を受けたりするという部分が非常に不十分であるという印象が強いんです。これが一体なぜなのかということも考えなければならないのですが、そういう処分をしたりするのは、都道府県の職員が調査をし、知事の名前で処分するという形になっていくのでしょうが、職員が非常に足りないとか、経験が不足しているという問題があって、例えば特商法とか景表法の執行状況については一覧表が消費者庁から出されておりますよね。ああいったものも一遍ここで資料に出していただいて、世の中にいろいろな消費者被害が膨大にある中で、なぜこんなに行政の執行が少ないのかというあたりをきちんとここでは議論していく必要がある。そういう意味で、法執行の部分について、十分な議論をする時間を取っていただきたいというふうに審議対象について希望を申し上げたいと思います。
 そうしますと、審議時間の確保がやはりどうしても問題になるのですが、何とか夏休みの間に集中的に時間を取るなりして、委員相互でじっくり議論しながら、みんなができるだけ共通認識になる。それから、4年後の地方消費者行政のバラダイムの転換ということでの新たな制度を打ち出すための十分な議論のできる時間の確保をお願いしたいということで、審議スケジュールについても要望申し上げたいと思います。

○齋藤審議官 今、国府委員がおっしゃいました消費者庁が調べた執行実績の表ですが、今、机上にお配りしておりますプランの69ページを御覧いただきますと、参考の4ということで、景表法と特商法の執行実績が各都道府県別に表になって示されております。恐らくこのことをおっしゃったんじゃないかと思います。

○国府委員 これの詳細が抜けているんですよね。これは過去の部分の累積件数になっていますが、毎年何件というのが出ているので、ぜひそれもお願いします。

○片山座長 その他ありますか。 自治体の現場におられる方とか近い方もおられますが、何か御意見ございませんか。例えば、国の方でこういう消費者三法ができたり、消費者庁ができたり、消費者委員会ができたりしていますけれども、それを受けて、何か自治体で変化があったとか、そういうことはありますか。

○菅委員 できて間もなくは、何が変わったのというのが外からの問いかけで、かなり時間が経ちましたが、そのうちに、行政の方は、3年後はどうするかというのがすごくビビッてしまって、とりあえずは備品購入とか、単年度でできるということです。相談員の周りはあまり反映されていない。ただ、忙しくなるのが、使いやすいスキルアップ研修とか、そういうものに使われていて、スキルアップで法律を学ぶのはいいのですけれども、それが現場とリンクできないという、そこら辺の根本的な勉強の仕方を考えなければいけないかなというのは感じております。

○片山座長 何か体制が強化されたとか、予算が大幅に増えたとか、さっきの備品購入は別にして、例えば人員が増えたとか、正規化が進んだとか、そういうことはないですか。

○菅委員 うちの周りに限っては、2人増やすとかいっても、その人たちが今度はその以降がどうなるのかというのにハラハラしていながら、そこがきちんとフォローされていければ、もっといい体制になるかなというのですが、そこいら辺で手も足も出ない、出したいんだけれどもということです。賃金の方にはなかなか使えないということで、そうすると、一番下の相談員に合わせて、新しく雇う人たちもそうなるというのが、反映されているのかいないのか評価がまちまちだと思います。

○田中委員 私、熊本県の活性化基金を受けてからの変化というのをちょっと調べてみましたところ、活性化基金を受ける前というのは、実は熊本県というのはすごく消費者行政が遅れておりまして、ゼロ予算の市町村がかなりあったわけです。例えば平成20年度では、47市町村のうちの32がゼロ予算。それから、平成21年度になるとゼロ予算はなしということで、今まで何も起こらなかったところに本当に少しだけの変化が起きているような状況ではあります。ただし、やはり市長のリーダーシップとか、そういうことで、例えば予算が10万だったのが1,000万になったとか、そういうことで大きな変化を示しているところもありますけれども、自治体自体は少し変化をしたということで、ほかの都道府県とか市町村に比べると、まだまだスタートしたばかりのような状況ですけれども、よかったというような判断にはなっているようです。

○片山座長 ありがとうございました。ほかにありますか。櫻井さん。

○櫻井委員 私なりの感触を申し上げますと、圓山先生の御意見ですが、大変厳しい点をついておられると思います。消費者委員会というのは、私たちが従前知っていた審議会と違うのだ、違うべきであるということでセットしたのですけれども、そういうことで消費者委員会をつくってみたものの、では何をするのかという、白地のところで何を設定して、どういうふうに対応していくのかということについては、必ずしも事務局との関係もそうですが、決して役所の上に乗っているものではないために、自由である分、何をしていいかよくわからないというのが実態であり、動かし方が大変難しい行政組織です。この組織は制度論としては成功しているとは言えず、強いて言えば発展途上の仕組みなんですね。ですから、非常にやりにくいだろうというふうに思います。
 それで、今後の進め方ということについては、片山先生のお考えはあろうかと思うのですけれども、やはり放っておくと何も動かないので、毎回必ず具体的なテーマを設定して、そのテーマについて、それなりに事務局の方も一生懸命資料をつくってくださると思いまし、それから各委員の先生方も適宜御意見などを発表していただくなり、ヒアリングをするなりというようなことで、なるべくコンパクトに1つずつ問題をセットしていくということをしませんと、結局茫洋としてしまって、何回か回数を重ねたけれども何もやっていないみたいなことになるのかなということで、その点はたぶん要注意ということではないかと思います。
 もう1つは、内容的に言いますと、たぶんテーマとしましては少し整理すると、実態を把握するということが1つあって、これは運用改善みたいなところの具体的な提言というのがあるいはできると思うんです。でも、予算措置のことは、実務的には非常に関心が高くて、財政制度がどういうふうに改善する余地があるのかないのか。ここで提言したところで、聞いてくれるかどうか全然わからないですけれども、勉強の意味も含めてやるということで、沼尾先生がせっかくいらっしゃるので、御知見を御披露いただけるとありがたいというふうに思っておるところでございます。それが実態レベルの話です。
 もう1つは、法執行というふうに言うのですが、法律論として見ますと、私も消費者法はにわか勉強でまだ勉強中ですけれども、どうも従前のというか、内閣府は特殊な役所なものですから、いろいろなものがゴタゴタ入っているわけですね。それで、ほかの各省などに比べますと、それから経産省自体が制度論というのはそんなに緻密にやっていないということもあって、消費者法を全般的に見て全体に非常に完成度が低いという印象があります。また、消費者問題は民法と行政法の領域両方にまたがるのですけれども、経緯からすると民法の議論に比較的重点が置かれてきたということができますが、行政法の先生方もいらっしゃるのでぜひ御検討いただきたいのは、行政法的に見ると、特商法なども含めまして、法制度自体が非常にアバウトにつくっているんですね。これも、総務省所管の法律であるとか、国土交通省所管の法律などと比べると、ずいぶん違います。法制局審査もなぜこんなに部ごとに違うのかと思うぐらいでして、そういう意味では、立法論として検討する余地というのはかなりあるというふうに思っていますので、たぶん法執行ということを議論する前提で、並行してやったらいいかなと思いますけれども、行政法的な検討が大きく足りないというふうに思いますし、それから、たぶん民法の中でも、消費者法というのはちょっとマージナルな位置に置かれてきていて、民法本体の議論としては先生方が必ずしも関心を持ってくださっていなかった領域だと思いますので、私から見ても、かなりプリミティブだなと思うようなこともずいぶんありまして、そういう意味では、もっとランクアップするといいますか、もう少し精緻な議論ができるはずで、そういう意味でも、未完成の領域だなということを思っているので、そんなことも意識しながら、ぜひこうしたことはテーマに入れていただければいいと思います。それも個々の法律ごとに検討するか、切り出しで議論するか、やり方はあろうかと思うのですが、いずれにしてもコンパクトに少しずつ議論がまとまるような形で成果を出していって、ゴールは最終的に見えるかどうかわかりませんけれども、与えられた時間の中で効率的にやっていただくというのがいいんじゃないか。
 それから、私はこの正規のメンバーではありませんけれども、審議時間については、最近は議論をたくさんした方がいいとかいって3時間の会議とかよくあるのですけれども、大体中だるみしてしまうというか、ダラダラとした議論が続くというようなことで、教授会も同じですけれども、やはり規律よく有益な議論を交わすということが一番大事なので、そういう意味で、緊張感を持ってやるために、私は3時間で成功している例をあまり知りませんので、2時間の中でやるということにどちらかというとシンパシーを感じているということでございます。
 以上でございます。

○片山座長 ありがとうございました。それでは、よろしいでしょうか。これはまた整理をして、その上でまた皆さんと相談しながら進めていきたいと思います。

○国府委員 ちょっとよろしいですか。

○片山座長 どうぞ。

○国府委員 今の櫻井先生の特商法の立法のお話は、話としては非常に興味があるんですよね。ただ、具体的に先生がどういうことをおっしゃっているのかというのがよくわからないので、何か書かれたものがあったり、何かあればまた資料としていただきたいのですが。

○櫻井委員 この間書いたものがあるので、今もし用意できればコピーをお渡ししたいと思います。

○片山座長 では、よろしいでしょうか。去る23日の消費者委員会に私も出て、各委員の皆さんから御意見を伺ったのですが、そのときに、3年という限られた期間の中できちんと次のことを整理しなければいけないという命題があると思うのですけれども、今日、資料2で御説明のあった幾つかの論点の中で、3年という期限にとらわれる部分と、必ずしもとらわれないで、もう少し長くてもいいのではないかというものも混在していると思うのですけれども、この際、尻が決まっているものは論点としてはどれとどれかというのをちょっと整理をしておきたいと思うのですが、いかがでしょうか。

○齋藤審議官 今のお話の直接お答えになるかどうかですけれども、基本的には資料3で抜き出しておりますように、消費者庁及び消費者委員会設置法の附則に書いてある事柄でございますね。消費生活センターの法制上の位置づけ、その適正な配置、人員の確保、相談員の待遇の改善、その他の地方公共団体の消費者政策の実施に対し、国が行う支援のあり方についてと書いてございますので、この範囲で読み得るものということになろうかと思います。

○片山座長 そういうことでなんですね。ですから、幾つか論点があって、これを全部、例えば今年じゅうにということかというと、必ずしもそうではない。だけど、スケジュール的には、できれば今年じゅうにこれとこれは一応の見解をまとめて、親委員会の方に提示できるようにする、こういう1つの整理をしなければいけないんですね。そのやり方は、消費者委員会の委員の皆さんもここに入っていただいていますし、キャッチボールをしながらやるということなので、ここだけで突っ走るというわけにはいかない。キャッチボールしながらということ。
 こういう切り口と、もう1つは、これは論点の1とも関係するのですけれども、自治体に対してどういうふうに接するかという非常に大きな問題があるんですね。圓山さんはさっき受託事務派と言われたように、これは全部、国が縛ってしまえばいいんだというお考えですね。それも1つの考え方なんです。全国一律にやったらいいんだと。体制も含めて、自治体の行政体制も含めて、全部決めてしまうんだという非常に極端な考え方もあるのですけれども、たぶんそれはポピュラーではない。やはり自治体の自主性というか、自治権を尊重しながら、どこまで国が関与できるかということだと思うのですけれども、そこをどういうふうに捉えるかという問題があるんですね。実はそこを整理すれば、多くの問題はかなり整理できる面もあるんです。
 例えば、圓山さんの考えとは対極なんですけれども、自治事務だから、これは住民の意向を反映して自治体でそれぞれ決めればいいんだという考えもあります。それで、力を入れないところがあったら、そこの地域の住民はこの分野についてちゃんとした行政サービスが得られなくても、それは自業自得だということです。自業自得の地方自治という考えに立てば、あまりこちらがやることはないんですよ。財政支援も要らないんです。だって、自治事務だから、必要があれば住民税を上げたらいいじゃないか、市町村だったら固定資産税を上げたらいいじゃないか、自分で確保しなさいということになるんですね。これは極端ですけれども、そうじゃなくて、その中庸でどの程度やるかということにたぶんなると思いますけれども、国から見た自治体の位置づけ、どういうふうに扱うかということの基本を決めれば、あとは自ずから決まってくる分野もあるんです。そういうことで、スケジュールから見た論点の整理と、自治体の位置づけから見た論点の整理ということをある程度やっていけば、めどがつくのかなと私は思っています。そういうようなことで、また整理をしたいと思いますので、この部分はよろしいでしょうか。
ありがとうございました。

≪3.地方消費者行政に関わる制度的枠組み(消費者基本法・消費者安全法、予算措置等)について≫

○片山座長 では、次に、地方消費者行政に関わる制度的枠組みについてという議題に移りたいと思います。本専門調査会の審議を始めるに当たりまして、地方消費者行政の範囲、内容について、消費者基本法、消費者安全法をはじめとする法律でどのように制度的に定められているのか。また、どのような予算措置がなされているのかを確認しておきたいと思います。これらにつきまして、消費者委員会事務局より説明をお願いします。

○齋藤審議官 それでは、資料4でございます。絵になったものを御覧いただきたいと思います。
 地方消費者行政としてどういうものを捉えるかということをこれから考えていく必要があると思うわけですけれども、その際の出発点といたしまして、消費者基本法、消費者安全法等に基づいて、こういうことを地方としてやることになっているということが書いてございます。消費者基本法の方には、国及び地方公共団体の役割ということで、苦情処理でありますとか、紛争解決といったようなことが書いてございますし、それから消費者安全法に関しましては、もちろん事故情報の集約とか、事故情報に基づいた措置でありますとか、隙間事案への対応でありますとか、そういう規定が書いてあるわけですが、それ以外にも、消費生活センターでありますとか、相談の事務でありますとか、そういう地方消費者行政の体制に関わる規定もございます。そういったものを絵の形でまとめたものが資料4でございます。
 この絵の真ん中のところを御覧いただきますと、まず消費生活相談等の事務ということで、消費者安全法の第8条に列記されております、苦情に関わる相談に応じること、苦情の処理のためのあっせんを行うこと、消費者事故等の調査・分析、これは都道府県の事務となっております。それから、情報収集・住民への提供、消費者事故等の発生に関する都道府県・市町村間の情報交換といったようなことが消費生活相談等の事務として、これはやるべきものとして規定されております。
 それから、安全法の第10条というのがございまして、そこには今言ったような相談等の事務を担う消費生活センターの設置についての規定でございますが、都道府県については必置。必ず置かねばならない。市町村については、置くように努力するという努力義務ということになっております。
 更に、その下でありますが、そういった消費生活センターの事務に従事する人材の確保及び資質の向上ということについての規定もございまして、これは努力義務ということではありますけれども、相談員の適切な処遇、研修の実施、専任職員の配置及び養成といったようなことが書いてございます。こういった消費生活センター等におけます相談等の事務といったものがコアとなる事務という位置づけになっておりまして、それに対して、下の方から、国や国民生活センターが情報の提供、その他の必要な援助を行うということ。これもまた安全法の第9条で書いてございます。
 このコアとなる業務と密接に関連するものといたしまして、左の方に黄色い枠で書いてございますけれども、啓発、広報、教育活動といったようなことがございます。
 それから、右の方にまいりまして、これも密接に関連いたしますが、関係法の執行に関する業務というのがございます。ここでは特商法、景表法、JAS法。これ以外にももちろんございますけれども、そういったもの、関係法を執行するという業務もまた密接に関連してまいります。
 左下の方で緑で囲っておりますのは、どのように進めていくかという施策の推進に当たっての規定でございまして、消費生活について専門的な知識及び経験を有する者の能力の活用、施策の推進過程の透明性の確保、政策効果の把握・評価、それから関係者間の緊密な連携といったようなことが安全法の第4条に書いてございます。
 それから、右横の方に紫で書いておりますが、国から支援を受けるということだけではなくて、都道府県から内閣総理大臣に対して能動的に働きかけるという意味で、消費者被害の発生または拡大の防止を図るため必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対して措置の実施を要請できるといったような規定もございます。
 非常に大ざっぱな整理ではございますけれども、大体このようなことが消費者基本法及び消費者安全法に基づいて、都道府県、あるいは市町村として行うことが想定されているというか、ものによっては、やらねばならない事務として規定されておるということでございます。
 それから、予算等に関しましては、この後、消費者庁の方から御説明がございます。
 私の方からは以上です。

○片山座長 ありがとうございました。それでは、お越しいただいていますでしょうか。消費者庁の甘利地方協力室長さんの方から、地方消費者行政に対する国による予算措置について御説明をいただきたいと思います。

○甘利地方協力室長(消費者庁) 消費者庁の地方協力室の甘利でございます。よろしくお願いいたします。本日は、予算措置についてということで説明をということでございますので、消費者庁の方でこれまで取り組んでまいりました予算措置を中心に説明させていただきたいと思います。
 「地方消費者行政活性化に向けた取組について」ということで資料5を御覧いただければと思いますが、地方の消費者行政を活性化するということで、これまでの取組としましては大きく3つございます。1つは、都道府県に基金を造成いたしまして、その基金を活用しながら地方の取組を支援するというもので、2つ目が国による直轄事業。これは国民生活センターによる地方の支援事業ということでございます。それから、3つ目でございますけれども、当然のことながら、地方の自主財源の拡充に取り組むということで、地方交付税措置の拡充という、この3つをこれまでの取組として進めてきております。地方においては、この3つを地方の実情に合わせながら、組み合わせて活用していただき、それで地方の消費者行政の活性化を図っていただくというようなことで考えてございます。
 1つ目の地方消費者行政活性化交付金により、都道府県に基金を造成し、消費生活センターの設置・拡充、相談員のレベルアップ等の地方の取組を支援するというものが、中段にありますグリーンと青の色づけがされてございますものでございます。総額223億円ということで、各都道府県に基金を造成していただきまして、管内の市町村を含め、その基金を活用していただくということでございますが、方法としましては、基金の活用の期間を集中育成強化期間というふうに位置づけておりますけれども、今後3年程度ということで、21年、22年、23年という形で基金を活用していただくということと考えております。活用の仕方としましてメニュー方式を採用ということで、資料の次のページのところに、下段の右側になりますけれども、支援メニューということでマル1からマル12までメニューを書いてございますけれども、消費生活センターの設置・拡充。新しくセンターをつくっていただく、あるいは機能強化をしていただく、そういうようなものに使っていただくもの。それから、相談員の方のレベルアップを図るというようなことで、相談員等のレベルアップ事業、あるいは専門家に相談業務へのサポートをしていただきながら、相談員さんのレベルアップを図っていくような消費生活相談窓口高度化事業、こういうような事業を幾つかメニューを用意いたしまして、地域の実情に応じて、この中で柔軟の選択していただこうというような方法をとってございます。
 それから、最後のマル12のところにあります消費者行政活性化オリジナル事業ということですけれども、地域独自の提案事業についても支援しようということで、地方の方からいろいろ創意工夫を凝らした、こういう事業をやりたいというものも出していただきまして、その取組を支援するというものも考えてございます。基金方式という形式をとってございますので、いわゆる行政の単年度予算の縛りから外れて、3年間の間にかなり事業に柔軟に取り組むということができるのではないかというふうに考えてございます。
 一方、計画的な事業の実施ということで、やり方としましては、地方の公共団体ごとに消費者行政活性化の方針、施策、それから相談員の処遇改善の取組、こういったものを計画として策定していただきまして、それに基づき事業を実施するということを考えております。
 次のページの事業の概要というところにそこら辺のところを書いてございますけれども、国が交付金を用意しまして、都道府県に基金をつくって、都道府県と市町村では、左側の緑のところにありますけれども、市町村は市町村プログラムというものをつくっていただく。それから都道府県は、その市町村プログラムを取りまとめて、また、県独自の消費者行政活性化計画というもので、計画期間3年程度の消費者行政の活性化の方針なり目標みたいなものをその中に示していただく。それから、事業を行うに当たりましては、水色のところでございますが、都道府県・市町村それぞれに事業計画を毎年度つくっていただきまして、それに基づいて事業を行い、基金を取り崩し、活性化を図っていくというような仕組みでございます。
 それから、資料の1ページ目の最後のところですが、独自財源による基金の上積みも可能というということで、基金という受け皿を用意することはできておりますので、そこに都道府県・市町村の方から独自の財源を積み増す。あるいは、国の方からも、地域活性化・経済危機対策臨時交付金等、地方への交付金が2つほどこの基金に積み増すことができるような形で用意されましたので、そちらの方から積み増すことも可能というような仕組みでございます。
 それから、2つ目でございますけれども、国民生活センターによる地方支援事業ですが。

○片山座長 申しわけないですが、時間がないので簡単にお願いします。

○甘利地方協力室長 わかりました。国民生活センターの地方支援事業でございますが、こちらは約90億円ということで、国民生活センターの方から消費生活相談体制の強化ということで専門家を市町村の窓口に派遣して助言指導を行うとか、相談員の養成講座の拡充を行う、こういうようなことをしてございます。
 それから、3つ目の一番下の段でございますけれども、地方交付税措置の拡充ということで、20年度から21年度にかけて、基準財政需要でございますけれども、約90億円から180億円ということで倍増するというような形で自主財源の充実を図りたいということで措置をしているところでございます。
 予算措置については、大体以上のようなことでございます。
 それから、お手元に最近の消費者庁の取組ということで、「地方消費者行政充実・強化のためのプラン」ということで、2月に出したものを白表紙でございますがお配りしています。こちらの方を2枚ほどめくっていただきますと、見開きで「地方消費者行政充実・強化のためのプラン」ということで書いてございますけれども、こちらのプランの方は、地方消費者行政、地方自治として、地方の多様な現場のニーズに応える、現場を支える国の行政としての性格を持つということで、当面、3年間、21年から23年度を中心に、各地域でのモデル的な事例等を挙げながら、地方公共団体に期待される取組、あるいは消費者庁での取組・支援、国民生活センターとの連携・協力、こういったものについて取りまとめて支援をしていきたい、連携を深めてまいりたいといったものでございます。
 簡単でございますが。

○片山座長 ありがとうございました。それでは、いかがでしょうか。今、それぞれ2つのことを御説明いただきましたが、それらに対して御質問なり御意見なりありますか。斎藤委員。

○斎藤委員 斎藤です。今後の資料に関することが1点と、あと質問が1点ですが、1つは、資料4でいろいろな事務が位置づけられていますね。他方で、先ほど議論がありましたように、消費者行政が自治事務であるということから、どういう特色が出てくるかというような議論がありました。ということは、自治事務について現在、国の関与というのがどういうルールになっているかということは共通認識として持っておいた方がいいと思うんです。もちろん、自治体の現場の方も含め、専門家の方ばかりですから、それは押さえられてはいると思うのですが、消費者行政との関係で、現在、自治事務についての国の地方自治法をはじめとする一般ルールがどうなっているか。もちろん、それに対して特別ルールの必要性があればつくることもあって、学校・教育行政の分野では特にそういう特別な関与をつくった。それが本当に実効的かどうか、よかったかどうかというのは検証する必要があるとは思うのですけれども。それは、国の法律レベルだけではなくて、このたび地方分権改革推進計画が閣議決定されまして、自治事務について、なおいろいろ国の方が縛っている。これはこういう方向で見直しすべきだということが閣議決定をされておりますから、その閣議決定の内容についても、消費者行政と特に関わりのある部分については資料で簡単なものでも出していただいた方が、ここで議論する際に、こういう方向で考えると、閣議決定のこの部分との関係が問題になるとか、ここは改めなければならなくなるとか、あるいは、もっと大きな議論になれば、一般ルールのこの部分との関係が問題になるとか。それは、現行法制として押さえておくことが大事だと思いますので、それを1点申し上げます。
 それからもう1点、これは質問ですが、資料5、2枚目の真ん中の消費者行政活性化基金というものを各自治体で事業計画をつくって、それに基づいて使うと。更に、そこには基本的な計画として活性化計画がある。これは、いわゆる法律に基づいた計画ということではなくて、国の方の補助、基金について、事実上、作成される計画ということだと思うんです。そうすると、その計画について、どのようなことを国として要求あるいは要望しているのか。つまり、都道府県なり市町村でこういう形で計画を出してくださいというのを、国の文書としてどういうふうに要請されているのかということと、具体的に都道府県なり、市町村から出てきた計画にどういうものがあるのかというのを、もちろん、これは消費者委員会本委員の方々はよく御存じだと思いますが、私は不勉強でまだその例を知りませんので、どういう計画が出てきているのかというのを、もちろん今日でなくて結構ですからお教えいただきたい。
 それから、その計画について、矢印で国に提出ということになっておりますけれども、その段階で国の側からいろいろ、ここはこうしてくださいとか、こうしてほしいということのやりとりがどの程度あるのか。それとも、事業計画として出してくれば、それはそのまま認めているのかということも差し支えのない範囲で今後御教示いただければと思います。それは、問題意識としては、国の法律による場合も含めて、計画の義務づけが結構あって、こういうことを出しなさい、こういうことを出しなさいと、非常に事細かくつくらないと施策ができないということで、これは特に消費者行政を念頭に置いて発言しているわけではありませんが、いろいろな分野で自治体が自主的にやる気をもって取り組もうとするときに、かえって事細かな計画が阻害してしまうという面がありますので、その現状についてお教えいただければと思います。

○片山座長 今何か答えられることがありますか。

○甘利地方協力室長 国の方からこの基金について示しているのは、関連の要綱と要領だけということですので、それに基づいて計画をつくっていただいているということでございます。計画について、どのようなものが出てきているのかということでございますが、先ほどの要綱・要領も全てそうですけれども、オープンにするということで消費者庁のホームページに各都道府県から出てきていて、今の計画を全て決裁しているところでございます。
 それから、出てきた計画をそのまま認めているのかということでしたけれども、当然、要綱・要領上、この基金の趣旨ということで、使えるものというのがある程度決まってございますので、使えないものを言った方がいいのかもわかりませんが、今まで都道府県なり市町村でやっていた事業の肩代わり的なこと、そういったものには使えない。やはり拡充するという部分にこの基金は使っていただくという趣旨ですので、そういったものについては使えないということになっておりますから、そういうようなプランがもし都道府県なり市町村から出てきた場合には、こちらからお話しするようなことはありますけれども、まず一般的にその趣旨は地方の方に理解していただいていると思いますので、基本的には都道府県の方から提出されてきた事業計画、市町村の方から出てきた事業計画に基づいて、独自にそれぞれ取り組んでいただいているというのが実情でございます。

○片山座長 いかがでしょうか。私からちょっと伺いますけれども、この基金というのは全国で223億円、47都道府県で223億円ということですね。これは3年間で取り崩せばいいということですね。利息運用じゃなくて。

○甘利地方協力室長 はい。

○片山座長 そうすると、例えば私の目分量で言うと、小さい県だと基金の配分額というのは大体1億円とか2億円とか、それぐらいになるわけでしょうか。

○甘利地方協力室長 そうですね。

○片山座長 それを3年間というと、1年間で3,000万から5,000万ぐらい。それを市町村で割ると非常に小さい。実は、これは私が言うのも変ですけど、現場から見ると、これをどういうふうに使うかといいますと、小さい県ですと、1年間で大体3,000万から5,000万ぐらいで、3年限りですから、4年以降どうなるかわからないから、後に尾を引くようなものには使いたくないということになるんですね。後に尾を引くものというのは何ですかというと、人員を増やすとか、単価を拡充するとか、そういうことをやると4年目からもずっと続きますから、3年たったら単価を削ります、人のクビを切りますというふうになかなかできないから、結局、そういうことにはつながらないものに使うから、さっき言われていて備品を買っておきましょうとか、研修しましょうとかになって、実は、いいんですけど、本当に期待をしているところに投入されないという面があるんです。
 それから、新規拡充ということをさっき言われて、たぶんそういうことだろうと思うのですけれども、そこは現場では何とでもなるんですよ。従来のものを名前だけ変えて新規ということにするとかね。だから、私の感覚では、これであまりめざましく地方の消費者行政体制が進むということはなかなか期待できないんじゃないかという気がしますけれども。

○甘利地方協力室長 基金の配分額につきましてもホームページで明らかにしておりますけれども、御指摘のとおり、少ないところですと、1億5,000万とか、そういうような金額でございます。多いところですと14億とか、そのような金額が配分されているところがございます。これにつきましては、それぞれ地方の方で計画に基づいた申請額というのを出していただきまして、それに基づいて、それぞれ都道府県ごとに配分を決めているというようなことでございます。

○馬場委員 やはりちょっと使いづらいというのを私も地方の消費者行政の方とお話ししていて伺っているのですけれども、ある市などは、消費者フェアなどをずっと継続してやっているのですけれども、結局、市の予算が縮小されたので、今年度は縮小せざるを得ないということです。それで、私はこの基金を使ったらどうですかと話をしたんですけれども、今やっているものだからそれはできない。新しくしないとできないんですよということで、今までやっていた実績のあるものを縮小せざるを得ないというのは、ちょっと本末転倒な使い方ではないかというふうな気はしているのです。

○片山座長 ほかにありますか。

○沼尾委員 御説明ありがとうございました。今後の議論の中でできれば用意していただきたい資料ということですけれども、今、御説明いただいた資料5を見ますと、実際これだけの財源を確保した、あるいは交付税措置をしたということは書かれているのですけれども、実際にそれが、例えば個々の都道府県・市町村に幾らぐらい配分をされて、それがどのような形で使われたのかとか、あとは、実際に人員の確保とか仕組みづくりというところが本来大事だけれども、そこにいくには3年間ではなかなか厳しいというようなお話もあって、そのとおりだと思うのですけれども、実際にこれがどのようなところに支出をされているのかとか、そういったことに関して、もし可能であれば、資料を出していただけるとありがたいというふうに思っています。そうすると、わりと検討の素材になるのかなということです。
 あと、ちょっと教えていただきたかったのは、先ほど圓山委員の方から消費者行政には消費者支援と事業者規制の話があるというお話だったのですけれども、これで見ると、どちらかというと、消費者の支援に関しての体制をつくるというところに特化した基金だというふうに見えるのですが、実際に事業者規制に関するものが入っていないというのは、これは必ずしも、例えば都道府県とか市町村の役割というよりは、事業者というのは非常に幅広く活動しているものなので、もう少し国の役割だというような整理になっているのか。そこのところの財政状況と支援みたいなものは考えられなかったのかというところをちょっと教えていただければというふうに思います。
 それから、あともう1点ですけれども、これまでそれぞれの都道府県・市町村でこうした消費者行政についてどのぐらいの職員の配置をされているのかとか、今、どこも自治体は行革で人員削減が進んでいる中で、職員数のカットですとか、あるいは兼務というようなことをやっているところも多いと思うのですけれども、そのあたりの状況、行政体制がどうなっているのかということに関する資料のようなものも出していただければと思います。
 この資料だけ見ると、交付税措置が拡充されたと書いてあるのですけれども、基準財政需要に積まれたからといって、必ずしも現ナマが実額でいくわけではありませんので、交付税の総額自体が圧縮されている中で、これがどのぐらい効いているのかというところがなかなか心配な面もあって、そういったことも含めて、実際の予算・決算の中で、消費者行政というようなところにどのぐらい歳出が割り当てられていて、その財源としてどういったものが手当てされているのかというところについても、これはデータで取れるのかなと思いますので、可能であればお示しいただきたいということです。

○片山座長 今、何かコメントがありますか。

○甘利地方協力室長 大枠のところで今まで47都道府県造成された223億円ですけれども、21年度末までに取り崩された総額というのが42億円ということでございます。その使われ方でございますけれども、約31%がセンター窓口の設置強化、5%が相談員の人件費の増加、それから36%が教育・啓発、そういった事業に使われているということでございます。

○国府委員  223億ですが、これも国会の審議のときに圓山先生が参考人として報告されたかと思うのですが、過去10年の地方の消費者行政予算をみると、かつて10年前は 200億程度、各自治体が組んでいたのが、今では 100億程度になっている。だから、それだけ消費者行政予算が少なくなっていった。活性化基金はそれを一時的に穴埋めしようという程度のものでしかないと私は思っているんです。今、馬場さんから現場での話があったけれども、私たちも各消費生活センターなどでお話を聞くと、これは全然使えないと。消費者行政というのは、何か物を作ったり、事業をするというのではなくて、相談員なり消費者行政の職員がいろいろ動くことによって行政が行われている。だから、そういった職員の人件費に使えないようなお金では現場では使いようのないお金だということになっているんですね。これは、まだ実施途中ではあるけれども、今の現場の声を聞いていると、この3年間やったことを5年なり7年なりに延長したからといって、地方消費者行政が大きく変わるものにはならない。ですから、この活性化基金というのは今の法制度の枠組みの中でとりあえずやれることとしてやっているにすぎないというふうに我々としてはこれを考えて、もっと根本的に4年目以降はどうするのかということを考えなければならない。
 そういう意味で、先ほど座長が、財政の問題、論点で第1個目に書かれていたけれども、この問題を整理することによっていろいろな問題の解決の道筋が見えるというような趣旨のことをおっしゃったけれども、ぜひ財政のありようの問題を早い時期にきちんと議論すること。そのためにも、今の財政の問題はどこに問題があるのかをきちんと把握することが大事じゃないかというふうに思いました。

○片山座長 ありがとうございました。山口さん、どうぞ。

○山口委員 実は、消費者庁の方にも推進本部ができておりまして、そこでワーキングググープが2つつくられております。御存じだと思いますが、財政措置について、3年間の財政措置の問題点、現状とその克服をどうするのかというところはワーキンググループで検討しております。それから、相談員の処遇の問題についてもどうするのか、現状と改善のポイントについてワーキンググループで今検討されているわけですね。そこら辺は、今、オブザーバーで池本参与が来ていますけれども、甘利さんなどが中心でやっておられると思うので、次回にでも資料を配っていただいて、消費者庁における検討成果を前提にした上で御議論いただければということです。

○片山座長 矢野さん。

○矢野委員 先ほど沼尾委員の方からいろいろなデータの提供の御要望があったのですが、全国消団連でこの間9年間、都道府県の消費者行政調査をしましたが、特に最後の今年度というか、2009年度は活性化基金の活用についても取り立てて質問を設けたり、一応、御要望のあった部分にかなり応えられる調査内容を持っておりますので、事務局の方で御用意される部分と合わせて、全国消団連の調査結果もぜひ次回のところで提供させていただければと思っております。

○片山座長 ありがとうございます。いかがですか。圓山さん。

○圓山委員 審議の内容にも関わることですけれども、例えば活性化基金、それから地方充実・強化プランなどの動きを見ておりましても、なかなか効き目がない。活性化基金については、既に余ってしまって返納することがほぼ確定しているところがかなり出てきていると思いますし、そういう自治体に向かって、消費者庁の長官が行脚して、基金を使い残したら、4年後以降の制度設計ができなくなるから使え使えと言って回っているというような変な状況が起きていて困っているのです。それがなぜ使えないのかということは、まずは基金の交付要綱で、人件費に事実上使えなくなっているというのが1つと、もう1つは、増大する業務の費用に充てるということになっている。それはどこが問題かというと、既にこの15年、20年の間に国の仕事を地方自治体のお金でやれと言われてやらされている業務がたくさんあるわけですね。PIO-NETの入力の相談員の人件費、PIO-NET入力をチェックする人を雇う人件費、多重債務相談をやれといって多重債務相談を丁寧にやるために人を増やす人件費、いろいろなものが経済産業省から言われて、総務省から言われ、金融庁から言われ、内閣府消費者庁から言われ、やらされてきた現状が今この現状であって、その現状についてはお金は出せないと。それは既存の業務だから基金は使えない。更に何かやれば出すということなので、ですから、基金といっても、既にマイナス、別の言葉でいう超過負担がめちゃくちゃ出ているのを埋めるのに使えなくて、増大する業務みたいなことなのでほとんど使えない。更に、人件費に使えないという、すごく制約があるので余ってしまうと思われます。ですから、そこを深く自治体の政策決定過程に立ち入って研究する必要があると思います。
 先ほどあった地方交付税を回すということも絵空事ですけれども、それはなぜかというと、自治体の財政についての予算編成過程でどういう力学が働いて金が回ってこないのか。公務員定数を相対的に削減するという総務省の公務員の定数削減計画がある中で、ほかの分野が聖域になって守られている中で、消費者行政だけ狙い撃ちされて切り込まれるという力学。そういう地方自治体の人事、財政、組織、働く力学について、よくよく見ないといけない。その方程式がわからないまま、何かお金を投入するとか、制度をどうかするとかしても、結局回っていかないということが基金についてもだんだん明らかになってきていると思われるわけです。そうなると、この専門調査会は、私に言わせると基金は失敗なので後始末をどうするかは別にお考えいただくとして、4年後以降の国から出るお金がきちんと回る仕組みは、どこをどう変えれば回るのか。仕事の重要さ、業務量に応じて人が増えるためには、どこをどうさわればいいのかという、パラダイム転換という言葉が出ましたけれども、その辺の地方自治制度なり、地方財政なり何なりの、どこで何が決まっているのかということを見た上で審議していく必要があると思いました。

○片山座長 そのとおりだと思いますね。

○齋藤審議官 先ほど山口委員からお話がありましたように、基金の使い勝手でありますとか、いろいろ御要望があることについて、どういうふうに対応していくかということについて、消費者庁の地方消費者行政推進本部というところでワーキンググループをつくって検討しておりまして、実は昨日、本部の第2回会合があって、ある程度の報告がなされております。更に、その後また検討を加えて、たしか6月ぐらいに基金については何らかの報告をまとめるというふうに聞いておりますので、その辺で出たところでまたこの場で報告いただければよろしいんじゃないかと思います。
 それから、この場の議論と消費者庁で今取り組んでいることとの関係でございますけれども、最初の方の説明で申しましたように、当面の3年間、21年度、22年度、23年度の3年間について、これは集中育成強化期間ということで位置づけて、その中で基金はじめ、いろいろな施策を集中的に投入して、何とか支援すると。それ以降については、まだ何も考えられていないという状態の中で、当面の3年間はまず消費者庁の方で、施策としてどういうことを進めていくかを考える。4年目以降については、消費者委員会での御議論をベースに考えていくというような役割分担をしておりますので、その辺も踏まえながら御議論いただければと思います。

○片山座長 さっき圓山さんから御指摘があった点は、実はまさしく論点だと思います。論点1などに関係するのですけれども、実情は、さっき圓山さんもおっしゃいましたけれども、例えば政府の消費者委員会とか、消費者庁のサイドからは、ささやかではあるけれども、こういう基金をつくったり、いろいろなことがあって後押しをしたりして、自治体の体制を強化してほしいと働きかけているわけですね。その消費者行政というのは、物をつくったり、箱ものをつくったりすることではありませんから、結局、自治体が充実・強化しようとしたらどうなるかというと、人員体制をきちんとする、質の高い人員をきちんと配置するということが一番基本になるわけですね。そういうことを期待してきたのだろうと思いますけれども、片や、さっきもちょっと圓山さんから話がありましたけれども、政府の中の総務省は自治体に対しては人減らしを勧めているというか、かなり強引な人減らしをやらせているんです。集中改革プランというものをつくらせて、職員の数を減らせ、人件費を減らせということを一生懸命やっているわけです。それをまた自治体は忠実に守ってきているんです。そういう矛盾したことがあるんです。
 地方行政というか、総務省などがやっている地方自治行政というのは、さっき櫻井さんが、この委員会はまだ発展途上だとおっしゃったんですけれども、地方財政などはまさにまだ発展途上でありまして、いまだに物重視なんですね。コンクリート重視なんです。今の民主党政権は、「コンクリートから人へ」というスローガンになっていますけれども、その下でもう半年以上経ちましたけれども、相変わらず地方財政はコンクリート志向なんです。それで、物をつくる、例えば公共事業とか箱ものをつくるのは、やはり未だに善なんです。これらは投資的経費と言うんです。一方人件費は消費的経費と言うんです。響きからして違うでしょう。どちらがいいか悪いかという評価は。実は、地方財政というのはそういう目で捉えられているんです。投資的経費は善だからいいんですけど、消費的経費は抑えろ抑えろということです。
 そういう国が作った自治体行政の枠組みがある中で、これは消費者行政だけじゃなくて、例えば図書館とか教育などもそうですが、それらは全部、基本的には人件費ですから。そういう人件費中心の行政分野というのが非常に大きな打撃を受けているんです。これを跳ね返さないと、ソフト中心の行政分野というのは伸びない。そういう問題意識も持ちながら、この専門調査会ではやっていければと思うんです。ですから、この委員会は自治体のあり方を論ずるということですが、実は国のあり方も論じなければいけない。特に総務省などが主導する自治体行政のあり方についても、やはり発展途上型から成熟社会型の地方財政に変わるべきですよというようなことも含めて、こういう議論の中から論点として提示できればと私は思っているのですけれども。

○野口委員 今、座長から人とか組織という話が出てきて、私、今日この会議に伺うときに、改めて消費者基本法というものを読んで、施策の向かうべき方向というのはやはり消費者の自立なんだということを肝に銘じてきたんです。どうしても行政の組織の構築という話になると、今、行政の厳しい財政状況の中で、人は雇えないしという話になってしまうんですけど、消費者がもっと危機感をもって自立していく仕組みをつくるにはどうしたらと考えなければならないわけで、私は、組織の話をするときに、消費者行政の分野というのは、消費者団体をはじめとして、非常に草の根のというか、住民の運動の歴史とか、ネットワークというのが活かせる分野だと思っておりますので、行政組織に関わらない、草の根の組織も含めた消費者団体なども含めた人づくりとか、組織づくりとか、ネットワークの話というのはぜひ一度勉強させていただきたいし、入れていただきたいと思っています。
 その上で、今回の議論をする1つのたぶんタスクになるのは、仕組みをつくっても危機感がないと動かないんですね。特に危機管理などの分野というのは、危ない、やらなければという気持ちが制度を動かすという部分も非常に強いと私は思っておりますので、消費者なり自治体の危機意識の高揚といいますか、そういうものをきちんと議論をして、櫻井先生が先ほどおっしゃったように、制度はうまくできていない部分もあるかもしれませんけれども、それをパワーで、熱意で動かしていけるような、そんな議論ができるといいなと思っております。ありがとうございました。

○片山座長 ありがとうございました。ほかに。

○矢野委員 先ほど座長の方から、自治事務だから最終的には自業自得という極端なお話もできるということでしたけれども、私は、消費者の危機感と同時に、消費者行政が一般財政の中でほんの片隅に置かれているのではなくて、もっと消費者にとってそれがプラスになったり、住民にとってプラスになるから予算をもっとつくってほしいというような最終メッセージがこの専門調査会では一緒に出せればいいなというふうに思っています。

○菅委員 これは、地方消費者行政を活性化するためにという基金だと思うのですが、私が感じているのは、格差がますます広がっているかなという感じがいたします。相談員の給与に関しても、財政危機ということで未だ下がったところもあるんですね。それから、全く上がらないところもあります。そういうことから考えて、それから、職員が非常に過重な仕事になっている。最初だから仕方がないと言われればそれまでですけれども、基金の活用の仕方、要綱・要領なりを深く読み込んでいなかったために、一生懸命、12時までかかって相談員の単価を幾らに上げるかということで、やれやれできた、月に何十時間という残業をしてやったあげく、それは、その相談員は前からいたから使えませんでしたという空振りで終わって、年度末になると、今度は相談員だけでなくて、職員の時間外手当もみんなそこに食われてしまった。そうなると、手っ取り早いところ、何か物を買うといいんじゃないかということで買いました。軽ですけれども、車を買いましたが、今度はその車に何を注入して動かすのか。ガソリンがない。カラーコピー機を買いました。プロジェクターもなかったので、カラーコピー機を買ったら、印刷するトナーとか紙とか、そういうものがない。もともと一般需用費とか、そういうものが潤沢にある行政であればいいのですけれども、そこに物を買ったけれども、風呂敷を掛けておくしかないかなという現状が4年後から始まるのかなという感じもしておりますので、やはり車を買ったらガソリンがつきものじゃないかということは、率直に相談員として感じているのですが、相談員は現場で2人増やすと、職員は全然増えない。どうしてもセンターというのは、職員と相談員といて2つの両輪でもって運営されていくのが私が今まで見てきた消費者行政だったんですけれども、そういうことで、何かぎくしゃくしているような、そして、物が1つ入ると相談員は自分の給料が上がらないものですから、だんだんいるところが狭くなって押しやられているという現状から、もう少し使いやすい、基金に。そういうことも考えていただかなければ進んでいかないんじゃないか。
 私たちは、補助金2分の1の時代から相談員として雇われていましたけれども、今、前から必要な相談員だったから1円も上がらないというのが、考え方的に、相談員の処遇改善というのは、そこまで私たちが読み込んでいなかったので、去年かなり運動しましたけれども、そこのところでやはりもう少し地方のためになる、特に財政基盤の弱いところにきちんと拡充していくようなものでなければ、今後もちょっと難しいかなと。余ってしまう原因になるかなという感じはしております。

○片山座長 いろいろな論点が出ましたので、これらを整理して、順次、必要度の高いものから議論を進めていきたいと思います。そういうことでよろしいですか。どうしてもという方はおられますか。
それでは、皆さん、ありがとうございました。いろいろ貴重な御意見をいただきましたが、大いにこれを活かしていきたいと思います。
あと、次回のことについて。

○原事務局長 大変活発な議論、ありがとうございました。
 次回の専門調査会は5月20日、木曜日の14時から行う予定にしております。先ほどのスケジュールでは、地方の捉える地方消費者行政についてということをテーマにしておりますけれども、今日の審議も踏まえまして、また座長とも相談の上、検討したいと思います。それから、多くの資料を用意していだきたいというのがございましたので、順次御確認の上、事務局としても準備をしたいと思います。以上です。どうもありがとうございました。

○片山座長 それでは、今日は皆さん、ありがとうございました。これで今日の会議を終わりたいと思います。また次回よろしくお願いいたします。

≪ 閉 会 ≫

(以上)