第4回 消費者安全専門調査会 議事録

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日時

2010年10月13日(水)10:00~12:15

場所

消費者委員会大会議室1

出席者

【委員】
宇賀座長、中川座長代理、片山委員、齋藤委員、佐竹委員、杉山委員、田澤委員、鶴岡委員、中尾委員、
中嶋委員、中村(晶)委員、中村(均)委員、西村委員、橋本委員、松岡委員、横矢委員
【消費者委員会委員】
中村委員長代理、佐野委員
【説明者】
消費者庁 福嶋長官、野村消費者安全課長
【事務局】
消費者委員会 齋藤審議官、原事務局長

議事次第

1.開会
2.自動車リコール制度に関する調査報告
3.前回までの議論の整理
4.事故情報の分析について(現状と課題)
5.その他
6.閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

議事次第 (PDF形式:12KB)
【資料1】 自動車リコール制度に関する調査結果概要 (PDF形式:382KB)
【資料2-1】 事故情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:25KB)
【資料2-2】 事故情報の分析に関する前回までの議論の整理 (PDF形式:14KB)
【資料3-1】 生命・身体被害に関する事故情報の収集・分析・公表・命令等措置について(消費者安全法及び消費生活用製品安全法上の制度) (PDF形式:208KB)
【資料3-2】 事故情報分析タスクフォースの発足について (PDF形式:472KB)
【資料3-3】 食品SOS対応プロジェクト報告―こんにゃく入りゼリーを含む食品等による窒息事故リスクの低減に向けて― (PDF形式:363KB)
【資料3-4】 消費者庁の体制強化について (PDF形式:281KB)
【参考資料】 事故情報収集・分析・公表(論点)に関連する議論について (PDF形式:18KB)


≪1.開会≫

○原事務局長 おはようございます。朝早くからありがとうございます。ただいまから「消費者委員会消費者安全専門調査会」の第4回の会合を開催いたします。
 本日は、専門委員の赤松委員、阿南委員、大前委員、吉岡委員が御欠席となっておりますが、過半数を越えておりますので、会は成立しております。
 それから、本日、途中で、このたび消費者庁の長官に御就任されました福嶋長官にお越しいただく予定で、そのときに御挨拶をいただきたいと思っております。
 それから、議事に入ります前に、お2人、退任された委員がございまして、消費者委員会の専門委員に今回またお2方の御就任をお願いいたしました。田澤とみ恵委員と中村均委員にお願いをしておりますので、簡単に自己紹介をお願いしたいと思います。
 田澤委員から、どうぞよろしくお願いいたします。

○田澤委員 おはようございます。社団法人全国消費生活相談員協会で常任理事をしております田澤でございます。私どもの団体は、週末電話相談を、今年で13年目になりますけれども、しております。その相談室長も兼ねております。平日は国民生活センターで相談員をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

○中村(均)委員 TOTOの中村でございます。会社ではお客様相談センター、それから、品質、そういったものを担当しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○原事務局長 それでは、座長、どうぞよろしくお願いいたします。

○宇賀座長 本日は、消費者委員会の事務局から、原事務局長のほか、齋藤審議官、それから、消費者庁からも野村消費者安全課長に御出席いただくことになっております。
 では、議事に入る前に、事務局から配付資料の確認をお願いいたします。

○原事務局長 配付資料ですけれども、議事次第の裏の面に一覧を掲載しております。
 この後すぐ説明させていただきますけれども、消費者委員会で自動車リコール制度に関する調査結果をまとめ、このたび建議をしたところです。その調査結果の概要についてを資料1でお付けしております。
 資料2-1は、これまでの専門調査会の議論で、事故情報の収集・一元化に関する議論を重ねておりますけれども、前回までの議論の整理、それから、今日、議題として取り上げます分析に関する前回まで出ていた議論の整理ということで、資料2は作成をしております。
 それから、資料3は、1~4まで枝番がついておりますけれども、これは消費者庁で御準備いただいた資料になります。
 参考資料として、今回、事故情報収集・分析・公表の論点に関するこれまでの国民生活審議会などでの議論を参考のためということで付けさせていただいております。
 資料1ですけれども、先ほども申し上げましたように、自動車の事故・不具合情報の収集・分析・公表について、かなり大がかりな調査を消費者委員会で行い、8月末に建議を行ったところです。この専門調査会における調査審議は、今回のこの専門調査会での検討でも参考になると思われ、お付けしておりますので、本日はこれも、消費者委員会側からではありますけれども、御報告をさせていただきたいと思っております。
 それでは、座長、議事進行、よろしくお願いいたします。

○宇賀座長 それでは、議事に入ります。本日はまず、消費者委員会における消費者安全専門調査会の担当委員であります中村委員より、自動車リコール制度に関する調査報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

≪2.自動車リコール制度に関する調査報告≫

○中村委員 おはようございます。中村です。
 資料ナンバーはついていないのですが、「自動車リコール制度に関する建議」という一番分厚い冊子(消費者委員会ホームページの公表資料に掲載されている「自動車リコール制度に関する実態調査報告書」(平成22年8月27日))がございます。最初の方に建議が書かれていて、これはかなり報道されておりますけれども、青い紙を1枚挟んで実態調査報告が載っております。資料1の「自動車リコール制度に関する調査結果概要」について、実は、これが消費者委員会としては、この半年ぐらい、かなりエネルギーを注いだ調査の概要です。
 概要という資料1の方をごらんいただいて、1枚めくっていただくと、このたび消費者委員会が何をやったかという概略が書いてあります。「調査の概要」と書いてございます2ページ目です。
 昨年のちょうど今ごろ、アメリカでトヨタ車のリコール問題が大変問題になって、同じ車が日本で走っているのに、日本のリコールがちっとも進んでいないということで、リコール制度にかなり国民の注目が集まりました。そういうこともありまして、私ども消費者委員会として、従来、国交省が所管している業務ではありますが、消費者目線から見たとき、日本のリコール制度はどうなんだという視点から調査をしようということを考えまして、今年の5月に調査をスタートしているわけです。
 消費者庁及び消費者委員会設置法の8条に、消費者委員会がその業務を行うにつき必要があるときは関係大臣等に資料要求ができる、という条文がございまして、実は、消費者委員会として設置法8条の報告要求・資料要求を最初に発動したのがこのリコール関係でありまして、5月に発動しました。
 しかし、実際にはなかなか資料が関係省庁から思うように出てきませんで、ようやく目的としたものが全部そろったのが8月の初めでありまして、それで8月27日に報告書をまとめたという離れ業をやっておるわけです。
 その間に、消費者庁、国交省に資料要求したと同時に、自動車メーカー、輸入業者、全15社に対してヒアリングとアンケートをやっておりますし、ユーザーアンケートということで、ネットを通じて調査もいたしまして、そういうことを基にこの報告書をまとめました。概要を全部説明すると大変時間がかかるのですが、主に事故情報の収集・分析・公表、こういう点で、この専門調査会と関連するようなところに力点を置きながら、簡単に説明したいと思います。
 まず、今回の報告書の3つの柱がございまして、1つは、事故情報とか不具合情報の収集及び公表の問題。2つ目が、事故情報、不具合情報やリコールに対する分析の問題、3つ目が、リコール届出等の実施の観点、この3つの柱で調査をして報告をした、その中で出てきた問題点を建議という形でまとめたという仕組みになっております。
 最初の事故情報の収集・公表の関係ですが、不具合情報が適切に収集されているかどうかという視点で見たときに、後々調査しようと思うときの要件が不十分な情報がいっぱい自動車不具合情報ホットラインという国交省のサイトにのっておりまして、3ページの下の方にあるように、赤で書いた「不明」欄が非常に多いのです。こういうことになると、後の追跡調査が非常にしにくくなるわけです。
 資料1の概要の4ページ目ですが、自動車不具合情報のホットラインはユーザーから受けた情報をそのまま国交省が公表していると書かれておるのですが、実態は、メーカー等への事実確認を行っていることがわかりまして、その事実確認の中で、またメーカーからいろんな情報が収集されていることがわかりました。ところが、その情報が適切に反映されていなかったり、公表されていないということもまたわかったわけであります。そのメーカー等への事実確認が適切な時期にできていないケースも非常に多くて、報告を受けてからメーカーに確認するまでに大変長い年月をかけているケースがあって、そのために資料が散逸して調査が不可能であったという回答しか得られないということがありました。
 5ページですが、公表されている情報が非常に不十分だという視点で1つまとめまして、国交省に入ってきている情報の中には、例えば、5ページの中段の赤字の部分、「30~40km/hで走行中、突然エンジンルームから異音がし」というようなことも書いてあるのですが、実際にホームページ上公表されているのは「コンロッドが破断し、クランクシャフトがロック状態になったため、走行中にエンジンが停止した」だけしかなくて、どういう状況、どういう環境でその不具合が発生したかということが全く載ってこない、そういう大変不十分な情報の出し方をしている。
 それから、メーカー等からの事実確認が公表されていないのですが、実は、そこにはまた詳しい情報がいっぱい入ってくる。5ページの下の方にありますが、「燃料タンクにピンホールができていたためにガソリンが漏れた」しか公表されていないのですが、メーカーからの調査では「劣化ガソリン又は粗悪ガソリンの混入により」そういう穴があいたと、ちゃんと原因まで書いてある、それが公表されていないこともわかりました。
 次に、6ページ目ですが、メーカーから確認した情報の中に、その不具合については何月何日に国交省にリコール届をしましたとか、そういうことが書かれているものがあるの
ですが、ホームページ上、国民に向けて公表されているものの中には、そのことすら書いていないというケースがあります。
 それから、事故と火災情報については、今、全部収集した後、公表する仕組みができておりますが、公表までの時期に非常にばらつきがあって、時間がかかっているものがある。やはりこういうことは早く公表してもらわなければいけない、そういうことです。
 それから、7ページ目です。メーカーごとに報告される内容に非常にばらつきがあることもわかりました。特に輸入関係の業者の報告が非常に簡単で、内容がつかみにくいものが多かったわけです。先ほど言いましたように、メーカーから集められている事実確認の不具合情報は公表されておりません。そういうことがわかりました。
 8ページ目ですが、ホットラインの認知度も調査しましたけれども、不具合情報ホットラインというものは国民にあまり知られていない。これはもともと三菱のリコール隠しの問題のときに、ユーザーから集めてチェックするのがリコール隠しを防げるということで採用された方法だったのですが、ではユーザーから思うように集まっているかというと、必ずしもそうでないということです。なお、国交省は事業者から四半期ごとに全ての不具合情報を報告させていますが、これは、ホットラインでのユーザーからの不具合情報件数をはるかに上回る情報が収集されています。しかしそれを公表していません。その原因が、この制度があることを認知されていないところに問題があることがわかったわけです。
 9ページ目は、今回、情報収集対象にした役所のもう一つの消費者庁の情報の収集・公表の面でチェックをしたわけです。1つ問題なのは、今、消費者庁にある事故情報データバンクというのは、10の機関が参画して、そこから得られた情報を共有している、そういうスタイルになっておりますが、肝心な国交省の不具合情報ホットライン、あるいはリコール対策室の情報が消費者庁に一元化されていないことがわかりました。それから、消費者庁の事故情報データバンクには、実は「一般消費者向け」と「行政向け」という2つのサイトがありまして、我々が外から見られるのは「一般消費者向け」だけです。しかし、「行政向け」の中に随分豊富な情報があり、しかも詳しい情報が入っていることがわかりました。しかし、それは公表されていないということを9ページで指摘しております。
 10ページ目は、2つ目の柱として、リコールに対する分析です。再リコールというものが幾つもなされていることが今回わかりました。分厚い冊子(消費者委員会HP掲載「自動車リコール制度に関する実態調査報告書」)の別紙5に表が載っております。これの中で黄緑色で塗ってあるのが、同じ車の同じ部位、同じリコール形態について、2度、3度とリコールが重ねてなされているもので、これの件数が意外に多い。ということは、最初のリコールが必ずしも正鵠を得ていなかった、成功していないということにもなるのだろうと思うのですが、そういうことも今回の調査でわかりました。
 それから、リコールを届け出るのが迅速に行われているかというと、そうではなくて、11ページに書いていますが、社内でリコール実施を決定してから国交省に届けるまでに2か月とか、あるいは4か月とか、そういう時間がかかってようやく届けられているということも今回の我々の調査でわかりました。
 12ページですが、リコールを実施するのはできるだけ早くやってもらいたいわけですけれども、今、届出から9か月ぐらいまでの間には8割を超えて、おおむね修繕とか回収がなされておりますけれども、かなり長期にわたって放置されているものとか、あるいは回収率がメーカー、車によって非常に低いものも散見され、その間にまた事故が起こっているというケースもたくさんあることが今回の調査でわかりました。
 それから、13ページですが、なかなかリコールの実施がうまくいかない要因として、ユーザーが転居したり、車を売買したときに、変更登録とか移転登録を実施しないからユーザーにたどり着けないのだというメーカーの御意見が随分あったのですけれども、結局、そこら辺の問題点というのも、自動車の所有者が住所が変わる場合にちゃんと登録を励行させるというシステムが十分できていないところに問題があるのだろうという気はします。それが13ページに概要で書いています。
 それから、リコール届出と一口に言っても、今、市場措置としては、「リコール」は法律上あるのですが、「改善対策」と「サービスキャンペーン」というのがあります。これは国交省からの通達で行われている制度でありまして、この3つの市場措置があるわけですが、この違いについてユーザーに理解が浸透していないということが今回の調査でわかりました。ちなみに、アメリカ等はこういう3つの区分けはしておりません。
 そういうことが調査の結果わかりまして、事故情報の収集・一元化の観点で言いますと、行政機関の中には今まで我々の目に触れることのなかったたくさんの情報があるということがまず1つわかりました。その情報が公開されていないこともわかりました。そういう意味では、行政が保有する情報はもっともっと公開されなければいけないだろうと思いますが、今回、そういうことを指摘させていただいたということで、今後のこの専門調査会での議論にも役立てていただきたい。
 それから、今回は自動車の関係だけでやりましたけれども、消費生活用製品ですとか、食品ですとか、その他の製品分野についても調査してみると、似たようなことが言えるのではないかと思いますので、事故情報全体の問題を扱われる当専門調査会では、そういう視点から、自動車だけで見て、これだけのことが出てきているんですよということを念頭に置きながら今後の審議をしていただければと思います。
 とりあえず、駆け足で済みませんが、御報告といたします。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御報告につきまして、御質問や御意見のある方は御発言をお願いします。
 どうぞ。

○中尾委員 国交省のところで、リコールするときの、メーカーの方から出していた報告書というのをごらんになりましたか。技術書みたいなもの。

○中村委員 はい。

○中尾委員 ああ、そうですか。あれはものすごく詳しく書かれている。だけれども、私もリコールの分析をしようとしたときに、あれはなかなか出してくれなかったんです。消費者庁にリコールの情報を回してあげましょうと言ったけれども、あの紙を含めて回してくれないと、例えば、誤使用であるか、それとも製品起因のものなのか、わからないんです。同じようなことがNITEの製品技術評価機構でも、例えば、パナソニックなどはものすごい詳しいデータを提出しているんです。だけれども、リコールするか、しないかはその業者が決めることで、国としてはそういうものを見せる必要がないし、お互いに紳士協約なのかわからないけれども、絶対公開しないというところでやっているから、彼らだけはデータを持っているんです。だから、これは誤使用なのか、それとも製品起因なのか、私もわかりませんと言う。言いたいのは、消費者庁もそのデータをよこせと言わないと、その後から判断しようにも判断できないような状況になるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

○中村委員 おっしゃるとおりだと思います。ですから、消費者庁が事故情報データバンクでたった10の機関としか情報提供の協力をしていない、これは非常に不十分でして、やはりもっと広く集めて、あらゆる情報を消費者庁もちゃんと仕分けした上で施策実施できるようにしないと、今の事故情報データバンクは、この4月にスタートしたばかりなので、最初からけちをつけても申し訳ないと思うんですけれども、まだまだ本当によちよち歩きの段階ですので、これから充実するために、今、中尾先生がおっしゃったように、まず関係省庁からきちっと出させるというところから必要なんだと思います。
 メーカー側は、今回調査の中で、何で全て公表しないんだと言ったら、こんなものを消費者に見せても、消費者はかえって混乱するだろうというようなことを平気で回答されているんです。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 役所は自分たちで調べられないんで、一回アメリカに行って、向こうのハイウェイ何とかというところで同じようなことをやっているんですけれども、そのときには自分たちでメーカーとは関係なく試験をして、自分たちは持っていないから、お金出して調べたり何かするという権限があったんだけれども、国土交通省のリコールはメーカーにやらせているんです。メーカーにやらせて、メーカーのデータを取って、自分たちが試験するところが何もないんです。メーカーとのやりとりでやっているから、こういうふうに独立で自分たちが試験するところがないというのも何か妙だなと思います。
 アメリカでは、リコールの半分ぐらいは消費者が文句を言ったところからスタートしている。修理工場に行って、修理工場の人が発見して、これはやばいぞとメーカーの方でやっていたものではなくて、ユーザーが何かおかしい、動かないと国交省に文句を言って、国交省からメーカーにこれはおかしいんではないかと言ってスタートした。これをどんどん増やしていくんだということを何年か前にずっと言っていたんですけれども、結局、この3,000件のうちからリコールに上がったものは何件ぐらい出ているとおっしゃっていたんでしょうか。

○中村委員 全リコール件数ですか。

○中尾委員 いえ、全リコール件数は、メーカーが修理工場から見て、これはやばいねと言ってやっていたりとか、自分たちで見つけたというものだけれども、消費者の方から、インターネットに文句を言って、それで国交省の人が、これはやばいと、こういうことが何件も出ているから、もう一回調査し直せとメーカーに命令して、メーカーが悪うございましたと言ってリコールしましたというようなルートですね。

○中村委員 件数まで正確にわからないのですが、国交省の言い方だと、自動車不具合情報でユーザーからばんばん入ってくる情報というのは、実はメーカーが頻繁にそれをのぞいて、同じような不具合が何件か集まってくると、国交省から当然、事実確認をばんばん出すからわかるのですが、その前にメーカーがホームページを見て、自分のところで、これはやばいと思って、結構反応されているという説明もありまして、それはそれなりに効果があるのだろうけれども、事実確認を国交省から出すというのもかなり効き目があるのだろうと思います。そういうところで、事実上リコールを促進している。リコール命令をかけているというのはないのですけれども、そういう事実上の効果はあるようです。

○中尾委員 それだったら、自分たちでやらないで生データを渡した方が早いかもしれませんね。30kmから40kmという重要な条件を切ったものをメーカーがチェックするぐらいだったら、生のデータを出した方がいいんではないですか。

○中村委員 全くそうだと思います。不具合情報ホットラインというのは、メーカーが活用する面もあるし、ユーザーが自分が乗っている車で注意しなければいけないことがあるかという目でも見るわけで、そのときにどういう環境だとか、どういうスピードだとか、そういうこともわかった方が注意しやすいわけで、その辺の情報につき、ホットラインは非常に不足しています。
 それから、先生がさっき言われた、国交省がアメリカのNHTSAみたいに独自に調査する機関がないと言うんですが、一応、説明では、独立行政法人交通安全環境研究所というのが調布の方にあります。ただ、そこに技術者は6人しかおりませんで、何でもかんでも調査できるわけではないのだけれども、来年度の予算づけなどでは、ちょっと膨らます要求をしておりまして、そこを充実させて、独自の調査ももう少しできるようにしたということは国交省は言ってはおりますけれども、まだアメリカとは比べ物にならない状況だと思います。

○中尾委員 その3,000件の分析官は何人いらっしゃると言ったんですか。前に聞いたとき、1人しかいらっしゃらないと言っていた。

○中村委員 今年は技術者は6人いると言っていました。

○中尾委員 6人が年間3,000件をチェックされているんですか。

○中村委員 それを全部やっているかどうかはわかりません。

○中尾委員 ありがとうございました。

○宇賀座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 2つあります。1つは感想です。9ページの囲いのところに「アクセルの減速がきかず、急ブレーキで止まるしかなかった。」と書いてあります。以前、トヨタで問題になったときに、新聞報道で、アメリカでたくさんブレーキが効かないという情報が寄せられたけれども、しばらく調べてみると、ブレーキが効かなかったという痕跡が余り見かけられなかったというような情報がありました。この辺がどのように整理されていくのがいいとお考えかということが1つ。
 もう一つ、11ページの点線で囲ったところの上に輸入事業者については云々とあります。本国のメーカーが通知を受けてから具体的な準備が始まる、したがって、国産メーカーとは事情が異なるという前提で書いてあるのですけれども、消費者の立場からすると、国産であろうが輸入車であろうが、事故が起こったら大変なのであって、時間がかかるのは許されないと書くべきだと思うのです。これはどういうお考えでこう書いたのでしょうか。

○中村委員 まさにそういうつもりで、これは調査報告の説明をしたんですが、建議の中ではその辺はちゃんと書いておりまして、速やかな届出をしてほしいということは建議の中には書いております。
 それから、9ページのところは、事故情報データバンクも、国交省のホットラインも、できるだけ消費者に向けて情報を生に近い形で伝えることによって、事故の未然防止にもなるし、注意喚起として徹底できるのではないか、できるだけ情報は詳しく書いてほしいというつもりで、私どもはこういう調査、指摘をしているわけです。

○齋藤委員 そうすると「3年前もアクセルの減速がきかず、急ブレーキで止まるしかなかった。」という事例については、何を言いたいのかがよくわからないのです。この確認において、本人が言っている、言わないという話がどうしても残ります。はっきりしたことを言い切れないから不具合と書いたのかと、そういうことも感じたのです。こういう情報が多分たくさんあると思います。その辺、どのような気配りをしながら公表情報にしているかというのがありましたら、御紹介いただきたいと思います。

○中村委員 左側の事故情報データバンク消費者向け情報では、7年前に購入した新車が3年前に不具合でこうしたけれどもという、そのことだけで、一体どういう現象なのか、全然わからないのです。3年前にあった不具合というのは「アクセルの減速がきかず、急ブレーキで止まるしかなかった。」という現象だったということが、右側の行政向けの情報をのぞいて初めてわかった。左側の「不具合で」だけでは、何がどうしたのか、「不具合」と「異常なし」と「同様症状」という言葉で「不具合認めず」になっているという話で、非常に抽象的で、具体的な記載が全くないので、これでは役に立たないのではないかと思いまして、具体的な減速が効かないとか、急ブレーキで止まるしかなかったという状況が発生したんだということぐらいは書いていただきたい。そういう意味で、公表内容が非常に不十分だという指摘を建議の方でさせていただいているわけです。

○宇賀座長 片山委員、どうぞ。

○片山委員 5ページのところが気になるんですが、先ほどの御説明の中にあったのかもわかりませんが、要するに、上の事例のところは、ユーザーからの提供情報であっても、掲載内容は非常に中身のないものになっている。下の方は、メーカーからの回答についても詳細なところは省かれている。どうしてこういう非常に簡略な記載しかホームページ上に公表しないのかという理由をお聞きいただいたでしょうか。特にメーカーからの回答については、こういう形で掲載してほしいというのはメーカー側の要望かもしれないんですが、ユーザーからの情報提供については、どうして肝心な詳細情報の大事な部分を削除してしまっているのかという理由が知りたいんです。

○中村委員 この調査をするときに国交省から言われたのは、何で国交省のリコールが皆さんの調査の第1号なのかとか、我々の今、運用しているリコール制度は何の問題もないと思っているのに、何で調査に入るんだということを言われまして、まさに国交省としては、今、やっていること、不具合情報ホットラインについても、日弁連辺りも大変いい制度だと言ってほめているもので、満足しておられて、問題はないと言い切られたのですけれども、我々が今回調査してみて、非常に不十分である、そのホットラインですら、このように不十分だということを、問題がないと言っていた人に対して初めて指摘したということで、彼らは問題ないと思っているんです。そこが問題だろうと思って、私どもは指摘させてもらっております。そういう情報はもっと十分、消費者と共有するために中身もきちっと詳しく書くべきだということで建議させていただいておるわけです。

○片山委員 そうすると、ホームページ上の字数制限があるから載せられないとか、そういうものでもないわけですね。

○中村委員 パイオネットとか、事故情報データバンクはたしか字数制限の話をされたと思うのですが、国交省のホットラインは字数制限の話は余りなかったように記憶しています。

○片山委員 そうすると、特にユーザー情報の中で、いわゆる生情報である事故発生状況や、不具合に気づいた経緯とかがいかに大事な情報であるかということの認識が欠けているという話になってしまうんでしょうか。

○中村委員 国交省としては、5ページで言うと、中段の右側の情報がユーザーから提供されているわけです。だから、この範囲のことは掌握できるわけです。ただ、ホームページに載せるときに省略して簡単な記載にしてしまっているということなので、国交省としては把握しているのだろうと思うのです。

○片山委員 わかりました。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 中嶋です。
 今の件に関してコメントをさせていただきますと、このような問題は企業の中でも起こっているんです。例えば、私がおりました神戸製鋼では、建設機械の開発の際にマーケット調査をかけます。ディーラーが事故情報や不具合情報を集めてくるんですが、それを私たちが分析をして、どういうふうに開発をしていったらいいかというふうに考えるときに、この種のことが起こるんです。
 どういうことかと言いますと、「30~40kmで走行中」という具体的な言葉がどういう力を持っているかが、収集したり、編集したりしている人にはわからないんです。ですから、意図的にこういうことを起こしているんではなくて、目的がわからないからこういうことが起きている。もっと言いますと、学のある人が報告書を書くときには、30~40kmというのは具体的な文句は削った方が格好がいいと考え、報告しなかったんですと、社内で言われたわけです。そこで、それであれば、すべての調査データは生データのまま技術開発会議にかけてくれと、お願いしたんです。ですから、ここは別段、官僚が意図的にこういうふうにやっていると考えるのではなくて、このような問題が起きることを肝に銘じて下さい。また、すべての情報をだれがどう使うかがわかっていないと、ちゃんと伝わらない。リスク情報であっても、そのリスク情報をどう使うのか、これがわかっていないと伝え方が変わりますから、非常に大事なことが起きる。このことをご理解いただきたいと思います。
 私は、今回、この建議の報告書をいただいて、非常にありがたかったんです。頭の中を整理するのに非常に役に立ちました。本当にありがとうございます。というのは、この委員会で一体何をやっていったらいいのかというのが私の頭の中にはなかったわけです。着地点も見えなかった。
 一番大事なことは、国交省の方にも聞いていただきたいんですけれども、なぜ、いわゆるクレームの制度を3つに分けたのか。今、キャンペーンだとか、そういうのに分かれていますと言われたでしょう。その理由は何でしょうか。もともとアメリカで起こっているリコール制度は何のためにつくられたのか。ヨーロッパでもリコール制度がありますが、若干違います。食品についても、ヨーロッパのリコール制度はなかなか日本では情報はつかめない状況にあるんですけれども、この目的がわからないと制度がつくれない。情報を集める人、情報を手渡す人、それを公表する人に、この制度の目的がきちんと理解されていないと的確な対応ができない、こんなふうに思いまして、今回、この調査会でやるべきことも、事故情報の一元化というのも、ここから入っていく必要があるのかなと思って、非常にありがたかったです。ありがとうございました。

○中村委員 ちょっと一言。今の御指摘は、まさに我々も実感していることでして、この問題を考えるときの大きな視点で、日本の場合のリコール制度というのは、保安基準という、まず基準を決めまして、その基準に適合している車はつくっても売ってもいいです、それが市場に出てから、基準に違反しているような不適合が出てきたらリコールしますよと、こういう仕組みだったのですけれども、それはどっちかというと車をつくったり売ったりする人の便宜なんです。消費者としては、保安基準に適合していても、別の不具合が起こって、安全上、問題の現象はあり得るわけで、そういうところが日本の法律でなかなか引っ掛かってこないというところがアメリカとの違いでわかるわけです。
 今回の建議では、日本のリコール制度の法的な在り方までは突っ込んでいないのですけれども、本当はそういうところまでも視野に入れながらやっていたのですが、今回調査してみた資料の中から言えることを報告書にまとめ、その報告書から言える範囲で建議を出したというので、今、中嶋さんが御指摘になったような法制度の在り方みたいなところは突っ込んでいないというのが実情であります。

○宇賀座長 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 国交省の自動車事故に関する情報の公表については、メーカー名、製品名、かなり早い時期からやっていたということで、私なども評価してきた口なんですけれども、今回、消費者目線ということで改めて再チェックされて、これだけ不十分だったのかということを知って、本当にびっくりという感じです。特に一番驚いたのは、消費者庁ができるときに、消費者行政の一元化の本当の担保になるのは情報の一元化であると私は理解していましたけれども、それが一元化されていなかった。これは一体どういう理由でそうなってしまっていたのかという点がまず1つです。
 一元化されていないことによって、事故情報の公表、あるいは不具合情報の公表が遅れて、リコールも遅れるという事態が実際に起きたという一例を紹介させていただきますと、今年5月にトヨタのレクサスのハンドルが、実際に操作を行ったのと車の挙動が相違していたというトラブルが起きたんです。たまたまそのユーザーの知り合いから私のところに情報が入ってきたものですから、逐一トヨタの対応についても情報を得られたんですけれども、結局、トヨタはどうやったかと言いますと、改善対策を行ったにもかかわらずリコールを発表しなかったんです。私のところの新聞で報道してから発表に踏み切ったという経過がありました。
 もし、この不具合情報、あるいは事故情報の一元化がされていて、国交省が仮に公表しなくても消費者庁の方で速やかに公表していれば、恐らくこういう事態は防げて、迅速なリコールにつながったのではないかと思うんです。そういったことも含めまして、国交省がなぜ情報の一元化に応じなかったのかというところは非常に疑問に思います。その点はいかがでしょうか。

○中村委員 建議の3ページ目に建議事項マル2として、消費者庁向けに国交省の情報を事故情報データバンクにちゃんと反映できるようにせよということを言っております。国交省は今までリコール問題は自分のところの仕事だと思っていて、自分のところでちゃんとやっているのだからいいではないかという感覚があって、これは10の機関しか参画していないのですが、声がかかったときに拒否している経過がありまして、そういう中で独自にやって、国民のためにおれたちがやっているんだから、それでいいではないかという感覚だったのです。今、鶴岡さんが言われたように、それも消費者庁ができて、情報の一元化というのであれば、私どもはやはり一元化すべきだということで、こういう建議を出させていただいています。この建議については、建議1ページの末尾に書いてあるように、今年の12月までに、建議した事項について、どういう措置を取ったのか報告をせよということも求めておりまして、消費者庁と国交省、両方から年末には回答を得ようと考えております。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 メーカーサイドで言ってはいけないんだけれども、メーカーの方は割とリコールに対して気合を入れて実験をしているんです。さっきの国土交通省に提出している書類というのは、何台の車を使って、どういうデータが出たかという生データを山ほど出してやる、本当に冊子体みたいな報告書を出しているんです。言いたいのは、国土交通省が云々かんぬんではないんです。メーカーがまともにやっているから、それなりに今、安全が保たれている。だから、メーカーが出している書類をこっちにもらえば、こっちだって同じようにやれるわけです。今まで真面目に出していたのは国土交通省が怖かったからというのはあったと思うんです。何を言われるかわからない。だけれども、消費者が怖ければいいわけです。消費者が怖いからリコールするしかないんだと言うんだったら、それをやるのが消費者庁なら、どこに出しても安全は保てるんではないかと思います。おっしゃったとおりで、データをこっちによこせと言っても、どうせ国土交通省がチェックするわけではないんだから、こちらがまともなデータを持ってきて、それなりに賢い人がチェックすれば同じ判断はできると私は思います。
 それから、サービスキャンペーンがこちゃこちゃやっているんではないかと言うけれども、安全でないような、例えば、ハンドルを回したらラジオの音が少しおかしくなったとか、それをやっても別に車がエンコするわけではないでしょうというものはみんなサービスキャンペーンの方に回しているんです。サービスキャンペーンは日本だけで今やっているような感じで、お客さんが文句言ったら、例えば、ここに傷がついている、おかしいではないか、プレスのときの傷だとかいうのがわかったら、そのボディを全部変えますとかいうものをやっているんで、本当にブレーキが効かなくなるとなったらリコールの方に案件が移るから、それはそれできちんとやっているように思います。だから、この次に行かれるんだったら、ホンダだとか、ニッサンだとか、トヨタに行って、それなりにまともにやっているんだなと僕らもチェックすると、すごくわかる。だから、別に国交省が偉いわけではない。メーカーが偉いんだから、そのデータをこっちによこしても全然おかしいことはないだろうと私は思います。

○中嶋委員 先生、それは違います。メーカーは自分たちの利益をまず第一優先にやるんです。自分の利益を守るためにリコールに対応するわけです。したがって、すべての問題に関して、リコールにしたり、サービスキャンペーンしたりする訳ではないんです。

○中尾委員 いやいや、そんなのは古いんですよ。

○中嶋委員 いや、古くはないですよ。

○中尾委員 利益なんて言っても、例えば、今、自動車会社はリコールするかどうかは経営陣は入っていないんです。役員会がやらなくて、品証の部長が決める委員会で決めていく。

○中嶋委員 ちょっといいですか。品証の部長は社長からは独立していないんです。1つの組織には統治機構があって、その統治機構の中で形だけ独立しているというのは独立しているとは言わないんです。もっと言えば、大事なことは、企業がいなければ事故原因も何も究明できない。これは事実なんですが、企業には自分たちが生き残っていくための利益を稼ぎ出す宿命があります。このような現実の中でバランスを取っているのが官公庁であり、我々の委員会であり、消費者団体であるわけです。この仕組みをうまく動かすことが大事だと思っているわけで、企業が頑張っているからOKでもなければ、官公庁が頑張っているからOKでもない。この仕組みをうまく回すことが大事だとお考えになられた方が良いと私は思います。

○中尾委員 別に内乱を起こすわけではないんだけれども、3~4年前から大きく変わったことは確かなんです。前は品証部長はエンジニアの上がりのポジションで、謝りに行くだけのポジションだったんだけれども、このごろはきちっとかかわるようになったし、この前のパロマのときだって、何で元社長と元品証部長が逮捕されなければいけないのか。エキスポランドのときもそうでした。品質管理部長が逮捕されている。だから、品質を取るのはあなたでしょうというふうになってきたから、そんなことを言われるんだったら、おれたちにも権限持たせろというふうにして、3~4年前ぐらいからいろいろ変わってきて、自動車のリコールを決めるところに役員が1人もいないという状況で決めるようにどんどん組織を変えていったんです。だから、品証部長のポジションがすごく高くなったというのはこの辺の風潮だと思います。だから、利益のため、そうなんだけれども、その利益のためにリコールやめようと言った途端にみんなからたたかれますから、そうならないように、利益を考える人の中に、リコールを決めるかどうかの委員会に入れないというのが、今、すべての会社に変わってくる大きな風潮だと思います。

○中村委員 今、中尾先生が言われたのは、我々も実際にメーカー何社か、委員も入ってヒアリングしてきて私も実感していまして、まさにリスク評価とリスク管理を分離するというのが、かなり今、企業の中で徹底してきているのだなということを、おっしゃるとおりの実情を見てまいりました。
 それから、先ほど国交省が事故情報データバンクに参画しなかった理由を簡単に言いましたけれども、報告書(消費者委員会HP掲載「自動車リコール制度に関する実態調査報告書」)の23ページにその辺の経過を結構詳しく書いていますので、後でごらんいただきたいと思います。

○宇賀座長 松岡委員、どうぞ。

○松岡委員 4ページの事例2のところに事実確認まで数か年要したという事例があったんですが、それは国交省の事例なんでしょうけれども、どういう理由だったんですか。

○中村委員 我々が収集した情報からその時期を換算していったらこういう結果で出たので、なぜかという理由は、もし詳しい情報がわかったら後でお伝えします。

○松岡委員 こういうことが許される制度になっているのかどうかという疑問が1つある。
 あと、お話を伺っていますと、外国のメーカーからの届出の対応が余りよくないようなんですが、遅れがあるということが書いてありますね。

○中村委員 事実確認の回答書式というのは決まっていて、国交省の方でサンプルを用意していまして、それに従って書いてくださいということを流しているのです。我々が今回調査したのは平成20年、21年の2年だけだったのですけれども、その中で見たら、割合すかすかな状態で書いてきているのが輸入関係が多かったということです。

○松岡委員 その対応というのはなかなか難しいものなんですか。

○中村委員 ここまで書けとか、それは指導の仕方で随分変わると思うのです。サンプルというか、書式そのものは本当に簡単な、A4で1枚に空欄だらけの、項目だけ書いてあるようなものなのです。そこに、こういうことまで書き込めという指導を徹底してあれば、かなり粒ぞろいの情報が入ってくるのだろうと思いますけれども、そこまで徹底されていないんだと思います。

○松岡委員 わかりました。

○宇賀座長 西村委員、どうぞ。

○西村委員 先ほどの不具合情報のホットラインのことですが、私、不勉強で、こういうものがあることを知らなかったんです。国交省のモニターアンケートで10%ぐらいしか認知度がないということですけれども、リコールに向かうかどうかわかりませんが、消費者からの情報収集という意味で、これをもっと啓発していくというか、消費者に対しての活用度を高めるような考え方を普及させていくとか、国交省は何か努力されているんでしょうか。

○中村委員 一応、努力をしているというので、ラクダのマークのキャンペーンのシールをつくったり、車検のときに必ずこのホットラインのアドレスを全員に配布したり、そういうことはやっている。それから、勿論、ホームページにも載っていますので、その程度の努力はしているということはおっしゃっていました。ただ、余り増えていないです。この制度ができてからもう6年ぐらいたつのですけれども、まだまだ周知されていないと思います。

○西村委員 車検したときに何かもらっているんですか。私は気にもしていなかったから。

○中嶋委員 車検の資料にはついていない。

○西村委員 ついていないですよね。ディーラーから言われたこともないし。

○宇賀座長 中村委員、どうぞ。

○中村(晶)委員 先ほどの中村委員からの御説明の最初の方で、設置法8条の資料要求制度を初めてお使いになって、資料が出てくるまでに3か月ぐらいかかったとか、なぜこの件が最初の調査対象になるのかという疑問が寄せられたりということがあったと伺ったんですけれども、この資料要求制度はこれからいろいろ活用しなければいけないものだと思うのですが、使い勝手はいかがだったんでしょうか。

○中村委員 今回、非常に感じたのは、去年の9月に施行されたばかりの新しい法律で、関係大臣に消費者委員会が要求できる権限を持っているのですが、霞が関の中に余り周知されていないのではないかと思うのです。ですから、こういう制度があって、消費者委員会から言われたら出さなければいけないのだという文化がまだ霞が関の中に形成されていない。その第一発だったので、向こうは非常に構えたのではないか。前例とか、そういうのがないところですので。それは非常に感じました。だから、これを発表したときの記者会見でも私はそのことを指摘したのですけれども、長官もいらしているんですが、消費者庁が司令塔として機能を果たすということなのですから、去年できた新しい法制度も関係省庁にぴしっと徹底しておいてもらわないと、これからも我々は権限発動すると思いますので、非常にやりにくいという気がします。

○中村(晶)委員 制度設計として問題があるというよりも、むしろまだ認知されていないという点で使いにくいというか。

○中村委員 結局、最終的に出してもらったのは、消費者委員会の事務局が大分頑張って、しつこく要求して、この制度の説明をして、条文なども改めて説明する中で少しずつ理解が得られて、やっと出てきたと、そういう経過です。

○中村(晶)委員 そうですか。今日は法文を持っていないのですけれども、もし出てこなかったらどうなるんですか。

○中村委員 別に設置法の8条には罰則規定も何もないのですけれども。

○中村(晶)委員 そういうことを想定されていないんでしょうか。

○中村委員 それは内閣総理大臣に言わなければいけない重大事態になると思います。

○中村(晶)委員 ありがとうございます。

○原事務局長 途中で申し訳ありませんが、長官が退席されますので、ここで御挨拶をお願いしたいと思います。

○福嶋長官 どうも済みません。途中で本当に恐縮です。40分ぐらいから消費者庁案件ということで伺ったんですが、11時からまた会議が入るもので、途中で失礼いたします。貴重なお時間いただいて申し訳ありません。
 皆様には、身体、あるいは生命の被害にかかわるところで、消費者庁の取組みについてもいろいろ評価をいただき、提言をいただいておりますことに心からお礼を申し上げたいと思います。消費者庁としても、事故情報を一元的に広く集めて、それを的確に分析をし、公表初め適切な措置につなげていくということは、消費者庁の存在意義を問われる重要な仕事だと考えております。
 まず広く事故情報を集めないといけないわけですけれども、重大事故の範囲等の議論もありますが、そもそも消費者事故というのは、法を見ても、製品等に問題がある、消費安全性を欠いていることが原因でないことが明確な場合を除いては消費者事故となっています。つまり、グレーなものは消費者事故なわけです。行政機関が消費者庁に通知しないという判断をしたということは、製品に消費安全性を欠いているところがなかった、それが原因ではなかったと、その通知元が断定をしたということですので、そうでないグレーな部分はちゃんと消費者庁に通知してほしいということを改めて徹底していこうとしているところです。
 それだけの問題ではありませんが、広く情報を集めていきたいと思っておりますし、逆に広く集めれば集めるほど、今度はちゃんと分析をし、的確な対応につなげていく、こちらの能力と体制が問われるわけです。この体制についても、皆さんから御指摘いただいているように、まだまだ課題がありますので、今、人員増の要求等もしているところです。ただ、人員増を待っているだけでは仕方ありませんので、先月、事故情報に対する対応チームを審議官をトップにして立ち上げて、その辺の強化をまずやろうということで、今、取り組んでいるところです。
 それから、公表や注意喚起等については、この対応チームも中心になりながら的確にやっていこうということで、特に注意喚起するときに製品名を出すのを、今までは製品に原因があることがかなり疑われるというケースに絞っていて、原因がどこにあるか不明な場合は製品名の公表はしていませんでしたけれども、先日の注意喚起では、介護ベッドの注意喚起ですけれども、恐らく製品には問題がないという結論になるかもしれない。つまり、JISの規格を販売当時はクリアしている製品ですので、公式に言えば、製品に欠陥があったとは言えない、製品起因ではないという結論が出るかもしれないというものでしたけれども、その製品によって事故が引き続き起こっていることは確かですので、注意喚起する上では製品名を公表しようということで、そういった類型の中で初めて製品名の公表も行いました。
 これは実は発想の転換だと思っていまして、事業者を所管する官庁ですと、製品名を公表する、企業名を公表するということは、社会的な制裁をする制裁的な公表なわけですが、消費者庁はあくまで消費者側で見ていますから、製品名の公表は、注意喚起にとって製品名が必要かどうかという視点で見ていく。必要なときは企業にも協力をしていただいて製品名を公表していく、消費者に伝えていくという、企業の協力もいただいて公表していくという姿勢が必要なんだろうと思っています。
 それから、もう一点、最後に、重大事故だけではなくて、重大事故には至らなかった消費者事故も広く見て、予防につなげていくこともとても大事だと思っています。これも対応チームの成果とも言えるんですが、先日のベビーカーの公表では、重大事故はまだ1つも起こっていないんです。重大事故にはまだ1つも至っていないけれども、車輪が外れたりというような事故が幾つかありましたので、注意喚起をするということもやっております。
 全体から見れば、まだまだ不十分な改善ですし、一部の改善なんですけれども、とにかく、この事故情報の収集と分析と公表等を、法律に定められたことだから、法律に従ってやることだけやらないといけないという発想ではなくて、法律に基づいてちゃんとやることは勿論ですけれども、それを消費者の安全につなげていくにはどういう形でやるのが一番いいのか、やることが求められるのかという視点を常に忘れずに、この問題にも取り組んでいきたいと思っております。いずれにしても、皆様から今後ともいろいろな御指摘、御提言をいただけたらと思っておりますので、どうぞよろしくお願いをいたします。済みません。議論の途中で失礼をいたしました。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 国土交通省のリコールに手をつけたんなら、ついでに警察まで手をつけて、交通事故があったときには、自動車が壊れたよりも場所が問題なんです。今、東京都とか京都府などにはきちっと犯罪マップのデータを彼らはつくっているんです。だから、そういうのをもう少しオープンにするとか、ドライブレコーダーというのは今、タクシーにみんなついている。事故を起こしたときにものすごくいい情報が入っているけれども、あれは経済産業省がやっているから、警察は知らないよという感じなんです。だから、今こそ、消費者庁ぐらいは全部出せと言えるあれがあって、経産省と警察と国土交通省をたらい回しにされる人たちがいるわけだから、そういうことがないように、ここがやるんだという、大変なのはわかりますけれども、やっていただいたら、すばらしいんではないですかね。

○宇賀座長 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 こればかりで時間を費やして申し訳ありません。国土交通省と自動車業界がやり玉に上がっているように思うのですけれども、私は、自動車はリコールする製品の中で一番追いかけやすい商品だと思っています。ナンバープレートもありますし、車検制度もある。廃車にするときにはきちんと手続が要る。それでもなかなか追いかけられなくて困っている。したがって、他の業界においては、これを何とか手本にしていいことができないかということを多分、考えていると思うのです。今は不十分なところはあるにしても、お手本にしたいのだから、何とかいいモデルになってくれというスタンスで話すと、いいアイデアも出るのではないかと思います。そういう視点でこれをとらえたらいかがかと思います。

○中村委員 建議については、先ほど言いましたように12月に2つの関係省庁から報告を受けますので、またその結果は皆さんに御報告したいと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。では、中村委員、どうもありがとうございました。
 それでは、議事次第の第3、前回までの議論の整理について、資料2-1「事故情報の収集・一元化に関する前回までの議論の整理」、それから、資料2-2「事故情報の分析に関する前回までの議論の整理」に基づいて事務局より御説明いただきたいと思います。

≪3.前回までの議論の整理≫

○齋藤審議官 事務局の齋藤でございます。
 それでは、資料2-1と資料2-2に基づきまして簡単に御説明させていただきたいと思います。
 前回は8月4日でございましたけれども、それまでに行われた議論を整理したということでございまして、資料2-1の1ページでありますが、青字で書いてあるところが前回8月4日の専門調査会で出された御意見をまとめたものでございます。この箇所は事業者からの情報収集という箇所でございますけれども、その点に関しまして、事業者に大変いろいろな情報が入ってくる、そういうものを利用する必要があるという御意見がまずあったかと思います。
 それに対しまして、非常にさまざまな内容の情報が入ってくるので、事故になるようなものはその中で見るとかなり絞られてくる、そういうものをどういうふうにえり分けていくのかということが大事ではないかといった趣旨の御指摘があったかと思います。
 それから、2ページにまいりまして、次は消費者からの情報収集というところに位置づけておりますけれども、前回は、この部分は余り大きな議論はなかったわけですけれども、中毒情報センターについて、位置づけをもう少し考え直してほしいという御意見がございました。
 それから、3ページ目でございますが、情報収集に関するさまざまな問題点を整理したところでございます。マル1の事故情報の範囲、どういうものを通知するかというところでありますが、青字で書いてあります4か所ございますけれども、まず、重大事故のとらえ方について、消費者目線でとらえ直す必要があるのではないかという御指摘がございました。
 また、そういう観点から、財産被害というものも重大事故の中で考える必要があるのではないか。
 それから、通知事項を必ずしも満たしていなくても、重大事故につながると感じられたものについては、重大事故としての取扱いというものを考えるべきではないかという御意見もございました。
 また、仮に小さな被害であっても、数多くあるようなものについては、やはりそれなりに重大なものとして取り上げる、そういう発想が必要ではないかという御指摘がございました。
 ヒヤリハットについては特に御意見はございませんでした。
 誤使用関係については、次のページになりますけれども、いろいろ御議論がございました。4ページ目の上の方に4つございますが、誤使用ということで終わりではなくて、なぜ誤使用が起こったかというところまで立ち戻った検討といいますか、対策というものが必要ではないかといった考え方からの御指摘がいろいろあったかと思います。また、化学物質については非常に誤使用というものが多い。そういうところについても消費者目線から検討してほしいという御意見がございました。
 それから、マル4の通知すべきか判断に迷う情報への対応というところでありますが、消費者安全法の12条の使い勝手というものがいまひとつよろしくないのではないか。通知元の方で判断するということがなかなか難しいところがあるという御指摘がございました。
 それから、5ページに移りますけれども、分析という観点から見たときに、青字で2か所書いてございますけれども、コンピュータの処理能力というものをもっと活用してはどうかという発想での御意見がございました。
 それから、(3)でございますが、情報利用という観点から見た御指摘でありますけれども、警察と消防からの情報は国の方に直行してしまうために、地元の県庁なり市役所といったところになかなか情報として入ってこない、集約されないというところを何とかすべきではないかという御指摘がございました。それから、情報を集めるといった場合に、集める詳しさというものについては、情報の利用目的との関連で考えるべきではないか。
 6ページ目に入ってまいりますけれども、予算、時間、制約がある中で、どういう情報を優先的に集めるべきかという観点からの御議論も必要ではないかという御指摘がございました。
 また、それに関連いたしまして、餃子事件のような事故があちこちで何件も起こっているということがなるたけ早くわかるシステムが必要ではないかという御指摘がございました。
 最後になりますが、参考情報、これは前回の専門調査会で、注1のところに書いてございますが、因果関係がはっきりしないとか、消費安全性を欠いているかどうかはっきりしない、通知事項を満たしていないというような情報であっても、参考情報として提供いただくことを検討していただきたいということで、消費者庁の方でそういう方針を出されたことについて、そのこと自体は大変結構なことであるという趣旨でいろいろ御発言があったかと思いますが、その際、自治体がやりやすいようなやり方を考えるべきではないか。それから、いろいろな情報が集まってまいりますので、そういうものを分析できるような体制を考える必要があるというような御意見、それから、消費者から集めていくということについても配慮していく必要があるだろう。それから、集めたものをどういうふうに再発防止につなげていくのか、そういうところもよく考えてほしいという御意見があったかと思います。これまでの議論の整理としてはそんなところでございます。
 資料2-2でございますが、本日から分析の方について御議論いただくわけでございますけれども、これまでの3回の専門調査会で事故情報の分析に関する御指摘がございましたので、それをピックアップしたものでございます。
 第1回専門調査会では、上の方に4つまとめてございますが、消費者庁の方でしっかり分析できるような体制をつくるべきではないかという御趣旨の発言があったかと思います。アドバイザリーグループでありますとか、分析官というような役職を置くとか、あるいはゼネラルに分析のできる人材が必要ではないかという御意見がございました。また、地方においても体制が必要である。技師がいて、テストができるような体制でありますとか、そういう機能が必要である。それから、国とか行政だけではなくて、民間とか企業の力も生かすべきであるという御趣旨の発言もございました。
 それから、第2回専門調査会で出されたものでございますけれども、この際は、地方の分析力蓄積というものはある意味、限界がありますので、消費者庁ともっと協力していくことを考えるべきではないかといった御意見がございました。
 次の2ページ目に入りますが、前回の第3回専門調査会でありますけれども、ここでは誤使用関係で、誤使用で終わりということではなくて、更に誤使用の内容というものを突っ込んで調べていくという姿勢が必要ではないかという趣旨の御発言があったかと思います。それから、コンピュータ処理というものをもっと活用すべきであるという御意見もございました。
 簡単におさらいいたしますと、そんなようなことで整理をさせていただきました。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 事故情報の収集については前回までに一通り議論しましたので、本日は分析について議論を行うこととさせていただきたいと思います。今の資料2-1と2-2の関係の御説明につきまして、もし委員の皆様の御発言の趣旨が十分に反映されていない点等がございましたら御指摘いただければと思いますが、いかがでしょうか。特によろしいでしょうか。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 確かにこういう発言もあったと思うのですが、4ページのISOの関係のところで、安全対策が取れないのに警告表示で逃げてはいけないと書かれています。「逃げる」という言葉に相当な意味があるとしても、警告表示というのは認められていると思います。それを逃げの道具として、手を打たずに済ませてはいけないということだろうと思うのですけれども、この発言の趣旨を確認したいと思います。

○宇賀座長 どうぞ。

○中嶋委員 中嶋です。
 ISO12100という規格があります。これは機械安全の規格なんですけれども、まず、基本的に安全を実現する方策というのはどういうふうに取るかと言いますと、設計でもって本質的に、例えば、机の角があれば、その角を面取りしなさいとか、倒れやすいような構造だったら、それを倒れにくくするとかいうような設計でもって対応しろと。
 ところが、実際に危険部位をどうしても減らせない場合があります。例えば、工作機械の刃物、刃物がくるくる回っているわけです。これを取り除くと工作機械の機能が果たせませんから、カバーなどの安全策でもって人を危険源から隔離してください、このような対策を取った上で、注意喚起として警告表示が使われます、これが使用上の情報なんです。
 また、ここで言う、いわゆる警告表示というのは、その3段目のステップのことを言っているのです。例えば、電気洗濯機で事故が起きました。これは5kg以下の容量でしたが、5kg以上の容量であれば回転槽が回っているときにふたを上げますとストッパーが働いて止まるんですけれども、5kg以下だったら止まらない。それはストッパーがついていないからです。それでもって、回っている回転槽に手を入れた主婦は腕を骨折をしました。これはどうしたらいいですか。回転中にはふたを開けないでくださいという表示でもって対応すると言われても、違うでしょう、容量5kg以上であればストッパーがついているのですから、5kg以下でもストッパーがついていても良いと思います。
 言ってみれば、ファーストステップ、セカンドステップ、サードステップがあって、ファーストステップで対応できるものは対応し、セカンドステップで対応が取れるものはちゃんと対応してください。対応が取れないものは、仕方がないので警告表示をして下さい。こういう意味で言いました。これでよろしゅうございますか。長々と失礼いたしました。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 でも、先生、今、おっしゃった指を挟んで切れてしまったものは、この前、NITEに来た消費者庁のものを1件1件見ていたら、誤使用に入っていたんです。

○中嶋委員 そうですね。指が切れたのは重大事故に入っていますでしょう。

○中尾委員 重大事故なんだけれども、製品起因ではないもので、誤使用の方だったんです。だから、さっき長官が言っていたけれども、消費者庁の方でチェックするのは、今まで誤使用だと。どっちかというとメーカーサイドに入っていて、これは法律でいいと言っていたではないか、指を切ったのはおまえのせいだろうと言ったものを、これはひどいんではないかと先生がおっしゃったようなものを、これはメーカーが直すべきだということを言うのが消費者庁の役目だと思うんです。

○中嶋委員 おっしゃるとおりでございます。

○齋藤委員 そのときに問題になるのは、どこからが誤使用かということです。それは世間の常識だと思うのです。例えば、私も何回もやったことがありますけれども、紙で手を切るのです。しかし、紙に危険表示していないではないかと、だれも言わない。恐らく皆さん、ほとんど切ったことがあると思います。その辺の社会の常識がどこで形成されているかというところがポイントで、恐らく時代とともに変わっていくものだと思います。

○中嶋委員 そうですね。

○中尾委員 でも、紙で切っても赤チン塗ればいいけれども、指が切れたら事件ですよね。だから、理科系の人ばかりではなくて、いろんな方がいて、これはおかしいんではないのという判断をするというのかな、それが消費者庁の分析になっていくんではないか。さっきの自動車のものも、その分析をするのに必要な書類をおれたちによこさないのはおかしいんではないかとおっしゃっていたけれども、それはよこせ、それで誤使用かどうか判断するんだからというような感じではないですかね。

○宇賀座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議事次第4の事故情報の分析についての議論を行いたいと思います。
 その前に、本日の議論に関連して、野村課長から御説明をお願いしたいと思います。

≪4.事故情報の分析について(現状と課題)≫

○野村消費者安全課長 消費者庁消費者安全課長の野村でございます。よろしくお願いいたします。
 資料3といたしまして4種類の資料をお配りをさせていただいてございます。今日は事故情報の分析というテーマをちょうだいしてございますので、まず、分析のかかわる制度的な説明を出してございます資料3-1と、実際にどんな分析をこれまでやってきておるかという3-2、3-3という資料、それと、今後にかかわることといたしまして3-4という資料を提出させていただいてございます。
 資料3-1でございます。消費者安全法、消費生活用製品安全法という法律に基づきまして事故情報の収集の基本的な取組み、根拠づけが行われてございますけれども、収集をした後に、その情報の取扱いがどういうふうになっておるかという規定を紹介させていただいてございます。
 細かい字で申し訳ございませんけれども、まず、1ページ目の消費者安全法という法律で、真ん中辺りに青色の箱で囲んだ第13条という条文がございます。これは行政機関等に重大事故等の消費者庁に対する通知を義務づけている条文でございますけれども、前条第1項または第2項の規定による通知により得た情報その他消費者事故等に関する情報が消費者安全の確保を図るために有効に活用されるよう、消費者庁につきましては、当該情報の集約及び分析を行い、その結果をとりまとめるものとする。この結果に関しましては、公表を行い、また国会に対して報告をしなければならないとなってございます。
 制度的には、実は「分析」という言葉が出てきますのは、この法律のこの条文のこの条項のみでございます。当該情報の集約及び分析を行い、その結果をとりまとめるものとするということであります。立法当時の説明資料等によればということですけれども、ここで言う集約及び分析の意味合いは、基本的には国会に対して報告する等のとりまとめをするもの、何と言いますか、事故情報の傾向でありますとか、分布でありますとか、そういうものをここでは集約、分析という意味合いで使われているという理解の仕方をしてございます。ですから、年報的なものをとりまとめて国会に御報告するといったイメージであります。
 勿論、条項だけに従えば、それが分析という意味なのではありますけれども、通常、分析というのはもう少し広い意味合いを持っているかと思ってございまして、右の方に緑の囲いの条文で幾つかございますけれども、これは情報を収集した後に消費者庁において取り得る措置の代表的な条文を引用してございます。
 第16条は、関係省庁におきまして何らかの措置を取るよう促す、速やかな実施を求めるという、私どもは措置要求と言っておりますけれども、に関する条文であります。
 それから、17条、18条は、関係する省庁がはっきりしない場合におきまして、関係する事業者、製造者等に対しまして、勧告、あるいは命令、特に必要がある場合には販売停止等を求めるという条文でございます。
 この16条、17条、18条等をごらんいただきますと、この命令等の措置を行うときの要件といたしまして、被害の発生、拡大の防止を図るために必要があると認めるときにはという言葉が各条文に入ってございますけれども、私どもの理解といたしましては、被害の発生、拡大の防止に必要があると認めるという判断をするために必要な行為ということで、事実上の運用上の取組みとして分析、原因の調査という行為が行われるべきものとして取り組まなければいけないという位置づけを与えられているものと理解をしてございます。
 逆に言いますと、こうした権限を背景にして何らかの対応を取るべき個別案件に関しましては、分析を行う、原因調査を行うというアクションが生じるわけでありますけれども、すべての事故情報について、すべて原因調査をするという仕組みになっているわけではないという理解の仕方をしてございます。
 あと、原因調査を行うための具体的な仕組みということなんですが、これは消費者安全法上、特段、何か位置づけられているものはございませんが、法案審議の際の参議院の附帯決議の中で、これに関連することといたしまして、消費者事故についての調査を行うために、消費者庁に集約された事故情報の分析のために、外部の識者に入っていただくタスクフォースというものを設置をして、事故の原因究明、再発防止の対策の迅速化を図ることという条項がございます。これを踏まえまして、昨年末から10名の各分野の先生方に委嘱申し上げまして、タスクフォースという形で入っていただいて、いろいろと助言をいただいているという体制で分析、調査を進めているという状況がございます。
 それから、2ページ目の消費生活用製品安全法でございますが、こちらは若干趣が違うところがございまして、まず、真ん中の青色の箱でございますけれども、ここは事故情報の公表、先ほどの消費者安全法の13条に対応する条文でございます。
 公表に当たりまして、36条第4項で、主務大臣は公表につき必要があると認めるときは機構に、機構にというのはNITEのことですけれども、NITEに対しまして技術上の調査を行わせることができるという条項がございまして、公表の際に一つひとつの事案の状況に関して調査を行わせることができるというつくりになっております。
 また、先ほどの消費者安全法の16条から18条にかけての条項に類する条項といたしましては、39条、事業者に対して重大な危害が発生、拡大を防止するために必要な措置、取るべきことを命ずることができるという条項がございますが、こちらの方も先ほどと同様でございまして、危害の発生拡大を防止するために特に必要があると認めるときにはという形で、必要があれば原因の調査をするという構造になってございます。
 これ以外に、32条の21という条項がありまして、特に製品の場合、経年劣化による事項が多数発生しておる状況がございますことから、経年劣化に関する技術上の調査もNITEに行わせることができるという条項が特に設けられております。
 1個1個の事故、事案の調査を行わせるための体制が、こちらの方はNITEが受ける形になっておるのでありますけれども、なお、ここで主務大臣はとあるんですが、この主務大臣は消費者庁ではなくて、経済産業大臣を意味しているという形になっております。
 以上が分析に関連する基本的な条項の御説明でございます。
 実際にどんな分析を行ってきておるかという御紹介が3-2、3-3の資料でありますけれども、製品安全法のNITEの調査は経済産業大臣の命令に従って行われるものでございますので、消費者安全法の附帯決議に登場しますタスクフォースについてという資料をお配りをさせていただいております。
 3-2の平成21年12月消費者安全課という資料でありますけれども、「事故情報分析タスクフォースの発足について」ということで、昨年、消費者庁発足後、3か月ほどの間で準備をいたしまして、2枚目に付けさせていただいているような、いろいろな分野の先生方、現在、10名の先生方に委嘱申し上げて、必要な助言、指導をちょうだいしている状況でございます。
 このタスクフォースでありますけれども、3番目の活動というところにございますが、原因究明、分析を進める課題や方法の選定、試験研究機関、検査機関等に実施を委嘱した分析結果の評価、その他原因究明、分析の推進に必要となる事項などについて助言、指導を行っていただいているところであります。
 具体的にどんなことをやってきているかというものが2枚目以降に付けさせていただいております。これは半年ほど経過した4月末の時点で整理したもので、若干古いもので恐縮でありますけれども、この時点では、7つのテーマを選定いたしまして、分析を進めてきておるところであります。どういうテーマをピックアップしているかということでありますけれども、事故の発生件数の多いものの中で、特に消費者庁として独自の対応が、独自の対応がというのは、何らか別の機関で調査が既に進展しているというものを除いて、消費者庁として対応が必要なものを抽出するということで課題の選定を行ってきております。
 具体的には、まず、転倒とか転落といったタイプの事故で、ここ最近で頻発しておった事故といたしまして、公園などに置かれております遊具での事故、また、本屋さんで本棚が倒壊してきて圧迫骨折をするといった事故に関して分析のための取り上げをしております。
 それから、窒息・溺死といったタイプの事故に関しまして、ゴムボールを飲み込んで窒息するといった事故、あと、子どもを浴槽で浮かべさせておくための浴槽用浮輪というものがあるんですけれども、それでの溺死の事故についての調査をいたしました。
 それから、中毒、有害物質への曝露といった事故の類型では、家庭用品による中毒事故、それから、健康食品による事故といったものを取り上げてございます。
 それから、火災への曝露ということで、ライターの火遊びによる火災事故といったテーマを選定をして調査をしてきたところであります。
 これらのテーマの選定に関しまして、タスクフォースの先生方に御助言をいただいた後に、そういうテーマをどういうところで分析をしたらいいか、専門の機関を御紹介いただきまして、例えば、家庭用品による中毒事故ということでは、財団法人日本中毒センターに委嘱いたしまして、5歳未満の子どもの中毒事故というのが圧倒的に件数が多くて、かつ、事故のあらわれ方としては、経口摂取による事故で、ひどい場合には意識障害などを起こしている事例があるということで、具体的にどういう事故の発生状況であるかということの詳細状況を今、追跡的に調べて、どういう注意喚起なり製品改善ができるのかということをとりまとめをしようとしているところであります。
 健康食品についても類似の作業を今、進めてきているところであります。
 それから、本棚の転倒事故というのは、昨年の秋に発生をしたものでありますけれども、いろいろとヒアリングをしていますと、最近、比較的のっぽな本棚が流通をしている実態があるようでありまして、改めて棚の安定性というものに関して、これは明治大学の理工学部の実験施設で今、実験を行っていただいているところであります。分析が終わりましたところで、家具の協会でありますとか、本屋の協会でありますとか、そういうところにどういう働きかけができるかのとりまとめをしようということで、今、分析を進めているところであります。
 それから、遊具に関する事故というのは、公園のブランコとか、滑り台とかということなんですけれども、非常に事故の件数が多いということが事故情報の収集をしておりまして実感されるところであります。割ときちんと管理がされております場合と、かなり錆びついたり、老朽が進んでいるようなケースでそのまま使っているような場合がございまして、特に保育園でありますとか、児童館でありますとか、なかなかそこまで管理に手が回っていないのかなという実態も散見されましたところから、現場の調査を終えまして、これは都市公園協会という財団法人に御協力をいただいたんですが、事故防止につながるために、日常的にどういうところを点検をしたらいいかというような重点項目をまとめましたり、あるいは老朽化等して、事故がありますと撤去してしまうというケースがしばしば見られるんですけれども、そこまでするのではなくて、どういう補修がどのぐらいの経費で可能かということのとりまとめをして自治体等に注意喚起、参考にしていただくよう情報提供するといった取組みをしてきたところであります。
 それから、これはどちらかというと製品起因というよりは誤使用に属するのかとは思われますけれども、ライターの火遊びをしていたことに起因すると考えられる火災事故が非常に多いという調べを消防庁に御協力をいただいていたしまして、特に子どもが火遊びをしていたと見られる場合には死傷率が非常に高いということで、これらデータを自治体、消防等を通じて注意喚起情報として活用していただいているという状況でございます。
 それから、ゴムボールによる窒息事故、浮輪による溺死の事故などに関しましても、これら製品の流通実態を調べまして、更に注意喚起としてどういうものが考え得るかということの検討を継続しているところであります。
 それから、これもタスクフォースで御検討をいただきつつ、特にこんにゃくゼリーの問題は重要だということで、特別な対応プロジェクトを政務三役の下に発足をさせて、とりまとめを今年の7月に行ったものであります。タスクフォースの先生方からは、資料3-3の3ページ目にございますけれども、こんにゃくゼリーの問題をどういうふうに考えたらいいかということで、以下のような御助言をいただいたところであります。
 1つには、製品の、食品ではなくという意味ですが、製品の設計開発の現場では安全性を考慮することが大前提となっている。食品に関しても、リスクが確認されているのならば、販売形態、例えば、おやつと誤認されるとか、あるいは消費形態、消費者の注意がどのぐらい行き届いているのか、あるいは商品固有の物性等の設計開発を改善していく等、段階的に改善していくべきではないかといった御指摘。
 また、商品に問題があるのであれば、メーカーは自主的な改善を図るべきである。そういう方向で行政の方も働きかけを強化していくべきだといった御指摘。
 あるいは、警告表示なども一定の有効性はあると考えられますけれども、漠然とした表記ではなくて、窒息事故が発生をしやすい理由などをわかりやすく伝えることが重要であるといった御指摘。
 また、こんにゃくゼリーだけに限らない御指摘といたしまして、窒息事故というのは事件性がないために、リスク低減のための検討が余りなされていない分野なのではないか。消費者庁がこういった分野に率先して取り組むべきではないかといった御指摘。
 また、同様の事案が将来起こる可能性があることから、食品の中でも加工食品は安全性に関して、より考え方を整理をして徹底していく取組みが必要なのではないか。
 こういった御指摘をちょうだいいたしまして、もう一歩踏み込んだ分析をして、再発防止のための取組みを進めるという方針を決めたところであります。
 具体的には、後ろの方に別紙1、別紙2を付けさせていただいておるんですけれども、2つほどの分析を行いました。
 1つは、窒息事故と言いましてもいろいろな対応がございますものですから、例えば、高齢者の方に頻発している事故でありますとか、非常に頻繁に窒息しているんだけれども、それほど重症ではないとか、そこをもう少し詳しく分析をしてみようということで、消防庁に御協力をいただきまして、食品・製品の別、また被害の重い軽いの別、更に被害者の年齢の別というデータを提供いただきまして、例えば、食品の別で、重症以上が多い食品はどういうものがあるかというような解析を行ったものであります。
 こういうふうにいたしましたところ、事故の件数自体は、おもちとか、あめとかいうものが件数が多いのでありますけれども、重症以上の割合が高いということになりますと順位が少し変わってきて、たまたまこの対象にした期間がそうだったという可能性がありますので断定的なことは申せないのですけれども、こんにゃく入りゼリーというのは、一旦窒息事故が発生をすると重症になってしまうケースが多いという傾向があるのではないかという指摘をしたのが別紙1の分析であります。
 また、別紙2の方では、どうしてもデータ数に限りがあるということで、信州大学の医学部に御協力をいただいて、窒息の状況を再現する実験をいたしました。窒息という状況を再現するために、まず、唇から舌辺りまでに吸い込まれる吸引という状況と、歯でかみ切れるかという破断という状況、それから、口の中で滑りやすい滑りやすさを再現するための滑動という状況、それから、食道、気道の辺りに食品がかぶさってしまった状況のときの閉塞の強さを示すための閉塞の状況を再現するための試験を行っていただきました。これらの実験を行いまして、こんにゃくゼリーがかなり重い窒息を起こしやすいリスクを持っているのではないかといった指摘をしたのが別紙2の分析であります。
 テーマの課題の選定の仕方、分析のアプローチなど、そもそも取り上げている件数、処理速度といったところでいろいろ課題はあるのかなとは思ってはおりますけれども、今まで、こういった形で分析を行ってきているという御紹介でございまして、どういう選定方法、どういうアプローチ方法、どういう解析方法があるかということをいろいろ御指摘、御議論いただければ大変にありがたく思ってございます。
 資料3-4では、どういうふうに改善していくかという内容というよりは、そもそも人手が足らないという問題を抱えているというのが正直ございまして、来年度、23年度に向けて、消費者庁の体制の強化についてということで、現在、要求、要望を出させていただいているものを御紹介しているものであります。特に事故被害の発生・拡大を防止するために、分析をしっかりする体制をつくるということを1つの柱としてございます。
 裏側に内容を書かせていただいておりますけれども、私ども、分析を強化するときに、分析という中身が2つに分かれるのかなと思っておりまして、1つは、収集した情報の中から、重要な案件、深く分析すべき案件を抽出する、ここでは情報解析と書いておるんですけれども、集約した情報の中から重要なものを見つけ出すというタイプの分析が1つ重要なのではないかと思っています。
 その上で、特に深い分析を行うべき案件に関して、製品のどこに問題があるのかということをきちんと調べ出すという原因の調査をするというフェーズがもう一つあるのかと思っております。
 それぞれに関しまして、そこにございますような体制の強化を要望しているところでありますけれども、仮に要望どおりの強化が図られたとしても、十分な体制だと言えるほどの規模のものではないかなと思いますものですから、そこは外部の機関とのネットワークの構築でありますとか、いろいろな工夫を今後ともしていく必要があるかと思ってございますし、また、そういう点に関しても、いろいろと御助言、御指導いただければ、大変ありがたく思ってございます。
 資料の説明は以上でございます。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 今日、分析の問題について議論する前提となる情報の提供を今、野村課長からしていただきましたけれども、ただいまの御説明も含めまして、分析の問題について、御意見等ございましたら、御発言をお願いします。
 齋藤委員、どうぞ。

○齋藤委員 分析のテーマの選び方についてお伺いしたい。私は、経済産業省と一緒に事故情報の公表が適切に行われているかどうかを検討するメンバーに入っています。その際に、こういうことで発熱・発火、火災になるという事例が結構あります。それで関心を持って見ていたところ、平成21年、去年の消防庁のデータによると、1年間に5万1,000件、出火件数がある。そのうちの1万1,000件が放火、それから、放火の疑いだということです。あとは、大きい順番に、コンロが5,100件ありまして、たばこが大体5,000件、これにマッチ・ライターの1,000件弱を足すと5,900件がたばこと、それに隣接するマッチ・ライターである。あと、焚き火・火遊び・火入れが続きこの3つを合計すると6,500件。その次がストーブで1,400件。次に、これは意外だったのですけれども、電灯電話等の配線が1,300件。それから、配線器具が1,000件。その次に電気機器800何十件と来るわけです。となると、この件数の多い分野について、消費者目線というところからどのように取り組むべきなのか。
 それから、もう片方で、国民生活センターが発表しています、事故がどこであったのだということについて見ると、多いのは階段、床、椅子・テーブルなどの家具、あとはドア等です。その辺を含めて考えないと、少ないパワー、少ない予算でどこまでカバーし切れるかというのが、後で議論になると思います。私が感じているのは、力の入れ方で、手を抜く必要は全くないと思いますけれども、大きなところが抜けているのではないか、ほかにもっとすべきことがあるのではないか、ということです。その辺を一回議論した上で進めると、みんな納得して、頑張ってくれ、協力もしようということになってくるのではないかと思います。

○野村消費者安全課長 資料3-2で御説明させていただきましたように、とりあえず立ち上がりの半年の間としては7つの課題を抽出をして取り組みましたということで、その考え方といたしましては、事故の発生件数が特に多い類型の中で、転倒・転落、窒息・溺死、中毒、有害物質への曝露、火災といったカテゴリーの中で、消費者庁独自に、ほかで特に対応が取られていないものに関して分析をしてみましたという考え方ではあったんですけれども、今、おっしゃってくださいましたように、例えば、ガス機器、電気機器といった大きな分野がここの中に登場していないのですけれども。

○齋藤委員 配線関係等も多いですね。

○野村消費者安全課長 はい。それら分野、一応、所管のところで分析をしている、追跡確認をしているというお話は伺っていますので、まずはそちらの方に委ねてという判断をこの時点でしておったということはあるんですけれども、ただ、分析している、ちゃんと対応しているはずでも、それでもなおたくさん事故が起こっているではないかというところに関しては、別に消費者庁の方でお任せするという態度を取る必要は全くないと思いますので、再発性の高いようなものに関して、更に分析を違った観点でしてみるというようなテーマの選定の仕方は十分考えられることではないかと思っております。ちょうど今年度の後半にかけての分析のテーマを今、抽出する作業の中で、まさに先生御指摘のような観点でタスクフォースの先生からも御指摘をちょうだいしているところでありますので、適切に課題の選定に取り組んでいるようであるなと見ていただけるように、十分その辺は考えながら進めさせていただきたいと思っております。

○宇賀座長 杉山委員、どうぞ。

○杉山委員 消費者庁の体制強化ということで、資料2-2の中でも、これまで出された意見の中で、消費者庁が主役になるなり、消費者庁主導で分析できる体制をということで、この間、情報収集ですとか、今日の分析においても、今後、ベースになるのは消費者庁の体制をどうしていくかということで、今回、資料3-4で出されたのは、方向感的には前向きにすごく受け止めているわけですが、その上ででも、この間出された、さまざまな作業量、想定できる作業量から見たときに、これは補正での要求かどうかわかりませんけれども、何というか、非常におしとやかな要求といいますか、非常に小さな要求かなと思えるわけです。
 最初なのでこの程度の要求にしたのかどうかわかりませんけれども、少し見えづらいのが、現行の消費者庁の体制、発足から、この間、そしてそれぞれ今後の課題がそろそろ見えてきた中で、現状でできること、そして、この体制をやはり拡充していかないと、どうしても対応しづらい部分、そして、今、消費者庁にいるスタッフ、それらの人材育成的な面も含めて、時間軸の中でどのように強化していくのか。今回8名という形で出ていましたけれども、それは今後に向けてどういう体制を取っていくのか。ちょっとした絵を是非見せていただきたいなと思っています。
 そして、その絵があった上で、先ほどあったタスクフォースがどのようにそこに関係してくるのか。すべてを全部タスクフォースに依存していくという形では、余り適切ではないのかなと。やはり主たるものは消費者庁の中でしっかりやり、それをきちんと補完する形でタスクフォースというものが機能していくんだと。それがしっかり外から見える形で整理されるんだというようなものがもう少し見えた形で、この体制強化を示していただけると非常にありがたいかなと思っていますし、さまざまな場面で消費者庁の体制強化を訴えていく中でも、しっかりとした根拠になっていくと思います。今回、まだ資料の関係等もあるかなと思いますので、次回以降でも結構ですので、現状の問題点なり、今後の方向感なり示していただければと思いますので、よろしくお願いします。
 以上です。

○宇賀座長 中村委員、どうぞ。

○中村(均)委員 被害の発生、それから、拡大を防ごうと思ったら、やはり早期発見、早期対策が非常に大事なことではないのかなという気がするんです。今、お話の原因調査というのは、グレーな部分について原因を追求していこうと、これはこれで非常に大事なことだと思うんですけれども、1件、あるいは2件しか起こっていないもので、本当に根本的な大きな問題を含んでいるものを早く見つけて、早く知らしめることが被害拡大防止には非常に有効だと思うんですけれども、それについての対策がよく見えなかったんですが、その辺を教えていただけませんか。

○野村消費者安全課長 3-1の資料で省略してしまって申し訳ございませんでしたけれども、16条から18条の条文を御紹介させていただいたんですが、その前に15条という条文がございまして、これは注意喚起の条文なんです。特に重大な事故があったときには、被害の再発・拡大を防止するために必要な内容を情報発信していく、注意喚起をしていかなければいけないという規定がございます。
 ですから、特に必要があると認められる重大な事故が発生している、拡大する可能性があるかもしれないということを認知したときには、状況をしっかり調べて、立法当時の資料などによれば、中国製冷凍餃子事件などがイメージされた条文のようでありましたんですけれども、事細かに、付着している化学物質が何なのかということが時間がかかるかどうかということとは別に、同種の流通ルートで入荷したと思われるものがこういう形で事件になっているという、例えば、その段階での分析、調べたことを注意喚起として発信していくということは当然にしなければいけない任務として置かれているというのは認識してございます。
 幸いにして、この1年の間にそれにまさに合致するようなものはたまたま発生していなかったようであると思っておりますけれども、何かあったときには、まずはそれを、おっしゃってくださったように、早期発見、早期対応というようなことは常に心しなければいけないことかと思っております。

○宇賀座長 橋本委員、どうぞ。

○橋本委員 消費者庁の体制強化についての裏のところにある、身の回りの製品などによる事故対策の強化という中で、現状では、21年度、318件中、原因究明が行われたのが6件で、目標として、年間42件を想定となっているんですけれども、これは、その下の増員8名をした場合は42件なんだけれども、もう少し人手があればもっとこの件数を増やせるとか、そういうような数字なんでしょうか。この42件の根拠について1つお伺いしたい。
 あと、最初の方に、この事故情報についての法的根拠をいろいろ御説明なされたんですけれども、附帯決議とともに、附帯決議は3年をめどにいろいろ考慮していくということなんですが、わざわざ根拠をいろいろ述べられたということは、現状で、この法律だとなかなかできないので、この委員会だけではなく、いろいろな委員会において、法律も考えた方がいいとお考えで、最初にこういった根拠を述べられたのか。もし、そういった改正が必要だということであれば、今後その論議もされていくのか、その辺を聞きたいと思います。

○野村消費者安全課長 まず、1点目の御指摘は、ここも御説明を省略してしまって申し訳ありませんでしたけれども、消費者庁に集約される事故情報の通知件数を資料3-2の2枚目の上の方に、収集されている事故情報の状況をかいつまんで説明させていただいている部分があるんです。重大事故に関しましては追跡調査を行っておりまして、これで関係省庁なりにおきまして対策を既に取っているとか、対策を取ろうとしているとか、分析を今、自分のところの試験機関でやってもらっているところだとか、そういう追跡確認をするようにしております。
 ここの中で、未進展その他32件とありますけれども、この32件の中身といたしまして、20件ほどが、本当であれば、だれかがしかるべき分析をして対応を考えた方がいいんではないかというものがございます。半年間で20件ほどなものですから、1年ぐらいで40件ぐらいのオーダーは、本当はだれかが分析した方がいいんではないかというものが発生をしてくる、そういうベースを念頭に、それに対応できるような体制を整えたいということで、今回の要望、非常に控え目な要望だという御指摘はございますけれども、根拠づけて、何とかそのぐらいは事務業務量としてどうしても必要だという要望をさせていただいているところであります。
 あと、資料3-1の御質問に関しましては、行政の立場から、立法に関して何か問題があるとか、ないとかということを申し上げられる立場にはないんですけれども、ただ、先ほどの齋藤先生の御指摘にもございましたけれども、何を取り出して、何を分析しているのかということは後々問われることになるよということは問題意識として非常に持っているんです。ただ、片や、何を分析しなければいけないのかということに関する決め事が何かあるわけではない状況でありますということは御説明させていただきつつ、分析をして再発防止につなげていくということの意義とか必要性自体は否定される方はほとんどないのかなと思うんですけれども、何かいいことをやっているということにしつつ、やりやすいことからやっているだけという状況に陥ってしまったりとか、そういうことにならないようにするために、自分たちの内部においてどういう決め事なり、どういう考え方を持っていなければいけないのかとか、あるいは場合によっては外からそういうルールを与えていただくとかということは、後々そういうことは検討課題としてはあり得るのかなという問題意識は、個人的な意見ですけれども、持ってはおりますものですから、そういう意味もありまして、問題意識がありますかという委員の御指摘に関しましては、潜在的にはあって、3-1のような資料を提出させていただいているということであります。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 コンロだとか、マッチだとか、まともなメーカーではないけれども、やれるようなところは、消費者庁はふんふんと見ているだけで、嚥下のところとか、溺死のところなどは、今までおふろで溺死しても、どんなおふろだったのかの調査さえもされていなかったと思うんです。それから、嚥下のところで、窒息する人だって4,000人近くいると思うんです。ところが、デイケアセンターでそういう場合はどうするかといったら、掃除機を持ってきて吸い込んでいる。その辺を掃いている掃除機を窒息している人に使うんだったら、最初からAEDみたいなものをつくって、詰まったお年寄りがいたら、それを使って吸い取ればいいではないか。そういう機器は何で出てこないんだろうというのが不思議なんです。
 だから、消費者庁がやるべきところは、こういうちまちました一個一個の、さっきおっしゃったとおり、できるところからやるというのも1つの手なんだけれども、もっともっと大きなところで、溺死と窒息にするとか、階段も、工場の場合は急な階段はもうつくれないんです。ところが、家などではものすごい急な階段がいまだに建築基準法をくぐり抜けて残っていたり何かするから、こういうのは使ってはいけないとか、お金を出すから直せとか、そういうことをしなければいけないとか、今までの家庭内の事故というのはだれも何もしていなかったから、そういうところに集中してやるようにすれば、不慮の事故の1万人を少し減らすんだというようにしたら、今、だれもやっていないから、これはこれでものすごい効果があるんではないかと思うんです。

○宇賀座長 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 齋藤先生がおっしゃっていた配線器具の話なんですけれども、今、溺死防止も、そういうこともすごく大事だなと思うんです。小さい子どものいる家庭に行く経験者として感じているのが、配線器具とコンセントが危険だということなんです。しかも、どのお家にももう既にあって、排除することができなくて、古いものを使う可能性があります。それに、どんなメーカーの商品にも、海外製の適当なコンセントがついているようなイメージが、NITEに伺ったときにもあったのが気になります。もちろん環境によっても危険の種類が違うと思います。普通に発火するようなこともあれば、最新情報では、束ねていると発火しやすいということもわかりましたし、あと、水槽の横にあるものに水がかかると発火しやすいということもわかりました。
 具体的に言えば、一昨日、雑誌の企画で、小さい子どものいるお宅の危険度チェックに伺ったら、大きな水槽があって、コンセントがすぐ下にあって、これはかなり危ないタイプだというのはわかったんですが、ではどうしたらいいですかと聞かれたときに、すごく答えるのが難しかったんです。コンセントの位置を高い位置に変えられれば良いのですが、それってできるのかなとか、何かコンセントのカバーをつければいいんですよね、でも、そのカバーは逆に水がかかったら危なくないですかなとか、具体的な対策までなかなか見出すことができなかった。
 もともと事故情報を集めているのは、再発防止、それから、大きな事故がないようにということのためにやっているんだけれども、良い情報が集まってきていても、そこまでつなげるのは、なかなか難しいんだなというのを実感してしまいました。そういう意味で、情報と分析されたものをどう生かしていくかということについて、配線器具とコンセントとの関係とかは最初にやっていただけると、小さい子のいる家庭では特に良いかなと思います。コンセントは、なめた手で触ったり、何か突っ込んだりして感電するとか、子ども独自の特徴を考えても重要だということもあるので、年齢によっても違うと思いますけれども、是非そういうところもやっていただきたいです。窒息・溺死プラスそういったところをやっていただけると、消費者庁が何か大きな新しいことをやったよという気がするんではないかなと思いました。

○宇賀座長 佐竹委員、どうぞ。

○佐竹委員 私ども消費生活センターで受ける相談の中で、製品事故の相談というのは増えているのです。相談を受けたときに、まず私たちはテストをしていただくということを考えるのですが、今、消費生活センターからテストを依頼する機関として、国民生活センターとNITE、この2つの大きなテスト機関があるのです。では、どのようなテストをどちらのテスト機関に依頼したらいいのかということが明確ではなくて、それぞれのセンターの判断に委ねられているということになっていますので、それぞれセンターで受けた相談で、これはNITEにテストを依頼しようとか、国民生活センターに依頼しようということをその都度判断して、テスト及び分析もしていただいているというのが状況だと思うのです。またそれぞれテスト機関で、受けられる量というのもやはり限りはあると思いますので、それを有効に実施していただくために、国民生活センター、NITE、今回のこのタスクフォースというのが、国センとNITEでテスト、分析された以外のものが分析されると思うのですが、その辺の情報はどのようにデータベース化されて共有されているのか、わからないのですけれども、是非、国セン、NITE、このタスクフォース、それと、地方にもまだテスト機関というのはあると思うので、そのような商品テスト結果分析、全ての情報を是非データベース化していただいて、有効に活用していただきたいというのが現場での希望です。よろしくお願いいたします。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 片山委員、どうぞ。

○片山委員 先ほどの御説明で、318件重大事故があった中で、消費者庁は追跡調査をして、既にほかの省庁等で調査をしているものを除いたものについて、消費者庁が主体的に調査をするとおっしゃったと思うんですが、その場合、他の機関で調査がなされているものについてのチェック、本当に消費者目線での調査がうまくなされているかどうかの監督はやはり消費者庁がやるべきだと思うんですが、その辺のところは今、どうなっているのかをお聞きしたいのが1つ。
 それから、消費者庁が分析だとか原因究明の中心にならないといけない事故は本当にたくさんあるというのが今日の話でもわかるので、人員の増ということもそうですし、もう少し解析、分析のシステムといいますか、そういうものが消費者に見えるように、消費者庁が集めた情報をどういうふうに分析しているかということが消費者に伝わるような工夫もしていただきたいと思います。

○宇賀座長 それでは、御質問がありましたので、これについて野村課長からお答えいただけますでしょうか。

○野村消費者安全課長 追跡確認をして、ほかの試験機関などで調べているという、その中身にまで調べをしているかというと、今はできていないです。調べていますという報告を聞いて、それでおしまいという状況です。ただ、そこは前の方の議論でも御指摘ございましたけれども、やっていますということになっているんだけれども、また起こっているではないかということは知り得る情報を集約する立場にはありますものですから、そういうときにどんな分析がなされているのか、ほかの観点からもう少し分析をしてみたらどうなのかというような発想方法は持つべきであろうとは思っております。具体的にどこまで今年度できるか、来年度以降どこまでできるかということは体制のこととも絡みますけれども、申し出に関しましては、前向きな対応を取っていきたいという考えは持って、問題意識としては共有させていただければと思っております。
 それから、原因調査をする体制を見えるようにということは意識的に取り組みたいと思っておりますが、冒頭の方で資料3-1でも御説明させていただきましたように、与えられております権限の必要性を判断する範囲内で調査を行うというところからやっております。本当に調査をすることが期待されるものがすべからく取り上げられるような仕組みになっていると言えるのかどうかというところは、いろいろな検討が、ちょっと議論が離れるかもしれませんけれども、消費者庁自らが行わなければいけないことと、政府の中で事故調査をするための新しい機関を創設してはどうかという御議論もあるようでもありますものですから、まだこれからいろんな議論がいろんな場所で行われていくのかなと思っております。消費者庁が消費者庁としてやっております原因調査に関しましては、できるだけ拡充もして、また、それがわかりやすいように情報発信をして、あるいは調査結果をデータベース化してというような取組みは、宿題といいますか、検討課題として持ち帰らせていただければと思います。

○宇賀座長 中嶋委員、どうぞ。

○中嶋委員 中嶋です。
 先月、消費者委員会の事務局の御手配で、研究機関といいますか、テストセンターを3か所訪問して見学をさせていただく機会を頂きました。NITEと国民生活センター、農水省の関連の3つ、全部性格が違います。私の目から見ますと、NITEがやっている分析や調査というのは、基本的に事故原因を究明するだけ、そこから先には踏み込んでいかない。もっと言えば、これは事業者の責任であったか、消費者の責任であったか、そこで終わりです。
 それに対して国民生活センターの調査はそうではなくて、もう少し踏み込んだ調査、研究をやっている。どうやったら消費者の事故を防げるか。この差異は役所の仕組みと関わりがあるんだろうと思っています。NITEの組織は経産省とまさに表裏一体です。では、消費者庁は国民生活センターと表裏一体になっていますか。私は、このまま行くと国民生活センターがなくなるんではないかと思って非常に心配しているんです。
 国民生活センターがやっている仕事は非常に意義深いものがありまして、先ほど中村委員から早期発見が大事ではないかと言われましたが、事故の早期発見などはあり得るはずがないんです。不具合を見つければ、それが早期発見なんです。今、消費者庁でやっている情報収集制度というのは、事故情報の収集であって、不具合情報の収集ではありません。ということは、消費者庁の情報収集制度からは早期発見に至るような情報は多分、入ってこないと思います。いわゆる事業者、企業も、今の状態であれば、消費者庁が集めてくる情報、そこから分析されてもらえる情報を当てにできないと思うんです。なぜかというと、自分たちの製品を改善していくのに役に立たないからです。
 先ほどのお話には、問題点が6つあります。まず第一番目に、今日、予算の要求を拝見してがっかりしました。今までは、立ち上がったばかりなので応援をしましょうと言ってきましたけれども、今日は6項目の要求を出させていただきます。まず、なぜこんなに少ない金額になっているのか。金額ではなくて、どういう絵が描けるのか。テストセンターを消費者庁内に設置するか否か。分析をされる方は、どこで働くのか。どこで資料を分析するのか。これをお伺いしたい。
 それから、事故情報のとりまとめと公表のプロセスはここにあるんですけれども、これは先ほど国土交通省でのリコールのとりまとめと同じ問題があります。消費者庁の方は、この公表のプロセスに当たって、どういう特別の対策を取るのか、リコールと同じような状態が起こらないようにできるのかどうか、これが2点目です。
 3点目は、ここに注意喚起であるとか、措置、要求、勧告、命令というのがあるんですが、これらを発動する仕組みはどうなりますか。事故原因についてはタスクフォースを立てられた。では、それよりももっと重い、自分たちの最終的な権限を発動するための仕組みは消費者庁の長官が自分でやるんでしょうか。それとも委員会を立てられるのか。そういう仕組みについてはどうお考えなのかというのを教えていただきたい。もしくはこれからの検討であれば、検討していただきたい。
 それから、先ほど言いましたけれども、NITEと国民生活センターは同じ事故調査であっても全く違うアプローチをしています。極端に言えば、NITEの場合には、事故情報に基づいた仕事しかしていません。それに対して、国民生活センターは事故情報以外のデータに基づいて調査・分析を行っているようなこともあります。消費者にとって余り好ましくないと思われるものについて、国民生活センターが発議をして、調査・分析を始めている。これは本来消費者庁がやるべき仕事ではないのかと思っていますから、お示し頂いた資料3-1の中に国民生活センターが入っていないといけないと思います。
 それから、他の省庁との関係はどうされますか。たかだか3か月、4か月ですけれども、委員会に出させていただいて見えてきたことは、消費者庁が持つべき目線と、他の省庁が持っている目線とは違っていて当然ではないかということです。であれば、ほかの省庁がやっているからOKというふうにはならないんではないではないでしょうか。そうした場合に、これは経済産業省でやっているから、これは厚生労働省でやっているから、私たちはその隙間だけでいいんですという発想に本当になるのかどうか。そこをもう一度御検討いただければと思います。
 以上でございます。

○宇賀座長 野村課長の方で今、お答えいただけることはございますか。

○野村消費者安全課長 御質問という以上に御指摘というふうに伺うところが多いのでありますけれども、事実関係的なことで申し上げますと、まず、分析をどういう体制で、実際、自前で、センターなりで分析しているということがありますかというのは、自前でそういう施設やスタッフや設備を持っているわけではなくて、すべて外注であります。将来的な課題としてはどう考えるかということはございますけれども、今はそういう状況であります。
 それから、公表に関しましては、重大事故に関しましては、すべて定期公表することにしておりますので、取捨選択して、出したくないものは出さないということにはなっていないのかなとは思っております。ただ、出す内容をより詳しくということは、先ほど長官のお話もございましたけれども、より一層詳しく情報を出していくようなことは、今年度中にルールをつくろうというふうに長官から今、御指導いただいているところであります。情報隠しのようなことが決してないような体制をきちんとつくっていく必要があると思っています。
 あと、安全法の16条、17条、18条の発動というのは、発動権限者が内閣総理大臣になっておりまして、非常に重いものでありますので、これに関しましては、庁の中でしかるべき意思決定をした上で、大臣まで裁断を仰いで発動するという仕組みになっているものだと理解しております。
 それから、国センが自らいろいろ商品テストをやって、情報発信をやってということの非常にユニークな、有意義な活動をされておられることはよく承知をしてございます。我々の方も、この半年の間で1つ、こういうものをテストしてみてもらえないかと言って、共同で発表してということもやってはおりますけれども、国民生活センターと消費者庁の役割分担、あるいは協力関係、そういうものをどういうふうにつくっていくかということもこれから更に検討していかなければいけないことかと思っております。
 あと、他省庁がやっているから、自分はそういうものはやらなくて、隙間だけやっているという態度はいけないのではないかというのは誠にそのとおりであるかと思っております。隙間事案に関しては、いざとなったら自ら強い権限でということと、隙間だけやっていればいいということとは意味が違うと思いますので、御指摘は十分踏まえて、今後更に分析に力が入れられるように詰めたいと思います。

○宇賀座長 横矢委員、どうぞ。

○横矢委員 大きなお話の後にあれなんですけれども、一応、消費者の代表として来ているので、現状として、家庭がどんな対策を取っているかということをちょっとだけお話ししたいんです。先ほどのコンセントのお話で、例えば、赤ちゃんのいるお家だと、コンセントに足を引っかけないようにどうしているかというと、100円均一のコードをぐるぐると巻き取るグッズを買ってきて使っているとか、そういうことをされているんです。100円均一のグッズでいろんな工夫ができますというのがはやりのようになっていて、ネットで公開されると、それを皆さんがまねされたりしているんですが、それ自体が逆に危険を呼んでいるんではないかということがいろいろありました。調べてみると、おふろの滑り止めにも100円均一のじゅうたんの滑り止めのシートを使っていたり、お水に耐性があるかどうか全然わからないものが使われていたり、そういう誤った使い方をしているものもあるので、早目に対策を、何らかの形で、結果が出る前にでも、こういうことはちょっと注意をしてねというふうに普段から言っていくような方法があればなと感じました。

○宇賀座長 中尾委員、どうぞ。

○中尾委員 消費者庁と言っているから消費者のためになるんだけれども、国民の安全を考えるような、国民安全庁みたいなことを考えれば、投資するところが違ってくるんではないかなと思います。イギリスは、何て言ったか忘れてしまったけれども、ヘルス・アンド・セーフティのビューローみたいなものがあって、ここは何人ですかと言ったら、4,000人ぐらいとか言って、ひえっと思ったんだけれども、そういうように、もっともっと大きな観点でやっていけば、おふろとか階段とか、何でだと思うかもしれないけれども、国民の安全から見れば一番いいんではないか。
 それから、このまま行くと、8人がNITEでやっているものと同じようなことをやったら、ちょっと悲しい。4,000人だったらいいけれども、8人なんで、そっちも何だなと思うんで、やるんだとしたら、誤使用で捨ててきたもの、たしかこのデータだと290件か何かあると書いてあったもの、そちらの方で、もしかしたら、消費者のためにやらなければいけないのかなとか、それでもリスクの、死から逃れる人を助けるとしたら、たかだか数人だろうから、もっと大きいところを狙って投資してみたらいいんではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 鶴岡委員、どうぞ。

○鶴岡委員 当面の体制としては、やはり十分でないということはいろんな方々から御指摘あったとおりだと思うんです。その中で、調査、分析しなければならない案件というのは、これからも出てくるだろう。その場合に、1つの考え方として、出てきても、それに適する人材がいないとか、そういう問題に衝突することもある。その場合に、例えば、メーカーに質問状を出す。細かい工夫の1つになるかと思うんですけれども、そういった方法も活用していかれたらいかがかなと思うんです。質問状を出したこと自体、それから、その質問に対する答えを公表していくことによって、メーカーから真剣な対応を引き出すと、そういう効果もある程度は期待できるのではないかと思います。

○宇賀座長 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。いろいろと貴重な御意見が出されました。本日の議論を整理して、今後の検討に生かしていきたいと思います。
 本日の議題は以上ですが、最後に事務局から次回の日程についてお願いします。

≪5.その他≫

○原事務局長 長時間ありがとうございました。
 次回の専門調査会は12月8日水曜日の10時から行う予定にしております。
 なお、次回も引き続き事故情報の分析についての議論を重ねてまいりたいと思います。
 それから、中尾委員より、言語処理による情報検索の実例紹介をお願いをしておりまして、予定をしております。
 それから、今回は資料をお送りするのが大変遅れまして申し訳ございません。次回以降、早目に準備をしたいと思います。
 今日はどうもありがとうございました。

○宇賀座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

≪6.閉会≫

(以上)