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諮問・答申・報告書等

(参考)

平成12年10月3日

会社分割・合併等の企業組織再編成に係る税制の基本的考え方

 

はじめに
 本年5月、企業の組織再編成を容易にするために会社分割法制を創設する商法改正法が成立した。税制においても、この法整備に則した適切な対応が求められている。法人課税小委員会においては、このような状況を背景に、平成13年度税制改正における整備に向けて、会社分割をはじめとする企業組織再編成に係る税制について法人課税のあり方を中心に検討を重ねてきた。この間、ドイツ・フランス・アメリカにおいて、各国における会社分割税制について調査を行った。
 また、税制調査会の本年7月の答申「わが国税制の現状と課題-21世紀に向けた国民の参加と選択-」においては、当小委員会における検討を踏まえ、会社分割法制に係る税制上の対応を検討する際の基本的な視点として、次の点が示された。
   合併・現物出資などの資本等取引と整合性のある課税のあり方
 株主における株式譲渡益課税やみなし配当に対する適正な取扱い
 納税義務・各種引当金などの意義・趣旨などを踏まえた適正な税制措置のあり方
 租税回避の防止
 企業組織再編成に係る税制については、その内容が今後における企業の組織再編成のあり方に大きな影響を与えること、法令改正に向けて更に実務的な検討を加えていくべき点が多岐にわたることを考慮し、当小委員会として、できるだけ早くその基本的考え方を示すこととした。

 

第一 基本的な考え方
(1)   近年、わが国企業の経営環境が急速に変化する中で、企業の競争力を確保し、企業活力が十分発揮できるよう、商法等において柔軟な企業組織再編成を可能とするための法制等の整備が進められてきている。税制としても、企業組織再編成により資産の移転を行った場合にその取引の実態に合った課税を行うなど、適切な対応を行う必要がある。
(2)  企業組織再編成に係る法人課税のあり方を検討するに当たっては、以下の点から、現行の現物出資、合併等に係る税制を改めて見直し、全体として整合的な考え方に基づいて整備する必要がある。
 第一に、会社分割には、現物出資、合併等と共通する部分があり、例えば分割型の吸収分割と合併では法的な仕組みが異なるものの実質的に同一の効果を発生させることができる。同じ効果を発生させる取引に対して異なる課税を行うこととすれば、租税回避の温床を作りかねないなどの問題がある。
 第二に、現行の税制においては、営業譲渡により企業買収を行う場合には、資産の時価取引として譲渡益課税が行われるが、他方、合併により企業買収を行う場合には、課税が繰り延べられるなどの問題がある。
(3)  会社分割・合併等の組織再編成に係る法人税制の検討の中心となるのは、組織再編成により移転する資産の譲渡損益の取扱いと考えられるが、法人がその有する資産を他に移転する場合には、移転資産の時価取引として譲渡損益を計上するのが原則であり、この点については、組織再編成により資産を移転する場合も例外ではない。
ただし、組織再編成により資産を移転する前後で経済実態に実質的な変更が無いと考えられる場合には、課税関係を継続させるのが適当と考えられる。したがって、組織再編成において、移転資産に対する支配が再編成後も継続していると認められるものについては、移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。
また、分割型の会社分割や合併における分割法人や被合併法人の株主の旧株(分割法人や被合併法人の株式)の譲渡損益についても、原則として、その計上を行うこととなるが、株主の投資が継続していると認められるものについては、上記と同様の考え方に基づきその計上を繰り延べることが考えられる。
(1)  分割型の会社分割や合併における分割法人や被合併法人の株主については、その取得した新株等の交付が分割法人や被合併法人の利益を原資として行われたと認められる場合には、配当が支払われたものとみなして課税するのが原則である。ただし、移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べる場合には、従前の課税関係を継続させるという観点から、利益積立金額は新設・吸収法人や合併法人に引き継ぐのが適当であり、したがって、配当とみなされる部分は無いものと考えられる。

 

第二 資産等を移転した法人の課税
移転資産の譲渡損益の取扱い
 法人が組織再編成によりその有する資産を他に移転した場合には、その移転資産の譲渡損益の計上を行うのが原則であるが、組織再編成の実態や移転資産に対する支配の継続という点に着目すれば、企業グループ内の組織再編成により資産を企業グループ内で移転した場合には、一定の要件の下、移転資産をその帳簿価額のまま引き継ぎ、譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。
 また、共同で事業を行うために組織再編成により資産を移転した場合にも、移転の対価として取得した株式の継続保有等の要件を満たす限り、移転資産に対する支配が継続していると考え、譲渡損益の計上を繰り延べることを考えることができる。
 なお、いずれの場合にも、移転資産の対価として金銭等の株式以外の資産が交付される場合には、その経済実態は通常の売買取引と異なるところがなく、移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べることは適当でないと考えられる。
企業グループ内の組織再編成
 組織再編成により移転した資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる企業グループ内の組織再編成は、現行の分割税制(現物出資の課税の特例制度)の考え方において採られているように、基本的には、完全に一体と考えられる持分割合の極めて高い法人間で行う組織再編成とすべきである。ただし、企業グループとして一体的な経営が行われている単位という点を考慮すれば、商法上の親子会社のような関係にある法人間で行う組織再編成についてもこの企業グループ内で行う組織再編成とみることが考えられる。
 さらに、組織再編成による資産の移転を個別の資産の売買取引と区別する観点から、資産の移転が独立した事業単位で行われること、組織再編成後も移転した事業が継続することを要件とすることが必要である。ただし、完全に一体と考えられる持分割合の極めて高い法人間で行う組織再編成については、これらの要件を緩和することも考えられる。
共同事業を行うための組織再編成
 移転資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる共同で事業を行うための組織再編成に該当するか否かは、組織再編成により一つの法人組織で行うこととした事業が相互に関連性を有するものであること、それぞれの事業の規模が著しく異ならないこと、それぞれの事業に従事していた従業員の相当数が引き継がれることなどにより判定するのが適当である。
 また、先に述べたとおり、移転資産の譲渡損益の計上を繰り延べるためには、事業の移転の対価として取得した株式を継続保有するとの要件が必要である。さらに、共同で事業を行うための組織再編成についても、組織再編成による資産の移転を個別の資産の売買取引と区別する観点から、資産の移転が独立した事業単位で行われること、組織再編成後も移転した事業が継続することを要件とすることが必要である。
資本の部の金額の取扱い
 商法上、分割型の会社分割や合併においては、分割法人や被合併法人の資本の部の利益準備金その他の留保利益を新設・吸収法人や合併法人に引き継ぐことが認められているが、分社型の会社分割や現物出資においては、それらを引き継ぐことは認められていない。
 分割型の会社分割や合併における利益積立金額の引継ぎについての税制の考え方としては、移転資産の譲渡損益の計上の繰延べが認められず、資産の移転が原則どおり時価により処理される場合には、時価による通常の資産の現物出資の場合と同様に、利益積立金額の引継ぎは行わないこととすべきである。他方、移転資産の譲渡損益の計上の繰延べが認められ、資産の移転が帳簿価額により処理される場合には、従前の課税関係を継続させるのが適当であると考えられることから、利益積立金額についても引継ぎを行うのが適当である。なお、分割型の会社分割や合併の場合には、利益積立金額の引継ぎがありうるため、その金額を計算するためにいわゆるみなし事業年度を設けることが必要となる。
 分社型の会社分割や現物出資は、資産を移転し、その対価として株式を取得するものであり、これらにおいては、利益積立金額は引き継がないこととするのが適当である。

 

第三 株主の課税
株式の譲渡損益の取扱い
 分割型の会社分割や合併により、分割法人や被合併法人の株主は、新設・吸収法人や合併法人の新株等の交付を受けることになる。この場合には、先に述べたとおり、原則として旧株の譲渡損益の計上を行うことになるが、株主の投資が継続していると認められるときには、譲渡損益の計上を繰り延べることが考えられる。
 この投資の継続性は、株式を実質的に継続保有しているとみることができる場合に認められるものであり、基本的には、株主が金銭などの株式以外の資産の交付を受けるか否かにより判定することが適当である。
みなし配当の取扱い
 分割型の会社分割や合併により、新設・吸収法人や合併法人の新株等の交付を受けた分割法人や被合併法人の株主においては、旧株の譲渡損益の取扱いとともに、分割法人や被合併法人の利益を原資として新株等の交付が行われたと認められる部分、すなわち配当とみなすべき金額の有無等についても検討が必要となる。
 この点については、分割法人や被合併法人において、移転資産の譲渡損益の計上の繰延べが認められず、資産の移転が原則どおり時価により処理される場合には、法人が時価による資産の現物出資を行って株式を取得し、その株式を減資の対価として株主に交付した場合と同様に考えて、その法人の利益を原資とする部分があると認められるときは、その部分についてはみなし配当とすべきである。他方、移転資産の譲渡損益の計上の繰延べが認められ、資産の移転が帳簿価額により処理される場合には、利益積立金額が新設・吸収法人や合併法人に引き継がれることから、先に述べたとおり、配当とみなされる部分は無いものと考えるのが適当である。

 

第四 各種引当金の引継ぎ等
 会社分割・合併等により移転する資産の譲渡損益の計上が繰り延べられる場合には、その資産に関して適用される諸制度や引当金等の引継ぎについても、基本的に従前の課税関係を継続させるとの観点から、組織再編成の形態に応じて必要な措置を考えるべきである。
 法人税における諸制度の取扱い等については、別紙によることが適当である。

 

第五 租税回避の防止
 組織再編成の形態や方法は、複雑かつ多様であり、資産の売買取引を組織再編成による資産の移転とするなど、租税回避の手段として濫用されるおそれがあるため、組織再編成に係る包括的な租税回避防止規定を設ける必要がある。

 

第六 その他
(1)  法人が分割型の会社分割をした場合には、新設・吸収法人は、その分割法人の分割前に納税義務が成立した租税について、その分割法人から承継した財産の価額を限度として、連帯納付の責任を負うこととすることが適当である。なお、営業の全部を承継させる分割型の会社分割にあっては、その租税の納付義務の新設・吸収法人への承継について、実務的に検討する必要がある。
(2)  改正商法による会社分割の法律上の効果は、合併の場合と同様とされており、会社分割による資産の移転に係る消費税の課税関係については、合併の場合と同様に取り扱うことが適当である。
 また、消費税の納税義務の判定等に関する特例を設ける必要があるほか、新設・吸収法人が承継した資産について対価の返還等や貸倒れが生じた場合の消費税額の調整等に関し、合併に準じて所要の整備を図る必要がある。
(3)  以上のほか、企業組織再編成に係る税制の整備について所要の措置を講ずる必要がある。
(4)  組織再編成に係る法人税制は、株式交換及び株式移転を合わせて検討する必要があるが、これらの制度は導入後間もないこともあり、今後、その実態等を見極めながら見直しを行うのが適当である。

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