税制調査会 内閣府
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諮問・答申・報告書等

三 消費課税

 1.消費課税の意義(P.226)

  •  消費課税には、あらゆる世代に広く公平に負担を求めることができるとともに、ライフサイクルの一時期に負担が大きく偏らないという特徴があり、急速に少子・高齢化が進展している中で、その役割は、引き続き重要です。

  •  消費課税は、水平的公平の確保に資するものと言うことができるほか、その税収が他の税と比べて景気変動による影響を受けにくいという特徴があります。

  •  消費課税については、その負担が所得に対して逆進的であるという指摘がありますが、負担が所得に対して逆進的かどうかということは、個人所得課税、相続税などを含めた税制全体、ひいては、社会保障制度を含めた税財政全体を見て議論し、判断すべき問題です。

  •  消費税の創設から現在に至る税制改革の流れの中においては、所得課税を税制の中心に据えつつも、消費課税のウェイトを高めるための努力が行われてきました。現在、消費課税は税体系の中で重要な役割を果たしています。

 2.消費課税の現状(略)(P.228)

 3.消費課税の課題(P.231)

  •  更に少子・高齢化が進展する21世紀を展望すると、勤労世代に偏らず、より多くの人々が社会を支えていくことが必要であり、消費課税の役割はますます重要なものになっていくと考えられます。

  •  その際、消費税の中小事業者に対する特例措置、仕入税額控除方式などのあり方について、制度の公平性、透明性及び信頼性の観点から、事業者の実務の実態なども踏まえながら、検討を行っていかなければなりません。

 4.消費税

   (課税対象)(P.239)

  •  消費税は、消費一般に広く公平に負担を求めることができ、消費選択などの経済活動に対して中立的であるという優れた特長を有しています。

  •  今後とも、このような消費税の特長を維持することが必要であり、非課税範囲の拡大を行うことは適当でないと考えます。

   (税率)(P.243)

  •  消費税(付加価値税)の税率は、それぞれの国における租税負担や税体系全体のあり方についての議論などを背景として設定されているものであり、単純な比較を行うことは適当ではありませんが、国・地方合わせて5%というわが国の税率水準は、先進諸国の中で最も低い水準にあります。

  •  消費税率を含めた今後のわが国の税制のあり方については、少子・高齢化がますます進展する中で、公的サービスの費用負担を将来世代に先送りするのではなく、現在の世代が広く公平に分かち合っていく必要があることを考慮しながら、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えます。

  •  軽減税率を設けるべきか否かという問題は、その時点における消費税率の水準の下で、税財政全体を通じて見てもなお、何らかの政策的配慮が必要かどうかという観点から検討し、その上で、政策的配慮の必要性と制度の中立性・簡素性との間の比較考量により判断すべき問題ですが、極力、単一税率の長所が維持されることが望ましいと考えます。

   (中小事業者に対する特例措置)(P.246)

  •  今後、消費税制度全体の見直しを行う際には、中小事業者に対する特例措置のあり方について、制度の公平性及び透明性と簡素性との間でどのように均衡を図るかという観点から、必要に応じ、見直しを検討することが適当です。

  •  事業者免税点制度については、相対的に規模が大きな免税事業者に対しては、課税事業者としての対応を求める方向で検討を行うことが重要と考えます。他方、免税事業者の事務処理能力は依然として低いことから、免税点の見直しについては慎重に議論する必要があるという意見がありました。
     事業者免税点制度のあり方については、事業者の事務処理能力の実態を踏まえ、引き続き検討していくことが適当です。

  •  簡易課税制度については、事業者の実務の実態も踏まえながら、制度の公平性、透明性を高める観点から、適用上限の引下げなど、制度の縮小の方向で検討を行う必要があります。

   (仕入税額控除)(P.252)

  •  今後、消費税制度全体の見直しを行う際には、仕入税額控除方式のあり方について、税率構造や中小事業者に対する特例措置などとの関係を踏まえ、事業者間における取引の実態にも留意しつつ、制度の信頼性・透明性の観点から、検討を行うことが重要です。

  •  その際、ヨーロッパ諸国のようなインボイス方式については、制度の信頼性・透明性に資する面がある一方で、免税事業者からの仕入れについては仕入税額控除が認められず、免税事業者が、課税事業者となることを選択しない限り、事業者間取引から排除されかねないことについてどう考えるかという問題があります。

   (消費税と価格との関係)(P.259)

  •  値札などに消費税等の額を含めた支払総額が表示されていないと、支払いの際に、所持金の不足、予期していた額を超える支払いといったことが生じ得ます。また、税込みと税抜きの価格表示が混在していると、価格の比較を行う上で不都合が生じかねません。
     消費者の便宜を図る観点から、ヨーロッパ諸国の例を参考にしつつ、個々の財貨・サービスごとに、値札などにおいて消費税等の額を含めた支払総額が表示される「総額表示方式」の普及を図ることが適当と考えます。

   (消費税と社会保障)(P.263)

  •  平成11年度及び12年度予算においては、消費税収のうち地方交付税分を除く国分を基礎年金、老人医療及び介護に充てることを予算総則に明記する「消費税の福祉目的化」が行われました。仮に、今後とも、消費税収(国分)の使途を福祉目的に特定していく場合、それ以外の歳出の規模と消費税以外の税収とをどのようにバランスさせていくのか、ということが大きな課題となります。

  •  消費税を「福祉目的税化」し、その使途を制度的に福祉目的に特定すべきとの議論については、消費税は、今後、わが国の税財政にとってますます重要な役割を果たすべき基幹税であることなどから、慎重に検討すべきとの意見が多数ありました。
     他方、将来、社会保障給付の増大への対応が重要な課題であり、消費税の充実が不可避であるとすれば、福祉目的税化も検討に値するとの意見がありました。
     この問題は、税制、財政及び社会保障のあり方に深く関わる問題であり、今後、財政構造改革や社会保障制度のあり方などについての検討を踏まえつつ、国民的な議論が行われるべきものと考えます。

  •  基礎年金等の社会保障を「税方式化」し、すべて消費税で賄うべきとの主張については、給付の性格を含めた社会保障制度の基本的な設計に関わる問題であることから、幅広い観点から国民的な議論が行われる必要があります。

 5.地方消費税(P.266)

  •  地方消費税は、清算を行うことにより税収の偏在性が少なく、また、安定性にも富んでおり、地方分権の推進や少子・高齢化の進展等に伴う幅広い行政需要を賄う税として、重要な役割を果たしています。

  •  地方消費税の使途については、消費税創設時に地方間接税の廃止等に伴い創設された消費譲与税の廃止や住民税減税の財源として創設されたものであり、これらがもともと一般財源であったことも踏まえると、今後とも地方の幅広い行政サービスに充てるための財源として位置付けていくことが必要と考えます。

  •  地方消費税は、地方分権の推進、地域福祉の充実等のために創設されたものであり、福祉・教育など幅広い行政需要を賄う税として、今後、その役割がますます重要なものになっていくと考えられます。

 6.し好品課税

   (酒税)(P.269)

  •  酒税については、今後とも、各酒類の生産・消費の状況などを考慮しつつ、厳しい財政事情や社会経済情勢などの変化に応じ、税負担のあり方を検討することが適当です。また、酒類の分類や定義については、公平性・中立性の観点から、各酒類の生産・消費の態様の変化や税率構造の変化などを踏まえ、簡素・合理化を図る方向で検討することが必要と考えます。

   (たばこ税)(P.274)

  •  たばこに対する税負担のあり方については、今後とも、たばこの小売価格に占める税負担割合の状況やたばこの消費動向、さらには財政状況などを総合的に勘案して検討していく必要があります。

 7.特定財源等(P.278)

  •  特定財源等については、厳しい財政事情、最近における道路整備の状況などを踏まえれば、基本的には一般財源化の方向で検討すべきではないかといった多くの意見がありました。これに対し、受益者負担の観点、道路整備の必要性などを踏まえると、なお特定財源等による道路整備の意義が認められることから、これを維持する必要があるとの意見がありました。

  •  一般に、ある税の税収を特定の公的サービスに要する費用の財源に充てることは、その公的サービスの受益と負担の間にかなり密接な対応関係が認められる場合には、一定の合理性を持ち得ますが、他方、資源の適正な配分を歪め、財政の硬直化を招く傾向があることから、その妥当性については常に吟味していく必要があると考えます。

 8.その他の地方税(略)(P.285)

四 資産課税等

 1.資産課税等の意義(略)(P.288)

 2.相続税

   (意義)(P.290)

  •  相続課税は、基本的には、遺産の取得(無償の財産取得)に担税力を見出して課税するもので、個人所得課税を補完するものです。その際、累進税率を適用することにより、富の再分配を図るという役割を果たしています。

   (課題)(P.298)

  •  当調査会は、最近における税制改正に関する答申の中で、相続課税に関しては、個人所得課税の抜本的見直しとの関連において、税率構造や課税ベースなどについて幅広く検討を行うことが適当であるとの考え方を示しています。今後、そのような抜本的な見直しを具体化していくに当たっては、税制改正の流れや経済社会の構造変化を踏まえる必要があります。

  •  個人所得課税の累進構造がフラット化の方向に緩和され、消費税が税体系で重要な役割を果たすようになってきたことにより、税制全体の再分配機能が弱まってきているとの指摘があります。

  •  経済のストック化の進展により、資産家層が広がってきており、また、今後相続を事由とする資産移転が増加していくことを踏まえると、相続課税の重要性が高まっていくものと考えられます。

  •  高齢化の進展により、相続による財産の取得時期が相続人のライフサイクルのより後半にシフトしていくため、相続財産が相続人の経済的基盤を形成するという意味合いは相対的に薄れつつあります。

  •  以上を踏まえると、相続税の累進性のあり方については様々な考え方があるものの、課税対象者の範囲に関しては、ごく一部の資産家層を対象に課税するという従来の位置付けから、より広い範囲に課税していくという方向でそのあり方を検討していくことが必要と考えます。

   (課税ベース)(P.303)

  •  相続税については、バブル期の地価の異常な高騰などを受けて、昭和63年以降、累次にわたり減税が行われてきましたが、その後の地価の大幅な低下によって、その負担は大きく緩和されています。一時の地価水準の高さなどに配慮した現在の課税最低限の水準は見直していく余地があります。

  •  相続税における事業承継への配慮の必要性については、賛否両論があります。ただ、小規模宅地の課税価格の特例については、小規模であっても宅地を過度に優遇すれば、相続税の有する富の再分配機能を大きく損なうこととなりかねません。事業承継に配慮することが事業者の経営意欲を高め、中小企業の活性化につながるとの意見があることにも留意しながら、相続税の基本にも関わりかねない問題の一つとして、特例のあり方を検討していく必要があります。

   (税率構造)(P.306)

  •  現行の最高税率は、個人所得課税の最高税率との較差が大きく、諸外国の例に比しても相当高い水準にあることなどに鑑みれば、これを引き下げる方向で考えていくことが適当です。その場合、相続税の性格を踏まえると、個人所得課税の最高税率と同じ水準にまで引き下げるのが適当かどうかについては、慎重に検討する必要があります。
     いずれにしても、最高税率を含む税率構造を見直す場合には、課税ベースなどの見直しを併せて検討することが適当です。

   (贈与税)(P.306)

  •  贈与税については、高齢化の進展や高齢者層への資産集中を背景に、若年・中年世代への早期の財産移転の必要性などに着目した様々な議論があります。贈与税のあり方は、相続税のあり方と密接に関連するものであり、相続税の抜本的な見直しと関連して検討を加えることが適当ですが、仮に、贈与税の引下げを検討する場合には、贈与税が担っている相続税の課税回避を防止するという基本的な機能を損なわないようにすることが肝要です。

 3.地価税(略)(P.309)

 4.固定資産税

   (意義)(P.310)

  •  固定資産税は、土地、家屋及び償却資産という3種類の固定資産を課税客体とし、その所有者を納税義務者として、当該固定資産の所在する市町村が、当該固定資産の価値に応じて毎年経常的に課税する財産税です。

   (負担の状況)(P.313)

  •  平成10年度における固定資産税の割合は、租税総額に対して10.4%、地方税総額に対して25.2%、市町村税総額に対して43.8%となっています。

   (負担水準の均衡化)(P.315)

  •  平成6年度の評価替えにおいて、宅地の評価水準を全国一律に地価公示価格の7割を目途とすることとされましたが、それまでの評価水準のばらつきを反映して、負担水準(評価額に対する課税標準額の割合)が土地ごとに異なるという状況になりました。

  •  これを是正するため、平成9年度の評価替えに伴い、負担水準の高い土地の税負担を引き下げる一方、低い土地はなだらかに引き上げていく措置が講じられ、負担水準の均衡化に向けた抜本的な取組みが始められました。

  •  さらに、平成12年度の評価替えに伴い、特に最近の地価の下落傾向に伴う都市部の商業地等の税負担感に配慮し、負担水準の高い土地の税負担を更に引き下げつつ、負担水準の均衡化を一層促進する措置を講じることとされました。

   (今後のあり方)(P.320)

  •  固定資産税は、どの市町村にも広く存在する固定資産を課税客体としており、また税源の偏りも小さく、地方分権の観点からも市町村税としてふさわしい基幹税目であり、その安定的確保が必要です。また、固定資産税に対する納税者の理解を深めていくためにも、負担の公平に向けた努力を行っていく必要があります。

  •  地価公示価格の7割を目途とする評価水準については、これによって全国的な評価の均衡が図られていることなどから、基本的にはこれを維持していくことが適当であると考えられます。

  •  平成15年度以降の固定資産税の税負担については、これまでの負担の均衡化・適正化の方向を基本に、同年度の評価替えの動向及び負担水準の状況や市町村財政の状況などを十分踏まえ、適切に対応する必要があります。

 5.特別土地保有税(略)(P.320)

 6.都市計画税(略)(P.323)

 7.登録免許税(略)(P.326)

 8.不動産取得税(略)(P.329)

 9.印紙税(略)(P.331)

 10.事業所税(略)(P.333)

五 国際課税

  (国際課税の意義)(P.336)

  •  国境を越える経済活動に対する課税、すなわち国際課税の問題の中心は、他国の課税権との競合を調整(国際的な二重課税を排除)しつつ、一方で課税の空白を防止することにより、自国の課税権を確保することにあります。近年の経済活動の国際化等を背景に国際課税の問題がますます重要な課題となってきています。

   (外国法人課税)(P.343)

  •  企業の事業形態の多様化を踏まえ、外国の多様な事業体の取扱いを含めた法人課税の対象について活動の内容などの実質的な基準により判断する税法上の認識ルールを作ることなどについて検討することが必要と考えます。

   (二重課税の排除)(P.346)

  •  企業の外国での活動の多様化を踏まえ、外国税額控除の対象となる外国の税について明確化することが求められています。また、開発途上国との間の租税条約で認められることがある「みなし外国税額控除」については、課税の公平性といった基本原則などの観点から縮減・廃止に努めていかなければなりません。

   (課税ベースの国家間調整)(P.349)

  •  企業の組織形態が多様化している中で、企業グループの国際的取引に係る各国の課税権の調整がますます重要になってきています。この点については、国内法上、移転価格税制などの仕組みが設けられ、租税条約に基づく相互協議やOECDにおける国際的なルール作りも行われています。移転価格税制については、サービスや無体財産に係る取引の急速な増加などに伴い、独立企業間価格の算定のあり方などの課題が生じており、適切かつ機敏に対応していくことが重要です。

   (租税回避への対応)(P.352)

  •  国際化や情報化の進展は租税回避が行われる可能性を飛躍的に増加させていると考えられ、タックス・ヘイブン税制等の活用や執行当局による資料情報に対するアクセスの確保が一層重要になってきています。

   (有害な税の競争への対応)(P.353)

  •  金融やサービスなどのいわゆる「足の速い」経済活動を外国から誘致するために税制上の優遇措置を設けることが、先進国も含めて国際的に広く行われることになれば、世界的な規模で課税ベースが浸食されるとともに、「足の遅い」労働や消費の税負担が相対的に重くなり税の公平性・中立性が著しく損なわれるおそれがあります。このような「有害な税の競争」への対応については、OECD等による国際的な取組みが重要です。

   (国際的協調の必要性)(P.354)

  •  国際課税の問題への対処に当たっては、執行面も含めてOECD等を通じた国際的な協調の必要性が一層強く認識されるようになってきており、わが国としてもこれまでどおり国際的な議論に積極的に参加すべきです。

六 その他の諸課題

 1.納税者番号制度(P.355)

  •  納税者番号制度は、適正・公平な課税の実現、税務行政の効率化・高度化、さらには、納税者の税制への信頼の向上にも資するものです。

  •  近年、番号利用の一般化、行政における全国一連の番号の整備、国際化・電子化の進展など、納税者番号制度をめぐる諸状況の変化が見られます。

  •  課税方式の議論との関連において、納税者番号制度の導入は、利子所得などを含めた総合課税化の前提条件となり、個人所得課税の課税方式の選択の幅を広げます。

  •  タックス・コンプライアンス(税制への信頼と納税過程における法令遵守)の向上に寄与することが、納税者番号制度の重要なメリットであり、資料情報制度などの納税を支える他の諸制度のあり方とも併せて検討を行っていくことが必要です。

  •  納税者番号制度の導入時のコストは、民間・行政の双方で相当な規模となり、特に、民間において相当程度のコストが新たに生じることが避けられません。また、資金シフトなどの経済取引への影響を踏まえると、制度の対象範囲はできる限り広くすることが求められ、その分、コストは大きなものになります。

  •  プライバシー保護の問題に関しては、民間における個人情報の不正売買などの危険性があり、今後の個人情報保護の基本法制の検討などの推移を見守っていく必要があります。不正アクセス防止の技術的方策などの検討も重要です。

  •  納税者番号制度は、国民生活全般に大きな影響を及ぼすものであり、その導入については、国民の理解と協力が不可欠です。したがって、制度の意義、様々な論点について、今後、国民の間で更に議論が深まることを期待するとともに、全国一連の番号の整備をはじめとした諸状況の進展を踏まえながら、その導入について検討を進めていく必要があります。

 2.電子商取引と税制(P.367)

  •  公平・中立・簡素の租税原則が電子商取引にも適用されます。

  •  電子商取引には、一般の商取引とは異なる様々な特徴があり、課税上必要な取引把握の問題や、クロスボーダー取引(国境を越える取引)に係る所得課税・消費課税に関する問題について、OECDにおいて専門的・技術的見地から検討が行われています。

  •  今後とも、電子商取引の発展状況や実態の把握に努め、OECDにおける議論に積極的に参加していくとともに、国際的な議論の方向や成果を注視しつつ、公平・中立・簡素の租税原則を踏まえ、電子商取引をめぐる課税上の問題について検討していく必要があります。

 3.環境問題への対応(P.370)

  •  様々な環境問題への対策としては、汚染者負担原則(PPP)を基本としつつ、それぞれの問題の性格に応じて、規制的手法、自主的取組み、経済的手法といった各種手法の特徴を踏まえた適切な組合せを考えていくことが必要です。地球温暖化問題など、排出源が多数存在し排出削減に向けた継続的なインセンティブが必要な問題については、税を含む経済的手法の有効性が指摘されています。

  •  検討に当たっては、まず環境施策全体の中での税制の位置付けが明確にされる必要があります。地球温暖化対策全体の具体的内容が検討される中で、税制以外の各種手法の活用に加えて、税制の活用の必要性について十分な議論が求められます。

  •  地球温暖化対策として化石燃料への課税について検討する場合、既存のエネルギー関係諸税との関係についてどう考えるかという議論があります。

  •  税収を特定財源等として活用することについては、税の基本的な考え方からすれば好ましくないと考えられます。一方、環境施策の財源調達手段として検討すべきとの意見がありました。

  •  国民に広く負担を求めることになる問題だけに、国民の理解と協力が得られることが不可欠です。当調査会としては、国・地方の環境施策全体の中での税制の具体的な位置付けを踏まえながら、国内外における議論の進展を注視しつつ、PPPの原則に立って、引き続き幅広い観点から検討を行っていきたいと考えます。

 4.税務行政(P.377)

  •  適正・公平な課税を実現し、税制全体に対する国民の信頼を確保していくためには、執行面における適切な対応も重要です。

  •  今後の税務行政については、税務当局として申告水準の維持向上に取り組み、納税道義を高めていくことが引き続き重要です。税務行政の運営に当たっては、従来から国と地方公共団体との間での協力が行われていますが、今後ともこうした取組みを推進することが必要です。

  •  経済取引の国際化、複雑化などの環境変化に対応して、国民の信頼をより確かなものとしていくため、執行体制の整備を含め、税務行政における適切な取組みが必要です。

  •  電子申告制度については、コストを上回る効果を得られること、情報管理の安全性の確保によって納税者の信頼を保つこと、現在の申告水準を低下させないことという基本的な考え方に基づいて、導入に向けた検討を進めていくことが適当です。

  •  税務訴訟における立証責任については、諸外国の例や裁判例の今後の展開をも見ながら、そのあり方について検討していくことが適当です。

  •  官公署等の協力制度については、現行の制度が必ずしも実効性があがっていないとの指摘や行政情報公開への対応の進展を踏まえ、今後、制度を強化していくことが適当と考えます。また、その他の資料情報制度については、国際化や高度情報化という新たな状況においても必要な資料情報の収集が可能となるよう、不断の見直しが必要です。


 
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