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諮問・答申・報告書等


一 平成10年度の税制改正に関する答申後の経緯

1 平成10年(度)の特別減税

 昨年末、当調査会は経済社会の構造改革への対応等の観点から、法人税制、金融関係税制、土地税制を含め幅広い課題について答申をとりまとめました。その直後、個人所得課税(所得税及び個人住民税)について2兆円の特別減税が決定され、本年2月以降実施に移されました。4月には事業規模が16兆円超の総合経済対策がとりまとめられ、その中で2兆円規模の特別減税が追加されました。この結果、本年(度)は、国・地方あわせて総額4兆円規模の特別減税が実施されています。
 特別減税については、昨年秋のアジアの経済危機や金融システムの動揺、雇用不安等を背景に経済情勢が急速に悪化し、歳出面、金融面を含む総合的な施策が講じられる中、税制面でも緊急の措置が講じられたものとして評価ができるのではないかとの意見、日本の国際的な地位に鑑み、アジア諸国あるいは世界経済全体にとっても極めて重要なものであるとの意見等がありました。
 一方、現在の消費不振は、可処分所得の不足というよりもむしろ将来への不安が要因となっていると考えられ、減税の消費刺激効果は必ずしも期待できないのではないかなどの意見がありました。
 また、本年(度)の特別減税は定額方式で行われました。これは、減税をできるだけ早く実施するため、1年限りの臨時異例の措置として採られたものです。その結果、国際的にみても高いわが国の課税最低限は、平成10年(度)分について、更に大幅に引き上げられるなど所得税制に大きな歪みが生じたことは否めないと考えます。
(注) 定額方式による減税
 通常の計算により算出された税額から、世帯人員に応じ一定額を控除する方式による減税。

2 個人所得課税の抜本的見直しへの着手

 個人所得課税については、昭和63年前後の抜本改革や平成6年の税制改革において、税率構造の簡素化とともに低中所得者層、中堅所得者層を中心に大幅な負担軽減が行われました。その際に、給与所得控除をはじめとする諸控除が累次にわたり引き上げられた結果、課税最低限が上昇し、最低税率が諸外国に比して低いこともあり、低中所得者層の税負担や個人所得課税の税収の国民所得に対する割合は、主要先進国中、最低の水準となっています。また、所得税及び個人住民税を合わせた最高税率については65%と諸外国に比べて高い水準に止まっていること、各種控除について社会経済の構造変化に照らして見直す必要があること、所得分類、分離課税方式を採っている資産性所得課税等について再検討を行う必要があることなどが指摘されています。
 こうした状況の下、4月の総合経済対策において、個人所得課税について、国民の意欲を引き出す観点から、抜本的見直しを行う旨が盛り込まれました。
 これを受け、当調査会においては、基本問題小委員会を設置し、個人所得課税の問題を中心に税制の基本的事項について、専門的・理論的な検討を開始しました。また、基本問題小委員会には、論点を抽出して整理するため、課税方式・納税者番号制度等について検討を行う「基本枠組ワーキング・グループ」及び税率構造・課税ベース等について検討を行う「課税問題ワーキング・グループ」が設置されて精力的な検討が行われ、本年10月27日には中間とりまとめの報告が行われました。これらの報告においては、個人所得課税について、各種の控除、課税最低限などの課税ベース、課税方式、税率構造、納税者番号制度など広範な論点について現行制度の沿革や内容、社会経済の構造変化などを踏まえ、幅広い観点から問題提起がなされています。

3 法人課税の見直し

 法人課税については、平成10年度税制改正において、課税ベースを適正化しながら税率を引き下げるという方針に従い、本年4月以降開始する事業年度について、課税ベースの大幅な見直しが行われるとともに、法人税の基本税率が37.5%からアメリカの水準以下の34.5%に、法人事業税の基本税率が12%から11%にそれぞれ引き下げられました。この結果、法人課税の実効税率は、49.98%から46.36%となりました。
 このように税率と課税ベースの両面からの改正が行われることにより、経済活動や産業間・企業間における税の中立性が高められるとともに、企業活力の発揮や新規産業の創出など経済構造改革が促進されることが期待されます。
 一方、平成10年度の税制改正に関する答申において、事業税を外形基準によって課税することが事業税の性格の明確化や税収の安定性を備えた税体系の構築を通じて地方分権の推進に資するとの考え方から、平成10年度において、地方の法人課税について、事業税の外形標準課税の課題を中心に総合的な検討を進めることとしました。これを受けて、当調査会は地方法人課税小委員会を設置し、法人事業税の外形標準課税の導入についての検討を行ってきました。
 また、同答申において、平成10年度税制改正では、法人税の基本税率を国際的な水準まで引き下げることを中心に検討が行われ、今後は、事業税における外形標準課税の検討が法人課税の実効税率の議論にもつながることを念頭に置きながら、法人課税の実効税率のあり方について検討を進めることが適当とされました。
 さらに、本年4月の総合経済対策において、法人課税の実効税率を国際的な水準並みにするよう検討する旨が盛り込まれました。

4 6兆円超の恒久的な減税

 新内閣発足後、本年8月の総理の所信表明演説において、「税制については、わが国の将来を見据えたより望ましい制度の構築に向け、抜本的な見直しを展望しつつ、景気に最大配慮して、6兆円を相当程度上回る恒久的な減税を実施いたします。個人所得課税につきましては、国民の意欲を引き出せるような税制を目指し、所得税と住民税を合わせた税率の最高水準を50%に引き下げます。景気の現状に照らし、課税最低限は引き下げる環境にないと考えており、減税規模は4兆円を目途とします。法人課税につきましては、わが国企業が国際社会の中で十分競争力が発揮できるよう、総合的な検討を行い、実効税率を40%程度に引き下げます。所得課税の改正は来年1月以降、法人課税の改正は平成11年度以降、それぞれ実施することとし、関連法案を次の通常国会に提出するよう準備を進めます」とされました。その後の国会審議の際に、これらの減税は1年限りの特別減税と異なり期限の定めのない「恒久的」なものとすること、個人所得課税の減税は最高税率の引下げに中堅所得者層に配慮した定率減税を組み合わせて行うこと、平成11年度税制改正においては、個人所得課税の諸控除等の課税ベースの見直しや法人事業税の外形標準課税の導入は見送ることなどが明らかにされました。
 これらの減税を平成11年度税制改正において実施することにより、消費や投資など内需が低迷し極めて厳しい経済状況にある中で、金融システム安定化策や雇用対策等の一連の施策と相まって、冷え込んだ家計や企業のマインドに好影響をもたらすことが期待されます。
 また、以上のような恒久的な減税に対しては、現在の不況は構造改革の遅れや将来への不安からの消費低迷、投資意欲の後退が大きな要因であり、減税の景気刺激効果には疑問があるとの意見がありました。
(注)定率方式による減税
   通常の計算により算出された税額から一定割合を控除する方式による減税。

5 金融対策、緊急経済対策等

 「貸し渋り」や融資回収等による信用収縮に対する緊急の対策として、金融機能再生法及び金融機能早期健全化法による法的枠組みが整えられ、それぞれ18兆円、25兆円の政府保証枠が整備されました。さらに、11月には、11年度のプラス成長、雇用と起業の促進及び国際協調を目標に掲げた、総事業規模で17兆円超、恒久的な減税まで含めれば20兆円を大きく上回る規模の緊急経済対策がとりまとめられました。この中には、恒久的な減税の実施に加え、住宅建設・民間設備投資等、景気回復に真に有効かつ適切な政策税制について精力的に検討を進めることが盛り込まれました。

6 地方分権推進計画の策定

 一昨年来4次にわたって行われた地方分権推進委員会の勧告を踏まえ、本年5月29日に地方分権推進計画が閣議決定されました。地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図るために、地方分権の推進は極めて重要な課題です。本年8月の総理の所信表明演説では、「国と地方の役割分担、費用負担のあり方を明確にしながら地方分権の一層の推進を図るとともに、地方公共団体の体制整備、行財政改革への取組を求めてまいります。これは、地域の活性化、均衡ある国土の発展のためにも、極めて意義のあることであります」とされました。


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