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二 金融関係税制の税制全体における位置付け

1 戦後の我が国金融関係税制の推移を顧みると、シャウプ勧告後の一時期を経て、資 本不足期には金融所得への非課税・軽課措置が採られたが、その後の所得水準の上昇 ・平準化等を背景として、金融分野以外との間の課税の公平性や、金融商品間の中立 性の確保が重視され、適正化に向けた努力が続けられた。昭和62年以降の税制改革に おいて、事務負担・執行可能性に配慮した簡素な税制への要請も踏まえ、分離課税に よる金融所得の課税ベースの拡大が図られ、今日に至っている。(参考2)

2 金融所得課税の検討に当たっては、公的サービスの財源としての税の基本的性格か ら、税制全体として税収を確保していかなければならない中で、「足の速い」所得で ある金融所得への課税と、移動可能性の低い労働所得や消費への課税との関係をどう するかという問題があり、金融所得課税の税制全体における位置付けをどのように考 えるかといった視点が必要である。

3 税制調査会においては、所得課税について、基本的にはすべての所得を合算し、そ れに累進税率を適用する総合課税論をベースに従来議論してきている。現実の税制に おいては、一定の金融所得について分離課税が導入されてきたが、その意義について は、把握体制が十分でない下で実質的な公平を確保するための方策であると考えられ てきている。
これに対して、資源配分の効率性と所得分配の公平性の観点を考慮し、最も経済的 に合理的な課税体系を求める最適課税論からは、貯蓄が課税によって影響を受けやす いとの仮定の下で、金融所得については、分離課税を導入することが適当であるとさ れる。(参考3)

4 金融・サービス等いわゆる「足の速い」経済活動について、各国の間で資本誘致の ために行き過ぎた税の引下げ競争が行われると、貿易、資本取引の流れを歪め、各国 の課税ベースを浸食するのみならず、労働、消費といった移動可能性の低い課税ベー スへの相対的重課を通じ、各国税体系の公平、中立性に歪みを与えかねない。OEC Dでは、このような有害な税の競争に対抗するための方策としてガイドラインを策定 し、それに該当するような優遇税制の導入制限・縮減等が検討されており、G7サ ミットにおいてもこうしたOECDの活動が支持されている。(参考4)

5 なお、金融資産残高の累増というストック化が進展しており、金融資産に対する課 税が重要となってきている。当小委員会では、金融資産から生ずる所得への課税につ いても、資産課税として重視する必要があるとの意見があった。
一般に、資産課税は資産格差の是正、垂直的公平の確保を図るものとして意義があ ると考えられてきている。金融資産についても、勤労の成果として得られる場合や、 相続等により得られる場合等多様であることから、資産課税により公平を確保するこ とは重要である。税制調査会では、課税ベースの在り方について、所得、消費、資産 等に対する課税のメリット・デメリットを勘案し、その適切な組合せを考えていくこ とが大切であると指摘されてきた。この点に関して、金融取引に対する取引課税につ いても、金融資産の移転に伴う課税の一つであることから、資産課税としての意義を 認める意見があった。


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