![]() |
![]() |
![]() |
諮問・答申・報告書等三 引き続き検討していく事項1 納税者番号制度をめぐる新たな状況納税者番号制度については、かつては主に利子・株式等譲渡益の総合課税化との関連 で議論されていましたが、近年は、税務行政の機械化・効率化や所得・資産課税の適正 化を同制度の目的として多角的な検討が進められてきています。今年度は金融小委でも 検討を行いました。 最近、納税者番号制度をめぐる環境には変化がみられます。日常生活において各種 カードの普及に伴い、番号の利用が一般化しており、基礎年金番号の実施、住民票コー ドに関する法改正試案公表といった行政による全国一連の番号の整備が進んでいます。 番号利用の普及等を背景に、アンケート調査等によれば、納税者番号制度に関する国民 の理解も広がっているとみられます。また、金融システム改革に伴いクロスボーダーの 資金シフトが容易となる中で、資料情報制度の充実が要請されています。さらに、グ ローバル化、情報化の下、電子商取引など取引内容は複雑化、広域化しており、これに 対応した適正、公平な課税が要請されています。これらの要請に応えるためには、番号 の利用による効率化が有効と考えられます。 このように状況が変化していることから、納税者番号制度についてあらためて議論を 深めていくことが必要となってきています。同制度の目的についても議論の展開が求め られており、その際、同制度が行政の効率化等の点で基本的に有効であることとともに、 納税者にとっては課税の公平性が確保され、課税への信頼が高まることなどをあわせて 考えていくことが必要です。プライバシー保護について、個人情報の取扱いを含め問題 となる局面を整理して、引き続き検討するとともに、経済取引への影響、コストと効果 等についても更に具体的に考えていかなければなりません。政府においても、国民の間 で納税者番号制度の理解が更に深まるよう適切な情報の提供等に努めることが要請され ています。 納税者番号制度をめぐる環境は新しい局面を迎えており、当調査会で、国民の受け止 め方を十分に把握しつつ、より具体的かつ積極的な検討を行わなければならない時期に 来ています。 2 年金制度改革と年金課税 少子・高齢化の進展、経済社会の成熟化等を背景に、現在、社会保障構造改革が進め られています。公的年金制度については、平成11年の財政再計算の際に将来の給付と負 担の適正化、公私の年金の適切な組合せが図られるよう年金制度改革を行うための検討 が開始されています。 年金課税や高齢者に対する課税についても、公平とりわけ世代間の公平の観点、中立、 簡素の観点から、拠出、運用、給付の各段階における課税について検討する必要があり ます。この検討においては、年金などに対する税制上の措置も一つの公的負担であるこ とを考慮して、老後の生活を支えるため全体として効率的なシステムを構築することが 重要です。高齢者にはきめ細かな配慮が必要であるとしても、高齢者を一律に経済的弱 者と捉える従来の考え方の見直しが求められているのではないでしょうか。 公的年金については、拠出段階が非課税であるとともに給付段階が実質的に非課税と なっていますが、年金受給者の増加や年金所得の増大等、年金制度が成熟化しているこ とを考えると、社会保険料控除及び公的年金等控除について検討する必要があります。 企業年金及び個人年金については、老後生活における自助努力や公的関与等からみて、 年金制度全体の中でどのように位置づけるかについて検討することが不可欠です。なお、 企業年金について、適格退職年金に係る特別法人税の取扱いについては早急に検討する 必要があるとの意見がありました。また、現行の制度が確定給付型であるのに対して、 ポータビリティのある確定拠出型年金の取扱いなどに関する議論が求められているとの 指摘がありました。個人年金については、その他の金融商品との間で課税の中立性、負 担の公平性の確保を図る必要があると考えます。 これらの課題を含めて、年金課税や高齢者に対する課税については、年金制度改革の 検討状況にあわせ、今後、幅広い見地からの基本的な見直しを進めていく必要がありま す。 3 国際的な税の引下げ競争 経済のグローバル化、国際的な資本移動の自由化等を背景に、「税のダンピング」、 すなわち外国からの資本を誘致するために優遇税制等を導入する政策を意識的に採用す る国が目立ってきています。金融・サービスのようないわゆる「足の速い」経済活動に ついて、このような税の引下げ競争が行き過ぎると、[1]労働、消費といった可動性の低 い経済活動に対する相対的重課につながり、税体系全体の公平性・中立性が損なわれる、 [2]各国課税ベースが浸食される、[3]貿易・資本取引が歪曲される、という問題が生じる おそれがあります。 こうした「税のダンピング」には、各国の税当局が国際的に協調して行動することが 不可欠と考えます。昨年来OECDにおいて、有害な税の競争を牽制するため、ガイド ラインを策定し、それに該当するような優遇税制の導入制限・縮減等が検討されており、 来年春に報告書がとりまとめられることになっています。 このように、税について国際的協調を図っていくことの重要性はますます高まりつつ あります。当調査会としては、今後も、政府がこうした検討に積極的に参加していくこ とを期待します。
|
| |||