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諮問・答申・報告書等当税制調査会は、本年5月9日の総会において、内閣総理大臣から「21世紀へ向けて、わ が国経済社会の構造変化や諸改革に対応した、望ましい税制のあり方について審議を求め る」旨の諮問を受けました。その後、当面の検討課題として法人課税、金融関係税制、土地 税制などについて、経済社会の構造変化などを念頭に置きつつ議論を行うと同時に、中期的 視点から納税者番号制度について議論を深めるなど、15回にわたり幅広く審議を重ねてきま した。金融関係税制については、5月末に設置された金融課税小委員会(以下、「金融小委」と いう)において、15回にわたり議論が行われ、本年12月3日に「金融システム改革と金融関 係税制──金融課税小委員会中間報告──」(以下、「金融小委報告」という)が総会に提 出されました。なお、法人課税については、平成7年10月に設置された法人課税小委員会 (以下、「法人小委」という)により、平成8年11月に「法人課税小委員会報告」(以下、 「法人小委報告」という)が提出されています。 11月末から、当面の課題である平成10年度の税制改正について検討を行いました。 この答申は、こうした審議を踏まえて平成10年度税制改正に当たっての指針を示したもの です。また、可能な限り中長期的な課題に対する整理を行いました。
一 検討に当たっての視点とその背景1 平成10年度税制改正をとりまく環境(1) 経済社会の構造改革にどう対応するのか わが国経済社会の潮流は、加速的に変化しつつあります。少子・高齢化は予想を上 回る速度で進展しています。グローバル化・情報化が進む中で、産業構造の転換が求 められており、金融システムは市場の競争原理の下で大きな変革が迫られています。 こうした中で、昨年来、橋本内閣においては、活力ある21世紀に向けて、行政改革、 財政構造改革、社会保障構造改革、経済構造改革、金融システム改革及び教育改革の 「6つの改革」が推進されています。当調査会は、本年1月に「これからの税制を考 える」をとりまとめて、経済社会の構造変化に臨んでの税制の望ましい姿や選択肢を 提示しました。戦後50年間、わが国を支えてきた経済社会システムが、今やわが国の 活力ある発展を妨げる面もあるという認識の下、「6つの改革」が一体的に実現され ることを政府に強く要請します。 税制は、公的サービスの財源調達手段であり、国民生活や企業活動の基盤をなすも のとして安定性が重視される一方で、「公平・中立・簡素」の基本的考え方に基づき つつ、経済社会の構造変化に適切に対応していくことが求められています。これまで も、このような観点から、昭和63年前後の抜本改革や平成6年の税制改革などが実施 されており、税制は時代の変化に応じて大きく変わってきています。平成10年度税制 改正においても、更に法人税制や金融関係税制などについて、経済構造改革や金融シ ステム改革などの諸改革に、時機を失することなく対応していくことが重要と考えて います。 (2) 現在の金融動向と経済情勢にどう対応するのか わが国の金融は、護送船団方式という言葉に象徴されるシステムが限界に来ていま す。また、いわゆるバブル経済の後遺症から依然として脱することができません。昨 今、金融市場の国際的な競争が進展する中で、土地担保融資に起因する不良債権問題 等を背景として、金融機関の経営問題が相次いで発生し、金融システムに対する不安 感が国民の間にみられます。また、金融機関が財務体質の改善を図る一方で、そのこ とが実体経済に与える影響も懸念されています。わが国の経済については、バブル期 の後、政府が累次の経済対策を実施してきたにもかかわらず、いまだ力強い景気回復 の軌道には乗っていません。こうした中で、経済の先行きに対する不透明感が経済を 足踏み状態に至らせています。今や、金融システムの安定と信頼確保に全力を尽くし、 わが国経済を早急に順調な回復軌道に乗せることが、極めて重要な課題となっていま す。 このため政府は、預金者保護を目的として、公的支援を含めた施策の検討に踏みき ったところです。税制面でも、こうした施策にあわせて適切な措置をとることが求め られています。バブル経済の発生・崩壊が、実体経済と資産価格との不均衡によるも のであることから考えると、「資産」への適切な対応が実体経済の活性化にも役立つ のではないかと考えます。具体的には、土地の有効利用の促進や土地取引の活性化、 証券市場の活性化などにつながるような税制面での措置を検討していく必要があると 考えます。 (3) 財政構造改革との整合性 一方、わが国の財政は危機的な状況に立ち至っていることも事実です。現在の財政 構造を放置すると、少子・高齢化などの経済社会の構造変化に対し、行政が的確に対 応できなくなるおそれがあります。将来の世代へと負担を先送りすることは世代間の 不公平を招くことになります。また、非効率的な財政支出がこのまま続くと、民間投 資や経済成長の足かせとなりかねません。 当調査会は、国民の税制への信頼を確保するためには、まず、適正範囲・適正水準 の政府であることが大前提であると考え、「これからの税制を考える」などのこれま での答申において、徹底した行財政改革の必要性を繰り返し訴えてきました。先般、 平成15年度までに国及び地方の財政赤字対GDP比を3%以下に抑え、赤字公債発行 ゼロを達成することを内容とする財政構造改革法が制定されたことは、当調査会とし て評価します。平成10年度税制改正に関しては、財政構造改革との整合性を図ること が望まれています。 (4) 平成10年度税制改正と三つの要請 これまで述べたように、平成10年度税制改正は、経済社会の構造改革、金融動向・ 経済情勢への対応及び財政構造改革という三つの要請に適切に対応していかなければ なりません。 当調査会としては、税制は経済社会構造の基盤であるとの認識の下、まず、構造改 革に対応した税制の改革を続けることの必要性を強調したいと考えます。経済構造改 革に対応した法人税制改革や金融システム改革に対応した証券税制の見直しなど、わ が国の経済社会が抱える構造的な諸課題に対して、税制面からも積極的に取り組んで いくことが、消費者や企業の将来に対する不透明感を払拭し、21世紀に向けてわが国 経済を自律的な安定成長へと導くものであると考えます。これが、ひいてはわが国の 税収構造を安定化し、財政構造改革にも資することになるものと考えます。 現下の金融動向・経済情勢に対応するためには、財政構造改革を一時的に棚上げし てでも思いきった減税を行うことが望ましいとの意見や、土地税制などについて緊急 の措置を講じる必要があるとの意見がありました。また、一方で、現在の短期的な痛 みは覚悟しつつ諸改革を推進する必要があるとの意見もありました。当調査会はこれ までも財政構造改革の重要性を指摘してきましたが、これは税制が経済情勢に弾力的 に対応していく余地を否定するという意味ではありません。現在、金融システム安定 化や景気回復のための諸施策がとられる中で、平成10年度税制改正においては、税制 面でも緊急の措置を講じていくことが必要であると考えます。
2 地方分権の推進 |
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