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ミシガン州の単一事業税の仕組みと沿革等 |
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ミシガン州には、単一事業税(SBT=Single Business Tax)の前身と位置づけられる付加価値税として、事業活動税(BAT=Business
Activity Tax)が存在していた(1953年創設)。 |
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1967年に、個人所得課税の導入と併せて、事業活動税に替えて所得課税である法人所得税が導入された。 |
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その後、1976年に、7つの企業関係税(法人所得税、法人免許税、棚卸し資産税等)を廃止して、単一事業税が創設された。(それゆえ、「単一」事業税といわれる。) |
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この単一事業税の導入の理由は、次のようなものであった。 |
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1) |
税収の安定性の確保
ミシガン州においては、法人所得課税はあまりに不安定であった。導入の翌年度以降、税収の対前年比は、△38.2%~78.6%と大きな変動が生じていた。 |
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2) |
公平性・中立性の確保
単一事業税導入前の法人所得課税は、法人のみを対象としていたため、企業の形態によって税負担に変動が生じていた。これに対し、単一事業税は、事業を行っている全ての者を対象とすることにより課税ベースを拡大する効果を有するものとして導入された。 |
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3) |
経済成長の促進(資本投資の刺激)
ミシガン州では、1970年代には、経済が停滞しており、単一事業税において、装備、建物、機械等の資本財の取得について、取得時に即時控除を認めて、企業の資本投資を活発化させる狙いがあった。 |
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4) |
企業関係税の簡素合理化
7つの企業関係税を廃止して、単一事業税に統合することで、税制の簡素化を図った。 |
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5) |
応益課税の考え方
単一事業税は、ミシガン州内の事業活動が受ける利益、享受する政府サービスに対して課される税である。 |
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付加価値のとり方には議論があったが、人々にわかりやすく、企業が慣れている等を考えて、単一事業税は、加算型の付加価値税として導入された。 |
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単一事業税は、事業所得(連邦所得税の課税対象となる所得)に報酬、減価償却、支払利子等を加えて算定した額に、州間配分率をかけて課税ベースと
する。さらに、その課税ベースから資本取得控除が行われる。 |
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資本財に対する取得時全額控除(資本取得控除制度)は、当初はミシガン州内への投資額のみを控除することとしていたが、違憲判決を受けたため、全米での投資額を対象とするよう変更された。その後さらに、全米投資額に現行の州間配分率を乗じる方法により、実質的に州内投資を対象とする形となっている。 |
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資本取得控除が認められていることから、消費型の性格を持つ税と分類される(ただし、基本的には、単一事業税は、ビジネスに対する課税であると説明されている。)が、この資本取得控除は、大企業からの要望により導入された面が強い。 |
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単一事業税には州間配分率が適用される。この州間配分率は、資産、賃金、売上という3要素の全米に占めるミシガン州の割合を、各要素に付けられるウェイトを用いて加重平均して算出される。 |
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この3要素のウェイトについては、1991年までは、各要素が1/3ずつとされていたが、その後、資産と賃金のウェイトが下げられ、1997年現在は、資産と賃金が10%、売上高が80%となっている。 |
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さらに、1999年には、資産と賃金のウェイトをさらに下げて、それぞれ5%とし、売上高のウェイトを90%とすることとしている。(これにより、ミシガン州内の工場で製造し、州外で販売する割合が大きい企業の税負担が軽減される。) |
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また、単一事業税においては、零細事業者、労働集約的産業等の各種の企業の税負担を調整するため、様々な調整措置が導入されている。 |
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税率は、2.3%である。 |
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収入(売上)25万ドル以下の企業は非課税(申告義務がない)であることもあり、州内の約27万社のうちの約半数が納税をしていない。 |
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また、単一事業税の税収の約60%は、約2%の企業によって納税されており、自動車産業が占めるウェイトが大きい。 |
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フランス職業税の仕組みと沿革等 |
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職業税は、仏革命でできた「パテント」と呼ばれる税(職種毎に市町村に対し納める税)に代わるものとして、1975年に導入された。 |
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職業税は、課税対象を、資産(賃貸料相当額)と給与(支払い給与全体の18%)の合計額としている。資産の賃貸料相当額については、不動産は役所のデータベース上の賃貸料相当額を用い、機械設備は購入額の16%とされる。 |
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職業税の税率は、市町村議会の決める税率・県議会の決める税率・地方(region。以下レジオンという。)の決める税率・商工会議所の財源となる税率の合計である。フランスには、36,000の市町村、8,000~10,000の市町村の集合体、95県、28レジオンがあり、50,000もの地方公共団体によって税率が決められる。(その結果、合計税率は、6%~36%となっている。) |
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1975~80年の間は、税率は国が決定していたが、地方分権の流れの中で、1981年に税率を決める権限が市町村に移譲され、翌82年には県やレジオンにも税率を決める権限が与えられた。 |
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その後、地方公共団体による税率引き上げが行われる一方で、企業負担の軽減のために、国(法律)によって、納税額の上限制度や控除措置が導入された。国が法律で導入したこれらの措置による差額は、国によって補填されている。 |
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具体的には、納税額の上限(各企業の付加価値額の3.5%を納税額の上限とする制度)や、16%の一律控除(全納税義務者について、算定した課税標準額から一律に16%を控除する制度)などの制度が設けられている。その他にも、地域振興のための特別措置もある。 |
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こういった国からの補填は、地方公共団体がその任務を果たすにはそのための財源が必要である一方で、地方の任務や税法を決めるのは国であるということから、国が差額の負担を行っているものである。また、フランスの場合には、市町村長である者が国会議員の身分を併せ持つことが多いという背景もある。 |
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一方、税率の面から職業税の税負担が過重にならないようにするための措置として、各団体で決定できる税率は、全国平均の2倍を超えてはならないという制度、及び、地方公共団体が職業税の税率を引き上げる際には、住民税などの他の税目の税率の引き上げ率以上に上昇させることはできないという制度が設けられている。 |
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また、フランスの職業税については、1996年から、納税額の下限の制度(当該企業の付加価値の0.35%の額を税額が下回った場合には、差額を企業が申告して支払う)も導入されている。 |
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フランス政府は、1999年の予算法案の中に、職業税の改革案(給与総額への課税を5年間で撤廃する案)を盛り込んだ。この法案は、1998年の10月~12月にかけて国会で審議される。 |
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この法案に対しては、1)地方公共団体の税収減により中央への依存割合が高まる(地方に決定権のある財源が減る)こと。2)その改革によって得をする団体と損をする団体が生じること。3)地方公共団体の企業誘致意欲が減退すること。などが問題点として指摘されている。 |
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この法案は、長引く失業問題に対して、労働時間の削減によって雇用の量を増加させようという政府の政策を企業側に受け入れさせるための交換条件という意味合いもある。 |
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ドイツ営業税の仕組みと沿革等 |
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ドイツには3段階の政府があり、連邦と16州、14,500の市町村からなる。これらに共通の税(共同税)と各レベルに固有の税が存在する。営業税は市町村の固有税と位置づけられている。(ただし、その税収の一定割合が、市町村から州及び連邦に納付されている。) |
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ドイツの営業税は、かつては3種類の課税物件(収益・資本・賃金)があったが、1980年には賃金総額に対する部分が、1998年には営業資本に対する部分が整理され、今日では、営業収益に対する課税となっている。 |
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営業税収入(1998予算)は、西(旧西独地区)では286億マルクで市町村の総収入の12.8%だが、東(旧東独地区)では27億5千万マルクで5.4%となっている。これは、東西の企業の収益力の差を表している。なお、ドイツ統一から1997年までは、営業税は、西では収益と資本に課されていたが、東では収益のみに課されていた。 |
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営業資本に対する課税の部分は、従前の営業税の税収の中で比重の小さい(480億マルク中の80億マルク程度)ものであったが、その代替財源として、1998年から、売上税収の2.2%が市町村に配分されることとなった。具体的な各市町村への配分の基準については、調整中であるが、最終的には、法律によって規定される。また、この改革の際、ボン基本法の改正が行われ、経済活動に関する税で市町村が税率を決めうる税を保障することが基本法に新たに明記された。
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ボン
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基本法第28条第2項
市町村に対しては、法律の範囲内において、地域的共同体の全ての事項を、自己の責任において規律する権利が保障されていなければならない。市町村組合もまた、その法律上の任務領域の範囲内において、法律の基準に従って、自治権を有する。自治権の保障は財政上の自己責任の原則を含む。この原則は、経済力に関連する税目の税率決定権が市町村に保障されることを含む。 |
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(※下線部が追加部分) |
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州や市町村は、売上税収の一部の配分を受けられることとなった点とボン基本法の改正を評価している。 |
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営業税については、州の税務署が課税標準額を決定し、乗数(税率)は市町村が決める。納税は市町村に対して行われる。 |