| <制度の概要> ○ 現行の所得課税は、所得の発生形態、性質等に応じて、利子、
配当、不動産、事業、給与、退職、山林、譲渡、一時、雑とい
う10種類の所得に分類したうえで、それぞれの所得についてそ
の金額を計算し、これを基礎として課税標準である、総所得金
額、退職所得金額及び山林所得金額を計算することとしている。
○ 明治20年の所得税創設時には、各種所得の種類、名称を定め
てはおらず、昭和15年の所得税改正において、不動産、利子配
当、事業、勤労、山林、退職の6種類に限定し、異なる税率で
課税した。他方、臨時利得税として、昭和14年には船舶、鉱業
権等の譲渡所得に課税が行われ、17年には不動産の譲渡所得に
も課税された。21年には臨時利得税が廃止されるとともに、従
来の譲渡所得は所得税に含まれることとなった。22年には利子、
配当、臨時配当、給与、退職、山林、譲渡、一時及び事業等の
9種類の所得分類を規定した。これにより、有価証券の譲渡を
譲渡所得に含めるとともに、一時的な所得を取り込んだ。シャ
ウプ勧告に伴う25年の改正により、雑所得の類型を設け、今日
のような所得分類が整備された。
○ 預貯金や株式等の金融資産からの所得に対する所得税の課税
方法をみると、利子については一律源泉分離課税(住民税につ
いても同じ)であり、配当については総合課税を基本としつつ
源泉分離選択課税制度や少額配当の申告不要制度が設けられて
おり(住民税については原則総合課税、少額配当は非課税)、
株式等譲渡益については分離課税を基本として申告分離課税と
源泉分離課税の選択課税となっている(所得税において源泉分
離課税を選択された場合、住民税非課税)。
預貯金や株式等以外の金融商品からの所得については、所得
課税の原則に戻り、一時所得、所得税本法(地方税法本則)上
の譲渡所得、雑所得等に区分され、総合課税されているが、特
に預貯金との競合関係のみられる金融商品からの所得について
は、利子所得でない場合も個別に利子と同様の一律源泉分離課
税が行われている(いわゆる金融類似商品課税)。
○ 土地等の譲渡に対する課税方法をみると、土地等に係る事業
所得等の分離課税、長期譲渡所得の分離課税、短期譲渡所得の
分離課税が行われている。
また、土地等の譲渡所得には軽減税率や各種の特別控除が認
められている。
○ 不動産所得は、不動産、あるいは地上権、永小作権などの不
動産の上に存する権利又は船舶若しくは航空機を貸し付けるこ
とによって生ずる所得をいうが、沿革的には平成元年に廃止さ
れた資産所得合算課税制度との関係で設けられてきた分類であ
る。
○ 公的年金等については、従来、給与等とみなして給与所得控
除の適用を認めてきたが、昭和62年9月の税制改正において、
公的年金等控除を設けるとともに、所得分類を雑所得に改めて、
現在に至っている。
○ 所得の計算において、長期的に発生した所得については、長
期譲渡所得、一時所得について2分の1の所得の総合課税、退
職所得について2分の1の分離課税、山林所得の5分5乗の所
得計算という累進緩和も念頭においた措置がとられている。 |
○ 現行の所得課税は、所得の発
生形態、性質等に応じて、10種
類の所得に分類したうえで所得
が計算されているが、このよう
な所得分類についてどのように
考えるべきか。
○ 預貯金・株式等の金融資産か
らの所得について
・ 勤労性所得との違いをどう
考えるか。
・ 金融取引の特性をどう考え
るか。
・ 国際的な資本移動の中立性
の観点からどう考えるか。
○ 土地等の譲渡所得について
・ 勤労性所得との違いをどう
考えるか。
・ 軽減税率の適用範囲と特別
控除をどう考えるか。
・ 所得が長期間の経過により
生ずることをどう考えるか。
○ 土地等の証券化の進展を踏ま
え、金融課税と土地からの譲渡
所得への課税等の関係をどう考
えるか。
○ 不動産所得について事業所得・
雑所得との関係でどう考えるか。
○ 現在、雑所得に分類されてい
る公的年金に係る所得をどう考
えるか。
○ 長期的に発生した所得に関し
ては、累進緩和も念頭においた
措置がとられているが、税率の
累進緩和の流れのなかで、これ
らの所得計算方法をも検討する
必要があるのではないか。 |