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諮問・答申・報告書等3.国民生活に関連する税制(1)金融所得課税 [1]金融所得課税の一体化 少子・高齢化の進展を背景として貯蓄率が低下する中、個人の金融資産の効率的な活用が、今後の経済活性化のための鍵となる。このため、近年、「貯蓄から投資へ」の政策的要請を受け、個人の金融商品選択における課税の中立性を確保し、簡素でわかりやすい税制となるよう、分離課税制度を基本として、金融所得課税の一体化に向けた様々な措置が講じられてきた。株式等の配当や譲渡益は、このような考え方から原則20%の税率による実質分離課税とされている。 今後とも、金融所得間の課税方式の均衡化、損益通算の範囲の拡大を柱とする金融所得課税の一体化を進めていくべきである。 [2]上場株式等の配当や譲渡益の軽減税率 上場株式等の配当や譲渡益の軽減税率(10%)は、平成15年度税制改正において、当時の株式市場の低迷や金融機関の不良債権問題に対応するため、5年間の時限措置として導入されたものである。 現在の経済状況は、株式市場が活性化し、不良債権問題も正常化するなど、優遇措置導入当時と比べて大幅に改善している。また、金融技術の発達により金融商品からのキャッシュフローを様々な所得分類に加工することが可能となっている中で、課税の中立性確保のため、金融所得間の課税方式の均衡化が要請されている。さらに、株式等の保有状況を考慮しつつ、公平性の観点にも留意する必要がある。 これらを踏まえ、平成19年(度)末に期限切れとなる上場株式等の配当や譲渡益の優遇措置については、金融所得課税の一体化の方向に沿って、期限到来とともに廃止し、簡素でわかりやすい制度とすべきである。 なお、上場株式等の配当や譲渡益に係る時限的な優遇措置の見直しによって金融所得間の税率を揃えるとともに、今後、金融所得課税の一体化を進めていくにあたって、次の点に留意すべきである。 第一に、「貯蓄から投資へ」の流れを確かなものとするべく、資金の流れに引き続き十分注意を払い続ける必要がある。また、この優遇措置の廃止が株式市場の無用の変動要因とならないよう工夫する必要がある。 第二に、個人投資家の投資リスクを軽減し、リスク資産への投資促進を図るため、金融所得の損益通算の範囲を本格的に拡大していくべきである。その具体的な範囲や仕組みについて、今後、早急に検討を進める。 第三に、配当所得については、事業参加性のある所得としての性格も有することから、総合課税を選択した場合には法人税との調整措置が適用されているが、今後、法人段階と個人段階での課税の調整の在り方についてさらに議論を進めていく。(2)円滑・適正な納税のための環境整備 税制に対する国民の信頼を確保するためには、制度の公平・公正性、中立性、簡素性、さらには予測可能性が重要である。税務執行面についても、納税者の利便性の向上、負担の軽減の観点から、その在り方を適時見直し、改善すべきである。同時に、脱税や租税回避を防止するため、必要に応じ、適切な資料の提出を求めるなど適正な納税を確保するための措置を講ずる必要がある。 前述の金融所得課税の一体化にあたっては、源泉徴収制度、資料情報制度、金融番号制度等、適正な執行と納税者利便の向上を図るための納税環境の整備について議論を深めるとともに、すでに多数の投資家が利用している特定口座を活用した損益通算の在り方についても検討すべきである。 納税者全体の利便性の向上の観点から、国税におけるコンビニ納付を可能とすべきである。また、電子申告について、手続の簡素化等、その普及のための方策を検討すべきである。税務当局が差し押さえた動産等を売却する公売については、売却手続の円滑化の観点から見直しを行うべきである。 適正な納税のための環境整備として、源泉徴収、支払調書の提出の対象となる報酬の範囲を見直すとともに、投資ファンドから分配される損益に関する資料情報制度を改善すべきである。 納税者番号制度は、各種資料の名寄せ・突合を効率化することにより、税務行政の効率化・高度化、ひいては適正・公平な課税に資するものである。今後、住民票コードや基礎年金番号、いわゆる「社会保障番号」の活用可能性を検討しつつ、これまで以上に積極的な取組が必要である。 また、公的年金受給者の納税の利便性を向上させるとともに、市町村における徴収事務の効率化を図る観点から、所得税や介護保険料と同様に個人住民税についても、公的年金からの特別徴収(天引き)を速やかに実施すべきである。 なお、国・地方の三位一体改革の一環として、平成19年に所得税から個人住民税へ税源が移譲される。この税源移譲により、1年間の所得に対する所得税と個人住民税を合わせた税負担額は基本的に変わらない。しかし、所得税と個人住民税の課税・徴収方式の違いから、多くの納税者は、平成19年1月から所得税が減り、同年6月から減少相当分だけ個人住民税が増えることになる。そうした変動について負担増と誤解されないよう、国民の十分な理解を得るために国・地方が一体となって積極的な周知を図るべきである。(3)個人住民税 個人住民税は、「地域社会の会費」として住民がその能力に応じ広く負担を分かちあうという性格を有している。3兆円の税源移譲の実現に伴い所得割が10%比例税率化され、応益性がより明確になることを踏まえ、その在り方を考えていく必要がある。 現行の均等割の税率は、1人当たりの国民所得等の伸び等を勘案するとなお低い水準にとどまっている。個人の税負担の動向にも十分考慮を払いつつ、税率の引上げを検討すべきである。 また、所得割の諸控除については、「地域社会の会費」としての個人住民税の性格を踏まえて整理合理化を図り、課税ベースの拡大に努めていく必要がある。こうした観点から、特に政策誘導的な控除については、所得割が比例税率化されること等も勘案し、控除額の水準等その在り方について速やかに見直すべきである。(4)道路特定財源 揮発油税、自動車重量税等の道路特定財源については、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」(平成18年法律第47号)において、その見直しの基本方針が定められているところであり、この方針に沿って、現行の税率水準を維持し、納税者の理解を得つつ、一般財源化を図るべく、年内に具体案を取りまとめるべきである。(5)地球温暖化問題への対応 環境税については、国・地方の温暖化対策全体の中での環境税の具体的な位置付け、その効果、国民経済や国際競争力に与える影響、諸外国における取組状況、既存エネルギー関係諸税との関係等を十分に踏まえ、総合的に検討していく。 |
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