| |
1.個人所得課税
わが国の個人所得課税は、累次の減税の結果、主要国との比較において、税負担水準が極めて低くなっている。持続可能な公的部門の構築に向け、安定的な歳入構造を確立する観点からは、個人所得課税について、財源調達や所得再分配など、本来果たすべき機能の回復に取り組んでいく必要がある。加えて、少子・高齢化の進展、家族世帯類型や雇用形態の多様化といった経済社会の構造変化に即応し、個人の経済・社会活動上の多様な選択をなるべく阻害しないような負担構造の構築が求められている。
「あるべき税制」の構築に向け、定率減税の見直しや課税ベースの拡大、税率構造、諸控除の見直しといった諸課題に取り組んでいかねばならない。その際、人的控除のあり方を見直す場合には、特に、少子・高齢社会における子育ての重要性に留意する必要があろう。
個人所得課税を巡っては、当面、国・地方の三位一体改革の一環としての本格的な税源移譲が大きな課題となる。その実施に際しても、こうした「あるべき税制」に沿った制度設計を行うべきである。
|
| |
(
|
1)税源移譲
国・地方の三位一体改革の一環として、補助金改革とあわせ、平成18年度までに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行うこととされている。この税源移譲は、廃止される国庫補助負担金に係る財源措置と位置付けられることから、所得税法及び地方税法の改正による恒久措置によって行うことが適当である。
税源移譲にあたっては、個人所得課税体系における所得税と個人住民税の役割分担の明確化が課題となる。個人住民税については、応益性や偏在度縮小が求められることを踏まえ、所得割の税率のフラット化を行うことが基本となろう。また、所得税については、税源移譲後においても所得再分配機能の適切な発揮が求められることを踏まえ、「あるべき税制」との整合性に留意しつつ、税率構造・控除双方の見直しを視野に入れ、具体的な移譲の手法につき今後検討を重ねていく必要がある。
この税源移譲に際しては、個々の納税者に係る税負担の変動にも十分に留意すべきであり、所得税・個人住民税双方における適切な対応が求められる。
|
| |
(
|
2)定率減税の取扱い
定率減税は、平成11年度税制改正において、当時の著しく停滞した経済活動の回復に資する観点から、個人所得課税の抜本的見直しまでの間の緊急避難的な特例措置として導入され、見合いの財源なしに、毎年3兆数千億円という規模で継続されてきているものである。
現在の経済状況は、構造改革の進展によって民間経済の体質強化が実現されつつあり、定率減税が実施された平成11年当時と比べ、著しく好転してきている。また、引き続き各般の改革が実を結んでいけば、民需主導の経済成長が持続していくものと期待される。かかる状況の下、定率減税を継続しておく必要性は著しく減少したといえよう。景気対策のための特例措置として導入された定率減税を見直し、中期的な観点に立って、持続可能な経済成長を目指すべき時期にきている。また、先に述べた税源移譲とあわせ、国・地方を通じた個人所得課税の抜本的見直しを平成18年度までに行う必要がある。
従って、定率減税については、平成18年度までに廃止すべきである。その際、経済への影響を考慮すると、平成18年度税制改正において一度に廃止するよりも、段階的に取り組むことが適当であり、平成17年度税制改正においても縮減を図る必要がある。
|
| |
(
|
3)個人住民税
均等割の税率は、これまでの国民所得や地方歳出等の推移と比較すると低い水準にとどまっており、その税率の引上げを図る必要がある。
また、所得割の所得控除については、地域社会の費用を住民がその能力に応じ広く負担を分任するという個人住民税の性格や応益原則に基づき見直しを図り、課税ベースの拡大に努めるべきである。さらに、65歳以上の者等に係る非課税限度額制度は、現役世代と高齢者間の税負担の公平を確保するため、障害者のように真に配慮が必要な者に係る制度に改組すべきである。と同時に、税負担の公平や税収確保の観点から、徴収率の向上を目指した執行面・制度面からの検討を行う必要がある。
|
| |
(
|
4)金融所得課税の一体化
近年において、少子・高齢化の進展などから貯蓄率が顕著な低下傾向を示す中、経済の活力を維持するためには、現存する金融資産の効率的な活用が鍵となっている。こうした状況を踏まえ、金融小委員会においては、本年6月、金融所得課税の一体化に係る基本的な考え方をとりまとめ、金融・証券税制の一層の簡素化や一般個人の投資リスク軽減に向けての道筋を示したところである。
今後、各種の金融所得の損益通算の範囲の拡大にあたっては、投資家の混乱を引き起こさぬよう制度改変の手順に留意する必要がある。また、その際、金融番号制度の導入は不可欠である。所要のシステム構築といった面にも十分配慮しながら、金融所得課税の一体化を具体的に進めていくべきである。
|