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2.経済及び財政の現状
近年、わが国においては、産業再生と不良債権処理をはじめとした構造改革の推進により、企業部門の有利子負債がバブル崩壊後最低の水準にまで低下するなど、民間経済の体質強化が実現されつつある。その結果、企業収益が大幅に改善し、設備投資も増加している。有効求人倍率の上昇とともに、失業率が、ここ10年来初めて趨勢的に低下するなど、雇用情勢も着実に改善しており、消費者マインドの改善もあって、個人消費は緩やかに増加している。
原油価格の動向が内外経済に与える影響や世界経済の動向に留意する必要はあるが、国内民間需要が着実に増加していることから、今後とも景気回復が続くと期待される。かかる状況の下、持続的な経済成長を実現していくため、引き続き、各般の構造改革が推進されている。
他方、わが国財政は、バブル崩壊以降の大規模な景気対策の実施もあり、長期債務残高が累増し、先進国中最悪の危機的状況にある。わが国の税負担は、累次の減税により、諸外国と比べても極めて低い水準にあり、国税収入の歳出総額に占める割合は辛うじて5割を上回る程度でしかない。その分、巨額の公債発行が続いている。
こうした現状にもかかわらず、金融の量的緩和政策の下、民間企業部門の負債圧縮などの動きもあって、資金の流れが国債市場に向かったこともあり、長期金利は低水準で推移してきた。しかし、かかる状況は永続的ではない。現在の財政状況を放置すれば、その持続可能性に対する信認低下を背景とした金利上昇により、金融市場の機能、ひいては経済全体の健全な発展が阻害されることとなりかねない。財政に対する国民や市場からの信認を高め、持続的な経済成長を実現するためにも、財政健全化が必要である。
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