平成15年6月
少子・高齢社会における税制のあり方
税制調査会
税制調査会委員等名簿
本答申の審議に参加した委員、特別委員及び専門委員は、次のとおりである。
委 員
石 弘 光 猪 瀬 直 樹 今 井 敬 上 野 博 史 奥 野 正 寛 貝 原 俊 民 草 野 忠 義 津 十 月 今 野 由 梨 榊 原 長 一 佐 野 正 人 島 田 晴 雄 竹 内 佐和子 田 中 直 毅 津 田 正
福 原 義 春 堀 田 力 本 間 正 明 松 浦 幸 雄 松 尾 好 治 松 永 真 理 松 本 和 夫 水 野 忠 恒 水 野 勝 森 金次郎 森 下 洋 一 諸 井 虔 柳 島 佑 吉 吉 永 みち子
特別委員
大 宅 映 子 奥 本 英一朗 神 田 秀 樹 菊 池 哲 郎 幸 田 正 孝 河 野 光 雄 佐 瀬 守 良 中 里 実
中 嶋 榮 一 中 地 宏 長 野 幸 彦 牧 野 力 三 山 秀 昭 村 上 政 敏 室 町 鐘 緒 和 田 正 江
専門委員
神 野 直 彦 田 近 栄 治
宮 島 洋
目 次
はじめに 少子・高齢化やグローバル化が急速に進展する中、わが国経済社会の活性化を実現するには構造改革の推進が急務であり、税制も21世紀の新たな社会に相応しい姿に再構築していく必要がある。当調査会は、このような問題意識の下、昨年6月に「あるべき税制の構築に向けた基本方針」(以下、「基本方針」という。)をとりまとめ、中長期的視点から持続的な経済社会の活性化を実現するためのわが国税制のあるべき姿の全体像を示した。平成15年度税制改正では、この全体像に基づき、人的控除の簡素化・集約化の第一歩としての配偶者特別控除(上乗せ部分)の廃止、研究開発税制・設備投資税制の集中・重点化、消費税の信頼性・透明性の向上に向けた改革、相続税・贈与税の一体化措置の導入、法人事業税への外形標準課税の導入、金融・証券税制や土地税制の見直しなど広範な税目にわたる改革を実現した。 本年1月、小泉内閣総理大臣から当調査会に対し、平成15年度税制改正の成果を踏まえ、「基本方針」で示した考え方のうち少子・高齢社会を支える税制などの課題について、更に検討を深めるようにとの指示があった。 わが国は少子・高齢化の進展とともに人口がまもなく減少傾向に転じるなど経済社会構造の大きな転換局面に立っている。21世紀の展望を切り開き国民の自信を回復させるために、様々な分野における構造改革を推進し、活力にあふれる民間部門とそれを支える効率的で持続可能な公的部門を構築していく必要がある。また、わが国経済社会の高齢化・成熟化に伴いフローに比してのストックの重要性が高まるため、金融資産をはじめとする資産の効率的な活用が経済社会の活力の維持にとり重要な意味を持つ。 一方、財政については、国の歳出額の約半分しか税収で賄えていない。多額の長期債務残高を抱え、国・地方を通じて財政は危機的状況にある。持続可能な財政の確立に向けて、2010年代のできるだけ早い時期にプライマリーバランスの均衡化を達成することがまずもって重要であり、そのために着実な財政収支改善努力を行っていく必要がある。今後の高齢化の進展に伴う年金・医療・介護給付の増大も見込まれ、国民の負担増は避けられない。これからの負担増について国民の理解を得るためにも、国・地方を通じた徹底した行財政改革による公的部門の効率化を図ることが大前提となる。 さらに、わが国の構造改革の重要な柱として、地方の自己決定権と自己責任を拡充し、地方分権の推進を図っていくことが求められている。 税制もこのような構造改革の動きと軌を一にして改革していかねばならない。 当調査会は、このような認識に基づき、総理指示を踏まえ、「少子・高齢化と税制」、「地方分権と税制」、「金融・証券税制」などの課題に焦点を絞って審議を進めた。審議の過程では4月下旬から5月上旬にかけて北米・北欧において関連する動向について調査した。 本答申は「基本方針」の内容を更に深め、両者一体で中長期的視点に立ったわが国税制のあり方について提案を行うものであり、これらの提案をもとに今後とも税制の再構築に向けて国民の間で幅広く建設的な議論が行われることを期待している。