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諮問・答申・報告書等


法人税関係


 法人の性格と法人税のあり方


.法人税のあり方については、従来、法人の性格を巡る法人擬制説(法人は個人(株主)の集合体であると見る考え方)と法人実在説(法人を株主と独立した存在であると見る考え方)を対立させて演繹的に議論されることがあった。特に、配当に対する所得税と法人税の負担調整に関して、法人実在説の立場からは、法人税は法人独自の負担であり負担調整は不要であるとされ、法人擬制説の立場からは、法人税は所得税の前取りであり、負担調整を行うべきであるとされる。しかしながら、法人企業の経済活動の実態や法人税等の転嫁等についての検討を踏まえると、法人税について法人実在説あるいは法人擬制説という形で一面的に割り切ることは困難である。


.他方、近年急速に進展する企業活動のグローバル化や金融・投資活動の多様化を踏まえると、法人の性格や法人税のあり方に関しては、新しい問題が生じている。すなわち私法上の「法人」に加えて、多様な事業体の設立目的や法的位置付け、更にはその規模、存続期間等の経済実態をどのように捉え、個人段階の課税との関連に配慮しつつ法人税の課税対象や課税方式を考えるかという新たな課題に取り組む必要がある。
 具体的な検討課題は以下の通り。

(1)

 外国のパートナーシップ等、私法上の「法人」ではないが実態的には「法人」と同じような事業や投資を行う多様な事業体がわが国で活動するようになっている。また、このような事業体の中には、特定の投資や事業が終了すれば清算するといった、これまで「継続企業」(ゴーイング・コンサーン)として想定された典型的な法人企業と異なる「法人」や事業体が出現してきている。現行の法人税は、基本的に私法上の「法人」を課税対象としているが、このような新たな状況を踏まえ、「法人」と同様にグローバルな活動を行っている多様な事業体に対し適正な課税を確保する観点から、法人税の課税対象や課税方式を検討していく必要がある。

(2)

 一方で、私法上の「法人」ではあっても、実態として個人事業者と変わらない「法人」について、法人税の課税対象とするかどうかという問題もある。諸外国の例を見ると、 ドイツでは、合名会社、合資会社に対して法人課税ではなく個人課税であり、アメリカでも、一定の小規模法人については、個人課税を選択できる制度となっている。また、わが国の場合、特に中小法人の中で多年にわたって赤字のまま存続している法人が少なくなく、恒常的に赤字法人割合も高いため、税制上何らかの対応が必要ではないかと考えられる。このため、諸外国の制度も踏まえて、法人税の課税対象や課税方式を検討していく必要がある。
 
相続税・贈与税関係


 相続税・贈与税


.課税根拠
 相続を契機とした財産移転に対する相続課税の課税根拠は、基本的には、遺産の取得(無償の財産取得)に担税力を見出して課税するもので、所得の稼得に対して課される個人所得課税を補完するものと考えられる。その際、累進税率の適用により、富の再分配をより効果的に図る役割を果たしている。
 個人から贈与により財産を取得した者に対しては、取得財産の価額を課税価格として、贈与税が課される。贈与税は、相続課税の存在を前提に生前贈与による相続課税の回避を防止する意味で、相続課税を補完する役割を果たしている。また、相続課税と同様、贈与という無償の財産取得に担税力を見出して課税する位置付けもある。


.課税方式(遺産課税方式、遺産取得課税方式及び併用方式)
 
わが国の相続税は、明治38年に遺産課税方式によって創設され、シャウプ勧告に基づく昭和25年の改正で課税方式が遺産取得課税方式に変更された。その後、昭和33年に、税制特別調査会における幅広い議論を踏まえ、遺産取得課税方式を採りつつも、税負担総額は各相続人の実際の取得にかかわらず法定相続人の数と法定相続分によって一律に算出するというわが国独特の制度(法定相続分課税方式)が創設され、現在に至っている。
 法定相続分課税方式が昭和33年度改正において導入された背景としては、それ以前の純粋な遺産取得課税方式において、

(1)

 税務執行上仮装分割などを防止することが困難であること

(2)

 分割容易な遺産と困難な遺産との税負担が不均衡となること

(3)

 農業の零細化を促進する(農業政策等と不整合となる)おそれがあること

等の問題点があった。現在においては、相続人の人数の減少傾向、農地に係る納税猶予制度の存在等、制度導入当時とは状況の変化が見られる。財産取得者の個人的担税力に即した合理的な課税を行うことはできないという遺産課税方式の問題点や、遺産の総額が同じであれば、分割方法にかかわらず税額の総額は一定であるという現行の方式のメリットは、依然認められ、法定相続分を基調とする取得課税による現行の体系については維持すべきである。


.一生累積課税方式と一定期間累積課税方式
 「生前贈与を相続と一体として捉え、両者を相続時点まで完全に累積し、課税についてもその時点で清算を行う」という考え方を貫徹すれば、一生にわたる贈与を累積し、相続と合わせて課税(各年ごとに累積贈与額に対する税額を納付、過年分納付額は税額控除、相続においては納付贈与税額を控除)する一生累積課税方式を採用すべきこととなる(その際、相続関係のない者については別途の課税を行う)。
 他方、「贈与と相続との完全な累積・清算」という考えには必ずしもとらわれず、現実的なレベルで贈与・相続を通じた税負担を平準化する考え方からは、一定期間にわたる贈与を累積して課税(各年ごとに過去一定期間内の累積贈与額に対する税額を納付し、過年分納付額は税額控除、相続前一定期間内の贈与は相続と合わせて課税)する一定期間累積課税方式が導かれる。
 一生累積課税方式は、基本的には、生前贈与を行ったとしても、又はすべてを相続したとしても合計税負担額は変わらず、親子間の財産移転のタイミングの選択に対し中立的という利点があるが、執行が困難であるという問題点がある。
 一定期間累積課税方式は、相続前一定期間外の生前贈与が多いほど相続時の負担は減少し、生前贈与を促進する働きがある。生前贈与と相続との間の中立性はある程度確保されるものの、一生累積課税方式には劣っている。一方、税務執行については、一生累積課税方式ほど困難でない。


.民法との関連(被相続人による財産の処分・相続人の貢献と相続法)

(1)

 生前贈与が円滑化された場合の民法上の論点
 生前贈与の円滑化により特定の者に贈与が集中した場合、民法との関連では、他の推定相続人である親族からの遺留分減殺請求によって贈与が覆る事態が生じ得る。
 遺留分減殺請求は原則として相続開始前1年間の遺贈・贈与に及ぶが、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした場合、それ以前の贈与も対象となし得る。続柄に関しては、法定相続人の遺留分を「害する」意思が比較的認められやすい親族の方が、第三者に対するよりも贈与が覆る可能性は高く、特に、法定相続人のみが受ける特別受益に対しては、判例により、ほぼ無条件に遺留分減殺が認められている。
 推定相続人に対する生前贈与が促進された場合、贈与が遺留分減殺請求により覆る可能性は拡大していく。しかし、民法の相続に関する規定は、被相続人の財産に関する決定権を尊重しつつ、相続分や遺留分によって相続人間の公平性の調整を図っており、贈与が覆る事態は、相続法の原理からは避けられないものとして想定されていると考えられる。
 したがって、贈与が覆る可能性が高まることをもって、生前贈与を円滑化する税制上の措置に制限を加える必要はないが、制度の設計に当たっては、贈与が覆る可能性があることを念頭に置いて検討を行う必要がある。
 なお、親族以外の第三者に対する贈与は、遺留分との関係で覆る可能性が低いが、このことが悪用される可能性を踏まえれば、法定相続人とそれ以外の者とで生前贈与の税負担を異なる水準とし、第三者に対する贈与に係る税負担を重く設定することも考えられる。

(2)

 家族の被相続人に対する貢献とそれに対する求償、救済
 高齢化社会の到来を受け、親の扶養(生計費の補助)や介護(以下、これらをまとめて「面倒見」という。)を行った者について、親からの相続や生前贈与において配慮が払われるべきではないかとの論点がある。
 民法においては、「扶養」は本来対価性がなく、生活の資力がないなど要扶養状態になった者に対し、その生計を補助する一方的な義務が発生する。親に財産がある限り民法上の「扶養」の義務は生じない。他方、相続は財産の存在を前提とするため、厳密には民法上「扶養」と相続とは連動しないが、親の「面倒見」を行った相続人の貢献については、寄与分や「面倒見」を行わなかった他の相続人に対する対価の求償などによる相続における救済が、判例においては認められている。
 こうした「面倒見」と相続とを巡る民法の分野における論点は、更なる高齢化の進展の中で、より大きな問題となっていくと考えられるが、現行民法の規定を改めるに足るような意見の収斂は未だなされていない。ただし、

[1]

 民法上の相続は身分(続柄)で一義的に決定されるものであること

[2]

 「面倒見」を行ったり事業を補助した相続人による他の相続人に対する求償について、寄与分などを用いて調整を図ることには限界があること

等を踏まえれば、あらかじめ、契約等の財産法において具体的な解決を図ることが適当とする意見が有力である。

(注

)法定相続人の配偶者(典型的には「息子の妻」)など、そもそも相続権がない家族の貢献については、遺留分(配偶者や子供は法定相続分の2分の1)を害さない範囲で贈与・遺贈が可能であり、基本的には、家族・親族の話し合いで円満な解決を図ることが望ましいとする意見が有力である。

 以上を踏まえれば、「面倒見」や事業の補助等の相続人の貢献を相続と関連づけ、更には、その延長線上で、相続課税において「面倒見」について配慮した措置を講じることは、民法における「相続」の基本的考え方と抵触することから、限界があると考えられる。

その他


 国際課税


.国内における活動への対応
  国外からの投資・事業活動に利用される事業形態の多様化が進む中、特にパートナーシップ、匿名組合や信託など法人格を持たない事業体に対する課税に困難が生じている。多様な事業体については、今後、法人課税の対象となる範囲も含め、課税のあり方を見直し、税制上の取扱いの明確化と適正な課税の実現を図る必要がある。また、外国法人の支店に対する課税については、子会社に対する課税とのバランスを図る観点から、諸外国やOECDの場で見直しが進んでいる。支店が実質的な租税回避に利用されていることも考えられるので、その課税のあり方も見直していくべきである。


.国外における活動への対応
 企業の国外活動が拡大していく状況の下、その成果についてわが国の適正な課税権を確保していくことがより一層重要となる。外国子会社合算税制(いわゆるタックス・ヘイブン税制)は、所得の国外留保による課税繰延を防ぐことによりわが国の課税ベースを確保する機能を有しており、今後は企業の国外活動の実態等を踏まえた上で、その適正化を検討していく必要がある。外国税額控除制度については、控除限度額の流用などによる課税ベースの浸食を防止する観点から、制度を不断に見直していくべきである。


.執行面での対応
 グローバル化に対応して適切な執行を確保するには、国外に所在する課税情報への執行当局のアクセスを充実していくことが重要となる。国際的には、最近多くのタックス・ヘイブンがOECDに対して実効的な情報交換の実現を約束するなど、執行当局間の情報交換を強化する動きが顕著である。わが国も、今後租税条約に基づく情報交換の拡充を図るほか、タックス・ヘイブン等との間では情報交換協定の締結を検討していかねばならない。情報交換制度が相互主義の原則に基づく以上、その前提として、わが国も国際的なスタンダードに従い、条約相手国から情報の提供を求められた場合には、わが国の課税上の利益の有無にかかわらず執行当局が迅速に情報を収集し相手国に提供できるように、法制面を含む制度整備を行うべきである。

「基本方針に盛り込まれていない意見」

 基本方針の審議の過程においては、以下のような意見があった。




 社会保障の大胆な歳出削減が必要という点については、慎重に対応すべきとの意見があった。


 人的控除や給与所得控除の見直しについては、低所得者層や給与所得者にとって負担増をもたらす可能性があり、安易な縮減は適切でないとの意見があった。


 いわゆる「恒久的な減税」のうち、とりわけ定率減税については、景気回復策としての効果も定かでなく、国民の認知度も低いことから直ちに廃止すべきとの意見があった一方、単に廃止するのではなく、あるべき個人所得課税制度の中に融合させていくべきとの意見があった。


 退職所得控除のあり方については、雇用情勢の悪化や退職金の使用実態も考慮すべきとの意見のほか、現行制度を維持すべきとの意見があった。


 法人事業税への外形標準課税の導入については、その理念と意義は理解できるものの、地方における中小企業の厳しい状況を踏まえ、その導入時期については慎重に検討をすべきではないかとの意見があった。また、制度が複雑となるとの意見もあった。


 将来、消費税の税率水準が見直される場合には、真に手を差し伸べるべき方々に対して、社会保障制度などの歳出面を含め、きめ細かな配慮を行う必要があるとの意見があった。


 社会保障に係る公的な負担が増加していくことを踏まえれば、相続時に移転する個人資産に対してはむしろより多くの負担を求めるべきであり、現行の最高税率は引き下げるべきではないとの意見があった。


 税制によって、金融資産や住宅等の贈与に誘因を与えようとすることには限界があり、さらに、生前贈与を円滑化する措置は、結果として高齢者の意思に反した贈与を強制したり、悪用されるおそれもあるのではないかとの意見があった。


 発泡酒については、ビールと同様の商品であり、発泡酒の税率をビール並みとすべきであるとの意見があった。他方、企業努力等への配慮やビールの負担水準を含めた検討が必要ではないか等の意見もあった。


 たばこに関しては、健康指向の高まりや財政状況を踏まえれば税負担を引き上げるべきとの意見があった。他方、税負担のあり方と健康の関連づけに反対する意見や、度重なる税負担の引上げは慎重に行うべきとの意見もあった。


 道路特定財源等については、受益と負担の関係が明確な合理的な制度で、その存在意義を疑問視することは適当でないとの意見があった。
 

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