| 一 検討に当たっての視点 |
| |
1. |
これまでの税制改革の点検 |
| |
|
(1) |
税制の流れ
今後の望ましい税制の姿を展望しつつ、平成14年度税制改正を検討することに先立ち、まず近年の税制改革を振り返ることとする。
昭和62年から63年にかけて、高齢化社会の到来などを見据え、所得・消費・資産等の間でバランスのとれた税体系の構築を図るため、シャウプ勧告以来の抜本的な税制改革が行われた。具体的には、旧来の個別間接税が廃止され、消費税が創設された。その一方で、個人所得課税の税率構造について累進緩和・簡素化が図られた。同時に、利子課税の見直し等により資産性所得に対する課税が適正化された。
また、平成6年には、少子・高齢化の進展などに対応するため、個人所得課税の税率構造の一層の累進緩和などにより、主に中堅所得者層の負担軽減が行われた。他方、消費課税の充実を図るため消費税率を5%(新たに創設された地方消費税1%分を含む。)に引き上げるとともに、中小事業者に対する特例措置等の抜本的な見直しが行われた。その際、経済状況に配慮して、消費税率の引上げ等を平成9年4月実施と先に延ばしつつ、個人所得課税については、平成7年(度)以降に制度減税、平成6年(度)から8年(度)に特別減税が実施され、先行減税が行われた。
その後、平成9年秋以降、金融システム不安等が実体経済に深刻な影響を及ぼし、その結果、平成10年度には実質経済成長率がマイナスとなるなど、わが国経済は深刻な状況に陥り、景気回復を図る観点から税制面でも最大限配慮することが求められた。このため、平成10年(度)には個人所得課税について二度にわたる特別減税が実施され、他方、法人課税についても、企業活力や国際競争力を維持する観点から、課税ベースの適正化と併せて税率の引下げが行われた。
さらに、平成11年度税制改正においては、個人所得課税及び法人課税について平年度6兆円を相当程度上回る恒久的な減税が実施された。景気への配慮から、個人所得課税について定率減税が行われたほか、法人課税について課税ベースが見直されることなく一層の税率の引下げが行われるなど、負担軽減となる措置のみが実施された。現在も、こうした個人所得課税の定率減税などの措置が継続しており、諸控除の簡素化・合理化など、課税ベースの見直しを含む個人・法人の所得課税のあり方の抜本的な見直しが検討課題として残されている。 |
| |
|
(2) |
税負担の現状と今後の対応
以上のような税制の流れを経て、わが国の租税負担率(対国民所得比)は22.6%(平成13年度見込み)と、主要先進国中、最も低い水準にあり、社会保障負担率を加えた国民負担率で見ても、諸外国に比べて低い水準にある。例えば個人所得課税については、恒久的な減税の継続や各種控除の累次の拡充等の結果、働く人のうち概ね4分の1程度が非納税者となっており、個々の納税者の負担水準も国際的に見て非常に低いものとなっている。今後、こうした租税の現状についての理解をより高めるよう努める必要がある。
公的サービスの水準が上昇傾向にある一方、租税負担を含む国民負担が低水準に留まっている結果、歳出と歳入のギャップが拡大傾向にある。現在、明らかに租税の果たすべき公的サービスの財源調達機能は極めて不十分な状態に置かれている。21世紀のあるべき経済社会を展望し、租税は公的サービスを賄うのに十分な財源を国民皆が広く公平に分かち合うものであることを改めて認識した上で、少子・高齢化、国際化・情報化、ライフスタイルの多様化など、経済社会の構造変化と調和のとれた望ましい税制の構築に向けて、税制全般にわたる抜本的な改革が必要となると考える。
こうした点を踏まえ、現在、基礎問題小委員会において、現行税制の歪みや不公平と指摘されている点について、理論的・基礎的検討を行っている。公正で活力ある社会を実現していくため、構造改革の一環として、公平・中立・簡素といった租税の基本原則に則った望ましい税制の構築に向けて、今後、速やかに議論を進めることとする。 |
|
2. |
最近の経済・財政状況等 |
| |
|
(1) |
経済・財政状況
世界経済が減速している中で、わが国経済は、輸出、生産、設備投資が減少し、雇用情勢も悪化するなど、厳しい状況にある。このような中、政府は、本年6月に経済財政諮問会議の審議を経て決定した「今後の経済財政運営及び経済社会の構造改革に関する基本方針」(以下「基本方針」という。)に基づき、わが国経済の基本的な成長力を高めるよう、構造改革を積極的に推進していくこととしている。
一方、わが国の財政は、バブル崩壊後、景気回復に向けた諸施策に伴う歳出の増大や恒久的な減税など税制面での措置の結果、歳出・歳入ギャップが拡大し、国及び地方の長期債務残高は平成13年度末約666兆円に達すると見込まれるなど、危機的な状況が続いている。平成14年度予算は、財政構造改革の第一歩として、国債発行額を30兆円以下とするとの目標の下、歳出の思い切った見直しと重点的な配分に取り組むこととされている。その後、持続可能な財政バランスを実現するため、「構造改革と経済財政の中期展望」(仮称)を策定しプライマリ-バランス黒字達成に向けた道筋を示すこととされている。 |
| |
|
(2) |
地方財政の状況と地方税
地方財政は、借入金残高が累増し、個々の団体においても公債費をはじめとする義務的経費が増加するなど、極めて厳しい状況が続いている。地方公共団体の財政面における自己決定権と自己責任をより拡充することを基本とし、引き続き徹底した行財政改革に取り組み、事業規模の抑制に努め財政の健全化を進めることが求められている。
地方行財政の効率化を前提に自主財源を中心とした歳入基盤を確立し、税源の偏在性が少なく、税収の安定性を備えた地方税体系を構築するために、地方税の充実確保を図ることが重要である。その一環として、国と地方の役割分担を踏まえ、国庫補助負担金の整理・合理化や地方交付税のあり方の見直しと併せて、税源移譲を含め国と地方の税源配分について根本から見直しそのあり方を検討すべきである。その際、国・地方それぞれの財政事情や個々の自治体に与える影響を考慮に入れる必要があろう。 |
「続きがあります」 |