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税制調査会企画会合(第14回)議事録

日時:平成19年9月11日(火)14時00分~

場所:中央合同庁舎第4号館共用第一特別会議室




○香西会長
  ただいまから「税制調査会第14回企画会合」を開催いたします。
  皆様におかれましては、お忙しい中を参集いただきまして、誠にありがとうございます。
  本日は先日の内閣改造に際しまして、新しく副大臣、政務官になられました皆様が御出席をされておられます。配席図が配ってありますので、御紹介は省略させていただきますけれども、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
  政府の税制調査会は、これまで総理の諮問を踏まえて、まずは調査分析作業に取り組むという方針で審議を行ってまいりました。当初予定しておりました調査分析項目の審議は、ひととおり終えたところでございますが、各税目にわたる具体的な議論は秋以降進めていくという方針でやってまいっておりまして、税制全般にわたる具体的な議論というのは、これから開始するということで、今日はその第1回の会合になるわけでございます。
  本日はそういった具体的な税制の問題についての議論のキックオフといたしまして、これまでの調査分析部会の審議の状況、結果等について、部会を主宰されてきました田近部会長から御報告をお願いしたいと思っております。
  その後、今後の審議の進め方につきまして、私の方から若干考えを述べさせてもらいまして、その後、今後我々はどういうことを審議すべきか、何を今回の税制改正の柱にしていくか、そういったような議論について本日は自由な討論、フリーディスカッションを行っていただくということを本日の予定としております。
  それでは、まず最初に田近部会長に調査分析部会での審議の概要等について、簡単に御紹介をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○田近委員
  今、会長から御指名に預かりました田近です。調査分析部会長として、この数か月審議の進行に携ってきました。この機会をいただいて、調査分析部会でどういうことをやってきたか。そして、それを踏まえて、私の所感ということで、今後どういう議題があるのかということをお話ししたいと思います。
  お手元に配布された資料を確認しながら話させていただきますけれども、まず「企画14-1」に「政府税制調査会の年明け以降の審議状況(実績)」という資料があります。
  「企画14-2」はおいていただいて、「企画14-3」という資料が、各調査分析部会の各報告のポイント及び自由討議ということです。
  この「企画14-1」ですが、少し振り返りますと、平成19年3月9日にこの分析部会が発足しました。少し見ていただくといいと思うんですが、それ以来ずっと続きまして、8月3日まで数えてみたんですけれども、11回やりました。その成果が大きな「企画14-3」の資料になるわけです。
  余り行ったり来たりしていただくつもりはありませんけれども、この「企画14-3」の目次を見ていただくと、ここに専門委員、あるいは税調の委員、外からお願いした講師の方の報告が20本あります。
  そして、海外調査の報告、事務局からの説明というよりは報告ということで形成しています。
  これはよくまとまったというか、それぞれの報告を基にまとまって、報告した方々の目も通していただいていますけれども、これは見ていただくとして、このように話させていただきたいと思っているんです。
  まず、これだけの報告、あるいはディスカッションをして、今振り返ることはできませんし、この資料があるんで、どんなことが共通したテーマとして浮かび上がってきたかなと。この会を開きながら、共通して浮かび上がってきたことは何かなということを、まず口頭でお話しさせていただいて、それから今後の審議に向けてどういう議題があるだろうかということをお話ししたいと思っています。
  まず、調査分析部会の部会長として聞いていて、共通した問題として理解したというか、興味深く考えたことは2、3点あります。
  まず、課税原則ということで、どういう順番でいったらいいのかわかりませんけれども、公平・簡素・中立ということをどう考えるのかということが調査分析部会でも重要なテーマとして論じられました。
  会長の方から中立という言葉に非常に注意を払われて、諮問会議でも議論されたようだし、いろいろありました。
  ただ、中立性に関しては、こんなふうだったと思うんですけれども、勿論、この税調を通じて、議論としては中立という原則に変えて成長という原則はどうか。わかりやすく言えばそのような議論だったと思うんですけれども、この税調の調査分析部会では企画会合も同時にやっていましたから、税調の審議全体を通じて我々は日本経済の成長を目指す、そういうことを議論するんだということで、成長というのは、税制のゴールだろうと。
  それに対して中立というのは、成長に至る過程での原則なんじゃないか。人々が個人でどのような仕事に就く、あるいは労働する、レジャーを取る、どのような形で投資をする云々。それに対して中立性というのが重要で、個人も企業ですので、それが成長に結び付くんじゃないかということで、ゴールとしての成長。そして、課税の原則としての中立。それを通じて成長を目指すんだということを議論したと思います。
  課税原則については、私はむしろ公平・簡素・中立の話を聞いていて、面白いというか重要だと思ったのは、簡素の話だと思いました。
  何人かの、特に法律サイドの委員からの議論ですけれども、複雑な税制が問題なんだと。税制が複雑になると、結局はある所得をほかの所得に形を変えたり、あるいは課税所得を小さくしたり云々で複雑な税制が租税回避を招くんだと。したがって、それで租税回避を招いて税の公正が保てなくなって、究極的には公平自身も実現が困難なんだと。したがって、公平という原則のファンデーションとしても簡素が重要なんだという議論が、ある意味説得的にされたと思いました。
  そういう意味で課税原則、公平・簡素・中立ということでは、中立性に対する議論。そして、やや個人的かもしれませんけれども、簡素ということが公平ということをにらんでも、重要な原則なんだということが議論されたかなと思います。
  第2点では、共通して浮かび上がった点ということでお話しさせていただいていますけれども、税あるいは社会保障の負担をどう考えるかということで、再三出てきた視点は、2007年の1年、あるいは2006年の1年ではなくて、それぞれの個人の生涯を通じた負担、その負担の公平性が重要だろうということが再三出てきました。
  それは特に指摘されるまでもないんでしょうけれども、ややもすれば毎年毎年税を幾ら払うか、払わないかということに頭がいっぱいになりがちですから、よく考えてみると、年金・医療・介護にしても、社会保障の多くのものは、個人に還元してくる。そういうベネフィット、便益はある意味で長い生涯にわたって続くもので、負担もそういう意味では生涯を通じた視点で考えるべきだろう。
  そうした視点に立つと、負担のあり方としては、所得だけではなくて、むしろ支出から応分の負担を求めること。それから相続税、それぞれ個人が死んだときに社会にしてもらったことに対して応分の負担を返すということで、相続税も生涯の視点から重要になってくる。
  ある委員、あるいはあるスピーカーは、社会保障目的税として相続税ということも主張していたということで、負担を生涯を通じて考えるという視点も再三議論されてきたと思います。
  第3点は、格差の問題も多くの報告でふれられたテーマだったと思います。具体的には内閣府の報告もありましたし、大竹先生の報告もありましたし、また、直接・間接に多くの報告がありました。これからの審議でも重要なテーマになると思うんですけれども、全般的に日本の格差の問題が高齢化とか世帯が小さくなる。3世帯が2世帯になって、1世帯になって単身になってくる。そういう世帯が小さくなってくると、格差は広がってくる。これは統計学的にもそういうことは出てくるんでしょうけれども、高齢化世帯の縮小というのが格差の重要な要因だとしても、それは日本で特有かもしれませんけれども、特に最近それに加えて重要なこととして指摘されたのが、弱年層の所得格差の拡大。それから、所得下位層の所得下落、これは報告の中の言葉ですけれども、所得下位層の中の所得下落が生じている。そうした若者、弱年層の所得格差、そして所得下位層の所得下落への対応が重要だということが何回か指摘されたと思います。
  これは言わずもがなかもしれませんけれども、税でできることと、ほかの政策と補完してやることと、そこは十分に考える必要がありますね、ということも指摘されていたと思います。特に今の格差の問題にしても、税でどこまでやるのか。あるいは教育を通じる機会均等ということで、あるいは一人ひとりの生産性を上げるということで他の政策との連携、少子化もそうでしょうけれども、そこも指摘されました。
  そういうわけで全体を聞いた私の感想めいたことですけれども、多くの方に議論していただいて、課税原則の点では、今、申し上げたような議論がされたのかなと思います。
  負担に関しては、毎年毎年のことで頭をいっぱいにする前に、少し冷静に生涯を通じた負担のあり方、そこから見えてくる、税の中で何が見えてくるのかなということが重要だと思いました。
  格差に関しては、我が国独特の問題、構造的な問題があると同時に、その中でも、弱年層の問題というのが、取り分け指摘された。あとは税をめぐる補完的なものです。
  もう少し時間をいただいて、「企画14-2」を見ていただきたいと思います。
  これは今申し上げたようなことを踏まえて、一体税調としてはどんな点を議論すべきかということで、個人的な所感をまとめさせてもらったものです。文字どおりこれは個人的な所感ということで、私の思っていることをこの機会にお話しさせていただくということです。
  何が何でも1枚でまとめようと思ったので、幾つかコメントをもらったんですけれども、舌足らずのところがあるんで、そこは予めお詫びするとして、まず税を考えるときの社会経済構造をどう考えるのか。まず、税を考えるときのファンデーション、環境をどう考えるか。その中で各税目に求められるものは一体何かを少し述べさせていただいて、その次により具体的に歳出歳入一体改革の中で税制改革を進めるというのはどういうことかということを述べたいと思います。
  「社会経済構造の変化」の中の「税制を取り巻く環境の変化」ですけれども、私はいつもこう思っているんですけれども、日本経済というか、我々の社会が2つの大きな流れというか、潮流の中に立っている。
  1つは、少子高齢化という問題で、1つは経済が異常なまでにグローバル化しているということだと思います。
  少子高齢化は言うまでもなく、それに伴って社会保障費が増大して、後代世代の負担増が進行していく。1人当たり医療費を考えてみても、70歳を超えてくればずっと負担が増えていくわけです。それに伴うこうした問題というのは、避け難いものだと思います。
  グローバル化の問題も、これも私なりに多少税や社会保障を通じて世界各国少し歩いていますけれども、特にアジアですけれども、本当にグローバル化してきたなと思います。ある意味で同じような問題を抱えているわけですけれども、そうした中で企業や個人が国境を超えて行き来している。したがって、少子高齢化、グローバル化が交差する中で具体的にどういう問題が生じているのかということです。
  個人間や地域間の格差問題というのも、少し冷静に考えると、特にグローバル化の問題というのが私は根底にあるんだろうと思います。
  近くの国で1日数ドルで労働を提供する人たちがいる。そういう労働と同じ労働を日本でもしやるならば、それはなかなか賃金が上がらない。それは別に企業が云々という問題ではなく、企業も効率的に生産しなければいけないわけで、グローバル化の中ではそうした格差が生じる。これは日本だけではなくて、世界的に起きている問題だろうと思います。それから「世代間の負担調整の必要性」。これは言うまでもないと思います。
  企業の生産性強化の必要。そして、こうした2つの潮流が交差する中で大きな政府も望めないとすれば、成熟した社会の中で公と並ぶ民間公益活動の重要性が増していることも言うまでもないと思います。
  少子高齢化、グローバル化がクロスする中で、我々がどういう税制を模索していくのかというのが、ここでの課された仕事の重要な1つだと思いますけれども、それを税に翻訳していったらどうなるんだろうということです。
  先ほど申し上げたように、この3分の1ページで書くことは不可能なんで、むしろ書くというよりは、大づかみにどういう問題が見えてくるのかということを言っているにすぎません。
  そうした中で課税ベース、これは何に税をかけるかという対象ですけれども、それがどんどん移っていってしまう。一番典型的なのは資本所得、配当所得云々でしょうけれども、それが国境を越えて移動してしまう。観念的にこの所得には高い税をかけろと言っても、実効性がないという先ほどの簡素の問題が出てくるわけです。
  それに関係して法人税をめぐる問題として、その法人税自身のあり方と並んでですけれども、そろそろここでも法人所得全体にどうかけるかという議論をしてもいいんじゃないか。企業所得には言うまでもなく法人段階で税がかけられる。配当段階で税がかけられる。いわゆるこの二重問題の調整ですけれども、これは税調でも、私も財政史を書かせてもらっていますから、延々とした課題として半世紀以上やっているわけですけれども、法人で取った税金を個人に返す。インピュテーションと言いますけれども、今言ったグローバル化、資本が国際的に飛び交う中で、そういう調整というよりは、ざくっと言って企業所得には2つかかっているならば、合わせて徴収していったらどうだ。一方で法人税の引下げが世界の動向としてはある。法人税を引き下げると同時に、配当、キャピタルゲインの簡素化、軽減化を通じて全体のバランスを取っていく。ある意味でこの問題もそろそろ割り切って考えていくことはどうなんだろうか。
  それを具体的に翻訳をどうするか、あるいは翻訳すべきかというのが我々の仕事なんでしょうけれども、配当、キャピタルゲインの課税で金融所得一体化という意味は私はここにもあるんだろうと思っています。
  特に税率を幾らにするかというのはいろいろ判断が要ると思いますけれども、考え方としてそれを簡素化していくということは非常に重要だと思っています。
  それから、やや大きい話ですけれども、我々の足元自身ですけれども、所得課税をめぐる議論として、包括的所得税、いわゆる総合課税、労働からの所得、土地からの所得、金融資産からの所得、すべてを合わせて総合課税をして累進的な税をかければいいと。それほど簡単ではありませんけれども、そのような考え方の税が、先ほど申し上げてきているような経済的な環境で世界的に困難になっている。これはかなり多くの議論がされているし、具体的にはIMFのマイケル・キーン氏が同じようなことを語っていたと思います。そうした中で世界的には所得への課税から消費への課税に潮流が見られる。片方があって、片方が消えてしまうということでもないんでしょうけれども、軸足の変化が見られると思います。
  それから、格差問題に関しては、これもさっきの問題をどうやって税に翻訳するのかということですけれども、日本の所得税はこれも議論されたとおり、所得控除、基礎控除から始まって配偶者控除、配偶者特別控除、公的年金等控除、企業所得控除、社会保険料控除云々といっぱいあるわけですけれども、そうした所得の諸控除と累進税率、立ち上がり国税だと5%というたぐいまれな低い税から国税は40%、地方と合わせて50%までの累進税率によって負担調整をしている。
  ただ、よく考えると、所得控除を入れることで、課税最低限が大きくなっている。幾ら立ち上がりの税率が5%といっても、税が低い人には税を通じた再分配というのはあり得ないわけです。
  この辺は字数が限られているので書いていませんけれども、一方、社会保険料というのは根っこから取られるということで、日本の今の所得税を通じた所得再分配効果というのは、それは限界がある。一方、社会保険の負担はある。その両方を見ながら、一体この格差の問題にどうやって応えていくのか。そのときに税としてどこまで、何をやるのかという議論がこれから我々のテーマになるんだろうと思います。
  それから、グローバル化云々の中で、それだけではないと思いますけれども、地方の問題が起きている。特にシャープに起きているのは、特に都道府県、今日も統計を見てきましたけれども、都道府県税収の3割近くが法人事業税。5%少しぐらいが法人住民税ですから、都道府県全体の37%近くは、法人二税と言われる法人事業税と法人住民税で上がっている。
  市町村の方はそれよりも少なくなっていますけれども、その結果、法人税の税収の配分に非常にアンバランスが起きている。たまたま今、景気がいいから余り議論しませんけれども、時間を通じた変動もある。そうした問題をどう考えるかというのは、これは避けて通れない問題だと思います。
  単に法人税を地方間にどう配分するかというテクニカルなことだけでは済まない。少し専門的になりますけれども、水平的な調整が必要になるだろうなと思います。
  まとめに入りますけれども、先ほどの問題を税に翻訳していくと大づかみですけれども、今申し上げたようなものが見えてくるのではないか。
  そして、歳出歳入一体改革というのはこの税調でどういう意味を持つのかということです。
  いろいろなことをここで言う時間もありませんから、焦点を絞ると、我々は国全体の債務をどう管理していくかということに深く関わっているわけです。2011年までに政府は国・地方を合わせた基礎的財政収支を黒字化していく。その先には対GDPで見た公債残高比率を今170 %とも180 %とも言われているものを落としていく。
  なぜそれが必要かという議論もしなければなりませんけれども、もはやその議論をここでする必要もないと私は思いますけれども、大切なことは国債残高がGDPに対して150 %も超えた中で、なかんずく財政が負うリスクというものは余りにも大き過ぎると思います。
  そうした中で税調がこれから議論していくときに、拠りどころの1つになる、再三我々が引用している政府の見解は次のようなものだと思います。これは昨年、我々の税調が発足したときの内閣総理大臣の諮問です。
  歳出改革の取組みを行って、なお対応し切れない社会保障や少子化などに伴う負担増に対しては、安定財源を確保し、将来世代への負担の先送りは行わない。なお、対応し切れない負担増に関してはということで、社会保障改革もする、地方財政改革もする、公務員改革もする、独法の改革もする。特会の改革もする。そういう改革をして、なお、国・地方合わせた基礎的財政収支を均衡し、かつ対GDP比で見た国債の残高を減らしていく上で、一体幾ら税が必要なんだという議論もそろそろ本格的になされてしかるべきではないか。それがないと、我々の腰もなかなか座らないということで、いよいよ秋に税調の議論が本格的に始まる中で、そうした点も必要だということで、少し時間をいただきましたけれども、3月以来、調査分析部会を開催してきて、その成果をお示しすると同時に、私どもが共通して議論したこと、議論されたこと。それを踏まえて、これから税調で議論していくテーマと私が思うものについて述べさせていただきました。
  以上です。

○香西会長
  どうもありがとうございました。調査分析部会に関わられた委員の方、あるいは部外からの御協力をいただいた方、それから本日はいらっしゃいませんけれども、直接レポートを執筆していただいた専門委員の方、それから、専門委員等の御報告を吟味する討論に参加していただいた方、非常にありがたく存じております。
  これら部会での成果は今後も各テーマごとに議論するときに何回も振り返りながら、もう一度その成果を生かして、我々の最終的な議論になっていくようにしたいと思っております。
  一応ここで切らしていただいて、今後の審議の進め方ということから御説明をさせていただきたいと思います。
  今後の審議の進め方でありますけれども、審議の中心としては、委員、特別委員に参加していただいている企画会合を中心としてやっていきたいということでありまして、その中では各項目別の審議というのが、ある意味で具体的な問題として大事になると思っております。その中で財政全体の姿、田近委員の話で言えば歳出歳入一体の、例えば国債残高のGDP比は非常に高いということについても議論をしながら進めていきたいというわけであります。
  企画会合の進め方自体につきましては、審議をできるだけ効率的に進めていただきたいと思っておりますので、何人かの委員の方に主査という形で御協力をいただきたいと思っております。
  各主査には、それぞれの税目が中心ですけれども、分野ですね。具体的な当面の分野としては税目が考えられると思いますが、税目を担当していただきまして、御担当の税目分野を審議する会合においては、審議に入りやすいように、まず始めに当該分野についての主要な論点を提示していただいた上で、事務局でも関係委員でもいいんですけれども、論点に関係する制度の概要やこれまでの議論についての説明もしていただいて、その上で皆で議論を行っていくという段取りを一応想定しております。
  主査にどなたをお願いするかですが、いろいろ御相談に上がることもあるかと思いますけれども、効率的にと言いますか、スムーズに企画会合を予定どおりのペースでやっていくためということもありますので、大変勝手でありますけれども、私に御一任いただければ大変ありがたいと思っております。
  企画会合の開催ペースとしては、原則として週1回ということで考えておりますけれども、必要に応じて回数を増やす。つまり、1週間に2回ということもあるかもしれませんし、審議の事情等を見れば、開催を増やすとか、時間を延長するとか、いろいろ御面倒をおかけするかもしれませんが、皆様大変お忙しい中、非常に重いスケジュールとならなければいいなと思っておりますけれども、時間的な余裕がありませんので、そういった形で進めさせていただきたいと思っております。
  そして、次回以降、今申し上げたような形で各税目ごとの審議を行っていきたいと思いますけれども、全体を通じて念頭に置くべき視点や論点についても、残った時間をできるだけ利用して、自由に御議論をお願いをしたいとも考えております。
  大きな見込みとしましては、10月半ばと言いますか、それくらいまでに一応今考えているテーマは一巡したい。その後、10月から11月にかけては、いろいろな条件がどうなるかは全くわかりませんけれども、正常であれば答申にかなり近い議論になっていくというスケジュールを一応想定しているわけであります。
  私どもはこれまでもずっと総理の諮問を中心にして、これを審議の灯台のようにして、それに向かって航路を進めてきたわけでありますけれども、御承知のように、政治の世界では大きな変動も起きております。内閣自体も改造になっておりまして、それによって内閣の姿勢についても幾つかの改善というか修正というかわかりませんが、変更もあり得るのではないかと思います。
  お手元には昨日の国会で総理が行われました所信表明演説。それから我々がずっとこれまで準拠してまいりました諮問、これが含まれておりますので、ご覧いただければと思います。
  演説につきましては、6ページに「持続的な経済成長を実現し、簡素な政府をつくる」というところがございますけれども、ここが一番関係のある分野だと考えております。
  少子高齢化の中だからこそ、あるいは少子高齢化が急激になればこそ、この人口減少の中でやはり成長を実現していかなければならないということでありますし、無駄ゼロを目指す行政改革といったこともやっていく。
  社会保障や少子化に伴う負担増、これは先ほどの委員の方からありましたけれども、それについては安定的な財源を確保する。そして、将来世代の負担を先送りしないということを再度ここでも繰り返しておられるわけであります。
  本年秋以降、本格的な議論を行って、消費税を含む税全体の体系の抜本的改革を実現させるべく取り組むという形でそのセクションは締められているわけであります。
  しかし、全体的に考えると、例えばそのほかに改革の果実を地方の実感につなぐこととか、安心して暮らせる社会を実現するといったようなことも書かれておりますし、もう少し前のところでは、いろいろな反省の弁も出てくるわけでありますので、私どもとしまして、1つは諮問がある。
  もう1つは、これで終わるわけではないでしょうけれども、改造後の内閣としての希望、方針というのがあるだろう。
  それから、本日報告がありました我々自身の中の議論、こういったものの積み上げという形で、第1ラウンドが終われば、更に答申を念頭に置いて議論を詰めていくという形にしたいと思います。
  ただ、この問題につきましては、各委員、それぞれ御意見があろうと思いますので、余り私の方からたがをはめてということではなくて、今日に限らず、これから是非自由な討論をできるだけやって、その中から税制調査会としての報告の方向を見出していきたいと考えているところであります。
  そこで先ほどから言っておりますように、諮問もある。新内閣の方針というのも少しずつ表に出てきている。これまでの調査結果もある。その上で今後、この調査会として中心を置いて議論をし、あるいは提言していくのはどういう分野である、あるいはどういう方針であるか。そういったようなことについて、本日は自由に御議論をお願いしたいと思っておりますので、よろしく御協力をお願いしたいということでございます。
  そういう形で先へ進めさせていただきますと、どなたからでもよろしいんですが、先ほどからいろいろ御説明をした上で更に大変ですけれども、田近委員の方からもう少し敷衍して、再度キックオフをやっていただきたいと思っております。
  よろしくお願いします。

○田近委員
  会長から御指名いただいて、1枚紙ですれども、私の話は先ほどの点を踏まえて、もう少し具体的な論点の整理ということで書かしてもらいました。全くこれは私案で、これを含めて活発な議論をしていただければということで指名されているんだと思います。
  今後の議論の柱立てとしては、この場でも、あるいは会長が経済財政諮問会議でも話されているところですけれども、
  「①開放的で活力ある経済に導く税制」。
  「②健全で安心できる社会を支える税制」。
  「③将来を見据えた安定財源の確保」。
  「④地方分権の推進」。
  「⑤以上を踏まえた消費税を含む税全体のあり方」ということではないか。
  ただ、各柱の中身がどこにどうフィットするか、必ず截然としてはいませんけれども、仮にですけれども、「開放的で活力ある経済に導く税制」ということでは、何と言っても働き手、そして所得を生み出す事業、法人、企業に負担が偏らない税制のあり方。
  そして、先ほど申し上げた税制全体の改革の中で、資本所得、その中でも金融所得課税を一体化して簡素化していくという努力が必要ではないのか。
  そして、グローバル化の中の法人税のあり方。
  これも大変重要だと思いますけれども、まさに高齢化、グローバル化の2つが交差する中で我々が体験している中小企業のあり方、活性化と税制。
  そして、民間の公益活動と税制。
  「環境問題への取組み」と書いたのは、環境問題という非常に大きな問題に関して、税調としても税のフレームワークから、どうその問題と取り組むかということは避けて通れないと思います。
  そして「健全で安心できる社会を支える税制」ということでは、先ほどの私の話の続きになりますけれども、低所得者、あるいは若年低所得者、あるいは低所得者及び弱年層への配慮が必要だろう。税として何かやるとすれば、一体何をするのか。そして、多くの問題がここに収斂されると思いますけれども、ライフスタイルの多様化に関する中立性。つまり、働くことも選択だし、結婚して主婦が、主婦というのは男か女かわかりませんけれども、家にいることも選択だし、そして、いつ退職するかということも選択だし、そういうさまざまな選択に関して、税制が中立的でなければならない。そうした中で具体的に所得控除の在り方等を考えていくべきだろうと思います。
  それから、格差固定化ということでも、機会均等ということで、税制として一体何ができるのか。具体的には相続課税の問題等が出てくるのだろうなと思います。
  それから、先ほど申し上げた課税の原則にも関わる、あるいは課税の原則を支える環境として納税環境の整備ということも重要だと思います。つまり、その税が公平だということを国民に納得してもらう。あるいは、ある便益を国民が受けるならば、それに対してきちんと自分の所得は報告してもらうという意味で、納税環境はすこぶる重要だと思います。「将来を見据えた安定財源の確保」ということでは、必ずしもここで消費税ということですぐに頭に血が上る前に「社会保障制度の実現可能性と税制」。税調としてどこまでここに関わるかというのはあると思いますけれども、先ほど申し上げたように、それでも足りない財源とは一体何なのか。なぜ足りないのか。幾ら足りないのかということをきちんと見据えて考えていくべきだと。そして、世代間公平の確保。
  「地方分権の推進」ということで、これも長い間税調では大きなテーマで、必ずしも十分論じ尽くして来られなかったというのは、税と関連する交付税等、あるいは補助金等との関係があるわけですけれども、ここも税調として我々が地方分権というのを見据えた上で、どう税の問題を切り取ってくるのかということがポイントの1つだと思います。
  以上を通じて、我々がどういう税体系を目指すのかということで議論を行っていくべきではないかと思います。
  以上です。

○香西会長
  どうもありがとうございました。
  それでは、御意見のある方は存分に手を挙げてください。吉川委員、お願いします。

○吉川委員
  税制の抜本改革について議論を始めるということですので、幾つか考えていることを述べさせていただきたいと思います。
  抜本改革というわけですから、大きな論点があるんだろうと思いますが、1つは、活力、成長、経済の活性化に資する税制。これは総理の諮問の中にもあったかと思いますが、総論として私は大方の同意があるんではないかと思います。具体論としてどういうことが考えられるかということだと思いますが、大切な問題だと思いますが、繰り返しですが、総論としては合意があるのではないかと私は思っております。
  2番目は、税制が関わる大きな問題群としては、財政赤字、財政再建、いわゆる歳出歳入一体改革の問題がございます。この点につきましては、田近委員からもお話があったんですが、実は歳出歳入一体改革の第3段階でしょうか。第2段階というのが2011年までにプライマリーバランスをバランスさせるということなんですが、第3段階としてデッドGDP比を緩やかに下げていくということが合意されているわけですが、その第3段階については、簡単な算術が成り立つわけでございます。そのことを指摘させていただきたいと思うんです。
  と言いますのは、税の議論というのは数字の問題ということもあると思いますので、これまでは必ずしも第3ステージについては数字の議論は政府でもしてこなかったかと思うんですが、実は単純な算術が成り立つということでございます。
  それはどういうことかと言いますと、デッドGDP比は現在約150 %、数字で言えば1.5 ですが、ちなみにEU基準が0.6 、60%ですけれども、これを緩やかに下げていこうというわけです。
  それをどうやって下げていくか。プライリーバランスの黒字をどれだけ生み出さなければいけないかというのは、実は成長率と金利の関係に大変大きく依存いたします。今仮に金利が、これは名目の長期金利ですが、名目の成長率を0.7 %上回ると考えてみます。
  どういうことかと言いますと、長期的な平均で名目成長率が3%のときに、金利が3.7 %くらいになると考えてみる。
  ちなみに政府のプロジェクションでは、2年後に3%台の名目成長に入ると言っているわけですが、仮に0.7 としますと、それに現在のデッドGDP比をかけたものがまず第一に必要なプライマリーバランスの黒字になるわけです。
  ですから、0.7 %金利の方が高いとなりますと、それの1.5 倍と言いますと、1.05%、四捨五入しますと、約1%プライマリーバランス対GDP比で、それの黒字を出すとちょうどデッドGDP比が動かなくなるということなんです。まだ下がらない。ちょうど動かなくなる。現在上がっていっているわけですが、対GDP比が止まってくれる。そのためには、今の私の想定ですと、GDP比で1%のプライマリーバランスの黒字を出すことになる。
  1%で年々デッドGDP比を下げていくというのは、50%下げるのに約40年くらいかかるということでしょうか。勿論、この想定は経済に神風もなければ嵐もなしという想定、現実的にはそういうことはないかもしれせんが、2011年から40年かけて、そのときは150 を超えていますから、想定はちょっとあれですが、100 %くらいのところまでもっていくという想定のときには、1%ずつ下げるわけですから、先ほどの金利の方が高いという1%に1を足す。対GDP比で2%の黒字を生み出す必要がある。
  もうちょっとアンビシャスにということで、2%ずつデッドGDP比を下げていく。これは20年で150 を100 くらいにもっていくということになるんでしょうが、この場合ですと、3%の黒字を生み出す必要がある。今のは数値であって、現実にそうなるということを申し上げているわけではない。とりわけ金利と成長率の関係がそうなると申し上げているわけではありませんが、要はそういう算術が成り立つ。
  ですから、現在政府ではデッドのGDP比を2011年から緩やかに下げていくということについて合意ができている。私も下げていかなければいけないと思います。重要な政策目標でありますが、それを成し遂げるためには、今申し上げたようなプライマリーバランスの黒字を生み出す必要がある。
  そもそも歳出カットにつきましては、2011年までに歳出カットのさまざまなプログラムが用意されていますが、2011年以降に更に歳出を効率化する余地があり、それを仮に実行したとき、今申し上げたプライマリーバランスの黒字から、そのさらなる歳出カットを引いたもの。これが歳入増の必要額と。これはデッドGDP比を下げていくために必要な将来の歳入増ということになるわけであります。
  いずれにしましても、今の数値例は想定に基づくものでありますけれども、しかしながら、数字の問題でありますから、要はデッドGDP比を下げていく必要があるんだということは、かなりの方が今おっしゃる。政府でも合意ができているわけですが、私の考えでは、こうした算術は政治とは独立のものだろうと思います。3+2=5、3×2=6というのは政治とは独立のことであるのと同じように、デッドGDP比がどのように動いていくかというのは、とりあえずは政治とは独立のことであって、そこにはさまざまな想定がございます。
  繰り返しになりますが、成長率、金利、更に可能な歳出のカットというものがありますが、いずれにしても、こうしたものに基づいてある程度の数字というものは出てくるわけでありまして、私としては、そこで必要になる歳入増、決して小さくはないと思っております。
  それから、社会保障ですが、これについてはほとんどすべての国民が大変大切だと。たしか先週発表された内閣府の世論調査でも、75%くらいの断然トップで社会保障に関心があるということなんですが、この社会保障を磐石にするということと、財政を再建するということはほとんど裏腹のような問題になっているということは、ここにいらっしゃる方はよく御存じのことだと思いますし、実はこの社会保障というのは、最近また大変大きな問題になってきています格差の問題とも密接に関係しております。その点はこの税調では大竹教授からプレゼンテーションもありましたが、実は8月24日に厚生労働省が2005年の所得再配分調査の結果を発表いたしましたが、大竹教授がこの税調でプレゼンテーションされたことがおおむね裏付けられと私は考えております。
  つまりジニ係数は2002年から2005年にかけて、この厚生労働省の調査は3年に1度ですが、2002~2005年の動きがわかったわけですが、高齢化の影響が大変に大きいということが1つ。
  それと、我々に関係した問題としては、いわゆる調整前、つまり年金等の給付をする前ではジニ係数が確かに上昇しているんだけれども、社会保障給付後の調整後ではジニ係数はほとんど上昇していない。これも大竹教授がこの税調でプレゼンテーションしたとおり、つまり現在の日本の社会において、所得再分配機能を大きく担っているのは社会保障だということが、今回の8月24日に発表された厚生労働省のデータで改めて裏付けられたと考えております。
  ですから、格差問題の切り札は、少なくとも現在の日本のシステムの中では社会保障が担っている。国民もこの社会保障に大変大きな期待を抱いている。
  問題は、バスには乗りたい。しかし、バスの料金を払いたくないという困った人がいるわけですが、これがフィージブルだという議論は、3+2=6、3×2=5だという議論と同じことで、早晩行き詰まることであって、小学生でもわかる理屈。
  つまり、社会保障を磐石なものにするためには、相応の負担というのが国民全体で担わなければいけないということだと思います。
  私としては、こうしたことを踏まえて、税制調査会としても、どのような税として貢献ができるのか。我々の仕事として1つ決め打って、正解はこれしかないという立場には必ずしもないと思っているんです。つまり、いろんな考え方、考え方という意味は価値観、フィロソフィーとしてはさまざまな考え方があると思いますが、しかしながら、どのような選択が可能かというフィージビリティーセットというか、繰り返しですが、3+2=5、3×2=6というところは、むしろ我々としては現実はこういうことであって、数字の上で現在の日本の経済社会はこういうことになっていて、我々国民として幾つかのチョイスはあるけれども、この中から選ばないと、ないものねだりになってしまうということを示せればいいんではないかと考えています。

○香西会長
  どうもありがとうございました。今の意見に関連して何かおっしゃりたい方もいらっしゃるかもしれませんし、そうでなくても結構です。どなたからでも御発言いただければと思います。

○林委員
  それでは、内容の話ではなくて、今後どういう議論をしていくのかというところで少し整理しておかなければならないことがあるのではないかという気がいたします。
  田近委員がお出しくださった「今後の審議に向けて」というのを見ますと、税体系の問題とか、負担水準をどうするか。これは恐らく財政再建との関係も出てこようかと思いますし、税体系、負担水準、要するに税収中立の下での税構造をどうするかという話です。これは例えば中立性を阻害しているので、この辺りはこうした方がいいのではないかという税構造そのもの、それは負担水準だとか結果的には負担の構造が変わりますが、むしろ税収中立の下で税構造をどうするかという話と納税環境という話。
  恐らくこの4つは、時間軸でまた違ってくるんだろうと思うんです。税体系の話をするときに、すべて構造を考えた上で、では、こういう税体系であるべきだという話なのか、あるいはかつて消費税の税率を引き上げたときに、1つの大きなポイントは、生涯の負担の平準化ということの一方で、受益と負担金は田近委員がおっしゃったように、ライフサイクルで一致させるということから考えると、消費税体系の方がいいのではないかといったような議論。
  ですから、体系を考えるときに、結果としては体系が出てくるという考え方もありますし、ある程度今後の安定的な財源を確保するという点からいけば、体系はかくあるべしという議論もあるわけです。ですから、議論するときに、個別の税制を議論する中で体系の話と水準の話と構造の話というのが、どうしても混在をしてしまいがちだと思います。
  例えば法人税の税率をどうするかという話と、減価償却制度をどうするかという話は、一致している部分もありますけれども、グローバル化の中で税率を下げなきゃいけないという話と、投資行動に対して非中立的であるので、減価償却制度はこうあるべきだと。その辺りが混在しないような形で議論していくということを常に意識しておかなければいけないのではないかという気がいたします。
  中立性というのは、以前の法人事業税の外形標準課税化のときに、税収中立の下で法人事業税の税構造のあり方はどうあるべきかという議論をいたしました。その負担水準が高いとか低いというのは恐らく別の話だろうと思いますので、そこらをきちっと整理をする必要があるのかということ。
  秋以降、抜本改革について議論するということですけれども、年度答申というのがあるわけですから、時間的に諮問の中に喫緊の課題として「我が国経済の国際競争力を強化し」という具合にあります。この場合の喫緊の課題ということと、例えば金融所得課税の一体化というのは、税制として、それをかなり上回る喫緊の課題かもしれない。それが積み重なって喫緊の課題である活力という話になってくるので、少し税制改正の中で、かなり議論をされてきた中で、具体的にかくあるべしという話と、抜本改革につながっていくような話とが少し整理をしながら議論をしていく必要があるのかという感じを持っているということです。

○香西会長
  今の御意見について、いかがでしょうか。

○原特別委員
  田近委員の「開放的で活力ある経済に導く税制」という中で、特に首相の所信表明演説の6ページにもありますような「次の時代を切り拓く新たなイノベーションを応援する」。更に諮問で昨年ありました「イノベーションの力とオープンな視点により日本経済に新たな活力を取り入れる」、ここは非常に重要なポイントになると思います。
  先ほど吉川委員がおっしゃられた話をゆっくり聞いていても、歳入増をしなきゃいけない。これはデッドGDP比を下げるためにも税収を増やさなければいけない。同時に、一番最初の「開放的で」にある「グローバル化のなかの法人税のあり方」などをいろいろと見ていると、法人税を下げていく方向にもっていかなきゃいけない。税率を下げながら税収を増やすという手品みたいなことをどうやってやるのかということになりますけれども、これはイノベーションのところを、何とか活性化できるようなタイプの税制の仕組みをアメリカ、ヨーロッパに先がけて日本がつくり上げていくという議論をどこかで取り入れていただければありがたいと思います。
  林委員がおっしゃられた進め方のことで言いますと、田近委員が言われたいろんなテーマの中で、自分のバックグラウンドと関心のあるテーマを選んで、そのテーマに関してその委員がグループになってディスカッションをし、これを発表するという形式も1つのあり方だと思いますので、進め方の提案としてそちらの方を、テーマとしては、このイベーションを起こすための税制はどうするべきかというのを、「A.開放的で活力にある経済に導く税制」の中に加えていただければと思っております。

○香西会長
  いかがでしょうか。
  それでは、会長ということではなくて、個人的なコメントを少し付け加えさせていただきたいと思います。
  吉川委員のおっしゃった話は非常に大事な話ばかりですが、1つは、税による再分配効果というのが、今度の調査の結果などを見ても非常に少ないわけです。日本では社会保障の方が再分配をしているというんですが、それについては何といっても金額が違ってしまっているということがあると思います。つまり、所得税というのは16兆くらいで、片方は3倍か4倍あるんじゃないでしょうか。そういうことが1つ。
  社会保障は、すべて非常に再分配をうまくやっているかというと、私は少しゆらついてきていると思うんです。昔は社会保障というのは還ってくると思って、みんな喜んで社会保険料を払っていたわけですから、だれも文句を言わないで払っていたわけですけれども、今は特に社会保険庁には不信感がありますから、ますますできないんですけれども、それがなくても、頭数を勘定しただけでも、払い込んだものがどれだけ還ってくるか。10人で1人の年寄りを見ているときと、2人で1人、あるいは1人で2人見なきゃいけないときには全然計算が違ってしまうわけです。
  言わば内的利子率というか、報酬率が全然違ってしまうわけですから、高齢化、少子化が進むということになった場合には、その点でかなり問題が出てきていて、現に私たちの年代までは得をしたけれども、俺たちはもうだめだという雰囲気が社会保障について非常にあるわけで、逆に言うと社会保障は、確かにジニ係数は下げているけれども、世代間の不公平をむしろ増殖しているかもしれない。同時に世代内の所得分配を再分配する力を全く発揮していない。言わば年功序列で勝ち組の部長になった人は老後も部長。ならなかった人はあと20年間係長クラスで過ごしなさいと。つまり、企業の秩序をそのまま老後に持ち込んでいると、悪口を言えばそうも言えるわけです。それだからこそいろんな点で問題が出てきている点もある。
  勿論、社会保障は一番大事なことですから、大いにやらなければいけないんですけれども、私はそういう点も含めて、もう一度税と社会保障の関係を議論していただけると非常にいいんじゃないかなと感じているということです。
  林委員のおっしゃっていただいたことは、私この面は素人で、なかなか頭の整理ができなくて困っているところですので、後からいろいろ教えていただきたいと思いますが、これは昨日、吉川委員と個人的に話したときにいろいろとあったんですけれども、やはり日本としては、例えば基礎年金の半分を国庫負担にするとか、プライマリーバランスを少なくともいつまでにはゼロにする。つまり時間軸ですね。安定的財源というのは、何で持てば安定的なのか。あるときどんと豪腕をもって歳出を減らしても、それを使ってしまったら、片方の老人が増えたり、高齢者の医療費がどんどん増えるのは目に見えているわけですから、そういう意味でどれくらいの時限を考えて、ある意味で安定的な財源を設定すべきなのかという問題もあります。同時にお話にもありましたが、20年度税制改革に何を入れるかという問題もあると思います。
  だから、どっちからスタートした方がいいのかというのはなかなか難しいんですが、私まだ経験がないのでその辺がうまくいくかどうかわかりませんけれども、20年度の税制改革にどういう項目が出てくるかということは、まだよく聞いていませんけれども、各省間のお話としてはかなり進んでいるんだろうと思うんです。それはある意味でルーチンワークとして処理をするやり方もあり得るので、どちらが先にということではありませんが、ある程度中長期的な観点が入っていて、税体系全体に影響を与えるものというのも、今のところ税調しか議論がないということでもありますので、そちらの方が比較優位になるのかなということですが、その場合に、どういう切り口でやっていくかということは、いろんな議論が入ってくるわけです。それをどう整理していったらいいかということについては、是非お力をいただきたいと思います。
  今後のやり方として、今日はまだ決まっていないというか、さっき申しました主査の方を指名して今一生懸命書いてもらっているわけなんです。キックオフの資料等をつくることを一生懸命やっていらっしゃって、順番がどうなるかということはまだ発表できない段階ですけれども、テーマが決まり、日が決まったら、それに関係のある方は事前にキックオフのレポートをお配りするまでの準備ができるかどうかわかりませんけれども、そのテーマについて関心のある方は是非コメントをお持ちいただいて、それも配って議論する。あるいはその人たちで議論するという形は非常に期待をしているというところですので、よろしくお願いしたいと思っております。
  原委員から話があったイノベーションというのは、非常に大事なことだと私も思うんですが、日本でどうしてイノベーションがうまく起きないのかというのがまだよくわからなくて、原委員の本の読み方がまだ足りないのかなと思うんですけれども、例えエンジェル税制のようなものをつくっても、その普及度というのは、例えばイギリスなどに比べて余りにも差があり過ぎる。LLPが入っても、ちっとも動かないというか、私の期待過剰だったのかもしれませんが、海外で一応効果を上げているイノベーションの促進策というのが、必ずしも日本では普及しない。税としては40億円使ったとか、タックスエクスペンディチャーの額が全然海外より低いんです。そういう意味で何か違うんじゃないか。設備投資自体は90年代をとっても13%くらいあったわけで、これはアメリカよりも高いわけです。アメリカは10%~13%で、日本は13%~15%あったわけです。それにもかかわらず成長は向こうは3%でこちらは1%。だから、単に設備投資ができないというのではなくて、何か本当のイノベーションがうまく軌道に乗っていないんじゃないかという印象を強く持っています。原委員の本を、これは読まなければ思いながら、ちょっと読んでは別のことをやっていて、勉強が足らなくても申し訳ありませんが、是非勉強させていただきたいと思います。
  私が言ってもしようがないので、どなたからでも、何でもおっしゃっていただきたいと思います。

○大橋特別委員
  今、会長のお話の最初の方でいただいたこととも関連しておりますので、少し現実的な問題のところを委員の皆さんにも意見をいろいろちょうだいをしながら、統一していった方がいいと思っていることは、昨年の11月に安倍総理が税制調査会会長にということで諮問をされた。その後いろんな経緯があって香西会長に代わられている。
  一方で、この7月の参議院選挙で予想以上の結果が出て、政府としても今までどおりの、同じ考え方で税制についても進めていいのかどうかということについて、まだ十分な結論が出ていない。あるいはイメージを持っていないところがあると思うんです。
  そういう中で我々が今この政府税調として、今回、遅くともこの12月くらいまでに結論を出さなくてはいけないのは、本当に平成20年度の税制改正として、最初に安倍総理の方から諮問があった抜本的な改正、抜本的な税制のあり方、そういうことを中心に明確に出して、その上である一部のことで20年度の改正ということにしていけばいいのか。
  あるいは、参議院における与野党の逆転によって、いろんな環境の変化がありますから、どちらかというと、ウェートが20年度の具体的な改正の方に力点を置いて、21年度以降に抜本的な改正については触れていくということにした方がいいのかという辺りが、多分、委員の皆様まだ十分な結論なり考え方をお持ちになっていらっしゃらないと思うんです。そこについての議論を本当はしていただけるとありがたいと思っております。

○香西会長
  痛いところですが、どなたかいい議論を教えてください。はっきり言って政治状況というのは我々には非常に予測が難しいことでありますから、さっきも比較優位と言いましたけれども、ほかでもいろいろやっている議論に比べれば、当方としては、やや中長期的な議論も、ある意味でやっておかなければならないだろうというふうに考えております。

○大橋特別委員
  それはやっておかなくちゃいけないんです。最初の使命は20年度に抜本的な改正をやる。それが大きなターゲットだったと思うんです。それができるかどうかという現実論というのは非常に大きな問題であって、それによって我々が香西会長の下で出す答申の中身が変わってくるんじゃないかという気がしているんです。基本的なところについて十分大きな議論をしなくちゃいけないということはよくわかっております。

○香西会長
  私が言ってもあれですが、記者会見か何かで官房長官は、税調というのは正論をしっかりやってくれ。税調の結論が直ちに税制になるかどうかは政治の問題だと言っておられるわけです。
  我々としては、理想的には両方ちゃんとやって、税の改革というのは年度途中にも行われ得ると言えば行われ得るわけですから、来年度だから早くということでも必ずしもないんです。それは問題の重要性で、ルーチンのものであれば行政府内部である程度議論していただいて、我々としては、それをお伺いしてチェックすればそれでいい場合もあるかもしれません。そういうことを考えていますので、中心的には抜本的という言葉の解釈についてはいろんな解釈ができるところですけれども、ある程度の期間の安定財源として何があるか。それがすぐ来年実現するわけではなくても、あるかということついては、少なくとも議論は何とかまとめたいと思っております。

○伊藤委員
  先ほど吉川委員がおっしゃったこと、あるいは今、香西会長がおっしゃったことの後を追うような形になると思うんですけれども、これまでこの税調の会議は過去何年もやってきていて、例えば先ほど田近委員がまとめてくださった論点メモなどは非常によくできていて、あれが例えば去年出てきても十分しっくりいくんだろうと思うんです。
  なぜああいうことが必要かというのは、ああいう理想からなかなか実現できていない部分があるから、毎年こういう会議でしっかり、今まで積み残した部分をやらなきゃいけないというミッションがあると思うんです。
  私が申し上げたかったのは、吉川委員がおっしゃったことを私なりに解釈してみると、財政再建ということを考えたときに、これから5年とか10年を考えたときに、税に課された課題というのは大変大きくて、そのマグニチュードを我々はしっかり認識して出さなきゃいけないということだろうと思うんです。あるいは先ほど社会保障に関連して、格差の問題とも関わる話というのは、これから5年、10年考えたときに、社会保障との関係で、税でどこまでできるかわかりませんけれども、いわゆる社会の安定性の問題を考えたときに非常に大きな政策の課題がある。
  更にまだ話題に出ていませんけれども、例えば地方と国の問題についても同じようなマグニチュードの問題があるし、ひょっとしたらグローバル化ということもそうかもしれない。
  税というのは、勿論いいものを出して、それがそのまま実行されればいいんですけれども、現実には何年もかけて社会の理解を得ながら変えていくということもありますし、あるいはこれからこういう方向に議論が行きますよということを、むしろ社会に出すことによって、来年以降もいろんな政策決定に多少貢献するという部分もあると思いますから、恐らく中長期的な視点でどういう方向性が日本にとってこれから重要な問題なのか。単に定性的な問題だけではなくて、定量的な部分も含めてある程度問題を出すことによって、それが全部今年、来年で実現するというわけではないんでしょうけれども、出すということは非常に重要なのかなと思います。
  本来、総理からこれをしっかりやりなさいと言われてやるような政治状況であれば、すぐやらなければならないということがあると思うんですけれども、私は政治のことはよくわかりませんけれども、今の状況で見ると、我々は少し中立的な立場から、将来どういう問題が税で考えられるか。その中でもう一回さかのぼって、今年は何ができるのかという議論を少ししておいた方がいいのかなという気がします。

○香西会長
  どうもありがとうございました。

○江川委員
  1つ思ったんですけれども、私も中長期的な観点からきちっと財政再建のためにどういう税制改革が必要か、財政再建だけではないんですけれども、今まで私たちが議論してきたことを踏まえた上で抜本的にどういう改革が必要かということはある程度出していくべきではないか。党の税調ではなくて、政府の税調だからこそ言えることというのもあると思うので、そういうことをやっていけたらいいのではないかなと個人的には思います。
  私も今回初めてなので、答申の出し方とかに関してルールがあるのかよくわかりませんけれども、先ほど吉川委員も御指摘のように、こういった中長期的な話というのはいろんなシナリオが考えられるわけなので、例えば幾つかのシナリオをつくって、こういう場合にはこうですというようなこともできたらいいのではないかと思います。
  それから、個人的にすごく思うのは、海外の人たちというのは、すごく日本のGDPと債務比率が高いということをかなりきちっと意識していて、今でこそ景気がよくなりましたから、そういう議論はなくなりましたけれども、一時期は日本は本当に大丈夫なのかという議論があったくらいなのに、日本の中でその危機感がすごく少ないと思うので、それをきちっと高めて、先ほどから議論されている社会保障をきちっとするためには、ちゃんと税の負担もしなきゃいけないというコンセンサスをつくる上でも、ある程度シナリオに基づいて数字を踏まえた議論、それから財政再建を長期的にやっていかなければいけないと言っても、いつの段階で本当にバランスさせるのがいいのかというのも、みんな怖くて議論できない段階なんですけれども、そういうことも少しは議論できるようなベースがつくれたらいいのではないかと思います。

○香西会長
  どうもありがとうございました。井戸委員、横山委員の順番でどうぞ。

○井戸特別委員
  税制を考える場合の経済社会をどう見るかという意味では、田近委員に大胆に分析していただいている方向だろうと思うんですが、もう一つ、特にグローバル化との関連で、金利水準をどう考えたらいいのかということを、やはり議論しておく必要があるんじゃないかと思うんです。
  今のように0.5 %とアメリカは5%というような4.5 %も金利差があるような経済状況を是として、前提として議論するのかどうか。例えば企業の税負担のあり方などを考える場合でも非常に大きな課題ではないか。
  実質的に今のような状況の中で更に法人負担を下げていくことの是非というのは、やはりきちっと議論しておかないといけないなと思います。
  それから、個人から見ましても、利息収入が0.5 %しかない社会がもう十年続いているわけですね。こういう現状を前提にして所得負担のあり方を議論するのか。
  では、税制としてはどういう社会経済実体が望ましいと思って考えていくのか。こういう点が重要な点としてあるんではないかというのが私は1つのポイントではないかと思っています。
  もう一つは、高齢者の負担のあり方をきちっと議論する。田近委員の低所得者及び若年層への配慮というのを裏返しで見ると、高齢者の負担のあり方をどうするのかということを、実を言うとおっしゃっておられるのではないかと私は読んだんです。
  例えば来年から導入されようとしております後期高齢者の医療制度、75歳以上だけ輪切りにしまして、医療制度をつくろうということになっているんですが、1回かかるたびに1割負担なんですけれども、国と地方が出す残りの分は保険料で取るというんです。75歳以上の人から保険料で取って、それぞれの保険者から拠出を設けながら保険料で取るというんです。
  国保で言いますと、世帯主が今までは払っていて、扶養者の方は何の負担もしてなかったのに、今度は75歳以上になると負担しろというおかしな制度をつくろうとしているんです。私などですと、疑似世帯主みたいなものを保険料負担者に入れた方がいいんじゃないかと思うんですが、こういう高齢者の負担のあり方。それから、年金でも65歳以上になれば所得制限がないんです。必ず基礎年金部分については自分の負担料があるから支出がされてしまう。1,000 万、2,000 万円の所得がある人でも、年金がもらえる。これなどについてもどう考えるべきなのか。私は年金は払う必要はないんじゃないかと思っているんですが、そういうような意味での高齢者の負担のあり方も十分に検討する必要があるんじゃないかと思います。
  3番目ですが、これは議論として田近委員が水平的調整は必要じゃないかとおっしゃいましたが、我々が今求めていますのは、地方の自主性を担保するような税制度を構築していけるかというのが、我々が求めているところで、地方の自主性を考えたときに、田舎では法人のウェートが非常に小さいんで、結果として自主性が発揮できない事態に陥っているので、国税と地方税の税目調整も含めて、量としてはせめて1対1。税目については、格差の少ない税目に変えてほしいというのが我々の願いなんです。
  水平的調整の仕掛けを入れてくるというのも1つの提案だとは思いますが、議論としては、それだけではなく、もっと基本的な構造を議論していただいた上での議論に是非していただきたいなと思っております。
  4番目は、完全に依頼なんでありますけれども、ここにも田近委員がおっしゃったように、歳出歳入一体改革のときの歳出の将来見通しというのを出しますときに、いつも国の負担とか国の歳出が幾ら増えるという議論だけで、地方の歳出増が当然付いて回っているんですが、地方の歳出増の議論が飛んでしまって、例えば福祉の方で国が10要るというと、大体6くらいは当然に地方の財源確保がされないと、歳出が賄い切れないということがあるんですが、そういう意味で地方の歳出増の見通しも是非これは自治税務局の方から併せて提出していただいて、議論の爼上に載せていただくようにしていただきたいと思っております。
  とりあえず以上です。

○香西会長
  どうもありがとうございました。横山委員、お願いします。

○横山委員
  私は田近委員がまとめてくださった論点整理は非常に重要だろうということで、こういう方向で進めていく必要があるんじゃないかなと思っております。抜本的税制改革と言ったときに、いろんな柱がある中で優先順位を私たちは議論しておく必要があるんじゃないかと思うんです。みんな並列ではないんではないか。そうすると、順序付けということについてどういう観点で順序付けの判断をしたらいいのかということも私は重要なんではないかと思います。
  今の政治状況をおいても、日本の社会が今、抱えている諸問題を本当に冷静に考えれば、恐らく国民が納得できるような税制改革の方向性というのは見えてくるんではないかと思っています。その1つの方向性の中に、やはり消費税を上げざるを得ないということは、多くの国民は上げ方や上げる環境について御意見があろうかと思いますが、消費税を上げない限り日本が立ち行かないということについては、かなり一般的に受け入れられているんではないかと、これはあくまで私見ですが、そう思っています。
  そうしたときに、今私が申し上げた順序付けということと同時に、国民が納得できるような条件整備というのはどういうことなのか。例えば消費税率を上げるということにとって、国民が納得できるような条件整備として益税の問題についてちゃんと議論しているのかとか、今のような社会保障制度で本当に消費税を上げるということについて納得がいくのか。
  これは税調だけの議論ではないと思うんですが、国民に負担を求める以上は必要最低限の、格差のこともそうですけれども、そういうような条件が何なのかということについて私は議論をしておく必要があるんじゃないかと思います。
  最後にこの田近委員のメモの中で、順序付けと条件整備ともう一点考えていただきたいのは、帰着の話にもなるんですが、個人をベースにして税制を考えるのか。あるいは世帯なのか、地域なのか、所得階層別なのか、年齢階層別なのか、どこに力点を置いて税制を議論していくのか。納税単位の話にもなるわけですけれども、私はこれからは、個人をベースにして議論をしていくとしたならば、例えば地域間格差の問題と、個人の格差の問題がどう結び付いているのかということについても、あるいは高齢者と若年層という話にもなりましたけれども、そうしたところに個人がどう関わるのかというグループでの議論と、個人の話とその辺りが、どうも我が国の税制はしっくりしていないんではないか。この辺もお考えいただきたい。3点、私は田近メモに対してお願いをしたいと思っています。
  以上です。

○香西会長
  どうもありがとうございました。出口委員、その後、高木さんの順でお願いします。

○出口特別委員
  香西会長の先ほどのスケジュールのお話を伺いまして、大変含蓄のある、非常に香西会長らしい大人の表現だなと感じ入っている次第です。今の横山委員と同じことになろうかと思うんですが、私はここで議論すべきことは、議論していかないといけないだろうと。そういう意味で、はっきりと議論することは議論していこうという姿勢を見せることも重要ではないだろうか。
  もう少しやわらかく香西会長風にアレンジさせていただくとすると、先ほどの横山委員のおっしゃるように、この田近メモは順番が深い意味を持ち過ぎるので、せめて円形にして、これは大事な話であって、円形にして、だれがどうというわけではなくて、それぞれの委員は今議論すべき重要な課題というものをそれぞれ別々に持っていらっしゃると思うんです。何か特定の課題だけあえて避けているような、そういう間違ったメッセージを出すことは非常にまずいんではないかなと思います。
  その上で、私は香西会長、そういう意味で大変信頼申し上げていますので、今度の答申にどういう部分を載せるかというのは、そのときそのときで御判断していけばいいんではないか。来年度明らかに税制改正につなげなくてはいけない喫緊の問題というのがあるわけでございまして、これは落とさないように議論する。
  ただ、大事なことは、議論すべきことはタイミングを外さずに議論するということは是非やっていかないと、数年後には、何でこのとき議論しなかったのかということについて非常におかしなことにもなるでしょうし、国民の側からしても、いずれ議論しなくちゃいけない問題が突然降ってわいたら、これまた戸惑うわけでありまして、その点については間違えないメッセージを出していただくようにお願いしたいと思います。

○香西会長
  どうもありがとうございました。今の忠告、十分承りました。
  では、高木委員どうぞ。

○高木特別委員
  もう時間がありませんので、田近委員のペーパー等を拝見して、負担が偏らない税制、今の負担はどう国民に映っているのか。今度の選挙を通じてつくづく思われましたのは、国民の多くは、例えば消費税を上げて法人税を減税するなどということは、とても受け入れられませんよというような受け止め方を今の経済政策、財政、税制等についてもしているという印象が私には非常に強く感じられました。
  そういう意味では可処分所得がずっと下がっている状態なり、家計というサイドから税を見る。これは非常に抽象的だから、田近委員のことだからそういうこともお考えになっての表現なんだろうと思いますけれども、そういう意味で家計周りというスコープからも見られるような議論にしていただかないと、先ほどの大橋委員のお話ではありませんが、今年、特に政治等を含めてどういう処理を税についてなさるのか。その関わり合いも含めまして、その辺もよく斟酌された議論の進め方をしていただきたいということだけ申し上げておきます。

○香西会長
  どうもありがとうございました。井上委員、お願いします。

○井上特別委員
  この田近レポートの中に、中小企業の活性化と税制ということを取り上げていただいておりまして、これは是非とも真剣に取り組んでやっていただきたいと思います。
  御存じのように、中小企業、企業数で70%ということが言われていますけれども、中堅中小企業というのが約55万社あって、そこに従業員として2,700万からいるわけです。小規模企業というのは、約380 万社あって、そこには約1,400万くらいいる。これが全部でいくと関係している従業員が4,000 万人。その連中が中小企業がよくなれば、収入もよくなるわけです。そうなってくれば、いろいろなものを受け入れられる体制が出てくるわけです。
  何もみんな金をくれということを言っているわけではなくて、企業がよくなって、働いている人たちが収入が増えるという仕組みをどうするのか。今までそういうことは全然真剣に考えてもらっていない。要するに、留保金課税だってやっとこの間取れた。あの問題にしてもしかりです。事業承継の税制の問題でもこれから検討していただくと思いますけれども、やはり中小企業にどうやって活力を与えるかというのは一番大事だと思います。大手の企業は非常によくなっていますけれども、これは1万1,000 社で、従業員としては1,000 万人しかいないんです。売上げにしても190 兆ある。中小企業も中堅で198 兆あるんです。小規模企業は42兆だから、240 兆からある。そういうことを考えると、そこら辺を本当に真剣に考えた税制というものを是非とも検討していただきたい。
  中小企業は本当に予算においてもないがしろにされているわけです。中小企業対策予算は1,245億しかない。本当にひどいものです。農業は2兆7,000 億ある。一体どうなっているんだと思っておりますので、是非ともよろしく御検討をお願いしたいと思います。
  よろしくお願いします。

○香西会長
  よろしゅうございますか。大変いろいろな御議論をいただきまして、ありがとうございます。これからの議論の中でできるだけいい形に整えていきたいと思います。
  これから具体的な問題を更に幾つかやっていく中で、なるべく意見がまとまっていければ一番ありがたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
  予定時間を超過しましたけれども、本日はこれで散会いたしますが、次回は9月18日、来週火曜日午後2時から4時まで「企画会合」を開催したいと考えております。テーマその他については、事務局よりなるべく早く御連絡をいたしますので、もし御意見があればそれに備えてメモを御持参いただければありがたいと思います。
  大変お忙しいところを恐縮でございますけれども、御出席をお願いしたいと思います。
  本日の「企画会合」はこれで終わりといたします。お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。

〔閉 会〕


〔注〕
  本議事録は、毎回の審議後速やかな公表に努め、限られた時間内にとりまとめるため速記録から、内閣府大臣官房企画調整課、財務省主税局及び総務省自治税務局の文責において作成した資料です。
  内容には正確を期していますが、税制調査会議事規則に基づき、事後の修正の可能性があることをご承知おきください。
 
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