神奈川県海老名市の視察について 
~EPAに基づく外国人介護福祉士候補者の受入れ~

 4月19日(月)、仙谷国家戦略担当大臣と枝野内閣府特命担当大臣(行政刷新)は、経済連携協定(EPA)に基づいてインドネシア人介護職員を受け入れている「えびな南高齢者施設」(神奈川県海老名市)を訪問した。現地では、施設内を視察し、介護施設運営の課題など全般的な説明を受けたほか、2名のインドネシア人介護職員と意見交換を行い、介護福祉士国家試験の難易度、日本での生活について等、現場の声を聴取した。介護福祉士国家試験については、設問の漢字に読み仮名のルビがふられていないこと、受験機会が1回しかないこと等から、外国人介護福祉士候補者にとってハードルが高すぎるといった指摘があり、我が国のアジア戦略を考える上で、改善を検討すべき問題の一つとして重要な示唆が得られた。

冒頭挨拶 施設の概要説明 インドネシア人介護士との意見交換 記念撮影

 「国民の声」「職員の声」に以下のような提案が寄せられ、視察が実現しました

「国民の声」に寄せられた提案

《EPAに基づく看護師・介護福祉士候補者への配慮》

提案の現状

  • EPA(経済連携協定)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者は、在留期間中に、年1回・日本語による国家試験に合格しない場合、帰国が義務付けられている。

提案の概要

  • 日本語による受験が必要であり、難解な漢字表記の専門用語(例えば「褥瘡(じょくそう)」)が合格への大きな障害となっている。来日時や受入施設での研修を通じて、業務を行うにあたって日本語でのコミュニケーションに支障がないようにすることを前提に、英語表記または漢字へのルビ記載などの配慮を行うべきである。
  • 介護福祉士の受験資格は実務経験が3年以上必要であることから、結果的に受験機会が1回となっており、受験回数の拡大も必要である。

《介護職による痰の吸引、胃ろう処置の解禁等》

規制の現状

  • 痰の吸引や胃ろう処置は、医療行為は医師・看護師が行う必要があるという規制によって、介護職員等が行うことは認められていない。在宅患者等に対する痰の吸引の処置は、一般在宅において家族が実施することが可能であり、かつ、医療関係の資格を有しない者が実施することを禁止されている医行為とした上で、一定の条件下では違法性が阻却されるものと整理され、やむを得ない措置として家族以外の者が実施することが容認されている。

提案の概要

  • 有料老人ホーム等の施設において、看護師の配置がない夜間に医療処置を行うことができないため、医療処置を必要とする入居希望者の受入れを拒否したり、医療処置が必要となった入居者に退去依頼をせざるを得ない場面が増加している。
  • 基準人員内で夜間も含めてニーズに応じた対応を行うため、必要な知識・技術の研修受講等の一定の要件を満たす介護職員等による痰の吸引や胃ろう処置を安全な範囲で解禁すべきである。

「職員の声」に寄せられた提案

《インドネシア人及びフィリピン人介護福祉士候補者に対する国家試験》

現状

  • EPA(経済連携協定)に基づく外国人介護福祉士候補者は、3年間の在留期間中に、年1回・日本語による国家試験に合格しない場合、帰国が義務付けられている。介護福祉士の受験資格は実務経験が3年以上必要であることから、結果的に受験機会が1回となっている。

提案の概要

  • 介護福祉士候補者をきちんと受け入れるためにも、EPAに基づく介護福祉士候補者に対する国家試験については、試験問題及び答案をインドネシア・フィリピン両国の母国語としてはどうか。

提案の理由

  • 介護の現場に求められる人材は、必要な能力を身につけており、介護される者の立場に立って介護できる者である。
  • 日本語能力は、介護の現場において通常必要とされる程度で十分対応が可能で、経験を通じて身につけられるものである。
  • 介護福祉士の国家試験は日本語のみとなっているが、介護福祉士候補者が数年間の滞在期間中に日本人と同等の日本語能力を身につけることは困難を伴い、国家試験に合格することは難しい。

 国民の声 受付窓口

国民の声では、国の行政サービスに対する国民のみなさま及び国の行政に携わる職員のみなさまからの声なき声を募集しております。真に透明、公正、効率的な行政を取り戻すため、身近なムダやおかしなルールなどに関する皆様からのご提案、ご指摘等をお待ちしております。

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