野口英世アフリカ賞ニュースレター 第8号平成24年 11月 第8回母子手帳国際会議 開催記念特別号

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第8回 母子手帳国際会議が開催されました
2012年10月22日~25日 ケニア・ナイロビ

集合写真
(写真提供:オリバー・ベラルガ氏(大阪大学))

 

2012年10月22日から25日にかけてケニアのナイロビで、第1回
野口英世アフリカ賞 医療活動部門受賞者 ミリアム・ウェレ博士主導の下、アフリカ初の開催となる「第8回 母子手帳国際会議」が開催されました。

 会議にはアフリカ諸国を中心に25ケ国の医学、保健の関係者が集まり、スワヒリ語で"Tunza Jamii, Tunza Taifa"英語では"Care for the Family, Care for the Nation"(訳:家族をいたわり、国をいたわりましょう。)というモットーを掲げ、会議の開催地であるケニア公衆衛生省の多大なる支援の下「ミレニアム開発目標(※注)の「4.乳幼児死亡率の削減」と「5.妊産婦の健康改善」の達成を加速化するための母子手帳の活用」をテーマに話し合いが行われ、野口英世アフリカ賞4周年記念行事も開催されました。最終日にはアフリカ参加国より、今後の行動へ向けて「Call for Action」が宣誓されました。

 妊娠、出産、育児までを総合的に管理する母子手帳は日本で生まれました。ウェレ博士は野口英世アフリカ賞受賞翌年の2009年、日本で母子手帳に出会ってその有用性に感動してから、アフリカで母子手帳を広める活動をしています。

  • ウェレ博士と日本の母子手帳との出会いについては、野口英世アフリカ賞のホームページに掲載されている、ウェレ博士のインタビュー中村教授(大阪大学・NPO法人 HANDS代表理事)のインタビュー記事をご覧ください。
  • ※注 ミレニアム開発目標(Millennium Development Goals: MDGs)‐開発分野における国際社会共通の目標です。2000年9月にニューヨークで開催された国連ミレニアム・サミットで採択された国連ミレニアム宣言を基にまとめられました。 MDGsは、極度の貧困と飢餓の撲滅など、2015年までに達成すべき8つの目標を掲げています。

第8回母子手帳国際会議の模様について

 会議1日目(10月22日)は開会式典が行われ、ケニアのべス・ムゴ公衆衛生大臣が出席、議長の中村安秀教授(大阪大学・NPO法人 HANDS代表理事)の挨拶に続き、在ケニア日本大使館の山田臨時代理大使が自身の母子手帳のコピーを使用して講演を行い聴衆の関心を大いに引きました。野口英世アフリカ賞委員会座長である黒川 清教授からも挨拶がありました。

 午後は既に母子手帳を使用している国の経験を共有するセッションが行われ、国際協力機構(JICA)による日本の母子手帳開発普及支援の経験のほか、インドネシア・パレスチナ・モロッコ・バングラデシュ・タイ・ラオス・オランダ・ケニアの計8カ国による取組発表が行われました


計25か国(アフリカから14か国・アフリカ以外では11か国)から約300名が参加
(写真提供:NPO法人 HANDS)

 会議2日目(10月23日)はアフリカの地域ごとに6つのグループに分かれ(アフリカ以外の国々に関しては、各グループに分かれ、サポート役を行いました。)、MDGs4と5の達成へ向け、母子手帳を活用したフレームワークの作成が行われ、午後には各グループより発表が行われました。

 夜には野口英世アフリカ賞4周年記念の特別セッションとレセプションが行われました。特別セッションで日本側からは、野口英世アフリカ賞の歴史、受賞後の受賞者の活躍について発表が行われました。ウェレ博士は、逆境に負けなかった野口博士の功績や、アフリカにちなんだ賞を創設した日本への謝意、これからも日本の関係者と協力しつつ、健康な大陸(アフリカ)を目指すことを説明し、日本・ケニア双方の関係者が、野口英世アフリカ賞を通じて関係が強化されただけではなく、お互いに勇気づけられたことを改めて確認しました。


野口英世アフリカ賞4周年記念の特別セッションで野口英世博士の紙芝居を演ずる、
UZIMA財団の若者たち

 会議3日目(10月24日)はケニア国外の参加者を中心に約70名が5つのグループに分かれ、実際に母子手帳を活用している、ケニアの首都・ナイロビの保健医療施設を視察しました。ナイロビではほぼ全ての妊産婦が母子手帳を使用し、受診時には必ず持参する事が認識されており、また施設ごとに工夫が行われていました。参加者はさかんに施設のスタッフやお母さん達に質問をしていました。ケニア国内の参加者は視察には参加せず、母子手帳有効活用のための戦略(トレーニング、啓蒙活動、政策実施支援等)を策定しました。

 午後には午前中の報告会を行った後、官民連携によるパネルディスカッションが行われ、パネラーとして、ケニア保健ビジネスコンソーシアムのKenya Health Care Federationの代表、クリスチャン病院協会・会長、世界保健機構のPartnership of Maternal, Newborn and Child Health(PMNCH)代表、ウェレ博士らがディスカッションを行いました。


母子手帳を活用している、ナイロビの医療施設の視察フィールドワーク、
参加者から現場スタッフへ熱心な質問
(写真提供:NPO 法人 HANDS)

 最終日である4日目(10月25日)は4日間の会議の成果を通じて、今後のアクションへ向けての「Call for Action」がアフリカ参加国により宣誓されました。閉会式ではウェレ博士の招待で、ナイロビ・グッドシェファード協会の子どもたちのコーラス、マガディー州のコミュニティー・ヘルスワーカーによるマサイのパフォーマンスが行われ、Nairobi Call for Action、アジア(代表:インドネシア)及びアフリカ(代表:南スーダン)から謝辞の後、中村議長より閉会の挨拶、ケニア公衆衛生省のシャリフ総局長より閉会の辞が述べられました。

 ケニア以外のアフリカの国々から母子手帳へ強い関心が寄せられ、既に母子手帳を普及させている国々とこれから導入を検討している国々がお互いに経験を共有し、刺激し合い、ウェレ博士やケニア政府のイニシアチブの下、会議は成功に終わりました。

 次回の母子手帳国際会議の開催については、アフリカの国々から立候補があった事からも、参加者それぞれの大きな手応えと、母子手帳を広める活動に対する決意が感じられました。

さらに詳しい会議の様子については、野口英世アフリカ賞のホームページをご覧ください。


閉会式でパフォーマンスを行った、美しい民族衣装を身に付けたマサイの女性達と
ウェレ博士
(写真提供:ケニア保健省アドバイザー JICA専門家 杉下智彦氏)

 

第2回野口英世アフリカ賞記念切手 発行決定

福島で生まれ、世界中で活躍をした野口英世博士にちなんで、
第2回野口英世アフリカ賞の記念切手が発行されます。
(2013年5月31日販売開始予定)


第1回野口英世アフリカ賞記念切手
(2008年発行)

 2008年の第1回野口英世アフリカ賞に際し記念切手が発行されましたが、2013年の第2回野口英世アフリカ賞に際しても記念切手が発行されます。

 福島の英雄である野口英世博士にちなんだ野口英世アフリカ賞の記念切手を発行する事によって、少しでも震災で被害に会った福島の力になれればとの思いから、日本郵便株式会社様による発行が決まりました。

 大変意義深く、貴重な記念切手の発行です。「第2回野口英世アフリカ賞記念切手」が野口博士の故郷福島をアピールする貴重な機会になることを願うと共に、来年の第2回野口英世アフリカ賞をより素晴らしいものにするべく、担当者一同取り組んで参ります。

 2013年5月31日から全国の郵便局で販売される予定ですが、詳細は随時ホームページやニュースレターを通じてお知らせをする予定です。

第5回アフリカ開発会議 TICAD V ロゴマーク決定

TICAD V ロゴ

 第2回野口英世アフリカ賞授賞式は2013年6月の第5回アフリカ開発会議(TICAD V)の開催に合せて行われますが、TICAD Vのロゴマークが正式に決定しました。

 第1回から使用しているロゴを中央に配置、第5回を意味するローマ数字のVの上への広がりが、持続可能な発展と幅広いアフリカ開発に携わる関係者との連携の可能性を表し、「V」からはvibrantvigorousvitality(いずれの単語も活気に満ちた等の意味)という言葉が連想されます。多くのアフリカ諸国の国旗に使われている「赤、緑、黄」の3色は、赤は団結、黄は肥沃な大地、緑は農業、森林などを表しています。

 TICADを共催する、外務省、国連開発計画(UNDP)駐日代表事務所、世界銀行東京事務所、及び開催都市である横浜市は、国内においてTICAD Vを一層盛り上げる観点から、日本国内で実施される事業を対象に「TICAD Vパートナー事業」を幅広く募集します。詳しくは外務省ホームページ別ウィンドウで開きますをご覧ください。

 

TICADをもっと身近に!関連ホームページ案内

第5回アフリカ開発会議横浜開催推進協議会
※第5回アフリカ開発会議は終了しました

 TICAD Vの開催地である、横浜の「第5回アフリカ開発会議横浜開催推進協議会」によるホームページです。TICADに関する事だけではなく、アフリカの事や横浜市内で行われる、アフリカ関連の楽しいイベントの情報が掲載されています。facebookもありますので、是非ご覧ください。

アフリカひろば別ウィンドウで開きます

 TICADアフリカひろば運営委員会(運営委員会:外務省・国連開発計画・世界銀行、運営事務局:国際協力機構(JICA))によるホームページです。アフリカに関する事を日常生活からビジネスまであらゆるジャンルの情報を動画も交えながら紹介しています。facebooktwitterもありますので、是非ご覧ください。

 

野口英世博士ストーリーズ 青年時代  
生涯の恩師・親友達と出会い、世界へ

 1896年、一人の少年が猪苗代の小さな村から上京し、その後、中国、アメリカ、ヨーロッパ、南アメリカ、アフリカなど世界各地で活躍した陰には、生涯を通じて親交のあった恩師や親友達の力がありました。

 野口博士の魅力はずば抜けた頭の良さや、正直で飾らない性格だったようです。一度辞書を見たらすぐに覚えてしまう記憶力、何か国語も巧みに操る語学力、また1915年に15年ぶりに日本へ帰国した野口博士は人に頼まれると揮毫をし、それぞれの人に合う言葉をスラスラと書き、100枚以上に及ぶ書を残すなど文学的な才能もありました。

 野口博士が上京してから面倒を見てくれていた高山歯科医学院の血脇守之助先生(現東京歯科大学の建学者、日本の歯科医学の基礎を築く)も、他の弟子では許されないヤンチャを許してくれていました。恩師達はそれだけ伸びる人間だという事を見抜いていました。残された手紙からは日々人格が磨かれていき、渡米2~3年後にはジェントルマンになった様子が見られます。ロックフェラー研究所のフレキスナー博士やデンマーク国立血清研究所のマッセン博士などの人格者に出会えたという事も博士の幸運でした。

 「小生日頃の心がけはまず人となること。学問は第二と存じ候」野口博士が手紙に書いた言葉です。学問よりも人として立派になる事が大事、誰よりも頭が良く、学問を究めた野口博士が言うから重みがあります。

 親しく関わった人は生涯友人で、博士の気性に惚れこみ、魅せられる。通り一遍の関係では無くなる。野口博士は多くの人々を魅了し、大きな愛情で支えられながら、世界中で活躍する細菌学者となったのです。

 この記事は2012年1月に行われた、野口英世記念館・八子弥寿男館長へのインタビュー記事を基に作成しています。お話に出てくる八子弥寿平少年は、八子館長のおじいさんにあたる方で、伝記には載っていない野口博士に関する興味深いエピソードがインタビュー記事には掲載されておりますので、こちらもご覧ください。


再渡米する際、恩師達と佐渡丸の甲板にて撮影された写真。
向かって左から、渡部鼎医師、野口博士、石塚三郎氏、血脇守之助先生、小林栄先生。
(写真提供:財団法人 野口英世記念会)

野口英世アフリカ賞基金のための御寄付のお願い

 本賞の賞金のために、本賞の趣旨にご賛同いただける方々から広く寄付を募っています。皆さまからいただいた善意が、アフリカにおける医学・医療の向上のため活躍されている方々の活動を支えるために使われます。

  • インターネットからのお申込みの場合
    野口英世アフリカ賞ホームページより、基金の管理を担当しているJICA(国際協力機構)の寄付サイト別ウィンドウで開きますへお進み下さい。クレジットカード、銀行・郵便振込、コンビニ振込、いずれかの方法でお支払いただけます。
  • 寄付申込書によるお申込みの場合
    野口英世アフリカ賞担当室より、寄付申込書を送付いたしますのでお電話下さい(電話 03-5501-1745)。用紙に必要事項をご記入の上、お手数ですがJICA国内事業部 市民参加推進課 寄付金事務局(FAX番号 03-5226-6377)までFAXをお送り下さい。追って振込用紙を送付致します。
  • 野口英世アフリカ賞基金への寄附実績(2012年9月時点の累計)
    512,542,972円 [個人1922件,法人322件(計2244件)]
 

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