第一回野口英世アフリカ賞授賞式におけるムスワティ3世 スワジランド国王による祝辞第1回野口英世アフリカ賞授賞式及び記念晩餐会

天皇、皇后両陛下、福田総理閣下、アフリカ諸国の元首・首脳閣下、ブライアン・グリーンウッド博士、ミリアム・ウェレ博士、ご列席の賓客の皆様皆様今晩は。各国首脳を代表しまして、天皇陛下及び日本国政府に対してTICADⅣ及び本式典へのご招待を頂き御礼申し上げます。これは日本のアフリカに対するコミットメントの継続を明確に示すものに他なりません。

TICADは、日本がアフリカの多様な諸国の状況をより深く知り、評価するための機会を提供するものであります。TICADは我々が日本に来て、様々な分野の考えを討議し、共有するための唯一の場であります。この首脳会議は、アフリカ及び世界全体が、貧困や失業、また、嵐・地震・干魃による未曾有の破壊をもたらす気候変動、そして、それに伴う世界の食料生産の様式の歪曲といった、大きな挑戦に直面する決定的な時期に、開催されるものであります。燃料価格の高騰と穀物生産の減少は、基礎食料、家庭用品、そして社会サービスの価格を急激に引き上げ、途上国の状況を悪化させています。TICADⅣが、こうした人類の生存そのものを脅かすこれらの挑戦を討議し、解決策を見出すための絶好の機会を提供するものであることを喜ばしく思います。

我々は、国連を通じ自らに課したミレニアム開発目標の基準に沿って、限られた資源を使い、これらの問題に取り組んでいます。

私共が、今夜ここに第一回野口英世アフリカ賞を祝福するために集うことを喜ぶ理由は、正にここにあります。私は、アフリカ諸国の首脳及び国民を代表して、お二人の受賞者、ブライアン・グリーンウッド博士とミリアム・ウェレ博士の、素晴らしい業績に対し、祝福申し上げる光栄を有します。

ウェレ博士は、ケニアにおける保健の改善、特にHIV罹患率の削減と、この疾病に関する人々の啓蒙の分野において、大きな業績を上げたウェレ博士に対し、敬意を表します。今日、ケニア及びその他の国で多くの人々のHIVとAIDSについての知識が増えたのは、この活動的な女性のおかげであります。彼女に祝意を表します。

私共は、若くしてアフリカにやってきたグリーンウッド博士に対しても、敬意を表します。彼は若かったにもかかわらず、時間を惜しまず、マラリアとの闘いのため、アフリカをどう助けることができるかという研究に邁進しました。その結果、マラリアとの闘いにおける実践的な解決方法を見出すことにより、この分野で大きな業績を上げました。

不幸なことに、HIV/AIDSと結核が、マラリアによってもたらされた悲惨な状況を隠してしまっている面があるようです。本賞が、優れたマラリア研究に対し授与されることにより、我々自身そしてグローバル基金やその他の援助諸国が、マラリア対策を支援するための適切な行動をとることを促すものと信じています。

私共は、日本国の政府と国民が、アフリカ医学賞を創設し、資金提供したことを賞賛します。野口英世アフリカ賞は、アフリカ自身が、医学研究と能力強化の促進のためにその能力と努力を結集しようとしている、ちょうどその時に創設されました。

私は、この医学賞が、アフリカの研究者を動機付け、活気を与え、アフリカ人の心を変えることになると確信しています。この賞は人々に自信を与え、貧困、飢餓、失業といった社会経済分野の諸困難―ほんの一部だけを例示しましたしたが―との闘いにおける闘士を生み出すことになると思います。

HIV/AIDS、結核、マラリアその他の疾病は、我々の開発計画を攪乱させます。我々はこれらの病を根絶しなければなりません。我々は、アフリカ連合の枠組みの下で、保健管理システムに関する研究を引き続き促進するよう最大限努力します。我々は、アフリカの問題に対し、真のアフリカの解決方法を追求します。野口英世アフリカ賞は人間の尊厳を高めるための自立の理念を強調しております。

アフリカは輸入医薬品に大きく依存しており、高価格のため多くの国民はこれらを安定的に購入することができません。これがアフリカ大陸に模造のあるいは有害な医薬品の流通を引き起こし、人々を苦しめています。

日本は、野口英世という情熱と勇気を持つ並はずれた人物を思い出させてくれました。彼は、アフリカと日本との間の永続的なパートナーシップの先駆者でした。日本の指導層と国民は、今でも野口精神を大事にされています。我々は、日本が、八年前にG8沖縄サミットにおいてHIV/AIDS、結核、マラリアに関するグローバル基金を提案したことにより、国際保健の様相を一変させたことを想起し、賞賛します。我々はまた、日本が本年のG8の議長国として、再び、保健に関する国際社会の関心の高まりを主導するための努力を払われるていることを評価します。TICADⅣへの我々の出席自身が、人道と公平な開発に対する日本のコミットメントの証左であります。G8の中の我々の友人である日本が、他の開発パートナーに対し、我々の現状を説明し、G8が真剣に永続的な解決策を見出すための手助けをしてくれることを信じています。同様に、日本に対し、開発援助と我々の商品への市場開放に関し、感謝申し上げます。

最後に、受賞が叶わなかった候補者の方々にも賛辞を送ります。彼らはいずれも優れた方々であり、今後も努力は継続されねばなりません。また、選考委員の方々と、賞の運営に関わった方々にも、素晴らしい仕事をされたことを労いたいと思います。

野口博士に敬意を表し、引き続き日本と手を携え、TICADそして他の場で、協力しようではありませんか。こうして、アフリカ諸国の人々の生活の水準を高め、それを通じ、世界におけるアフリカの立場を引き上げることができるのです。

ご静聴ありがとうございました。皆様に神の祝福がありますようお祈りします。