黒川委員長による報告第1回野口英世アフリカ賞授賞式及び記念晩餐会

天皇、皇后両陛下、TICAD出席の各国首脳及び国際機関の長の皆様、ご列席の皆様、野口英世アフリカ賞委員会を代表して、選考の概要と受賞者の業績についてご報告します。

まず、選考の概要は以下の通りです。医学研究、医療活動の両部門に関し、アフリカを含む全世界に対し、推薦依頼を行い、2007年の夏までの間に合計約100件の推薦を頂きました。その年の秋以降、豊島・理化学研究所研究顧問を座長とする24人の国際的メンバーで構成される医学研究選考委員会、マホバ(Makgoba)・クワズルナタール(KwaZulu-Natal)大学学長を座長とする12人の国際的メンバーで構成される医療活動選考委員会が、それぞれ3件まで候補を絞り込みました。これらの候補者の推挙を受け、本年3月末、私が座長を勤めます野口英世アフリカ賞委員会の最終会合が行われ、医学研究部門はロンドン大学衛生熱帯医学校のブライアン・グリーンウッド博士、医療活動部門はウジマ財団のミリアム・ウェレ博士が受賞者に最もふさわしい候補者として、全会一致の結論を得、総理大臣に推挙、本年3月、承認・決定されました。

つぎに、受賞者の業績は以下の通りです。グリーンウッド博士は、アフリカを拠点にして、30年以上にわたり活動を続けてこられました。博士は、アフリカにおいて最も多くの命を奪っているマラリアを、免疫学、疫学等、様々な側面から解明するとともに、マラリア予防の最重要対策となっている、殺虫剤を染み込ませた蚊帳によるマラリア制御の効用を証明し、現在マラリアの主たる治療方法として広く普及しているアルテミシニンをベースにした併用療法の初期研究を行いました。簡略、かつ高度な手法と強靭な現場治験に裏付けられた研究は、アフリカ各国で実施されている公衆衛生政策の科学的基礎を提供しています。

またグリーンウッド博士は、アフリカ固有の複雑な生態系や、アフリカ人の直面する現実の諸問題への深い理解に基づき、熱帯医学を、研究室及び臨床、予防及び治療、さらに疫学、人類学、行動科学等の様々な知見を動員する総合的学問に変容させました。

さらにグリーンウッド博士は、アフリカでの研究活動において、若いアフリカ人研究者の教育及び支援に力を入れてきました。同博士に感化され、指導を受けた学生、研究者、臨床医は、現在多方面で活躍しており、科学界におけるアフリカ医学研究の地位の向上にも貢献しました。

以上がグリーンウッド博士の業績のご紹介です。

つぎに、ウェレ博士の業績をご紹介します。

ウェレ博士は、40年にわたり、コミュニティにおける医療サービス提供の実践面に焦点を当てて、アフリカの人々の健康と福祉の増進に貢献してきました。ウェレ博士は、コミュニティを結束させることで、日々の衛生管理に関し、現地に適した解決法を編み出し、実践してきました。このように体系的な手法をとることで、個人の衛生意識を高めることが博士の狙いでありました。

またウェレ博士は、ケニア社会に深刻な陰を落としているHIV/AIDS撲滅に大きく貢献されました。博士は、エイズ感染リスクの高い人々と直接ふれあい、おそれずに心の内を開いて話すように励まし続け、そのような大胆ともいえるアプローチの努力によって、エイズ感染者に対する社会の偏見や差別が減少しました。国家エイズ対策委員会委員長としても指導力を発揮し、ケニアのHIV感染率、及び、AIDSによる死亡率の一貫した減少に貢献してきました。

さらにウェレ博士は、アフリカ最大の保健NGOであるアフリカ医療研究財団(AMREF)の理事長として、ケニア農村部の医療サービスの拡大を指揮するとともに、ウジマ財団の共同創設者及び総裁として、青少年の非行の是正を促進し、その結果、ウジマ財団青少年の麻薬常用率は六ヶ月で80%から10%に減少し、彼らの健康改善に貢献しました。

以上がウェレ博士の業績のご紹介です。

最後に、野口英世アフリカ賞の選考に関わった全ての者を代表しまして、受賞者お二人に対し、心よりお祝いを申し上げます。

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