新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年4月26日

(令和6年4月26日(金) 9:50~10:06  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 まず、私からご報告がございます。4月28日から5月6日にかけまして、英国、フランス、フィンランドを訪問いたします。フランスでは5月2日から3日にかけてパリで開催されるOECD閣僚理事会に出席をいたします。
 今年は、日本のOECD加盟60周年という節目の年になり、日本はOECD閣僚理事会の議長国を務めます。私はセッション1において、「持続可能で包摂的な経済社会の実現」に関するセッションの議長を務め進行を行います。
 また、この機会を利用して、ニュージーランドのマックレイ貿易大臣、その他関係閣僚とのバイ会談も入れようと思っています。
 さらに、今回の出張の機会を利用して、各地で先端技術やスタートアップ関連の施設・機関の視察、企業関係者などの皆さんとの意見交換を行います。加えて、英国のアジアハウスというシンクタンクでは日本経済に関する講演を行うことを考えております。
 詳細につきましては、事務方にお問い合わせいただきたいと思います。

2.質疑応答

(問)先日、人口戦略会議が全市町村の4割超に当たる744自治体が人口減少によって将来的に消滅の可能性があるとの報告書を公表しました。経済財政諮問会議では持続可能な地域社会の構築をテーマに議論を進めていますが、どういった観点が重要になるとお考えか、改めて教えてください。
(答)まず、2014年の第1回レポートにおいて、地方消滅の可能性がある都市ということで、衝撃が与えられたわけであります。今回も分析レポートを出していただいて、全市町村の約4割が人口減少により将来的に消滅の可能性があるというご指摘がありました。これはさまざまな分析に基づく極めて重要なご指摘と受け止めております。
 もとより、私たちは人口減少・少子高齢化、これは国難とも言うべき危機だと思っているわけであります。一方で、今、われわれ経済政策を担当する者として、人口減少・少子高齢化、そして地方の過疎化、都市の過密、こうした問題があっても、それでも成長していく日本、そして、それぞれの地域での社会課題を解決して、それぞれの地域で皆さんが自分の幸せを少しでも実感でき、豊かに暮らしていける、そういう社会をつくらなければいけないと考えているわけです。
 今回の経済財政諮問会議の中でも、こうしたテーマを基にずっと議論を続けておりますし、私が私的諮問機関である経済財政ユニットや日本の元気創造実現会議、こうした中でも、ここを根底に置いて、どうすればいいのかといったことを議論しています。
 これからどういう人口圏・都市圏をつくっていくかということは重要なポイントになると思います。現状においては、市町村単位での、市町村の中のコンパクト化は進めていますけれども、それに加えてもう少し広域的な、市町村や県を越えた、ある地域における将来設定できるであろう広域生活圏を考えてはどうかと。そこで役割分担をしながら必要なインフラの整備、それから、公共施設、こういったものをどうやって分散配置していくかということが重要になると思います。
 それから、そういう広域的な圏域を設定したとして、どのような仕事があるかということ、加えて、交通の足を確保するための対策も必要になると思いますし、医療や教育の水準を維持できるか、こうしたことを考えなければいけません。
 根本にあるのは、それらの課題を解決するための新しい技術を徹底的に社会実装して、そして、その地域に合った新しい技術をそこで実践してみようと。そこで、例えば出番になってくるのがスタートアップの存在です。シェアリングエコノミーであり、イノベーション、こういったものを活用して、それぞれの地域で経済的な方策を打つ。それらの組み合わせで、日本がそれぞれ一つ一つの地域で必要なまちづくりを進めていくと。それを国として、トータルとして応援をし、必要な規制改革を行ったり、制度を整備していくと、こういう順番になると思っております。
 何よりも人口減少は残念ながらプログラムされた課題です。昨年の出生者数は76万人を切ると言われていますが、今年生まれた子どもの数は将来絶対に増えないですよね。ですから、今後、人口減少は止めようのないトレンドになってきます。これ以上急激に減少させないように、人口減少を緩和しながら最終的には横ばいにして、人口を維持する、そして、そこからまた反転攻勢をかけていく、こういう長期的な国家ビジョンが必要であり、そのための目の前の政策と、中期的な政策、長期的な政策、これを組み合わせていかなければならないと思っています。
(問)本日の金融政策決定会合への出席について教えてください。本日の出席の狙いと、なぜ本日このタイミングで出席されるのかという点と、今回会合ですと政策変更はないと見込まれてはいますが、利上げのタイミング等々言われている中で、今後どのタイミングが適切なのかということについてもあわせて教えてください。
(答)私は、日銀の金融政策決定会合の構成メンバーでございます。ですから、「なぜ出るのか」というのは、そもそも構成メンバーであって、日程が合えば出席して、日銀の議論を聞き、意見交換をする、これはそもそもが与えられた仕事だと思っています。
 その上で、今まさにデフレからの脱却をし、持続的な経済成長、新しい経済のステージを実現する、こういう中で、マクロ経済運営は重要な局面を迎えていると承知をしております。政府と日銀が緊密に連携をして、十分な意思疎通を図ること、これは非常に重要なことだと考えています。
 それから、金利を含めた金融政策の在り方、これはまさに金融政策決定会合が行われているところですから、私からコメントすることではありませんが、日銀については政府と密接に連携を図りながら、物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切な政策運営を遂行してもらいたいと期待しております。
(問)冒頭の質問にも関連するんですが、読売新聞が本日の1面で人口減少に対する提言を発表しました。第2子以降の支援であったり、政府で体制を構築していくことなどを提言しています。これについての大臣の受け止めとご所感をお願いします。
(答)読売新聞の記事、私も拝見しております。この中でやはり大きく掲げていただきました人口減の抑制は総力で行うべき、また、政策の総動員が必要だということは大いに共感をしております。今ご指摘いただいたような個別の施策を積み重ねていくこと、そして、何よりも持続可能な状態に工夫をしながら押し上げていくことが重要だと思っています。
 まだまだ可能性はありますし、今までと同じやり方では結果がこの現状ですから、やはりやり方を工夫しながらものごとを革新していく。そして、従来できなかったことを可能にするのはやはり技術であって、創意工夫、それから規制改革なんですね。ですから、これを組み合わせた中で、新技術や新しい規制改革、これを徹底して社会実装させながら、次の私たちがプログラムされているこの国の人口と地勢的な状況、これを踏まえた解決策をつくっていくことが重要です。
 非常に個々にわたって詳細な分析をしていただいておりますから、ぜひ今後とも有意義な提言をいただければありがたいなと思います。
(問)冒頭発表のありました海外出張についてですけれども、OECD議長国ということで、今回、どういったことを発信されていきたいかということと、もう一つ、スタートアップをいろいろ視察されるということで、前回の海外出張でもスタートアップを視察されたと思いますが、今回、スタートアップを視察される意義・狙いについて、この2点を教えていただけますでしょうか。
(答)まず、私は今回の出張を通じて、日本経済がどこに向かおうとしているのか、国際社会から日本への関心をさらに強く持ってもらって、経済的な交流を強めていく、日本への投資を高めていく、そのきっかけになればというのが大きな狙いであります。
 OECDでは議長国になり、私もセッション1で進行を務めるわけですが、私がそこでテーマとして設定しましたのは、「持続可能で包摂的な経済社会の実現」です。これはまさに私たち岸田政権、日本政府が進めようとしている新しい資本主義に基づく新しい経済ステージをつくるための成長戦略、DXやGX、スタートアップ、さまざまなイノベーション、また、環境問題や教育問題、それに対してそれぞれが役割分担をしながら、OECD加盟国が積極的にこういった問題をみんなで取り組もうではないかということをこのセッションで合意していきたいと考えています。
 それから、CPTPPは私たちにとってとても大きな戦略ツールになっています。今、CPTPPの新規加入の問題も、またこれからのルールをどのように改善していくかということを常に検討しているわけですが、CPTPPの関連の方とも会談をする予定です。今後の展開はさらに国際社会の中で議論していきたいと思っています。
 スタートアップは、前回も精力的にさまざまな機関を視察し、また企業関係者の方々とお会いしました。今回は恐らく40人以上の方々とお会いをすることになります。そして、スタートアップの施設の運営を工夫されている方々、それから、インキュベーションと言って、さらにそれを育てるための仕組みとか、ベンチャーキャピタルの関係者とか、そういった人たちともお会いします。
 何よりも、前回意見交換した方から、「おいでになるならもう一度お会いしたい」というオファーをいただいております。
 私が今やろうとしていることは、スタートアップの国際ネットワークの構築です。その中で、日本がグローバル・スタートアップ・キャンパスという大きな構想を今進めています。それを拠点にしながら、日本国内に今、既にいろんな所でスタートアップが動いているわけであります。それらと世界をどうつないでいくか。日本にも来ていただくし、私たちも出ていくし、その中で世界を変える技術やサービス、そうしたものが生まれるような、そういうコミュニティーがつくれればと思っているわけでして、かなり過密な日程になりますけれども、なかなか外国に出られませんので、しっかりと機会をつくって、意見交換をしていきたいと考えています。

(以上)