新藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和6年4月17日

(令和6年4月17日(水) 19:10~19:23  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日は新しい資本主義実現会議を開催いたしました。制作現場に精通する参考人として、2018年にカンヌ国際映画祭で最高賞を受賞した是枝監督。また先日、「ゴジラ-1.0」でアカデミー賞の視覚効果賞を受賞した山崎監督。このお二人の監督においでいただいて、映画の作成、コンテンツの現場のリアルな状況、海外進出をする際の論点、そういう意味では他国とのコンテンツ産業の比較、こういったものも含めて、コンテンツ産業全般についての議論を行いました。
 アニメ、映画、音楽、ゲーム、放送番組といったコンテンツはわが国の誇るべき財産だと思っております。一方で、制作現場の労働環境、賃金の支払いなどの長年の労働慣行、こうした問題についてはやはり問題があるという指摘もございます。クリエイターが安心して働くことができる環境を整備していかなくてはいけないと、これは急務だと思っておりますし、公正取引委員会の協力の下で、契約を適正化するための調査や、その結果を踏まえた優越的地位の濫用の防止であるとか、独占禁止法に抵触する恐れがあるような行為、それを防止するような指針ですとか、こういったものを作成するべく検討を進めていこうといった意見が出されました。
 また、海外展開を促進するためには、国際見本市、国際映画祭における出展機能や、海外への進出に際しての制作会社に対するビジネス展開の支援、これの抜本的な強化が必要ですし、クリエイターの留学の支援や学びの場の整備なども実施したいと考えております。
 官民の適切なパートナーシップを築くことを目指して、この春の「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」の改訂に向けまして、コンテンツ産業活性化戦略を策定していきたいと考えております。総理からは委員の皆さまと関係大臣への協力要請がございました。私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、新しい資本主義の関連で、コンテンツ産業の活性化という文脈の中でクリエイターの労務環境の改善について話し合われたということで、取引先からの優越的地位の濫用を防止する観点から、取引慣行の実態調査や新たな指針の作成が論点になりました。議論についての大臣の受け止めと、今後の方向性についてのお考えをあらためて教えていただけますか。
(答)私たちが誇るべき日本の財産であって、世界の中で非常に高い評価を得ているアニメ、映画、音楽、ゲーム、放送番組、こういうコンテンツというものが、一方で制作現場の長年にわたる労働慣行だとか、賃金の支払いに関する問題だとか、特に若い人たちがここに入っていったときに、最初が非常に厳しい状況であるということも、われわれ承知をしております。
 コンテンツ産業は大きく世界展開をしてるわけですが、一方で現場にはこの分野が好きでやっていると、そういう人たちの集まりという状況から、成長産業として持続的に活動できる体制を整えることが必要ですし、この分野においても労務費の価格転嫁の場合のように、やはり取引慣行の実態というものを承知した上で何が改善が必要なのか、こういったものを検討していく必要があるということを、本日の議論の中で、お二人の監督からもそのような趣旨のお話がございましたし、出席の委員からもそうした問題点をご指摘いただいたところであります。
(問)先ほどの質問にも関連しますが、公正取引委員会の協力の下、音楽、放送番組の分野から実態調査を開始し、制作事務所の間の契約等を適正化するとありますが、具体的にどういった問題があるというご認識でしょうか。
(答)そこはまず公正取引委員会に協力をお願いしたいと思ってますけれども、そうした音楽や放送番組等の分野について調査をしようということを考えております。その結果を見ながら問題点を把握した上で、これはもう非常に大事なことですから、調査の結果を見て、指針の作成を行いたいということであります。ですので、予断を持って先にどういった分野がという、それもそれぞれの立場からのことも含めて、きちんと実態把握しなければいけないと思っておりますので、まずは調査を経て、必要な項目というものをきちんと打ち出していきたいと考えております。
(問)本日の会議でクリエイターの労務環境などが話し合われたということですけれども、本日、ゲストで招かれた是枝監督、山崎監督、ご両人からもそういった厳しい労働環境みたいなお話があったのかということと、お二人の監督が話されていたことで印象に残ったやりとりがありましたら教えてください。
(答)まず、是枝監督も山崎監督も今や日本を代表して、世界からも高い評価を得ている第一人者であります。そういった方が、少なくとも新しい資本主義の会議には初めておいでをいただきました。現場を承知しながら世界で活躍してる方が会議においでいただいたことを、極めて意義深いというふうに思ってます。
 さまざまな問題意識は委員が全員で共有したところです。それは、やはり成長産業として維持していくためにはどういう観点が必要かという点において、個人の能力だとか努力、日本ならではのセンスとか技術、こういったものが評価される一方で、クリエイターたちの待遇の問題だとか、これが興行なり事業として展開していく中で、いわばビジネスプランというものがきちんとできているのかということ。世界の市場やプランと比べて日本がややまだそこが未整備な部分があると。ややの場合もあるし、大きく未整備な場合もありすけれども、そういったところをみんなで、お二人の監督がおっしゃることには非常に説得力があるし、切実な問題であるということを共有したわけであります。
 特に若手のクリエイターをどう支援していくか、育成していくか。また、世界からクリエイターをわが国にお招きするということも、かつて議論したことがあります。そういったことを考えたときに、世界と競争する際に実際の制作現場の評価が低いということになれば、これは人材の流出にもつながりかねない問題だというご指摘もございました。ですから、そういったものも含めて、しっかりと議論を深掘りしていきたいと考えています。
(問)話題変わりまして、茂木派が本日の夕方の会合で政治団体の解消を決めましたけれども、政策集団としての活動は継続する方針ということなんですが、大臣にご所感を伺えればと思います。
(答)まず、茂木派といわれる派閥はもう既に解消しております。自民党の中間取りまとめの方向に沿って、私たちもそれを受け入れて、派閥は解消する、新たな政策集団に向けて検討をしていくということはもう既に表明をしております。
 本日は意見交換会という形で、連絡の取れる私たちの今までの仲間と今後どういう政策集団にしていくべきなのかということを、意見を交換し合ったということです。まずは予算が成立できたこと、それから、自民党のこの問題に関する党紀委員会の処分を含め、ある一定の整理がついてきたところで、それではこの先をどうするのかということを意見交換しようということで開催をいたしました。
 本日、みんなで共有できたことは、これまでの派閥の解消と新たな政策集団に移行することはもう共有してますから、それを前提にして、まず当面、今まで拠点としていました事務所はもう不要になったので、これは解約の手続きを行うということ。それから、今集まって何かをするような状況にございませんので、会費の徴収は今月をもって停止をすると、新たな政策集団の形が見えるまでは停止をするということにいたしました。
 この新たな政策集団への移行の検討と並行して、今、その他の政治団体として平成研究会という政治団体があるわけでありますが、これは取り下げる方向で検討していくということも皆さんと確認をいたしました。その新たな政策集団が形成される、それまでの移行期間においてどうしたらいいかというのが、本日の一番の主眼でございまして。これは皆さんからいろいろな意見をいただきました。
 ただ、非常に多かったのは、今までのこういった場があらためて重要だということに気が付いたと。特に法案調整をしたり、衆議院と参議院の意見交換をする場というのは、そういう場所がなくなると、なかなか難しいということを実感しているというような声もございました。大所高所から日本の根幹を成すような政策の協議というものも、ぜひ勉強会はやっていきたいという声がございました。
 今、簡単に集まって今までのような形ではできる状態ではないというお話をしましたが、たまには集まって意見交換はさせてほしいというようなご要請もございましたので、それも受けて引き続きどうするか検討していこうとなったわけであります。

(以上)