茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年10月16日

(平成30年10月16日(火) 11:10~11:23  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  今までTPP11参加国の在京大使と会合を官邸で行っていたところであります。
 冒頭の部分、マスコミ入りでしたのでお聞きいただいた方もいらっしゃるかもしれませんが、私からは、我が国としてTPP11の早期発効に向け、今後とも全力で取り組んでいくことを改めて強調し、国内手続が未了の国については、一日も早く国内手続を完了してほしい旨伝えました。
 西村官房副長官、阿部外務副大臣からも同趣旨の発言があったところであります。
 その後、各国の大使から、TPP11を早期に発効させることの重要性や、それぞれの国内手続の状況について言及があったとともに、その手続を加速化させていく旨の発言がありました。
 各大使の発言、国内での国会での審議状況等々もかなり丁寧に説明をしていただきまして、11月中にも発効に必要な6か国の国内手続が完了するとの見通しを得ることができました。来年早々の発効に向け、我が国としては引き続き主導的な役割を果たしていきたいと、このように思っております。

2.質疑応答

(問)ちょっと戻りまして、昨日の臨時閣議で安倍首相から表明があった、来年10月の消費税率10%への引上げと政策対応についてお伺いします。
 政策対応は、前回2014年の増税時の経験も踏まえてのものと思いますけれども、軽減税率ですとか中小小売店でのキャッシュレス決済の買物支援とか、消費者や事業者から見るとちょっと仕組みが複雑になる部分もあります。これはちょっと改めてということになってしまうんですが、そもそもの増税やこうした対応策の狙い、民間事業者に準備を進めてもらうための施策などについて御所見をお願いします。
(答)前回2014年の引上げ前後には駆け込み需要、反動減という大きな需要変動が生じて、景気の回復力が弱まることになりました。こういった経験も生かし、あらゆる施策を総動員して、今回、経済に影響を及ぼさないよう全力で対応を行っていくことにしました。
 まず、家計についてでありますが、今回の増収分のうち半分は社会保障の充実に充てることとしております。特に1.7兆円は、幼児教育無償化などを通じて家計に戻ることになるわけでありまして、これを確実に実施をしていく。
そしてまた、軽減税率の実施によりまして、家計消費の4分の1を占める飲食料品等の税率が8%に据え置かれることになるわけでありまして、関係者の準備がしっかり整うよう支援をしてまいりたいと考えております。
 また、価格や需要変動への対応でありますが、この点、今回はドイツやイギリスといった欧州諸国の事例も参考に、一律一斉の価格変更とならないよう自由な価格設定を可能としていくことにしております。さらに、中小小売業に対してはポイント還元といった新たな手法による支援も行っていきたいと思っております。  そして、自動車や住宅など消費税率引上げの影響が大きい耐久消費財について、税制・予算による十分な対応を検討いたします。
さらに、国民的な関心事となっている防災・減災、国土強靱化のための緊急対策をしっかり講じることで、今申し上げたような施策と併せてマクロ経済運営にも万全を期したいと思っております。
 これらの措置の具体的な内容につきましては、年末までに結論を出してまいります。
(問)今日の在京大使との会談なんですけれども、大臣からTAG交渉に関して説明なされたと思うんですが、どのような反応だったかというのはまず一つお伺いしたいのと、TPP11の早期発効についても今日話をされたと思うんですけれども、TPP11が早期発効することの日米交渉における意義というものがやっぱりあると思うんですが、その辺り大臣のお考えを二つ、すいません、教えてください。
(答)先月合意しました日米の物品貿易協定の開始につきましては、既に個別に各国の大使等にも報告をしているところでありますが、今日せっかく11か国の大使に集まってもらう、この機会に改めて私の方からその点についても説明をさせていただいきました。今後の手順であったり、どう進めていくか。これは基本的に物品貿易協定を中心に進めていくものであると。そして同時に、日本としては、TPP11の早期発効をしっかり目指していくということは、今回の会合でも米側にも明確に伝えていると、こういう話もさせていただいたところであります。
 このTPP11が早期に発効するということは、日米だけではなくて国際社会全体に対して、今、保護主義等々の動きがある中で、自由で公正な新しいルールに基づいた体制をつくっていくという強いメッセージを世界に発信することができる、そんなふうに思っております。11月中旬に予定をされておりますAPECにおいてそういうメドが立ち、そういう発信ができるということを期待をいたしておりますし、また、今日の会合を通じまして、そのような見通しが、見えてきつつあるな、こんなふうに考えております。
(問)在京大使に茂木大臣から、TAG交渉についてお伝えになられたということですが、各国の大使からは、それに対して何か意見は出ましたでしょうか。
(答)各国の大使ですね、丁寧に説明をしてくれて大変有り難いと、Thank you very much, Muchas graciasと言われました。
(問)消費税の話に戻るんですけれども、今回、先程大臣がおっしゃったように、増収分の半分を充てるですとか、増収分の半分を社会保障や教育無償化に充てるですとか、軽減税率が導入するということで、日銀の試算では、家計の負担増というのは2兆円ちょっとになると思います。来年度と再来年度、臨時特別の措置を講じるということなんですが、前回の引上げで言いますと、5.5兆円ぐらいだと思いますが経済対策を組んでいると思いますけれども、今回、臨時特別の措置、まず来年度になりますけれども、この規模感について、大臣どのようにお考えでしょうか。
(答)先程申し上げたように、必要な対策をとっていくと。景気変動といいますか需要変動を平準化するのに十分な対策をそれぞれの分野で打っていくということで、正に年末に向けてその具体策をそれぞれ検討していく、そこの中で具体的な額は決まっていくと、そのように考えております。
(問)もう一点、先程御言及がありました中小の小売に対してのポイント還元なんですけれども、直接は経産省の話かもしれませんが、この制度を新たに導入する狙いですとか、その中小に限るということの意味合いというのをもしも分かれば教えてもらえますでしょうか。
(答)ポイント還元の制度、これは言ってみますと、ポイントを何ポイントにするかと決まっているわけではありませんが、想定されるのは当然8%から10%への消費税の引上げということですから、2%を中心に検討するということであります。こういった引上げ、事業における様々な対応は、大手のスーパー等と比べて中小の小売業者はなかなか難しい部分もあって、スムーズにそういった対応がとれるということで、とるためにも支援をしていきたいと考えております。
 具体的な、何と言うか、スキーム等々については経産省を中心にしながら、また、それぞれの団体の皆さんともよく御相談して決めていきたいと思っております。
(問)先程、11月中にも6か国の手続が完了する見通しとなったというお話ありましたけれども、今日、大使からどういう御発言があって、どこの国が完了するとか、もし詳しく教えていただけるのであればよろしくお願いします。
(答)先程言ったことは事実であります。ただ、各国との関係もありますので、どの国がいつぐらいと、例えばAPEC前には完了予定だとか、今上院から下院に行っている、逆に下院から上院に行っている、何回目のリーディングが終わった、いろんな話ありましたが、どの国がどういう話をしたかというのは各国との関係がありますので、明確にこの時期までにという詳細は控えたいと思います。
(問)すいません、またTPPとTAGのお話に戻らせていただきます。週末、大臣が出演なさった報道番組では、TAGの交渉につきまして、農産品については個別の項目はアメリカ側と議論することは出てくるが、パッケージとしてTPPから譲歩できないということは明確になさっているというふうに発言なさって、個別ででこぼこになることはあり得るのかという質問に対しては、それはあり得るというふうにおっしゃっていて、TPP以上まで譲歩する可能性にも示唆されていますけれども、改めましてこちらの御見解をお聞かせいただければと思います。
(答)共同声明にもありますように、各国の経済連携協定で約束した市場アクセスの譲許内容が最大限であるということですから、それ以上の譲歩というのはありません。ただ、過去の経済連携協定、全体的に最大限のものはTPPだと考えておりますが、それぞれ違っているわけでありますから、アメリカとも新たに交渉するということで、個別の項目についてどうするというのが今の段階で決まっているわけではありませんが、過去の経済連携で約束をした市場アクセスの譲許内容が最大限、このことは全く譲れません。これは譲歩するつもりは全くありません。
(問)全く話変わって恐縮なんですけども、靖国神社で明日から例大祭を迎えるんですけども、この期間中に参拝されるかどうかというのを確認させてください。
(答)予定ありません。

(以上)