平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成31年1月18日

(平成31年1月18日(金) 10:38~10:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 それではまず私の方から3点。
 まずは研究開発力強化法の一部改正法の施行につきましてです。昨年12月8日に議員立法である研究開発力強化法の一部改正法が成立して、昨日17日、同改正法が施行になりました。これにより研究開発力強化法の名称が「科学技術・イノベーション創出の活性化に関する法律」に改められるとともに、ベンチャー等への出資が可能な研究開発法人の拡大、現在の3法人から22法人に拡大いたします。公募型研究開発に関する迅速な基金の創設などが可能となりました。
 内閣府としては、この法律の趣旨を実現すべく、野心的な構想を掲げ、失敗も許容しながら、挑戦的な研究開発を推進する「ムーンショット型研究開発制度」などの取組を推進してまいります。また、今回の法改正で実現した制度の周知を図るなど、その活用を後押しし、科学技術・イノベーション創出の活性化を通じた知識・人材・資金の好循環の実現を図っていきたいと考えています。まずこれが一点目です。
 宇宙政策担当及び科学技術政策担当大臣としての報告ですが、16日、茨城県つくば市において関係機関・施設の視察を行い、さらに「HIRAI Pitch in つくば」を開催しました。
 つくば市では三つの機関、施設を訪問しました。まずは宇宙航空研究開発機構(JAXA)の筑波宇宙センターで、各種人工衛星やロケット等に加え、昨年国際宇宙ステーションから帰還した小型回収カプセルの実物や、日本実験棟「きぼう」の運用管制室等を視察し、宇宙開発の老舗として、日本の技術力の高さを改めて実感するとともに、宇宙利用の拡大に向けたベンチャー支援等の取組にも、これは大変感心をしたところであります。
 その次に、物質・材料研究機構(NIMS)においては、若手研究者の優れた研究成果や研究所発ベンチャーの活動状況について説明を受け、橋本理事長とベンチャー支援策などについて積極的に意見交換を行いました。また、従来のリチウム電池の数倍の蓄電が可能な「リチウム空気電池」の研究室を視察いたしました。これがうまくいくと大変なインパクトがあるなというふうに思ってます。
 さらにその次に日本自動車研究所(JARI)においては、準天頂衛星「みちびき」の高精度測位信号を活用した自動運転車に試乗しました。測位信号の情報のみで、テストコースに設置されたコーンの間のもう本当に狭いスペースを正確に進んでいくということに驚くとともに感銘を受けました。引き続き、準天頂衛星システムの利活用の推進に着実に取り組んでいきたいというふうに思います。シンガポールでちょうど自動運転の試乗をして帰ってきたばっかりなんで、比較することもできまして、この準天頂のすごさというものを改めて体感したというふうに思います。
 また、つくば研究支援センターにおいては「HIRAI Pitch in つくば」を行いました。研究所発の研究開発スタートアップ企業からPitchを受けました。人材流動化の促進、研究機関と企業との連携強化の必要性等について、有意義な意見交換ができました。これは県も市も参加、特に市長も参加していただいて、有意義な意見交換ができたというふうに思っております。
 最後にもう一点、宇宙政策担当大臣としての報告ですが、残念ながら現地で見届けることはできませんでしたが、今朝9時50分にJAXA内之浦宇宙空間観測所からイプシロンロケット4号機により「革新的衛星技術実証1号機」が打上げられました。現在JAXAが打上げの成否を確認中と承知してますが、無事に全ての衛星が予定の軌道に投入され、それぞれの衛星が各ミッションを着実に遂行し、国際競争力のある技術の確立に資する結果が得られることを期待しております。成否を確認次第、私の方から談話を出さしていただきたいというふうに思っておりまして、それはそんなに時間が掛かるものではないと思っています。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)昨年12月ですね、IT本部で政府情報システムの一元的なプロジェクト管理、決定されたかと思うんですけども、大臣のお考えとしては今後、現在どういうふうに各省庁の調整を行って、また、大臣のお考えとして、今後どういうふうにプロジェクトを進めていきたいのかについて教えてください。
(答)私も党の方で随分この政府の情報システムに関しては提言も出させていただいたんですが、これまで運用コストの削減、これ約3割ですね、といった行政の効率化についてはある程度成果を上げることができてきたというふうに思います。平成33年度で1,118億円の削減、これは見込みですけれども、できる予定です。
 今後は、政府全体で横断的にAIやクラウド等の新技術を活用し生産性を向上させるとともに、セキュリティを確保しつつ、スケールメリットを活かした更なる効率化を進めていこうということになります。今までオンプレミスでやっていたものをクラウドに移行するというのは一気になかなかできるものではありませんが、最終形はあくまでもクラウドを想定した上で、いろいろな手順を踏んでいきたいというふうに思います。したがいまして、調達手法の見直しも着手して、予算の要求から執行までを通した一元的なプロジェクト管理を強化して、迅速かつ最適な形でプロジェクトを進めていきたいというふうに考えております。
 現在、鋭意作業に入っているんですが、これによって戦略的な調達ができるように、また新しいイノベーティブな調達ができるように、そのコストも下げられるように、そして変化、制度変更に強いシステムに変えていきたい。そのための人材の確保や各政府内の人材の教育も含めて、発注側の能力も高めなければできることではありませんので、大変ですが進めていきたいというふうに思っていて、今度の「新たなIT政策大綱」の中に、春になりますかね、具体的な方向性を示したいというふうに思います。
 この話は本当に大きな話で、今まで全くやっていなかったことです。IT調達を一元化するというのは、アメリカなんかはそれ用の組織があるわけですが、こっちはありません。各省庁ばらばらでサイロになっているということが大きな問題だったと思いますが、まずそれを修正していく第一歩だと思っていて、これで政府は次の時代を見据えた調達能力というものをちゃんと持てるようにしたいと、これは非常に大きなことだというふうに思っております。
(問)関連して、自治体のシステムについては更に後れているかと思うんですけれども、この自治体のシステムをどういうふうにしていくのかについては大臣、どうお考えですか。
(答)これ、自治体だけじゃなくて、実は民間企業のレガシー問題というのがあるんです。経産省さんがいろんなペーパーをお出しになっていますが、「2025年の崖」と言われるペーパーです。これはいろんなところでも引用されていますが、要するに今のシステムのままだと、およそやっぱり次世代のシステムを持っている企業や国にはかなわないと。ですから、コストは掛かりますけれども、思い切ってレガシーからの脱却を促していかなきゃいかんというふうに思っています。
 自治体においても、まずは人口減少過程において行政の効率化は、これは喫緊の課題です。そうなってくると、やっぱり今までの自治体クラウドというものもなかなか進まなかったです。しかし、民間や自治体がそういうものを進める大前提として、国が自らシステムの方向性を自らの調達で変えるということがないと、自分がやらずして、やれやれというわけにはいかないと思っています。その意味で、4月の大綱の中で最終的に自治体や民間の取組というものを促す方向に取りまとめたいと思っています。
(問)一閣僚としてお伺いしたいんですけども、今日の閣議でいわゆる毎月勤労統計の問題に関連して、来年度予算の修正案が閣議決定されたと思いますけど、この問題に端を発して、こういう異例の予算をまた修正するという事態に至ったことに関する受止めをまずお願いします。
(答)政府の一員としては大変遺憾であると考えています。統計の信頼性を損なうだけではなくて、国民生活にも影響が及ぶということで、今回の予算の修正は国民の皆さんの生活に不利益がないようにという意味では迅速に対応しなければならないと思いますが、通常国会が差し迫っている中で、より一層の緊張感を持って対応するしかないなというふうに思います。
 私の所管には統計が残念ながらありませんので、私自身がチェックをするという、今、立場ではありませんが、それぞれの担当閣僚が今、そういうふうに取りかかるものだと想像しております。
(問)冒頭で触れられたイプシロンの関係で、談話の先取りになってしまうのかもしれませんが、今回は打ち上げられたものの中に例えば人工流れ星をつくるというものもありまして、今までと違った宇宙利用の展開も見えてくるかと思うんですけれども、そういったすそ野の広がりとかに期待する面とかがあれば、是非お聞かせください。
(答)今回、公募によって選定された七つの部品や機器の実証テーマを搭載する小型実証衛星1号機「RAPIS-1」と6機の超小型衛星及びキューブサットが一緒に打ち上がっているわけですよね。なんで、これおかしなことになると全部駄目になっちゃうので、まずはうまくいってほしいと。もうあと1時間やそこらで分かると思うんです。そうなると、うまくいってほしいなということと、今回のような革新的衛星技術実証というのが、これからどんどん進むんだと思います。そういう中で、流れ星の話はこれ、イベントですから非常に異例だと思うんですけど、夢があるし、そういうことが人間の手でできるんだということ、これがやっぱり一般の方々を宇宙というものに更に関心を持ってもらうだけではなくて、近づけるのでないかというふうに思うし、これからもっと斬新なアイデアが出てくるだろうというふうに思います。
(問)宇宙に関連して、今回イプシロン4号機、この5年間で4機しか打ち上げていないわけですよ。今後はベンチャーとかどんどんアイデアが出てきたとしても、このペースだとなかなか日本で技術実証するよりもアメリカに行った方が早いなとかなっちゃうかと思うんですけども、今後の打ち上げの間隔というか、イプシロンをどうするのかについて大臣はどのようにお考えですか。
(答)これは、そういう要望が今後どのぐらい出てくるかということにもよると思うんですよね。しかし、少なくとも2年に1回以上は上げたいと、そういうふうに思うし、その間にまたいろいろなアイデアも出てくると思うし、各国いろんな形で相乗りみたいなことで取り組んでいますよね。日本も海外のものも受け入れるし、また日本もお願いをするみたいなこともあるし、そういう意味ではこれからどんどんコストダウンを図っていけばもっといけると思うんですが、それと同時に、軌道を。もうデブリがやっぱり多くなっているので、そこら辺りのことも日本が先導して取り組まなければならないというふうに思っています。

(以上)