平井内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成30年11月13日

(平成30年11月13日(火) 9:16~9:30  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 私の方からは二つ。まず、週末に福岡、北九州市に出張してまいりました。科学技術政策、クールジャパン戦略担当の大臣の出張ということです。
 午前中は、「Fukuoka Growth Next」においてスタートアップ3社を訪問して、地域のベンチャー経営者、ベンチャーキャピタル、大学関係者、学生、支援関係者等に参加いただきまして、「HIRAI Pitch in 福岡」を開催しました。
 福岡のこのGrowth Nextというのは、とてもいいですね。古い小学校の校舎を改修したそのスペースは、スタートアップ企業が入るにはとてもすばらしい環境だと思います。チャレンジする人を後押しする環境整備という意味では、今一番進んでいるのではないかと思います。
 一方で、地域の個性を活かす仕組みの必要性とか、資金調達の方法、企業の知的財産の問題、これがいろいろあるということについて議論もさせていただきました。ちょっと時間も足りない、オーバーしたんですけど、足りないぐらいでございまして、機会がありましたら何社かまたこちらの方に来ていただいて、もっと詳しく話を聞きたいなというふうに思っています。
 午後からは北九州市の方に移動しまして、「クールジャパン推進会議in福岡」を開催しました。福岡の魅力を多言語で発信している方やコンテンツ、食の海外展開に知見を持つ方は、いかにして地域資源を世界の方々の心に響くように発信・展開していくべきか、新たなアイデア等々をお聞きすることができました。
 また、当日、カナダ出身で福岡において活躍中のニック・サーズさんをクールジャパン・アンバサダーに任命しました。
 特にこの北九州市というのは、人が集まりやすい環境があるなというふうに思っていましたし、人も海外にどんどん出ていくという気概があるなと思いました。お茶屋さんであるとかラーメン屋さんとか、そういう意味では、地方から世界を見据えている方々もたくさんいるということに意を強くしました。
 もう一つは科学技術政策担当大臣として、本年度からスタートしたSIPの一つであります自動運転のプロジェクトにおける重要な取組になる実証実験の実施について御報告します。
 具体的には、産学官が結集して、国際的にも先駆的な取組である信号や道路上の車両検知器等を組み合わせたインフラ協調型の自動運転の実証実験を東京臨海部において、国内外からの自動車メーカーの参加を募り、来年秋から実施いたします。公募は1月からする予定でございます。
 今日から3日間、東京お台場で開催する5回目の国際ワークショップにおいて、海外の自動車メーカー等にも実証実験への参加を呼びかけることとしております。SIPの自動運転、これはこれからまた海外の方々にも評価をしていただき、参加していただきたいというふうに考えております。
 私の方からは以上です。

2.質疑応答

(問)HIRAI Pitchの件で、数を重ねて、いろいろとこれからの政策にどう落とし込むかということに思いをはせていると思うんですけど、明日お昼に今までとはちょっと違って、ものづくりというか素材の開発という形で、まだ大臣ところに入っていないか。
(答)ごめんなさい。
(問)ケミストの方にお会いすることになっていますね。名古屋大の伊丹先生なんですけども、化学合成でとても有名な先生で、日本の素材開発力をリードしている先生であり、国際的にもいろいろとネットワークを張られている先生なんですけれども、今までAIとかITのところとは違って、今度はフィジカルな素材、材料というところのオピニオンの方とお話をすることになると思うんですけども、期待感というか、どのようなお話を聞きたいかというのをすみません、即興で申し訳ないんですけども。
(答)すみません。その素材研究ということだと思うんですが、多分、お聞きしないと分かりませんが、ディープラーニング系のものは、その素材研究の中で物すごく役に立つというふうに思います。また、うまくいけばですよ、量子コンピューターも恐らくそういうものを後押しするようになるというふうに思うので、特に日本が得意の分野で強みを今後どういうふうに活かしていくのか、更に研究開発をどう進めるのか、どういう環境だと更に研究が進めやすいのか等について意見交換をしたいと思います。
(事務方)まだプレス発表していない話ですので。
(問)しているのでということで、あえて。
(答)すみません。あれ、明日の前に今日もあるんじゃないの。
(事務方)今日もあります。
(問)そうです。今日はAIです。
(答)今日はAIね。今、どなたのお話を聞いても全部つながるんですね。そういう意味では、Pitch、いろいろ幅を広げてやっても結局役に立つというか、トータルで要するに日本の国際競争力や技術開発力を上げるためにどうしたらいいかという全体の戦略をつくる上では、非常に重要だと思っています。
(問)今日この発表されたSIPの話なんですけど、すみません、私がちゃんと聞いていなかっただけだと思うんですが、これいわゆる完全自動運転でやられるものなんですか。
(答)完全自動運転というものは、何をもって。
(問)運転手の方は当然座っていると思うんですけど。
(答)これレベル4だったっけ。
(問)レベル4と言われる。
(答)3、4だな。
(事務方)まだ完全にまでは少し。
(問)手前。
(事務方)と思いますけども、今回の特徴はインフラ協調型の自動運転です。
(答)だから、これ臨海副都心の一般道、羽田空港地域の一般道、首都高速、それと羽田空港と臨海副都心を結ぶこのエリアでの実証実験なので、ある意味では、非常にこれを国際的なオープンの実証実験にするというのは、非常に実装に近い実証実験になるなと私は期待しています。
(問)大臣が先程、外国の自動車メーカーにも参加を募るというふうにおっしゃっていますけども、個人的には、それはすごくいいことではないかなと思うんですけども、改めて何と言うんでしょうか、どうしても何か日本人的な感覚で言うと、日本の自動車メーカーが参加するものかなというふうに思いがちなんですけど。
(答)いやいや、当然日本のメーカーもそうなんですけど、我々がやっぱり戦略として持たなきゃいけないのは、やっぱり自動運転に係るいろいろな技術、例えば地図等々についても標準化、国際標準化を目指していくという視点が絶対に必要だと思います。そういう意味で海外に開いて、そういう方向を目指すということになると考えます。
(問)先週土曜の読売新聞の朝刊で私もライターになったんですが、米中の科学技術の攻防を特集しました。これ記事を御覧になっていただければ分かるんですが、論文数だけでなく、大学のランキング、それから、海外への留学生の数でも日本は相当下に位置していて、また、大臣が度々言及されるAIやこの量子科学の技術でも米中が互いを意識したような政策を国レベルで進めていて、ある種、この特集から日本が置いてきぼりのような状態にあるというようなことが分かりました。こういう現状で国際的に日本が存在感を示していくために、どのような政策を進める必要があるというふうにお考えでしょうか。
(答)確かにAIとか量子科学技術分野では破壊的なイノベーションが急速に進展しているので、その中で日本のプレゼンスがどうかということだと思います。注目度の高い論文数とか、日本の順位が低下しているということで、我が国の科学技術力の低下が危惧されているというのはもう承知しています。
 従来の延長線上ではなかなか勝てないので、今年6月に「統合イノベーション戦略」を閣議決定して、Society5.0の実現に向けて、AIの活用、大学改革、ムーンショット型研究開発などの重要項目を掲げて、今、科学技術・イノベーション政策に係る横断的かつ実質的な調整・推進機能を果たすため、7月に閣僚級の「統合イノベーション戦略推進会議」を設置しています。
 この推進会議では、新たなAI戦略の策定、そして、大学改革としてはガバナンス強化、人事給与マネジメント改革、民間資金獲得のためのインセンティブ付与、また、これまでの延長線上にない野心的な構想を掲げた挑戦的な研究開発を後押しする「ムーンショット型研究開発制度」の創設などを盛り込んでいるんですが、私は、そのAIとか量子コンピューターの分野は余り悲観していないんですね。
 というのも、特にアメリカや中国というのは、それぞれの国のやっぱり安全保障関連の予算というものが非常に大きい。ちょっと日本とは目的が違う部分もあって、我々はSociety5.0と言っている以上は、要するに社会に実装することを前提としていろんなものを考えているわけです。そういう意味では、AIの倫理とか、人間中心であるとか、個人情報の保護をきっちりやるとか、セキュリティーレベルをちゃんと確実なものにするということも考えて、例えば農業とか物流とかヘルスケアの分野から、社会に実装するという面で我々は恐らくトップランナーになれるのではないかというふうに思っています。
 そのAIも要するにどんなデータをそのAIの中に入れていくかによって、やっぱりこの目的がきっちりしているものがあると思うんですね。我々はそういう意味で、安全・安心な社会をつくっていくということを最優先、人間中心を最優先にと、このような議論を要するに国際会議の場でも日本がリードすべきだというふうに考えています。
 ですから、AIの分野は単にその研究開発費や技術だけではなくて、基本的な考え方というものが今まだ完全にまとまっているわけではないので、その分野は我々先行してやっていきたいと思っています。
(問)その正におっしゃった例えばAIのいわゆる国際的なルールづくりという意味で、例えば欧州とは一つ倫理をちゃんとつくるということで協調できるかなと思うんですけども、例えばそれこそ米国や中国とか、いわゆる足並みをそろえないと、逆に何か自分たちが規制している方が不利になるような、そういうふうな見方もできると思うんですが。
(答)だから、それはG20を目指して、どれだけ仲間をつくっていけるかということではないかと思います。
(問)それは大臣が主導されて。
(答)といいますか、政府が主導するということだと思います。

(以上)