茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年9月14日

(平成30年9月14日(金) 9:44~9:54  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  それではまず私の方から、月例経済報告等に関する関係閣僚会議の概要について御報告をいたします。
 景気の現状についての総括判断は、「緩やかに回復している」として先月から据え置いております。先行きについては、雇用・所得環境の改善が続く中で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、通商問題の動向が世界経済に与える影響や、海外経済の不確実性、金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。また、相次いでいる自然災害の経済に与える影響に十分留意する必要があると考えております。
政策の基本的態度については、相次ぐ自然災害の被災者への生活支援、被災地の復旧・復興を全力で進めることを追記をいたしております。
 次に、今月のポイントとして、私の方から2点説明をいたしました。
 1点目は、既に発表しておりますが、GDPの2次速報値についてであります。4-6月期の実質成長率は設備投資の上方改定などから、前期比プラス0.7%、年率換算にしますとプラス3.0%と2年3か月ぶりの高い成長となりました。前期の一時的なマイナスから再びプラス成長に戻り、個人消費や設備投資といった民間需要が主導する成長になっております。名目GDPは553兆円と過去最高を更新しております。
 2点目は、米中の通商問題と日本経済への影響についてであります。お手元の図で言いますと4ページ目になります。米中間では7月から追加関税、対抗措置がとられておりますが、この影響もあって、左下になりますが、中国製造業の輸出入に関する業況判断が慎重になってきております。また、右側にありますように、日本・中国・アメリカの貿易構造を見ますと、中国からアメリカへのモノの輸出の5割をスマホやコンピューター等が占めていますが、その部品となる集積回路であったり、生産用機械等が日本から中国に輸出されております。こういった日本・中国・アメリカの貿易構造を踏まえて、グローバルなサプライチェーンを通じた影響であったり、中国のマクロ経済動向が日本経済に与える影響に留意する必要があると考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)月例経済報告の関係でお伺いしたいんですけれども、月例経済報告で触れられました自然災害が及ぼす経済への影響で特に懸念されている点を教えていただけますでしょうか。
(答)はい。この夏、7月の西日本の豪雨、そして先週の台風21号であったり、北海道胆振東部地震など自然災害が相次いでおります。
 まず、被災地では今なお多くの被災者の皆さんが慣れない避難所生活を送られておりまして、政府としては、本年度予算の予備費も使用して、被災者の生活支援、そして被災地の復旧・復興に全力で取り組んでいるところであります。
 また経済への影響という観点からも、重要な電力を始めとするライフラインの一日も早い復旧に向けた取組を進めると共に、インバウンド需要とも関連をいたします観光業の風評被害対策、さらには農林水産業、中小企業・小規模事業者の支援策について、被災地のニーズを踏まえ、早急に対応策の検討を進めたいと思っております。
 景気の先行きへの影響についても、企業の生産活動や消費マインドに与える影響など引き続き注視をしていきたいと考えております。
 例えば関西国際空港は、台風で被害を受けているわけでありますが、この関西国際空港は日本の電子部品等の輸出拠点となっているだけではなくて、訪日外国人観光客の4人に1人が利用する空港でありまして、経済的な影響を注視する必要があります。
 また北海道、これは観光地としても有名でありまして、こういった観光地において予約客のキャンセルが発生しているところでありまして、こういったことも踏まえて今後の景気への影響を十分注視をしていきたいと思っております。
(問)月例経済報告とはちょっと違う話になっちゃうんですが、内閣府の方でまとめている統計値で「雇用者報酬」があると思うんですけれども、この算定の前提になっている「毎月勤労統計」が今年に入って作成手法の変更で上振れているという状況が続いています。補正調整もされていないので、「雇用者報酬」も上振れているというふうに考えられるんですが、エコノミストからも、「雇用者報酬」が過大な推計値になっているというような指摘が上がっていますけれども、この事態についての大臣の御認識をお願いします。
(答)御指摘の厚労省の「毎月勤労統計」など政府の基幹的な統計の作成については、統計委員会における専門家の議論も経て対応していると認識をいたしております。
 詳しくは厚労省の方に聞いていただきたいと思いますが、統計の精度を向上させる観点から、今年1月に調査対象事業所の入替え等を行ったと承知をいたしております。
 いずれにせよ、統計の作成策定に当たっては、利用者の利便性を考えて、内容や計算方法について必要な説明を十分に行っていくことが重要だと思っております。
(問)「毎月勤労統計」の上振れについては厚生労働省の方も、これは公式にアナウンスしているんですが、0.8ポイント程度上振れているというような説明をしているんですが、「毎月勤労統計」を算出係数としている「雇用者報酬」も上振れているというふうに考えるのが自然じゃないかと思うんですけれども、大臣はその可能性についての認識がないということでよろしいんでしょうか。
(答)そう申し上げましたか?私が?
(問)上振れている可能性について。
(答)いやいや、そのように認識がないということでよろしいんですかとおっしゃっていますけど、そのように申し上げました?、今の。
(問)じゃあ改めてお尋ねしますが、上振れている可能性があるかないかということについてお尋ねできればと思います。
(答)内閣府が作成した「雇用者報酬」については、「1人当たり賃金×雇用者数」で算出をしておりますが、その「1人当たり賃金」の元データが厚労省の「毎月勤労統計」となっております。このため、厚労省の今後の対応を踏まえて、内閣府の経済社会総合研究所において、必要な対応の要否も含めて今後分析、検討を行うことになります。
(問)今後、その推計値を見直すかどうかという辺りについては、現時点では如何でしょうか。
(答)今後、分析、検討を行うと申し上げたとおりです。
(問)分かりました。厚労省の方に、今、「毎月勤労統計」の補正調整や手法の見直しなんかを求める考えはありますか。
(答)厚労省において適切にまず対応することが重要だと思っております。
(問)分かりました。ありがとうございました。
(問)FFR交渉についてお伺いします。今月の21日に行われる報道がありまして、その事実関係について大臣の御認識をお願いできますか。
(答)先月行われました第1回の協議におきまして、今月、第2回目の協議を行うことでライトハイザー通商代表と一致をいたしております。具体的な日程については調整中でありますが、今月下旬をめどに会合を行いたいと考えております。
 1回目の会合におきましては、日米双方の立場の相違を埋め、そして日米貿易を促進させるための方策を探求すること等については一致をいたしておりまして、今後もライトハイザー通商代表、またアメリカとの信頼関係に基づいて日米双方の利益となるように議論を進めていきたいと思っております。
 そんなに遠くない時点で確定した日程をお知らせできるのではないかと思います。

(以上)