茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年9月4日

(平成30年9月4日(火) 10:34~10:41  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

  特になし

2.質疑応答

(問)おはようございます。昨日発表されました法人企業統計で、2017年度の内部留保が6年連続で過去最高を更新しました。
 設備投資も過去最高を更新しましたが、一方で労働分配率が下落するなど、稼いだお金が賃上げなどに十分振向けられていないのではないかという指摘も出ています。
 更なる経済の好循環のためには何が必要とお考えでしょうか。御所感をお願いいたします。
(答)昨日発表されました法人企業統計では、御指摘のように2017年度の企業収益が83兆円を超え、過去最高を更新して、それに伴って従業員への給与や設備投資額も堅調に増加をしております。
 ただし、企業収益が前年比10%を超えるペースで増加しているのに対して、従業員への給与や設備投資額は1桁の伸びにとどまっているのも事実でありまして、結果として企業の内部留保が、過去最大に膨らんでいるという状況であります。
 これは企業の経営者としても、ずっと内部留保で持っているということはないわけであります。このお金をどう使うかというと、基本は3つなんです。1つは株主に対する配当。そして2つ目に賃上げ、賃金として還元をする。3つ目が投資ということであります。2番目の賃金につきましては、労働生産性がどうかとか、それぞれの人材の能力に応じて、どこまでの賃上げが可能かということを考慮しなければならない。3番目の投資につきましては、国内への投資もありますが、ここのところ海外への投資というのも多いわけでありまして、このバランスをどうしていくかという問題も出てくるわけであります。いずれにしても、賃上げであったり、設備投資の動き、特に国内への設備投資をさらに力強く進めていく。このためには、1つは企業が最先端の技術、第4次産業革命の技術を積極的に活用しながら生産性を向上し、収益を一層上向かせて設備投資を行う、そしてまた賃上げを行う、こういう原資をしっかりと確保することが必要であります。
 そして、もう一つ、「人づくり革命」を通じて、個人がより高い能力、スキルを身につけ、それに見合った所得向上を実現していくということが必要でありまして、こういった取組によりまして、潜在成長率を引上げ、日本経済を新たな成長軌道に乗せていくことが重要であると考えております。
 間違いなくその需要は膨らんでいるわけです。その一方で、供給力を高めていくということになりますと、やっぱり企業としての筋力を高める、同時に人材としての筋力を高めることがどうしても日本経済に必要であり、こういった取組を今進めているところであります。
(問)経団連の中西会長がきのうの記者会見で、学生の就職活動解禁の時期に関する指針を廃止することに言及されました。企業の採用活動ですとか、学生の就職活動、また教育のあり方にも大きな影響が及ぶことも考えられますけれども、大臣の受け止めをお願いいたします。
(答)昨年、「人生100年時代構想会議」、これを立ち上げて1年間さまざまな議論を行ってきましたが、これまで人生が70年、80年という時代から考えると、今後人生100年時代を迎えるとなりますと、これまでの労働慣行であったりとか、社会保障制度のあり方、これも人生70年を前提としたものとから、人生100年を前提としたものに、大きく変化をさせていかなければならない。
 そういった意味で、労働関係のさまざまな法令であったりとか、慣行の見直しも必要になってきますし、同時に社会保障制度のあり方、これも当然健康寿命を延伸しつつ、新しい時代のあり方に合ったものにしていかなければいけないと思っております。労働の問題でいいますと、これまでの新卒一括採用、終身雇用といった日本の労働慣行について、人生が再設計できる、幾つになっても、どんな立場にあっても、何度でもその新たな人生を設計できると、こういう時代に持っていく必要があるんだと思っております。
 そういった中で、御指摘の点につきましてお話を申し上げると、通年採用への動きなどで、従来の雇用環境の見直しを求めようとする企業側がある一方、学生側にとって、学業と就活と余り重ならないことは重要でありまして、日程を含めたルールの定着を求める学生、そして大学の考え方など、総合的な検討が必要になる課題であると思っております。
 いずれにしても、やはり学生の立場というのをしっかり考えなくてはいけないと思っておりまして、企業側、大学側などの関係者が学生のことを十分考えながら、しっかりとした議論をしていくことが重要であると考えております。
(問)FFRのことでお伺いします。
 アメリカがNAFTAの再交渉でメキシコと予備的合意をしたものの、カナダとの交渉は9月末が大詰めとなることが見込まれています。同じ時期の協議となるFFRへの影響をどのようにお考えでしょうか。
(答)政府として第三国間の通商交渉について、コメントする立場にありませんが、米国、メキシコ、そしてカナダには、自動車メーカー等多くの日本企業が進出をし、NAFTAも活用した企業活動を行っていることから、その経過について引き続き注視をしてまいりたいと考えております。

(以上)