茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年1月19日

(平成30年1月19日(金) 18:18~18:27  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 それでは、「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要、御報告をいたします。
 景気の現状についての総括判断は、「緩やかに回復している」として、先月までの「緩やかな回復基調が続いている」との判断から、7か月ぶりに上方修正をいたしました。
 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 政策の基本的態度については、「平成30年度予算政府案」及び「平成29年度補正予算政府案」を閣議決定したことを今回、記載をいたしました。
 次に、今月のポイントとして、今回、景気の総括判断を上方修正した背景にある景気回復の進展、そして、各地域で進む景況感の改善の2点を私から申し上げたところであります。
 1点目、景気回復の進展についてでありますが、雇用情勢の着実な改善を背景として、個人消費が持ち直しております。先月、上方修正した企業部門のみならず、家計部門でも改善の動きが広がっており、景気は「緩やかに回復している」と判断をされます。
 2点目、景気回復は各地域で進んでおります。地域の景況感を日銀短観でみてみますと、全ての地域で「良い」が「悪い」を上回っております。また、2000年代半ばの景気回復期と比べて、地域によるばらつきも小さくなっております。
 雇用についても、各地域ともに少子高齢化を背景に生産年齢人口が減少しているのにもかかわらず、就業者数は全ての地域で増加をいたしております。
 以上、私の方から概要の報告です。

2.質疑応答

(問)御説明があったポイントの中の各地域で進む景況感の改善というところなんですが、2000年代半ばに比べても地域によるばらつきが小さくなっているこの背景、政策的などういうところが奏功したかということの解説を頂けますでしょうか。
(答)大きく2点あると、そのように思っておりますが、2000年代の回復期、これは自動車等の製造業における輸出や生産の回復が比較的強く、その恩恵を受ける地域とそうでない地域にばらつきがあったのに対して、今回は幅広い産業で回復がみられると。これが景況感のばらつきが小さくなっている要因の一つであります。
 もう一つは、安倍政権になって、成長戦略の一環として取り組んできたインバウンド政策の効果、外国人観光客も2,800万人、4兆円の国内消費と、こういう状況でありまして、地域の観光関連産業に改善がみられること、こういったことが挙げられると思っております。今後とも景気回復の実感、これが地域の隅々まで行き届くように政策をしっかりと進めてまいりたいと、こう考えております。
(問)今回、家計部門でも改善の動きということですけれども、ただ、そうは言っても、企業部門に比べたら、まだ一歩足りないのかなというふうに思っておりますが、特に個人消費についての大臣の御認識を伺えればと思います。
(答)個人消費については、雇用・所得環境の改善が続く中で、天候不順など、一時的な下押し要因、この影響が剥落をしまして、持ち直しがしっかりしたものになったとみられることから、上方修正をしたところであります。
 家計の実感について、消費者マインドを示す消費者態度指数をみても、雇用・所得環境の改善等を背景に持ち直しております。
 確かに実感がないということはよく聞くところでありますが、こうした景気回復の実感、それがより確かなものになるように、賃上げの流れ、これを更に力強く持続的なものにしていくことが極めて重要だと考えておりまして、このため、今後3年間を「生産性革命・集中投資期間」と位置付けて、過去最高の企業収益、これを更なる賃上げや投資につなげていきたいと、こんなふうに考えております。
(問)トランプ大統領就任1年についてお伺いします。トランプ大統領、TPP離脱など、米国第一主義を貫く一方、米国経済の景気拡大や株高は日本にも波及しており、大型減税には日本の経済界にも期待が広がっております。
 これらを踏まえ、就任1年に対する受止めと、今後の日本経済に与える影響の見通しについて、大臣の見解をお願いいたします。
(答)明日で就任1年ということになるんだと思います。ちょうど、去年の今日は私もワシントンの方に行っておりましたけれども、アメリカ経済、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の増加等に支えられて、景気は着実な回復が続いておりまして、今後も回復が続くと、このようにみているところであります。
 また、今月から実施をされました税制改革や好調な企業業績、これらを背景に、アメリカの株価、17日時点で、終値で過去最高値、これを更新しているところであります。
 アメリカの実体経済、更には政策運営の動向と、これは貿易、投資関係や金融資本市場を通じて、世界経済にも影響を及ぼすものでありまして、引き続き、注視をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。基本的には好調だと思います。
(問)先程の質問とちょっとかぶる部分もあるのですけれども、消費の部分ですけれども、今、一時的要因の剥落ということもおっしゃいましたけれども、消費の実力と言いますか、自力というか、体力というか、その辺りについてはどの程度まで戻ってきているというふうにみていらっしゃるでしょうか。
(答)先程は、天候不順などの一時的な下押し要因の影響が剥落したというプラスの意味で申し上げましたが、いずれにしても、こういった個人消費の持ち直しが続くことを期待しているわけでありまして、単に期待ではいけませんから、それが確実なものになるように、しっかりした政策での後押しもしていきたいということから、今後3年間を「生産性革命・集中投資期間」として、大胆な税制、恐らくこれまでになかったと思います。法人税の負担を25%を20%に下げる。さらには、固定資産税3年間ゼロにする、こういった政策もとらさせてもらいましたし、予算、さらには規制改革等々、政策手段、総動員をすることによって、先程も申し上げたように、過去最高になっている75兆円の企業収益、これを更なる賃上げ、そして、投資につなげていく。これによって、個人消費の改善、それも持続的で、更に力強いものになっていくと、こんなふうに思っております。

(以上)