茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成30年1月19日

(平成30年1月19日(金) 10:17~10:34  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私の方から冒頭2点発言をさせていただきます。
 まず1点目は、幼児教育の無償化の関連でありますが、昨年12月に閣議決定いたしました「新しい経済政策パッケージ」において、幼稚園、保育所、認定こども園以外の無償化措置の対象範囲、対象者等について検討の場を設けることにいたしておりました。これを踏まえて、新たに有識者による検討会を設置することとし、第1回目の会議を来週23日火曜日に開催することといたしました。
 検討会の座長は増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授にお願いをし、また委員として林文子横浜市長、樋口美雄慶應義塾大学商学部教授、無藤隆白梅学園大学大学院こども学研究科特任教授に委員をお願いすることいたしました。
 検討に際しては、現場や関係者の声を丁寧に聞いていただいて、夏に予定しております人生100年時代構想会議の基本構想の取りまとめまでに結論を出していただきたいと考えております。また、来週はその旨、委員の皆さんにも改めて私の方からもお願いをする予定であります。
 もう一点、TPPの関連でありますが、次回のTPP11か国の首席交渉官会合につきまして、来週1月22日月曜から23日火曜日に開催することを正式に決定をいたしました。場所は東京・新宿のヒルトン東京でありまして、梅本首席交渉官に議長の役割を担ってもらうことになります。
 我が国で再度開催される首席交渉官会合で、相当大詰めのところまで来ております。TPP11の早期署名、発効に向けた議論が進展をするということを期待をいたしております。

2.質疑応答

(問)無償化範囲の検討会の方ですけれども、増田座長を初め人選の狙いというのを改めて教えていただけますでしょうか。
(答)この委員の方々に多方面からのヒアリングをしていただきたい。実際にそれぞれの施設を使っている方であったり、その事業を運営している方であったり、また自治体の担当者であったり、幅広くヒアリングを行っていただきたいと思っておりますが、そのヒアリング等を行う委員については、中立的かつ専門的な立場で御議論いただけると、こういった観点から、少人数の専門家・有識者による委員の構成といたしました。
 そこの中で、座長の増田寛也教授、皆さん御案内のとおりだと思いますが、岩手県知事などの御経験もありまして、また、様々な審議会等々でも取りまとめの役割を担っていただいておりまして、取りまとめ役の座長として適任と判断をいたしました。
 また、林文子横浜市長につきましては、保育の実施主体である自治体の長であり実務に精通をされております。また横浜市、御案内のとおり保育については様々な先端的な取組をしておりまして、平成25年4月には待機児童ゼロを達成するなど市長として熱心に取り組まれている方であります。
 そして樋口美雄教授につきましては、経済学者でありワーク・ライフ・バランス分野など多方面に詳しく、人生100年時代構想会議の委員も務められていると、こういうお立場でもあります。
 そして無藤隆氏につきましては、発達心理学や幼児教育、保育のエキスパートとして長年にわたり第一線で活躍されておりまして、内閣府の子ども・子育て会議の座長も務められている方でありまして、このように、いずれも非常に見識の高い方でありまして、充実した議論を行い、しっかり取りまとめを行っていただきたいと考えているところであります。
(問)TPPのことでお伺いします。今回の首席交渉官会合の目標をどういうところに設定されていますでしょうか。また、NAFTAの関係もあってカナダがなかなか交渉に後ろ向きな部分もあるとの報道もありますけれども、そういったカナダを含めてどのように議長国として議論をまとめていくのかという意気込みを改めて教えてください。
(答)冒頭申し上げたように、このTPPの交渉は大詰めを迎えている。早期署名、早期発効に向けて、一つは条文、このリーガルスクラブも相当進んでおります。さらには、そろそろ、いつ署名するのかと、こういったことも視野に入る時期と、こんなことも考えながら、いい成果が上がるような会議になればと思っております。
 個別の国々、非常にこのモメンタムを生かして早期発効をしようということで共通をしていると、このように考えておりますが、カナダにつきましては、文化例外も含めて現実的な対応と、こういったものを期待をいたしております。
(問)昨日、中国のGDPが発表されまして、6.9%という伸びが発表されたわけですけども、日本からの輸出も多いと思うのですが、今後の動向の日本経済に対する影響、リスクなどどのように捉えればいいかお考えを伺えればと思います。
(答)中国の実質GDPの成長率、2016年の6.7%から、昨年は6.9%と高まっていると、このように承知をいたしております。
 中国経済は現在、インフラ投資などの各種の政策の効果もあって景気の持ち直しの動きが続いており、今後につきましても持ち直しの動きが続くと見ておりますが、不動産価格であったり過剰債務問題の動向によっては景気が下振れをするリスクがありまして、その点は留意する必要があると考えております。
 中国は様々な国と大きな貿易等も行っているわけでありまして、中国の実体経済の動向であったりとか政策運営、これは日本を含むアジア諸国・地域のみならず貿易・投資関係などを通じて世界経済にも影響を及ぼすことと考えられることから、引き続き中国経済の動向、そして政策等については注視をしてまいりたいと考えております。
(問)幼児教育無償化の検討会ということで重ねてお伺いいたします。
 ヒアリングの対象、先程、現場の方々、施設の方々、運営する方々などというお話があったと思うのですけれども、いわゆるお母さんお父さん、保護者の方々というのはお話を聞く機会、何か団体などから聞くお考えはあるかというのが1点と、保育の必要性、公平性の観点から結論を出すということですけれども、大臣としてそこの部分をもう少しかみ砕いてお考えがありましたらよろしくお願いいたします。
(答)先程申し上げたように、幅広く丁寧にヒアリングを行うという中に、サービスを提供している事業者や自治体だけではなくて、サービスの利用者からもお話を聞くというお話をさせていただきまして、実際、来週23日の第1回目につきましては、認可外保育施設の利用者、さらに、幼稚園の預かり保育の利用者などサービスの利用者を中心にヒアリングをしていただく予定でありまして、まず利用者の方からお話を聞くと、こういうことからスタートいたしたいと思っております。
 これから正に中立的な立場、そして専門的な立場で御議論いただくということですから、今日段階で私の方から余り予見を与えるようなコメントは避けたいと思います。
(問)中長期試算についてお伺いしたいのですけれども、名目や実質など経済再生ケースとかベースラインケースの成長率について現実的な数字に見直されるということだったのですけれども、成長率と連動すると言われている長期金利についても、こちらも同じくらいの下げ幅での見直しというのは検討をされているというような認識でよろしいでしょうか。
(答)そう考えていただいて結構です。中長期試算につきましては、1月で日程調整中の経済財政諮問会議においてお示しできるように、内閣府において今正に詰めの作業をしているところでありまして、今年は夏までにプライマリーバランス黒字化の達成時期と、その裏付けとなる計画を決定する年でありまして、今回の中長期試算は、この議論の土台となるものであります。
 昨年12月の経済財政諮問会議における民間議員からの御指摘も踏まえ、過去の実績であったり足元の経済トレンド、さらには、将来的な金利の見通しも含めてしっかりと精査をし、公表に向けた準備を進めていきたいと考えております。
 また改めて説明申し上げますが、どの変数を動かすかというのと、結果として何が動くのか、モデルを回した場合に、このマクロモデルの中で結果として動くものと、これがありますので、全部を動かすというよりも、これまでのトレンドであったりとか足元の経済を踏まえて、例えばTFP上昇率であったりとか動かすものは出てまいりますが、その結果として数字が変わってくるものもあるということであります。そこの中で金利については将来的な見通しも踏まえて見直しをしていきたいと思っております。
(問)今の質問に関連するのですけど、世界的に今景気が非常によくて、アメリカの経済見通しも上振れぎみという中で、長期金利ですね、最近、市場としては若干上昇傾向になりつつあるのかなということも見えるのですが、そこは中長期試算に何らかの影響はありますでしょうか。夏ぐらいになると、もしかしたらかなり米国、日本、上がっているかなという可能性もあると思うのですが、その辺は御意見をお願いいたします。
(答)世界経済、2015年以降若干の落ち込みというのがあって、それが日本経済のトレンドに影響を与えたと、このことは否めないと思っているところであります。一方、今後の世界経済、基本的には堅調に推移をしておると考えております。
 金利につきましては、それぞれの国の金融政策、既にエグジットに入っている、若しくは量的緩和につきまして、そのペースを緩めている、また量的緩和を今の段階にとどめている、また量的緩和を続けている、それぞれの国々によって時期が違いますので、各国の状況はよく見ていきたいと思いますが、日本の金利としてどうなるかということについては、先程申し上げたような観点から考えたいと思っております。
(問)この検討会について2点お伺いしたいのですけれども、一つは、3歳から5歳ですと、家庭教育といいますか、保育園も幼稚園も行っていらっしゃらない方も3歳で10%ぐらいで、4、5歳でも若干いるのですけれども、そういう方は改めて対象にならないということなのですかということ、あと、この内閣府には子ども・子育て会議で先行してこれに無償化の線引きといいますか、それに関連しても意見が出ているのですけれども、そこの会議との連携というか兼ね合いはどうなるのでしょうか。
(答)まず第1点目、幅広く様々な方からの意見を頂きたいと思っております。どういった方々を対象にするかも含めて、この検討会の皆さんに基本的にはお願いをしたいと思っておりますが、実際に例えば保育園に預けていらっしゃる方についても、そういった検討会でお招きをするような方はいろいろ自分の知り合いの中で違った環境の中で子育てをされている、こういう方の実態もよく御存じの方というのもいらっしゃると思います。いずれにしても、様々な立場にある方の御意見がしっかりと聞けるようにしていきたい、こんなふうに考えているところであります。
 また、内閣府の子ども・子育て会議、これとの関係でありますが、先程申し上げたように、メンバーの人選の中で樋口美雄教授につきましては、人生100年時代構想会議の委員でもある。一方、無藤隆氏につきましては、内閣府の子ども・子育て会議の座長も務められていらっしゃる。そういったことで、関連する会議との連携はしっかりとれると、このように考えております。
(問)幼児教育無償化のこの検討会は、公開で行われますでしょうか。
(答)基本的には、来週、私も出席させていただきますので、冒頭はマスコミの皆さんに入っていただく予定でありますが、お子さんの個々の事情であったり、家庭の個々の事情も含めて率直な御意見を頂きたいと思っておりまして、基本的には非公開でありますが、そのヒアリングの中で御提出を頂いた資料であったり、また、その議事要旨については公開をしていきたいと考えておるところであります。

(以上)