茂木内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成29年11月2日

(平成29年11月2日(木) 15:50~16:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私の方からまず、TPPの出張に関して、発言させていただきます。
 11月8日から10日に、ベトナムのダナンで開催されるTPP首脳閣僚会合に出席するため、来週月曜日、11月6日にベトナムに向けて出発をいたします。
 会合に先立ちまして、11月7日の午前にはハノイを訪問して、クアン国家主席と会談をする予定であります。閣僚会合の前には、6日から同じくベトナムのダナンでTPPの11か国の首席交渉官会合と、これが開催される予定であります。首席交渉官会合が6日から、そして閣僚会合が8日からということでありますが、この首席交渉官会合に梅本首席交渉官以下を派遣する予定であります。
 現地におきましては、私も閣僚全体会合だけでなく、各国大臣とのバイ会談も積極的に行いまして、TPPのハイスタンダードを維持しつつ、TPP首脳会議でいい報告ができるよう、全力で取り組んでいきたいと思っております。

2.質疑応答

(問)昨日、4次安倍内閣が発足しまして、改めて総理からの指示、どんなお話があったのか、また、どんなことに力を入れていきたいと思われますでしょうか。
(答)私に対する話ですか、それとも全体の話ですか。
(問)できれば、大臣に対する。
(答)私の場合、内閣の最優先課題であります経済の再生、そして少子高齢化に対応する目玉政策、「生産性革命」、さらには「人づくり革命」を担当するということで、しっかり取り組み、成果を出すことで国民の皆さんの期待に応えてほしいと、こういうお話がありました。
 それで、さっそく昨日の初閣議、全体の閣議でありますが、そこにおきまして、総理から新しい経済政策のパッケージ、これを取りまとめを行うよう、私に対して指示がありました。私を中心にみんなで取りまとめるということであります。
 少子高齢化という最大の壁に立ち向かって、「生産性革命」と「人づくり革命」を断行するため、新しい政策パッケージ、12月上旬にはしっかりと策定をしたいと、このように考えております。
(問)補正予算について、何か求める声も出ているのですけれども、現時点で大臣としてどのような内容のものが考えられるのか、あるいは進め方でありますとか、もし、お話しいただけることがあれば、お願いいたします。
(答)年末に向けて、災害対応を始めとします追加的な財政需要に対処するため、平成29年度の補正予算の編成の指示もあったところでありまして、具体的にはこれから議論していくと思いますが、大きく4点ぐらい想定をされると思っておりまして、その一つが「生産性革命」にも関連する分野でありまして、特に生産性の低い業種であったり、中堅・中小、さらには小規模事業者に対する集中的な支援、これを前倒しで行うための施策。
 そして二つ目に「人づくり革命」。様々な政策がありますが、そこの中で子育て安心プラン、32万人分の保育の受皿をつくっていく、これを前倒し実施するための措置。さらには、今年は九州でも大雨災害等々があったわけでありまして、防災・減災対策。そしてもう一つが、冒頭もTPPでも申し上げましたが、今月下旬に改訂を予定しております総合的なTPP等関連政策大綱に基づき、日・EU経済連携協定などに備えた農林水産業の強化策、こういった措置。
 大きくこの4点ぐらいが考えられるのではないかなと。また、検討の過程でほかの項目が入ってくる可能性というのはあると思っております。
(問)TPPのことでお伺いします。今回、閣僚会合の中では、凍結項目について、そのバイ会談の中で政治的な交渉がされていかれるかと思いまして、茂木大臣の責任もかなり重いものになると思いますけれども、改めて、その部分の凍結項目、どのように削減させていくのかというような意気込みをお願いいたします。
(答)これまで首席交渉官会合、4回にわたってやってきておりますが、御案内のとおり、そのうち3回については日本がホストをする。
 正に6月以降の議論、日本が主導して、ここまで各国の凍結の項目のリスト、これも出そろい、さらにはかなり絞り込みと、こういったことも進んでいるわけでありまして、残された項目、それぞれ各国にとって非常に今、関心の高い、また、懸念の強い項目でありまして、バイ会談であったりとか、閣僚会合を通じて、しっかりとハイスタンダードを維持しつつ、11か国が結束できるような解、そういったものを見出していきたいと、そのように思っております。日本が主導して、必ずまとめていくと、こういう意気込みで臨みたいと思っております。
(問)今、補正予算の関係ですけれども、これ、あえて「生産性革命」だとか、人づくり、前倒しでやっていくその狙いというか経済の効果、その辺はどういうふうにお考えになりますでしょうか。
(答)「生産性革命」につきましては、2020年までの3年間、これを生産性革命集中投資期間として、大胆な税制、予算、規制改革、あらゆる政策を総動員して、過去最大の企業収益、これを賃上げや投資に向かわせる、そのための環境整備等々も進めていかなければなりませんが、まずできるところから前倒しで進めていく、こういう今、方針でありまして、そこの中である程度、中小企業等々につきましては、業種にもよりますけれども、恐らく旅館であったり、サービス業であったり、IT化等々で生産性がかなり向上する、こういう期待が持てる業種等もあるわけでありまして、そういったところには前倒しで手を打っていきたい、こんなふうに思っております。
 3年間の中である程度のことを、この「生産性革命」についてもやっていくわけでありますし、また、スパンとしては大体同じぐらいのスパンで、「人づくり革命」、これも進めていく。もちろん人づくり革命の場合は教育の無償化等、恒久的な措置、こういうのが出てくるわけでありますけれども、そこまでには完全実施ができるような形をとっていくということでありますが、保育の受皿につきましては、32万人分、これをできるだけ前倒しをしたいということで、補正に盛り込める項目については盛り込ませていただく、こういう考えです。
(問)大臣、ちょうどTPPに行かれている時期でありますけれども、来週、アメリカのトランプ大統領が訪日されますが、日米首脳会談に期待されること、あるいは成果として求めたいこと、大臣のお立場からありましたら教えてください。
(答)5日からトランプ大統領が訪日をされるということでありまして、先月16日の日米経済対話では、麻生副総理とペンス副大統領との間で日米の結束を中核として、国際的な課題の解決に今、取り組んでいくとの基本方針のもとで、貿易投資のルールであったりとか、インフラ投資、エネルギー協力など、幅広い分野の議論が行われたわけであります。
 今回の日米首脳会談におきましても、安倍総理とトランプ大統領の強い信頼関係の上に、まずはやはり安全保障の問題、日米同盟が強固である、こういったことを対外的にも明確に示す。北朝鮮に対する毅然とした対応、これを確認し、さらにそのAPECの場では、それを国際的に広めていくということもやっていきますし、21世紀の中で日米というそれぞれの経済大国がどういった形で協力をしながら、お互いがwin-winの関係をつくる。同時に、二国間にとどまらない様々な協力を進める。こういったことについて、建設的な議論、これが進んでいくことを期待しています。
(問)最近の物価動向についてお伺いさせていただきます。
 日銀が10月31日の展望レポートで、17年度の物価見通しを従来の1.1%から0.8%、18年度の見通しを1.5から1.4%に下げまして、2%を掲げる物価目標の実現というのは、見通せていない状況です。日本経済は景気回復は長期化していますが、出口戦略に向かう姿勢が明確になりつつある米欧と違って、大規模金融緩和の持続方針が中央銀行によって掲げられております。今後、デフレ脱却を確かにするために、財政出動の後押しを要請する意見も聞かれますけれども、ここ最近の物価の状況に関する大臣の御所見をお伺いできますでしょうか。
(答)現在、賃金についても中小企業を含めて2%程度の高い賃上げ、4年連続で実現をしております。そして、来年はさらに高い賃上げ、これも要請をしているところでありまして、デフレ脱却に向けた改善、これは続いていると考えております。
 一方で、日本経済の課題、何度も申し上げておりますが、潜在成長率、これは徐々に高まっているものの、依然として1%程度ということでありまして、最大の課題はサプライサイドの改革による潜在成長率の引上げであると、このように考えております。
 ですから、「生産性革命」、この集中投資期間の3年間で大胆な税制、予算、規制改革と、あらゆる政策手段、総動員をして、生産性を大きく押し上げることで、賃上げの勢い、これもさらに力強いものとして、デフレの脱却を目指していきたい、こんなふうに考えているところでありまして、もちろん、足もとで生じている追加的な財政需要には補正予算等によって、適切に対応してまいりたいと考えておりますが、需要拡大による景気の浮揚、これがデフレ脱却の目標達成に向けた中心課題ではない。そのように考えております。
(問)TPPに話が戻ります。先ほど大臣の方から日本が主導して、必ずまとめるという、そういう意気込みだという、力強いお言葉がありました。国民もそのTPPの合意というものが現実味を帯びる中で、だんだん関心を高めているのだと思います。ただ、今回、交渉自体が少しテクニカルな項目がどうしても多いこともあって、そもそもTPPが合意された場合に、国民生活にどんなメリットがあるんだろうというのが少し見えにくくなっている部分もあります。
 もし合意して、発効ができた場合に、国民の暮らし、あるいは企業の事業活動にとって、どういうメリットがあるのかというのを少し、一言いただけますでしょうか。
(答)なかなかこれを説明し始めますと、すごく時間がかかるわけでありますけれども、例えばこれまで、東南アジア等々に進出をするのが難しかった中小企業にとっても、そういった進出の機会、こういったものは大いに増えてくるのだと思っております。例えば、チェーンストアが外国で出店規制がある。こういったものが大幅に緩和される。さらには情報、こういったことについてもボーダーレスな社会が訪れる、こういった問題も出てくるのではないかな。もちろん物の取引だけにかかわらず、これは人の移動であったりとか、情報の流通、様々な面で、メリットをもたらすものだと、このように今、考えております。
 正に今、時代がグローバル化する。そして、アジアというのが成長センターである。そこの成長センターの成長を日本として取り込む、こういう極めて大きなメリットがあると、このように思っております。
(問)「人づくり革命」に関してお伺いさせてください。先般、安倍首相が財源として、企業に3,000億円の拠出を要請されましたけれども、これを巡って、自民党の小泉筆頭副幹事長が、党としては聞いていないということで、このままであれば、自民党は必要ないのではないかということまで述べられておりますが、こうした発言の妥当性について、大臣、どのようにお考えになっているかということと、あと、今後政府として、与党側とどういうふうに議論を進めていくべきか、あるべき姿を含めてお伺いできればと思います。
(答)もともとこの人生100年時代の構想、これは政府というよりも、自民党において、私が政調会長時代の「人生100年時代制度設計特命委員会」で、私が特命委員長、小泉さんは事務局長でありましたが、そこで全世代型の社会保障の実現について、議論して、中間報告まで取りまとめたものであります。それを受けて、政府においても人づくり革命、この議論が進んでいると、そのように理解いたしております。
 そして、この人生100年時代の党での議論を振り返ってみますと、一番大切なポイントは何かということで言いますと、全世代型の社会保障に転換していく、こういう考え方なんです。この全世代型の社会保障の転換については、今回の総選挙における自民党の選挙公約にもしっかりと掲げて、さらに消費税の引上げ時の増収分、これを財源として活用するという方針を決定することによって、全世代型社会保障への転換、この議論を思い切って前に進めることができたと、そのように考えております。財源についても、様々な財源の議論をしてきたわけでありまして、党の中間報告におきましては、「財政の効率化、税、新たな社会保険方式の活用等」と、こういった提言をしておりまして、これに基づいて、政府内でも、では、その税の中の消費税を活用しようと、こういったことも決定をして、それについては国民の審判も仰いだところであります。同時に、選挙が終わった後、10月27日の第2回の人生100年時代構想会議におきまして、総理から、「与党における人生100年時代の制度改革の議論を踏まえ、産業界におかれても、3,000億円程度の拠出をお願いしたく、具体的な検討をいただきたい」、こういう発言があったと、このように承知をいたしております。
 これから具体的な制度設計、さらには財源の議論、これを進めて、年内に新しい経済政策のパッケージを取りまとめたいと、このように考えておりますが、党においても、人生100年時代の戦略本部という形に今回なったと、このように承知をいたしておりますが、与党との間でも、この新しい経済政策パッケージについて、十分議論を行って、取りまとめをしていきたいと思っているところであります。

(以上)